まどか「絆が紡ぐ世界」 ほむら「杏子編」(532)

注意 のんびりとやっていくのでご容赦ください(たぶん、毎週日曜日に更新)

次から投下します

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1362863417

プロローグ

???『どうして、何度も繰り返すの?』

???『あなたを助けるためだよ』

???『どうして、私なんかを助けたいの?』

???『私なんか、じゃないからだよ』

???『どういう意味?』

???『大切な存在だからってことだよ』

???『どうして、私が大切なの?』

???『彼女の歴史が知りたい?』

???『うん』

???『なら、見に行こうか。彼女の歴史を』


ほむら『ここは……どこ』

たくさんの私がいろいろな画面で映し出されている。

???『これはたくさんのあなたを映しているの。たくさんのほむらちゃんが頑張ってるんだよ』

ほむら『どういうこと?』

???『ほむらちゃんは1人じゃないんだよ。それを忘れないで』

ほむら『待って! あなたは……』

病院

病室

ほむら「はっ!?」

ここは……。

ほむら「夢……?」

それにしても、変な夢。

ほむら「……あら? リボン?」

私の枕元には赤いリボンが置いてあった。

ほむら「これはなんなのかしら?」

まどかのリボンに似てはいるけど。

ほむら「……取っておきましょう」

とりあえず、私はまどかと約束した。今回こそ、まどかを救うと。

ほむら「……でも、どうやって?」

これまで、何度も駄目だったのに?

ほむら「……とりあえず、まどかの様子でも見に行きましょう」

癒しは必要だし。

ほむら「ほむ」

まどかの家

ほむら「……」

この時間なら、まどかは自室にいるは……

ほむら「あれ?」

まどかの部屋箱の部屋のはず……。なのに……。

ほむら「でも……」

部屋は物置になっている……。

ほむら「家を間違えたのかしら?」

玄関に回る。

『鹿目』

ほむら「間違いはないわよね」

ガチャッ

ほむら「!?」

知久「やれやれ。お酒を切らしちゃうなんて……ん?」

ほむら「……」

知久「君は……えっと、どちら様?」

ほむら「あ、いえ……」

誤魔化さないと。

ほむら「か、鹿目まどかさんに用が……」

知久「鹿目……まどか?」

ほむら「は、はい」

知久「えっと……間違ってないかな? 家にまどかなんていないよ」

ほむら「え?」

私はあまりの言葉に耳を疑う。

ほむら「そんなはずは……娘さんに……」

知久「うーん……家には息子しかいないし……名前もタツヤだし」

ほむら「そんな……」フラフラ

知久「き、君……大丈夫?」

ほむら「いえ……失礼します」

知久「あ、ちょっ……」

私は無視して、歩き出す。

ほむら「まど……か……」

この世界には私が守るべき……まどかはいないの?



ほむら「……」

まどかがいなかった。私には耐え難いショックだ。しかし……。

ほむら「ショックを受けているだけでは駄目ね」

私にはやるべきことがある。まどかを救うと。あそこにはまどかがいなかったのかもしれない。けど、まどかの存在がいないとも限らない。

ほむら「やるべきことは変わらない」

とりあえず、普段と違う行動をしてみましょう。

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

風見野

ほむら「……」

ここに彼女がいるはず。しかし……。

ほむら「ここから、どうやって、見つけましょうか」

いくら、魔法少女とはいえ、町1つを1人で捜すのは厳しい。しかし、あまり、時間もかけられない。

ほむら「ほむ? あっちから、魔女の反応」

もしかしたら、あの娘も……

ほむら「行ってみる価値はあるわね」ヘンシン

私は魔女の元に駆け出した。

ほむら「……」

私が魔女の元につくと、結界内ではすでに戦いが行われていたようだ。

ほむら「たぶん、彼女ね」

これは好都合ね。

ほむら「すこし、待ちましょう」

びゅーん

しばらくすると結界の中から、赤い服を着た魔法少女、佐倉杏子が現れた。

杏子「あん? なんだ、あんた」

ほむら「私の名前は暁美 ほむら。佐倉 杏子。あなたに話があるの」

杏子「な、何で、私の名前を……暁美 ほむら……聞いたことない名前だな。ん? その指輪……あんたも魔法少女か」

ほむら「ええ」

杏子「……で、何の話だ?」

ほむら「あなたに協力してもらいたいの」

杏子「協力?」

ほむら「ここではなんだから……ついてきて」

杏子「……いやだね」

ほむら「! どうして……」

杏子「あんたを信用できないからさ。もしかしたら、私を嵌める気かもしれないだろ」

ほむら「……」

たしかに。

杏子「誰が首謀者かはしれないが、そいつには言っておけよ。私を呼び出すのに失敗しましたってな」

ほむら「待って。別に私はあなたを罠にはめるつもりなんてないわ」

杏子「けっ。信用できるかよ」

ほむら「……なら、ここでいいから、話を聞いて」

杏子「……」

ほむら「お願い!」

杏子「……まあ、話くらいなら、聞いてやるよ」

ほむら「ありがと」ニコッ

杏子「……サッサと話せ」プイッ

ほむら「私は……」

これまでの流れを説明中

ほむら「というわけよ」

杏子「……」

ほむら「いきなり、信じてくれと言われても、無理かもしれないけど……信じてほしい」

杏子「ちょっと、待て。いろいろあって混乱してきたぞ。つまり、なんだ。私達の魂はソウルジェムにされて、仕舞いには魔女になると」

ほむら「ええ」

杏子「で、あんたは友達を救うために未来から来たと」

ほむら「そうよ」

杏子「信用できるか」

まあ、当然の話でしょうね。

ほむら「気持ちは分かるけど、本当のことよ」

杏子「なら、変身してみてくれ」

ほむら「変身?」

杏子「お前の話が本当なら、時間を止められたり、できるはずだろ。その力を見せてくれ」

ほむら「お安い御用よ」ヘンシン

ほむら(時を……!?)

杏子「おいおい。どうして、弓が出てくるんだ?」

ほむら「え? え?」

杏子「……」

杏子(これをどう判断するか。嘘をついていた? なら、こんな簡単に誘いには乗らないよな。しかし、……)

杏子「どういうことだ、おい。ぜんぜん、ちげえじゃねーか」

杏子(揺さぶってみるか)

ほむら「これは……ち、違うの」

杏子「何が違うんだ?」

ほむら「それは……」

杏子「あんたの話が本当なら、盾なんだろ? どうして、弓なんだよ?」

ほむら「えっと……私にも何がなにやら……」オロオロ

杏子「ったく。話になんねーよ。じゃあな」

ほむら「待って!」ギュッ

杏子「……なんだよ」

ほむら「行かないで!」

杏子「もう、あんたと話すことはねえよ」

ほむら「私にはあるわ。私に協力して」

杏子「だから、お前を信用できねえって」

ほむら「信用して」

杏子「無茶言うなよ……」

ほむら「どうしたら、信じてくれるの?」

杏子「そうだなあ……グリーフシードを持って来いよ」

ほむら「グリーフシード?」

杏子「そうだ。それを3個、しかも、今日中にな」

ほむら「今日中……」

杏子(グリーフシードは魔法少女にとって、貴重な物。1個なら、ともかく、3個はな)

杏子「幸い、今日は魔力をたくさん感じるしな。何とかなるだろ」

杏子(我ながら、無茶を言ってるもんだな)

ほむら「……どこに行けばいい?」

杏子「は?」

ほむら「グリーフシードを手に入れたら、どこにもって行けばいいの?」

杏子「……正気か?」

ほむら「もちろんよ」

杏子「……あそこのホテルの屋上」

佐倉 杏子は指を指す。

杏子「あそこにいるよ」

ほむら「そう。ねえ」

杏子「何だよ」

ほむら「約束、ちゃんと守りなさいよ」

杏子「……ああ」

かつての自分を考えた時、愚かなことをやっていると思う。しかし……。



ほむら『この世界を守らないといけないから。簡単にはそちらにいく気もない。どんなに苦しくても、辛くても……』

ほむら『私はこれから、人を信じて、人に信じられるように頑張ろうと思うわ。たとえ、困難なことでも』



どこかの世界でそう決意した気がした。

ほむら(馬鹿げた話だけれども)

この先、佐倉 杏子の協力は必要不可欠だし。

ほむら(……違うわね。私は……)

佐倉 杏子と一緒に戦いたいのだ。

ほむら(比較的、私に協力的だったしね)

もっとも、心から私を信用していたわけではないでしょうけど。

ほむら「……時間はないわ」

どうして、私の武器が弓になってしまったのかは分からないけど。

ほむら「……やるしかないわね」

杏子視点

あるホテルの屋上

杏子「おかしな奴だな」

もっと、友好的な魔法少女がいるだろうに。

杏子「マミさん……とかさ」

他に魔法少女を知らなかったのか?

杏子「あいつの話が本当なら、知っていたはずだしな」

まあ、ごちゃごちゃ、考えても仕方がないか。

杏子「しかし、私も大概、お人好しだな」

何でか、あたしは屋上で待ってんだから。

杏子「さーて。一眠りでもしようかな」

ほむら視点

ほむら「ぐっ……」ポタポタ

ヘマをうったわね。慣れてない弓を使ってたとはいえ、何たる様だろうか。

ほむら「とはいえ、後、1個………」

回復させたいが無駄に魔力を使うのは惜しい。

ほむら「もってね、私の身体」

杏子視点

杏子「んん……ふぁーあ」

人間どんなとこでも寝られるもんだな。ぐっすりと寝てた。

杏子「……時間は」

23時59分

杏子「ん、良い時間だな」

やっぱり、あいつは来なかったな。

杏子「まあ、そんなもんか」

0時00分

杏子「タイムリミットだ」

あたしはこの場を去ろうとした。

???「……待ちなさい」

私の背中から声が聞こえた。

杏子「……」

来たのか?

???「これ……」コトン

あたしは振り返った。

ほむら視点

ほむら「約束のグリーフシード3個よ」

杏子「お前……」

ほむら「はあはあ……約束は守ってね」

杏子「おい、あんた……」

ほむら「くうう……」ポタポタ

杏子「傷だらけじゃねーか」

ほむら「短時間で倒していかないといけないから……回復の時間も惜しいのよ」

杏子「ソウルジェムも黒いじゃねーか」

ほむら「はあはあ……まだ、平気よ。後、1匹倒せば……」

杏子「ちっ。めんどくせーな」シュルルル

ほむら「!?」

杏子はソウルジェムの1つで私のソウルジェムから穢れを取った。

杏子「ほらよ」

ほむら「あなた……どうして?」

杏子「あん? あたしがこれをどう使おうと勝手だろ?」

ほむら「……」

杏子「それより……賭けはあんたの勝ちだな」

ほむら「……ええ」

杏子「約束だかんな。協力してやるよ」

ほむら「……ありがと」

杏子「ん……で、どうすんだ?」

ほむら「もう遅いし……話は後日ね」

杏子「そうだな。じゃあ」

ほむら「待ちなさい。あなたはどこに住んでいるの?」

杏子「は? そんなの知る必要あるか?」

ほむら「いざという時に連絡場所が分からないと駄目でしょ?」

杏子「……なるほど。そこのホテルに今はいるよ」

ほむら「……お金はあるの?」

杏子「そんなのなくたって、平気だろ? んじゃ」

ほむら「……待ちなさい」

杏子「んだよ」

ほむら「私の家に来なさい」

杏子「は?」

ほむら「勝手にホテルを使うなんて、よくないわ。私の家に来なさい」

杏子「あんたの家ねえ……」

ほむら「早く」

杏子「仕方がねえな」

ほむホーム

ほむら「ここよ」

杏子「……せめーな」

ほむら「文句は言わないで。さあ、もう、遅いから寝ましょう」

私は押入れから布団を出す。

杏子「ふぁーあ……そうだな」

次の日

杏子「んん……」

ほむら「起きたかしら?」

杏子「!? あ、あんた、なん……そっか。あんたの家に世話になったんだっけ」

ほむら「朝ご飯よ」

杏子「……」

ほむら「? どうかしたの?」

杏子「いや……」

ほむら「朝だから、簡単なものだけど……」

私はトーストと目玉焼きを杏子の前に並べる。

杏子「……」

ほむら「遠慮しなくていいわよ」

杏子「いや……和室にトーストは合わないなあと」

ほむら「うるさいわね」ホムホム

杏子「まあ、いいや。いただきますと」

朝食後

ほむら「それじゃ」

杏子「ん? どっか行くのか?」

ほむら「今日、学校なのよ」

杏子「ああ、なるほどね」

ほむら「部屋は自由に使っていいわ。できるだけ、早く帰るわ」

杏子「おう。行って来い」

ほむら「ええ。行ってきます」

バタンッ

杏子視点

杏子「学校ねえ……」

そういや、全然行ってねえや。

杏子「……家か」

いつ以来だろうなあ。

杏子「ふぁーあ。……寝よ」

ほむら視点

和子「玉子が」

中沢「どっちでも」

和子「転校生を」

さやか「そっちが後回し」

和子「暁美さん」

ほむら「……」スタスタチラッ

モブ「?」

ほむら「!?」

まどかの席には誰かは分からない違う生徒が座っていた。

ほむら(まどかは……?)

和子「暁美さん……?」

ほむら「す、すいません。暁美 ほむらです」

和子「……」

ほむら「……」

和子「えっと……」

ほむら「……」スタスタ

休み時間

生徒A「暁美さんって、前はどこの学校だったの?」

生徒B「前は、部活とかやってた?運動系?文化系?」

生徒C「すっごいきれいな髪だよね。シャンプーは何使ってるの」

ほむら(……まどかは一体……)

いつものやり取りの中、私の頭はここにはいないまどかでいっぱいだった。

ほむら(ここは……)

ほむら「ごめんなさい、少し、気分が悪くて……」

生徒A「案内しようか?」

ほむら「おかまいなく。係りの人に……えっと」

生徒B「そう? 美樹さーん」

さやか「ん?」

生徒C「暁美さん、気分が悪いんだって」

さやか「そりゃ、大変だ。保健委員のさやかちゃんにお任せだー!」


さやか「……」

ほむら「……」

何とか、廊下には連れ出した。まどかについて聞かないと

さやか「ねえ?」

ほむら「!?」

そう思っていたら、向こうから声をかけてきた。

さやか「さっき、こっちのほうを見てた気がするけど、誰か知り合いがいたの?」

ほむら「……いるかと思ったのよ」

さやか「? そっくりさんでもいたの?」

ほむら「鹿目 まどか」

さやか「は?」

ほむら「鹿目 まどか。知らないかしら?」

さやか「鹿目 まどか……? 誰、それ」

ほむら「……」ギュッ

私は思わず、美樹 さやかの胸元を掴みあげる。

さやか「んぐっ!」

ほむら「本当に? ねえ? 本当に知らないの?」

さやか「し、知らないって!」

ほむら「……そう」バッ

さやか「げほっげほっ。いきなり、何すんのよ!」

ほむら「ねえ、貴女は自分の人生が、貴いと思う?家族や友達を、大切にしてる?」

さやか「は? いきなり、何を言い出すの?」

ほむら「忠告よ。今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね。さもなければ、全てを失うことになる」

