エレン「最近気持ち悪い夢を見るんだが……」(352)

アルミン「気持ち悪い夢?」

エレン「ああ……それもほぼ毎日と言っても良いくらいの頻度でだ……。
    おかげでいっつも寝不足なんだよな……」

アルミン「ほぼ毎日……そ、それはタダ事じゃないね。どんな夢なの?毎日違う夢?」

エレン「まぁ違う夢を見ることもあれば、似たような夢を何度か見ることも……」

アルミン「た、たとえば……?」

エレン「……ミカサとかアニとかが俺に惚れてる夢……」

アルミン「えっ」

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エレン「ぜ、絶対誰にも言うなよ!アルミンだから相談してるんだからな!」

アルミン「う、うん。それは分かってるけど……。えっと、他には何かない?
     もうちょっと詳しく聞いておきたいんだけど」

エレン「ああ……さっき言った夢がかなりの頻度でさ。
    それにクリスタが増える時もかなりあるな……。あとサシャも結構……。
    で、そいつらが俺を取り合って争ったりするんだよ……」

アルミン「…………」

エレン「オ、オイ!なんだよその目は!オレだって見たくて見てるわけじゃねえっての!」

アルミン「あ、ご、ごめん。続けて」

エレン「これだけ聞けば結構良い夢のように思えるだろ……?
    そうでもねぇんだ、これが……イヤ、寧ろ逆だな……」

アルミン「?どういうこと?」

アルミン(クリスタに好かれてるっていうのは普通に良い夢だと思うけどなぁ)

エレン「まずあいつらがオレに惚れてるって時点であり得ねぇんだが……。
    とにかくもう違和感がやばいんだよ。
    性格とかさ、口調なんかまで違うことも結構あって……まるで別人みたいなんだ」

アルミン「性格や口調が違う……?」

アルミン「それって、どんな風に?」

エレン「アニがやけに男口調だったり、クリスタが敬語だったり大人っぽい喋り方だったり……。
    性格も、妙に純情っつーか、照れやすいっつーか……まぁ色々だ」

アルミン「あー……アニが照れるなんていうのは確かに、想像できないなぁ」

エレン「それで特に厄介なのが、心の声が聞こえてくるってことなんだよ……」

アルミン「心の声って……?」

エレン「さ……先に言っとくが、オレだってかなり参ってるんだからな」

アルミン「あぁ、うん……。大丈夫、もう変な目で見たりしないから。言ってくれ」

エレン「……とにかくべた惚れなんだよ。
    オレのことカッコイイだの可愛いだの結婚したいだの……。
    そういう声が聞こえて来るんだよ……」

アルミン「…………」

エレン「オ、オイ!だからそんな目で見んなよ傷付いちゃうだろ!」

アルミン「いや、でもだって……」

エレン「想像してみろよ!見た目だけあいつらの別人に惚れられてるんだぞ!?
    そんなの気持ち悪すぎるだろうが!」

アルミン「あぁ……そ、そう言われてみれば確かにそうかも知れない」

エレン「くそっ……なんだってこんな夢ばっかり見るんだ……」

アルミン「それで、夢の詳細についてはこのくらい?他に話すことは?」

エレン「そうだな……ミーナまでオレに惚れてたりってのもたまに……。
    あぁ、ユミルがクリスタに惚れてたり妙に優しかったりってのも割と多いかもしれん」

アルミン「それって、同性愛ってこと……?
     た、確かにユミルとクリスタは仲が良いけど、流石にそれはないんじゃないかな……」

エレン「んなこた分かってるよ!だから夢の話だっての!」

アルミン「そ、そうかごめん……。それで、他には?」

エレン「あぁ……あとはオレ自身とはあんまり関係ないんだが、
    ベルトルトの名前が忘れられたりってのもあるな。
    それからよくあるのが、ライナーが酷ぇ目に遭ったり、アルミンの胃が痛くなったり……」

アルミン「何それ……」

エレン「まぁ……このくらいだな。夢については……」

アルミン「そっか……。
     最初は何を悩んでるのか理解できなかったけど、確かに大変そうだね。
     しかもそんなのがほぼ毎日だなんて……」

エレン「ああ、アルミンじゃなくてオレの胃が痛くなりそうだっての」

アルミン「いや、僕の胃は別に……。それより、せっかく話してくれたのに悪いんだけど、
     ちょっとまだ解決法は思い浮かばないよ……。
     まさか寝るななんて言うわけにもいかないし……」

