戒斗「アラガミアームズだと?」 (83)

注意
仮面ライダー鎧武の戒斗とゴッドイーターのクロスです。
ゴッドイーター側はバースト終了後且つ、PXZ経験あり。
鎧武側は21~22話前後の戒斗。
オリジナル設定・アイテムが出ます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1395487548

戒斗「……ここはどこだ?」

戒斗「ロックビークルでヘルヘイムから脱出したはずだが……」

戒斗「看板を見る限り日本のようだが、この荒れ具合は異常だ」

戒斗「まさかスカラーシステムが起動したのか?」

戒斗「……いや、この景色はそもそも沢芽市ではないな」

戒斗「ともかく、もう一度ロックビークルで……起動しないだと!?」

戒斗「どういう事だ。何か不具合でも起こったのか?」

戒斗「……む?」

オウガテイル「ガオオオォォォオォ!!」

戒斗「インベス!? ……いや、違うか?」

戒斗「どちらにせよ、俺と戦いたいようだな……」

バナーナ!

戒斗「……変身」

ロックオーン

パーパララパパパパッパラララー♪
カモーンバナナアームズ!

ナイトオブスーピアー♪

オウガテイル「グオオオォォ!!」

バロン「はぁっ!!」ズバッ

オウガテイル「……」

バロン「何っ、効いていない!?」

バロン「……やはり、使い分けか」

マンゴー!

パーパララパパパパッパラララー♪
カモーンマンゴーアームズ!

ファイトオブハーンマー♪

バロン「……」ズルズル

バロン「ふんっ!!」ドンッ

オウガテイル「グガアアアア!!」ブオンッ

バロン「ッ!?」

バロン「ぐあああああっ!?」ドガッ

バロン「バカな、こちらの攻撃が全く効かないだと!?」

バロン「チッ……厄介だな」

~少し離れた地点~


ソーマ「……ハァッ!」ズバッ!

アリサ「これで終わりみたいですね」

コウタ「よっしゃ。やっぱこのチームだと安定感あるなー」

アリサ「何ですか、感慨深く……」

コウタ「二人ともちょっとの間行方不明だったじゃん」

アリサ「そういえば、そうでしたね」

ソーマ「しかし、やっと帰ってきたと思ったら今度は新たな問題か……」

コウタ「……なぁ、俺たちもさ、あいつやリンドウさんに協力したほうがいいんじゃないの?」

ソーマ「それだと通常任務が手薄になる。調査はリンドウたちに任せればいい」

アリサ「リンドウさんたちなら大丈夫だと思いますけど、やっぱり心配ですよね」

…………キン

コウタ「……なぁ、何か聴こえないか?」

アリサ「そうですか?」

ソーマ「この近辺にもうアラガミはいないはずだが……」

……ガキン

アリサ「あっ、今確かに何か……」

コウタ「もしかして、誰かが襲われてるのかも!」

ソーマ「しょうがない。行ってみるか」

アリサ「了解です!」

タッタッタ

ソーマ「……なんだあれは」

アリサ「鎧……でしょうか? 戦っているようですけど」

コウタ「ヒーローみたいでカッコいいー!!」

アリサ「でもかなり苦戦してるみたいですよ。助けましょう!」

ソーマ「ああ、コウタ行くぞ!」

コウタ「あ、わ、分かってる!」

ズドン!

バロン「!?」

ソーマ「おい、お前! 下がってろ!」ズバシュッ!

アリサ「えぇい!!」ザンッ!

