咲「誰か彼氏になって下さい!」和「は!?」(122)

冬休み初日

優希「よっこいしょっと」ドスン

京太郎「おーだいぶ荷物減らしたな。でもまだ多いぞ」

優希「うるさいじぇ、半分持て!」

京太郎「はいはい…、こっちの軽いヤツな」ヒョイ

優希「このバカ犬!それは私の服とか入ってる鞄だじぇ」

咲「京ちゃん、こっちの重いの持ってあげなよ」

京太郎「へいへい」

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久「あら、あらあら?久しぶりに部室に来てみたら……」

久「須賀君と優希はどこかに旅行でも行くのかしら?」

和「住み込みでアルバイトですよ。私のお友達の松実玄さんのご実家です」

咲「先鋒戦で優希ちゃんと戦った人ですよ」

久「はいはい、ドラが集まってくる子ね。姉が次鋒でまこと対戦した」

和「松実姉妹の実家が旅館を経営されてまして」

優希「大会後、玄ちゃんと仲良くなったじぇ!冬休みに出来るアルバイト探してるって言ったら……」

京太郎「ちょうど男性1名、女性1名のアルバイトを探してたそうで」

久「へぇー」

優希「そんなわけで冬休みはずっと松実館でアルバイトだじぇ」

京太郎「冬休み終った頃には戻って来ます。なんと一人20万も貰えるバイトっすよ!」

久「それはすごいわねぇ。私がやってるコンビニのバイトなんて時給700円よ」

まこ「久もまだ高校生じゃからなぁ」

久「私も知ってたら行きたかったわね。阿知賀は可愛い子多いし」

京太郎「ですよねー」

優希「むっ……こんな美少女と一緒にアルバイト出来るのに犬は欲深いじぇ!」

和「では、気をつけて行って来て下さいね」

咲「ホントホント。麻雀も強くなって帰って来てね~」

京太郎「任せろ」キリッ



こうして優希と京太郎は長野を後にした

数日後、宮永家


プルルルルルル

宮永父「おーい咲。電話取ってくれ」

咲「はいはい」ガチャ

咲「はい宮永ですが」

照「……私も宮永だ」

咲「ふふっ、そうだね。どうしたの?お父さんに代わろうか?」

照「いや、いい。お母さんがさ…、たまには長野に顔出してもいいかもって」

咲「へ?」

照「だからお母さんがお父さんに会いたがってる。だから私が連れて行く」

咲「やったーーー!お母さん帰って来るの?」

照「今年の正月は長野で迎えるんだとさ。ってわけで来週から帰るから」

咲「うんうん♪」

照「…咲の彼氏にも会いたいしな」ゴッ

咲「ん?」

照「お母さんから聞いたよ…。文化祭で彼氏出来たってさ。なんで言わなかったの?」

咲「……」ダラダラ

照「いや当然か。妹居ないとか言ってたもんな私。報告する義務なんてないよ、咲は正しい」

咲「えーあー……、その……あのぉ……」

照「しかし私も一応姉。咲が変な男に騙されてないか心配で夜も寝れない」

咲「……あっ、あっああああ、あのね!」

咲「実はね……」

咲(あれ待てよ)

咲(彼氏出来たのが嘘ってバレたらお母さん、長野に帰って来ないのかな?)

咲(心配して欲しくてついた嘘だったけど……)

咲(うーん、実は彼氏なんて出来た事すらないよって言うべきか言わないべきか)