エレン「いや、良いんだ。話しただけで気分が楽になった。
    ありがとな、アルミン。何か思い付いたら言ってくれれば良い。
    それじゃ、そろそろ行こう。もう朝飯が始まっちまうからな」

アルミン「あ、うん」

アルミン(気持ち悪い夢、か……。日常生活に支障が出なければ良いんだけど)

朝食

ミカサ「おはよう」

アルミン「うん、おはようミカサ」

エレン「…………」

ミカサ「エレン?どうしたの?」

エレン「え?あぁイヤ……なんでもねぇよ」

ミカサ「……最近、少し元気がないように見える。体調でも悪いの?」

エレン「だからなんでもねぇって」

アルミン(そうか、言われてみれば最近のエレンはどことなく様子がおかしかった。
     ミカサを避けてるような……。
     本人は無意識かも知れないけど、きっと例の夢が影響してるんだ)

エレン(やっぱり隠しきれてなかったか……。
    あの夢のせいだ。あれのせいでなんとなくミカサが……)

エレン「……くそっ」

ミカサ「エレン?」

エレン「いや……悪い。ちょっと寝不足でよ。心配すんなって、すぐまた元気に……」

   (あぁエレンかっこよすぎ結婚したい)

エレン「!?」

エレン「なっ、え……!?」

ミカサ「どうしたの……?」

アルミン「……エレン?」

エレン「い、今、ミカサお前……な、何て?」

ミカサ「……?『どうしたの』と……」

エレン「そ、その前だよ!何か言っただろ!?」

ミカサ「何か?何もおかしなことは言った覚えは……」

エレン「ア、アルミン!お前も聞いてたよな!?さっきこいつが言ったこと!」

アルミン「ちょ、ちょっとエレン、落ち着いて!何のことか分からないよ!」

エレン「嘘だろ……!確かにさっき……オ、オレの聞き間違い、か……?」

ミカサ「エレン……本当に大丈夫?
    もしかしたら、風邪でもひいたのかも知れない。熱は……」

エレン「!オイ、顔が近……」

   (戸惑うエレンきゅん可愛いキスしたい)

エレン「やッ……やめろよ気持ち悪いな!!近付くな!!」

ミカサ「っ!?」

アルミン「なっ……どうしたんだエレン!突然ミカサを突き飛ばすなんて!」

エレン「はぁ、はぁ……!」

サシャ「び、びっくりした。どうしたんですか、エレン……?」

ジャン(あの野郎、ミカサを……!)

ミカサ「エ……エレン?」

エレン「あっ……。わ、悪い、その……」

エレン「ア、アルミン。ミカサは本当に……」

アルミン「……何も言ってないよ」

エレン「そ、そうか……。悪い、ミカサ……ほら、立てるか?」

ミカサ「……ありがとう」

   (手差し伸べるエレンきゅんマジきゅんきゅんするこの手頬ずりしたい)

エレン「っ……ア、アルミン……」

アルミン「ど、どうしたんだ、エレン?本当に……」

エレン「い、いや……なんでもない……」

ミカサ「エレン……もし私が何かあなたを怒らせるようなことをしたのなら……」

エレン(……!すっげぇ悲しそうな顔してる……くそっ……!)

エレン「いや、違うんだ……。お前は別に……悪く、ない……。
    ……部屋に戻ってる。ちょっと休めば大丈夫だから……」

ミカサ「え……でも、まだ朝食もほとんど……」

   (私が食べさせてあげたい口移しで)

エレン「い、良いからほっといてくれ!」

ミカサ「っ……ごめんなさい」

エレン「あっ……す、すまん……。でも、本当、1人にしてくれ……」

アルミン(い、行ってしまった……それにしても、どうしてしまったんだエレン。
     まさか例の夢の影響が……)

ミカサ「……アルミン」

アルミン「!な、何?どうしたの?」

ミカサ「私は……何かしてしまったの?エレンを傷つけるような、何かを……」

アルミン「そ……そんなことないよ、エレンも違うって言ってただろ?
     僕にもそうは見えなかったし……」

ミカサ「でも……エレンにあんな目で見られたことなんて……」

アルミン(い、今にも泣き出しそうじゃないか……)

