少女「人の腹の内が見える様になった」(423)

母「少女ー、起きなさい」

少女「んー…はーい…」

母「早くしないと遅刻するわよ」

少女「分かってるって…」

(全く、毎日毎日起こすのも面倒ね。お姉ちゃんは一人でちゃんと出来るのに…)

少女「え?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1354651714

姉「やっと起きたの?さっさと朝ごはん食べな」

少女「お姉ちゃんおはよ…」

(何でこんな奴の為に毎朝待たないといけないんだろ…もう一人で学校くらい行けるだろうが)

少女「…!」

姉「行って来まーす」

少女「行って来ます」

母「行ってらっしゃい」
(ふう、洗濯物干さないと…)

少女「…」

少女「…お姉ちゃん、ごめん」

姉「は?」
(いきなり何コイツ)

少女「その…毎朝待たせちゃって」

姉「別に遅刻しなきゃ良いんだし気にしてないよ」
(うっぜ…自覚してんなら改善しろよ…)

少女「……明日から、早く起きれる様に頑張るね」

ー学校着ー

姉「んじゃまた帰りに」
(面倒くせぇ)

少女「うん、じゃあ」

(あーあ、妹なんて要らなかったのになぁ)

少女「…」

ガラ…

少女「…おはよ」

クラスメイト1「あ、少女ちゃんおはよー!」
(あの子って暗いし気持ち悪いよね…)

クラスメイト2「おはよ!」
(いつも一人で居るけど楽しいのかな…)

少女「…」ガタ

(教室の空気重くなったし…最悪)

(出てってくんないかな…)

(学校辞めれば良いのに)

担任「出席取るぞー」

担任「………崎………川………少女」

少女「…はい」

(声ちっちゃ)

(聞こえねーぞ)

担任「………口……………はい、じゃあ皆一時間目の授業の準備しておく様に」
(アイツはもっと声出せないもんかねぇ…はぁ)

少女(やっと退屈な学校が終わった)

少女(お姉ちゃんと一緒に帰…)

クラスメイト1「少女ちゃん!」

少女「…?」

クラスメイト2「あのね、これ預かってたの!」

少女「手紙…?」

クラスメイト1「ふふふ、ラブレターだよー」

少女(『今日の放課後、体育倉庫に来てください』…)

クラスメイト2「お相手は会うまでのお楽しみ!」
(まあ偽物の手紙なんだけど)

クラスメイト1「もちろん行くよね!」
(嫌でも行かせるけどね)

少女「…」

少女(来たけど…まあ誰も居ないな)

少女(馬鹿馬鹿しい、何が楽しいんだか…早く家に)

ガチャン!!

少女「!?」

少女「…嘘、鍵閉められた?」

(クスクス…)

少女(あれから3時間は経った)

少女(もう日も暮れた)

少女(寒いし…お腹空いたなぁ)

少女(…)

少女(丁度良いや、家に帰ってもお母さんやお姉ちゃんの愚痴が聞こえるだろうし)

少女(一日食べないくらいじゃ死なない)

少女(思えば今日は、ずっと誰かの「声」が聞こえて落ち着かなかった)

少女(疲れたな…)

「…夫、大丈夫?」

少女「…」

保険医「ああ、やっと目が覚めたのね。良かった。あんな所で寝てたって言うからびっくりしたわ。担任の先生が運んでくれたのよ」
(朝からだるいなー…はぁ)

少女「あ…はい大丈夫です。じゃあ教室に戻ります」

保険医「もうちょっと休んで行ったら?」
(また倒れて運んで来られても面倒だし)

少女「…いえ、大丈夫ですから」

保険医「そう?無理しないでね」
(二度と来んな)

少女「…」

ガラ…

担任「おお、来たか」
(ちっ…)

(生きてたんだ)

(あのまま[ピーーー]ば良かったのに)

担任「体調はどうだ?授業受けられるか?」
(早退してくれねぇかな…)

少女「…大丈夫です」

「合掌!」

「いただきます!」

『いただきまーす』

少女(そう言えば夕飯と朝食食べてないんだ…)

クラスメイト1「あーお腹空いたー!おかず増やそっと」

タタッ

クラスメイト1「きゃっ」

ガシャン!!

少女「…」

クラスメイト1「少女ちゃんごめん!大丈夫?」
(昨日ご飯食べてないだろうし、お腹空いてるんだろうなぁ。ププッ)

少女「うん…気にしないで」

クラスメイト1「ホントにごめんねぇ、お詫びにピーマンあげる!」
(確かコイツピーマン嫌いだったよね)

少女「…」

少女(はぁ…)

少女「ただいま…」

姉「少女!」
(ちっ…生きてたのかよ)

母「良かった、無事だったのね!」
(くたばってれば良かったのに…)

少女「うん…」

母「すぐに夕飯にしましょう」
(あー面倒くさ…)

少女「ごちそうさま」

姉「ごちそうさまー」

母「少女、今日はゆっくり休みなさい」
(構うのも嫌だし…)

少女「うん…心配かけてごめんね」

母「良いのよ、少女が元気ならそれで」
(良い親を演じるのも辛いわ)

少女「おやすみなさい」

少女「…」

少女「私はどうやら誰にも必要とされていないらしい」

少女「それならお望み通り死んでやろう」

少女「大嫌いだったよ、皆」

少女「さよなら」














少女「…本当は、死にたくな
END

分かり辛くて悪いけど

少女はちゃんと
落ちてるよ

CONTINUE

少女「……」

少女「……」

少女「……」

少女「……えっ?」パチ

少女「あれ、私、落ちて、それで、ここ、病院?」

医者「ん?ああ、気が付いたか」
  (こんな子供が自殺か、嘆かわしい世の中だ)

母「よかった……!」
 (世間体が悪くなるわ……全く)

姉「本当に心配してたんだよ、少女!」
 (もう少し高い所から落ちろよ、2階で死ぬわけないじゃん)

少女「……ごめんなさい」

姉「いいんだよ、生きてるなら」
 (構われたいだけか?)

少女「……」

少女(死に損なったのか)

少女「私、どうなって……」

医者「複雑骨折。数週間は入院、今日明日は絶対安静だね」
  (最近の若い子は……)

少女「わかりました」

母(しばらくは世話が楽になるわ)

姉(ゆっくり出来るな)

少女(さっさと帰ればいいのに)

医者「それでは私は別の患者の様子を見に行くので。ごゆっくり」バタン
  (どうせ家族内でうまくいってないんだろ)

家族「……」

看護婦「面会時間は終わりですよー」
   (可哀そうに)

姉「はいはーい」
 (ようやく終わった、家でゲームするか)

母「それじゃ少女、またね」
  (いつになるかわからないけど)

バタン

看護婦「……自殺なんて」
    (いじめられてるのかな)

少女「すいません」

看護婦「何で謝るの、謝る位なら死ななきゃいいのに」
   (ちょっと厳しかったか)

少女「はい……」

看護婦「それじゃあ、もう寝てなさい」バタン

少女「……」

少女「やっぱり私は誰にも必要とされていないらしい」

少女「それならお望み通り、また死んでやろうか」

少女「大嫌いだったよ、皆」

少女「さよなら」














(……死にたくな )

少女「えっ?」

(死にたくない)

(生きたい)

(まだ死にたくない)

少女「……」

(生きたい)

少女「これは隣の病室か……」

(寂しい)

少女「上から……上の階?」

(死にたくない)

少女「これは何処からだろう?」

少女「……ああ」

少女「私のだ」

少女「……」

少女「……」

少女「死ねる、訳が、ないよ」グスグス

少女「あんなの、聞こえたら」ポロポロ

少女「でも、どうしたら……」ポロポロ

少女「うぅ……」

少女「……zzz」

少女「……朝か」

少女「枕すごく濡れてる」グッショリ

少女「また迷惑に思われるんだろうな……はぁ」

??(さっきからブツブツ気持ちわりーな)

少女「えっ?」

隣のベッド(全く、前まで俺一人の部屋だったのに)

少女「」

隣の患者(何で母さんは個室にしてくれなかったんだろ)

少女(個室じゃなかっただと……!?)

患者(あー、うざってぇ)

少女(しかも聞かれていただと……!?)

少女(死にたい)

(……死にたくない)

少女「それはもういいから!」

患者「うわっ!?」
  (何だあいつ、おかしいんじゃねえのか!?)

少女(しまった、死にたい)

(……死にたくない)

少女(何回繰り返すつもりなんだ私は)

少女「ごめんなさい、うるさくて」

患者「……」
  (全く気持ち悪い女と一緒になってしまった)

少女(どうせ表面だけ取り繕うんでしょ?)

少女(意味のない事を。正直になれば?)

患者の少年「それなら静かにしてろよ、気持ちわりーな」
     (それなら静かにしてろよ、気持ちわりーな)

少女「」

少女(正直になったらなったで嫌だった)

看護婦「朝ごはんの時間ですよー」カチャカチャ
   (眠いわー、昨日夜勤だったからなー)

少女「ありがとうございます」

少年「どうやったらあそこまで料理が不味くなるんだ?」
  (味が薄すぎるんだよ)

看護婦「仕方ないのよ……それじゃ配膳してと」
   (本当生意気な子……あら)

枕「」グッショリ

少女「……」

看護婦「そうか、後で替え持ってくるわ」
   (何があったのか……可哀そうに)

少女(……あれ?)

看護婦「それじゃ二人とも、食べ終わったらそのまま置いといて―」バタン

少女(迷惑がられなかった……?)

少女(まぁいい、食べよう)

少女「頂きます」

少年「頂きます」

少女「味薄っ!」モグモグ

少年「塩あるぜ」モグモグ
  (やらねーけど)

少女「よかったね」パクパク

少年「お、おう……チッ」
  (頼んで来たら断ってやるつもりだったのに、くそっ)

少女「……フフン」パクパク

少女(……さて)

少女(食事も終わって枕も代わった)

少女(隣の少年はゴロゴロしていて私は絶対安静)

少女(めちゃくちゃ暇だ、どうしよう)

少女「……」

(死にたくない)

(痛い)

(寂しい)

少女「うるさいなあ……」

少年「誰がだよ」
  (お前だよ)

少女「ごめんなさい」

少年「……ったく」
  (しばらくこいつと缶詰か、嫌になるわ)

少女「……」

少年「……」

少女「……」

少年「……」

少女「……」

少年「……」
  (静かになったらなったで落ち着かねぇ)

少女(だろうと思った)

悪いけど

書きためが尽きたのでいったん終了
純粋な男を期待してた人がいたようなので出してみたよ
少年だけど

しかし一度ENDな手前
sageた方がいいのかageた方がいいのかよくわからん

誰か教えてくれ

どっちでもいい

もうやめていいよこれ以上被害広げないようにな

おもしろいよ

>>56
それじゃしばらくランダムにするわ

>>57
悪いけどやめる気はないんだ
つか被害って一体なんぞ

>>58
うれしいよ

それじゃ少しだけだが行けるところまで続き投下するよ
今のままだとキリが悪すぎる

少年「……」

少女「……」

少年「……」

少女「……」

少年(暇だから何か考え事でもするか)

少女(勘弁してよ……)

少年(とはいえ殆どネタは尽きてる……点滴も見飽きたし)

少女(そっか、向こうも点滴なんだ)

少年(右足が治ったらどうするか考えよう……)

少年(まず、学校で思いっきりバスケをやって)

少年(ああ、大分鈍ってるだろうからまず練習だな)

少年(前みたいにドリブルして思いっきり駆け回るんだ)

少年(それからシュートの練習と……)

少年(……治るのかな)

少女「……」

少年(一生車椅子だったらどうしよう)

少年(いや、そんな事はあり得ないさ)

少年(だって先生も治るって言ったじゃないか)

少年(……どうなんだろう、本当なのかな)

少年(せめてハッキリ分かればいいのに)

少年(人の心が読めればいいのに)

少女「……っ!」

少女(いいわけがないじゃない!人の気も知らずに!)

少年(それにしてもどうしてバスケ部の連中は見舞いに来ないんだ)

少年(たまには顔を見せてくれたっていいじゃないか)

少年(僕がいなければ弱っちいヘボの集まりのくせに、さ)

少年(おかげで気味の悪い女と同室とはね)

少年(何か暗くなるんだよな、全く)

少年(もういいや、幸い今は静かだし)

少女「……」


少女(ちょっと同情しかけたら!)

少女(誰も見舞いに来ない理由がよーくわかった)

少女(……人の事は言えないんだけど、ね)

少女(……治るのかな?)

看護婦「それじゃ点滴変えますよー」ガチャ
   (あー、しんど)

少女「すいません……」
  (なぜだろう、助かった気がする)

少女(……その医者と同室したら)

少女(いや、私は何を考えてるんだろう)

人の腹の中が筒抜けってのも面倒なもんだよな、とキングゲイナーの某回を見てて思った。

いくら心の中でとは言え目の前の人間にいちいち悪意ある考えを持つ人間ばかりじゃないとは思うんだよなぁ…。
基本赤の他人には「>どうでもいい」がデフォじゃね?

普通死ぬほど痛いだろ
そんなこと考えられないくらい

胃の中身が見えて
お?こいつ今日カレー食べたな

とかそういう話かと思った

それじゃ行きますがその前にいくらか

>>66
それが出来るほど彼らは大人じゃないのね
(子供の頃って悪意と善意で分かれてなかった?)
家庭内が荒れてる理由はまた後ほどやるよ

>>68
幸いにして骨折したことが無いため、その辺は考えが甘かったかもしれない
鎮痛剤か何か打たれてると考えて頂けるとうれしい
衝動で書きはじめるもんじゃないね

>>72
ろくな食生活してない生徒の世話を焼きに行ったり
カニバリストと対決したりする話ですねわかります

……読みたい!誰か書いてくれ!



それじゃ始めるよ

少年「……」

少女「……」

少年(暇だ。つーか痛い)

少女(時間の感覚がなくなった)

少年(誰か来ないかな)

少女(この体勢だと時計が見えない)

少年(この際、俺じゃなくて隣の妙な子でもいいんだが)

少女(というか天井が見えない。こういう時は)ホワンホワン


(痛い)

(生きたい)

(またナースコール?)