咲「むむむ」

照「あっ、亦野から着信だ。部活関係かも。咲、いいな?遠目で見るだけでもいいからな」

咲「は、はい!?」

照「私かお母さんにちゃんと紹介しろよ。そのために帰るようなものなんだからな」

咲「……わかった。じゃあ、また来週」

照「チャラ男なら私が二度と麻雀出来ない体にして……ゲフンゲフン。ま、またな!」


ツーツー

咲「めんどくさい事になっちゃった」ハァ

咲「私の男の子の知り合いなんて京ちゃんしか居ないし……」

咲「京ちゃんが居れば一日彼氏とか頼めたのになぁ~。今は奈良に行ってるし……」

咲「お父さんにも話せないし……お母さんとお姉ちゃんが帰って来る事は秘密だから」

咲「どうしよ!どうしよ!」

咲「来週までに彼氏なんてどうやって作ればいいんだろう」ハァ

咲「明日、誰かに相談してみよう」



そして次の日

清澄の部室

まこ「しっかし優希と京太郎が居ないとなるとサンマしか出来んのぉ」

和「ですね。部長が…いえ竹井さんがなるべく顔を出すって言ってましたよ」

まこ「ほぅそれは有難いのぉ。久も三年の冬と言えば忙しいのにな」

和「後輩思いのいい先輩ですね。今日は助っ人も連れて来るそうです」

まこ「四人打ち出来るかの?」

和「おそらく」


ギィィィィ

咲「こんにちわー」

和「咲さん!おはようございます!!!!」パアァァァァ

まこ「んっ」ペコリ

咲「今日も三人で部活ですか?」

まこ「いんや。今日は久が来てくれるってさ」

咲「そうですか、じゃあ自動卓の牌を四人打ちに戻しとかないとですね」

まこ「そうじゃな」ガコッ、ウィーン

咲(部長が来るんだ。相談に乗って貰えるよ~良かった)

咲「ふふっ」ニコニコ

和(咲さんの機嫌が良さそうです。はっ!もしや部長に会えるから機嫌がいいとかですか!?)

和(私じゃ駄目なんですか)

和「……」ジーーーーー

咲「???」

一時間後

ガチャ

久「やーほー」

咲「部長!寒い所お疲れ様です。私、暖かいお茶淹れますね」

久「うん、熱いのお願いね。今日は三人分」

まこ「三人?言ってた助っ人ってやつかいな」

久「そうよ。暇な時に清澄に寄ってくれるってさ。ゆみ、美穂子、遠慮せず入って来て」クイクイ

美穂子「お、お邪魔します」ペコリ

ゆみ「清澄に来るのは初めてだな。これからよろしく頼むよ」ペコリ

久「二人とももう大学受験終わってるから清澄にたまに来てくれるって」

ゆみ「鶴賀の方にも顔を出すので毎日と言うわけにはいかないが」

美穂子「私も同じく」

まこ「それでも有難い申し出じゃ。これで四人打ち麻雀出来る日が増えるわい」

久「私も暇なら来るようにするわね。まこと咲と和しか居ないと寂しいもんね」

和「いえ、寂しさって言うのはあまり感じないような」

咲「和ちゃんはネット麻雀になれてるからだよー、麻雀はみんなでワイワイ打つ方が楽しいよ」

美穂子「私も普通の麻雀の方が好きですよ。と言うよりネット麻雀はした事なくて」

ゆみ「君にネトマは敷居が高すぎる。いや、実力は申し分ないのだがパソコンが壊れるだろうな」

久「美穂子、清澄に来てもパソコンには触らないでね~。一台しかないんだから」

美穂子「上埜さんひどい!」ガーン

そして六人で麻雀を楽しみました


久「にしても今、この部室ってとんでもなく豪華ね」トン

ゆみ「長野県の個人戦一位二位三位が居るからな」トン

美穂子「やっぱり一年生ってしばらく見ない間に成長するものですね。宮永さんや原村さんが夏より更に強くなってます」トン

和「毎日咲さんと打ってますからね。私はより高みに到達する事が出来ました」トン

久「じゃあ来年はエトペン無しで参加ね?」トン

和「……それはちょっと」トン

ゆみ「ロン、原村から直撃を取れるとはな。跳満だ」パララララ

和「くっ!?」ガタッ



まこ「あーあー、和の点棒があとわずかじゃな」

咲「まだまだこれからですよ」

和(咲さんの前で箱割れはちょっと……。三年生三人相手でもいい所見せたいですね)