アルミン「ほ、本当に大丈夫だよ!
     寝不足でちょっと機嫌が悪かっただけだと思うよ、きっと!
     だってほら、エレンも謝ってたし。少し休めばきっと元通りだよ、大丈夫!」

ミカサ「……本当?」

アルミン「本当さ!だから元気出して!
     ミカサが落ち込んでると、僕まで気分が暗くなるよ!」

ミカサ「……わかった。ありがとう、アルミン」

アルミン(良かった……。取り合えずはこれで大丈夫そうかな。
    しかしエレンの方は……僕の推測が当たっていれば、簡単には解決しないかも知れないぞ)




エレン(ど、どうなっちゃったんだよ、オレ。
    夢の中で聞こえたみたいに、ミカサの心の声が聞こえてきたぞ……。
    いや、あれが本当にミカサの心の声のわけがねぇし、ただの幻聴……。
    って、幻聴が聞こえる時点でやばいっての!……待てよ、夢と一緒ってことはまさか……)

アニ「……ちょっと、どいてくれない?」

エレン「!?ア、アニ!?」

アニ「?そんなに驚かなくても良いんじゃないの」

エレン「な、なんでこんなとこに居んだよ?もう朝食始まってるぞ……?」

アニ「なんでって……洗面所だよ」

エレン「あ、あぁそうか……。っと悪い、廊下の真ん中で突っ立ってたら邪魔だよな」

アニ「……そう言えばあんた、さっきミカサと何か言い合ってたね」

エレン「っ!そ、それがどうかしたかよ?」

アニ「別に……ちょっと珍しいなと思っただけ。なんでもないよ」

エレン「そ、そうか。じゃあオレ、もう行く……」

  (ミカサと喧嘩したのか……じゃあ今のうちに狙ってみようかな)

エレン「は!?何言ってんだお前!?」

アニ「……は?何が?」

エレン「えっ、あ、いや……」

エレン(ま、まさかまたさっきと同じ……!?)

アニ「変なヤツだね。部屋に戻るならさっさと戻りなよ」

エレン「あ、あぁ……」

  (戸惑うエレン可愛い萌える)

エレン「もえるってなんだよ!?」

アニ「……あんた……本当に大丈夫?」

エレン「はっ!え、えっと、その……」

  (も、もしかしてこの前の対人格闘訓練でやりすぎたかな……。
   どうしよう、責任取って看病してあげた方が良いかな。
   体拭いたり、着替えさせたり……エレンの裸……)

エレン「お、お前そんなキャラじゃないだろ!やめろよ気持ち悪い!」

アニ「…………」

エレン「あっ……」

アニ「……わかったよ。じゃあね」

エレン「い、いや待てアニ!今のは……」

アニ「……何」

エレン「うっ……な、なんでもねぇ……悪い」

アニ「……それじゃ」

エレン「…………」

エレン(や、やべぇ、すっげぇ怒ってたぞ今の……。
    しかしなんだってんだよ、くそっ……!さっきのも幻聴だよな、多分……。
    そりゃ怒るよな、大丈夫かって訊いただけで気持ち悪いとか言われりゃ……。
    ミカサは悲しませちまうし、アニは怒らせちまうし……参ったな……)

エレン(とにかく、早く部屋に戻ろう。少し目を瞑って休みたい……)

ジャン「オイ、エレン……」

エレン「っ!な、なんだジャンか……。何か用かよ?」

ジャン「何か用かじゃねぇよ。てめぇ、さっきミカサを突き飛ばしてやがったよな?
    ありゃ一体どういうことだ」

エレン「……お前には関係ねぇよ」

ジャン「あぁ!?ふざけんなよてめぇ!」

エレン「っ……いってぇな離せよクソ!」

ジャン「大体いつもミカサにおんぶに抱っこの癖してなんだ!?
    突き飛ばすとか頭おかしいんじゃねぇのか!?」

エレン「誰がおんぶに抱っこだ!オレは別に……。……」

ジャン「……なんだよその目はよ」

エレン「いや……安心したよ。お前はいつも通りなんだな」

ジャン「は?」

エレン「ミカサにはあとできっちり謝っとく……。だが今は少し休ませてくれ」

ジャン「な、なんだお前……気持ち悪いな」

エレン「……はっ、そりゃどうも」

ジャン「お、おいエレン……くそっ!なんだよあいつ……!」

アルミン「あっ、居た!ジャン!」

ジャン「!……どうしたよアルミン」

アルミン「いや、急に席を立ってどこかに行くから、
     もしかしたらエレンを追いかけたんじゃないかと思って……。
     でも良かった、喧嘩なんかはしなかったみたいだね」