(あっ……まあいいや)


少女(おい最後ちょっと待てや)


少女(最近慣れて来たのか「誰かの声」が聞こえる範囲を広げられるようになった)

少女(聞きたくもないし、狭められたほうが嬉しいんだけど)

少女(まあいい。時間の事考えてる人は一人もいなかったか……)

??(げっ、面会時間あと30分で終了!?あの先生SHR長すぎるっつーの!)

少女(しょーとほーむるーむ……?まあそれはいいとして)

少女(もうそんな時間か。じゃ、範囲を狭め……)

??(この辺だっけ。それにしても、会って何言えばいいんだろう)

少女(あれ、結構近い?)

??(毎回この扉の前で立ってしばらくして帰っちゃうんだよな……あれ、人増えてる)

??(……「少女」、さん?)

少女()

少年(あー、人来ないかなー)

??(そうか、女の子と同室なのか)

??(いやそれはどうでもいい。どうでもいいんだけどさ)

??(今度こそ扉を叩く!開ける!見舞う!)

??(……で、それから何を言えばいい?)

??(邪魔だったらどうする?あるいは寝ていたりとか)

??(……うー)

少女(放っておいたら帰っていくな、あの人)

少女(それも散々ドアの前で悩んでから)


少女「……あの」

少年「もしかして俺?」
  (独り言か?まあ暇は潰れるからいいや)

少女「そうですよ。……その、ドアの前に人が」

少年「ほう」(ほう)

少女「多分あなたの見舞客だと」

少年「ふーん。そこからだと外見えるのか」
  (イヤッッホォォォオオォオウ!   ガタン)

少女(そういう事にしておこう。天井以外見えないけど……がたん?)

少女「呼んでは?」

少年(あ、そうか)

少女(そうかじゃないでしょ)

??「……」

少年「コホン。どうぞー」

??(気付かれたァー!?どうする、どうする私!?)

少女(入ってくればいいのに)

??(入るか、入るぞ、頑張れ私、というか心の準備がですね)

??(いや、私はあくまでもついでの用事で来たんだ。……よし、行くぞ)

少年「……本当にいるのか?」
  (見間違いだったんじゃ……喜んで損した)

少女「いや、今入ろうとしてますよ」

??(いち、に、さん……よし、行くぞ)

見舞客の少女(以下見舞)「お邪魔します……」カチャ

少年「なんだ、お前か」
  (やべえ学校の奴に会うの久々すぎて涙出そう)

見舞「残念でした。私だって来たくて来たんじゃないし」
  (うわ、足ぐるぐる巻きじゃん。痛そう)

少年「別に来てくれって頼んだわけじゃないが」
  (何でもいいけど)

見舞「こっちには他に用事があるんですよーだ」
  (だって放っておいたら一人っぽいし)

少女(……人の心なんて、わからないな)

見舞「……どうせ誰も他に来てないんでしょ?」
  (実際誰も来なさそうだよね……この性格だし)

少年(相変わらず痛い所ついてきやがる)

少年「残念、他にもたくさん来てるし。一人の時間が欲しいくらいだ」

見舞「……そう」
  (悪い事しちゃったかな?)

少年(あれ、言い返して来ないな)

少女(いきなりすれ違っちゃったよこの人たち!)

見舞「他にも来てるんだ?」(嘘だろ……?)

少年「お、おう。……結構女の子とか」
  (俺は一体何の見栄を張っているんだろう)

少女(「声」が聞こえなくても分かるレベルの嘘だ……)

見舞「ふーん。まあ、どうでもいいけど」
  (意外過ぎる……まあどうでもいいんだけどね、どうでも)

少女(お姉さん、意外と騙されやすい……?)

見舞「それはさておき、具合はどうなの」

少年「特にどうという事も。寝て暮らせてらくちん」
  (コイツに言ってもな……愚痴って何か変わる訳でもなし)

見舞(間違いなく強がってるな。色々と大変だろうに)

見舞「……事故、大変だったね。本当」

少女(そっちは見抜けるんだ)

少年「別に大変って訳でも。確かに暇ではあるが」

見舞(せめて、何か力になれるならばいいのだけれど)

見舞「そう。自分のつまんない人生と向き直ってみれば?」
  (私は何を言っているんだ!そうじゃなくて!)

少年「……本当、嫌味な奴」

見舞(皮肉抜きで力になれないか聞くんだ私!)

少年「……何か?」

見舞「それが嫌なら、何か持ってきてあげない事もないけど?」
  (言えた!でも何かが違う!)

少女(がんばれお姉さん)

少年「いいや、別にいいよ。何も思いつかないし」

見舞「……そう、ごめんね」
  (そう簡単に出来る事は無いよね)

少年「それより、学校では様子どうなってる?」
  (何で謝るんだろう)

見舞「ああ、体育祭前だからみんな浮き足立ってる」

少年「そっか。ちなみにバスケ部の連中はどうしてる?」

見舞「あまり調子は出ていないみたい」
  (かなり調子いいけど黙っておこう)

少年「だろうね」
  (俺がいないしな)

少年(出たかったなー、体育祭)

見舞(この話題はまずかったか?)

見舞(一体、どうすればいいんだろうか)

見舞「……あー、これ、食べる?よかったら」ゴソゴソ

少年「……何故ハイレモン?」(好きだけど)

見舞「安かったから、よ」
(前大量に買ってたの見たけど、どうなんだろ)

少年「ふーん。まあ貰っておくけど」パク

見舞「……そういえば、あの○○先生が結婚したってさ」

少年「マジで!?」

見舞「うんうん、それがまさかの」ペラペラ

少年「――!? ――……」ペラペラ





看護婦「もう面会時間は終わりですよー」

三人(もうそんな時間か)

見舞(迷惑だったら困るし、誰にも気づかれないようにしてやって来たが)

見舞「……それじゃ、また」バタン
  (少しは気晴らしになれたろうか)

少年「あー、ちょっと待ってくれ」

見舞「?」

少年「また、今度来てくれないか?」

見舞「……」

見舞「わかった。課題持ってくるね」バタン
  (……よかった)

少年「それは置いて来い……ってもう行ったのか」

少年(帰ってしまったか)

少年(……えらく、静かな病室だ)

少女(……幸せな人だ)

少女(あれ程、自分の事を考えてくれる人がいるんだから)

少女(あんな、理解してくれようとする人が)

少女(……私にはいるんだろうか、いなかったな)

少女(……)

少女(あのお姉さんにはいるんだろうか?)

少女(少なくとも、お兄さんは気付いてないわけだけど……)

少女(……)


少年「……」

少女「……」

看護婦(あらあら、今日は二人とも大人しくなったのね)

ここまで。それではまた来週あたりに!

ちょっとだけ追記
別にハイレモンのステマじゃないよ!

遅くなって申し訳ない
それでは投下します

少女「……」

少年(そろそろ回診が来る頃合いかな)

医者「失礼するよ」ガチャ
  (ああ、大人しくしてるな)

少女「……どうも」

医者「調子はどうかな」

少女「普通です……痛いけど。あと暇です」

医者「それは我慢しないと」
  (それなら飛び降りなんかやらなきゃいいのに)

少女「……」

医者「とりあえず。明日あたりでは大体動いてもいいよ」
  (まあ、もう大丈夫だろう)

少女「本当ですか!」

医者「ああ。ただし、歩き回るのはもう少し先だけれど」
  (また死のうとされても困るし)

少女「……まあ、上半身を起こせるだけでもありがたいです」

医者「その調子。それじゃあ、後はナースに聞いてくれ」バタン
  (さっさと次行かないと)

少女「……はい」

看護婦「お邪魔しまーす」ガチャ

少女「……どうも」

看護婦「えーと、先生から話は聞いたんだよね?」

少女「はい」

看護婦「じゃあ話は早い。とにかく、かくかくしかじかって事だから」
   (様子はどうかな、と)

少女(……もう一度言うために来たのかな?)

看護婦「……という訳で。ご家族の方にもお見舞いの時に説明するけど」
   (さて、どうするか)

少女「……来ないと思います、しばらく」

看護婦「どうして?」
   (何か聞き出せるか?……よし、何気なく聞けた)

少女「……」

少女(なるほど)

少女(つまり、何か探ってみようという事だ)

少女(あえて乗って、話してみるのも悪くないかもしれない)

少女(……とはいえ、大丈夫なのかな)

看護婦「……いや、言いたくないなら構わないんだけどね?」
   (時期尚早すぎたか)

少女「いや、言いたくないって訳では……」
  (しかし、何のためなのか)

看護婦「?」


少女「単にどうして聞かれたのかなって」
  (……これで何を考え、何を答える?)

看護婦「何でって聞かれても……」
   (自殺未遂の子だっていうのに、放置出来る訳がないじゃない)

看護婦「そりゃ、家族が来ないと思う、なんて聞かれたら不思議に思わない?」
   (この子の学校では事故って事になったらしいけど、あの先生が間違える訳がない)

少女「……」
  (事故にされてたのか)

看護婦(ああ、何で聞いたのかってのはこの質問だけじゃないのね)

看護婦(多分探られてるって気づいたんでしょう……それなら言ってしまおう)

看護婦「もしよければ聞かせてもらえないかなって思ったの……気が向いた時でいいから」
   (味方がいるって事だけでも示したい)

看護婦「ほら、あまり関係の深くない方が相談しやすいって事もあるでしょ?」

看護婦「どうかな?」
   (どうかな?)

少女(下心はなさそうか)

少女(それなら言ってしまおうか?)

少女「あー……」

少女(しまった、これ何から話せばいいんだろう)

少女(とりあえず、心の声が聞こえる事は伏せておこう)

少女「……全く必要とされてないと思うんです」

看護婦「そうなの?」
   (まずは否定しないでおこう)

少女「お母さんもお姉ちゃんも、私の事を嫌っていて」

看護婦「……」

少女「私が何もできないから。単にそれだけです」

看護婦(って、お父さんはどうしたんだろう)

少女「あ、お父さんはずっと家に居ません」
  (忘れてた)

看護婦(そうだったのか)

看護婦「……どうして必要とされてないって思ったの?」
   (まず理由を聞くんだっけ?心理学ちゃんと聞いとけばよかった)

少女「態度は普通なんですけど、その、何か、その……」

看護婦「……ああ。何となく分かるわ」
  (投影……?)

少女(投影ってなんだろう)

少女「……どう、思いますか?」

看護婦「……中々に難しいのだけれど」
   (答えを求めてきているのか)

少女「……」

看護婦「やっぱり、傍から見てもよくわからないからね、でも」

看護婦「それは家族の人……というかお姉さんとかも同じなんじゃないかな?」
   (少なくともお姉さんの方は母親が妹を大事にしてるって思ってるんでしょうね)

少女「どういう意味ですか?」

看護婦「みんなね、自分は愛されてないって思いがちなの」
   (上の子は下の子に妬きがちな事が多いし)

少女「……そうなんですか」

少女(よくわからないな)

少女(この人は分かっているんだろうか?)

看護婦「……」
   (こればっかりは、何か言ってすぐどうにかなるものでもないし)

少女「……」

看護婦(後から、自分で何とかやっていくしかないからなあ)

看護婦(……ひとまず、劣等感をどうにかすればいいんだろうか?)

少女(……?)

看護婦(でも一朝一夕に出来るもんじゃないし……やばっ、時間が)

看護婦「後は、そうね、一つだけ」

少女「……はい」

看護婦「もう少し、自信を持ってごらん?」

少女「……?」

看護婦(時間が立たないとどうしようもない事だけど)

看護婦「多分、貴方が思っているよりは必要とされてると思うわ」

少女「……そうですか?」

看護婦「ええ。病院内での態度もいいし、それなら学校でもそうなんじゃない?」
   (あくまで推測だけど)

少女「……」

看護婦「それに、隣の子だって少し機嫌がよくなってるみたいだしね」
   (多分)

少女「……そう、ですか。ありがとうございます」

看護婦(誇張したのはまずかったかな)

看護婦「それじゃ、私はもう行かないと」

看護婦「ごめんね、こんなことしか言えなくて」

少女「……いえいえ」

看護婦「……そう。また、何かあったら聞かせて頂戴」

看護婦「それじゃ、メリークリスマス」バタン

少女「……それでは」

少女「……」

少女(もう寝ようか)

少女(……思ってる以上に必要とされている、か)

少女(そんな事は無かったよ、看護婦さん)

少女(私には聞こえているんだから)

少女(誰も私なんか要らないって思ってたんだよ)

少女(……)

少女(でも、私には)

少女(人が何を必要としているのかは、分かるのかもしれない……)

今日はここまで

申し訳ないがしばらく多忙のため
投下がまばらになるか投下の量が減るか
その二つが同時に起こるかすると思われる

希望があれば書いていただけると参考にするかもしれない

それではメリークリスマス

クリスマスってなに?美味しいの?

少女は何かの欠片を、掴めそうなのか?

クリスマスは涙の味さ

あけましておめでとう
遅くなりましたが始めるよ

>>119>>121
何だか申し訳ない事をしてしまったようでごめんなさい
>>120
まったり掴ませていきたいと思っております

少女(上体を起こせるようになった数日後)


少女(午前中は何もなかったんだけど)


少女「……」


少女(この人たちが来るとはね)


母「……」
 (本当に手間ばかりかかるんだから)


姉「……」
 (何でこいつばっかり)


少女(……空気が重い)

看護婦「……と、いう訳で。現在そういう状況です」
   (何この雰囲気)

看護婦「もうしばらくの入院となりますね」

母「そうですか。いつもお世話になっております」

看護婦「いえいえ」

姉(帰りたい……私は毎回まじめにやってるのにさ)

看護婦「それでは、また何かあったらご遠慮なく」バタン

少女「……」

姉「……」

母「……」

母「調子はどう?痛む?」
 (せめて今くらいは優しくしとかないと)

少女「ちょっとだけ。大体大丈夫」

少女(まあ痛いけど、そう言った所で……)

姉「早くよくなるんだよ、待ってるんだからね」
 (礼の一言もなしですか、そうですか)

少女「……ありがとう。ごめんね、手間かけて」

姉「いいんだよ、そんなこと」
 (本当にそう思ってるの?)

少女「……」

母「……そうそう、これ少女に」ガサゴソ
 (何であんな男の物を娘に……本当嫌だわ)

娘達「?」

母「はい。お父さんから見舞品だってさ。よかったね」
 (捨てる訳にもいかないしね)

少女「ありがとう……本とカード?」

姉「よかったね、少女!」
 (あの親父が何送ったんだろ?)