和(私の気持ちは麻雀の牌に影響する事はないですが……)

和(次は私の親番。出来る限り頑張りましょう)

和「……」ゴゴゴ

和「……」カチャカチャ

和(配牌がかなりいいですね。一向聴でドラが二つ。三色も狙えます)

和(高く行くか早く行くか少し考え所です)

和「……」ブツブツ



久(和が少し考えてる。無理は禁物ね)

ゆみ(魔物は居ないが堅実な打ち手が多い卓。放銃は避けたい)

美穂子「……」カイガン



咲「あっ、相談があるんですが?」

久「ん?私に?」

咲「いえ出来ればみなさんの知恵をお借りしたいなぁって」

美穂子「私に出来る事なら何でも言って下さい」

ゆみ「ふむ、話を聞こう」

和「……こっちの牌から切、いやこっちの方が期待値高いですかね」ブツブツ

咲「実はですね……」ゴニョゴニョ

まこ「ふんふむ」

久「え?なんだって?」

和「……」ブツブツ



咲「か、彼氏になってくれそうな人を紹介して欲しいなって///」

久「彼氏ですって!?」

ゆみ「ほぅ…、宮永さんも年頃の娘と言うわけか」

美穂子「あいにく私は女子校だから、男の人の知り合いが居なくて……」

まこ「彼氏と来たか!?こりゃ意外と言えば意外な相談じゃ」



ドンガラガッシャーーーーーン!!!!!!!!!

牌の山が崩れた

ゆみ「チ、チ、チョンボなのか?」

美穂子「あらあら……」

久「もー何やってんのよ!マホちゃんじゃあるまいし」

まこ「和がチョンボやらかす所なんて初めて見たわい」



和「すいません、とんでもないオカルトが聞えたような気がしたものですから…」

和「咲さん、彼女が欲しいですか?私に一人アテがありますよ」

咲「えっ……彼女じゃなくて彼氏が欲しいんだけど」

和そんなオカルトありえません!!!!!!!!」バンバン

咲、事情を説明中


咲「実はかくかくしかじかで……。お姉ちゃんに私の彼氏を紹介する事に」

久「なるほど、見栄を張って嘘をねぇ」

まこ「素直に嘘でしたって言う方がいいと思うぞ」

ゆみ「私もそう思う」

和「ところでiPS細胞があれば女性同士でも子供が出来るそうです」

美穂子「嘘をつくのは感心しませんね」

咲「うぅ~、それはわかってますけど……。もう紹介するって言っちゃったし」

久「ふぅーむ…。よーし私に任せなさい!可愛い後輩の頼みだもの。力になってあげる」

まこ「なんかええ案あるんかいの?」

久「彼氏が欲しいんでしょ?作ればいいじゃない」

和「は???」

咲「で、でもでも私なんかと付き合ってくれる人なんて……」モジモジ

美穂子「宮永さん可愛いじゃない。彼氏なんてすぐ出来ますよ」

ゆみ「ああそうだな。男性は宮永さんみたいな女の子らしい子が好きだからな。私みたいなタイプの女はモテないだろうな」

久「ゆみは女の子にモテそうね」

ゆみ「そんな事はないさ」

久「ってわけで内木にでも聞いてみますか」ピポパ

和「ちょっと待って下さいよ!!!!!!!咲さんの気持ちを無視して勝手にそんな事!!!!!」

久「まこー、美穂子ー、電話中に和の相手よろしく」

まこ「はいはい」

美穂子「原村さん。こっちに来て下さい」

10分後

和「ふ~~~~~」モガモガ

まこ「これちょっと大人しくせんか」

美穂子「加治木さんも手伝って貰えませんか!?」

ゆみ「あ、あぁ……」

咲「」オロオロ



久「お待たせー」

和「まさか誰か見つかったんですか!」ババッ

久「いいえ。内木君は15歳以上の女性とお付き合いするのはちょっとって。ハギヨシさんは天江さんと蒲原さん連れて姉帯さんの村に旅行中らしい」

ゆみ「そう言えば蒲原が岩手に行って来ると数日前に言ってたな」

咲「そうですかー」

和「ほっ…、私の堪忍袋の尾が切れる所でした」

まこ(もうすでに激おこぷんぷん丸だったじゃろ、よう言うわ)