ジャン「……なぁアルミン。エレンのヤツ、ついに頭がイカれちまったのか?」

アルミン「えっ?」

ジャン「いや……なんでもねぇ。戻ろうぜ。俺まだ朝飯食い切ってねぇんだよ」

アルミン「あ、うん……。えっと、やっぱりエレンに会ったの?」

ジャン「……さぁ、どうだろうな」

アルミン「もしかして……エレンのこと心配してくれてる?」

ジャン「は?……てめぇまで頭がイカれちまったようだな。
   誰があんなクソ野郎の心配なんかするかよ。馬鹿なこと言ってねぇでさっさと戻るぞ」

訓練直前

クリスタ「ね、ねぇ……アニ、何かあったのかな?ちょっと怒ってるみたいだけど……」

ユミル「そうか?別にいつもと変わらねぇと思うが」

サシャ「そう言えば……ご飯の時エレンと入れ違いで戻ってきてましたよね。
    エレンと喧嘩でもしたんでしょうか?」

クリスタ「エレン、ミカサとも喧嘩してたよね……。どうしちゃったのかな?」

ユミル「知らねぇ。アノ日で機嫌悪かったんじゃねぇの?」

サシャ「えっ!男の人にもそういう日ってあるんですか?」

クリスタ「も、もうユミル!変なこと言わないで!」

クリスタ「それにもうすぐ訓練始まるのに、エレンは居ないし……」

サシャ「遅刻でしょうか?あのエレンが珍しいですね」

ユミル「はぁ……もう良いだろあいつの話はよ。ほら、教官殿のお出ましだぞ」

キース「全員揃っているか!?これより対人格闘術の訓練を始める!」

ミカサ「教官」

キース「なんだ、アッカーマン……ん?イェーガーが居ないようだが、そのことか?」

ミカサ「はい。どうやら体調を崩しているようでして」

キース「体調不良だと?そのような届出は出ていないが……」

エレン「お、遅れて申し訳ありません!」

ミカサ「!エレン……」

キース「……貴様、遅刻か……」

エレン「は……はい」

キース「体調不良とのことだが、それに関して何か言うことはあるか?」

エレン「い、いえ……体調については問題ありません!
    少し部屋で休んでいるうちにうたた寝をしてしまい、遅刻しました!言い訳はありません!」

キース「そうか……なら罰を与える。この時間、貴様は走っていろ」

エレン「はっ!」

キース「ただし少しでも異変を感じたならばすぐに医務室へ向かえ。
    体調管理は貴様の責任だ。わかったな?」

エレン「はっ!」

アルミン「(エ、エレン、本当に大丈夫?例の夢のせいで寝不足なんじゃ……)」

エレン「(馬鹿、そんなもん言い訳になるか!)」

ミカサ「(エレン……決して無茶はしないで)」

エレン「(あ、あぁ。わかってるっての!)」

ちょいと時間空きます。
1時間後くらいにまた来ます。

訓練後

エレン「はぁ、はぁ、はぁ……」

サシャ「お疲れ様です、エレン」

ミカサ「エレン、大丈夫?」

エレン「あぁ……大したことねぇよ……。走るぐらい別に……」

   (エレンの汗舐めたい匂い嗅ぎたい)

エレン「っ……」

アルミン(!エレンがまたあの表情で僕を……。また聞こえたのか、何か……。
     僕には、何も聞こえなかったよ)

エレン(……アルミンが首を横に……。や、やっぱり幻聴かよ、これ……)

ミカサ「……エレン?」

エレン「だ、大丈夫だって。なんでもねぇよ」

サシャ「でも朝ご飯もほとんど食べてませんでしたよね?
    そんな状態で走ったりなんかしたら……うう、私だったら耐えられません」

エレン「オイオイ、お前と同じ基準で考えんじゃ……」

   (エレンの食べ残しすごく美味しかったですエレンの唾エレンエキスはぁはぁ)

エレン「は!?やめろよ何言ってんだ気持ち悪い!」

サシャ「は、はいっ?」

アルミン「……!」

サシャ「その……私何か変なこと言いました?」

エレン「何言って……ま、まさか!」

エレン(嘘だろ?朝食の時、サシャからは何も聞こえなかったのに……!)