…………

ソーマ「今度こそ終わりだな」

アリサ「えぇ。オウガテイルだけで良かったです」

コウタ「あんた、大丈夫?」

バロン「……お前たち、何者だ?」

ソーマ「極東支部のゴッドイーターだ。お前こそ、その格好はなんだ?」

バロン「……」カチャ

戒斗「……ふん」

アリサ「姿が変わった? いえ、戻った?」

コウタ「おおっ! ますますヒーローっぽいじゃん!!」

戒斗「ゴッドイーターと言ったな? なんだ、それは」

コウタ「えっ、ゴッドイーターを知らない?」

ソーマ「……お前、まさかとは思うが」

戒斗「?」

アリサ「異世界から来た人、ですか?」

戒斗「異世界……なるほど、そういう事か」

コウタ「ええっ!? ホントに異世界から!?」

ソーマ「心当たりがある口ぶりだな」

戒斗「まぁな。それで? 俺をどうするつもりだ?」

ソーマ「そうだな。まず、この世界に来た理由を聞きたい」

戒斗「迷い込んだだけだ。帰れるものならすぐにでも帰る」

アリサ「帰る方法がないんですか?」

戒斗「少し不具合があるだけだ」

ソーマ「……ならばもう一つ聞く。奇妙な植物を、お前は知っているか?」

戒斗「植物だと?」

ソーマ「あぁ。あんたと同じように、突然この世界に現れた。まるで別の世界から飛来したような植物だ」

戒斗「まさか、ヘルヘイムの事か?」

アリサ「ヘルヘイム?」

コウタ「お、おいおい。あんた、あれの事知ってるのかよ!?」

ソーマ「……お前はその仲間か?」

戒斗「仲間だと? 冗談ではない」

コウタ「……どうする?」

ソーマ「全部を信用するわけにはいかないが、無視するわけにもいくまい」

アリサ「そうですね。えぇと名前は……」

戒斗「駆紋戒斗だ」

アリサ「戒斗さん、良ければ極東支部に来ませんか? 少なくともここよりは安全です」

ソーマ「多少の検査、そして情報の提供はしてもらうが」

戒斗「お前たちを信用しろと?」

コウタ「いやいや、さっき助けたでしょ! 忘れないでよ!」

ソーマ「来ないのなら、アラガミに喰われて死ぬだけだ」

戒斗「……アラガミ? さっきのやつか」

ソーマ「あれでも最弱の部類のアラガミだ。それに勝てないようではな」

アリサ「もう! そういう言い方は良くないですよ!」

アリサ「戒斗さん、支部に来てくれれば、あなたが元の世界へ帰るために協力できるかもしれません」

戒斗「仕方がないか」

~フェンリル極東支部~


榊「ほほぅ、変身……それにロックシードか。実に興味深いね」

戒斗「俺の知っていることは以上だ」

アリサ「そのベルトをしていれば、ヘルヘイムという森の中でも生き続けられる……」

ソーマ「……戒斗、どうやらお前の世界も地獄のようだな」

榊「……さて、そちらの話を聞かせてもらったわけだけど、こちらの事情はどれくらい知っているのかな?」

戒斗「道中で大体は聞いた。アラガミという化け物、それに対抗できる唯一の存在ゴッドイーター……」

戒斗「ペイラー・榊だったか。お前がアラガミ研究の第一人者という事もな」

榊「今は研究だけでなく、支部長もやっているけどね」

戒斗「後は、ヘルヘイムの侵食を受けているという事くらいか」

榊「なるほど。そこまで聞いているなら、本題に入っても良さそうかな」

戒斗「本題だと?」

榊「戒斗君、君がこの世界に迷い込んでしまった理由だよ」

榊「今の話で、大よその見当がついた」

戒斗「なに?」

榊「実はそこにいるソーマ、アリサ君……それとリンドウという三人のゴッドイーターが、少し前に異世界に飛ばされたんだ」

ソーマ「お前の世界とはまた別の世界のようだがな」

アリサ「そうですね。バイオ兵器とか、蒸気機関とか、そういうのはなさそうですし」

榊「彼らはその異世界からつい先日帰還したんだが、どうやら帰還の際に異世界との境界が不安定になっていたようだね」

戒斗「その不安定な境界がヘルヘイムと繋がったと?」

榊「ご名答。君のロックビークルとやらがこの世界に繋がったのもそのせいだね」

戒斗「ならば、ロックビークルが使えなくなったのは……」

榊「世界の境を跨ぐ際に、想定外の衝撃を受けたんだろう。安心したまえ。見たところ、大した故障では無さそうだ」

戒斗「直せるのか?」

榊「もちろん。……ただ、その前にお願いしたい事があるのだけど」

戒斗「タダではない、という事か」

榊「この世界がヘルヘイムの侵食を受けているのは、既に承知の通りだ」

榊「とはいっても、今はまだこの世界にそれほど影響はないんだけどね。何せアラガミが食べちゃうから」

戒斗「……ヘルヘイムの果実を食したなら、インベス化するはずだが」

榊「今のところ、そういった情報は無いね。アラガミは特殊な細胞で構成されているから、そのせいかもしれない」

榊「だが、誤って人が食べたりしたら問題になりそうだね。その件は注意喚起しておくとしよう」

榊「……と、話が逸れたね。こちらの目的は想像がつくと思うが、ヘルヘイムの侵食を止める事だ」

戒斗「だろうな。ただでさえ、アラガミとかいう化け物がいる世界だ。ヘルヘイムの対処など不可能だろう」

榊「そういう事。だから戒斗君、君の力を貸して欲しい」

榊「我が極東支部は対アラガミの最前線でね。ただでさえ戦力が不足している」

榊「だが、ヘルヘイムの調査に戦力を割かねばならない。つまり、今は非常に危険な状態なんだ」

戒斗「なるほど。その対価がロックビークルの修理か」

榊「それだけじゃなく衣食住の保障、後は……」

アリサ「待って下さい! 彼をゴッドイーターにするんですか?」

ソーマ「適正があるとは思えんな」

榊「そうではないよ」

コウタ「でも……こういう言い方は悪いけど、戒斗の装備じゃアラガミに対処できないじゃないか」

榊「その点は問題ない」

アリサ「えっ?」

榊「戒斗君、戦極ドライバーを付けて、これを持ってみてくれないか」

戒斗「……いいだろう」スッ

ブォォン
『オウガテイルロックシード』

コウタ「えっ!? 何だこれ!?」

戒斗「何……ロックシードだと!?」

ソーマ「確かに、お前の持っているマンゴーのやつに似ているな」

アリサ「博士、今渡したのはもしかして……」

榊「うん。渡したのは、先ほど戒斗君を襲ったオウガテイルのコアだ」

榊「……どうやら成功のようだね」

アリサ「でも、これは一体!?」

榊「先ほど戦極ドライバーを調べさせてもらった時にちょっとね」

戒斗「改造したというのか?」

榊「そう。アラガミには通常の兵器は効果が無い。それは君の戦極ドライバーも同じだ」

榊「だが、アラガミのコアから変化したそのロックシードならば、神機と同等の力を得られるはずだ」

榊「端的に言えば、そのロックシードを使えばゴッドイーターでなくともアラガミと戦える」

戒斗「……」

榊「怒らないでほしい。手は加えたが、元々の機能に支障があるような事はしていないよ」