さやか「あんた、頭大丈夫?」

私はそれを無視して、

ほむら「……とにかく、忘れないでね」

そう言って、その場を去った。

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

来週は諸事情により、更新できないので、再来週になります。

放課後

ほむら「放課後になったけど……」

どうしましょうか。

ほむら「……やはり、まどかの居所を知ってそうな奴に聞いてみるしかなさそうね」

となれば……。

デパート

ほむら「インキュベータ」

QB「君は……」

ほむら「あなたに聞きたいことがあるの」

QB「僕とかい? 君は何者だい?」

ほむら「私が誰かなんてどうでもいいわ。それより、鹿目 まどかを知らないかしら?」

QB「鹿目 まどか?」

ほむら「ええ」

QB「……」

ほむら「あなたなら、何か知ってるんじゃないかしら?」

執拗に契約を迫っていた淫獣だ。すでにまどかに目をつけているに違いない。

QB「悪いけど、知らないよ」

ほむら「本当に?」

QB「君がどうして、僕を知ってるかは知らないけど、僕を知ってるなら、僕が嘘をつかないことも知っているだろう?」

ほむら「……たしかに」

QB「それより、僕としては君が気になるんだけどね」

ほむら「あなたが知る必要はないわ」

QB「そうかい。でも、そろそろ……」

びゅーん。

QB「来たか……やれやれ。本当は美樹 さやかをここに呼び寄せたかったんだけどね」

ほむら「思惑が外れて、残念ね」

QB「まあ、いいさ。君も魔法少女なんだろ?」

ほむら「残念ながらね」ヘンシン

使い魔「ウキキキキ」

使い魔「ガアアアアアア」

ほむら「面倒だけど……」ユミダシ

???「あら? 先客がいるのね」

ほむら「!? その声は……」

?「あなた、新しい魔法少女?」

ほむら「巴 マミ……」

マミ「あら? 私を知っているの?」

ほむら「……ええ」

幾多の時間軸で会ってきました。とは、流石に言えないわね。

マミ「どこかで会ったかしら?」

ほむら「……そんなことはどうでもいいわ。それより」

使い魔「ウキキキキ」

使い魔「アアアアア」

マミ「そうね……まずは一仕事してしまいましょうか」



マミ「いっちょ上がり……と言いたいけれど、魔女は逃げたようね」

さすがは巴さん。あっという間に、使い魔を一蹴したわね。

マミ「さて……話の続きと行きましょうか。ここではなんだから、私の家に来る?」

ほむら「かまわないわ」ファサ

マミの家

マミ「どうぞ」

ほむら「ありがとうございます」

マミ「で、あなたも魔法少女みたいだけど、キュウベえと契約したばかりなのかしら?」

QB「あいにくだけど、それは違うよ」

マミ「キュウベえ……」

QB「僕はあの時、聞かれたのさ。『鹿目 まどか』を知らないかってね」

マミ「そうなの?」

ほむら「……ええ」

余計なことをベラベラと……。

マミ「その鹿目 まどかっていうのは?」

ほむら「私が人生を差し出してでも、助けたい友達よ」

マミ「……そう。でも、何で、キュウベえにその人のことを聞いたの?」

ほむら「……」

本来なら、何もしゃべらないところだけど……。

ほむら「信じてもらえないかもしれないけど……」

私はある程度、正直に話した。もちろん、ソウルジェムの秘密については話はしなかったけど。

マミ「……」

ほむら「というわけよ」

マミ「……つまり、あなたは友達を救うために未来から過去に来たと」

ほむら「ええ」ファサ

マミ「でも、あなたの武器は弓よね」

ほむら「……そうよ」

マミ「それっておかしくないかしら?」

ほむら「……それを言われると辛いわね」

マミ「でも、あなたが嘘をついているようにも見えないわね。どう思う、キュウベえ」

QB「……」

マミ「キュウベえ?」

QB「……現時点ではこれが嘘だとも、本当だとも判断できないよ。仮に嘘だとしても、嘘をつくことにメリットがない。だけど、本当だと考えるのも無茶すぎる」

マミ「……そうね」

ほむら「ところで」

マミ「ん?」

ほむら「あなたも知らないわよね。鹿目 まどかを」

マミ「……ごめんなさい。聞き覚えがないわね」

ほむら「そう」

私は立ち上がる。

ほむら「お邪魔したわね」

マミ「待って」

ほむら「何かしら?」

マミ「あなたはこれから……どうするの?」

ほむら「……とりあえず、まどかを捜すわ。必ず、この世界のどこかにいるはずだし」

マミ「……そう」

ほむら「あ、1つ、お願いがあるわ」

マミ「何かしら?」

ほむら「美樹 さやか」

マミ「? 誰?」

ほむら「彼女を魔法少女の世界に巻き込まないで」

マミ「その子は魔法少女?」

ほむら「違うわ。普通の子よ」

マミ「なら、平気よ。さすがに一般人を危険に巻き込もうとはしないわよ」

ほむら「……」

前の時間軸では一緒にいたのだけどね。

ほむら「お願いね」

マミ「ええ」

ほむら「それじゃ」

ほむホーム

ほむら「ただいま……」

と言っても、おかえりを言ってくれる人もいないけど……。

杏子「おかえり」モグモグ

ほむら「……」

杏子「ん? どうした?」

ほむら「……何でもないわ。まだ、いたのか?」

杏子「悪いか?」

ほむら「いいえ……ご飯に……といっても、あなた食べてるわね」

杏子「? 飯は食うぞ」

ほむら「まだ、食べるの?」

杏子「今のはおやつだよ」

ほむら「おやつ……」

杏子「どうした?」

ほむら「……何でもないわ。今、用意するわ」



ほむら「できたわよ」

杏子「ほう。オムライスか。うまそうだな。いただきます!」パクッパクッ

ほむら「……」

しかし、よく食べるわね。

杏子「うめえな!」パクッ

ほむら「ありがと」

杏子「ところで……」パクッ

ほむら「何かしら?」

杏子「見つかったのか? 鹿目 まどかってやつは」

ほむら「……」フルフル

杏子「ふーん……」パクパクムシャムシャ

ほむら「この時間軸は何かおかしいわね」

杏子「まあ、お前の言ってることが本当ならな」

ほむら「私の言うことを信じてないの?」

杏子「簡単には信じられないだろ」

ほむら「……それはそうよね」

杏子「だが、協力はするさ。安心しろ」パクパク

ほむら「……」

はたして、安心して大丈夫なのかしら。

杏子「そうだな……そいつの姿とかどんなだ?」

ほむら「知ってどうするの?」

杏子「どうせ、暇なんだ。捜してやるよ」

ほむら「そこまでしてもらっていいのかしら?」

杏子「まあ、飯とかもらってるしな」

ほむら「……なら、お願いするわ」

杏子「おし。任せろ」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

次の日

学校

さやか「ねえ、転校生」

ほむら「何かしら?」

さやか「昨日の……あれって何なの?」

ほむら「……」

さやか「それに人を捜してるみたいだったけど……」

ほむら「鹿目 まどか」

さやか「え?」

ほむら「その人を捜してるのよ」

さやか「鹿目 まどか……あんたの知り合い?」

ほむら「……私にとって大切な人よ」

さやか「大切な人ねえ……」

ほむら「私にとっては人生をかけるくらい大切な人よ」

文字通りね。

さやか「ふーん。で、その人はここにいるってこと?」

ほむら「そうよ」

さやか「でも、ここには鹿目 まどかって子はいないよ」

ほむら「……そのようね」

どうして……まどか……。

さやか「私も手伝おうか?」

ほむら「え?」

さやか「そのまどかって子を捜すの」

ほむら「……」

さやか「転校してきたばっかりで、この街もあんまり分からないだろうし」

ほむら「ありがと。でも、大丈夫よ」

さやか「そう」

ほむら「それより……」

カキカキ。私はノートに絵を書く。

さやか「ん?」

ほむら「こんな感じの生き物が現れたら、私に連絡を頂戴」

さやか「何これ? 生き物?」

ほむら「そいつは契約、契約と迫ってくるから、無視をしてね。私が来るまで、手を出しては駄目よ」

さやか「は、はあ……何だか分からないけど、分かった」

ほむら「お願いね」

下準備は済ませたわね。もっとも、効果があるかは分からないけど。

ほむら(事情を話すのは楽だけど……できるなら、関わらないでいたほうがいいわよね)

知らないほうが幸せなこともあるわけだし。魔法少女のことなんて、知らないほうがいい。

放課後

杏子「しかし……なんだな」

ほむら「どうかしたの?」

杏子「人間、1度楽になると駄目だな」

ほむら「説得力のある言葉ね」

私が帰るとお菓子を食べながら、主婦のようにテレビを見ていたし。

ほむら「まどかについては調べたの?」

杏子「まあな。とはいっても、いい結果は得られなかったけどな」

ほむら「どこを調べたの?」

杏子「とりあえず、この街の役所って所に行ってみた」

ずいぶん、大胆なところに行ったものね。

杏子「だけど、鹿目 まどかって名前なんて、いなかったよ」

ほむら「……そう」

杏子「……」

ほむら「……どうかした?」

杏子「意外に冷静だな」

ほむら「え?」

杏子「あんたの話通りなら、発狂してもおかしくはないだろ?」

ほむら「……」

杏子の言ってることももっともな話だ。

ほむら「……」

しかし、私は昔、それを経験しているような気がした。

ほむら『ま、まどかがいない! どうして! どうして! どうして!!』



ほむら「んぐっ」

杏子「ど、どうした? 大丈夫か?」

ほむら「……何でもないわ」

一瞬変なビジョンが見えたけど……気のせいよね。

杏子「顔色も悪いが……」

ほむら「平気よ……それより」

杏子「……分かってるよ」

近くから魔女の反応がする。

杏子「無理すんなよ」

ほむら「分かってるわよ」

私達は臨戦態勢で魔女の元に向かった。

廃ビル

ほむら「……ここね」

杏子「ああ……ん? 誰かいるぞ」

私達は倒れている女の人の元に行く。

ほむら「これは……」

杏子「死んでるのか?」

ほむら「気絶してるだけよ」

杏子「そうか……」

ほむら「どうやら、先客がいるようね」

杏子「……そうみたいだな」

おそらくは巴 マミでしょうけど。

ほむら「行きましょう」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

結界

???「ティロ・フィナーレ!」

ズドーン!!!

ほむら「決着がついたみたいね」

私達が魔女の元についた時には先客が華麗に必殺技を決めていた。私達はそれを影から見ている。

ほむら「巴さんにも協力を求めたいけど……」

杏子「……」

ほむら「あなたは嫌そうだし」

杏子「別に嫌ってわけじゃねーよ」

露骨にいやそうな顔をして、言われても、説得力がない。

ほむら「この戦いでは平気だったけど、近々、大変なことになるの」

杏子「どういうことだ?」

ほむら「それは……」

はたして、どう説明すべきか。

ほむら「この後、巴さんは……」

私は前回までのことを話した。

杏子「マミが魔女に喰われた?」

ほむら「ええ」

杏子「あのマミがねえ……」

ほむら「まあ、あの時は油断もあったから、今回は……」



???「さすがはマミさん!!!」


ほむら「!? 今の声は!」


な、何で……。

マミ視点

今日の放課後

マミ「美樹 さやかさんねえ」

名前を聞くのを忘れてしまったけど……。あの少女が言っていた名前だ。

マミ「巻き込むなと言われたのだけど」

QB「そうもいかないよ。彼女にも資質がある。味方は多いほうが良い」

マミ「そうよね」

約束を破るようで嫌だけど、資質があるなら仕方がないわね。

マミ「こんにちは、美樹さん」

私は下校途中の美樹さんに声をかける。

さやか「え、えーと……どちら様?」

マミ「私の名前は巴 マミ」

QB「僕の名前はキュウベえ」

さやか「は、はあ……しゃべった!?」

マミ「少し、時間はいいかしら?」

ほむら視点

さやか「流石はマミさん!」



ほむら「な、何で……あの子が……」

杏子「誰だ、あいつ」

ほむら「話さなかったかしら?」

杏子「話したっけ?」

ほむら「まあ、いいわ。彼女は美樹さやか」

杏子「ふーん。で?」

ほむら「彼女にはあんまり、魔法少女に関わらないでほしかったわ」

杏子「何で?」

ほむら「……彼女が魔法少女になると、魔女になりやすいからよ」

杏子「そいつは厄介だな」

ほむら「ええ。だから、魔法少女には近づけさせたくはないのよ」

杏子「とは言っても、マミとは接触したみたいだな」

ほむら「巻き込むなと言ったのに」

杏子「まあ、過ぎたことは仕方がないだろ。問題はこれから、どうするかだ」

ほむら「……」

幸いにして、この世界では敵対をしていない。

ほむら「うまく、手を結べれば、いいのだけど」

杏子「問題は山積みだな」

ほむら「ええ」

存在がなくなったまどかの捜索。この先の危機。気の休まる暇はないわね。

びゅーん

ほむら「結界が解けるわね」

杏子「どうすんだ?」

ほむら「あなたは隠れていなさい。とりあえず、私が接触するわ」



マミ「あら? あなたは……」

さやか「転校生……」

ほむら「何をしているの?」

マミ「魔女退治よ。といっても、もう、終わりだけど」

ほむら「そうではなくて、昨日、言ったわよね。美樹 さやかを巻き込まないでと」

さやか「あ、あたし?」

マミ「ごめんなさい。巻き込みたくはなかったのだけど、彼女にも資質があるみたいだし、なら、無関係とは言いきれないと思って」

ほむら「……」

さやか「ねえ、転校生。あたし、転校生とどこかで会わなかった?」

ほむら「……どうして?」

さやか「だって、あたしを巻き込まないでって、言ったんでしょ? それってさ。何かを知ってるんじゃ……?」

ほむら「……気のせいよ。それじゃ」

マミ「待って」

ほむら「何かしら?」

マミ「ねえ、暁美さん。あなたの目的は?」

ほむら「……どうして、そんな事を聞くの?」

マミ「あなたは何をたくらんでいるかによって、行動が違ってくるからよ」

ほむら「……私と戦うつもり?」

マミ「場合によってはね」

ほむら「……」

マミ「……」

わずかな時間、睨み合いが続く。

ほむら「……あなた達には害はないようにするわ」

マミ「そうあってくれることを望むわね」

ほむら「それじゃ」スタスタ



杏子「最悪じゃねーか」

ほむら「分かってるわよ」

杏子「どうすんだよ。協力なんて、無理だろ」

ほむら「分かってるわよ」スタスタ

杏子「で、どこ行くんだよ?」

ほむら「まどかの家よ」

杏子「まどかの?」

ほむら「もしかしたら、何かヒントがあるかもしれないわ」

杏子「……なるほどな」

まどかの家

杏子「どうすんだ? 正面から入るのか?」

ほむら「さすがにそれはないわよ」

私はまどかの部屋のあった場所を指差す。

ほむら「夜にあそこから、侵入するわ」

杏子「泥棒だな、まるで」

ほむら「それは言わないで」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

乙。
杏子編ってことは前作とかも有ったりする?有ったら教えて欲しい。

乙です

>>63
ある
まどか「絆が紡ぐ世界」 ほむら「マミ編」

まどか「絆が紡ぐ世界」 ほむら「さやか編」

このスレのは、その続きになってる、みたい。



ほむら「いくわよ」

杏子「へいへい」

私達はまどかの部屋を外から目指す。

ほむら「……」

中を窓から見回す。

ほむら「真っ暗ね」

杏子「どうやら、倉庫みたいだな」

ほむら「中に入ってみましょう」

杏子「どうやって」

ぽんっ。

ほむら「任せたわ」

杏子「あたしかよ」

ほむら「手馴れてるでしょ?」

杏子「失礼な奴だな」

杏子は渋々といった感じに窓を開ける。

ほむら「さすがね」

杏子「褒められても嬉しくはないがな」

私達は部屋に侵入する。

杏子「完全な倉庫だよな」

たしかにダンボールがたくさん、置いてある。

ほむら「……」

まどかが使っていた机がある場所にも何もない。これは……。

杏子「どうした?」

ほむら「……何でもないわ」

ここにはまどかがいた形跡はない。だとしても……。

???「誰かいるのか?」

ほむら「まずいわ」

杏子「行くぞ」

がちゃっ。

智久「あれ?」

しーん。

智久「気のせいか」

ほむホーム

杏子「結局、収穫なしか」モグモグ

ほむら「……そうね」

杏子「まあ、あったとしたら、鹿目 まどかなんて、あの家にはいなかったってことだろうなあ」

ほむら「……」

まどか……。

杏子「どうした?」

ほむら「……何でもないわ。私は先に寝るわね。おやすみ」

杏子「ああ……おやすみ」



ほむら「……まどか。ぐす……」

今日もまどかの行方の手がかりは見つからなかった。まどかがいない……。

ほむら「私は何のために……」

次の日

ほむら「いってくるわね」

杏子「おう」



ほむら「……」

これから、どうすれば、いいのかしら? そもそも、どうして、まどかがこの世界にいないのだろう。

ほむら「その理由を調べるべきかしら?」

いや、それはこの世界にまどかがいないことを認めることになる。

ほむら「……まどか」

あなたはどこにいるの?

昼休み

さやか「ねえ」

昼になると、すぐにさやかがやってきた。

ほむら「何かしら?」

さやか「話があるんだけど……」

おそらくは昨日のことだろう。

ほむら「分かったわ」

屋上

ほむら「で、話って何?」

さやか「……正直な話さ。あんた、何をたくらんでるの?」

敵意をこめた目を向けてくる、美樹 さやか。

ほむら「別に何もないわよ」

さやか「本当に?」

ほむら「本当よ。……といっても、信じてはくれないでしょうね」

さやか「……」

ほむら「話はそれだけ? それじゃ……」

ズキッ。

ほむら「!?」

今、胸の奥が何か痛んだような……。このまま、帰ってはいけないような……。不思議な感覚に足を止めた。

さやか「……どうかしたの?」

ほむら「……何でもないわ」

私は再び、歩き出した。胸の痛みを無視して。

数日後

ほむら「そろそろね……」

私は巴マミと美樹さやかの後をつけながら、言った。

杏子「何が?」モグモグ

ほむら「例の日よ」

数日が経ち、特にまどかの手がかりを得ることもなかった。

杏子「マミがやられるだっけ? 本当なのか?」

ほむら「ええ」

杏子「にわかには信じられないけどなあ」

たしかに巴 マミはベテランの魔法少女。それに加え、杏子とは長く一緒にいたわけだし、信じられないのも無理はない。

杏子「とはいえ、ありえないことではないし、あたし達も人事ではないがな」

ほむら「……そうね」

魔女と戦うということはそういうことだから。

杏子「だから、マミと青髪の後をつけてるって訳か」

ほむら「そういうことよ」

病院

杏子「どうすんだ?」

ほむら「何がかしら?」

杏子「このまま、待ってんのか? 先にその魔女を捜して、倒しちまうのか?」

ほむら「……」

なるほどね。たしかに先に私達が処理をしてしまえば、いい話ね。幸いにして、過去の経験から、どこらへんにあるかは分かる。しかし……

ほむら「とは言っても、探して、見つからなくて、向こうが先に見つけてしまうと……」

ここはイレギュラーな世界。同じ場所にあるとは限らないし、下手をすれば、結局は巴マミがやられる可能性がある。

杏子「でも、このまま、ここにいるのもなあ」

ほむら「後手になるとは思うけど、それがベストだと思うわ」

杏子「へっ。分かったよ」

ほむら「そこで、何か買ってあげるから、拗ねないで」



杏子「で、何で、アンパンに牛乳なんだよ」

ほむら「張り込みの定番じゃない」

杏子「いつの時代の話しだよ」モグモグ

ほむら「結局、食べてるじゃない」

杏子「くいもんは粗末にできないだろ」

ほむら「はいはい」

マミ「……」

さやか「……」



ほむら「出てきたわね」

杏子「なあ、ほむら」

ほむら「何かしら?」

杏子「食わないなら、そのあんぱんくれ」

ほむら「……はい」



さやか「マミさん!」

マミ「これは……」



ほむら「ここでも、場所は変わってなかったのね」

結局はいつもと同じ場所にグリーフシードはあった。

杏子「結界ができちまったな」

ほむら「追いかけましょう」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

結界

杏子「で、どうすんだ?」

ほむら「素直に話しても、きっと、反発されるでしょうね」

前回ではリボンで縛られているし。

杏子「だろうなあ。あたしもいろいろあったし」

ほむら「というわけで、ピンチになったら、助けられるように待機しましょう」



マミ「もう、何も怖くない!」



ほむら「さすがね。あっという間に使い魔を倒しているわ」

杏子「なんていうか、あれだな」

ほむら「どうかしたの?」

杏子「よくさ。主人公のピンチを助ける奴とかいるじゃん」

ほむら「え、ええ」

杏子「そいつらもさ。こうやって、主人公がピンチになるまで、こうやって、隠れてるのかなあと思うとなあ」

ほむら「何をくだらないことを言ってるの」

杏子「しかしなあ。あいつ、負けそうにないじゃん」

ほむら「その油断が命取りになるのよ」



マミ「あれね……」

QB「まずい! 孵化するよ」



ほむら「くるわね」

杏子「心配しすぎだと思うんだがなあ」



ぴしゃああああああああん!!!

シャルロッテ お菓子の魔女

シャルロッテ「……」



杏子「あいつか……」

ほむら「ええ」



マミ「一気に決めさせてもらうわよ」



ほむら「そろそろ、危ないわね」

杏子「圧倒的にマミが優勢だぞ」

ほむら「その油断が命取りになるのよ」



マミ「ティロ・フィナーレ!」

ズドン!



杏子「決まったか?」

ほむら「いえ……」


シャルロッテ「あーん」

マミ「ハッ……」



杏子「なっ……」

ほむら「……」

ビシュッ! ビシュッ!