サシャ「えーっと、もしかして……エレンの食べ残し、全部食べちゃったの怒ってます?」

   (すごく興奮しましたエレンエキスだけでパン3個はいけます)

エレン「や、やめろよ!オレの食い残しを食うんじゃねぇ!」

サシャ「でも……だって勿体無いですし……」

エレン「お、お前……!」

アルミン「エレン!お、落ち着いて!」

エレン「はっ!わ……悪い……」

エレン(そ、そうだよな。サシャはただ食い意地張ってるだけで、別に……)

エレン「すまん、サシャ……。今のは、忘れてくれ」

サシャ「それは別に良いんですが……本当に大丈夫なんですか?
    まさかお腹が空きすぎて頭がおかしくなってしまったんじゃ……」

ミカサ「サシャとは違うんだからそれはない。でも……脱水症状ならあり得る。
    早く水を飲んだ方が良い。待ってて、エレン。今持ってくるから……」

クリスタ「あの、エレン……?」

エレン「!」

アルミン「クリスタ……!ど、どうしたの?」

クリスタ「水、持ってきたの。早く水分補給しないといけないでしょ?次の訓練もあるし……」

ミカサ「ちょうど今持って来ようと思っていた……助かった。ありがとう、クリスタ」

   (この女……エレンに媚を売ろうとしてる。泥棒猫……)

エレン「な、何言ってんだミカサ!そんなこと言うなよ!!」

クリスタ「えっ」

エレン「あっ……」

クリスタ「え、えっと……ごめんなさい。迷惑だった、かな……」

エレン「い、いや、その……」

ミカサ「……どういうこと?クリスタは好意で水を持ってきてくれた。それなのに……」

サシャ「だ、駄目ですよ?どんな理由があるのかは知りませんが、水はちゃんと飲まなきゃ……」

エレン「い、いや、違うんだ、そうじゃなくて……」

ミカサ「理由が無いのなら……謝った方が良い」

エレン「わ、悪い。すまん、クリスタ……」

クリスタ「う、ううん、良いの。えっと、それじゃ……水、飲んでくれる?」

エレン「あぁ、悪い……もらうよ」

エレン(くそっ……ミカサが酷いこと言ったと思ってつい反応しちまった……。
    馬鹿かオレは!酷いのはオレの方……)

    (うふふっ。今のでミカサとエレン、ちょっと険悪になったかな?
     隙を見て私がエレンのこともらっちゃおっ)

エレン「ぶーーっ!?」

クリスタ「きゃっ!?」

サシャ「あぁ!水が全部!」

アルミン「ク、クリスタが水浸しに!」

エレン「げほっ、げほっ……!」

クリスタ「エ、エレン大丈夫?」

ミカサ「むせ方が普通じゃない……やっぱり医務室で診てもらった方が」

    (エレンの口から出る水浴びるとか羨ましい泥棒猫泥棒猫)

    (エレンエキスがぁ!なんて勿体無い!)

    (きゃーっ、エレンの水浴びちゃった!この服洗わないでおこうかな!)

エレン「げほっ……!や、やめろよお前ら!いい加減にしてくれ!!」

アルミン「エレン!」

エレン「はっ!し、しまった……」

ミカサ「そんな……」

サシャ「え、えーっと……?」

クリスタ「ご……ごめんね、エレン。やっぱり、余計なお世話だった……?」

エレン(く、くそっ!何やってんだオレは!
    このままじゃ、こいつらを余計に傷付けるだけだ……!)

エレン「す、すまん、その……違うんだ。お前らは悪くなくて……。
    しかしアレだ……悪いが、し、しばらくオレに近付かないでくれ……!」

アルミン「あっ、エレン!待って……!……い、行ってしまった」

アルミン(間違いない……ミカサだけでなく、今朝の様子を見るとアニも。
     そしてサシャにクリスタまで……例の夢の通りの幻聴が聞こえてるんだ……!)