美穂子(上埜さんの知り合いの男性。内木さんに調査の余地ありね)

久「須賀君が適任なんだけどね居ないし。誰かこんな事頼めそうな男性の知り合い居る?」

まこ「わしの雀荘の常連のおっちゃんとかでいいなら」

咲「うーん、あんまり年が離れすぎてるとかえって心配されそうです」

ゆみ「それはあるな」

美穂子「やっぱり大学生くらいまでかしらね」

久「意外とみんな男性の知り合い居ないのね。お兄さんとか居ないの?」

美穂子「居ません。女子校ですし、男性の知り合いは……」

ゆみ「私も居ないな。同性の友達すら少ないからな」

久「こうなったら龍門渕さんの所で雇ってる人を借り……そうだわ!」ピコーン




和「咲さん。素直にお義姉さんに謝りましょう。彼氏じゃ無くて彼女でしたって」

咲「恋人が居ない事を謝るんじゃないの???」キョトン

久「なにも男性にこだわる事ないのよ」

和「ッッッ!?!?!?部長、流石です!そこに気付くとは……」

美穂子「ええ、その通りですよ上埜さん。恋人は男性じゃなくてもいいんですね!?」

久「うんうん、男装すればいいじゃない?ここに居る誰かが」

ゆみ「なるほど、男装して彼氏のふりをするわけだ」

咲「一日でいいので!誰かお願いします」ペコリ

久「我ながら名案だわ~、ここに居るメンバーは咲の事をよく知ってるし一日くらい彼氏代わりしてもバレにくいでしょ」

まこ「男装かー。久とか似合いそうじゃ」

久「いえ私より、美穂子やゆみの男装も似合うと思うわよ」

美穂子「私なんてそんな///」

ゆみ「この前、カラオケで男性の声真似して歌ってたじゃないか?」



~~~回想~~~~

美穂子「ひとりが辛いからふたつの手をつないだ~♪ふたりじゃ寂しいから輪になって手をつないだ~♪」(低音)

ゆみ「男性声上手いな。私は大槻ケンヂを入れるか」ピピッ

久(なんか意外だわ)

久「いやーまこも案外イケるかも?」

まこ「わしか?まぁあんまり女子扱いはされんの」

久「髪の毛をボサボサにして、メガネ外して」パッパッ

まこ「これやめぃ、これでもセットしとるんじゃ」


ワイワイガヤガヤ


咲(この四人なら誰が来ても安心だ♪)



和「待って下さい!」

和「咲さんの彼氏のフリをする事までは理解しました。なぜ上級生四人の内の誰かなんですか?」

久「なんでって…、私は美穂子がいいと思う」

美穂子「私は加治木さんがいいと思います」

ゆみ「宮永さんの事をよく知っている必要がある。染谷さんがいいだろう」

まこ「わしは久かな。久の外面の良さは知っとるし」



和「なぜ私が選択肢に入ってないんですか!?咲さんを一番知ってるのは私ですよ?」

久「確かに咲と仲いいのは和だけど…、今回は彼氏役よ?」

まこ「清澄一の美少女と言っても過言ではないお主が男装なんて無理じゃろ」

ゆみ「コホン、胸でバレてしまうんじゃないのか?」

美穂子「そうですね…。私ももしかすると男装しても胸を隠すのが少し難しいかもしれません」

久「やっぱりゆみが一番かしらねぇ」

和「胸くらい何とかします。私が咲さんの彼氏役に最適任です」

久「…そうかしら?」

咲「和ちゃんが男装するの?想像が難しいねー」

ゆみ「女の人だとバレてしまうような気がするが」

美穂子「上手く行くのかしら……。個人的にはやはり素直に恋人が居ないのを告げるのが一番だと思うけど」

まこ「和が一緒に謝ってやればええかもな」

和「それでも構いませんが」

咲「……」シュン