シャルロッテ「……」

ズバババババ

さやか「魔女が撃ちぬかれた!?」

マミ「あ……ああ……」

ペタン。

巴 マミは腰が抜けたように座り込む。

さやか「マミさん!」

巴 マミに走り寄る、美樹 さやか。

マミ「あ……ああああ……」

ガクガクブルブル。

さやか「大丈夫ですか、マミさん!」

シャルロッテ「……」

ムクリと起き上がる魔女。

さやか「こいつ、まだ…・・・」

QB「さやか! 僕と契約を!」

ほむら「その必要はないわ」

スタッ。

魔女と美樹 さやか達の間に立つ、私。

ほむら「下がっていなさい」

さやか「あんた……」 

シャルロッテ「……」

ほむら「こいつを倒すのは私」

私は弓を構える。

ほむら「離れてなさい。巴 マミを連れて」

さやか「でも……」

ほむら「いいから」

さやか「……ほむら」

ほむら「?」

さやか「ありがと」

ダッ

美樹 さやかは巴 マミを抱えながら、逃げ出した。


杏子「格好つけてんな」

ほむら「別にそういうつもりじゃないわよ」

シャルロッテ「……」

ほむら「怒った眼で私達を見てるわね」

杏子「そりゃあ、食事の邪魔をされたら、怒るよな」

ほむら「なら、邪魔しないほうが良かったかしら?」

杏子「冗談はやめろよ」

ほむら「それじゃ、さっさと倒しましょうか」

杏子「足をひっぱんなよ」

ほむら「あなたこそ」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。



シャルロッテ「ぐがあああああああああ」

杏子「いっちょあがり、と」

ほむら「さすがね」

杏子「たいしたことじゃないさ」

ほむら「それじゃ、先に帰っていて。私はさやかのところに行くわ」

杏子「おう」



ほむら「大丈夫かしら?」

さやか「私は平気。それより……」

マミ「……ううう」

巴 マミは体を震わせ、涙を流している。まあ、死に掛けたわけだし、仕方がないことよね。

さやか「今の人は……」

ほむら「……知り合いよ」

今はこう言っていた方がいいわよね。

びゅーん。

ほむら「結界が解けたわね」

私は美樹 さやか達に背を向ける。

ほむら「巴 マミは任せるわ」

さやか「あっ……」

ほむら「それと分かったでしょ? 魔法少女がいかに危険なものかを」

さやか「……」

ほむら「次はないかもしれないわよ」

杏子「手厳しいなあ」

ほむら「きつく言っておいた方が良いでしょ」

杏子「まあな」

ほむら「とにかく、これで巴 マミも死なずにすんだわね」

杏子「危機一髪だったけどな」

ほむら「後は協力できるかどうかね」

杏子「……」

ほむら「どうかしたの?」

杏子「いや……やりづらいなあと思ってな」

ほむら「何が?」

杏子「前に喧嘩別れしたしなあ」

ほむら「……やりづらくても、協力したほうがこの先、楽なのよ」

杏子「言いたいことは分かるけどさ」

ほむら「約束は約束でしょ。協力するっていう」

杏子「……わーってるよ」



ほむら「まあ、私も協力を求めづらいけれど」

ワルプルギスの夜やまどかのことを考えると、巴 マミの力は必要になってくる。

ほむら「戦力としてはじゅうぶ……」

回想

――――――――――――――――――――――――

ほむら「じゃあ、約束しましょう。私達はワルプルギスの夜を倒して、一緒にまどかを捜すの」

マミ「ええ。約束よ」

――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――

マミ「遊園地だけじゃない。映画やお買い物にも行きましょう」

ほむら「な、何を突然……」

マミ「約束よ。死なないでね。暁美さんとはやりたいことがいっぱいあるんだから」

――――――――――――――――――――――――



ほむら「……」

杏子「どうかしたか?」

ほむら「………何でもないわ。行くわよ」

杏子「へいへい」



ほむら「巴 マミの問題はとりあえず、解決したけど、まだまだ、問題は山積みね」

杏子「で、パトロールがてらにまどかって、奴の捜索ねえ」

ほむら「できることは地道にやらないとね」

杏子「……なあ」

ほむら「何かしら?」

杏子「前のあんたの話を信じるならさ。あんたは他人のために願い事を使ったんだよな?」

ほむら「……ええ」

杏子「……馬鹿だな、あんた」

ほむら「……」

杏子「たった1つしか、使えない願い事を無駄にしちまいやがってさ」

ほむら「後悔はしてないわ」

杏子「お前の話が本当なら、その願いのせいで、何度も何度も時間を巻き戻ってるわけだろ? だったら……」

ほむら「……私は立ち止まるわけにはいかないの」

杏子「……」

ほむら「立ち止まれば、私は終わりだから……」

杏子「……」

ほむら「魔女の反応があるわ。行きましょう」

杏子「………ああ」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

次の日



さやか「ほむら……」

ほむら「何かしら?」

さやか「昨日は……その……」

ほむら「?」

さやか「あ、ありがと。一応、助けてもらったから、礼は言っておくよ」

ほむら「……たいしたことはしてないわ」

さやか「で、でも! まだ、あんたを信用したわけじゃないから。勘違いしないでね」

ほむら「……分かってるわ」

ズキリ

毎度のこととはいえ、嫌われるのにはなれないわね。

ほむら(でも、それとは何か違うような気もする……)

ほむら「えーと……巴 マミは大丈夫かしら?」

さやか「……けっこう、ショックを受けたみたい。ずっと、ガクガク震えてたし」

ほむら「……そう」

それも仕方がないでしょうね。1歩間違えれば、死んでいたわけだし。

さやか「それじゃ、私は行くね」

ほむら「……ええ」

後で様子を見に行きましょう。

昼休み

ほむら「お休み……ですか?」

生徒「ええ。何でも、体調が悪いらしいけど……」

ほむら「……」

昨日のショックが抜けきれないのかしら? 放課後、様子を見に行ったほうがいいかしら?

生徒「えっと……」

ほむら「あ、すいません。ありがとうございました」ペコリ

放課後

ほむら「巴 マミの様子を見に行くわよ」

杏子「1人でいけよ」

ほむら「あなたも心配でしょ?」

杏子「誰が……」

ほむら「ほら。早く、いくわよ」

杏子「あたしは行かないからな!」

マミの家

ほむら「さあ、着いたわ」

杏子「……」

ほむら「どうかしたの?」

杏子「……何でもねえよ」

ほむら「? まあ、いいわ」

ぴんぽーん。

ドア「……」

杏子「……出ないな。留守じゃないのか?」

ほむら「今日、学校、休んでるから、家にいると思うけど」

杏子「なら、あれだ。きっと、寝てるんだな」

ほむら「まあ、その可能性もないとは言いきれないけど」

杏子「だろ? だから、邪魔はしないほうがいいな」


ほむら「……」

杏子「いやあ、残念だなあ。でも、仕方がないな」

ほむら「……そう言うわりには嬉しそうね」

杏子「そうか? あたしとしては残念で仕方がないけどなあ」

ほむら「笑顔で言われても、説得力がないわね」

ガチャッ、ガチャッ。

ほむら「鍵はかかってるみたいね」

杏子「いや、チャイム鳴らしてでないのに開けようとするなよ」

ほむら「もしかしたら、部屋で膝を抱えてるかもしれないじゃない」

杏子「いや、たしかに昨日はショックだろうけど、それはないだろ」

ほむら「……昔にそんなことがあったような気がするのよ」

杏子「はあ?」

ほむら「とにかく、いないなら、帰り……」

まどか『……』

ほむら「!?」

杏子「どうした?」

ほむら「まどか!」

杏子「あん? まどか?」

ほむら「まどか!」ダッ

杏子「おい! どこ行くんだよ! ……ったく」ダッ



まどか『……』

ほむら「まどか!」

杏子「待てっ……あん!?」

杏子(魔女の反応だと……。この先か?)

杏子「待てって! おい!」

ほむら「まどか!」

杏子「そっちには魔女が……なんだってんだよ! いったい!」

マミ視点

マミ「……」

学校にも行かず、私は部屋の中で膝を抱えていた。

マミ「……」

1歩間違えれば、私はあの時、死んでいた。そのことを思い出すだけで、体が震えてくる……。

マミ「……」

気がつけば、もう、夕方。一体、どれくらいの時間を膝を抱えていたんだろう。

マミ「……こんなことではいけないわ」

私は顔をペチンと叩いて、立ち上がる。

マミ「パトロールに行きましょう」

このまま、塞ぎこんでいても仕方がない。

QB「行くのかい?」

マミ「ええ」

私は家を出た。

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

ほむら視点

ほむら「はあ……はあ……まどか……」

私はまどかの姿を追いかけたけれど……。

ほむら「どこに……」

杏子「おい!」

ほむら「杏子」

杏子「やっと、止まったか……はあはあ」

ほむら「杏子……」

杏子「何なんだよ、一体」

ほむら「今、まどかが……」

杏子「まどかも何も……誰もいなかったぞ?」

ほむら「え?」

そんなはずは……。

杏子「そんなことより……」

ほむら「……こんな時に」

魔女の反応が……。

杏子「先客がいるようだけどな」

ほむら「まさか……」

まどか?

結界内

マミ「はあはあ……」

ほむら「あれは……」

杏子「マミじゃないか」

ほむら「そのようね」

相手はたいしたことのない魔女みたいだし、大丈夫かしらね。でも、それにしては……。

杏子「まあ、マミなら、平気だろ。この程度の魔女なら」

ほむら「……でも、様子が変よ」



マミ「はあはあ……」

魔女「ゴゴゴ」

マミ「ぐっ……」



マミ「はあはあ……」

魔女「ゴゴゴ」

マミ「ぐっ……」



>>112は間違い

普段の動きとは違い、どこか精彩を欠いている……。

杏子「何やってんだ、あいつは」

ほむら「……危ないわね」



魔女「ゴオオオオオオオ」

マミ「くっ……」

――――――――――――――――――――

シャルロッテ『アーン』

――――――――――――――――――――

マミ「はあはあ……」

魔女「ガアアアアアアアアアア」

ビシュビシュ

マミ「がはっ」



杏子「ぼこぼこじゃねーか!」

ほむら「……助け」

杏子「くそったれめ」ヘンシン

杏子「……」ダッ

ほむら「あ、ちょっと……」




魔女「ゴオオオオオオオ」

魔女の刃が巴 マミに迫る。

マミ「んぐっ……」

杏子「おらっ!」

ズバシャアアアアアアアア。

魔女の刃を杏子の槍が切り裂いた。

マミ「!? あなたは……」

魔女「ゴオオオオオオオ」

杏子「邪魔だ!」

ズバシャアアアアアアアアアア。

杏子の槍が魔女を真っ二つにする。

魔女「うぎゃあああああああああああああああ」

ぷしゅうううううううう。

コトン。



ほむら「一撃で倒したわね……」



マミ「……さすがね、佐倉さ……」

杏子「……」ガシッ

マミ「!?」

杏子「てめえ……何してやがる」

マミ「ぐっ……」

杏子「この程度の魔女に」

ぎゅううう。

巴 マミの胸ぐらを締め上げる。

マミ「うぐ……」

杏子「おい!」

ほむら「杏子」

私は杏子を止める。

マミ「あなたは……」

ほむら「手を離しなさい」

杏子「ちっ」

いやそうな顔をして、手を離す、杏子。

ほむら「大丈夫かしら?」

マミ「え、ええ……」

巴 マミは私と杏子を交互に見た後、

マミ「あなた達、知り合いだったの?」

ほむら「ええ」

マミ「……」

ほむら「大丈夫? 怪我はないかしら?」

マミ「だ、大丈夫よ……」

杏子「……帰る」

マミ「さ、佐倉さん?」

杏子「じゃあな」

杏子は逃げるように走っていった。

マミ「……佐倉さん」

ほむら「家まで送るわ」

マミ「……ありがと、暁美さん。そして、ごめんなさい」

ほむら「?」

マミ「酷いことを言って……」

ほむら「気にしないで。困った時はお互い様だから」

私は周りを見回す。

ほむら「ねえ、1つ、聞きたいんだけど」

マミ「なに?」

ほむら「ここにピンクの髪をした女の子はいなかったかしら?」

マミ「ピンクの髪? ……さあ? 誰もいなかったわよ」

ほむら「……そう」

あの姿は一体……。まるで……私達をここに導いたような。

マミ「どうかしたの?」

ほむら「……何でもないわ」

マミ「そう? あ、そうだ。家に寄って行かない? お茶くらい出すわ」

ほむら「ありがと。ご馳走になるわ」

私達はマミさんの家に向かって、歩き出した

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

マミの家

マミ「今、お茶を用意するわ」

ほむら「おかまいなく」

さて……。

ほむら(聞きたいことは山ほどあるけど……)

ことは慎重に運ばないと。

マミ「ついでにケーキも用意したわ」

ほむら「……ありがとうございます」

私はお茶を一口飲んでから、巴 マミに訊ねた。

ほむら「どうして、あの程度の魔女に負けそうだったの?」

マミ「それは……」

ほむら「お世辞にもあなたが遅れを取るような魔女ではなかったわ」

マミ「……」

ほむら「どこか様子も変だったし……体調が悪いのかしら?」

だとしたら、無謀なことだ。命を賭けて、戦っていることは彼女も分かっているはずなのに。

マミ「……怖いの」

ほむら「え?」

マミ「前のことを……思い出して……」

ほむら「前?」

シャルロッテ『アーン』



ほむら「……あの魔女ね」

マミ「あの時は何とか助かったけど……」

巴 マミは体を震わせながら、うつむいた。

マミ「また、ああなるかもしれないと思うと……怖くて……」

ほむら「……」

気持ちは分からないわけでもない。私も何度、怖いと思ったか。

ほむら「だから、今日、学校も休んだのね」

マミ「……ええ」

ほむら「事情は分かったわ」

だけど……。

ほむら「だとしても……」

マミ「?」

ほむら「どうして、魔女退治に出たの?」

そんな状態じゃ、魔女を倒すことはできないだろう。それは巴 マミにも分かっているはず。

マミ「それは……」

巴 マミはどこか居心地悪そうに言った。

マミ「私が魔女を退治しないといけないから……」

ほむら「? それはどういうこと?」

マミ「あなたと佐倉さんは手を組んでいるんでしょう?」

ほむら「……まあね」

マミ「だとしたら、あなた達は使い魔を放置するでしょう? さっきのは魔女だったけど」

ほむら「……」

否定はできないわね。私達にはやることがあるし。

ほむら「だから、あなたはパトロールに出たのね」

マミ「……ええ」

ほむら「ふざけないで」

マミ「……」

ほむら「私達が間に合ったから良かったけど……あのままだったら、どうなるか分かっていたの?」

マミ「……」

ほむら「あのままだったら、あなたは死んでいたわ。私達が……」

私達が偶然、あそこに駆けつけなければ……。

ほむら(……偶然?)

何かがおかしい気がするわね。私はまどかの影を追って……。

ほむら「……」

マミ「……暁美さん?」

ほむら「……ごめんなさい。とにかく、私達があそこに駆けつけたからら、よかったものの……」

マミ「それは……感謝してるわ」

ほむら「仕方がないわね」

私は溜息をつきながら、巴 マミに言った。

ほむら「1つ、お願いがあるの」

マミ「お願い?」

ほむら「ええ。私達と協力しなさい」

マミ「あなた達と?」

ほむら「そのかわり、私達も使い魔退治にも協力するわ」

マミ「……1つ聞いてもいい?」

ほむら「ええ」

マミ「私と手を組もうとする理由は?」

ほむら「あなたと仲間になりたいからじゃ駄目かしら?」

マミ「さすがに……それは」

信じられないといった顔をする。まあ、当然ね。

ほむら「この街には近いうちにワルプルギスの夜が来るのよ」

マミ「ワルプルギスの夜?」

ほむら「そうよ。聞いたことはあるでしょ?」

マミ「それはまあ……強力な魔女よね。たしかに人数は多くいるに越したことはないけど……」

ほむら「けど?」

マミ「佐倉さんは私の協力を受け入れるかしらね」

ほむら「……それは何とかするわ」

マミ「それに今の私じゃ、役に立てないかもしれないわよ」

ほむら「……それは徐々に何とかしていきましょう」

私は時計を見る。

ほむら「もう、こんな時間ね。そろそろ、帰るわ」

私は立ち上がる。

ほむら「返事は後でいいわ。といっても、あまり、時間はないのだけれど」

マミ「あの……暁美さん」

ほむら「?」

マミ「……ありがとう。2度も助けてくれて」

ほむら「……気にしないで。それじゃ、おやすみなさい」

マミ「おやすみなさい」

バタンッ。


ほむら「ありがとう……ね」

たまにはいいわね。とはいっても……。

ほむら「私のおかげではないのだけどね」

あれはきっと、まどかが……。

ほむら「まあ、今はそんなことより」

杏子をどうやって説得しようかしら。

ほむら「……お土産にケーキでも買っていこうかしら」

私はケーキ屋さんに向かった。

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

ほむホーム

ほむら「というわけで、巴マミとの協力を受け入れて」

杏子「あたしをケーキで買収しようってのか?」

ほむら「そんなつもりはないわ。ただ、受け入れないなら、ケーキはあげないだけよ」

杏子「思いっきり、そのつもりじゃねーか!!!」



杏子「モグモグ。だいたいよお、魔女と戦えない奴を仲間に入れて、どうすんだよ」

ほむら「ほむほむ。仲間は多い方がいいわ」

杏子「それは間違っちゃいないさ。だけど、使えないやつがいても、仕方がないだろ」

ほむら「巴マミは使えなくないわ。貴重な戦力よ」

杏子「今日のあのざまでか」

ほむら「今は調子が悪いだけよ」

杏子「本当かよ。モグモグ」

杏子「というか、何で、走り出したんだ?」

ほむら「?」

杏子「いや、マミを助ける前にいきなり、走り出しただろ? 『まどか』とか言いながら」

ほむら「あれは……」

杏子「なんだよ。早く言えよ。ケーキおかわり」

ほむら「ないわよ。……まどかがいたのよ」

杏子「まどか? あのお前が捜してる奴だったか?」

ほむら「ええ。あなたも見たでしょ?」

私が走り出した時に一緒にいたから、見ていてもおかしくはない。

杏子「いや、見てない」

ほむら「……え?」

杏子「私が見たのはお前がいきなり、『まどか!』とか言い出して、走り出したところだけだよ」

ほむら「そ、そんなわけないわ!」

バンッ!!!

私はテーブルを叩きつけるように叩いた。

ほむら「あの時、たしかにまどかがいたのよ!」

バンッ!!!

ほむら「あなたも見たでしょ!」

バンッ!!!

ほむら「まどかを!!」

杏子「落ち着けよ」

杏子は冷静に私を止める。


杏子「あたしが見たのはお前がいきなり、走り出したところだ。あの時も言ったが、まどかなんていなかったよ」

ほむら「……」

杏子「まあ、これ以上、言いあっても、おそらくは平行線だろうからな。今はそれより、マミのことだろ」

私にとっては重要なことなのだけど。

杏子「マミのことはお前に任せるわ」

ほむら「私に?」

杏子「お前が仲間に引き込んだんだろ?」

ほむら「……ええ」

杏子「だったら、使えるように教育しておけよ」

ほむら「私が?」

杏子「お前以外に誰がいるんだよ」

ほむら「あなたは?」

杏子「何で、あたしがやるんだよ」

ほむら「心配なんでしょ?」

杏子「は?」

ほむら「巴マミが」

杏子「ん、んなわけないだろ」

顔を真っ赤にして、否定する。

ほむら「そのわりには必死に守ってなかったかしら?」

杏子「あれは……たまたまだ」

ほむら「たまたま?」

杏子「そう。たまたま、魔女を退治したら、そこでマミが襲われていたんだ」

ほむら「そんな無茶な」

杏子「とにかく! 頼んだぞ」

これ以上、話しても、無駄みたいね。

ほむら「分かったわよ」

私は溜息をつきながら、言った。

ほむら「巴マミは私が何とかするわ」

杏子「ん、任せたぞ」

まどかに巴マミにワルプルギスの夜。

ほむら「問題は山積みね」

でも、まだ、なにか問題がある気がするわね……。

次の日

さやか「今日はマミさん来てるかな?」

私が学校に来ると、美樹さやかが話しかけてきた。

さやか「心配だよ」

昨日の去り際の様子を見れば、大丈夫だとは思うけれども。

ほむら「そうね。昼休みに様子を見に行きましょうか」

さやか「そうだね」

私達は昼休みに巴マミの教室に向かった。

巴マミの教室

マミ「あら?」

さやか「マミさん!」

ほむら「調子はどうかしら?」

マミ「心配かけたわね。もう、平気よ」

一見、平気そうだけど、強がってる可能性もあるから、気をつけないと。

さやか「元気そうですね。昨日、学校休んでたから、心配しましたよ」

マミ「美樹さんにも心配をかけたわね」

巴マミは申し訳なさそうに言ってから……

マミ「でも、もう大丈夫よ!」

元気よく言った。

ほむら(おそらくは私達に心配をかけないように強がっていたのでしょうけど)

マミ「そういえば……ごめんなさい!」

ぺこりと頭を下げる巴マミ。

マミ「この前は私が不甲斐ないばっかりに美樹さんを危なく……」

さやか「き、気にしないで下さい! 私がついていくって言ったんですから!」

マミ「本来なら、私が止めるべきだったのよね」

ほむら「ええ」

さやか「いや、あんた、そこは同意するところじゃないでしょ」

ほむら「でも、事実よ」

さやか「おい!」

マミ「落ち着いて、美樹さん」

さやか「でも……」

マミ「暁美さんの言うとおりよ。私が仲間ができることに浮かれていたから」

さやか「……仲間」

マミ「私、今まで、1人だったから」

さやか「……」

さやか(私にも何かできないかなあ)

ほむら「それが油断に繋がるのよ」

さやか「転校生!」

ほむら「それから……忘れないで、巴マミ」

マミ「?」

ほむら「あなたを失ったら、悲しむ人がいるということに」

マミ「!!」

ほむら「あなたはもう、1人じゃないのよ」

マミ「……」

さやか「……転校生」

キーンコーンカーンコーン

ほむら「時間よ、行きましょう、さやか」

さやか「……素直じゃないなあ」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

放課後

病院

さやか「はあ……よし!」

ガラッ

さやか「恭介!」



ほむら「何か、忘れているような……」

マミ「家に忘れ物でもしたの?」

ほむら「そうじゃなくて……何か重大なイベントを忘れているような」

マミ「???」



さやか「何を聴いてるの?」

上条「……『亜麻色の髪の乙女』」

さやか「ああ、ドビュッシー? 素敵な曲だよね。あ、あたしってほら、こんなだからさ、クラシックなんて聴く柄じゃないだろってみんなが思うみたいでね。たまに曲名とか言い当てたら、すごい驚かれるんだよね。意外すぎて尊敬されたりしてさ。恭介が教えてくれたから。でなきゃ私、こういう音楽ちゃんと聴こうと思うきっかけなんて、多分一生なかっただろうし」

上条「そうかい……」

さやか「……」

気が滅入っているみたい。まあ、当然だけどさ。

上条「さやかはさぁ…」

さやか「なに?」

上条「さやかは、僕を苛めてるのかい?」

さやか「え?」

上条「何で今でもまだ、僕に音楽なんか聴かせるんだ。嫌がらせのつもりなのか?」

さやか「だって恭介、音楽好きだから…」

上条「もう聴きたくなんかないんだよ! 自分で弾けもしない曲、ただ聴いてるだけなんて。僕は…僕は…っ! ああ!!」

ガシャン!!!