少女「うん……ありがと」ガサゴソ
  (捨てるって……気持ちはわかるけどさあ)


 少女へ

 休みがようやく取れた。入院したと聞いたが大丈夫か?
 暇潰しにこれを贈る。世話になってる友人の自費出版だ。
 なんでも「小説と仕掛け絵本の中間」なんだそうだ。
 ドストエフスキーとかアリストファネスと迷ったんだが、
(なんせ少女は歴史好きだろ?悪くないと思うんけどなあ)
 悔しくも母さんの許しが出そうになかったんでこれになった。
 な訳で、この本を贈る事に決定。楽しんでくれれば嬉しい。
 レシートが挟まっていたらすまん。あまり気にしないでくれ。
 ……それでは、お大事に。早い回復を祈っている。

                           父より』

少女(……相変わらず変なお父さんだな)

少女「アリストファネスって誰?」

姉「世界史で聞いたことあるな。女性作家だっけ?」

母「そう、ギリシャの喜劇作家よ」
 (全く、娘になんてものを読ませようとするのかしら)

姉「ああ、そうだった」
 (確か透ける服着て街道を歩いたら平和になるんだっけ?何贈ろうとしたんだ親父)

姉(どうしようもないよな。大体ずっと私達なんぞ気にもかけていなかった癖に)

少女「……そ、そうなんだ」

少女(お父さん、帰ってこないと思ったら何を考えてるんだろう?)

少女「……というか、レシート?」

姉(レシート?またあの親父は何か企んでるのか?)

母(一応捨てといたけど、意味があったのかしら?気味の悪い)

少女「……っ」

少女「挟まってたの?」

母「さぁ……?まあ気にするなって言ってるならいいんじゃない?」
 (これ以上人の娘に何の影響を与えようっていうのかしら)

少女「……」

姉「……と、いうかそろそろ……」
 (しかし辛気臭いな……早めに行こうか)

姉「ごめんね、お姉ちゃんそろそろ塾に行かないと」

母「そうね、お暇するとしましょうか」

少女「うん。ありがとう、来てくれて」

姉母「それじゃ。また来るね」バタン

少女「……」

少女「……はぁ」

少女「……読んでみるか」

少女「全部で十章か……」

少女(ほのぼのとした表紙だな……)

少女(でもあのお父さんがそんな本贈ってくるかな?)

『目次


第一章  ある少年少女の話


第二章  雪と荒野の四十日


第三章  岩となった釣り人



第八章  憂鬱なる長期休暇


第九章  ニワトリの鳴く夜


第九章  紛い物は悪ですか


第十章  ある幼子の生誕劇

              』

少女「……ですよねー」

少女(でもまあ、わりと穏やかな話っぽい)パラパラ

少女(いわゆる「ボーイミーツガール」に相当するのかな?)

少女(……ふむふむ、一章につき一ページ、仕掛け付きの挿絵があるという訳か)ペラペラ

少女(確かに仕掛け絵本と小説の中間っぽい)

少女(あ、この女の子の服可愛い。昔のヨーロッパの服っぽい?)




少女(……って)パラパラ

少女(これは一気に読んだら後が退屈になる予感!) ピタッ

少女(一日に読むのは半章にしておこう、そうしよう)


少女(でも、初日だしちょっと読んでみてから……)


少女「ぐぬぬぬぬ……!」


少年「さっきから何やってるんだ?」
  (本貰ったのか、いいなー)


少女「何でもないです、すみません……」









                                      カード「」ピラッ



今回の前編はこれにて終了
そして、また申し訳ないのですが多分1月中は来れません
少なくとも下旬までは無理っす
(というか2月も来れるかどうか)

そんな訳でしばらく休止となりますが、鷹揚に楽しんでいただければ幸いです

そして>>131訂正

×
第八章  憂鬱なる長期休暇


第九章  ニワトリの鳴く夜


第九章  紛い物は悪ですか


第十章  ある幼子の生誕劇



第七章  憂鬱なる長期休暇


第八章  ニワトリの鳴く夜


第九章  紛い物は悪ですか


第十章  ある幼子の生誕劇


正直各章タイトルはあまり重要じゃないです
全部8文字にしようとしたらこうなりました


それでは皆さままた来月

随分遅くなりましたが、出来た所まででも投下
これからペースを戻していきたい所存……

少年「……」

少女「……」ペラ

少女「……ふむ」

少女「……」ペラ

少女(ほう)パラ

少女(しかしこの男、都会的とか洗練されたとか書いてあるけど)

少女(チャラいようにしか思えないな。まぁ主人公じゃないし別にいいんだけど)ペラ

少女(……って気付いたら5章じゃないか!)

少女(つい読み進めてしまった)

少女(思わず一気読みしてしまったがここらで止めねば)

少女(いや、あと2ページだけ……今98ページだし)

少女(ってそれをやったらまたキリが悪くなるじゃないか!内容の!)

少女(よし、もうページは捲らない!)

少女(……ここで閉じる!)

少女(いや、その前に何か挟むものがいるな)ゴソゴソ

少女(お父さんのカード……これでいいや)パタン

少女「……」

少女「……」

少年「……」

少女「……」

少女「……」

少女「……」

少女(……一気に暇になった)

少女(もう少し読んでみようか?)

少女(だめ、読み終えたらさらにやることが無くなる)

少女(今日の分はもう終わり!)

少女「……」

少女(……やる事がない)

少女(どうしたものか)

少女(……)

少女(……うー)

少女(何をすればいいんだろう)

少女(現時点の情報で続きでも予想してみようか?)

少女(……多分マリア像の裏に「亜麻色の髪の女の子」がいるのは確定だろうけど)

少女(それでどうなるんだろう?)

少女(余計気になってきた。こりゃ駄目だ)

少女(何か別の事を……)

少女(でも他に意識を向ける物もないし……って)

見舞(……よし入るぞよし入るぞ落ち着けノックするんだ)

少女(また来ていたのかあなたは)

見舞(ノックして入るだけじゃないかそれだけじゃないか)

少女(またやってるのか)

見舞(前もやれた今度も出来る、よし入るぞ頑張れ私超頑張れ)

少女「……」

見舞(よし行こういやちょっと待て心の準備が)

少女(いっそ呼びかけてみるかな?)

見舞(くそ、なんでドア一枚がこんなに分厚く見えるんだ、嗚呼どうするか)

少女「どうぞー」

見舞「のわっ!?」ボコーンゴロゴロ

少年「何事!?」ビクッ

少女(何持ってたの!?)

見舞(足の上に落とした……もういいやバレたし入ろう、よーし)

少女(最初からそうすればいいのに)

少女(というか他にどうするつもりだったんだろう)

少年(何が起こってるんだ一体?つーか何の音?)

見舞「……お邪魔しまーす」ガラッ

少年(あー、こいつか!)

少年「……」

少年「なんだ、お前か」

見舞「何だとは何よ、悪かったね私で」ツカツカ
  (何でこーなるんだろうな……)

少女(つくづく不思議な人たちだ)

少年「で、一体何を抱えているんだ?」

見舞「ああ。お茶」ドサッ

少年「そりゃ見りゃわかるさ」

見舞(なら何で聞いたの)
少女(じゃあ何故聞いた)

少年「……いや、何で2リットルのお茶大量に抱えてんのかなー、と」
  (今コイツの目が「何故聞いた」と言ってた気がした、間違いない)

少女(確かに間違ってないね)

見舞「ああ、そういう事か」

見舞(どう説明するかなあ)

見舞「……貰った」

少年「えっ」

少年「……誰に?」

見舞「知らない人 」

少年(それはマズいんじゃないか)

少女(知らない人から物をもらっちゃいけませんって先生が言ってたような)

見舞「……あ、いや、そういうのじゃなくてね!?アレなのよ、そう!」

少年少女(どれだよ)

見舞「その、お茶でもどうですかって言ってきたから」

少年「あー、それって(ナンパじゃね?)」

見舞「何か断りづらい状態になってたの!遠慮するなって言ってたし!」

少年(その状態からコンビニでペットボトルを買わせたのか……?)

少年「ちょっと整理していいか?」

見舞「どうぞ」

少年「まず、お茶でもどうですかと言われたんだな?」

見舞「うん、そうよ」

少年「で、遠慮するなと言われたんだな?」

見舞「ええ」

少年「……で、2Lペットボトル数本を貰ってきた、と」

見舞「何か不思議な所でも?」

少年「むしろ不思議しかねーよ」

見舞「?」

少年「じゃあ聞くが、お前なんで話しかけられたと思ってるんだ」

見舞(ナンパ以外の何物でも無かったなー、でも認めるのも何だかなー)

見舞「お茶の販促、とか?」

少年「……あー」
  (何こいつ純粋すぎて怖い)

見舞「にしても親切な人もいたもんだよね、何がしたかったんだろう」
  (じゃあコンビニのお茶、ってなった時のにーちゃんの顔面白かったな)

少年「……もう、お前はそれでいいよ、うん」
  (こいつ大丈夫なのかな、これで)


少女(お姉さん、意外と腹黒なんですね……)

少女(というかお兄さん、多分自分の心配をした方がよさそうな)

少年(同情すら覚えるよ、そのナンパ野郎には)

少年「で、そのお茶を一体どうするつもりなんだ?」

見舞「飲む?一応紙コップもあるけど」

少年「それも買わせたのか」

見舞「見くびらないで、自分で買ったんだから。申し訳ないでしょ」

少年(コンビニに行く所から申し訳ないと思うが)

少女(見くびる事になる……の……?)

少年「じゃなくて、全部飲むつもりなのかって事だよ」

見舞「……確かに多いね」

全員「……」

少年「で、どうする」

見舞「……お裾分け?」

少年「誰に」

見舞「……えーと」

見舞(隣のベッドに女の子がいたっけ)

少年(そういやこの病室もう一人いたな、影が薄いからすっかり忘れてた)

二人(話しかけてみるか……?今更だけど)

少女(えっ)

少女(というかお兄さん何気なく酷くないですか)

少年「……隣のベッドの子、とか?」ヒソ
  (雰囲気が暗いしなんか嫌なんだけど)

見舞「そうね、そうしてみる?」ボソ
  (まあある意味いい機会、かな?)

少年「でも何と……話しかけ……れ……」ボソボソ
  (でも何と話しかければ?口聞いた事もないし)

見舞「今……考え……」ヒソヒソ
  (自分でも考えてよ、つーか顔が近いのだがこれ無意識なんだろうな全く)

少女(もはや声より心の声の方がよく聞こえる)

少女(しかし話題が多分私の事であろうと考えると微妙な気分だ)

少年「……行って……話……」
  (大体俺まだ立ち歩けないんだからお前行ってきてくれよー)

見舞「だから……言葉……」
  (確か「少女」さんだっけ?「姉」先輩の家族なのかな?)

少女(えっ?)

少年(いやナンパになりかねないな、うん)ヒソ

見舞(しかし普段お世話になってるからなー、姉先輩)ボソ

少年(……)←何も考えていない瞬間

見舞(むしろ話しかけるべきか、でもあのカッコいい先輩のなー)

見舞(人違いかもしれないけど、まあいいややってみよう!)

少女(……えっ!?)

少女(お姉ちゃん、学校でどんな生活なの……?)
少年「……、……?」ヒソヒソ
  (普通にお茶でもどうですか、でいいんじゃないかな)

見舞「…、……」ボソボソ
  (そこまで多い名字じゃないしな、珍しくはないけど)

少女(完全に心の声しか聞こえなくなった)

少年「……!」ボソッ

見舞「……決まり……よし!」

少女(ようやく区切りがついたか)

見舞「……失礼します、開けてもいいかな?」

少女「どうぞ」

見舞「初めまして。かくかくしかじかな状態なのだけれど」

少女「……はい」
  (随分まとまった説明だな、聞こえてたから別にいいけど)

見舞「もしよかったらお茶、貰ってくれないかな?嫌なら構わないんだけど」
  (さて、いつ聞くか……)

少女「あ、はい、頂きます」
  (もうこっちから切り出そうか、この人この状態から大分かかりそうだし)

少女「……あの、その制服、○○校のですよね?」

見舞「あら、何でわかったの?」

少女「……お姉ちゃんがそこの学校で」

見舞(わぁ先をこされた!まあ結果オーライか!)

見舞「もしかして姉先輩って人?」

少女「あ、そうです」

見舞「やっぱり。先輩にはお世話になっております」

少女「そうですか……」

少年「おーい、もう注いだぞー」

見舞「あ、はいはい」
  (テーブルを間にして、これでよし)

少女「……えーと、初めまして?」
  (何だこの空気)

少年「お久しぶり……じゃないよな」
  (完全に間違いだな、まあ受ければいいや)

見舞「それは違う」
少女「違うと思います」

三人「……」プ
  (((ハモッたな)))

少女(何かよくわからない経緯で喋る事になったし)

少女(年上しかいなくて緊張感も凄いけれど)

少女(まぁ、楽しんでみよう……)

少女(お姉ちゃんの事も気になるしね)

見舞「それでは……乾杯?」

少年「かんぱーい」

少女「……乾杯!」


                      ガヤガヤ……

今日の分はこれで終了
何故か打ち切り臭がする気もするけど普通に続きます

それではまたしばらく後に。

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とりあえず貼っとくな

>>177
そのルール6月からだったのか、ずっと前からそうなんだと思ってましたありがとうございます

それじゃ投下開始します

少女「……」

少年「……」

見舞「……えーっと」
  (何か言わないと)

見舞「初めまして、『見舞』です」
  (まずは自己紹介、かな?)

見舞「○○校1年、庶務です。お姉さんには時々お世話になってます、よろしく」
  (本当頼りになるよね、羨ましいなあ)

少女「そうですか、よろしくお願いします……」
  (……そうなのかな)

少年「ちなみに怒らせると恐ろしい事になるぞ、この姉ちゃんは」

見舞「黙りなさい、ほらさっさと自己紹介」

少年「黙って自己紹介は無理があると思うんだけどな」

少年「で、何から言えばいいかな、うーん」
  (正直「姉」先輩の事は生徒会長候補ってことくらいしか知らん)

少年「同じく○○校1年『少年』、バスケ部所属。で」
  (後は適当に冗談混ぜて終わるか)

少年「現在フリー、好みは[禁則事項です]とかかな」

見舞「死にさらせ」ガッシボカッ
  (年下の女の子相手に何言ってんのこのクソ野郎)

少年「痛い、やめ……やめてくれ、悪かった、から!」
  (俺一応病人なんだけどな!俺入院患者なんだけどな!)