久「明日決めましょう。みんな、明日の部活は男装して来て貰えるかしら?」

ゆみ「男装で来るのか?別に構わないが」

美穂子(明日も上埜さんに会える///)

美穂子「男装ですね?一応、やってみます」

まこ「わしも別にええぞ。ジーパンに男物の服とかでいいんじゃろ?」

咲「なんかすいません……、面倒な事を頼んでしまって」

久「あら別にいいのよ?なんかドキドキするわね、男の子のふりって」

ゆみ「私は文化祭でやったりしたぞ」

まこ「宮永照に会うのが緊張するの」

美穂子「寡黙なイメージあるけど、喋って貰えるのかしら」

和「咲さんを心の底から愛してるのが伝わればお義姉さんも安心すると思います」

久「咲、冬休み終ったら別れたって言うのよ?それで嘘にはならないから」

咲「わ、わかりました。もう彼氏が出来たなんて見栄は張りません」

久「それではまた明日話し合うとして今日の部活は終わり」

咲「はい、みなさん宜しくお願いします」

和(負けられない戦いがここにはあります)



久「ウニクロで男の子が着そうな服見に行こっか?」

美穂子「いいですね~」

美穂子(上埜さんとお買い物デート///)

ゆみ「……」

ゆみ「あーすまない。モモから呼び出されてたんだ」

まこ「わしは実家の手伝いがあるけん、はよ帰らんと」

和「私は咲さんと帰ります」

咲「えっ!?」

咲(私もウニクロ行きたかったのに)

和「じゃあ咲さん、帰りましょうか」

咲「う、うん」



~帰り道~

和「胸を隠すためにサラシをきつく巻いて厚着しようと思います」

咲「和ちゃんの胸は隠すのが難しいもんねぇ……。そこまで無理しなくても…」

和「いえ!咲さんの彼氏役、これは誰にも譲れない私しか出来ない役割ですよ!?」

咲「そ、そうなんだ。お礼は…、あんまりお金とか持ってないけど…、ちゃんとするからね。何か欲しい物とかあればリクエストして」

和「いえ。お礼目的で咲さんの彼氏役をするつもりではありませんので。それに私の欲しい物はお金では手に入りません」

咲「そっか~ipad買って下さいとか言われたらどうしようとか思ってたよ~」

和「ふふっそんな高い物を咲さんに買わせるわけないじゃないですか。」

和「ところでお義姉さんの前で上着を脱がないって失礼ですか?」

咲「いや…別に気にしなくてもいいと思うよ。なんなら寒がり体質って言えば…」

和「なるほど。玄さんのお姉さんみたいな感じですね。じゃあそれで行きます」

咲「一、二時間会って紹介するだけだからね。そんなに長時間、偽彼氏を演じるのも難しいと思うし」

和「わかりました。私なら何とでもなりそうです」

和「咲さん、私はこれから美容院に行って来ます。それでは今日はこれで」

咲(先月行ってたような…。まぁ、私と違って和ちゃんはオシャレさんだしな)

咲「うん、わかった。また明日ね」フリフリ

和「はい。男らしい髪型にして来ます」

美容院~Hair Studio IKEDA~


ウィーン

美容師「いらっしゃ…って原村さんだし」

和「こんにちわ。予約してませんけど大丈夫ですか?」

美容師「暇だし全然大丈夫」

和「では、カットして貰えますか?」

美容師「どんな風にカットする?前髪はこの前切ったし、次は……」

和「麻雀雑誌ありませんか?出来ればWeekly麻雀TODAYとか」

美容師「もちろんあるし!今月号の新生風越の特集がいい感じで~~」ペラペラ

和「風越はいいんですよ。白糸台が写ってるページです」パラパラ