さやか「あっ……。あぁ、あ!」

上条「動かないんだ…もう、痛みさえ感じない。こんな手なんてっ」

さやか「大丈夫だよ。きっと何とかなるよ。諦めなければきっと、いつか…」

上条「諦めろって言われたのさ。もう演奏は諦めろってさ。先生から直々に言われたよ。今の医学じゃ無理だって。僕の手はもう二度と動かない。奇跡か、魔法でもない限り治らない」

奇跡か魔法……。

上条「ドラマとか映画だったら、僕の手も治ったかもしれないけど……これが現実だから……」

手段がないわけではない。でも……

―――――――――――――――

シャルロッテ「あーん」

マミ「ハッ……」

―――――――――――――――

あの時、マミさんは殺されかけた。

―――――――――――――――

ほむら「それと分かったでしょ? 魔法少女がいかに危険なものかを」

さやか「……」

ほむら「次はないかもしれないわよ」

―――――――――――――――

もしかしたら、私も殺されるかもしれない。

上条「……」

だとしても、私は……

さやか「大丈夫」

私が恭介の手を掴んだ。

上条「え?」

さやか「奇跡も、魔法も、あるんだよ」

QB「……」



ほむら「ほむぅ……」

マミ「まだ、何かを悩んでいるの?」

ほむら「後少しで、思い出しそうなんだけど……」

マミ「なら、たいしたことじゃないんじゃないかしら?」

ほむら「だと良いのだけど」

マミ「ところで佐倉さんは?」

ほむら「杏子なら……」

回想

杏子「何で、あたしが一緒に行動するんだよ」

ほむら「あなたもいたほうが楽じゃない」

杏子「あたしはお守りはごめんだ。だいたい、お前が世話するって言ったんだから、責任持てよ」

ほむら「まるで、ペットみたいな扱いね」

回想終了

ほむら「というわけで、杏子とは別行動よ」

マミ「……」

ほむら「どうかしたのかしら?」

マミ「私の扱いについて、考えていたのよ」

ほむら「?」





仁美「~♪」



ほむら「あれは……」

マミ「知り合い?」

ほむら「……同じクラスの子よ」

マミ「そうなの? でも、様子が変よ」

まさか……

ほむら「……」

仁美「あら? 暁美さんではないですか」

私に気がついたのか、志筑仁美が寄ってきた。

マミ「この子……」

ほむら「分かってるわ」

彼女の首には魔女のくちづけがある。これは……。

仁美「お2人とも、何をなさってるんですの?」

ほむら「私達は帰る途中よ」

仁美「そうなんですの?」

ほむら「あなたはどこに行こうとしてたの?」

仁美「私? ここよりもずっといい場所ですわ」

志筑仁美は何かを閃いたようにぱあっと表情を明るくした。

仁美「そうだわ! あなた達も行きませんか? ええ、ええ。名案ですわ」

1人で勝手に決めて、盛り上がっているわね。

マミ「大丈夫なの?」

ほむら「それは私の台詞よ。この先には間違いなく、魔女がいるわよ。戦えるの?」

マミ「……たぶん」

ほむら「……無理そうなら、帰りなさい。足手まといになるだけだから」

マミ「……きつい言い方ね」

ほむら「ごめんなさい。でも、命に関わることだから」

マミ「……大丈夫よ。私だって、これでも、魔法少女歴は長いのよ。それに……」

いたずらをした子供みたいにウインクをして、言った。

マミ「いざとなれば、暁美さんが護ってくれるわよね」

ほむら「……」

恥ずかしいことを平然と言うのね。

ほむら(まあ、平然とティロ・フィナーレって言ってるものね)


マミ「どうかしたの?」

ほむら「何でもないわ」

仁美「どうされたんですの?」

ほむら「何もないわ。それじゃ、案内して」

仁美「ええ。こちらですわ」

ほむら「このまま、案内してもらうわ」

マミ「別に案内してもらわなくても、いいんじゃない?」

ほむら「下手なことをしても、仕方がないわよ」

仮に魔女のくちづけを何とかしても、彼女をどこに置いておくとかがあるし。

ほむら「何より、楽じゃない」

マミ「楽って……」

ほむら「下手なことして、魔女に逃げられるよりましよ」

マミ「……とは言っても」

ほむら「そんなことより」

男「……」

女「……」

ほむら「近いわよ」

マミ「……ええ」

私達は志筑仁美達にまじって、工場に足を踏み入れた。

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

がやがや

マミ「場所は……」

ほむら「あそこね」

私達はドアを見る。

男「ちくしょう……俺のなにがいけないってんだよ」

女「年収で男を見て、何が悪いのよ」

ほむら「雰囲気が最悪ね」

マミ「仕方がないわよ」

工場長「俺がうんぬん」

ほむら「怪しまれないように、ドアまで行きましょう」

マミ「ええ」

コソコソ

工場長「もう、おしまいだ……お前達も最後に何か言いたいことはあるか」

工場長は周りを見渡す。

工場長「そうだなあ……そこのクルクル頭」

工場長は失礼な物言いで巴マミを指差す。

マミ「わ、私?」

工場長「何か最後にあるか」

マミ「え、えーと……」

ほむら「なるべく、時間を稼いで」

マミ「え?」

ほむら「あれを見なさい」

工場長の横でバケツを持った女の人が立っている。

ほむら「このままだとまずいわ」

マミ「そうよね……」

ほむら「だから、任せたわ」

マミ「え?」

ほむら「時間を稼いで。その間に私が魔女を倒すわ」

マミ「じ、時間を稼ぐって……」

ほむら「あなたの名演説を聞かせてあげなさい」

マミ「無茶振りよ!!」

ほむら「無茶でも何でも任せたわよ」ダッ

マミ「あ、ちょっ……」

ドア『ガチャッ』

ほむら「ここね……」

ドアを開けるとすぐに結界の入り口が見えた。

ほむら「すぐに退治してあげるわ」

ぴしゃあああああああああああん!!!

結界

ほむら「魔女は……」

???『ほむらちゃん』

ほむら「!?」

病院屋上

QB「それでいいんだね」

さやか「うん」

QB「それじゃ、行く……」ボンッ

さやか「!? キュウベえが破裂した!?」

???「何してんのさ」

さやか「あんたは……あの時の!」

???「あんたこいつと契約してただろ」

さやか「……関係ないでしょ。それより、あんたは何なのよ」

???「自己紹介が遅れたね。あたしの名前は佐倉杏子」

さやか「……何で、邪魔したの?」

杏子「あんた、あの坊やのために願いを叶えようとしてただろ?」

さやか「……それがいけないの?」

杏子「たった1つの願い事だぞ? それを他人のために使うなんて、あんた、絶対後悔するぞ」

さやか「私は後悔なんてしない」

QB「やれやれ」ヒョコヒョコ

さやか「!?」

QB「いきなり、殺すなんて、酷いじゃないか」

杏子「チッ」

さやか「きゅ、キュウベえ……あんた、大丈夫なの?」

QB「君達の意味でいうなら、大丈夫だよ。それより」ムシャムシャ

さやか「ひ、ひいい!」

QB「まったく……杏子。もったいないじゃないか」

杏子「うるせえ」

QB「何を怒ってるんだい?」

杏子「自分の胸に手を当てて、考えてみな」

QB「??? わけがわからないよ」

さやか「……」

QB「さて。気を取り直して、僕と契約しよう!」

さやか「……えっと」

杏子「その前に」

QB「なんだい、杏子。後にしてくれないか?」

杏子「まだ、話してないことがあるんじゃないか?」

QB「!?」

さやか「?」

杏子「契約を結ぶなら、ちゃんと全部話さないと駄目だろ?」

QB「佐倉杏子……君は……」

さやか「どういうこと?」

杏子「こいつはまだ、隠してることがあるのさ」

さやか「隠してること?」

杏子「こいつは……」

さやか「そんな……」

その少女はソウルジェムのこと、魔女の正体についてのことを話してくれた。

QB「佐倉杏子……君はそれをどこで……」

杏子「さあね」

さやか「……」

杏子「これを聞いて、それでも、契約したいと思うなら、あたしは止めないさ」

さやか「……どうして」

杏子「あん?」

さやか「どうして、そんな事を教えてくれたの?」

杏子「…………さあね」ヘンシン

杏子「じゃあな」

さやか「あ、待って……」

杏子はそのまま、私の声を無視して、その場を去っていった。

QB「……」

さやか「……」

さやか「今の話は本当なの?」

QB「……概ね、間違いではないさ」

さやか「……」

QB「しかし、勘違いしないでもらいたいんだが、エントロピーかんぬん」

さやか「……」

正直、キュウベえの説明は意味が分からなかった。

QB「というわけだけど……君はどうするんだい?」

さやか「私は……」

廃工場・結界

まどか『ほむらちゃん……』

ほむら「まどか! あなた……」

まどか『何で、私を殺したの?』

ほむら「!?」

ほむら「な、何を言って……」

まどか『忘れちゃったの? 私のソウルジェムを撃ちぬいたよね』

まどか『それだけじゃないよね? 幾多の時間で私やさやかちゃん達を見捨て』

ほむら「……」

まどか『でも、大丈夫だよ。今、楽にしてあげるからね』

ほむら「……まどかに会えたかと思ったんだけど……」

残念ね。

私は弓矢を出す。

まどか『ほ、ほむらちゃ……』

ほむら「さよな……」

???「だあああああああああああああ!!!」

ザクッザクッザクッ

ほむら「!!!?」

何者かがまどかの幻影達を切り裂く。

魔女「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

プシューポトン

ぴしゃあああああああああん!!!

廃工場

ほむら「……」

???「何をやってるのさ」

ほむら「……それは私の台詞よ」

私は突然の来訪者に視線を向ける。

ほむら「美樹 さやか」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

さやか「この程度の魔女に何を苦戦してんのさ」

ほむら「……」

いろいろなことがありすぎて、忘れていたわ。

ほむら(そういえば、この時期だったわね)

さやか「さて、と。結界も解けた、ね」

ガチャッ

マミ「暁美さん!」

ドアが開き、巴マミが入ってきた。

マミ「魔女を倒し……美樹さん!?」

巴マミの視線は私と美樹さやかに向けられ、驚きの声を上げた。

マミ「あなた……」

さやか「たははは。契約しちゃいました♪」

のんきそうに言う美樹さやか。

ほむら「向こうの人達は?」

マミ「魔女のくちづけが消えて、気絶してるわ」

ほむら「そう」

さやか「わわわ、助け」

ほむら「逃げましょう」

さやか「え?」

ほむら「下手にこの場所にいて、事情を訊かれると面倒よ」

マミ「そうね」

さやか「でも……」

ほむら「死にはしないから、安心しなさい」

さやか「そういう問題かなあ」

ピーポーピーポー

ほむら「ほら」

マミ「行くわよ」

さやか「は、はい」

私は泥棒の如く、そそくさと逃げ出した。



マミ「まあ、契約をしてしまったのは仕方がないわね」

巴マミは美樹さやかに言った。

マミ「これからは一緒に頑張りましょう」

さやか「はい!」

私達はあの工場から逃げ出し、公園にいた。

ほむら「……」

さやか「ほむらも! これから、よろしくね」

ほむら「……どうして、契約してしまったの?」

さやか「叶えたい願い事があったからね」

ほむら「あなたはきっと、後悔を……」

さやか「しないよ」

美樹さやかの眼は揺ぎない決意をした眼をしていた。

ほむら「今はそう言っても……」

さやか「……知ってるよ」

美樹さやかは私の耳元で囁いた。


さやか「魔法少女は魔女になるんでしょ」

ほむら「!?」

私は美樹さやかの言葉に驚いた。

さやか「その顔……本当みたいだね」

ほむら「どうして……それを」

さやか「親切な人が教えてくれたんだよ」

それを知ってる人は限られている。おそらくは……。

マミ「どうしたの、2人とも」

ほむら「何でもないわ」

ほむら『話があるわ。一旦、解散した後、ここに戻りなさい』

さやか『了解』

ほむら「今日の所はこれでお開きにしない?」

さやか「今日はいろいろあって疲れちゃいましたしね」

マミ「そうね。詳しいことは明日にしましょう」

今日の所はそれで解散になった。



さやか「遅いよ」

私が公園に戻ると美樹さやかはちょっと怒ったように言った。

さやか「自分で誘っておいてさ」

ほむら「巴マミを家まで送っていったからよ」

さやか「ふーん。まあ、いいけどさ」

ほむら「さて……」

私はあらためて、美樹さやかに言った。

ほむら「その秘密を教えてくれたの人の髪は赤くなかったかしら?」

さやか「そうだよ。名前は……」

ほむら「佐倉杏子……」

さやか「あり? 知り合い?」

ほむら「……ええ」

やっぱりね。

さやか「マミさんを帰したってことは……マミさんはこのことを知らないの?」

ほむら「そうよ」

さやか「教えないの?」

ほむら「その必要はないわ」ファサ

さやか「どうして?」

ほむら「あなたはこの事実を知って、魔法少女になったのよね」

さやか「うん、まあ……」

ほむら「巴マミはこの事実を知らないわ。今、その事実を知れば、すごいショックを受けるでしょうね」

それだけでなく、やけになって、私達のソウルジェムを壊されることにもなりかねない。

ほむら「それに巴マミは魔女を狩る正義の魔法少女に誇りを持っているわ。そんな彼女に実は魔法少女は魔女になります、だなんて、言えないわ」

さやか「たしかに……」

美樹さやかは納得したようにうんうんと頷く。

さやか「ということは……」

ほむら「?」

さやか「魔女を倒すってことは……魔法少女を倒すってこと……」

ほむら「深くは考えない方がいいわ」

私は美樹さやかを制した。

ほむら「私達が倒すのは魔女。それ以上でもそれ以下でもないわ」

さやか「……そうだね」

ほむら「分かっているとは思うけど、巴マミにはこのことは……」

さやか「言わないよ。というか、言っても、信じてくれるかどうか」

ほむら「……そうね」

幾多の世界で簡単には信じてはくれなかったわけだし。


さやか「話はこれで終わりかな?」

ほむら「え、ええ……」

さやか「んじゃ、ほむら。明日からよろしくね」

手を出してくる美樹さやか。

ほむら「? この手は何かしら?」

まさか、口止め料?