少女「……?その……なんですか?」
  (とてつもなく下品な単語だったらしい……?)

少年「いや、わからなくていいんだ、すまなかった」
  (痛ぇ)

見舞「本当にね」
  (最低だわ)

見舞「……」チラ

少年「……」チラ

少女「……えーと」
  (次は私の番だよね)

見舞(頑張れー)

少年(力抜けばいいのに)

少女「……○○附属小3年、『少女』……です」

少女「……あ、あと、図書部員やってます、よろしくお願いします」

少女「……」

少女(これでいいのかな)

少女(なんか緊張する)

見舞少年「……」

少女(……何思われるんだろ)

少年「へぇ、附属小だったのか!」

見舞「ある意味後輩だったのね」

少女「あ、はい……」
  (意外と好意的だった)

少年「一回行った事あるぜ、あそこトイレ小さいだろ?」

少女「……そうですか?」

見舞「何で知ってんの?」
  (コメントする場所がおかしいような)

少年「いや、ちょっと催してだな」

少女「たまに中高の制服の人が来るのは見かけますけど……」

見舞「ふーん」

少女(まぁ、うまくいった、のかな?)

見舞「そうかー、私たち中高からの編入だからなー、ちょっと羨ましい」
  (一回あそこの制服着てみたかったなー)

少年「別にどこの小学校でも大して変わらないんじゃねーの?」
  (いきなり羨ましいとか言われても対応に困ってるじゃないか)

少女(なんか気をつかわれた)

見舞「制服がかわいい、それに尽きる」
  (違いの分からない奴だなー)

少年「えー、小学校の間くらい自由に服着たくねーの?」

少女「それはお姉ちゃんも言ってたな……自分はその分楽だったって」

少年「ん? あれ、お姉さんも制服じゃなかったのか?」

見舞(ん、この子だけ小学校からって事?)

少女「あ、お姉ちゃんは中学校からなんです」

少女「……」

少女(珍しい事なのか……)

見舞(お姉さんは編入組でこの子は小学校組か、よくわかんないな)

少年(どういう事情だ……? まぁいいか、下手に突っ込んで面倒になるのも嫌だし)

少年「で、附属小って他と何か違うのか? よく知らないんだよ」
  (話題変えよう)

少女「あまり他を知らないので……あ、計算ドリルは計ドって略してます」
  (お姉ちゃんが共通なんだって驚いてたな、そういえば)

少年「あ、それはうちもそうだったわ」
  (懐かしいなおい、聞くの何年ぶりだっけ?)

見舞「懐かしい……うちもそれはあった」
  (漢ドとかやらされたなー)

少女(そういえばしばらく開いてないな)

少年「そういえばさ、そっちって『アホが見ーる、豚のケーツ』っての流行ったりするか?」
  (小学校組がだいぶ前に言ってたな)

少女「一時流行ったけどすぐ廃れました」

少年「そうなのかー、変なの」
  (やっぱりちょっと違う所は違うのかね)

少女(そんな所に差が……?)

見舞「多分忘れた頃に復活するんじゃない、うちもそうだったし」
  (不意打ちなのよね……)

少年「マジ!? そっちにもあんの?」
  (嘘だろ!?)

見舞「あったあった」
  (こいつの所はなかったんだ、意外だなー)

少年「俺のところが少数派なのか……?」

見舞「後、歌い方がおかしい。正しくは『アホ~が見~る~♪ 豚のケ~ツ~♪』」

少年「どう違うんだよ!?『アホーが見ーる♪ 豚のケーツ♪』だろ?」

少女「リズム感とか……」

見舞「揺れが足りない!」

見舞(はっ、私は一体何を言っているんだろう)

少年「細かいなあんたら……『男子ちゃんと歌ってよー!』じゃないんだからさ」
  (話題を変えよう、早急に)

少女「ああ、いますねそういう人」
  (クラスメイト2さんとか……あの人たちどうしてるんだろうな)

見舞「それは中学でもいるよ」
  (恥ずかしくなってきた)

少女「……そういえば、皆さんの小学校にも白い箱ありました?」
  (話題変えよう、うん)

見舞「白い箱?」

少女「あの、小さい小屋みたいなの、何て名前だったっけ……温度計が中にですね」

少年「ああ、百葉箱か! 俺のとこにもあった」
  (最後まで使わなかったなー)

見舞「あれかー、私の所のは温度計が無かった」
  (何だったんだろう)

少年少女「えっ」

見舞「多分飾りだったんじゃないかな。そういえばさ……」









見舞「で、『何時何分何秒地球が何回回った時?』ってあったよね」ケラケラ

少女「今でもしょっちゅうですよ」クスクス

少年「あったあった」ゲラゲラ

看護婦「面会時間終了ですよー……随分盛り上がってるのね」
   (随分楽しそうにしてるわね、珍しいわ)

少年「もうそんな時間か」
  (随分はやく経ったな)

見舞「わかりました。えーと、くっつけてた机を戻して、と……ん?」コロン
  (後はパイプ椅子を壁に着けてゴミを捨てればいいか)

看護婦(隣同士だと便利ね……あら、ペン?)

少年「どうした?」

少女(ペン?)

見舞「いや、机の下にペンが落ちてた……誰の?」スッ

少女「……!」

少年「俺のじゃないな」
  (なんかピンク色だし)

少女「お姉ちゃんのだ……この前来た時に置き忘れて行ったんです、たぶん」

少年「見舞が持って行って渡すか?明日から連休だけど」
  (そういえば前に来てたな)

見舞「そうだね、一応メールしておいたら?」

少女「ここは電波飛ばしたら駄目なんです」

見舞「あー……どうするかな」

少年「もうさ、後で連絡して取りに来る用に言えばいいんじゃねえの?」
  (見舞いにくる口実にもなるだろ)

少女(!?)

少女「えっ、その……」

見舞「ああ、その方が早いか! じゃあメールして来るよ」タタッ バタン

少女「……」

少年(いい事をした後は気分がいいなあ)

少女( こ の 野 郎 )

少年「……」

少女「……」
  (気まずい。看護婦さんもさっき出て行っちゃったし)

少年「……」
  (やべえ、アイツ居ないと間が持たない)

少年「あ、そうだ」
  (そういえば頼みたい事あるんだった、駄目元でやってみるか)

少女「?」

少年「前何か本貰ってただろ?」
  (借りれないか、とどう譲歩するか……)

少女「ああ、はい……」
  (先が読める会話だ……どうしたらいいかな)

少年「良ければ貸してくれないか?読み終わってからでいいから、その」
  (とにかく暇なんだよな)

少女(……わたしとしては、長持ちさせたいところか)

少女「……一度で読み切らないように、一章一日で読んでるんですよ、今」

少年(先が読めないな、というか実行できるのかそれ)

少女(痛い所を突いてくる……!)

少女「一日おきに返してもらえるなら、その……えーと」

少年「……ああ、かわりばんこに読む、と!」

少女「あ、はい、そういう事です」

少年「んじゃ、俺も一日一章で読むか。どこまで読んでる?」
  (ネタバレしちゃ悪いしな……)

少女「5章までです」

少年「……貰ったの一昨日じゃなかったか?」
  (やっぱり守れてないじゃん)

少女「……」

少年(あ、言い返して来ない、悪い事したかな)

少女(言い返すべきだったの?)

少年「あー、とりあえず貸してくれるか?」
  (面倒だな……まあ仕方ないか、小学生だし)

少女「あ、構わないです……どうぞ」

少年「ありがとうなー」
  (うぉー、表紙が綺麗だ)

少年「……」
  (章タイトルが厨二っぽいな)

少女(学校ではみんなどうしてるんだろう)

少年「……」パラ

少女「……」



見舞「すいません、これだけ伝えたら帰りますから!」バタン

少年「おー、どうだった?」

見舞「明日取りに行くからペンは置いといてくれ、って。それじゃ、また!」バタン

少女(……来るのか)

少女(どうすればいいのかな、わたしは)

本日はここまで。遅くなって申し訳なかった
新生活が想定外にカオスだったとは……

それではよい夜を

長い間お待たせして実に申し訳ありませんでした

そして長い事待っていただき本当にありがとうございます

では投下します

少女「……」

少年「……」ペラ

少女(……お姉ちゃんは今日来るのか)

少女(いつ来るんだろう?)

少女(というかそろそろ面会時間終わりそうだし)

少女(……あーあ)

少女(前は優しくてかっこよくて大好きだったのにな)

少女(……優しいと思ってた、か)

少女「……はぁ」

少女(……そういえば)

少女(見舞さん、お姉ちゃんにお世話になってるって言ってたな)

少女(家でも優しいお姉ちゃんだったし)

少女(私なんかよりもずっといい子だったんだろうし)

少女(……はぁ)

少女(それなのに聞こえてくる声はあれなんだもんなぁ)

少女(何でなんだろう)

少年(何かヤバそうなのに覚えられてるぞこいつ……おいおい)

少女(三章かぁ……おそっ)

少女(思えば昨日は楽しかったな、小学校の話とか)

少女(二人とも嫌な事も言って来なかったし)

少女(……いや、思って来なかった、か)

少女(言って来ないのはみんな同じだった)

少女(学校のみんなも、お母さんも)

少女(……そして、お姉ちゃんも)

少女(何でああも思われなきゃいけないんだろう)

少女(私だけが悪いの?)

少年(うぜぇ……何なのコイツ。被害者意識?)

少女「!?」

少女(え、何で、私今日は何も)

少年(こいつさえ何とかすれば全部解決するんじゃないのか?)

少女「……あ」
  (何だ、あの本か……びっくりした)

少年「どうした?」
  (何だよ急に)

少女「い、いや何でもないです、すいません……」

少年「ふーん……まぁいいや」パラ
  (変なの)

少女「……」

少女(3章って事はあの人か……)

少女(彼女の事情はまあ次の章でわかるしな)

少女「……」

少年「……なぁ」
  (一応言っとくべきか……何か恥ずかしいけど礼は言うべきだよな)

少女「はい……?」

少年「……あー」
  (とはいえこのタイミングで言うのも変だよな……いきなりだし)

少女(言ってしまえばいいじゃないか)

少年「……」(あー……)

少年「いや、何でもないわ」
  (返す時に言うかな)

少女「……そうですか」
  (何だこいつ)

少女(そういや長い事ありがとう、とか言われてないな)

少女(言われるような事もしてなかったし)

少女(……はぁ)

少年「……」パラ

少女(なんだこの人)

少女(……)

少女(……そういえば)

少女(これまで、まともに感謝したこともあまりなかったような)

少女(……とはいえそこまで感謝するような事も)

少女(いや、お母さんは)

少女(……お姉ちゃんは)

少女(でも毎回言うほどの……)

少女(……)

カツカツ

姉(この部屋か。なんかこの「少年」って名前見覚えあるな……まあいいか)

少女(!!)

少女(今来たのか)

姉(どうやって入るかな……姉として何を言ったものやら)

少女(……もう、なるようになれ)

姉「お邪魔しまーす」コンコン
 (ま、何とかなるか。妹だし)

少女「……お姉ちゃん」

姉「……」(わぁ)

少女「……」

姉「あー、元気……な訳がないか。調子はどうなの?」
 (何だ、この気まずさは。……ってかつらそう)

少女「い、今リハビリってのしてる。そろそろ車いすになるんだって」
  (気まずい)

姉「ふーん……リハビリってどんな感じなの?」
 (一応聞いておかなきゃいけないわな)

少女「今のところは……」

~説明中~

姉「……なるほど、大変なんだね」
 (説明が下手でさっぱりわからん)

少女「うん……これから本格的になるんだって」
  (下手で悪かったね)

姉「……」
 (こいつどれくらい入院してるんだろう)

少女(退院したら……またあの家に戻るのか)
   
少女「あ、ペンここにあるから」ヒョイ

姉「どうも」
 (そういや回収に来てたんだった)

姉(……そのためだけって訳でもないんだけど)

少女(?)

少女(どういう事だろう)

少女「……」
  (ペンの回収じゃなかったの?)

姉「……」
 (何言ったらいいのかわからん、こうなる気がして面会時間ギリギリに来たんだけど)

少女(そういえば、昨日の話、聞いてみようか)

少女「そういえばさ、お姉ちゃんの小学校は」

姉「うん?」
 (何だ急に)

少女「百葉箱って、使われてた?」

姉「百葉箱……何だっけそれ」
 (どことなく懐かしいな)

少女「えーと、温度を測る白い家みたいなやつ」

姉「あー……あったなそんなの」
 (なんでまた急に? 話題があるのは助かるけどさ)

姉「確か数回、気温を計ってグラフを書いた事がある」
 (あの頃は何も考えなくてよくて、気楽だった)

少女「そうなんだ……」

姉「というか、何でまたそんな話を?」

少女「この前、見舞さんと少年さんと喋った時にそんな話になって」

姉「……ああ、そういや見舞から連絡来てたんだったね」
 (聞こうと思ってたんだった。一体どういう繋がり方なんだか)

少女「なんか、声かけてくれた。お茶買いすぎたとかで……うん」
  (買い過ぎと言うか買われ過ぎというか、もういいや)

姉「何それ。……迷惑かけてないでしょうね?」
 (一体何の話をしたんだか)

少女(多分お姉ちゃんほど迷惑には思ってないだろうしな……)

少女「多分、大丈夫だと思うよ」

姉「……そう」
 (それが不安なんだよ)

少女「……」

少女(毎回こうなるんだよな)

姉(……はー、まあ何だっていいか)

少女(……いや、今日は優しい方か)

姉(そういや今日はあまりこいつに苛立たないな)

少女(何かいい事でもあったのかな)

姉(一人だからかね)

少女(……? あ、時計が鳴り始めた)

姉(……五回、そろそろ時間か)


少年(突然静かになったな……?)パラ

姉「……あ、そうそう」ゴソゴソ

少女(?)

姉「栞。本読むとき、少女よく使ってたでしょ」スッ
(これくらいは姉としてやらなきゃいけないしな……探しづらかった)

少女「あ……わざわざごめ……」

姉「……」イラ

少女(……)

少女「……いや、ありがとう」ニコ
  (やっぱりお礼はちゃんとするべきだよね……誰かさんと違って)

姉「……い、いや」

姉(               )

少女(何……?何か考えてる、でも聞こえない)

姉「どう、いたしまして」
 (……嗚呼)

少女「う、うん」
  (複雑すぎる、いや、私の知らない気持ち……?)

