P「本当に春香なんですか?」
D「え、春香ちゃんじゃあ何か不都合が?」
P「いえ…そういうわけじゃないですけど…」
P「春香じゃ役不足じゃないかな…って」
D「あぁー、そうかいそうかい!」
D「じゃあいっそ春香ちゃんをヒロインにしよう」
P「え」
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P「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」
D「ん、まだ何か?」
P「話聞いてましたか?私は春香じゃ役不足だと言ったんですよ?」
D「ちゃんと聞いてたさ。だからヒロインの役を春香ちゃんに…」
P「ですから…春香じゃあ役不足だと思いまして…」
P「この役って…物凄く重要な役じゃないですか」
D「それでも…春香ちゃんには役不足なんだろう?」
D「だから春香ちゃんをヒロインに…
」
P「いい加減にしてください!!」
P「何ですか!新手の嫌がらせですか!?」
P「春香じゃこの友人の役でも役不足だって言ってるんですよ!?」
P「それなのに何故ヒロインの役を推すんですか!?」
D「プロデューサーさんが役不足って言うからでしょ」
P「そうですよ?春香にこんな重要な役を与えていいのかと聞いてるんです」
D「」
D「あの…もしかして…」
D「役不足の意味を勘違いしてるんじゃないかと…」
P「はい?」
D「役不足というのは、その者の力量に対して、与えられた役割が小さい…というか」
D「ホントはもっと出来るのにそれほどの仕事じゃない…みたいな」
P「え…」
D「つまり、春香ちゃんにはこの役は余裕だからもっといい役寄越せよこの野郎と言っていたことになります」
P「そんな…!」
P「ってことがあったんだよ」
律子「うわぁ…それは恥ずかしいですね」
P「律子は知ってたのか?」
律子「もちろんです。常識ですよ」
P「俺が常識ないって言うのか!」
律子「実際そうじゃないですか」
P「ぐっ…反論できん…」
律子「まったく…プロデューサー殿はそんなんだから甘く見られるんですよ」
律子「この前も亜美と真美にバカにされてたでしょう?」
律子「ああいう時はちゃんと叱らなきゃダメですよ」
律子「『情けは人の為ならず』ですから」
P「えっ」
律子「どうかしましたか?」
律子「まあ…ちゃんと叱ってあげないと彼女達の為にもなりませんから」
P「いやいや、待てよ」
律子「なんですかさっきから…」
P「律子、今『情けは人の為ならず』って言った?」
律子「はい、たまには叱ってあげないと亜美や真美の為にもなりませんからね」
P「それ意味違うぞ」
律子「え゙っ」
P「『情けは人の為ならず』っていうのは…」
P「良い行いをすれば良い事が自分に返ってくるみたいな意味だったと思う」
律子「何でですか」
律子「情けをかけるのは人の為にならない。そのままじゃないんですか?」
P「いや、何でって言われても困るんだけど」
P「辞書見ろよ辞書」
律子「人の為ならずってところで引っ掛かりません?」
律子「人の為にならない。それでいいじゃないですか」
律子「なんで情けが返ってくるんですか?」
律子「この言葉の中に返ってくる要素なんてないですよね?」
P「いや知らねぇよ…昔の人に聞け。な?」
律子「っていう事があったのよ…」
伊織「ふぅん…プロデューサーが二人揃って…大丈夫なわけ?」
律子「それを言われると少し不安になるわね…」
亜美「ねぇねぇ律っちゃーん!今日の仕事終わったら遊んでいい!?」
律子「ダ・メ・で・す」
亜美「ぶー、律っちゃんのケチんぼー!」
亜美「ま、いいや~。明日また来よ~」
伊織「まったく亜美は節操がないわねぇ…」
律子「えっ…」
律子「う~ん、でも確かに亜美ならあり得なくもないけど…」
律子「ちょっと亜美に失礼じゃないかしら?」
伊織「何よ!律子は亜美のあの様子を見て落ち着きがないと思わないの!?」
律子「それよ…」
伊織「え?」
伊織「もしかして…間違ってた?」
律子「ええ」
律子「節操がないって言うのは…」
律子「そもそも節操っていうのは、信念とか志しとか…そういう意味よ」
律子「だから…伊織は、亜美には信念がないと言ったことになるわ」
伊織「はぁ!?分かりにくいじゃない!」
伊織「節操がないって言ったら普通は…!」
律子「伊織…諦めなさい」
伊織「……分かったわよ!」
亜美「んっふっふ~、いおりん恥ずかしいねぇ…」
伊織「何よ!アンタだって今に分かるわよ」
亜美「いおりんがダメダメで亜美爆笑しちゃうなぁ」
伊織「ほら…ね?」
律子「ええ…」
亜美「え、何?亜美何か言った?」
伊織「今のよ、今の」
亜美「何にもおかしくないっしょ」
伊織「『爆笑』の使い方が間違ってるわ」
亜美「えぇ!?いやいや、亜美がバカみたいに笑うんだったらあってるっしょ?」
伊織「『爆笑』っていうのは…大勢の人が笑うことよ!」
亜美「ええ!!?」
亜美「そ、そうだったんだ……」
亜美「え…じゃあ一人でバカみたいに笑っちゃうことは何て言うの?」