ほむら「現金はないのだけど……」

なるほど。これまで、私がうまくいかなかったのはお金を渡さなかったからなのね。

さやか「何を言ってるの……。握手だよ、握手」

ほむら「え? 握手? お金じゃないの?」

さやか「は?」

ほむら「これから、仲間に入るあたり、まずは入会金をってことなのよね?」

さやか「なんで、お金を取るのよ……」

ほむら「もしかして、違うのかしら?」

さやか「当たり前だよ! 私はそんなことしないし」

ほむら「それじゃ、その手は?」

さやか「だから、握手だって。これから、仲間としてやっていくんだからさ」

ほむら「……」

私はおそるおそるさやかの手に手を伸ばした。

さやか「そんなに怯えなくても……」

ほむら「もしかしたら、画鋲を仕込んでるかもしれないじゃない」

さやか「あんたは私をなんだと思ってるのよ」

ほむら「冗談よ」

私はぎゅっと手を掴んだ。

ほむら「……よろしく」

さやか「こちらこそ」

何だか懐かしいような、遠い日に経験したような不思議な感覚がした。

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

ほむホーム

ほむら「ただいま」

私は美樹さやかと別れて、家に帰ってきた。

杏子「おかえり。遅かったな。もぐもぐ」

ほむら「ちょっとね。それより、話があるのよ」

杏子「あん? なんだ?」

ほむら「美樹さやか」

杏子「!?」

ほむら「やっぱり、あなたね」

杏子「だから、なんだよ」

ほむら「あなたにしては珍しいことをしたわね」

杏子「へん。このままいったら、あいつは絶対、後悔しただろうからな」

ほむら「でも、あなたなら、殴ってでも、契約を阻止しそうだけど」

杏子「あたしをなんだと思ってんだよ」

ほむら「なんにしても、美樹さやかは契約してしまったわ」

杏子「それはあいつが選んだことだろ?」

ほむら「それはそうかもしれないけど」

魔女になると厄介なのよね。

ほむら「あなたにしては珍しいことをしたわね」

杏子「へん。このままいったら、あいつは絶対、後悔しただろうからな」

ほむら「でも、あなたなら、殴ってでも、契約を阻止しそうだけど」

杏子「あたしをなんだと思ってんだよ」

ほむら「なんにしても、美樹さやかは契約してしまったわ」

杏子「それはあいつが選んだことだろ?」

ほむら「それはそうかもしれないけど」

魔女になると厄介なのよね。

次の日

放課後

マミ「というわけで、今日は美樹さんも加えて、パトロールよ」

さやか「頑張りましょう、マミさん!」

ほむら「……」

美樹さやかが魔法少女になってしまったとはいえ、関係は友好的。ワルプルギスの夜を倒すための布陣としては申し分ない。

ほむら(でも……)

まどかがいない……。

ほむら(いくら、仲間がいても、あなたがいないと……)

さやか「どうかした?」

ほむら「……何でもないわ」ファサ

ほむら「行きましょう」

路地裏

使い魔「アイスーアイスー」

さやか「使い魔がいます、マミさん!」

マミ「倒すわよ、美樹さん!」

どうやら、美樹さやかが仲間になったことで自分がしっかりしなきゃという責任感からか、いつもの調子に戻ってきてるわね。

さやか「はああああああ!!」

使い魔「アイスウウウウウ」

さやか「やった!」

マミ「お見事よ、美樹さん」

さやか「いやあ、褒められるとてれちゃいますよ」

ほむら「……」

さやか「どうだった、ほむら」

ほむら「……」

さやか「ほむら?」

ほむら「……え?」

さやか「どうしたの?」

ほむら「……何でもないわ。何か用?」

さやか「いや、今のさやかちゃんの戦いはどうだった?」

ほむら「……ごめんなさい。見てなかったわ」

さやか「えー」

マミ「暁美さん。いくら、相手が使い魔だからといって、油断していたらいけないわ」

ほむら「……分かっているわ」

さやか「まあまあ。このさやかちゃんがついてる限り! どんな敵でも倒しちゃいますよ!」

マミ「もう。美樹さん、調子に乗らないの」

さやか「えへへ」

ほむら「……」

この平穏……とは言いがたいかもしれないけど……皆で仲良くしているのは心地よいと思ってしまう。

さやか「そういえば……」

マミ「どうかしたの?」

さやか「あの……佐倉杏子って娘は来ないの?」

マミ「佐倉さん……」

さやか「あの娘も魔法少女なんですよね?」

ほむら「杏子は来ないわ」

さやか「え?」

ほむら「今頃……隣の町で魔女を狩っているでしょうね」

あるいは私の家で寝てるかとは言えないわよね

さやか「そっか……なら、仕方がないね」

ほむら「それにおそらく、来ないでしょうね」

マミ「そうね」

さやか「え? 何で?」

マミ「佐倉さんはある意味では魔法少女らしい魔法少女だから……」

さやか「魔法少女らしい魔法少女……?」

ほむら「巴マミとま逆の魔法少女ってことよ」

さやか「……なるほど」

集団で狩りをすれば、グリーフシードの分け前も減ることになる。なら、1人で行動したほうがリスクも伴うが取り分も大きくなる。だから、それぞれに縄張りというものがある。

さやか「でも、そんなに悪いって感じがしなかったけどね」

ほむら「根は良い子よ」

マミ「暁美さんの言う通りよ」

巴マミは懐かしむような悲しんでいるような顔で言った。

マミ「あの娘にもいろいろあったから……」

さやか「マミさんは何か知っているんですか?」

マミ「それは……」

ほむら「それは巴マミから訊くことじゃないわ」

さやか「えー?」

マミ「暁美さん……」

ほむら「私達、魔法少女には皆、それぞれ、いろんな事情があるのよ。戦いという過酷な運命を受け入れてでも。だから、他人がおいそれと話してもよいものじゃないわ」

さやか「……うーん……まあ、たしかにそうだね。ごめん。無神経だったね」

ほむら「別に謝らなくてもいいわ」

マミ「とはいっても、佐倉さんとも協力して魔女退治ができればいいんだけどね」

ほむら「そうね。2人1組になれば、もっと安全にいけるわね」

マミ「暁美さん。あなたから話してみてくれないかしら?」

ほむら「私?」

マミ「ええ」

さやか「今のところ、ほむらが1番、仲良いみたいだしね」

幾多の時間軸をみれば、あなた達のほうが良いんだけどね。

さやか「頼んだよ、ほむら」

ほむら「……期待はしないでね」

しかし、美樹さやかがここまで有効的なのはちょっと怖いと思ってしまったわ。

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

ほむホーム

杏子「は? 何で、あたしが協力すんだよ」

ほむら「暇でしょ?」

杏子「嫌だよ。だいたい、何で、あたしがガキのお守りなんてしなきゃいけないんだよ」モグモグ

杏子「だいたい、あたしは忙しいんだ」

ほむら「私には毎日、家で、何かを食べているようにしか見えないんだけど」

杏子「うぐ……これもワルプルギスの夜を倒すために鋭気を養ってんだよ」

ほむら「苦しい言い訳ね」

杏子「うるせえ」

ほむら「まあ、仕方がないわね」

杏子「諦めが早いな」

ほむら「あなたが素直に言うことを聞くとも思えないし」

というか、どっちでもいいし。

ほむら「それじゃ、出かけるわね」

まどか……。

杏子「毎日、ご苦労だな」

ほむら「私のすべてだから」

杏子「……」

ほむら「どうかしたの?」

杏子「それが駄目なんじゃないか?」

ほむら「……どういう意味?」

杏子「何でも、何でも、まどか、まどかってところがさ」

ほむら「……私にとって、彼女を守るのがすべてなのよ」

杏子「……そいつを守れれば、他はどうだっていいってことかい」

ほむら「え……」

――――――――――――――――――――――――

マミ「遊園地だけじゃない。映画やお買い物にも行きましょう」

ほむら「な、何を突然……」

マミ「約束よ。死なないでね。暁美さんとはやりたいことがいっぱいあるんだから」

――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――

ほむら「でも、これは……別の世界の私の最高の友達との証だから」

さやか「別の世界ねえ。じゃあ、この世界のは?」

ほむら「言わせないで」

ありがとう、まどか。そして、さようなら。

ほむら「あなたしかいないじゃない」

――――――――――――――――――――――――

ほむら「……」

杏子「どうかしたか?」

ほむら「……何でもないわ」

何かしら、このビジョンは……。

ほむら「私にはまどかがすべてよ」

杏子「……そうか」

ほむら「それじゃ、行ってくるわね」

杏子「ああ。頑張れよ」

次の日

ほむら「やっぱり、まどかの痕跡はないわね」

本当にこの世界にはいないのかしら……?

ほむら(でも、私の力で戻るのは1ヶ月程度。もっと、時を戻せれば、まどかを消せたかもしれないけど、いえ、消しはしないけど、できないわけではない。でも、1ヶ月ではできない)

なら、どうして……。

さやか「ほむら?」

ほむら「はっ!?」

さやか「どうしたのさ? 考えこと?」

ほむら「……何でもないわ」

どうやら、考え事に集中するあまり、授業が終わっていたようね。


ほむら「何か用?」

さやか「あの佐倉杏子って子はどうだった?」

ほむら「ああ……やっぱり、無理だったわ」

さやか「そっか」

少し、がっかりした顔をしたけど、すぐに笑顔に戻って、

さやか「まあ、私達、3人いれば、大丈夫だよね」

ほむら「……たぶんね」

仁美「何の話ですの?」

さやか「な、なんでもないよ」

仁美「? はっ!? まさか!」

さやか「?」

仁美「もう、すでに、お2人は禁断の……」

さやか「は?」

仁美「いけませんわ! それは禁断の愛の証ですのよー!」ダッ

さやか「あ、ちょっ、仁美!」

ほむら「……にぎやかね」

これでまどかがいれば……。

放課後

病院

上条の病室

さやか「……あれ?」

がらーん。

看護師「あ、そこの患者さんなら、退院しましたよ」

さやか「え?」

看護師「リハビリの経過が良くて、退院が早くなってね」

さやか「あ、そうなんですか……」

上条宅前

さやか「……」

~♪

さやか「……」トテトテ

???「何もしないで帰るのかよ」

さやか「? あんたは……」

杏子「よう」

さやか「あの時の……」

杏子「何だよ、お前。何もしないで帰るのか?」

さやか「……」

杏子「会いもしないで帰るのかい? 今日一日追いかけ回したくせに」

さやか「……うるさいな」

杏子「あん?」

さやか「あんたには関係ないでしょ」

杏子「はん。人がせっかく、親切に忠告してやったのに、契約しちまいやがって」

さやか「……教えてくれたのには感謝してるよ」

杏子「……後悔してるんじゃないのか?」

さやか「してないよ!」

杏子「そうかい。まあ、1つだけ、教えてやるよ。先輩のよしみとしてな」

さやか「何を……」

杏子「魔法ってのはね、徹頭徹尾自分だけの望みを叶えるためのもんなんだよ」

さやか「なっ……」

杏子「他人のために使ったところで、ロクなことにはならないのさ」

さやか「……」

杏子「そんなことも巴マミに教えてもらわなかったのか?」

さやか「!? おまえ……」ガシッ

杏子「何だよ? 急に胸ぐらを掴んで。怒ったか?」

さやか「あんた……」

杏子「離しな」バシッ

杏子「ここじゃ、いささか、戦いには向かないな。場所変えようか?ここじゃ人目につきそうだ」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

マミ「今日の夕食はどうしようかしら?」

QB「大変だ、マミ!」

マミ「あ、キュウベえ。ちょうどいいわね。今日は何が食べたい?」

QB「今はそれどころじゃないよ!」

マミ「何かあったの?」

QB「杏子とさやかが!」

鉄橋

杏子「ここなら、邪魔が入らないだろ?」

さやか「……」

杏子「全力でかかってきな」ヘンシン

さやか「上等だよ!」ヘンシン

杏子「いくぜ!」ダッシュ

さやか「だあああああああ!」ダッシュ

キーン!

杏子「なんだ、その攻撃は!」

さやか「ぐっ」

槍で押され、さやかは後退する。

杏子「ほら!」

後退したぶん、杏子はその差を詰めてくる。

キーン!

杏子「おら! おら!」

キーン! キーン!

杏子の槍をさやかは剣で凌ぐ。

杏子「防御ばっかりじゃ、勝てないぜ」

さやか「うるさい! うらあああああ」

剣で杏子を押し返し、距離を取る。

さやか「はあはあ」

杏子「もう疲れたのかよ」

さやか「うるさい……とりゃあああああ!」

剣を突き刺すように走るさやか。

杏子「単調すぎるぜ」

横にステップし、横から、攻撃をする。

さやか「ぐっ……」


キーン。

何とか、剣で防御をするさやか。

杏子「今のはよく防いだな」

さやか「舐めるんじゃないわよ」

杏子「はんっ」

後ろにステップする杏子。

杏子「けど、防御だけじゃ勝てないぜ」

さやか「ここから……だよ!」ダッ

キーン! キーン!

杏子「単調に振り回してるだけじゃ、当たらないぜ」

さやか「ぐっ……」



マミ「あれね……」

QB「そうだよ、マミ」

マミ「でも、あれは……」



さやか「はああああ!」

杏子「遅いぜ」



マミ「訓練してるみたいだけど……」

QB「あれ?」



杏子「遅いぜ! それじゃ、魔女なんて、倒せねーぞ!」

さやか「はあはあ……ここまで……なの?」

マミ「諦めては駄目よ!」

杏子・さやか「「!?」」

マミ「諦めたら、そこで全ては終わりよ!」

さやか「でも……ううん。マミさんの言うとおりだね」

剣を構えなおす、さやか・

杏子(目つきが変わったか?)

さやか「これが私の渾身の一撃」ダッ

杏子「へっ、来いよ!」

さやか「スパークエッジ!」

ガキイイイイイイイイン

杏子「この威力は……」

さやか「はああああああああ!」

杏子「ぐっ……うぜえええ!」ドンッ

さやかのお腹を蹴って、後ろに突き飛ばす。

さやか「ぐっ……」

杏子「これで終わりだ!」

マミ「美樹さ……」

さやか「ぐっ……」

シャキン

杏子の槍はさやかの眼前で止まる。

杏子「今日はこれくらいにしてやるよ」

さやか「……」

マミ「佐倉さん……?」

杏子「あんたもちっとはやるようだな」

さやか「あんた……なんで……」

杏子「……これから、もっと、強力な魔女がこの街に来る」

さやか「!」

マミ「ワルプルギスの夜……」

さやか「知ってるんですか?」

マミ「ええ。暁美さんの話では近々、この街に来るって、話よ」

杏子「そう。その魔女だ」

さやか「それが今の戦いと何の関係があるのよ」

杏子「その時にはあんたも戦ってもらうかもしれないだろ? その時に役立たずじゃ、話にならないからな」

さやか「……」

杏子「まあ、最後以外はまだまだだけどな」

さやか「ぐっ……」

杏子「じゃあな」

マミ「あ、待って……行ってしまったわね」

さやか「……」

マミ「大丈夫、美樹さん」

さやか「……ええ。でも……あいつ、何なんでしょうね」

マミ「……根は良い子なのよ」

ほむホーム

杏子「……」

ほむら「あら? おかえりなさい」

杏子「ん? ああ、ただいま」

杏子(ただいま、ねえ……もう、2度と言う事とは思わなかったのにな)

ほむら「どこかに行っていたの?」

杏子「まあな」

ほむら「ところで」

杏子「あん?」

ほむら「まどかの手がかりは?」

杏子「あー……まだ、なんとも」

杏子(捜してもないけどさ)

ほむら「そう……」

杏子「まあ、いずれは見つかるさ」

ほむら「だといいのだけど……」

杏子「……ところでさ」

ほむら「?」

杏子「あんた、ワルプルギスの夜を倒したら、どうすんだ?」

ほむら「……さあ? 分からないわ」

杏子「は? なんだ、そりゃ」

ほむら「本当はまどかと幸せに生きたいけど、まどかはいないし、おそらく、私はワルプルギスを倒したら……生きてはないでしょうね」

杏子「どういうことだよ」

ほむら「それだけの魔女、ということよ」

杏子「あんたは……」

ほむら「お風呂に入ってくるわね」

私は逃げるようにお風呂場に逃げた。

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

杏子「……くそ」ムシャムシャ

風呂に逃げやがって……。

杏子「……」

あの時以来の家……か。マミの時以来の……。

杏子「あいつもあたし達と同じか……」

人のために願って、人のために行動する……。

杏子「ただ、違うのは……」

あいつはまどかって奴のためを護るために生きて、死のうとしている。

杏子「ふざけんなよ……」

何か分からないけど、気にくわなかった。それがあいつの願いだったとしても。

次の日

さやか「おはよう、ほむら」

ほむら「おはよう」

さやか「実は昨日、佐倉杏子に会ったんだ」

ほむら「杏子に……?」

さやか「うん」

ほむら「何かされたの?」

さやか「戦いを挑まれた」

ほむら「え? 戦い?」

さやか「まあ、負けちゃったけどね」

ほむら「怪我はないの?」

さやか「マミさんに治してもらったから、それは平気だったよ」

ほむら「……そう」

戦いを挑むことは何度もあったけど、まさか、この時間軸でも……一体、どういうつもりなのかしら?

ほむホーム

杏子「これがワルプルギスの夜の資料か……」

あたしはほむらの家からワルプルギスの夜の資料を引っ張り出した。

杏子「よく、集めた……いや、作ったのか?」

どちらにしても、ご苦労様な話だ。

杏子「さて……」



学校

中沢「お、上条じゃん」

上条「久しぶり」



仁美「上条君、退院したんですのね」

さやか「あっ……」

ほむら「声をかけないの?」

さやか「……私はいいよ」

ほむら「声をかけた方がいいわ」

さやか「……ほむら」

ほむら「じゃないと、後悔することになるわ」

ただでさえ、大変なのに、余計な問題を増やさないでほしい。

さやか「後悔?」

ほむら「ええ」

さやか「どういうことよ」

ほむら「やらないで後悔するより、やって後悔した方がいいってことよ」

さやか「は?」

仁美「……」

喫茶店

さやか「で、何か用なの?」

仁美「実は今日は……相談がありますの」

さやか「相談?」

仁美「恋の相談ですの」

さやか「こ、恋!?」

仁美「ええ」

さやか「へ、へえ、仁美が恋の相談ねえ……」

仁美「相手は……」

さやか「相手は……」ゴクリ

仁美「上条恭介君ですの」

さやか「」

さやか「きょ、きょ、恭介!?」

仁美「ええ」

さやか「へ、へえー、仁美がねえ……恭介を……」

仁美「私、上条君に告白しようと思っています」

さやか「こ、告白!?」

仁美「さやかさんも上条君のことを……」

さやか「わ、私!?」

仁美「たしか、さやかさんと上条君は幼馴染でしたわよね」

さやか「ま、まあね……。く、腐れ縁ってやつ?」

仁美「本当に?」

さやか「ど、どういう意味?」

仁美「私、決めましたの。自分の気持ちに嘘をつかないって。さやかさんはどうですか?」

さやか「私は……」

仁美「さやかさんは私の大切な友達です」

さやか「……」

仁美「だから、抜け駆けもせず、横取りもしたくない。正々堂々としたいんですの」

さやか「……」

仁美「上条君を見つめていたのはあなたのほうが長いんですから、先を越す権利があります」

さやか「……」

――――――――――――

杏子「魔法少女には秘密があって、あたし達の魂はこのソウルジェムに変えられちまう」

さやか「え?」

杏子「信じられないか?」

さやか「そりゃ……マミさんを言ってなかったし」

杏子「マミも知らないからな、これについては」

さやか「じゃあ、なんで、あんたは知ってるの?」

杏子「……さあね。それよりも、問題なのはこのソウルジェムがあたし達になっちまうってことさ」

さやか「……」

杏子「まあ、ゾンビにされたようなもんだな」

――――――――――――

さやか「私は……」

仁美「1日お待ちします。さやかさんも後悔しないようにしてください」

さやか「……」

仁美「では……」

さやか「……」




さやか「……」

――――――――――――

ほむら「やらないで後悔するより、やって後悔した方がいいってことよ」

――――――――――――

さやか「でも、私は……ゾンビだもん」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

覚悟はしたつもりだった。

さやか(魔法少女の秘密を聞いて……)

奢りもあったのかもしれない。

さやか(恭介に寄ってくる人なんていないっていう……)

さやか「いざそうなるとショックだな……」

マミ「どうかしたの、美樹さん」

私がぼーっと立っていると、待ち合わせ場所にマミさんが来た。

さやか「マミさん……」

マミ「悩み事? 私でよければ、相談に乗るわよ」

さやか「……」

さやか(マミさんはこの事実は知らない。けど、マミさんも知っておいたほうが良いとは思う)

あの子はマミさんにはこの事実は辛いと言っていたけど、マミさんはそんなに弱くはないだろう。

さやか(前の時は死にそうだったわけだし、仕方がないことだしね)