少女(そういえば時々、何考えてるのかわからない事があったな)

少女(知らない気持ちだと聞こえないのか)

姉「……それじゃ、ここ置いとくから。次来たときは車椅子押すよ」
 (その位はやってやらないとな……何で私はこうも動揺してるんだろう?)

少女「う、うん」
  (別に頼んでないけど)

姉「それじゃ、またね」バタン
 (ああ、これは罪悪感なのか……やれやれ)

少女「……」

少女(罪悪感……?)

少女(一体どういう事なんだろう)

少女(でも、もしかするとお姉ちゃんも)

少女(好きでああ思ってる訳じゃないのかもしれない)

少女(……)

少女(『あの頃は何も考えなくてよくて、気楽だった』、か)

少女(前から聞こえてた声と、新しく聞こえるようになった「声」)

少女(それ以外にも、まだ見えないものがあったみたいだ)

今回のぶんはこれで終わりです

長い事お待たせして実に申し訳ありませんでした
次から頑張ります……それではまた

月曜日じゃない、今は日曜日の25時なんだ


実に長い事お待たせいたしました、始めます

少年「……」ウトウト

少女「……」ボンヤリ
  (そろそろリハビリの時間か……あ、来たな)

少年「……」ウトウト

看護婦「少女さーん、リハビリの時間ですよー」バタン
   (大分よくなってきたわね、退院はまだ先だけど)

少女「はーい……」


看護婦「それじゃ行きましょうか―」バタン

少年「……」ウトウト

少年「……ん?」パチ

少年(……静かになったな)

少年(あれ、誰もいない)

少年(ああ、少女さんはリハビリか)

少年(お互い大変なこった)

少年(そういや最近は誰も来てないな)

少年(数日前に少女さんの姉ちゃんが来た位か)

少年(あそこもわからん姉妹だよな……)

少年(互いに何か無理してるっつーかさ)

少年(まあ、あれだけ年離れてちゃ仕方ねーか)

少年(俺にはどうでもいい話だ)

少年「……」

シーン

少年(……静かだ)

少年「……」

少年(誰もいないな)

少年(静かになった、いや)

少年(前に戻っただけか)

少年(あの女の子が入院してくるまで)

少年(ずっと独りだったじゃないか)

少年(……)

少年(そういえば)

少年(少女さんが来てからは)

少年(なんか、賑やかになったんだったな)

少年(何でだろうな)

少年(とはいえ)

少年(向こうの方にだって)

少年(そんなに見舞い客はいないよな)

少年(たまに家族が来る位だし)

少年(俺の家族も似たようなもんだが)

少年(……)

少年(ああ)

少年(見舞がちょくちょく来るようになったんだったな)

少年(そりゃ少女さんとは関係ないか)

少年(……偶然の一致だよな?)

少年(それとも姉先輩とやらの関係か)

少年(どうでもいいけどよ)

少年(てか、しばらく来てないな、あいつ)

少年(そういや試験期間だったか)

少年(どうりでしばらく来ないわけだ)

少年(結構真面目なやつだったし)

少年(まあ仕方ないな)

少年(……)

少年(脚痛え)

少年(見舞、ねー)

少年(何か違和感あるんだよな)

少年(あいつ学校じゃあ)

少年(あんなキャラじゃなかったし)

少年(正直と元気が取り柄ですって感じだったのに)

少年(病室じゃ何か無理してる、というか)

少年(隠してる、というか)

少年(俺としちゃどっちがいい悪いって話でもないけどよ)

少年(来るだけでもありがたい話だし)

少年(一体何考えてこっち来てるんだか)

少年(嬉しいからいいんだけどさ)

少年(つーか他の奴誰も来ねえし)

少年(入院した頃はそれなりに来てくれたけど)

少年(近頃はめっきりだな)

少年(来るのはあいつ程度だ)

少年(全く、連中は今頃何やってるんだか)

少年(……まあいいか)

少年(考えたってどうしようもない)

少年(何か得になる事がある事が)

少年(あるわけでもないし)

少年「……」

少年(……まったく)

少年(マジで暇だ)

少年(気晴らしにあの本でも読むか)

少年(やれやれ……どこからだっけ)ペラ

少年「……」ペラ

少年(この本も)

少年(変わった本だよな)

少年(何というか、話の、その)

少年(……本筋が見えないというか)

少年(俺そんなに本読まないし)

少年(そのせいかもしれないけど)

少年(……)

少年(えーと)ペラ

少年(どこまで進んだっけ)パラパラパラ

少年(……この辺だな)

少年(確か4章の途中だった)

少年(主人公たち村の子供がだいたい)

少年(雪原サバイバルをクリアして)

少年(時々奇妙な出来事が)

少年(起こり始めたのです、と)パラ

少年(そして主人公の男の子が)

少年(興味に駆られて色々と)

少年(探り始めるんだよな……)ペラ

少年(やめときゃいーのに)

少年(面倒な事にしかならないっての)

少年(普通気付きそうなもんだけどな)

少年(……もし、仮にだ)

少年(例えば近くの人間が)

少年(妙な事情を持ってたとしたら)

少年(何か気付くだろ、普通)

少年(俺ほどの洞察力が無くてもだ)

少年(……馬鹿馬鹿しい仮定だ)

少年(深く考えちゃいけないんだろうな)

少年(で、主人公が動き始めて、と)

少年(……ふーん)ペラ

少年(あ、マリア像裏に隠れた)

少年(なるほどね、確かに)

少年(バレない隠れ場所なのかもな)ペラ

少年(……へぇ)

少年(みんな好き勝手に祈ってくなあ)

少年(困り事抱えすぎだろ)

少年(ずっと悩み聞かされんのかよ)

少年(つら)ペラ

少年(……)

少年(くだらない事で悩んでんのな)

少年(……)ペラ


少年(……おおう)

少年(……)

少年(……うわあ)

少年(なんつーか)ペラ

少年(案外ドロドロしてんのな)

少年(ジャガイモの不作から介護疲れから貧乏から)

少年(色恋沙汰から孤独まで)ペラ

少年(とはいえ、この時代の病気なんて)

少年(隔離するしかないもんな)

少年(寂しいわな、そりゃ)

少年(……)シーン

少年(今より)

少年(しかしこの村)

少年(随分アレだな)

少年(平穏平和な村っぽかったのに)

少年(……いや、そういえば)

少年(予兆はあったか)

少年(誰も気付かなかっただけだ)

少年(……)

少年(つーかこの少年)

少年(さっさと帰ればいいのに)ペラ

少年(いつまで隠れてるんだ)

少年(あ、抜け出した)


~30分ほど経過~

少年(そろそろこの章も終わりか)

少年(なんか疲れたな)

少年(読書苦手なんだよ…)パラ

少年(この章でやめるか)

少年(……)ペラ

少年(えっ?)

少年(おいおい)

少年(この女の子……)

少年(どういう事?まじ?)

少年(この嘆きだの祈りだの)

少年(全部聞こえてんの……?)

少年(マジかよ……何で?)

少年(それで妙な動きしてたのか)

少年(いや、でもなあ)ペラ

少年(『知ってしまったからには』って)

少年(おいおいおい)

少年(ってこの章これで終わりかよ!)

少年(いやいやいや)

少年(ちょい先読んでみるか)パラパラ

少年(……おおう、問題の蝶が乱舞してるわ)

少年(ってどういう事だ)ガチャ

少年(……ん?「ガチャ」?)

看護婦「はい、お疲れ様でしたー」ガチャ

少女「はい……」フー

看護婦「それじゃあ、今度車椅子持ってきますからねー」

少女「もう動いていいんですよね?」

看護婦「無理は禁物だけどね。それじゃあ、お大事に」バタン

少年(ああ、帰って来たのか)

少女(疲れた……痛いな本当)

少年(結構長い間読んでたんだな)

少女(馬鹿な事をしたもんだ)

少年(いったん返した方がいいか……待ってるだろうし)

少女(あの本の事かな)

少年(さて、何から言うかな)

少女(……)

少年「あー、少女さん」
  (ま、とりあえず返そう)

少女「何でしょうか」
  (……何か驚いてる?)

少年「この本いったん返すよ、ありがとうな」
  (多分この子も続き気になるだろうし、な)

少女「いえいえ……どうも」
  (やっぱりあの本か)

少年(……どうなるんだろうな、これから)

少女「じゃ、また少ししたらお貸ししましょうか」

少年「お、ありがとう!これ面白いな、うん」

少女「ですね……」
  (あまり本読まない人なのかな)

少女「……」

少年「……」(何だこの沈黙)

少年(何か言わないと)

少年「んで、動けるようになってきたのか。おめでとう」

少女「ありがとうございます……そちらは?」

少年「もうしばらく、だとさ」
  (どうなるんだか)

少女「そうですか……」

少女(部屋の外に出られるようになるんだ)

少女(なんか、実感が湧かないな)

少女(どういう作りだったっけ? この病院)

少年(一人だけドロドロに気付く、ねー)

少女(外に出られるようになったら)

少年(これから主人公はどうするんだか)

少女(いったいどうするかな)

少年(まあ、いずれにしろ)

少女(まあどうなるにしろ)

少年(話は動くんだろう)

少女(状況は変わるんだろうな)

(死にたくない)
(痛い)
(……寂しい)

少女(また聞こえて来た)

少女(これは……近くの部屋、か)

今回は以上です お待ちいただきありがとうございました


題名は……うん、お察しください

実にすまなかった

投下します

少女「……」

少年「……」

少女(11時半かあ)

少女(そろそろ昼だな)

少女(少しはこの部屋を出られるようになるのか)

少女(楽しみ、なのかな)

少女(この天井にも飽きて来たし)

少女(……)

少年(あ、天井に蜘蛛が)

少年(課題やらないとな……)

少女(そういえば宿題あったんだった)

少女「……」
  (うーん面倒)カリカリ

少年「……」
  (やれやれ、何で数学ってこうなんだ)ガリガリ

少女(順番違うと間違いなのかあ、答え一緒じゃん)

少年(デカルトもやっかいな事考えてくれたよな)

少女(……)

少年(あの本、続きどうなるんだろう)

少年(普通あんなことわざわざするかね)

少年(面倒な事にしかならないだろうし)ガリガリ

少女(集中しろよ)カリカリ

少年(ん? んんん?)

少年(……あー、これどこかで間違ったな)

少女(……)

少女「……」カリカリ

少年「……」
  (どうして長さがマイナスになるんだ、訳がわからん)

少女「……」

少年「……あぁーっ」
  (くそっ)

少女「どうしたんですか?」ビクッ

少年「……すまん、何でもないんだ」
  (声に出てしまった)

少女「そうですか」
  (びっくりした)

少女「……」
  (一体何の問題なんだろう)

少年「……」
  (どうするかな)

少女「ちなみに何やってたんですか?」
  (考えてることはわかるのにさっぱりわからないや)

少年「ん?ああ、数学」
  (喋ってるか、どうせ課題しかやる事ないし)

少女「数学、ですか」
  (算数が進化するとそうなるんだっけ)

少年「ああ、そうか。今は算数だっけ」
  (あの頃は楽だった)

少女「はい……難しいんですか」

少年「まあな」

少女「うちでお姉ちゃんが言ってました、いろいろ」

少年「ああ、そういう話も出来る訳か」
  (いいなー、年上の兄弟)

少女「だいたい呪ってるだけですが」
  (最近は聞いてないなあ)

少年「……お、おう」

少年(そう上手くはいかないらしい)

少女(そういや、夜遅くまで頑張ってたよな、お姉ちゃん)

少年「……」

少女「……」
  (お姉ちゃん……)

少年(やべえ、あいついないと話が続かん)

少年(……そういえば、見舞のやつは)

少年「……そういえば」

少女「?」

少年「いや何だ、あいつ――見舞は確か数学に強かった、と思ってな」
  (共通の知人があいつ、とは)

少女「じゃ、教えてもらったらいいんじゃ」
  (あの人なら普通に教えてくれそう)

少年「……あー、うん」
  (何か気が引けるんだよな)

少女「あの人なら、何だかんだ言っても教えてくれそうですけど」
  (微妙に嬉しそうな感じで)

少年「……それはそうなんだが」
  (あいつに教えを乞うのか)

少女「だが?」
  (プライドってやつなのかな?)

少年「……あー」
  (そもそも、あいつ何で俺なんぞに構ってるんだろう)

少年(というか何でやつの話してるんだ俺のバカ)

看護婦「失礼しまーす」コンコン
   (夜勤明けは眠い)

少女(あ、来た)

少年(よかった、これで追及されずに済む)


看護婦「あら、課題やってたのね」ガラガラ
   (数学か、懐かしいわね)

少女「車いすだ!」

少年(ああ、車椅子だ)

看護婦「ええ、そうですよー、長かったわね、三週間も」

少女「三週間か……」

少年(あれ、もっともっと長かったような気がするな……1年くらい)

少女(それは考えてはいけない、考えちゃいけない!)

少年「俺はまだなの?」

看護婦「そうねー、もう少しかかるわね」

少年「ちぇっ」
  (俺の方が長くいるのに)

看護婦「それじゃ簡単に説明しておくわね、ここがこうで……」ウンヌンカンヌン

少女「……」コクコク

看護婦「で、ブレーキが……」ガチャガチャ
   (少女ちゃんの方が治りが早いのよね)

看護婦(自分で飛び降りたから)ペラペラ

看護婦(無意識のうちに受け身か何か取ってたのかな)ペラペラ

看護婦(少年君の方は何しろ予測できなかったみたいだからね……)ガチャガチャ

看護婦「……と、いう訳。わかった?」

少女「……はい」

少年(俺はいつになるかなー)

少女(……そうか)

少女(……ああ)

少女(自分で未練が残ったまま飛び降りたから傷が浅くて)

少女(少年さんの方は加減なんかなかったんだ)

少女「……」

看護婦「……えーと、わかった?」
   (まあ口で説明しても微妙だよね)

少女「あ、はい、わかりました、大体」
  (考えてもしょうがないか)

看護婦「乗ってみる?」

少女「はいっ」ガチャガチャ

看護婦(ちょっと明るくなったな)


少年「……」

少女「……ふむ」キコキコ
  (自分で動くのには結構重い)

看護婦「大変だろうけど、出来るだけ動いといた方がいいのよ」
   (リハビリはあるとはいえ、体力は大分落ちるし)

少女「……はい」
  (時々は出て行っていいって事なのかな?)