サシャ「や、やっぱり私がエレンのご飯を食べてしまったのが駄目だったんでしょうか……。
    少しくらいは残してあげておいた方が……」

アルミン「い、いや、それは別に関係ないよ!それにホラ、忘れてくれって言ってたし!」

クリスタ「わたし……良い子ぶってるって、思われちゃったのかな……」

アルミン「そんなことないよ!クリスタの優しさは長所なんだから、自信持って!」

ミカサ「エレン……おかしいままだった。やっぱり私が、何か……」

アルミン「エ、エレンだって3人は悪くないって言ってたじゃないか!
     だからそんなに気に病むことはないよ!大丈夫だって!」

アルミン(しかしまずいぞ。今のエレンの様子を見ると多分……症状が悪化してる。
     明らかに今朝より、幻聴に対して我慢ができなくなってる……!早く手を打たないと……!)

今日はこのくらいにしておきます。
また明日の夜に来ます。




男子部屋

コニー「エレンのヤツ、結局あの後の訓練はずっと欠席だったな」

ライナー「あのエレンが珍しいな……余程体調が悪かったらしい」

ベルトルト「何か大変なことにならなきゃ良いけど……」

マルコ「どうしよう、少し様子を見に行った方が良いかな」

ジャン「ほっとけよ。しかしあの野郎、巨人を皆殺しにするとか大口叩いて体調管理もできねぇのか。
    とんだマヌケだな。戻ってきたら笑ってやるぜ」

アルミン「そうだね……早く戻ってきて欲しいね」

コニー「なんだ、ジャン。お前エレンに早く戻ってきて欲しかったのかよ」

ジャン「アルミンお前……クソっ。ふざけんな……」




女子部屋

サシャ「ん……?ミカサ、なんだか良い匂いが……さてはパンを持ってますね!」

ミカサ「……うん」

サシャ「どうしたんですか?食べないんですか?私がもらってあげましょうか?」

ミカサ「駄目。これはエレンの分。夕食にも来なかったから……」

サシャ「あっ……」

クリスタ「お見舞いに行きたいけど……また怒られちゃうかもしれないよね」

ユミル「ほっとけよエレンなんか。どうせ明日になりゃ元通りだろ」

クリスタ「だと良いんだけど……」

アニ「…………」

クリスタ「ごめん、私ちょっと……」

サシャ「ん?もしかして、エレンのところですか?」

クリスタ「あ、ううん。そうじゃなくて」

ユミル「なんだ、便所か?」

クリスタ「……!そうだけど……あんまり大きい声で言わないで」

ユミル「はっ、お淑やかなことで」

クリスタ「もう……」




クリスタ(それにしても……本当に大丈夫かな、エレン。
     昼間の様子は、ただ怒ってるっていう感じじゃなくて、どことなく変な……)

クリスタ「……あれ?」

クリスタ(誰か廊下の向こうから……)

エレン「…………」

クリスタ「!エレン……!」

エレン「……あぁ……クリスタか」

クリスタ「も、もう大丈夫なの?体調とか、その……」

エレン「あぁ……さっきまで医務室でぐっすりだった……」

クリスタ「そっか……。でも良かった。
     午後からずっと医務室で寝てるなんて珍しいから……」

エレン「…………」

クリスタ「……エレン?も……もしかして、昼間のこと、やっぱりまだ怒ってる……?」

エレン「いや……言っただろ?別にお前らは何も悪くないってさ……」

クリスタ「本当?だったら良いんだけど……」

エレン「……なぁ、クリスタ」

クリスタ「?なに、どうしたの?」

エレン「あ……いや、なんでもない……」

クリスタ「……?」

エレン「……あの、さ。アルミン、みんなのとこに居るか?」

クリスタ「あ、うん。多分、男の子たちのとこに……」

エレン「そっか……わかった。ありがとな」

クリスタ「う、うん……」

クリスタ(行っちゃった……。
     何か様子がおかしかったような気がするけど、本当に大丈夫かな……?)