榊「ただ、この先君が何をするのであれ、この世界で戦う術も必要なはずじゃないかな」

榊「これはその為のサービスと思ってくれたまえ」

戒斗「なるほどな。ならば有り難く頂いておこう」

榊「それで協力の件だけど」

戒斗「確かに、俺の力でロックビークルを直す事は不可能だ。……いいだろう、その条件呑んでやる」

榊「決まりだね。良ければ訓練用のアラガミで戦闘訓練でもどうかな?」

戒斗「このロックシードが本当に使えるかどうか、確かめようってわけか……案内しろ」

…………

アリサ「戒斗さん、訓練とはいえ大丈夫でしょうか」

コウタ「しっかし凄い事になっちゃったな」

アリサ「異世界からの協力者……仲良くできればいいんですけど」

ソーマ「やつに協調性があるようには見えないが、な」

コウタ「でもさ、あの変身した姿、すげぇカッコ良かったよな! アーマードライダーって言ってたっけ」

コウタ「やっぱヒーローって孤高の存在じゃん。戒斗もそうなんじゃないの」

ソーマ「どうだかな」

アリサ「その辺りは様子見ですね」

リンドウ「よう、お前ら。新人が来たんだって?」

アリサ「リンドウさん! 調査任務中だったんじゃ……」

リンドウ「さっき報告に帰ってきたんだよ。で、どんなヤツだ?」

アリサ「戒斗さんっていう、異世界から来た人ですよ」

リンドウ「異世界? そいつは……」

ソーマ「どうやらあの植物どもとも関係があるらしい」

アリサ「ヘルヘイムっていうらしいですよ」

リンドウ「そいつはまた……この世界もよくよく異世界と縁があるみたいだなァ」

アリサ「あんまり笑い事じゃないと思うんですけど……」

スタスタ

戒斗「……」

コウタ「おっ、噂をすれば」

リンドウ「あんたが異世界からの新人か」

戒斗「貴様は?」

リンドウ「雨宮リンドウ。こいつらの元隊長だ。まぁ、よろしく頼むわ」

戒斗「駆紋戒斗だ」

戒斗「…………」

リンドウ「ん? どうした俺を見て……って、ああこの腕か」

戒斗「アラガミ化しているようだが……問題ないのか?」

リンドウ「あぁ。……まぁ、長い人生こうなる事もあるわな」

戒斗「ならばいい」

アリサ「そういえば、私たちもちゃんと自己紹介してないですね」

アリサ「アリサ・イリーニチナ・アミエーラです。よろしくお願いしますね」

コウタ「俺は藤木コウタ。よろしくな!」

戒斗「……コウタだと?」

コウタ「ん? 俺の名前がどうかした?」

戒斗「いや、なんでもない」

ソーマ「ソーマだ」

アリサ「しばらくは私たちと任務を遂行するようにって話です」

戒斗「チーム、か」

コウタ「なんでそこで顔しかめるのさ……っていうか、訓練はどうだったんだ?」

戒斗「問題ない」

ソーマ「ほう。では、ちょうど任務が一つある。試してみるか」

戒斗「望むところだ」

アリサ「えっ、いきなりですか!?」

コウタ「さすがに休んだほうがいいんじゃないの」

戒斗「気遣いなどいらん」

ソーマ「取り合えず、本当にアラガミと戦えるのか見せてもらうぞ」

アリサ「まぁ、私たちがフォローすれば大丈夫ですか……」

コウタ「しょうがないなー。リンドウさんは?」

リンドウ「一緒に行きたいところだが、また任務があってな」

アリサ「ですよね。では、私たちも行きましょう!」

コウタ「戒斗、こっちこっち!」

戒斗「……ふん」

~嘆きの平原~


ソーマ「この近辺にザイゴートが数体、コクーンメイデンが数体確認されている」

コウタ「ザイゴートってのは、空を飛んでて他のアラガミを呼び寄せるんだ」

アリサ「コクーンメイデンは地面にくっついてて、レーザーや毒針なんかを使ってきます」

ソーマ「どちらも対処法さえ分かっていれば苦労しない相手だ」

コウタ「またそーいう言い方……ま、なんかあったらフォローするから。油断しなければ大丈夫だよ」

戒斗「フォローなどいらん」

アリサ「頑なですね……そろそろミッション開始します。準備をお願いします」

戒斗「……あぁ」

オウガテイル!

戒斗「……変身」

コウタ「おおっ!?」

ロックオーン

アリサ「そ、空からオウガテイルの頭が!?」

パーパララパパパパッパラララー♪
カモーンオウガテイルアームズ!

オウガオブクリースー♪

バロン「……いつでもいい」

コウタ「初めて変身っての見たけど……やっぱカッコいいな!」

アリサ「オウガテイルの頭があんな風に展開するなんて……ちょっとグロいですね」

ソーマ「短剣型か。……確か、さっきはハンマーを使っていたな」

ソーマ「これはリーチが短い分、超近接戦になりそうだが大丈夫なのか?」

バロン「似たような武器を葛葉も使っていた。あいつに使えて俺が使えないはずがない」

コウタ「葛葉?」

バロン「……こちらでは関係のない話だ」

ソーマ「アリサ、コウタ、二人はザイゴートを優先で頼む」

コウタ「オッケー。任せてよ」

アリサ「それでは行きましょう!」ダッ

バロン「はっ!」ズバッ

コクーンメイデン「……!?」ガクッ

バロン「効いているようだな」

ソーマ「あぁ、威力に問題は無さそうだ」ザシュッ

コクーンメイデン「……」グググッ

アリサ「! 気をつけて、毒針です!」

バロン「チッ!」バッ

ソーマ「あれを避けるか……反射神経はいいようだな」ザシュッ

コウタ「やるぅ~!」ズドン

バロン「舐めるなッ!」ザシュッズバッ

ソーマ「チッ、思った以上に数が多い。ザイゴートが呼んでいるのか?」ザンッ

アリサ「そうかもしれません」バシュ

バロン「ふん、数など関係ないっ!」カシャッ

オウガテイルスカァーッシュ!!

ソーマ「何をするつもりだ?」

アリサ「スカッシュって飲み物の……?」

コウタ「それ普通に気持ち悪いって……いや、あれってまさか!」

バロン「ハァァァッ!」ザシュシュシュシュッ!!

コウタ「うわ、やっぱあれ必殺技だよ必殺技!」

アリサ「凄い……あれだけの数を一瞬で」

ソーマ「言うだけの力はあるという事か」

アリサ「っと、見とれている場合じゃないですね。今がチャンスです!」

ソーマ「ああ、一気に片付ける!」

…………

コウタ「ふぅ。終わり終わりっと」

バロン「……こんなものか」

ソーマ「小型アラガミ程度なら問題はないようだな」

バロン「小型?」

アリサ「えぇ。今のは小型タイプで、他には中型、大型と――」

グオオオオオォォォォォォ!!!

コウタ「な、なんだ!?」

アリサ「あれはっ!」

バロン「なんだ、あいつは……」

ソーマ「チッ、ザイゴートに呼び寄せられたか……」

アリサ「ヴァジュラ……」

バロン「あれが大型か」

コウタ「かなり俊敏で雷撃を使うアラガミだよ。危険だから、俺たちに任せて!」

バロン「任せろだと? ふざけるな!」

ソーマ「喋ってる暇はない、来るぞ!」バッ

ヴァジュラ「ガオオオオッ!!」ブゥン!!