和「あったあった。この人です。この人と同じ髪型にして欲しいです」

美容師「どれどれ…、げっ!?本気だし?」

和「もちろんです。子供の頃からショートカットにすらした事はありませんが、思い切ってイメチェンしようと思います」

美容師「ええっ~!?こんなに短く切っていいの?女子高生でベリーショートにする子ってなかなか居ないし」

和「構いません」

美容師「う~ん…、後悔しない?」

和「全くもって。ハリウッド女優にでもなった気分ですよ」

美容師「ハリウッド女優には多いよねベリーショート。よし…任せるし!」チョキチョキ

和(さよなら…私の髪の毛達…、また生えてくる日まで…)

美容師「ありがとうだしー」

ウィーン


和「ふぅ、ずいぶんサッパリしましたね。頭を洗うのが楽になりそうです」

和「父が心配しますかね?なんて説明しましょう……」

和「あれ、前から来る二人組は……」



純「それでさーそん時の透華の顔って言ったらよ」

智紀「容易に想像出来る。」

純「なかなかぶっ飛んでておもし…おっ」

和(龍門渕の井上さんと沢村さんですね)

純「……」テクテク、チラッ

智紀「……」テクテク

和「……」ジーーー



智紀「どうかした?」

純「んっ…、あぁ悪い。何の話だっけ?」

智紀「確か透華の変顔の話」

純「あぁアレね。あーえーと…、なんだっけ?ところでよ。さっきの…女さ…原村に似てなかった?」

智紀「見てなかった。男の人じゃないの?」

純「いや清澄の制服着てたろ!?それに胸がボインボインでよー」

智紀「…スケベ」ボソッ

純「いやいや!?俺も一応女だし、スケベはおかしいだろ!」

和(行ったみたいですね。声をかけられたら挨拶しようと思ってましたが……)

和(二人とも気が付かなかったみたいです。髪を切ったかいがありました。これならばほとんど初対面のようなお義姉さんも欺けるはず)

和(流石に部長や加治木さんが髪まで切るとは思えない)

和(私の覚悟は部長達の生半可な覚悟とは違いますし……。遊びじゃないんですよ遊びじゃ。咲さんの彼氏役貰ったも同然ですね)



和「ふふっ…、フフフ…、フハハハハ…アッッッハハハハハハ!!!!!!!!!」



緋奈「お姉ちゃん、胸の大きい人が大笑いしてるしー」

華菜「こら!目を合わせちゃ駄目だし!」

そして次の日

咲「わーカッコいいです///」

ゆみ「むっ、そうか?」クルッ

久「くっそー、悔しいけどゆみには男装では勝てそうもないわね」

美穂子「ホントですね。でも上埜さんもカッコいいと思いますよ?」

久「ありがと。アクセサリーつけ過ぎたかな」ジャラジャラ

咲「部長は派手すぎてお姉ちゃんが怖がりそうです」

ゆみ「全くだ。どこのヤンキーだ」

久「えー、V系なのにー」

久「腕にシルバー巻くとか男らしいと思うんだけど……」ジャラ

美穂子「きゃあああああ!シルバーカッコいいです!上埜さんステキ!」

久「流石、美穂子。わかってるわね」ナデナデ

ゆみ「シルバー巻くのに男装必要ないだろ」

久「後はまこと和ね。和は遅れるらしいけど…」

咲(加治木先輩が一番良さそうだな)



ギィィィイ

まこ「遅れてすまんの。これがな」

久「まこ、遅っ…えっ!?貴方誰?」

咲「///」ドキン

久(やだ…イケメン)

ゆみ「……」チラッチラッチラッ

美穂子「また強力なライバルが……」

咲「あっああああ、あ、あの…」オドオド



まこ「誰も気づかんのか?残念ながらお主らもよーく知っておる染谷まこじゃ。これがの」