コニー「!おい、エレンが戻ってきたぞ!」

マルコ「エレン!もう体調は大丈夫なの?」

エレン「あぁ、悪いな。心配かけちまってよ」

ジャン「はっ、どうせならずっと寝てりゃ良かったのによ」

エレン「はは、まぁそう言うなって」

ジャン「……ちっ」

ライナー(なんだ……様子が少し違うな)

ベルトルト(ジャンへの対応が大人すぎる……。いや、良いことなんだけど……)

アルミン「エレン……その、本当に大丈夫?」

エレン「!……ちょうど良かった、アルミン。お前に話があるんだ。ちょっと来てくれ」

アルミン「話って……うん、わかった」

ライナー「なんだ、戻ってきたと思ったらまたどこか行くのか?」

エレン「ちょっとな。まぁすぐ戻ってくるからよ」




アルミン「それで話っていうのは……例の夢の?」

エレン「あぁ……。お前も気付いてるだろ?今のオレがかなりやばいってことに」

アルミン「……うん。幻聴なんかが聞こえてるんだよね?あの夢の通りの……」

エレン「その通りだ。このままじゃ多分だが……オレはぶっ壊れちまう。
    だから早くなんとかしなきゃならないんだが……実は、1つ思い付いたんだ。
    この現状をなんとかする方法を」

アルミン「えっ!ほ、本当に?一体どんな……」

エレン「あの夢を現実にする」

アルミン「……えっ?」

アルミン「げ、現実にって、つまり……」

エレン「そのためにまず、オレはあいつらと付き合う。
    それが一番手っ取り早い方法のはずだ。
    現実のあいつらがオレと付き合えば、あの幻聴も幻聴でなく本物になる。
    つまりオレの悩みはなくなるし、誰も傷付かない。どうだ、良い考えだろ?」

アルミン「ちょ、ちょっと待ってエレン!
     エレン自身が好きでもないのに無理矢理付き合うなんて!しかも4人と……!」

エレン「じゃあどうしろってんだよ!?我慢しろってのか!?
    オレにぶっ壊れろって言うのかよ!?」

アルミン(っ……ダメだ……考えることを放棄してる……!
     ここまで追い詰められていたのか……!)

エレン「それとも何だ。他に良い方法があるってのか……!?」

アルミン「そ、それは……」

アルミン(あの4人と距離を置くのが一番だけど、それじゃあ根本的な解決には……)

エレン「何も無いなら文句は言わせないぞアルミン。言っとくが、オレはもう我慢できない。
    さっきも医務室で寝てる時、ずっとあの夢が……とっくに頭が限界なんだよ……!
    夢と現実がもう、ごちゃごちゃになり始めてるんだ……!」

アルミン「くっ……わ、わかった。確かに現状、僕も何も思い付いてないのは事実だ……。
     そんな突拍子もない案でも、エレンが発狂してしまうよりはマシかも知れない……。
     でも、どうしてこの話を僕にしたんだ……?」

エレン「お前の意見が訊きたい。まず初めはクリスタから行こうと思うんだが、どう思う?」

アルミン「!ク、クリスタか……」

エレン「…………」

アルミン(エレンは今、冷静じゃない。僕の意見を聞くなんて言ってるけど、
     きっと否定的な意見を受け入れられる状態にはないはずだ。
     ……ただまぁ、確かに……)

アルミン「クリスタを最初にするのは……僕も、それが良いと思うよ。
    まず真剣に頼み込めば無下にはしないと思うし……」

エレン「そうか、そうだよな!」

アルミン「問題は寧ろ、その後のことに……って、エレン!?どこに行く……ま、まさか!」

エレン「早速行って来る!待ってろよアルミン!良い報告を聞かせてやるからな!」

アルミン(っ……駄目だ、今のエレンは止めても無駄だ……!
     あ、あとをつけよう。1人で行かせるのはあまりに危なっかしすぎる……!)




クリスタ「えっと……エレン、話って?」

    (きゃーっ、いきなり呼び出すなんてエレンってば大胆!)

エレン「…………」

クリスタ「……エレン?」

    (もしかして告白?それとも押し倒されちゃったり?全然良いよエレンなら!むしろ来て!)