コウタ「うわっ! あっぶなっ」ダッ

バロン「ハァッ!!」ザシュッ

ヴァジュラ「……」

バロン「チッ、浅いか」

アリサ「戒斗さん! 不用意に近づいては危険です!」バシュンッ

ソーマ「戒斗! 下だ!」

バロン「何? ……ぐあああっっ!!」バリバリバリ

コウタ「直撃を受けた!? まずいよ!」ズドンズドンズドン

バロン「う……ぐ……」ピクピク

バロン「こいつ……け、ケタ違いの強さだ……っ!!」ググッ

アリサ「回復弾を撃ちます! 戒斗さん、受け取って!」シュウウン

バロン「くっ」パアァ

ソーマ「スタングレネードを使う! 一度下がれ!」バッ

バロン「チッ」ダッ

バシュウウウン

ヴァジュラ「!!?」

コウタ「ふぅ……戒斗、俺たちが援護するからさ、焦らないでくれよ」

アリサ「そうですよ。私たちはチームなんですから」

ソーマ「いきがるのはいい。だが、それで死ぬつもりか」

バロン「……」

コウタ「あっ、そうだ!」

アリサ「コウタ?」

コウタ「アリサ、あれを戒斗に」

アリサ「あれ? あぁ、あれですか」スッ

バロン「それは……アラガミのコアか?」

アリサ「さっきザイゴートから摘出したものです。これをロックシードに変えれば」

バロン「……なるほどな」スッ

ブォォン
『ザイゴートロックシード』

コウタ「とにかくさ、俺たちが隙作るから」

アリサ「とどめは戒斗さんとソーマに任せます」

ヴァジュラ「グウウゥゥゥ」

ソーマ「そろそろグレネードの効果が切れる。早く!」

バロン「……あぁ、行くぞ!」

ザイゴート!

ロックオーン

パーパララパパパパッパラララー♪
カモーンザイゴートアームズ!

エアーオブメーイスー♪

コウタ「おっ、今度は槌か。破砕に特化してる感じだな」

アリサ「そんな評論はいいですから、撃ちますよ!」バシュバシュバシュン!

コウタ「おう!」ズドンズドン!

ソーマ「今だ、頭を潰せ!」ズバシュッ!

バロン「言われなくても!」カシャカシャ

ザイゴートオーレ!

バロン「ハアァァ……ふんッッ!!!」ドグシャアアアアアア!!!

ヴァジュラ「ガアアアアッ!?!?」バキッ

コウタ「よっしゃ! 部位破壊成功!」ズドドドン

アリサ「まだ倒しきれてません! このまま一気に!」バシュバシュ

ソーマ「押し切るぞ!」ザシュッズバッ

バロン「おおおおっ!!!」ドガガガッ!!