看護婦「それでね、リハビリ室に行くときに見かけたかもしれないんだけれど」
   (いくつか場所の紹介をしとかないとね)

少女(出ていいんだ)

看護婦「この病院のこの階は……」
   (どれほどの助けになるかはわからないけれど)

少女(……)

看護婦「と、いう訳なのよ」
   (まあ、同じ小学校の子もいる事だし)

少女「はぁ……」

少女(なるほど)

少女(この病院には学校みたいなのが開かれるらしい)

少女(今日はやってないみたいだけど)

少女(ちょっと教室を覗いてみたらどうかな、という事らしい)

少女(それと談話室、か)

少女(……よし)

少女(行ってみよう)カラカラ


少年(……ああ、くそ)

少女(……)

少女「……えっと」
  (何かがぼんやりと渦巻いてる……)

少年「……行くのか」
  (何だよその目は)

少女「ご、ごめんなさい」

少年「何で謝るんだよ」
  (       )

少女「……」
  (もやもやとしている事しかわからない)

少年「行くんじゃなかったのか」
  (早く行ってくれ)

少女「……行って、きます」ガチャガチャ

少女(ドアが開けにくい)

少年(一人にさせてくれ)

少女(……っ)ガチャガチャガチャ

少女(……開いた!)ガラッ

少女「……」

ドアの向こう(俺、何やってるんだろ……)

少女(……しばらく帰らない方がよさそうかな)

少女(……さて)カラカラ


少女「……」ガチャガチャ


少女「……」ガタガタガタ


少女「……!」ガラガラ

少女(動きにくいな、これ)ガラガラ

少女(慣れていくしかないか……)カラカラ

少女「……ふう」
  (力が弱くなってるんだ)

少女(……それにしても)



(痛い)

(暇だ)

(寂しい)

(帰りたい)



少女「……」カラカラ

少女(病室の「声」は相変わらずか)

少女(いや)

少女(廊下に出た分聞こえやすくなってる)

少女(壁が何枚もあると聞こえにくくなるのかな)

少女(未だに分からない事だらけだ、この「声」)

少女 (だからどうした、って話だけどさ)カラカラ

少女「ここか」


『フリースペース』
『月曜・土曜 病院教室(げつよう・どよう びょういんきょうしつ)』


少女「……」

少女(今は誰もいない)

少女(この色々貼ってあるのが)

少女(病院教室の人たちが作ったものなのかな)

少女「……ん?」

少女(これは国語の宿題?)

『……残雪をおびきよせるため 五年 ■■■』

少女(何のことだろう?)

少女(残雪ってのはキャラクター名みたい)

少女(残った雪の事じゃなさそうだ)

少女(……で)

少女(……この五年生の人)

少女(名前は黒い紙で隠されているけど)

少女(看護婦さんが言ってた、というか考えてた)

少女(同じ小学校の人?)

少女(字からすると男の子かな)

少女(……どんな人だろう)

少女(……)

少女「……帰ろ」

少女(また来よう)カラカラ

少女「……」カラカラ

少女(……)

少女(『帰りたい』、か)

少女(帰った所で、退院した所で)

少女(私には結局)

少女(……あ)ピタ

『談話室(だんわしつ)』

少女(誰かいるかな?)ソーッ

少女(……いないか)

少女(……病室まで戻って来たけれど)

少女(……)

(……あーあ)

少女(落ち着いたみたい、かな)

少女(……ドアが開けにくい)ガチャガチャ

(お、戻って来たのか)

少女「……、っと!」ガラッ

少年「おかえり」

少女「……」

少女「ただいま、です」フフッ

本日はここまでです
大変遅くなり申し訳ありませんでした……ではおやすみなさい

遅くなり大変失礼しました

生存報告だと思った? 投下だよ!

少女「……」

少年「……」
  (今日は静かだ)

少女(月曜になった)

少女(暇だし、誰かが来る気配もなさそうだし)

少女(……)

少女(病院学校、か)

少女(行ってみようかな……)

少女(とはいえ、いつ始まるんだろう?)

少女(昼ごろ、とは聞いてたけどそろそろかな?)

少年「……」
(あいつ来ないかなー)

少女(……「声」の聞こえる範囲を広げよう)

少女(あまりやりたくないけど……)ホワンホワン

(           )ザワザワザワザワ

少女(もういい、静かにしてよ……)シュッ

少女(とりあえず、そろそろ始まる時間だってのはわかった)

少女(……)

少女(いつの間にかこの「声」にも大分慣れちゃった)

少女(何でこうなったのかも全然わからないまま)

少女(正直今だって聞きたくはないけど)

少女(……というか)

少女(多分、今なら)

少女(今なら聞こえない事に出来る気がする)

少女(今なら、聞き流すことだって出来る)

少女(何も聞かなかったことにして、普通に暮らすことも)

少女(厳しいだろうけど、出来ないわけじゃない)

少女(でも)

(……暇)
(痛い)
(寂しいんだ)
(――――)ザワザワ

少女(それをやっちゃいけない気がするんだ)

少女「……」

少年「……」

少女(そろそろ行こうか)ガラガラ

少女「……っと」カラカラカラ

少女(……出てきたはいいけれど)

(―――寝――寂し――眠た――7号室の―――)ザワザワザワ

少女(廊下の方が色々聞こえてくるんだった……)

(――もう少し―――ナースコールが―――そろそろ――)ザワザワザワ

少女(早めに行くって決めたけど、どうしようか……)

??(―――ここの窓は随分と汚いな。空がこんなにも綺麗だと言うのに)

少女(……え? 何?)

少女(何か、とても)

少女(……すごくはっきりした「声」だ)

??(全く、連中もご苦労な事だ――)

??(ここで勉強を教えよう、とは!)

少女(誰? この人は何?)



少女(……こっちか?)カラカラ

??(この調子だと夜までは……月が丁度………雲……)

少女(逆か)カラカラ

??(…………不思……ルタ軍…)

少女(もう、この、Uターンするのがこんなに大変だなんて!)ガラッ

少女(そもそもそっちに向かってどうするのかって話だけど)

少女(でもヒマだし、すごく気になる)

少女(こんなに明確な声、聞いた事ないもの)

少女(……)カラカラカラ

??(人間は何故ただの天体の動きに意味を見出したがるのだろうな)

少女(……)カラカラ

少女(多分、この「声」の主は小児病棟のすぐ外にいる気がする)

少女(その内側は関係者しか入れないから)

少女(それで、この人は)

少女(気分、というのが全く動いていない)

少女(ただ頭だけを動かし続けている)

少女(みんなもっとザワザワした感じなのに)

少女(そういうのが無くて、ただ一つの事を考えてる)

少女(空と、人の事)カラカラカラ

少女(着いた!)

『ロビー』

青年(1m程の小さな存在がそれらに意味を求め、理由を見出す)

少女(……わお)

青年(それもまた不思議なものだ……ん、一人増えたな)

少女(何か、個性的な人だな)

ザワザワ
(何なのあの人)
(変なギプス)
(ずっと空見てるわ……)
(あら、小児外科の子供が)
ザワザワ

少女(すごく他の人に色々思われてるよ……)

少女(「声」を聞くまでもなく不気味がられてる)

少女(でも、全く気にしてないみたいだ)

青年「……」チラ
  (……視線を感じるな。それも単に疎んじられている訳ではないようだ)

少女「……」
  (流石に気付いていたんだ)

青年「……」オホン
  (―――――)

少女「……あー」
  (何? 今の英語? トゥービークエスチョン?)

青年「何か、僕に用があるのかな、お嬢さん」
  (この子には何が見えてるんだろうな?)

少女「……あー、いえ……変わったギプスですね?」

(聞いちゃったよ)
(何だこの子)
(流石小学生、俺たちに聞けない事を平然と聞いてのける! そこに痺れる憧れるゥ!)ザワザワザワ

少女(何だ今の)

青年「……」チラ
  (……視線を感じるな。それも単に疎んじられている訳ではないようだ)

少女「……」
  (流石に気付いていたんだ)

青年「……」オホン
  (―――――)

少女「……あー」
  (何? 今の英語? トゥービークエスチョン?)

青年「何か、僕に用があるのかな、お嬢さん」
  (この子には何が見えてるんだろうな?)

少女「……あー、いえ……変わったギプスですね?」

(聞いちゃったよ)
(何だこの子)
(流石小学生、俺たちに聞けない事を平然と聞いてのける! そこに痺れる憧れるゥ!)

少女(何だ今の)

青年「ああ、これか。読書用に改良した。友人に手伝ってもらったがね」
  (単にブックカバーを取り付けただけだけどね)

青年(――どうしてこれしきの事で不審な目を向けられるのか、理解に苦しむな)

少女(何だそりゃ)

少女「……それを手伝う友達ですか」
  (何だその友達)

青年「ああ、もう少しで来るだろう。会ってみるかい?」
  (どうせならこの子にも学級を勧めてみるか)

少女「……えっ」
  (……ん? まさか、というかやっぱり)

青年「友人はここの小児科で病院学級をしていてね、今日もそろそろ来るはずだ」

少女「」

少女(行くのやめようかな)

少女「……そうだったんですか」
  (そんな気はしていたけど)

青年「ああ、暇つぶし位にはなるんじゃないか。良ければ行ってあげてくれ」
  (自己満足に終わらない保証もないが、何かの足しになるかもしれないわけだし)

少女「まあ、元からそのつもりではいましたが」

青年「そいつはよかった」
  (これが失望にならなければいいんだが、どちらにとっても)

少女(……この人は)

少女(私の為に、というよりはその友達の為に勧めてる気がするな)

少女(私がそこに行って、その人たちに何かいい事があるようにも思えないけど)

少女(よくわからないな)

青年(……それで、何故この子はここに来たのだろう? まあいいか)

少女「ところで、お兄さんは何故ここに……?」

青年「通院のついでに。ここは一番空が綺麗に見える」
  (うわぉ、お兄さんって呼ばれたよ、お兄さん感激)

少女「……最上階の方がよく見えるんじゃ」
  (初めて気分が動いたような気がするな)

青年「綺麗に見えるのと、良く見えるのでは全くの別物なのさ」
  (電線とかが入らないんだよな、この階は)

少女「はぁ……」
  (全部の窓を見て回ったの……?)

青年「……ああ、噂をすれば影だな、センセイが来た」

少女「?」

青年「あそこの青い服の女と、隣のキャリーケースを持った女性だよ」
  (その身長だと見えづらいかな)

少女(女性だったのか)

先生1(青い服の女性)「……」ガラッ
   (ああ青年か……女の子?)

先生2(キャリーケースの女性)「……」ゴロゴロ
   (また妙な目立ち方してるのね……)

青年「……」
  (また呆れられてるな)

少女「……」
  (なんだこの空気)

先生1「……やあ友よ、いい天気だね?」

青年「ああ、お陰様でいい読書が出来そうだよ」

先生1・青年「「ウェーーイwwww」」
      ((君も相変わらずだな))

少女(なんだこの会話)

先生2(毎回毎回、一体何なのこの会話)


先生1「で、その子は何なの」
   (ロリコンに目覚めた訳ではないだろうけど)

青年「君の生徒だ」

先生1「なるほど、予想外」

青年「だろうな」

少女「……」(えーっと)

先生2「初めまして……えーっと、此処に入院してるんだよね?」
   (大変な所に巻き込んでしまった気がするわ)

少女「あ、はい……病院学級ってのに来ようと思いまして」
  (この人、大変そうだな)

先生1「なるほど。ようこそ病院学級へ。私とそこのお姉さんはそこで先生やってるんだ」

先生2「今日はこれから始めるけど、来るよね?」

少女「……はい」
  (どうにでもなれ)

先生1「ふむ。私は先に準備をしに行くからゆっくり来てくれ。先生2、分かってるな?」
   (車椅子も大変だけどなー、あまり手をかけすぎるのはよくない)

先生2「勿論。さ、行きましょうか、車椅子で難しい所あったら言ってね?」ガラッ
   (ドアを開けるとかにとどめた方がいいものね)

少女「あ、はい、ありがとうございます……」カラカラ

青年「それではまた会おう。もっとも君は機会があれば、だが」ヒラヒラ
  (頑張れ、三人とも……いや、他の子供たちもか)

少女「あ、はい、それでは!」

先生2「……さて」ガタン
   (軽く紹介しますか)


先生2「それじゃ、歩きながらざっくり説明するわね、私達はここで――」テクテク

少女「……」カラカラ

今日(?)は遅いのでいったんここで区切ります
遅くなってすみませんでした、それではまた

少女(歩きながら先生が説明してくれることになった)

先生2「……で、うちのクラスには今三人の子が来ててね」

少女「……」

先生2「小学一年の女の子と、五年の男の子と、中学生が一人」
   (確か男の子の方が○○校だったっけ……)

少女(○○校……「上級」さんか)

少女「……随分バラバラなんですね」
  (高校生はいないのか)

先生2「そうなのよ、それで全員にレベルをあわせるのも難くて」
   (最初はそれで酷い事になったからなー……)

先生2「だから個人を相手にしている時も……」






少女(説明と「声」で大体の事はわかった)

少女(ここは新しく何かを勉強する、というよりは)

少女(むしろ孤独感を和らげる、とか)

少女(勉強の習慣をなくさないようにする、とか)

少女(そういう狙いも強いらしい)

少女「……」カラカラ

先生2「……」カツカツ

先生2「そろそろだね、この角を曲がった所」

少女「はい……」

先生2「緊張してる?」フフッ

少女「……ええ、まあ」
  (仕方ないじゃない)

先生2「まあそうよね、正直私も毎回緊張するもの」
   (まあ緊張するよねー)

少女「……!」

少女(緊張するな、とか何とか)

少女(そういった事は言わないんだな)

先生2「さて……到着ね、いつもこのスペースでやってるの」

少女「……明るいですね」
  (私よりも小さい子がいる)

先生1「ああ、二人とも来たか! ……改めて、ようこそ!」

先生2「お待たせ。いつもの子は全員揃っている様子ね」

少女「……」チラ 
  (全部で子供が四人、先生が二人か)

子供達「「「……」」」

 (一人増えたんだぁ)
  (何だこいつ)
(女の子だ!)