伊織「そういう場合は『大笑い』が正しいらしいわ」
亜美「へー、メモっとく。真美にも教えてあげよっと」
伊織「どうかしら…私の博学ぶりは…」
亜美「節操」ボソッ…
伊織「ぐッ…うっさいわね…!」
亜美「ただいまーー!!真美ー!真美!!」
響「あ、亜美。おかえりー!真美ならいないぞー」
亜美「真美どしたの?」
響「んー?すぐそこのコンビニに行くって。もうすぐ帰ってくると思うけど…」
真美「ただいまーー!!」
亜美「あ、真美おかー!何買ってきたの?」
真美「アイスー!そろそろ帰ってくると思ったから亜美の分もあるよ!」
亜美「亜美向こうで食べてきちゃったよ…」
真美「えぇぇ!!ま、いいけど…じゃ、ひびきんにあげるよ」
響「え、いいのか?ありがとだぞ真美!」
真美「お釣りが小銭いっぱいだったから募金してきたんだー!」
響「ん?」
響「真美、それ違うぞ」
真美「えー、何がー?」
響「真美、今『募金した』って言ったでしょ?」
真美「うん、765円募金してきた」
響「募金したのはお店の方だぞ」
真美「えー…真美だよー。暑さでどうかしちゃった?」
響「『募金する』ってどういうことか分かるか?」
真美「お金を寄付することっしょ?」
響「漢字のままの意味だと?」
真美「お金を…募る…!あーー!!」
響「そうそう!ちゃんと分かってよかったぞ!真美は偉いなぁ」
響「『募金する』っていうのは、寄付を求めるってことなんだぞ!」
真美「ひびきん…」
亜美「誰に説明してんの…?」
真美「やっぱり暑さで…」
響「ちーがーうー!!」
真美「よく駅前とかで『募金してくださーい』って人見かけるけど」
真美「ああいう人達も間違ってるってことになるね」
亜美「じゃあ何て言えばいいんだろうね」
真美「ひびきん!」
響「さすがにそこまでは考えてなかったぞ……」
響「『お金ー、お金入れてー』……とか……?」
亜美「……」
真美「真美達が間違ってた…ごめんねひびきん」
響「う、うん……?」
春香「へー、そんなことがあったんだー」
響「うんうん、自分完璧だから間違えはいけどね!」
春香「あはは…私も間違えて使ってるかも…」
響「ふふん、その時は自分が教えてあげる!」
春香「響ちゃん、頼りになるなぁ!」
響「プロデューサーにも教えてあげよう!」
春香「そうだね!プロデューサーさんも間違ってるかも」
P「おーっす、何か噂してたか?」
春香「あ、プロデューサーさーん!おかえりなさい!」
響「おかえりプロデューサー!どうして噂してたって分かったんだ?」
P「さっきから鼻の周りがムズムズするんだよ」
響「それ迷信でしょ?」
P「まあそう言うなって、本気で信じてるんだから」
P「で、何の噂してたんだ?」
響「さわりから話すと…」
P「おっ……」
響「日本語の誤用について、春香と盛り上がってたところ」
春香「ひょっとしたらプロデューサーさんも間違ってるかもー、なーんて」
P「チクショオオオオオ!!ホントに完璧なのかよおお!!」
響「え、何?」
春香「やっぱり間違ってたんじゃない?」
P「あ、そうだ。春香にドラマの仕事が決まったんだった」
春香「え、ホントですか!?」
P「ヒロインの友人の役だ。まあ…後々重要になってくるらしいぞ」
春香「へぇ……いいのかなぁ…そんな役が私で…」
響「良かったな春香!頑張れ!」
春香「ありがとう響ちゃん…!でも…」
春香「私じゃ役不足ですよねぇ…」
P「おっ」
響「あっ」
春香「私がこんな役だなんて…信じられない……」
P「ああ!ストップストップ!!」
響「春香も間違うんだな!」
春香「ええ!何か間違った!?」
P「ああ、俺と同じ間違いだ」
響「えっ、プロデューサーも?」
春香「あ、もしかして役不足ですか?」
P「!?」
春香「そんなの知ってますよ!常識です!」
春香「私が言いたいのは…こんな役じゃ私が勿体無いんじゃないかなって」
P「は、春香……さん?」
春香「私が…こんな役で本当にいいんですかねぇ…?」
響「春香…?なんか怖いぞ」
春香「プ・ロ・デュー・サーさん?」
P「は、はは……は、」
P「はいいいいい!!!」
P「失礼します!」
D「あれ?765のプロデューサーさん?どうしたの?忘れ物?」
P「役不足だ……」
D「えっ?」
P「春香じゃあの役は役不足だ!!今すぐヒロイン役を交代しろおおおおお!!」
その後ヒロイン役は春香に交代。
元ヒロイン役だった女優も認める程の演技を発揮し見事ドラマは大成功。
そしてこの業界では【役不足の天海春香】という通り名を知らない者は居ないのであった……
終わり
終わりです。
最近日本語の間違いが多いと聞いて思い付いたので書きました。
もちろんこんな低レベルな間違いをする人は少ないと思いますがw
ちなみに『さわり』というのは、冒頭やあらすじと同じ意味で使われがちですが、話や記事の一番盛り上がる部分という意味です。
それでは、これからも正しい日本語を使って過ごしましょう!
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