ズゥゥゥゥン

コウタ「……倒れた」

ソーマ「今度こそ終わりだな」

アリサ「やりましたね! ……戒斗さん、良かったらこれを」

バロン「今の……ヴァジュラのコアか。何故俺に?」

コウタ「いっぱいあった方が便利じゃん」

アリサ「えぇ。色んなアームズがあった方がいいですよね」

バロン「……ふん」スッ

ブォォン
『ヴァジュラロックシード』

バロン「……こいつがAランクか」

コウタ「ん? ランク?」

バロン「ロックシードにはランクがある。オウガテイルやザイゴートはC。ヴァジュラはAのようだな」

ソーマ「なるほど。ランクが高いほど強いってわけか」

バロン「あぁ。使い分けは必要だがな」

コウタ「それで、アラガミとの戦いはどうだった?」

バロン「インベスとさほど変わりは無い。強いものが生き残り、弱いものは消える。どこも一緒だ」

アリサ「うーん、戒斗さんって弱肉強食を地で行く感じですね」

コウタ「うん。かなりな」

ソーマ「……そろそろ戻るぞ」

…………

榊「ふむ。初めての任務は順調だったようだね」

アリサ「概ねは、ですけど」

榊「ハッキリしないな。彼に問題でも?」

ソーマ「問題……どちらかといえば懐かしいってだけだ」

榊「懐かしい?」

アリサ「あぁ、そうかもしれません。なんていうか、戒斗さんって他の人を寄せ付けない感じがして」

榊「なるほど。昔の自分と重なる部分があるわけか」

ソーマ「だからこそ、危うい部分もあるんだがな」

アリサ「でもそこは私たちがフォローすればいいわけですから」

榊「なるほど。やはり君たちに任せるのが適任みたいだね。今後も頼むよ」

ソーマ「仕方ないか。それで、リンドウの方はどうなんだ」

榊「戒斗君からの情報のお陰でかなり調査は進んでいるよ。もう一週間ばかりもあれば対応の目処が立ちそうだ」

アリサ「一週間……短いようで長いですね」

ソーマ「それまで何事もなければいいが、な」

アリサ「……ところで、あの歌って何なんですかね」

榊「歌?」

アリサ「彼が変身する時に聴こえる……」

ソーマ「あぁ、あのオウガオブクリスとかいう……」

榊「あれか。あれは元々開発者の趣味らしい。それならばと、私がアラガミ用の音声を入れてみたんだよ」

アリサ「ハァ、どこの世界も博士というのは変な場合が多いみたいですね……」

…………

コウタ「なぁ、戒斗」

戒斗「なんだ?」

コウタ「そのベルト……戦極ドライバーだっけ? 俺にも使えるの?」

戒斗「これは登録式だ。他のヤツには使えん」

コウタ「そっかー、だよなー。やっぱそういうのって選ばれたやつしか使えないものだよなー」

戒斗「使いたいのか?」

コウタ「いや、それで戦いたいっていうかさ、俺も変身! っていうのやりたいんだよ」

戒斗「?」

コウタ「やっぱカッコいいじゃん! ヒーローみたいでさ!」

戒斗「ヒーローだと?」

コウタ「そうそう。そんで変身して決め台詞と決めポーズをこう、ババーンって」

戒斗「……決めポーズはともかく、まるで葛葉の事を言っているようだな」

コウタ「ん、そういえば前にも葛葉って言ってたよな。誰?」

戒斗「葛葉紘汰。同じ戦極ドライバーを持つ……いつか決着をつけるべき相手だ」

コウタ「ライバルって感じかな。それにしても、紘汰かぁ。俺と同じ名前なんだ」

戒斗「偶然にもな。ノリもどことなく似ている」

コウタ「へぇ。で、その紘汰って人は決めゼリフあるの?」

戒斗「あれが決めゼリフと言えるかはしらんが、大体『ここからは俺のステージだ』とは言ってるな」

コウタ「うわ、何それメッチャテンション上がるじゃん。やっぱヒーローなんだ。アーマードライダーって」

戒斗「……どうだかな」

コウタ「俺も今度、その決めゼリフ使ってみようかなー」

戒斗「それはやめておけ」

~翌日・贖罪の街~


戒斗「こいつの力を試すとするか」スチャ

ヴァジューラ!

戒斗「……変身」

ロックオーン

パーパララパパパパッパラララー♪
カモーンヴァジュラアームズ!

ヴァジュラオブバルディーッシュ♪

バロン「こいつはバナナアームズと似たような戦い方が出来そうだな」ブンブン

コウタ「おーい! 待てよ、戒斗ー!!」

バロン「……コウタか」

コウタ「ハァ……ハァ……ったく、昨日の今日だってのに無理やり一人でミッション受けるなんてどうかしてるよ」

バロン「お前には関係ない」

コウタ「あのね。確かにこの辺は小型アラガミばっかみたいだけど、昨日みたいに不測の事態だってありえるんだぜ」

バロン「それくらいの方が都合がいいな」

コウタ「戦闘狂かよ……まぁ、孤高のヒーローって感じはするけどさ」

オウガテイル「グオオオオッ」ドドドドド

バロン「ボヤているヒマはない。敵が来るぞ」スチャッ

コウタ「ああもう! ともかく、一緒に戦おうぜ!」ズドン!

バロン「ハァッ!」ズバッザシュッ

コウタ「うわっ、すっげぇ威力。それ、Aランクなんだっけ」ズドンズドン

バロン「思ったとおり、こいつは使い勝手がいいな」ズバシュッ

コウタ「おっと、余所見は危ないって!」ズガン!

バロン「ちっ、ならばまとめて叩くのみ!」カシャカシャ

ヴァジュラオーレ!

バロン「ハァァっっ!!」ズバシュウウウウウウッ!!

コウタ「……一撃かよ。っていうか、やっぱ必殺技っていいよなー」

…………

コウタ「はー、終わった終わった。帰ったらバガラリー見るぞー」

戒斗「バガラリー?」

コウタ「アニメだよ。すっげぇ面白いんだぜ。一緒に見る?」

戒斗「興味は無いな」

コウタ「んー……やっぱ似てるなぁ」

戒斗「何の話だ」

コウタ「いや、昔のソーマやアリサとさ、どことなく似てるって思って」

戒斗「あいつらと?」

コウタ「怖い顔するなよー。別に悪く言ってるんじゃないんだからさ」

戒斗「……ふん」

戒斗「……お前たちは、今の世界に満足しているのか?」

コウタ「え、何さ急に」

戒斗「アラガミとかいうやつらに食い物にされている現状、どう見ている?」

コウタ「そりゃ許せないし、家族に……皆に安心できる平和な世界を与えたいって思ってるよ」

戒斗「こんな、住処の周りを掃除するような戦いばかりでそれが叶うとでも?」

コウタ「言いたい事がよくわかんないけど、それはちょっと違うんじゃないか」

コウタ「戒斗は掃除っていうけどさ、家の近くにアラガミがいたら普通の人はやっぱり怖がるじゃん」

コウタ「だからそれを何とかするのも大切だろ」

戒斗「……」

コウタ「それに、世界全体を平和にするなんて俺一人じゃ無理なんだからさ」

コウタ「皆で何とかしようってそれぞれ出来る事を頑張ってる。皆、生きるために戦ってるんだよ」

コウタ「そういうのじゃ、ダメなのか?」

戒斗「……皆生きるために戦っている、か……」

~翌日・鎮魂の廃寺~


シユウ「……」ウロウロ

アリサ「……はぁ、はぁ」

バロン「チッ」

アリサ「参りましたね。コウタたちとはぐれるなんて」

バロン「やつら……シユウとか言ったか」

アリサ「一体ずつなら対処もできますけど、あの数は……」

バロン「だが、このまま隠れていても埒が明かない」

アリサ「そうですけど、正面には三体もいます。今は応援を待つべきです」

バロン「くそっ」

アリサ「焦らないで下さい。コウタたちなら、すぐに来ますよ」

バロン「……」

アリサ「こんな時になんですけど、ちょっと意外でした」

バロン「何がだ」

アリサ「いえ、戒斗さんってあんまりチームワークとか好きじゃ無さそうに思ってたので」

バロン「……弱者の馴れ合いは虫唾が走るな」

アリサ「まるで弱い人が悪いみたいな言い方ですね」

バロン「事実だろう。戦う事を忘れた者に生きる資格などない」

アリサ「それじゃ、私たちと一緒に戦ってくれるのは強者と認めてくれたからですか」

バロン「……さぁな」

アリサ「でも、私だって昔は弱者でしたよ。戒斗さんの言う弱者とは違うかもしれませんが」

バロン「なに?」

アリサ「私に力がなかったから家族を失って、力を得たと思ってたのにまた大切な人を傷つけて……」

バロン「……」

アリサ「リンドウさんの腕、見ましたよね。あれも私が原因なんです」

バロン「……そうか」

アリサ「変な話をしてごめんなさい。ただ、戒斗さんにも分かって欲しかったんです」

アリサ「どんな人でも、周りの人に支えられながら強くなれるって事を」

バロン「……」

シユウ「……!!」バッサバッサ

バロン「どうやら話はここまでのようだ」

アリサ「見つかった!?」

バロン「ならば突破するのみだ!」ズバシュッ

アリサ「戒斗さん!?」

バロン「おおおっ!!!」ザシュザシュザシュ

アリサ「!? いけない、伏せて!」

シユウ「キィィィィィ!!」ゴオオオォォッ

バロン「何っ、横から!?」

ズドンッ!!