さやか「実は……悩んでるんです……」

マミ「そう。じゃあ、私の家でお話しましょう」

さやか「はい……あ、でも、ほむらはほうっておいていいんですか?」

マミ「暁美さんは用事があるそうよ」

さやか「そうですか……」

マミ「でも、任せて。私がずばっとお悩みを解決しちゃうから」

ほむホーム

杏子「今日はいかねーのか?」

ほむら「そろそろ、ワルプルギスの夜が来るはず。だから、その打ち合わせをしましょう」

杏子「あの2人はいいのかよ」

ほむら「今日のところはいいわ」

杏子「今日のところは……ねえ」

ほむら「何か言いたいことでもあるの?」

杏子「いや、別に」

ほむら「……苦手なのよね」

杏子「あん?」

ほむら「あの2人」

杏子「……まあ、お前の話が本当なら、そうかもしれないけどさ」

ほむら「それはともかく、パトロールは必要だし、二人には後日説明するわ」

杏子「その間にあたしがパトロールをしろと」

ほむら「ええ」ガサゴソガサゴソ



ほむら「あら?」

杏子「どうした?」

ほむら「私の資料を弄った?」

杏子「!?」

ほむら「何か資料の位置が微妙に違う気がするんだけど」

杏子「き、気のせいだろ」

ほむら「そうかしら?」

杏子「そうだよ。何回も時間をループしてるから、記憶が曖昧になってんだよ」

ほむら「あながち、否定できないわね」

マミホーム

マミ「それじゃ、お茶、用意するわね」

さやか「お願いします!」

マミ「ふふふ、元気がいいわね」

さやか「相談しに来て、元気がいいのもおかしいですけどね」

マミ「はい、どうぞ」

さやか「ありがとうございます!」

マミ「で、悩みって何かしら?」

さやか「えっと……好きな人について、何ですけど……」

マミ「あら? 美樹さんもお年頃ね」

さやか「か、からかわないでください!」

マミ「ごめんなさい。で、何を悩んでるの?」

さやか「私って、魔法少女じゃないですか」

マミ「それを引け目に感じてるの? でも、気にすることないわよ。魔法少女である以前に女の子なんだから」

さやか「……女の子」

マミ「そうよ」


さやか「でも、私は……」

マミ「?」

さやか「魔法少女の秘密って知ってますか?」

マミ「? 魔法少女の秘密?」

さやか「ええ」

マミ「何かしら?」

さやか「このソウルジェムは……」



マミ「……」

さやか「ということなんです」

とりあえず、魔法少女が魔女になる所は伏せて、私達の魂がソウルジェムに変えられたことを話した。

マミ「……その話は本当なの?」

さやか「あの佐倉杏子が教えてくれました」

マミ「……にわかには信じられないわね」

さやか「でしょうね」

マミ「キュウベえも何も言ってなかったし」

さやか「ほむらも知ってるみたいでした」

マミ「暁美さんも……」

さやか「私も事前に話を聞いて、覚悟はしたつもりでした。けど、私の親友が私の好きな人に告白するって聞いて……」

マミ「……」

さやか「それで、私、ゾンビだから……」

マミ「……ごめんなさい、美樹さん」

さやか「はい?」

マミ「少し、考えたいことがあるから……今日は」

さやか「え?」

マミ「私もそのことについて、初めて、知って……」

さやか「……そうですよね。すいません」

マミ「私の方こそ。相談に来てもらったのに」

さやか「いえ! ケーキ美味しかったです。それじゃ」

マミ「……キュウベえ」

QB「なんだい、マミ」

マミ「今の話は本当なの?」

QB「間違いではないよ」

マミ「どうして、教えてくれなかったの?」

QB「訊かれなかったからさ」

マミ「そんな……でも、どうして、佐倉さんまで知ってたのかしら?」

QB「暁美ほむらが教えたんだろう」

マミ「暁美さんが……」

QB「彼女はイレギュラーな存在だからね」

マミ「……」

QB「彼女にいろいろと話を聞いてみるといいんじゃないかな?」

QB(僕も彼女について、知りたいからね)

マミ「そうね……」

私はキュウベえを連れて、暁美さんの家に向かった。

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

ほむホーム

ほむら「ワルプルギスの夜の出現予測地点は……ここ」

杏子「ふーん。根拠は? ……って、訊くまでもねーか」

ほむら「統計よ」

杏子「……しかし、どんだけ、ループしたんだよ」

ほむら「数えるのも諦めるほどに」

杏子「……すごい奴だな、あんたは」

ほむら「褒められるものじゃないわ」

ほむら(そう……本当にね)

杏子「そうか? 十分にすごいだろ?」

ほむら「……嫌味にしか聞こえないわ」

杏子「それは悪かったな」

ほむら「何か刺々しいわね」

杏子「気のせいだろ?」

ほむら「そうかしら?」

杏子「それよりも、あんた」

ほむら「何かしら?」

杏子「死ぬ気か?」

ほむら「……」

杏子「……」

ほむら「……それであいつが倒せるならね」

杏子「それであんたはいいのかよ」

ほむら「……まどかが救えるならね」

杏子「この世界にはお前の救いたいやつはいないのにか?」

ほむら「……そうと決まったわけではないわ」

杏子「でも、現実にはいないぜ」

ほむら「……私が見つけられないだけかもしれないわ」

杏子「………もしかしたら」

ほむら「?」

杏子「そんなあんたを救いたかったのかもしれないな」

ほむら「どういう意味かしら?」

杏子「あんたはまどかのために何回も同じ時間をループしてたんじゃないのか?」

ほむら「ええ」

杏子「それが重かったんじゃないのか?」

ほむら「……え?」

杏子「そのまどかって、奴にはさ」

ほむら「重い……?」

杏子「例えば、まどかがお前のために同じ時間をループしてるとしたら、どうだ?」

ほむら「……私は」

杏子「私は?」

ほむら「何か、協力できないかと考えるわね」

杏子「だけど、お前は契約できないんだぜ? そんなお前に何ができる?」

ほむら「それは……」

杏子「あるいはこうは思わないか? 自分にかまわないで、先に進んでほしい」

ほむら「……そうね。私もそう思うかもしれない。でも、それがどうしたの?」

杏子「…………まあ、なんだ。あたしはあんたに……」

ピンポーン

杏子「……」

ほむら「こんなに時間に誰かしら?」

杏子「……」

ほむら「あたしはあんたに?」

杏子「……は?」

ほむら「続きは?」

杏子「いや、出ないのかよ」

ほむら「どうせ、新聞の勧誘の何かよ」

ぴんぽーん

杏子「いや、出た方がいいだろ」

ほむら「はあ……仕方がないわね」

ガチャッ。

ほむら「どちら様……」

マミ「こんばんわ」

QB「やあ」

ほむら「……」

バタンッ。

マミ「ちょっと!」

がちゃっ。

ほむら「何かしら?」

マミ「話があるの」

ほむら「話? パトロールはどうしたの?」

マミ「それよりも重要な話なの」

ほむら「……分かったわ。入りなさい」



マミ「あら? 佐倉さん」

杏子「マミ……か」

ほむら「今、お茶をだすわ」

マミ「ありがとう」



ほむら「で、話って何?」

マミ「実は美樹さんに聞いたことなんだけど……」

ほむら「美樹さやかに?」

マミ「このソウルジェムについてなんだけど……」

ほむら「!!」

マミ「美樹さんが言うにはこのソウルジェムは……」



マミ「という話なんだけど」

ほむら「……」

マミ「この話は本当なの?」

ほむら『何で、この話が巴マミに?』

杏子『黙っておけって言ったのによ』

ほむら「……私に聞かなくても、そこにいるのが答えてくれるでしょ」

QB「……」

マミ「美樹さんは佐倉さんから聞いて、佐倉さんは暁美さんに聞いた。だから、あなたに聞きに来たの」

ほむら「なるほど」

QB「僕としては。きみがどうして、その事実を知ってるのかに興味があるんだけどね」

ほむら「お前に教えることはないわ」

マミ「……その反応、本当なのね」

ほむら「なんなら、試してみる?」

マミ「? どうやって?」

ほむら「私が杏子のソウルジェムを持って、家を出るから、どうなるか見てみれば、分かるでしょ」

杏子「何で、あたしなんだよ」

ほむら「私はいやだし、巴マミが試しても、分からないでしょ」

杏子「なるほど。消去法であたし……って、ふざけんじゃねえ!」

マミ「……ふふふ」

ほむら「どうかしたの?」

マミ「いえ……その事実を知っても、あまり、気にしてないようだったから」

杏子「そりゃ、ショックだったけどさ。気にしたって仕方がないだろ。それで、何かが変わるわけでもないし」

マミ「そう、割り切れれば、いいんだけどね」

ほむら「……で、どうして、美樹さやかから、その話を聞いたの?」

マミ「相談されたのよ、美樹さんに」

ほむら「美樹さやかに?」

マミ「ええ。美樹さんがそのことで悩んでいるらしくて……」

ほむら「……なるほど」

まったく、厄介な子ね。

ほむら「分かったわ。美樹さやかには私が話してみるわ」

マミ「お願いね」

面倒なことにならなければいいけどね。

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

ほむら「……もう、こんな時間ね」

時計を見れば、もう、7時を過ぎている。

マミ「長くなってしまったわね」

ほむら「仕方がないわ」

内容が内容だから、話が長引くのも仕方がない。

ほむら「夕食でも食べていく?」

マミ「いいの?」

ほむら「悪かったなら、誘わないわよ」

マミ「佐倉さんは……」

杏子「あん? 勝手にしたら、いいだろ?」

マミ「……なら、お言葉に甘えるわ」

ほむら「そう。なら、待っていて」

マミ「……」

杏子「……」

マミ「……それにしても、意外ね」

杏子「?」

マミ「あなたが……暁美さんといるなんて」

杏子「自分でもそう思うよ」

マミ「どうやって、知り合ったの?」

杏子「むこうから、声をかけてきた」

マミ「むこうから?」

杏子「ああ。魔女を退治してたらな」

マミ「暁美さんも魔法少女だからね」

杏子「いきなり、訳分かんねーこと言ってきて、頭がおかしい奴かと思ったわ」

マミ「それは言いすぎじゃないかしら?」

杏子「いや、あの場にいたら、あんたもそう思うさ」

ほむら「悪かったわね」

マミ「あ、暁美さん!?」

ほむら「頭がおかしくて、申し訳ないわね」

マミ「え、えっと、佐倉さんも悪気は……」

杏子「あの状況なら、否定できないだろ」

ほむら「……」

マミ「ドキドキ」

ほむら「そうかもね」

マミ「認めちゃうのね……」

杏子「それより、飯だ。飯」

ほむら「用意できてるわ」

『カップうどん』

マミ「」

杏子「お、うまそうだな」

ほむら「時間は3分よ」

マミ「待ちなさい」

ほむら「? 分かってるわよ。ちゃんと、3分待つわ」

杏子「当然だろ」

マミ「いや、そういうことじゃなくて……」

ほむら「ラーメンのほうが良かったの?」

マミ「違うわよ」

杏子「もしや、カップ焼きそばか?」

マミ「それも違う!」

マミ「せっかくの夕食なのにどうして、カップうどんなのよ」

ほむら「そういうことなら、カップラーメンも……」

マミ「だから、カップから離れなさい」

杏子「食うかい?」

『ポッキー』

マミ「お菓子が食べたいわけじゃないわよ」

ほむら「何が言いたいのよ」

杏子「あんまり、わがままを言うんじゃねえよ」

マミ「私が言いたいのは……」

ピピピピピ

杏子「よし、時間だ」

ほむら「食べましょう」

マミ「……」

杏子「ズルズル」

ほむら「ほむほむ」

マミ「……暁美さん」

ほむら「何かしら?」

マミ「今度、ご馳走するわ。うちに来なさい」

ほむら「? ありがとう?」

杏子「あたしは?」

マミ「佐倉さんもいいわよ」

杏子「よし」

マミ「私達、仲たがいをしてたのよね?」

次の日

さやか「はあ……昨日、あれから、マミさんから、連絡がないんだけど……どうしたのかなあ」

ほむら「美樹さやか」

さやか「ん? ほむら、何か用?」

ほむら「巴マミから、話は聞いたわ」

さやか「!! マミさんから?」

ほむら「ええ。そのことで話があるから、屋上に行きましょう」

さやか「……分かった」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

屋上

さやか「それで話って」

ほむら「……」

ほむら(呼び出したのはいいけど、私には恋愛経験がないから、どう、アドバイスしたほうがいいのかしら)

さやか「ほむら?」

ほむら「な、何かしら?」

さやか「いや、話があるって……」

ほむら「そ、そうだったわね」ファサ

ほむら「あなた、悩んでいるそうね」

さやか「……」

ほむら「上条恭介とのこと」

さやか「……」

ほむら「私が言えることは1つよ。告白しなさい」

さやか「でも、あたしは……」

ほむら「人間、やらないで後悔するより、やって後悔した方がいいのよ」

さやか「私、人間じゃないし」

ほむら「人間じゃないとかゾンビだとかなんて、小さいことよ」

さやか「とても大きい気がするけど……」

ほむら「仮に上条恭介と立場が逆だったら?」

さやか「逆?」

ほむら「あなたはどう思う?」

さやか「そりゃ……」

ほむら(これで大丈夫なはずよ。この後……)

もわもわ

さやか「私はそんなことじゃ恭介を嫌いにならない……」

ほむら「そう。なら、あなたがすべきことは1つよ」

さやか「え?」

ほむら「告白よ」

さやか「でも……」

ほむら「あなたは今、そんなことじゃ、嫌いにならないと言ったわ」

さやか「!!」

ほむら「あなたの好きな上条恭介はそんなことで嫌いになる人なの?」

さやか「そ、そんなことない!」

ほむら「なら、やるべきことは1つよ」

さやか「……そうだね。分かったよ、ほむら!」

もわもわ


ほむら(となるはずね)

さやか「そりゃ……」

ほむら(もっと、友好的にしていれば、美樹さやかも魔女化させずにすんだのに……)

さやか「近づかなくなるんじゃないかな?」

ほむら「」

ほむら「待ちなさい」

さやか「どうかしたの?」

ほむら「おかしくないかしら?」

さやか「何が?」

ほむら「あなたは上条恭介が好きなのよね」

さやか「そりゃあね」

ほむら「なら、相手がゾンビでも、大丈夫じゃないの?」

さやか「いや、さすがにそれは……ほむらは平気なの?」

ほむら「問題ないわ」ファサ

ほむら(そんな相手はいないけど)

さやか「……1つ、言っていい?」

ほむら「かまわないわ」

さやか「……重くない?」

ほむら「? 私はそんなに太ってはないわよ」

さやか「そうじゃなくて……愛が」

ほむら「」

さやか「恭介は……好きでも、流石にゾンビになっても、好きかって言ったら……ねえ」

ほむら「でも、どんな姿でもその人を好きっていうのが……」

さやか「小説とか漫画とかだったら、ありかもしれないけどさ。実際は……」

ほむら「……」

ほむら(これは予想外ね)

さやか「まあ、でも、ありがと」

ほむら「?」

さやか「とりあえず、告白してみるよ」

ほむら「え?」

さやか「やらずに後悔より、やって後悔でしょ」

ほむら「……ええ」

ほむら(友好的に慣れたのはいいけど、ここまで素直だと気持ち悪いわね)

さやか「早速、告白するわ」

ほむら「早いわね」

さやか「思い立ったら、ってことよ」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

放課後

上条「それで。話ってなんだい?」

さやか「実は……」



杏子「ふぁーあ。何で、こんな、覗き見をする必要があんだよ」

ほむら「黙ってみてなさい」

口では平気そうだったけど……下手に扱えば、魔女化も避けられない。

杏子「へいへい」

ほむら「ジー」

喫茶店

さやか「モグモグ」

杏子「モグモグ」

ほむら「……」

ほむら「……で、結局、どうなったのよ」

告白後、隠れてた私達を引っ張り、喫茶店に連れ込まれた。

さやか「……分からないかな?」

ほむら「? ええ」

黙って、連れて来られて、分かるわけがないわ。

さやか「……振られた」

ほむら「……え?」

さやか「見事に振られた!」

ほむら「……ふ、振られた?」

さやか「何でも、『さやかとは幼馴染としてしか見れない』だってさ」

ほむら「……ま、まずい」

このままじゃ、魔女に……。

杏子「はーん。だから、ここでやけ食いかよ」

さやか「うるさい」

ほむら「へ、下手に刺激しないで」

杏子「あん? もぐもぐ。気をつかっても仕方がないだろ」

さやか「ガツガツ」

ほむら『下手に魔女化されたら、面倒よ』

杏子『そりゃ、そうだけどさ』

さやか「あんだけ、尽くしたのにさ」

杏子『わりと平気そうだぞ?』

ほむら(たしかにわりとこの時間軸の美樹さやかは上条恭介に執着はしてないけど……)

ほむら「後悔してる?」

さやか「……ん?」

ほむら「上条恭介の腕を治したことを」

さやか「……」

ほむら「……」

さやか「してないよ」

ほむら「……え?」

さやか「たしかに振られたけどさ。でも、それでも、あいつの辛い顔を見てるよりはましだからね」

ほむら「……そう」

杏子『な? 大丈夫だったろ?』

ほむら『……本当に美樹さやかなのかしら?』

杏子『は?』

ほむら『いつもだったら、とっくに暴走してたのに』

杏子『……そんなに酷かったのか』

ほむら『まどかを救う上の懸案事項だったわ』

さやか「どうかしたの?」

ほむら「何でもないわ」

さやか「そう? なら、次はこのケーキね」

ほむら「ま、まだ、食べるの?」

さやか「あんたの奢りでしょ?」

ほむら「」


ほむら「き、聞いてないわよ」

さやか「失恋したかわいそうなさやかちゃんにケーキを奢るのだー」

杏子「そうと決まれば、あたしも食わないとな」

ほむら「」

ほむら「あなたの分まで、奢れないわよ」

杏子「固いこと言うなよ」

さやか「そうそう」

ほむら(……お金、大丈夫かしら?)

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。



杏子「……」

ほむら「どこかに行くの?」

杏子「あん? パトロールにな」

ほむら「そう。ほどほどにしておきなさいよ。ワルプルギスの夜の出現は近いから」

杏子「へいへい」

マミホーム

杏子「……」

――――――――――――――――――

杏子「死ぬ気か?」

ほむら「……」

杏子「……」

ほむら「……それであいつが倒せるならね」

――――――――――――――――――

杏子「ちっ」

マミ「あら? 佐倉さん?」

杏子「よう、マミ」

マミ「どうかしたの? 何か用事?」

杏子「いや……うーん」

マミ「?」

杏子「えっと……もう平気か?」

マミ「何がかしら?」

杏子「いや、魔女に殺されそうになった、ショックとかさ」

マミ「ああ。それなら、大分、調子を取り戻したわ。まだ、ちょっと、怖いけどね。心配してくれて、ありがとう」

杏子「そ、そうか……」

マミ「……何か、話があるの?」

杏子「あー、まあ……うじうじしてんのも、あたしらしくないか」

杏子「ゴホン」

杏子「ちょっとした、相談があるんだ」



ほむホーム

ほむら「Zzzzzz」



ほむら「ここは……」

暗闇?