少女「……」(車椅子の人と、腕を吊った子と、何かがついてる人と)

子供達「……」ジーッ

少女「……え、えーっと」タジタジ




少女「……」
  (どうしよう、この空気、この目、学校と同じだ……忘れてた)

先生2「ふむ……じゃ、まずは自己紹介から始めましょうか」

先生1「誰から始めようか?」
   (この様子を見ると、最初にするのは厳しそうだし)

子供達「「「……」」」ジロジロ
   (この子じゃないのか?) 
(言い出しっぺの法則……)

先生1「……じゃ、私から初めて右回りで行こうか……では」

先生1「私は『先生1』、大学二年生。ここでは先生をしている」
   (学部は言ってもわかんないか……)

幼女「ほかにはー?」

先生1(うっ……本ッ当に容赦ないなこの子)

先生1「他には……そうだね、最近は草書体とチーズに嵌っている。……こんなところか?」

先生2(初耳だわ)

子供達(そーしょたいって何だ)

先生1「よろしくお願いします……次は『幼女』ちゃんの番だね」

幼女「うん! △△小学校の一年、『幼女』だよ!」
  (あと先生はなに言ってたっけ)

幼女「……でね、ここで生徒してて、りんごジュースがすきだよ!」

子供(時々出てくるアレか……)

先生2「……次は『中学』君ね、この順番だと」

中学「××中二年、『中学』、同じくここで学生してる。好物は味の濃いものだ」

中学(まあこんなものか)

少女(病院食、味薄いもんなぁ)

先生1(……皆が『ここで生徒してる』って言うの、もしかして私のせいか……?)

最後の子供「……」
     (えーっと、何言えばいいんだろう、うわ、順番だ)

先生1「次は『上級』君だね、どうぞ」

上級「……!」
  (ななな何も考えてなかったどうしよう)

中学(何も考えてないパターンだなこれ)

上級「……あ、はい、え~っと……」
  (とりあえず学年と名前だよな)

上級「○○小の5年B組、『上級』です……みんなからは『しもん』って呼ばれてました」

上級(あと何だっけ)

上級「で……あ、ここで生徒してます……よろしくお願いしま~す」

中学(長いな)

少女(しもん……何でだろ?)

上級(つかれた)

先生2「はい、お疲れ様。次は『少女』ちゃんね」
   (疲れた顔してるなぁ)

少女(……えーっと)

少女「同じく○○小、3年『少女』です。……声が小さいって言われるけど頑張ってみるので、その……よろしくお願いします」

子供達「「「……」」」

少女「……」

少女(沈黙がつらい)

中学「……そういうやつは単に自分の声が大きすぎるんだよ」ボソ
  (まったく)

少女(? 何かあったのかな)

先生2「……それじゃあ」

先生2「私達は頑張って聞き取る事にしましょうか。……私は」

先生2「『先生1』と同じく大学の二年、『先生2』です。よろしくね」

先生1「さて、これで全員だね。では始めようか、今日は国語だ」ガタガタ

上級(また辞典が大量に……今回は漢和辞典だけか)

少女(『また』?)

先生2「前の一問、みんな考えてきてくれたー?」

上級「はぁ」

中学「おう」 

幼女「はーい!」

少女(……前の問題?)

先生1「ああ、前回は漢字をいくつか出して、例文を考えてきてもらったんだ」

少女「なるほど……」

少女(みんながプリントを持ってきて)

少女(先生たちが解答を見て回る、と)

先生1「いい文じゃないか……この部首は大き目の方が綺麗に見えるな」

上級「なるほど」

少女(で、アドバイスだかなにかをするのか)

少女(……)

先生2「……これで全員か。じゃ、今日はちょっとした漢字パズルをしようと思います」

生徒達「「「?」」」

中学(テレビでよくあるやつか?)

先生2「……見た方が早いわね。こんな感じ」
   (                )

『 例題:  名□  午□  □日  □後 』

上級(なるほど)

中学(アレか)

幼女(はじめて見た)

少女(……問題を見る前から、先生の『声』で答えが……カンニングしてる気分だ)

先生1「この□の中には同じ漢字が入る、という次第だ。何だかわかるかな?」
   (名前がわかれば後は一発かな)

中学(『前』か。これ多分俺が答えたらダメな奴だな)

少女(この声が聞こえるの、学校に戻ったら試験中ずっとカンニングじゃん……)

生徒達「「「……」」」

上級「……『前』?」ボソ

先生1「その通り。よくわかったね」

先生1(……最も、既に分かっていた子たちもいたようだけど)チラッ

少女「……」

中学「……」フイ

先生2「まあこんな感じで解いてみてね。いくつか用意してきました」パラパラ
   (自己紹介中に枚数を増やしたけど、ちょっと減っちゃったな)

先生1「ここの辞書はみんな好きに使っていいからねー」








少女(全員がばらばらに解く形式でよかった)

少女(たまに答えが聞こえてくることもあるけど)

少女(大体自分で解ける……えーっと、次は)

『 漂□ 独□ □衣 □状』

少女(『現状』じゃないな……『漂泊』?)パラパラパラ

少女(ああ、『白』か!)

少女(漂泊と漂白、似てるけど意味はかなり違うな)

少女(「さらす」って意味……?)パラパラ

少女(まあいいや……次はこの問題で)

先生2(おぉ、ちゃんと辞典読んでる)

少女(それが狙いか)

少女(そーいえば、前の担任の先生はよく辞書を読めって言ってたな)

少女(いい先生だった……大分昔の事みたいに感じる)

少女(で、この問題は『区』、と)

少女(ん?)

少女(……あれ、全部終わった)

少女「……」キョロキョロ
  (どうすればいいかな)

少女(ま、先生が何とかしてくれるでしょ)

幼女(んー、3つはあてはまるんだけどなー)

先生1「ん? 解き終わった? 見せて見せて」
   (問題減らしちゃったからなー)

少女「は、はい」

先生1「ふむ……全部あってるね」パラパラ

先生1(……)

少女(どうすればいいかな)

先生1(どうすればいいかなー)

少女(まさかのノープラン!)

幼女「おーい」ペシッ

先生2「あっ、こら!」
   (何でこの腕で物を投げる時だけは正確なのかしら)

先生1「物を投げるのはやめなさいったら……あー、そうか、ちょうどいい」
   (……いけるか、教えるのも勉強だ)

先生2「?」

幼女「?」

少女「?」

先生1「『少女』ちゃん、先生2の代わりに『幼女』ちゃんを手伝ってあげてくれないかな」

少女「え、ええ? 何をですか?」

少女(どういう事だろう?)

先生2「……ああ、そうね、彼女、今腕が不自由だから色々と」
   (何を言うのかと思ったら、なるほど、少女ちゃんは全部終わってるのね)

少女「……えーっと」

幼女「おねーちゃんが教えてくれるの? やったー!」
  (言うこときいてくれそう!)

少女「……ははは」カラカラ

少女(……ああ、なるほど)

少女(そうか、そりゃあこの腕で辞書をめくるのはきついもんね)

少女(問題はやや簡単めになってる……)

少女「ん?」

幼女「それ、わたしもわかんなくて、きこうとおもってたんだけど……」

少女「あー……うん」

少女(えーっと、これ、まさか)

幼女「『方』かな、って思って、ほかに何も思いつかなくて」

幼女「3つは上手く行ったんだけど、この『枚』が」

少女「……うん、そうだね」

幼女「『枚方(まいかた)』なんてことば、あった? 辞書じゃみつからなかった」

少女「……」

先生1(「やっぱりあの問題はどうかと思うわ」)ヒソヒソ

先生2(「えー、駄目かなぁ」)ヒソヒソ



少女(おいおい)

少女「ちょっと待ってね」

幼女「?」

少女「あの、先生……地名ってアリですか?」

中学(地名……?)

先生2「……アリよ」

中学(アリかよ)

上級(なんだと)

先生2(この子供たちの顔を見ると……やっぱりそうなのか)

先生1(固有名詞だもんな……)

幼女「???」

少女「……はぁ」


先生2「」シュン
   (駄目かぁ……)

幼女「つまり、まいかたって地名があるってこと?」
  (しらなかった)

少女「……うん。あと『枚方(ひらかた)』って読む」

幼女「なんでひらってよむの?」

少女「……何でだろうね」
  (知らないよそんなの)

幼女「へんなの」ムー

少女「……これで全部?」

幼女「そうだよ! 先生ー先生ー!」パタパタ

先生2「はいはい」

少女「……ふー」

少女(小さい子の相手、疲れる)

少女(……もしかして)

少女(……お姉ちゃんもこんな感じだったのかな)

少女(他の人たちはどうなんだろう?)

少女(解き終わったのかな?)チラ

先生1「うん、全部あってるね」

上級「やった~」

中学(わかんねえええ、筆って何だ、筆って)

少女(あと一人か)

先生1「あとは一人だね……あぁその問題か」スッ

先生2「他は出来てる?」

先生1「んー……出来てたね。じゃ、これはみんなで解こうか」

中学「ええええ!?」
  (時間かけても解けなさそうなのはわかるけど)

先生1「その問題、結構難しいからね、仕方がない」

中学「そうは言っても……でも俺に出された問題だし」


先生1「私たちも無理だったんだ」

上級(何故出した)

中学(何故解かせた)

先生2(……中学入試の問題らしいし、小学生でも解けるはずなんだけどなぁ)

中学「何でそんなもん出したんですか……」
  (大学生でも解けないって……)

先生1「いやー、もしかしたら君なら解けるかもって思って」

中学「そんなまさか」

先生1「ほら、時々鋭い所あるし?」

中学「……それほどでも」ニヘヘ
  (鋭い、か……)

先生1「……皆に聞いてみてもいいかな?」

中学「どうぞどうぞ」
  (鋭い、かー)

先生1(チョロいぜ)

先生2(ちょろいなぁ)

上級(単純だなー)

幼女(ちょろい)

少女(……全員の気持ちが一致してる)

先生2「で、これなんだけど……わかる人いるかな?」

『 実□ 安□ □筆 □立 』

子供達「……」

上級(土筆と安土……違うな)

少女(私立・公立・市立……全然違う)

幼女(なんだこれ)

先生1「……うん」

少女(とりあえず辞書見よう)パラパラ

少女「……お?」

中学「!?」

少女「……いや、この問題じゃないんですけど」

中学「何だ、そうか」
  (ビビった……)

少女「幼女ちゃん、何で枚方が『ひらかた』なのかわかった」

幼女「! なんでなんでー?」

少女「ほら、枚って字、『ひら』って読む事もあるんだって」

幼女「ほんとだ! ……よみのばしょにはかいてないけど」

少女「でも、『ひとひら』とか言うでしょ、多分あれだと思う」
  (そういえば小説に振り仮名がふってあった)

幼女「んー……聞いたことあるかも! おねーちゃんすごい!」
  (かっこいい!)

上級(後輩が出来たと思ったら、僕より出来る可能性が……)

少女「……そんな事はないよ」

少女(……私も)

少女(あまり中学さんの事は言ってられないな)

少女(……で)

『 実□ 安□ □筆 □立 』

子供達(((わからん)))

先生1(やっぱりわからん)

先生2(何なんだろう……)






先生1「ちょっと問題の選びを間違えたみたいだね! ごめんよ!」

先生2「ちょっとじゃない気がするな」

子供達「……」

先生2「……じゃ、今日はこんなところで終わりにしましょう」

先生2「さ、気を取り直しましょう、こっちでも何とか答えを探してみるから」

先生1「次回は算数だから、プリント配るよー」

先生2「……あ、少女ちゃん、ちょっと待っててね」
   (すっかり忘れてた……鶴亀算でいいか)

少女「あ、はい……」

先生2「えーっと、ちょっと待ってね、今作るから」サラサラ
   (えーっと、6と10ぐらいでいいかな)

少女「はぁ……」
  (聞いてはいけないものが聞こえてきている)

少女(……今更か)





先生達「それじゃ、また次回!」

幼女「またねー!」

中学「それじゃあ」

少女「……失礼します」カラカラ

少女「……」

少女(他の人の問題を見てみたら)

少女(幼女ちゃんは簡単な足し算を何問か)

少女(上級さんがややこしそうな筆算で)

少女(中学さんは……正直何なのか全くわからなかった)

少女(算数じゃなくて英語なのかな? アルファベットが入ってたし)

少女(そして私は、頭と足の数から鶴と亀の数を考える問題だった)

少女(……答えから全部聞こえてたけど)

少女(……で)チラ



上級「……」

上級(何か言うべきかな)

少女「……」カラカラ

少女(気まずい)

上級「……」

少女「……」

上級「……〇〇小、だよね?」
  (何言えばいいんだ)

少女「……はい、同じですね」

上級「……もしかしたら退院先で会うかもしれないね」
  (あ、到着した)

少女「……ですね」

上級「その時はよろしく。……それじゃ、僕、ここの病室だから!」
  (ああもう何が言いたかったんだろう)

少女「……また次回に!」

上級「またね!」パタン

少女「……」カラカラ

少女(……まぁ)

少女(楽しかった、のかもしれない)

少女(……次回も行こう)カラカラ



大変遅くなりました、本日はここまでです

最後の問題が全くわからないので誰かわかったら教えてくれると嬉しいな……

直 か

遅くなりましたが始めます……

姉(――何度目かのこの病室)

姉(気が重い……この雰囲気も、何もかも)

姉(何で大きい病院ってこうなんだろう)

姉(……妹を疎むなんて)

姉(最低なお姉ちゃんだ、ほんと)

姉(自分でもわかっているのに)

姉(……)

姉(もしかすると、あの子も感づいてたのかな)

姉(だからこういう事になったのかもしれない)

姉(……)



少女(誰に向かって言ってるんだろう……いや、「思ってる」か)

少女(……感づくというか、私には筒抜けなんだけども)

少女(いや、「声」が聞こえるようになる前は何も気づいてなかったな)

少女(家の事も、学校の事も)

少女(……それにしても、病室の外でずっと立ってるのか)

少女「……」

少年「……」
  (暇だ)

少女「……」

少年「……」

姉(……よし)

看護婦「あら、お見舞い? ゆっくりしていってね」カラカラ

看護婦(久々にあの制服を見たわ)

姉「はい、ありがとうございます」

看護婦(礼儀正しい子ね)

少年(ん? 誰か来たのか)

姉(もう行くしかないな)

少女「……」
  (最初から来るしかなかったんじゃないかな、病室の前まで来たら)

姉「……お久しぶり」ガラッ
(相変わらずの殺風景ね)

少女「お久しぶり、お姉ちゃん。……試験、終わったの?」

姉「そうだよ。一昨日に」
 (何ともひどい問題だった)

少年(ふーん……試験終わったのか)

少年(いや、別にどうでもいいけど)

少女「……」

姉「……」

姉「……で、そっちはどう?」
 (前よりましに見えるけど)

少女「大分痛みは引いたよ、リハビリも慣れて来たし」

姉「そうなんだ」
 (そういえばそろそろ車いすだって言っていたっけ)

姉(……というか、そのために来たのもあったんだった)

姉(約束したしね、車椅子押したげるって)

少女「……で、最近は車椅子でたまに病室を出たりしてるんだよ!」

姉「へえ、一人でもいいんだ」
 (意外、許可とかいらないのかな)

少女「一応看護婦さんに一言言ってからなら、時間もだいたい決まってるし……」

姉「時間?」

少女「うん、病院学級ってのがあるんだ」

姉「何それ?」
 (病院学級?)