シユウ「キュイイ!!?」バタッ

アリサ「狙撃……コウタ!?」

コウタ「へへ、お待たせ!」ズドンッ

ソーマ「後はここにいるやつらだけだ」ザンッ

アリサ「ソーマも……助かりました!」バシュバシュ

バロン「チッ、助けられるばかりでは終わらん!」カシャ

ヴァジュラスカーッシュ!

バロン「はぁぁっ!!」ズバババババッ!!

ソーマ「まとめて突き刺すつもりか!?」

コウタ「今だ! アリサ、頭部を!」ズドンズドンズドン!

アリサ「ええ! 集中砲火をかけます!」バシュンバシュバシュバシュ!!

…………

アリサ「ミッションコンプリートですね」

コウタ「一時はどうなる事かと思ったけどな」

バロン「やつらも所詮駆逐される側という事だ」

ソーマ「……」

コウタ「取り合えず、話は帰ってからにしようぜ」

アリサ「……そうですね」

…………

戒斗「……」

アリサ「戒斗さん、どうかしました?」

戒斗「いや、既にこの世界にきて三日もたったのかと思ってな」

アリサ「戒斗さんは、元の世界でも戦ってたんですよね。やっぱり心配ですよね」

戒斗「心配などしていない。ただ、ここで足踏みしているだけの自分に苛立つだけだ」

アリサ「あの、根拠の無い気休めで申し訳ないんですけど」

戒斗「なんだ」

アリサ「異世界同士の繋がりって、時間軸も不安定な場合が多いんです」

アリサ「私やソーマが他の世界に迷い込んでた時もそうだったんですけど」

アリサ「案外、元の世界に戻ったら時間がほとんど進んでない、という事もあり得るんですよ」

戒斗「……なるほどな」

アリサ「実際は元の世界に戻ってみないと分からないですけど」

戒斗「だが、可能性はあるんだろう。ならば、ここでより強い敵と戦うのも悪くは無いかもしれん」

アリサ(やっぱり戒斗さんって……)

~数日後~


バロン「ふんっ!」ズドドッ!!