まどか「……」

ほむら「まどか……」

まどか「……」

ほむら「まどか!」

暗闇の中、手を伸ばす。

ほむら「あなたはどこにいるの?」

まどか「……」

ほむら「私はあなたを……」

まどか「……」フルフル

ほむら「……まどか?」

まどか「……」パクパク


「ほむら!」


ほむら「何を言ってるの?」

まどか「……」パクパク


「起きろよ」


ほむら「まどか!」

まどか「……頑張って」



杏子「起きろ!」

ほむら「!?」

杏子「起きたか」

ほむら「……杏子」

杏子「なんか、うなされてたぞ」

ほむら「……」

杏子「大丈夫か?」

ほむら「……ええ」

杏子「すごい汗だぞ?」

ほむら「……お風呂に入ってくるわ」

杏子「……」



ほむら「……まどか」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

杏子「……」

回想

マミ「相談したいこと?」

杏子「ああ」

マミ「珍しいわね、あなたが」

杏子「まあ、自分でも不思議には思うよ」

マミ「で、何の相談?」

杏子「ワルプルギスの夜」

マミ「……そろそろ、来るのよね。皆で連携しないと」

杏子「そのワルプルギスの夜についてなんだが……」

マミ「?」

杏子「ほむらは抜きで戦いたいんだ」

マミ「!?」

マミ「暁美さん抜きで?」

杏子「ああ」

マミ「……ワルプルギスの夜ほどの魔女を倒すには1人でも人数がほしい。それは分かるわよね」

杏子「知ってるよ」

マミ「なら、どうして、暁美さんを抜きに?」

杏子「……あいつは死ぬ気だぜ」

マミ「死ぬ気?」

杏子「ワルプルギスの夜を倒すためにな」

マミ「……たしかに自殺願望なら、良くないかもしれないけど」

杏子「……」

マミ「はっきり言って、ワルプルギスの夜ほどの魔女なら、最悪、全滅の可能性もあるわよ。それこそ、死ぬ気でやらないと」

杏子「それは……分かってるけど……なんて言ったら、いいかな……」

マミ「……」

杏子「たしかに下手したら、死ぬかもしれない。でも、始めから、死んでもいいって思って戦うのは違うだろ?」

マミ「……」

杏子「あたしは好き勝手、やってきたから、死んだって仕方がないかもしれない」

杏子「でも、あたしはたとえ、ワルプルギスの夜が相手だって、死ぬ気はねーぜ」

マミ「……」

杏子「あいつはまどかとかいう奴のために自分の命なんて、どうだっていいって思ってる」

杏子「まどかを救う」

杏子「それこそが自分の使命だなんていってな」

マミ「……ようするにあなたは」

マミ「暁美さんに死んでほしくないのね」

杏子「うぐ……」

マミ「あなたも変わったのね」

杏子「うるせえ」

マミ「佐倉さんの気持ちは分かったわ。でも……」

杏子「……」

マミ「暁美さん抜きではワルプルギスの夜を倒すのは厳しいわ」

マミ「現状、私も万全ではないし、美樹さんは魔法少女に成り立て。たとえ、佐倉さんがいたとしても……」

杏子「それは分かってんだよ」

杏子「そこをどうにかしてくれって言ってんだよ」

マミ「そう言われても……誰かを魔法少女にする?」

杏子「魔法少女の秘密を知って、誰かを誘えるか?」

マミ「私は嫌よ」

マミ(そんな知り合いはいないし)

杏子「だろ?」

マミ「まあ、仮にいても、今からじゃ、時間がないわね」

マミ「なるべく、無茶をさせないように監視するしかないわね」

杏子「……」

マミ「それにしても、どういう心境の変化かしら?」

杏子「……何だかんだで……楽しかったのかもな」

マミ「……そう」


杏子「それにあいつには恩を返さないとな」

杏子「衣食住のな」

マミ「……そう」

杏子「わりーな。じゃまして」

マミ「いいのよ。また、来てね」

杏子「……ああ」

回想終了

杏子「……絶対に死なせねーぞ、ほむら」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

ワルプルギスの夜 前日

早朝

まどかの家・まどかの部屋

ほむら「……」

杏子「いよいよ、明日だな」

ほむら「そうね」

杏子「相変わらず、まどか捜し。飽きないな」

ほむら「うるさい」

杏子「へいへい」

ほむら「……」

杏子「で。こんなところに何しに来たんだよ」

ほむら「……結局」

杏子「あん?」

ほむら「私のやってきたことってなんだったのかしら?」

杏子「知らねえよ」

杏子「あたしはあんたの言ってることが本当かも分からないからな」

ほむら「……そうね」

ほむら「あなたには私が電波に見えるでしょうね」

杏子「そこまでは言わないけどさ」

ほむら「でも、私は……」

杏子「こんなところに暗くなりに来たのか?」

ほむら「……いよいよ、明日はワルプルギスの夜」

杏子「……」

ほむら「まどかはいないといっても、何もしないでいるわけにもいかない」

杏子「そりゃあなあ」

ほむら「だから、今度こそ、勝てるようにって」

杏子「逃げるって選択肢もあるだろ」

ほむら「それは……」

ほむら「そのほうが賢いのかもしれないわね」

ほむら「でも、この街は……まどかが護ろうとした街だから」

杏子「見捨ててはいけない、ってことか」

ほむら「……私に次の時間はない」

ほむら「もう、失敗は許されない」

杏子「……」

杏子「で、こんなところに来たのは?」

ほむら「『絶対にワルプルギスの夜を倒してみせる』」

ほむら「まどかに誓うためよ」

杏子「それで、こんなに朝早くに?」

ほむら「昼間には入れないし。夜には早く寝たいから」

杏子「消去法で朝、ね」

ほむら「ええ」

智久「あれ? 声が……」

ほむら「帰るわよ」

杏子「ああ」

ガチャッ。

『頑張って』

ほむら「!?」

杏子「おい。早く行くぞ」

ほむら「……ええ」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

そのsagaの書き方と知久を智久にしてるのには何か意味あるの

ほむら「さて。これから、家に戻って……」

杏子「ちょっと、待ってくれ」

ほむら「?」

杏子「行きたい場所があるんだけど……いいか?」

ほむら「……」

教会

ほむら「ここは……」

杏子「ただの寂れた教会さ」

ほむら「……」

杏子「あんたはいろんなことを知ってたからな。もしかしたら、あたしのことも知ってるかもしれない」

ほむら「……」

杏子「じゃあ、今から、話す内容も知ってるのかもな」

ほむら「……そうかもね」

杏子「でも、話す」

ほむら「……」

杏子「聞きたくないなら、出て行ってもいいぞ」

ほむら「……いいえ」

杏子「そうか」

杏子「まあ、これから、長い話になる」ガサゴソ

杏子「食うかい?」

ほむら「りんご……いただくわ」

パクパク

杏子「話しを続けるぞ」

ほむら「ええ」

杏子「ここはな……」



杏子「……ということさ」

ほむら「……」

杏子「この話もあんたの話なら、どこかの時間軸で聞いたんだろ?」

ほむら「否定はしないわ」

ほむら(どの時間軸かまでは覚えてはいないけれど)

ほむら「でも、どうして、そんな話を私に?」

杏子「……さあね。まあ、今日が最後かもしれないし、あんたに知っててほしかったのかもな」

ほむら「あなたにしては随分、後ろ向きな台詞ね」

杏子「うるせえ」

杏子「さて……行くか?」

ほむら「……もう少し、ここにいましょう」

杏子「? さやか達と合流しないのか?」

ほむら「ここは何だかんだで、あなたの大切な場所でしょ」

杏子「……」

ほむら「その場所にもう少し、いたいだけよ」

杏子「……そうか」

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

>>358

特に意味はないです

普通に間違えただけです



マミ「いよいよ、明日なのよね」

ほむら「ええ」

さやか「で、そのワルプルギスの夜だっけ? そいつは今までの魔女とは違うんだよね?」

ほむら「そうよ。こいつは今までの魔女のように結界を必要としない。具現化しただけで多大な被害が出るわ」

さやか「それで誰も気づかないんだよね」

ほむら「普通の人には見えないから。大概は台風とかの災害として、片付けられてしまうわ」

さやか「……そんなのに勝てるの?」

杏子「勝てなきゃ、死ぬだけだ」

さやか「……」ゴクリ

マミ「もう、佐倉さん。あんまり、驚かさないの」

杏子「本当のことだろ?」

QB「やあ」

ほむら「……」

杏子「……」

さやか「……」

マミ「キュウベえ……」

杏子「今度は何をたくらんでるんだ?」

さやか「また、私達を騙す気なんでしょ?」

QB「いきなりな言われようだね」

杏子「当たり前だろ」

さやか「自分のやったことを考えてみなさいよ」

QB「それが分かれば、僕達もここにいる必要はないんだけどね」

杏子「相変わらず、むかつく物言いだな」

マミ「まあまあ。ところで、キュウベえは何をしに来たの?」

QB「いよいよ、明日はワルプルギスの夜だからね。君達の様子を見に来たのさ」

杏子「へえ、そうかい」

さやか「私達は見てのとおりだよ」

ほむら「それじゃ、用事は済んだわね。消えなさい」

マミ「ま、まあまあ。……キュウベえ」

QB「なんだい、マミ」

マミ「私達が勝てる可能性は……どれくらいかしら?」

QB「君達、4人でかい?」

マミ「ええ」

QB「決して、高くはないね」

マミ「私達、4人で戦っても?」

QB「うん」

さやか「そこまでの敵なのかあ……」

QB「勝てても、無傷とは言えないだろうね」

杏子「だろうなあ」

さやか「まあ、でも、魔法もあるからね」

ほむら「身体だけの問題じゃないわ。ソウルジェムにも気をつけないと」

マミ「ソウルジェム……」

ほむら「ワルプルギスの夜を倒せば、それだけ、私達のソウルジェムも穢れてしまうわ」

QB「僕達としては願ったり叶ったりだけどね」

杏子「だろうな」

マミ「とにかく、明日はグリーフシードの残量に気をつけながら、戦わないとね」

さやか「そうですね」

ほむら「そこが難しいのよね。ワルプルギスの夜を相手にそんな余裕はないから」

マミ「そこが問題よね」

杏子「まあ、なるようにしかならないさ。そんなことより、飯にしようぜ」

さやか「は? こんな時に?」

杏子「こんな時だからだろ。暗い雰囲気じゃ、勝てるもんも勝てない。だから、食って、雰囲気を明るくすんだよ」

さやか「とかいって、お腹減っただけでしょ、あんたは」

杏子「わりいかよ!」

さやか「逆切れ!?」

ほむら「……」

ほむら(今度こそ……勝てるかしら)

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

ワルプルギスの夜・当日

ほむホーム

ほむら「いよいよ、今日ね……」

杏子「……ああ」

ほむら「勝てるかしらね」

杏子「勝てるかしら、じゃなくて、勝つんだよ」

ほむら「……そうね」

杏子「この後、どうすんだ?」

ほむら「この後?」

杏子「ワルプルギスを倒した後だよ」

ほむら「……」

杏子「どうした?」

ほむら「……よく聞くのね、そのことを」

杏子「…あんたは先を見てないからな」

ほむら「先?」

杏子「ワルプルギスの夜を倒した後のことを」

ほむら「……」

ほむら「私達に先はないわ」

ほむら「魔法少女はいずれは魔女になる。そんなのはごめんよ」

ほむら「だから、自分で自分のソウルジェムを破壊するわ」

杏子「……そうか」

ほむら「もう、私にとっては最後の時間」

ほむら「最後にまどかを見られなかったけど、私に後悔はないわ」

ほむら「きっと、どこかにいるはずだから」

杏子「そうか……」

コツコツ

ほむら「杏子……?」

ドカッ

ほむら「ぐっ……な、何を……」

杏子「悪いな」

ぱっ。

ほむら「ソウルジェムを……」

杏子「これの有効範囲は100メートルか」

ほむら「返して……」

杏子「また、会おうぜ」

ほむら「待って……」

ダッ。

ほむら「杏……子……」

ガクッ。

今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。

さやか「いよいよですね、マミさん」

マミ「ええ……」

ビュウウウウウウウウウ。

マミ「風も強くなってきたわね」

さやか「周りには台風とかそんな感じなんですよね」

マミ「そうね」

マミ「でも、仕方がないわよ」

マミ「普通の人には魔女を感知できないんだから」

杏子「揃ってんな」

マミ「佐倉さん」

さやか「杏子……」

杏子「びびらずに来たか」

さやか「カチン」

さやか「当たり前でしょ!」

マミ「暁美さんは?」

杏子「……」

杏子「あいつは……気分が悪くなって、休んでるよ」

マミ「気分が?」

さやか「魔法少女なのに?」

杏子「精神的なもんもあるんだろ」

マミ「たしかにいつも、なにかおかしかったけど……」

杏子「とにかく! 今日はほむらは来ない」

さやか「でも、3人じゃ厳しいんじゃない?」

マミ「美樹さんの言う通りよ」

杏子「へん。やばい状態のあいつを連れてきたって、役には立たねーよ」

さやか「それはそうだけどさ」

ざわ……ざわ……

マミ「……!!」

杏子「話はそこまでだな」



杏子「来るぞ」



さやか「いよいよか……」



マミ「……」


今回はここまでです

読んでくださった方はありがとうございます。


舞台装置の魔女 ワルプルギスの夜

マミ「あれがワルプルギスの夜……」

さやか「で、でかい……」

杏子「こりゃ、想像以上だな」

さやか「あんなのに勝てるの……」

杏子「勝つしかないだろ」

マミ「佐倉さんの言うとおりよ」

マミ「あの魔女を放っておいたら、たくさんの人達が犠牲になるわ」

QB「そうだよ」

さやか「!?」

杏子「高みの見物か?」

QB「君達にとって、最大の敵だからね。様子を見に来るのも当然だろ?」

杏子「けっ」

QB「そういえば、暁美ほむらはどうしたんだい?」

マミ「体調が悪くて、休んでいるのよ」

QB「休んでいる? こんな時にかい?」

さやか「仕方がないでしょ!」

QB「魔法少女が体調不良……」

マミ「ねえ、キュウベえ」

QB「? なんだい」

マミ「私達って、勝てるかしら?」

QB「はっきり言うなら、厳しいだろうね」

さやか「本当にはっきり言うなあ」

QB「事実だからね」

QB「もっとも、ほむらがいたとしても、厳しいかもしれないね」

杏子「はん。いいから、てめえはひっこんでな」

ワルプルギスの夜「アハハハハハ」

杏子「いくぞ」



ワルプルギスの夜「アハハハハハ」

杏子「いくぞ、さやか!」ダッ

さやか「ま、待って!」

マミ「……」タッタッタッ

QB「杏子とさやかが先行して、道を作り、マミがそれを援護しつつ、進むんだね」

杏子「っていうか、何でついてくんだよ」

QB「君達の戦いは実に興味深いからね」

マミ「話してる暇はないわよ」

杏子「分かってるよ」

ワルプルギスの夜「アハハハハハハ」

ガシャアアアアアアアア

杏子「ビルが……」

ワルプルギスの夜「アハハハハハハ」

杏子「来るぞ! 逃げろ!」

ビュウウウウウウウウウウウウウン

ドガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアン

杏子「危ないな……」

あたし達の進行方向にビルの残骸が地面にめり込んでいる。

さやか「かあ……なんて奴よ」

マミ「……流石の強さね」

杏子「はん。これくらいやってもらわないとな。行くぞ」

今回はここまでです

ほむら「」

まどか『……起きて』

ほむホーム

ほむら「」

まどか『起きないと駄目だよ、ほむらちゃん』

コトッ。

ほむら「」ビクン

ほむら「……んん」

ほむら「……ここは」

ガラーン。

私の……家?

ほむら「どうして……」

たしか、杏子に……

ほむら「そういえば、こんなことをしてる場合じゃないわ」

ワルプルギスの夜は……

ほむら「!?」

ワルプルギスの夜「アハハハハハ」

ほむら「あれは……」

そんな……もうすでに……

ほむら「どうして……」

……今はそんな事を考えている場合じゃないわね。

ほむら「行かなきゃ……ん?」

机の上に手紙に……りんご?

手紙『あんたは必要ないから、だまってにげてろ』

ほむら「……」

ほむら「一体、何のつもりかしら」

今までに1度も、ワルプルギスの夜を倒せなかった。

ほむら「無茶すぎるわ」ヘンシン

ほむら「……勝手な真似するんじゃないわよ。同居人のくせに」

ガチャッ

びゅううううううううううううう

ほむら「すごい風ね……」

ワルプルギスの夜「アハハハハハ」

ほむら「……今度こそ」ダッ

今回はここまでです

杏子「ちっ」

ビル「ドガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアン」

杏子「くそっ」

さやか「ビルを軽々と持ち上げてくるなんてね」

マミ「さすがはワルプルギスの夜よね」

杏子「感心してる場合かよ」

杏子「一向に前に進めないじゃん」

さやか「そうはいってもねえ」

ワルプルギスの夜「アハハハハハハ」

マミ「事前に情報があっても、ここまでとは思わなかったわね」

杏子「弱気なこと言ってんじゃねえよ」

ぱかっ。

もぐもぐ。

杏子「勝てるもんも勝てなくなるだろ」

さやか「はあ……あんたはこんな時でも、ロッキーを食べんのね」

マミ「分かってるわ、佐倉さん。このまま、負けっぱなしってわけにもいかないものね」

杏子「分かってんなら、ちゃんとしろよ」

マミ「ええ」

杏子「足、引っ張んなよ」

さやか「私に言ってんの?」

杏子「他に誰がいんだよ」

さやか「むっ!」

マミ「はいはい。落ち着きなさい、美樹さん」

さやか「……はい」

マミ「佐倉さんも余計なこと言わないの」

杏子「へいへい」

杏子「まあ、無駄話はこれまでにして……」

ダッ。

杏子「サッサと行くぞ」

マミ「ええ」

さやか「ちょ、待って」



ワルプルギス「アハハハハ」

ダッダッ。

杏子「よっと」

杏子「挟み撃ちでいくぞ」

さやか「オッケー」

あたしとさやかは左右に別れる。

マミ「フォローは任せなさい」

バキュンバキュン

中央からはマミが銃弾を浴びせる。

杏子「喰らいやがれ!」

さやか「はああああああああああああ!!」

ズバシャアアアアアアア。

ワルプルギス「……アハハ……ハハハハ」

杏子「よし!」

さやか「今だよ、マミさん!」

マミ「ティロ・フィナーレ!」

ズドン

ドカシャアアアアアアアアアアン

渾身のティロ・フィナーレがワルプルギスに直撃した。

タッ。

杏子「やったか……?」

タンッ。

さやか「……どうだろう」

今回はここまでです

マミ「皆!」

さやか「マミさん!」

マミ「やったわね!」

さやか「さすが、マミさん! さっきの一撃は見事でしたよ!」

マミ「ありがとう」

杏子「……」

マミ「どうかしたの、佐倉さん」

杏子「いや……意外にあっけないなって思ってな」

マミ「たしかに、強い強い、言われてたけど……今のは改心の一撃だったわ」

杏子「たしかに思いのほか、うまくはいったさ。でもなあ」

さやか「ははーん。あんた、マミさんがトドメの一撃を決めたのが悔しかったんでしょ!」

杏子「ちげーよ!」

杏子「ただ、あの程度なら、あいつが……」

もわもわ

杏子「ん? 煙が晴れて……」

ワルプルギス「ゴゴゴゴゴ」

杏子「!?」

杏子「逃げろ!」

さやか「え?」

ワルプルギス「アハハハハ」

びゅううううううううううううう

杏子「避けろ!」

マミ「くっ」サッ

さやか「あぐっ」

バタンッ

マミ「美樹さん!」

杏子「さやか!」

使い魔「アハハハハ」

使い魔「ミカワヤデース」

マミ「使い魔!」

杏子「邪魔だ!」

ズバシャアアアアアアアア

杏子「さやか!」

さやか「いっつつ……」

杏子「平気か!?」

さやか「んんっ……なんとか」

QB「さっきの一撃は見事だったね」

杏子「お前……」

QB「でも、それでも、ワルプルギスの夜には通じてないみたいだね」

QB「本当にワルプルギスの夜は強いね」

杏子「黙ってろ」

マミ「動ける、美樹さん」

さやか「へっちゃらです」

杏子「よし。なら、もう1度、ぶち込んでやろうぜ」

さやか「オッケー」

マミ「行くわよ」

杏子「おう!」

さやか「はい!」

今回はここまでです

杏子「おら!」ダッ

さやか「はっ!」ダッ

杏子「さっきの要領でいくぞ!」

さやか「分かってるっての!」

あたし達は2人に別れる。

使い魔「ウキャキャキャ」

使い魔「プギャギャギャギャ」

さやか「使い魔!?」

マミ「同じ手はくわないってことね」

杏子「まあ、当然だろうな!」

ズバシャアアアア

杏子「いっくぞ、さやか!」

さやか「お、おう!」

使い魔「アハハハハ」

さやか「お、おら!」

ワルプルギスの夜「……」

杏子「おい! 使い魔に手間取るな!」

ワルプルギスの夜「……」

ピシャアアアアアアアアアアアン

マミ「!? 佐倉さん!」

杏子「!? ぐわああああああああ」

ズドドドドドン!