姉「へぇ……」
 (病院で勉強の世話、かぁ)

姉(大学生がカンボジアに小学校を立てるようなものかな?)

少女(カンボジア……? 確かアジアの国の名前だっけ)

姉「まあ、よかったんじゃない?」
 (よくわかんないけど)

少女「……うん」

姉「……」
 (あ、気まずい)

少女「……」

姉「そうだ、ちょっと外出てみる?」

少女「外?」

姉「せっかく車椅子が解禁したんだし、ちょっと出てみるのはどうかなって」
 (ずっとこの空気もしんどいだろうし)

少女「……!」
  (もしかして屋外?)

姉「自分で動かすんだったらそう遠くまでも出られないでしょ?」

少女「それは、そうだけど……いいの?」

姉「私がついてるし大丈夫なんじゃない? 聞いてこようか」
 (というか行きたそうにしてるのが見え見えだし)

少女「……えーっと」ソワソワ

姉「じゃ、ちょっと聞いてくるね」カツカツ
 (……わかりやすい子だ)

少女「……」

少女(考えてることがわかるのはお互い様なんだけどなあ)

少女(……外か)

少女「……」

少年「……」

少女(確かに、楽しみかもしれない)

少女(なんせ、飛び降りて気づいたらここで寝てた訳だし)

少女(長い事建物の外には出ていない)

少女(外、出られるかな)

少年(いいなー)

姉「ただいま、帰りに一言言ってくれたらいいってさ」ガラッ

少女「そうなんだ」パァ
  (やったぁ)

姉(……わかりやすい子だなあ)

少女「……ちょっと待ってて」ゴソゴソ

姉「あー、うん」

姉(車椅子への移動か……大変だな、本当)

少女(……)

姉(勝手に落ちた、とはいえ)

少女(……)

姉「これでいいかな?」

少女「……うん、行こう」

姉「了解、行こう」ガラガラ

姉「ええ、ちょっと失礼します」

看護婦「行ってらっしゃい……どうぞ」キィ
   (慣れて無さそうだものね)

姉「ありがとうございます」
 (ドア開けてくれた……結構難しいもんな)

少女「……ありがとうございます」

看護婦「どういたしまして」ニコニコ

少女(ここまでは何度かリハビリで来たことあるな)

少女(でも、あの角の先は見たことがない)

少女(……ここを通って来たはずなんだけどな)

姉「……少女、もしかしてここから先来たことない?」
 (すごい周り見回してるけど……)

少女「……うん」

少女(ここまでは何度かリハビリで来たことあるな)

少女(でも、あの角の先は見たことがない……ここを通って来たはずなんだけどな)

姉(入院患者が構造を知らないってすごい事だなぁ)

少女「……大きいエレベーターだね」

姉「色々乗せてるからねー……担架とか何かの機材とか」
 
姉(この大きい鏡は車椅子で後ろ向きに降りるためか。うまいこと出来てるなぁ)

少女「……」
  (なるほど)

エレベーター「……一階です」ポーン

姉「降りるよー」ガラガラ

少女「……わぁ」

姉(何を  してんだか、ただの病院じゃん……)

姉「……ところで、病院学級はどんな感じなの」
 (一応聞いとくか)

少女「……うん、ちょっと変わった先生たちだった」カラカラ

姉「どんな?」

少女「よく分かんないけど……学校の先生とは全然違うっていうか」

姉「ふーん」
 (どーいう人たちなんだか)

>>395訂正

少女「……」カラカラ
  (押してもらうと楽なもんだな……)

姉「……さて」

看護婦「あら、出かけるのね?」
   (来てくれてよかった)

姉「ええ、ちょっと失礼します」

看護婦「行ってらっしゃい……どうぞ」キィ
   (慣れて無さそうだものね)

姉「ありがとうございます」
 (ドア開けてくれた……結構難しいもんな、車椅子押しながら色々するの)

少女「……ありがとうございます」

看護婦「どういたしまして」ニコニコ

少女(ここまでは何度かリハビリで来たことあるな)

少女(でも、あの角の先は見たことがない)

少女(……ここを通って来たはずなんだけどな)

姉「……少女、もしかしてここから先来たことない?」
 (すごい周り見回してるけど……)

少女「……うん」

少女(ここまでは何度かリハビリで来たことあるな)

少女(でも、あの角の先は見たことがない……ここを通って来たはずなんだけどな)

姉(入院患者が構造を知らないってすごい事だなぁ)

少女「……大きいエレベーターだね」

姉「色々乗せてるからねー……担架とか何かの機材とか」
 
姉(この大きい鏡は車椅子で後ろ向きに降りるためか。うまいこと出来てるなぁ)

少女「……」
  (なるほど)

エレベーター「……一階です」ポーン

姉「降りるよー」ガラガラ

少女「……わぁ」

姉(何を  してんだか、ただの病院じゃん……)

姉「……ところで、病院学級はどんな感じなの」
 (一応聞いとくか)

少女「……うん、ちょっと変わった先生たちだった」カラカラ

姉「どんな?」

少女「よく分かんないけど……学校の先生とは全然違うっていうか」

姉「ふーん」
 (どーいう人たちなんだか)

少女「……」

姉「で、生徒の方はどうなの」
 (こいつの事だからあんまり馴染めてなさそうな気がするけど)

少女「うん、三人いた。中学生のお兄さんと、同じ小学校の5年の人と」

姉「へぇ」
 (いるんだな、○○小)

少女「あと、小学1年の女の子。……かわいかった」

姉「……小1か」
 (その年で入院か……)

少女「……うん」

姉「色々あるんだろうね」

少女「そうだね……明るい子だったけど」

姉「そうなんだ」

姉「……外、出てみようか」

少女「うん!」

少女(……何だろう、緊張するな)

ウィーン……

少女「……」

少女(風が吹いてる)

少女(久しぶりだな、風に触れるのも、土から生えてる植物を見るのも)

少女(長い事忘れてたような気がするよ)

少女(……)

姉(……単に外に出ただけで嬉しそうにしちゃって)

姉(久しぶりだし仕方ないか)

姉(それにしても、楽しそうに喋ってたな)

姉(学校の話をここまで楽しそうにしてた事あったっけ?)

少女(!)

姉(入院中に話し相手がいなかったとはいえ……)

姉(まぁ、入院する前は)

姉(私もお母さんもあまり話聞いてなかったか)

少女「……」

姉「そろそろ戻る?」

少女「そうだね」カラカラカラ

少女「……?」(何かが聞こえてくるような)

姉「……どうしたの?」カラカラ

少女「……いや、何でも」
  (お姉ちゃんには聞こえてない、ってことは)

少女「……」ポワワワ

(お母ざぁぁぁぁん!! どこにいるのぉぉぉっぉオ!!)

少女「……なるほど、あっちか」

姉「何? 何か探してる?」(一体何なんだ)

少女「何か、子供が泣いてるのが一瞬聞こえたような気がして」

姉「本当? 注射が痛いとかでもなく?」キョロキョロ

少女「多分。右の斜め前くらい」

姉「ふーん……もしかして、あの子?」

幼児「……ぅ」(オガーザーン オガーザーン)

少女「だと思う、周りに親っぽい人いないし」

姉「確かに……よく気づいたね」

姉「……」カラカラ
 (面倒だけど仕方ないか)

少女「……」

幼児「……ぐずっ」

姉「大丈夫? お母さんとはぐれた?」

幼児「……」コクコク

姉「……どうしよう」

妹「どうしよう……」

アー「姉妹」とかでまとめてたから間違えた
>>399の「妹」は少女ですハイ


姉「少女、どうすればいいんだろう」(迷子の対処法なんて知らないよ)

少女「わかんないよ」(周りの大人は……)

(ロリコンと間違われそうだし)
    (いきなり手出しするのも)
 (大丈夫かなあ)

少女(駄目だな、そもそも気付いてない人も多い)

(迷子センターなんかないしな……受付はどこだったっけな)

姉「大丈夫だよー、きっとお母さんすぐ見つかるからね」

少女「……受付に連れてくとか?」

姉(なるほど)
 「……じゃ、お姉ちゃんたちと一緒に受付に行こうかー」

幼児「う゛ん……」グスグス

姉(しかし、どうやって車椅子を押しながら移動すりゃいいんだ?)ハタ

少女「……行こう、お姉ちゃん。私は自分で動かすから」

姉「そうだね」

姉(なんか、思い切りがよくなったな、前より)

姉(決断力が上がった、というか、何というか)

姉(……家を離れて育った?)

少女(……?)

(――ちゃん! またいなくなるなんて!)

少女「ん?」

幼児・姉「?」

(本当にあの子どこに行ったのかしら、さっきまでは手を繋いでたのに……!)

少女「……いや、何でもないんだけど」
  (この感じは……すぐ近くか)

少女(頑張れば方位も分かる、かな……でもどうやって怪しまれずに伝えようか)

幼児「あ、オヴァービャー!!」バタバタ
  (あ、おかーさんだ!)

姉妹「!?」

姉「な、何? 何でいきなり走り出して……?」
 (いきなり走るから迷子になったんじゃ)

少女「お母さんが見つかったんじゃないかな……」
  (後ろが見えない、車いすで方向転換ってどうすればいいんだろう)

姉「なるほど……とりあえず追いかけようか」
 (一回軽く持ち上げて回せばいいのかな?)

姉(そぉい! ……重いな)グルッ

少女「ありがと……あー」(ようやく見えた)

幼児の母親「ああ、〇〇ちゃん! 本当にどこに行ってたの!」
     (見つかってよかった……!)

幼児「オビャーオビャァァー」
  (おかあさぁぁーん!)

姉「……何はともあれ、会えたようでよかった」
 (気が緩んだのかな……何言ってるのかまったくわからない)

少女「……だね」
  (「声」の方がはっきりしてるよ)

幼児の母親「……あの!」

姉妹「?」





少女(すごくお礼を言われた)

少女(お姉ちゃんはいい事した、という顔をしていて)

少女(私は……よくわかんない)

少女(頑張れば「声」で見つける事も出来たけど、それがバレたら……)

少女(気持ち悪いよね、自分の思ってることが筒抜けなのは)

少女(今回は「声」に頼り切らなくても何とかなったけど)

姉「……」
 (            )

少女(……お姉ちゃんも単にいいことをしたって思ってる訳じゃなさそうだ)

少女(考えてることが難しい上に同時にいくつかの事考えてるからよくわかんないけど)

少女(後悔に近い……?)

姉「……それにしても、よく気づいたね、私じゃ気付かなかったよ」

少女「あ、うん……お姉ちゃんもよく話しかけられたよね」

姉「……そうだね」

少女(もやもやしてるなぁ……)

少女「迷子の子なんて初めて見たよ……本当、どうすればいいのかわからなかった」

姉「そうだね……うん、頑張ったよ、少女は」

少女「お姉ちゃんもだよ」
  (私だけじゃどうしようもなかったし……これだけははっきり言える)

姉「……」

姉「……そっか、そうだね」
 (そういう事にしておこう……今はそれで満足しよう)

姉「初めてにしては頑張ったよ、私達。さぁ、帰ろう」フフ

少女(……よくわかんないけど納得したようでよかった)

姉(……いつの間にか妹が成長していた)カラカラ

姉(この前まで本当にちっちゃかったし)

姉(一人じゃ何もできないって感じだったのにね)

姉(そういうものなのかな)

姉「……」

少女「……」

少女(さっぱりわかんないけど私は成長したらしい)

少女(何にせよ良かった、のかな?)

少女(まあいいか、何か今日は疲れた。明日はゆっくりしよう)

少女(……)カラカラ

姉(病室に着いたね)

病室の向こう「――……――――……」ザワ

少女「誰か喋ってるね」
  (お医者さんが来てるのか、いつも来るけどこの時間は珍しいな)

姉「看護婦さんとお医者さんと、……少年君だっけ」
 (何言ってるかまではわからないけど……聞いていいものでもないだろうし)

少女「あ、出てきた」

医者「……」
  (  の  が   、それも   か……何とまあ)

少女(専門用語ってものか。わからないという事だけはわかった)

看護婦「……」
   (今はまだ言えないわね……激しい運動は今後も厳しいって)

少女(……わかりたくもなかった)

姉「用事は終わったみたいだね、入ろうか」

少女「……うん」

少年「おかえりー」
(入れ違いで帰って来たのか)

少女「……た、ただいま……です……」

少年・姉(どうしたんだろ?)

少女「……」

姉「それじゃ、そろそろ時間だから私は帰るね……また来る」

少女「うん、また来てね……」

姉「……」バタン

少年「……」
  (さっきの訪問……何か嫌な予感がするんだよな)

少女「……」

少女(……どうすればいいんだろう)

少女(何で聞いちゃったんだろう)

少女(誰か教えてよ……!)

今日はここまでです

二重に遅くなった上にミスしてすいませんでした……
それにしてもリアルで「見てるよー^^」とか言うの本当にやめてほしいですね、静かに土に還ってほしい気分でいっぱいです

それではおやすみなさい……

このSSまとめへのコメント

1 :  1192   2014年02月28日 (金) 00:35:31   ID: 5sOusyvv

頑張れw

2 :  SS好きの774さん   2014年08月07日 (木) 10:25:33   ID: GqXpmPwG

直やで

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