アリサ「……凄いですね、戒斗さん」

コウタ「多分、もう俺たちと同じぐらいアラガミ相手に戦えるんじゃないか……」

ソーマ「あいつの希望でずっと格上のアラガミと戦ってきたからな。経験が溜まればこうなって当然だ」

アリサ「戒斗さん、どうしてあんなに強くなりたいんでしょう」

コウタ「気持ちは分かる……って言いたいけど、ちょっとついていけなくなる時もあるよな」

ソーマ「……」

バロン「……今ので最後か」

アリサ「お疲れ様です」

コウタ「ここ二、三日はずっとヴァジュラアームズ使ってるね」

バロン「こいつが一番使いやすいからな」

ソーマ「そろそろ戻るぞ」

…………

榊「朗報だよ。ヘルヘイムの対策に目処が立った」

アリサ「本当ですか!」

榊「うむ。その説明の前に、まずは現在の状況から話そう」

榊「現在、我々の世界はヘルヘイムの森から侵食されている。これは不安定な境界が原因だ」

榊「境界が不安定だから、戒斗君たちの世界でいうクラックが開いてヘルヘイムの植物が侵食してきたわけだ」

戒斗「? それは、この世界がヘルヘイムに狙われているわけではないという事か?」

榊「その通り。戒斗君の世界は明確に侵食されているようだけど、この世界への侵食は言わば偶然と言っていい話なんだ」

榊「それが何故か、そこに何者かの意思があるのかは分からないが……」

榊「少なくとも、ヘルヘイムの植物からすればクラックが開いてたから来てみました、くらいの事なんだろうね」

ソーマ「随分と迷惑な話だな」

榊「だけど、これは我々にとっては有り難い話だよ。クラックが閉じればそれでお終いなんだから」

コウタ「その閉じ方が分からないんじゃないの?」

榊「いいや。何度も言うけど、クラックが開いたのは異世界との境界が不安定になったせいだ。ならば」

アリサ「境界が安定すれば、クラックも自然に閉じる?」

榊「そう。そしてこちらに侵食してきたヘルヘイムの植物を根絶やしにすれば、境界は安定する」

ソーマ「随分と単純な話だが、確証はあるのか?」

榊「元来、自然とは不安定な状態であれば安定しようとするものだよ」

榊「なのにこうも不安定なままなのは、クラックを通じてヘルヘイムの植物が邪魔しているせいだ」

コウタ「よくわかんないけど、植物がつっかえ棒みたいになってるって事?」

榊「その認識で間違いはないね」

戒斗「ヘルヘイムの植物ならば焼却処分で事足りる。問題はインベスとアラガミだ」

コウタ「焼却かぁ。それはバレットでどうにでもなるよな」

ソーマ「アラガミ……やつらのお陰で侵食が止まっているとはいえ、焼却中に大人しくしてくれるはずもないな」

アリサ「何人か焼却専門で動いてもらう事を考えると、結構な大部隊で対応しなければならなさそうですね」

榊「後はインベスだ。今のところインベスの目撃報告はないとはいえ、楽観視はできないからね」

戒斗「クラックの向こう側でインベスの侵入を防げばいいのだろう? 俺一人で十分だ」

コウタ「大丈夫なのか?」

戒斗「その程度、心配されるまでもない」

榊「では、インベスの対処は戒斗君に任せよう」

ソーマ「作戦の決行は?」

榊「他のゴッドイーターの召集や準備もあるから、二日後かな」

…………

コウタ「二日後、か。それで戒斗とはお別れなんだな」

ソーマ「作戦が成功すればの話だ」

アリサ「大丈夫ですよ。きっと成功しますって」

戒斗「どちらにせよ、俺は戦うだけだ」

コウタ「そうだ! せっかく、こうして俺たち出会ったんだしさ。明日はパーティしようよ!」

戒斗「パーティだと?」

コウタ「そ。お別れパーティ」

戒斗「下らんな。そんなもの必要ない」

アリサ「まぁまぁ、そう言わずに。コウタは騒ぎたいだけなんです、ちょっとだけ協力してあげてくださいよ」

コウタ「何その俺が悪いみたいな流れ!?」

アリサ「異世界の人同士がこうして出会ったのも何かの縁だと思いますし最後くらい、いいですよね?」

戒斗「……好きにしろ」

~翌日~


コウタ「アリサー、料理はどう?」

アリサ「バッチリです。コウタこそ飾りつけが終わってないみたいですけど?」

コウタ「しょうがないだろ。一人でやってんだから」

アリサ「リンドウさんたちは今、現地で待機中ですからね」

コウタ「そういや、結局戒斗にアイツ紹介できなかったなー」

アリサ「確かにそう――」

ソーマ「おい! 緊急事態だ、すぐに支部長室に来い!」

アリサ「えっ!?」

コウタ「おいおい、こんな時になんだよ!?」

…………

榊「……極めて厄介な事態が起こってしまったよ」

戒斗「厄介だと? 俺を呼ぶという事はヘルヘイム関連だろうが……まさか」

榊「その推測は正しいよ。アラガミから、インベスが生まれた」

コウタ「ええっ!? アラガミはヘルヘイムの果実を食べても平気じゃなかったのか!?」

アリサ「突然変異……というものでしょうか」

榊「多分ね。そして、特性は完全にインベスのそれと同じようだ」

榊「周囲のアラガミを撃破して、まるでヘルヘイムの侵食を手助けしているように動いている」

戒斗「アラガミへダメージを与えるインベスだと……」

榊「しかも厄介な事に、元となったアラガミがね……ハンニバルのようなんだ」

ソーマ「ハンニバルだと……」

戒斗「そのハンニバルというのは、そんなに強力なやつなのか?」

榊「後でデータを渡すけど、極めて強力な火炎攻撃と武人のような体術を繰り出してくるアラガミだよ」

ソーマ「待機班は?」

榊「今は後退中だ。何せインベスとアラガミとゴッドイーターの三つ巴状態だからね」

コウタ「俺たちはその援護に向かえばいいんだよね?」

榊「うむ。こうなってしまっては作戦を前倒しするしかない」

榊「まだ万全ではないが、動けるゴッドイーターを総結集して一気に攻める」

アリサ「分かりました」

榊「……戒斗君。急な事態で申し訳ないが、これだけは言わせて欲しい」

榊「極東支部に協力してくれて本当にありがとう」

戒斗「礼など不要だ。俺もお前たちも互いに利用しあっていただけに過ぎない」

ソーマ「……」

コウタ「はぁ……やっぱ戒斗ってそういうタイプなんだなぁ」

榊「ともかくこれは返しておこう」スッ

戒斗「ロックビークルか」

榊「無論、修理は終わってるよ」

アリサ「それでは行きましょう!」

…………

ソーマ「戒斗」

戒斗「……なんだ」

ソーマ「一つだけ、お前に聞いておきたいことがあってな」

戒斗「こんな時にか?」

ソーマ「最後だからだ。お前はがむしゃらに強さを求めているようだが」

戒斗「……」

ソーマ「その強さで、何を証明したいんだ?」

戒斗「何?」

ソーマ「別に答える必要は無い。ただ、これだけは言っておきたくてな」

ソーマ「求める方法も、証明する方法も、やり方を間違えたら後悔だけでは済まなくなるぞ」

戒斗「まるで見てきたかのように言うんだな」

ソーマ「あぁ、嫌ってほどな」

戒斗「……」

ソーマ「……話は終わりだ。行こう」

~愚者の空母・近辺~


戒斗「あそこが、ヘルヘイムに侵食されている場所か」

コウタ「前見たときより、ずっと植物が多い……」

アリサ「あ、リンドウさん!」

リンドウ「おお、お前らも来てくれたのか。助かる」

ソーマ「状況は?」

リンドウ「あんまり良くはないな、何せインベス……だっけか? あれの対応は初めてだからなぁ」

戒斗「インベスは一体だけなんだろう? ならば、俺がやる」

リンドウ「そういや専門家だっけか。んじゃ、そっちはソーマたちに任せるわ」

ソーマ「それが最善か」

アリサ「ですね」

コウタ「まずはインベスを倒して、それから森の焼却作業ってわけだな」

戒斗「決まりだな……」スッ

コウタ「あれ、そのロックシードって……」

戒斗「相手がインベスならこいつの方がいい」

バナーナ!

戒斗「……変身」

ロックオーン

パーパララパパパパッパラララー♪
カモーンバナナアームズ!

コウタ「えっ!? バナ……バナナ!? バナナァ!?」

ナイトオブスーピアー♪

バロン「バロンだっ!」

リンドウ「おお、見るのは初めてだが凄いもんだな。そいつがアーマードライダー……えーっと、バロンか」

リンドウ「そんじゃ、こっちは任せた。作戦開始だ」タタタッ

ソーマ「俺たちも行くぞ」ダッ

バロン「あぁ」ダッ

オウガテイル「「グオオオオオッ」」

コウタ「って、いきなりアラガミか……よっ!!」ズドン

アリサ「もう! せめてインベスに向かっていって欲しいです……ねっ!」バシュン

ソーマ「ボヤくな……インベス化しないだけマシと思え」ズバッ

バロン「……見えたぞ。あいつがハンニバルインベスか」スチャ

ハンニバルインベス「……グルルルル」

コウタ「なんか、結構デッカくね?」

アリサ「あれもインベス化の影響なんでしょうか」

バロン「だろうな。来るぞっ!!」

ハンニバルインベス「ガアアアアアッ!!」ブオン!!