さやか視点

さやか「杏子!」

マミ「佐倉さん!」

杏子の体は吹き飛ばされ、何棟ものビルを突き抜けていった。

さやか「くそっ……」

マミ「余所見は駄目よ、美樹さん!」

さやか「!?」

使い魔「アハハハハ」バシンッ

さやか「ぐっ!?」

マミ「美樹さん!!」

ワルプルギスの夜「アハハハハハハハ」」

QB「逃げたほうが良いと思うよ、マミ。もはや、どうしようもないよ」

マミ「……覚えておきなさい、キュウベえ」

QB「?」

マミ「逃げてはいけない戦いもあるって事を!」ダッ

QB「やれやれ。無謀だと分かっているのに戦いを挑むだなんて、わけが分からないよ」

今回はここまでです

使い魔「ヤッタルデー」

マミ「はっ!」

バキュンバキュン

使い魔「ウギャアアアア」

マスケット銃で使い魔を撃ち抜く。


使い魔「ウキャキャ」

使い魔「ワハハハ」

マミ「しつこいわね」

後のワルプルギスの夜を倒すためにもここでてこずる訳にもいかない。だけど、あまり、魔力を使いすぎるわけにもいかない。

マミ「美樹さん達を助けにいくべきだけど……」

使い魔を退けながら、助けにいくのはリスクが伴うことだ。下手したら、私もやられてしまう。問題は。

マミ「どちらを助けるか……ね」

美樹さんの能力なら、自己回復で傷も何とかなる。でも、実力的には私がついていたほうがいいでしょうね。佐倉さんは経験や実力もあるけど、大怪我を負ってたら……。

マミ「……」

迷ってる時間はない。まずは美樹さんを助けに行きましょう。

マミ「……」ダッ


杏子「……んん」

ここは……?

パラパラ

杏子「外……?」

杏子(そういや、あたしはワルプルギスの夜と戦ってたんだっけな。それで、油断して、吹き飛ばされて……)

ズキズキ。

杏子(ちっ。体中がいてーな……)

杏子(その気になれば、痛みも消せるんだろうけどさ)

杏子「……くそ」

立ち上がり、パンパンと埃を落とす。

杏子「マミ達は平気か?」

ワルプルギスの夜「アハハハハ」

使い魔「ウキャキャキャ」

ここから、使い魔達がさっきよりも遠くに見える。どうやら、相当飛ばされたらしい。

杏子「マミは平気だろうが……あいつが心配だな」ダッ

さやか「くううううう」

さやか(まさか、こんなバトル漫画みたいにぶっ飛ばされるなんてねえ)

さやか「私、ワクワクしてきた! なんちゃって!」

さやか(なーんて、馬鹿なことをしてる場合じゃない」)

使い魔「アハハハ」

使い魔「バアババ」

さやか「あはは。大歓迎だね」

さやか「さやかちゃんもやられっぱなしのままじゃ、いられないよ!」

ダッ。

今回はここまでです

さやか「はっ!」

ズバシャアアアアアアア

使い魔「アハハハ」

さやか「しつこいって!」

使い魔「アハハハ」

さやか「!? しまった!? 後ろ……」

ズキャン!

使い魔「」

マミ「危ないところだったわね」

さやか「マミさん!」

マミ「平気そうね」

さやか「へっちゃらですよ」

マミ「そう。なら、佐倉さんを助けに……」

杏子「その必要はねーよ」

さやか・マミ「「!?」」

マミ「佐倉さん!」

さやか「あんた……生きてたの!?」

杏子「当たり前だろ」

マミ「よかった……」

杏子「安心してる場合かよ。長期戦は不利だ。速攻で……」

ワルプルギスの夜「アハハハハハ」

杏子「!?」

さやか「いつの間に!?」

マミ「皆! バラバラでもいいから、逃げ……」

ビル「ゴゴゴゴゴ」

マミ「!?」

がばっ。

ドガシャアアアアアアアアン

杏子「馬鹿野郎! ぼーっとしてんじゃねえ!」

マミ「ご、ごめんなさい……」

杏子「あいつは平気か……まあ」

ワルプルギスの夜「アハハハハハ」

杏子「あいつの心配をしてる場合でもないんだけどな」

マミ「……そうね」

杏子「援護は任せる」

マミ「任されたわ」

使い魔「アハハハ」

使い魔「あはは」

杏子「邪魔だ」

ズバシャアアアアアアア

杏子「今のうちだぜ」

あたしの攻撃範囲にワルプルギスの夜が入る。

杏子「オラアアアアアアアアアアア!!!」

ズバシャアアアアアアアアアア

マミ「いいわよ、佐倉さん!」

スタッ。

一撃をいれ、ビルの屋上に降りる。

杏子「やっぱり、一発じゃ、無理か。まあ、何発でも入れてやるがな」

あたしは再び、ワルプルギスの夜に向かった。

今回はここまでです

杏子「オラアアアアアアアアアア!!!」

ズバシャアアアアアアアアアア

ワルプルギスの夜「アハハハハ」

使い魔「ウフフ」

マミ「邪魔よ!」

あたしがワルプルギスを攻撃し、マミはあたしを狙う使い魔を後ろから攻撃する。

マミ「いい調子よ、佐倉さん」

杏子「任せな」

ズバシャアアアアアアア

ズバシャアアアアアア

ワルプルギスの夜「……」

マミ「弱ってきてるわよ」

杏子「ああ!」

ワルプルギスの夜「……」

ビュウウウウウウウウウ

杏子「まだ、攻撃してくるか……だが、的外れだぜ」

その攻撃はあたしのいる位置とは別の方向に向かって発射される。

杏子「弱っちまった……マミ!!」

マミ「……え?」

使い魔「ウェヒヒ」

ズドオオオオオオオン

マミ「キャアアアアアアアアアアア」

杏子「マミ!!」

ワルプルギスの夜「アハハハハハハ」

杏子「……くそったれ!」



杏子「邪魔だ!」

ズバシャアアアアアア

使い魔「ウェヒヒ」

杏子「はあはあ……しつこい奴らだ」

使い魔「ウェヒヒ」

使い魔「ウェヒヒ」

>>462 訂正

ほむら「……すでに戦いは始まってるみたいね」

QB「やあ、暁美ほむら」

ほむら「お前は……」

QB「彼女達も頑張ってるようだけどね。所詮は無謀な戦いだったわけだ」

ほむら「……」

QB「君はどうするんだい? 逃げるのかい? 戦うのかい?」



杏子「邪魔だ!」

ズバシャアアアアアア

使い魔「ウェヒヒ」

杏子「はあはあ……しつこい奴らだ」

使い魔「ウェヒヒ」

使い魔「ウェヒヒ」

杏子「昔のあたしなら、とっくに逃げ出してたんだろうなあ……」

なーんで、こんなに血みどろに戦ってんのかねえ。

杏子「まあ……いいか。やりたいようにやるさ」

使い魔「ウェヒヒ」

使い魔「ウェヒヒ」

杏子「本気でいかせてもらうぜ……」

今回はここまでです

杏子「……」

ズバシャアアアアアア

使い魔「ギャアアアアアア」

ワルプルギスの夜「アハハハハ」

杏子「もう……2度と使うこともなかったんだけどな……」

ワルプルギスの夜「アハハハハ」

杏子「ロッソ・ファンタズマ」



さやか「……はあはあ。まずったなあ……」

私の足にはコンクリートの塊がある。

さやか「たはは……どうしたもんかねえ……」

ほむら「……」

さやか「……ほむら?」

ほむら「なんて様なの?」

さやか「……酷い言い草だね」

ほむら「……」

バシュッ。

さやか「あっ……」

ほむら「これで立てるでしょ?」

さやか「……サンキュ」

ほむら「……杏子達は?」

さやか「……たぶん、あいつと戦ってるよ」

ほむら「……そう」

さやか「あんた……体調は平気なの?」

ほむら「? 何のこと?」

さやか「だって、杏子が……」

ほむら「……なるほど」

ほむら「ところで……」

さやか「あん?」

ほむら「まだ、戦える?」

さやか「誰に言ってんの?」

ほむら「あなたしかいないじゃない」

さやか「ははーん。このさやかちゃんに言ってくれるじゃない」

ほむら「そんな減らず口が叩けるなら、まだ、平気ね」

さやか「……口が悪いねえ」

ほむら「行くわよ」

さやか「おう」



マミ「はあはあ……さ、佐倉さん……」

マミ(流石に今のは効いたわね……)


マミ「状況は……」



杏子「はあはあ……」


マミ「佐倉さん……あれを……」

マミ(でも……)

マミ「それでも……劣勢……」


マミ「それじゃ……」



ワルプルギスの夜「アハハハハ」

ビュウウウウウウウ。

そのうちの一方にワルプルギスの攻撃が放たれる。

ビュンッ。

杏子「ばーか」

全ての分身を背後に集める。



マミ「一方を囮にしたのね……」



杏子「これで終わり……」

ワルプルギスの夜「アハハハハ」

ビュウウウウウウウ

杏子「なに!?」



マミ「佐倉さん!」



杏子「ぐわあああああああああああああ」

私の体は空中に投げ出される。

杏子「ちくしょう……だけど……」

ズシュズシュ



マミ「ワルプルギスの夜のスカートに穴が!?」



杏子「おせーよ……ほむら」



ほむら「誰のせいよ」

今回はここまでです

QB「やれやれ。君も物好きだね」

QB「この状況で戦いに出るなんて」

ほむら「黙りなさい」

ほむら「美樹さやか」

ほむら「杏子を頼んだわよ」

さやか「あいよ」

さやか「私が助けてる間に負けんなよ」

ほむら「それは私の台詞よ」



ワルプルギスの夜「アハハハハハ」

ほむら「……何だか、すごい久しぶりな気がするわね」

ほむら「まあ、いろいろあったからでしょうけど」

私は弓を構える。

ワルプルギスの夜「アハハハハ」

ほむら「始めましょう、ワルプルギス。最後の戦いを」

ビシュッビシュッ

矢が放たれると同時に私の戦いの火蓋が落とされた。


使い魔「うひゃあああ」

使い魔「うひゃあああ」

ピシュッ

使い魔「うげえええ」

ほむら「雑魚は引っ込んでなさい」

QB「君の武器は実に不思議だ」

QB「君の持っている魔力よりも強い力を感じる」

ほむら「何で、ついてくるのよ」

QB「君は実にいい研究材料だからね」

ほむら「私の戦いをこの眼で見ようってことね」

QB「そうだよ」

ほむら「なら、見てなさい」

懐かしい……まどかの使っていた弓なら……誰にも負けないわ。

ほむら「私がワルプルギスを倒すところを」

QB「楽しみにしておくよ」

今回はここまでです

杏子「」

さやか「杏子!」

ゆさゆさ

さやか「すごい傷だらけ……」

杏子「」

さやか「それにソウルジェムも黒くなりかけてる」

さやか「はあ……ったく。無茶しすぎだっての」

パアアアアア。

杏子「……」

さやか「杏子!!」

ぺしぺし

杏子「……んんっ」

さやか「起きろ!」

ぺしんっ!

杏子「いってええええええええ」

さやか「起きた?」

杏子「……何すんだ」

さやか「なかなか起きない、寝ぼすけさんにはこれくらいしないとね」

杏子「ああ、そうかい……うぐ」

さやか「身体は平気?」

杏子「……ったりまえだろ」

さやか「……」

ちょんっ。

杏子「ぐっ!?」

さやか「無理しちゃって」

杏子「……何しに来たんだ」

さやか「もちろん、助けにだよ」

杏子「じゃあ、体を治してくれよ」

さやか「任せて! と言いたいけど、私、自分の体しか無理だし」

杏子「……」

さやか「……ごめん」

杏子「……まあ、いいさ。いざとなれば、痛みなんて、簡単に消せるしな」

さやか「どっかで聞いた台詞だね」

杏子「……まだ、戦えるか?」

さやか「当たり前でしょ」

杏子「……よし。最後の奇襲に出るぞ」

さやか「?」



ほむら「はっ」

ビシュッビシュッ

私の矢がワルプルギスの夜の体を貫く。

ほむら「ダメージは微々たる物ね」

ワルプルギスの夜「アハハハハ」

これは長期戦になるわね

ほむら「根比べね。……いいわ、その挑戦受けてあげる」

最後に勝つのは……。

ほむら「私よ」

今回はここまでです

ほむら「喰らいなさ……」

さやか「はっ!」

ワルプルギスの夜の前に美樹さやかが現れた。

ほむら「美樹さやか!?」

さやか「喰らえ!」

ほむら「正面から!? 無茶よ!」

ワルプルギスの夜「アハハハハハ」

ワルプルギスの攻撃が美樹さやかに迫る。

QB「あのままじゃ、直撃だ」

ほむら「さやか!!」

さやか『ピュン』

ほむら・QB「「消えた!?」」

???「後ろだよ!」

ほむら「あれは……」

ワルプルギスの夜の後ろに巨大な槍を構えた杏子が立っていた。

ほむら「幻覚……」

QB「なるほどね」

QB「美樹さやかの幻を囮にして、あれを準備していたのか」

ほむら「……」

杏子「これで終わりだ……」

ワルプルギスの夜「アハハハハハ」

ほむら「あの一撃で杏子の勝てる可能性は?」

QB「正確には分かりかねるけど、五分五分じゃないかな?」




マミ「……佐倉さん」

マミ「……私も」



QB「どうやら、マミも動き出したようだ」

ほむら「!?」



マミ「はあはあ……」



ほむら「……」

私は弓を構える。

ほむら「……まどか」

QB「なるほど。君達、3人なら、勝てる可能性は高いよ」

ほむら「力を貸して、まどか」

私の力を矢に込める。

ぎゅっ。

まどか『……うん』

ほむら「?」クルリ

QB「こんな時に後ろを向いてどうしたんだい?」

ほむら「……何でもないわ」

ほむら「……ありがとう」

今回はここまでです

さやか「大丈夫、杏子?」

杏子「はあはあ……平気さ」

さやか「でも、あんた、相当魔力を使ってるし」

杏子「お前みたいなボンクラとは経験が違うんだよ」

さやか「カッチーン」

杏子「……手筈通りにやれよ」

さやか「杏子……」

杏子「ボンクラに期待するだけ、無駄かもしれないけどな」

さやか「……」

さやか「あんたも素直じゃないね」

杏子「……」

さやか「ここで分かった……って、言うさやかちゃんじゃないんだよねえ」

杏子「……馬鹿な奴だな」

さやか「何とでも言ってなさい」

杏子「……喰らいな、ワルプルギス」



マミ「ティロ・フィナーレ!」



ほむら「これで終わりよ……」バッ



さやか「3方向からの強烈な攻撃……これなら……」



ワルプルギス「アハハハハハハ」

ワルプルギス「アハハハ……ハハハ」

ほむら「ワルプルギスの夜が弱ってる……後、一撃……」クラッ

ほむら「ぐっ……今ので、魔力が……」



マミ「はあはあ……」


ほむら「後……一撃なのに……」



杏子「はあはあ……まあ、これで十分か」

杏子「出番だぜ……」

QB「ほしかったね。良いところまでいったのに」

ほむら「……うるさいわね。まだ、私は……」

ほむら「……どうやら、その必要はないわ」

QB「? どういうことだい?」

ほむら「私達の」


さやか「くらえええええええええ」

さやかの刃がワルプルギスの夜を切り裂いた



ほむら「「勝ちってことよ」

今回はここまでです

ワルプルギスの夜「アハハハ……」

ワルプルギスの夜「アハハ……」

ワルプルギスの夜「アハ……」

ワルプルギスの夜「ア……」

ほむら「ワルプルギスが……消えていくわね」

QB「これは驚きだね。君たちがワルプルギスの夜を倒せるなんて」

ほむら「正直、ギリギリね……もう1度、やれと言われたら、もうできないでしょうね」

QB「たしかに」

さやか「ああああああああああああああ」

ほむら「さやか!?」

QB「最後に止めをさしたのはさやかだったね」

ほむら「!?」

QB「ワルプルギスの夜を倒すのには高い代償が必要だったってことだろう」

ほむら「くっ……」タッ

さやか「あああああああああああああ」

杏子「おいっ!」フラッ

マミ「み、美樹さん……」

杏子「マ、マミ!」

マミ「すごい勢いで穢れが溜まっていく……」

杏子「早く、グリーフシードを!」

マミ「う、うん!」



ほむら「杏子!」

杏子「遅いぞ!」

ほむら「誰のせいよ」

マミ「そんなことより、グリーフシードよ!」



皆で頑張れば……

ほむら「ほら。どんどん食べなさい」

QB「食べてはないけどね」

きっと、乗り切れる……。

杏子「くそっ! 後、5個しかねえ」

マミ「でも、穢れのたまる勢いは少なくなってるわよ」

ほむら「さやか!」

今回はここまでです

1週間後

お墓

ほむら「……」

杏子「あれから、1週間か」

ほむら「そうね」

ワルプルギスの夜との戦いから1週間。私達はお墓参りに来ている。

ほむら「……良い人を亡くしたわね」

杏子「ああ」

マミ「……せめて、挨拶だけでもしたかったわ」

ほむら「そうね」

杏子「……きっと、天国にいるよな。まあ、私は地獄に行くから、会えないだろうけど」

マミ「大丈夫よ。佐倉さんは良い子だもの」

杏子「けっ、どうだかな」

ほむら「どうして、いってしまったの……」

マミ「仕方がないわ。それが運命だったのよ」

杏子「せっかく、友達になれると思ったのに……」

ほむら「どうして……」

さやか「おい」


さやか「人を勝手に殺すな」

ほむら「あら? いたの?」

さやか「水、くみに行ってただけでしょ」

杏子「お、おばけ!?」

さやか「生きてるっての」



さやか「洒落になってないからね。わりとマジで」

ほむら「私達に感謝しなさいな」

さやか「じゃあ、ワルプルギスの夜を倒せた功労者の私に感謝しなさいよ」

杏子「聞こえねえな」

ほむら「空耳かしら?」

さやか「あんたらねえ……」

マミ「こらこら。そんなに騒がないの」

杏子「……さて」

ほむら「行くの?」

杏子「ああ」

杏子「あたしのせいで皆を死なせちまったしな」

マミ「佐倉さんのせいじゃ……」

杏子「これからは……まあ、気ままにやってくさ」

ほむら「そう」

杏子「今日の飯は?」

ほむら「カロリーメイトでいい?」

杏子「は? せめて、たい焼きはつけろ」

さやか「訳がわからないわ」

マミ「2人とも、家に来なさい」

ほむら(ワルプルギスの夜を倒したこのセカイでもまどかは……)

???『いるよ』

ほむら「?」

杏子「どうした?」

ほむら「……何でもないわ。行くわよ、杏子」

これで終わりです

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