久・咲・ゆみ「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!??!?!?!?!?!!」

久「いやいや……、だって貴方髪の毛が赤色じゃない!?まこは緑よ」

まこ「わし、久や優希みたいな明るい色に憧れてたんじゃ。思い切って染めてみたぞ。自宅でやったから赤っぽくなってしまったがな。これがな」

ゆみ「染めるのはちゃんと美容院でやってもらった方がいいぞ。髪が傷む」

まこ「次からそうする。まぁ冬休みが終わったら元の緑に戻すつもりじゃがな。これがの」

美穂子「眼鏡はどうなさったのかしら?染谷さんと言えば眼鏡のイメージがあるのだけど」

咲「私も眼鏡がないと染谷先輩とは思えません」

まこ「ははは…、実はコンタクトを持ってたんじゃ///たまにはつけてみようかと。これがの」

咲「すごくカッコイ…じゃなくて、すごくお似合いですよ!ずっとコンタクトでもいいくらい」

まこ「眼鏡ないとわしの雀力落ちるけん。麻雀する日は眼鏡せんとな。これがな」

まこ「おおっ加治木さん!流石にイケメンっぽいぞ。これがな」

ゆみ「そ、そうか///君に言われると照れるな」

咲「はい!どっちもすごく綺麗な男の子って感じで迷ってしまいます」

久「咲の彼氏役はまこかゆみかな~」

美穂子「染谷さんの方がいいと思いますよ。染谷さんの方が宮永さんに詳しいと思いますし」

ゆみ「それはあるな。私は宮永さんの事をあまりよく知らないからね」

久「喋り方もまこの方が男の子っぽいし」

まこ「どうせわしは普段から女子高生っぽくないですよーだー」



咲「じゃあ染谷先輩よろし……」


バン!

?「そんなオカルトありえません!」(低音)

久「ど、どなたかしら?」

ゆみ「黒のダウンジャケットにニット帽……。怪しいな」

美穂子「声もガラガラですし」



和「わ゛だじですよ。原村和です」スッ

ニット帽を取る和


咲「和ちゃん?髪の毛は!?」

和「切り゛ま゛した。短髪の方が男らしくみ゛え゛ると思いま゛して」

久(そこまでやるかー)

美穂子「白糸台の副将さんもこんな感じの髪型でしたね」

ゆみ「ベリーショートってやつだろうな。随分すっきりしたな」

まこ「お主の声はどうしたんじゃ?風邪でも引いておるんか?」

和「声を低くする゛ために゛、さ゛っきま゛でカラオケでずっと歌ってま゛した」

久(咲の事になると無茶するわねぇ…)

和「とこ゛ろで染谷先輩!」

まこ「お、おぅ。なんじゃ」

和「先輩がイケメンっぽいの゛は゛認めま゛す」

久「そ、そうよねぇ。だからまこに咲の彼氏役を頼む事にしようとしてたの」

ゆみ「そ、そうだな。私より染谷さんの方が適任だ」



和「第一問。宮永咲さ゛ん゛の誕生日は゛何月何日です゛か?」

まこ「!?」

まこ「確か10月生まれじゃったような」ウーン

咲「あってますよ」

和「10月27日です」


和「第二問。咲さんの好き゛な食べ物と゛嫌いな゛食べ物を答え゛て下さい゛」

まこ「」

和「第三問。咲さん゛の゛得意教科と苦手教科を゛答えて゛下さい」


--------------------

和「次の問題です。咲さんの゛現在の着メロを゛答え゛て……」

まこ「もういい!もう十分わかった!わしが咲の事全然知らない事が!わしは辞退するから!な?な?」

和「わか゛って゛いたた゛けま゛し゛たか」

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