ガキン!

ソーマ「チッ、こいつ……ただのハンニバルよりパワーがある!」

コウタ「なら、遠距離から狙えば!」ズドン!!

ハンニバルインベス「……!」ババッ

アリサ「防いだ!?」

バロン「だが、死角が出来た! はぁっ!!」ズババッ!!

コウタ「ダメだ戒斗!」

ビュオウッ

バロン「何っ!? ぐあああああっ!!」ドガッ

アリサ「尾の攻撃です! くっ、回復弾撃ちます!」シュウウン

バロン「くそっ、相手が大きすぎる……」

ソーマ「焦るな。少しずつ切り崩せばいい」

コウタ「でもさ、こいつかなり頑丈みたいだぜ。どんだけかかるか……」

バロン「……ならば、こいつで」スッ

アリサ「それは……?」

バロン「デカブツにはデカブツだ」

スイカ!

ロックオーン!

パーパララパパパパッパラララー♪
カモーンスイカアームズ!

大玉ビッグバン!!

コウタ「デ、デカーー!?」

バロン「ハッ!」ガシャン

ソーマ「まるでロボットだな……」

アリサ「でも、あれなら!」

ハンニバルインベス「グオオオオゥゥ」ダダダッ

コウタ「まずい、突進してきた!」

バロン「問題……ないっ!!」ガキィィィッ

アリサ「取っ組み合った!?」

ソーマ「見ている場合か、あいつの作ったチャンスだ!」ダッ

コウタ「よぉしっ、頭に全部ぶち込んでやるッ!!」ズドズドズドズドズドン!!

アリサ「インベス化したとしても元はハンニバル……なら篭手を壊せばっ!!」ザシュッ!!

バロン「ぐぅぅっ!!」ギギギギ

ソーマ「おおおっ!!」ズバァァァァァッ!!

ハンニバルインベス「……グウウウ」

コウタ「……ハァ……ハァ……結構、撃ち込んだけど……」

アリサ「……まだ倒れない……?」

ハンニバルインベス「グオオオオオオッ!!!」ボオオオオッ

ソーマ「まさか!」

コウタ「炎の竜巻!? そんな、まだ翼も出てないのに!!」

アリサ「戒斗さん、あの攻撃は危険です! 逃げて!」

バロン「!?」

ハンニバルインベス「……」ズゴオオオオオオオッ!!!

コウタ「ダメだ! 間に合わない!」

オオダマモード!

コウタ「スイカ型になった!?」

ガキィィン!!

ハンニバルインベス「!?」

ソーマ「あれを防いだだと!!?」

バロン「ふん、俺の力を舐めるなっ!!」

ヨロイモード!

ハンニバルインベス「グアアアアッ!!」ダダダッ

コウタ「突進!? しかも前より速い!?」

バロン「……」

アリサ「戒斗さん!」

バロン「アラガミ……最初はこの世界を支配する絶対的な種族かとも思ったが」

ソーマ「戒斗!」

バロン「所詮は人間に勝てない……そしてヘルヘイムに堕ちる存在か。ならば……」

ハンニバルインベス「グオオオッ!!!」ドガッ

バロン「お前たちは強者ではないッ!!」ガキィン!

コウタ「止めた!?」

バロン「……とどめだ」カシャカシャカシャ

スイカスパーキング!!

バロン「ハァァァァァ……」グググッ

バロン「ハアッ!!」ドシュッ!!

シュウウウウウ……

コウタ「やっ……た?」

アリサ「倒せたみたい……ですね」

バロン「……」カシャ

カモーンバナナアームズ!
ナイトオブスーピアー♪

バロン「……後は、本来の作戦に戻るだけだな」

ソーマ「あぁ。クラックの向こうは任せる」

コウタ「……そっか、これでお別れなのか」

バロン「……ソーマ」

ソーマ「なんだ?」

バロン「こいつを」ヒュッ

ソーマ「これは……アラガミから作ったロックシードか?」

バロン「手ぶらで帰るつもりは無い……と言いたいが、ルールは守る」

バロン「そいつは俺の世界には不要だ」

ソーマ「分かった。こっちで処分しておこう」

バロン「……じゃあな」スタスタ

アリサ「戒斗さん!」

バロン「……」

アリサ「またいつか、なんて言葉は言えないですけど……頑張りましょうね、お互いに!」

バロン「……ふん」

…………

コウタ「……はぁ、今度こそ完璧に終わったな」

ソーマ「ヘルヘイムの植物は消え、クラックも閉じた、か」

アリサ「……」

コウタ「アリサ、どうかした?」

アリサ「いえ、これで良かったのかと少しだけ」

コウタ「……分かるよ。結局、ヘルヘイムの事は戒斗たちに任せる形になっちゃったしな」

ソーマ「だが、俺たちにあいつらを助ける余裕は無い」

アリサ「それも分かってますけど」

コウタ「でもさ、戒斗を見てると何となく大丈夫な気がするんだよね」

アリサ「なんでですか?」

コウタ「ほら、戒斗って何となくだけど誰かさんに似てるし」

ソーマ「昔の、な。それがどう転ぶかは分からん」

アリサ「……今さらですけど、クラックっていうのを通れば戒斗さんはいつでも元の世界へ帰れたんですよね」

アリサ「それをしなかったのは……やっぱり優しさだって思いたいです」

アリサ「だから、きっと大丈夫ですよね」

コウタ「平和になってほしいよな。この世界も、戒斗の世界も……」

ソーマ「そうだな」

…………

戒斗「……どうやらクラックは閉じたようだな」

戒斗「留守にしていた時間、こっちはどうなっていたのか」

戒斗「……」

戒斗「強さで何を証明したいのか、か」

戒斗「ふん。そっちの世界から見ておけ。俺の道を、な」


終わり

読んでくれた方、ありがとうございます。

文章力の是非はともかく、自分以外に需要はあったと信じたい。

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