エレン「……なぁクリスタ。訊きたいことがあるんだが……」

クリスタ「?良いよ、何?私に答えられることなら、なんでも……」

エレン「お前さ……オレのことどう思ってる?」

クリスタ「え?どう……って?」

エレン「お前……オレのこと、好きなのか?」

クリスタ「!?す、好きって、どういうこと?」

エレン「そのままの意味だよ。クリスタお前、オレのこと好きなんじゃねぇのか……?」

クリスタ「え、えっと……それって、と、友達として、っていう……」

エレン「異性としてだよ。決まってんだろ?」

クリスタ「……!」

クリスタ(ど、どういうこと?なんでそんな急に……)

エレン「なぁ?お前、オレのこと好きなんだよな?なぁ、クリスタ?」

    (うん!もちろん大好き!だからキスして!ううん、結婚して!)

クリスタ「ちょ、ちょっとエレン!待って、落ち着いて……ひっ!」

クリスタ(エ、エレンの両手が、私の肩に……!)

エレン「なぁ?クリスタ?オレのこと好きなんだろ、お前。
    さっきからお前、心の中でそう言ってるじゃねぇか」

    (きゃーっ!今日のエレンすごく大胆!かっこいい!抱いて!)

クリスタ「痛っ……や、やだっ!離して、エレン!」

エレン「なんでだよ?お前、オレのこと好きなんだろ?こうされて嬉しいんだろ?なぁ?」

クリスタ「い……いやあっ!!」

エレン「っ……!?」

クリスタ「あっ……」

クリスタ(た、叩いちゃった、エレンの顔……。で、でも……!)

クリスタ「が……頑張ってたり、一生懸命のエレンは……
     格好良かったし、友達として、好きだったよ……。
     でも、今のエレンは、嫌い……!」

エレン「……え……?」

エレン「ク、クリスタ……!」

クリスタ「……このことは、誰にも言わないから。さよならっ!」

エレン「ま、待ってくれ!クリスタ!」

クリスタ「やっ……やだぁ!離してよ!離してぇ!!」

エレン「嫌いなのか?オレのこと、本当に!?」

クリスタ「き、嫌いよ!大嫌い!だ、誰か、誰かぁ!」

エレン「……!」

クリスタ(っ!は、離した……今のうちに……!)

エレン(行っちまった……。い、いやそれより、今のもしかして……)

アルミン「エレン!」

エレン「アルミン……!」

アルミン「いくら追い詰められていたからと言って、今のはあんまりだよ!
     よりによって無理矢理襲おうとするなんて!」

エレン「見てたのか……イヤ、本当その通りだ……。さっきのオレ、どうかしてた……。
    夢を見すぎたせいか、幻聴聞きすぎたせいか……。
    なんかマジでクリスタがオレのことを好きんじゃないかって……」

アルミン「た、確かに夢と現実の区別が付きにくくなってきたとは聞いた……。
     だけど今のはあまりにも……!」

エレン「そ、そうだそれより!聞いてくれ!
    今度こそ本当に解決策が見付かったかも知れねぇぞ!」

アルミン「な、何を言ってるんだ!また何か突拍子もない……」

エレン「良いから聞けっての!声が……声が消えたんだ!
    さっき、クリスタに嫌いって言われた瞬間に!」

アルミン「な……なんだって?」

エレン「わかったんだ!嫌われることだったんだよ!それが幻聴を消す方法だったんだ!」

アルミン「ほ、本当に?本当にそうはっきり言えるの?」

エレン「完全に治ったかはわかんねぇけど……。
    でも確かにクリスタに嫌いって言われた瞬間、
    それまでずっと聞こえ続けてた幻聴がぴったり治まったんだよ!」

アルミン「……そ、それじゃあ……」

エレン「あぁ……試すぞ、他の3人でも。
    付き合ったりするんじゃない、その逆だ。嫌われるんだ、あいつらに……!」

エレンの聞こえてる心中と聞こえてない心中がどっちも()だから分かりにくいときがあるな、>>135とか
どっちかを『』にするとかにして区別して欲しい

読解力が無いって言われたらそれまでだけど

>>150
今更変えるのもアレなんで名前の有無で見分けてくだしあ




クリスタ「ぐすっ、ひっく……」

クリスタ(こ……怖かった、怖かったよ……)

クリスタ「……エレン、どうしてあんな……」

サシャ「……クリスタ?」

クリスタ「!サ、サシャ!?ど、どうしてこんなとこに……!?」

サシャ「いえ、私はちょっと食糧庫の方に……。それより、あなたこそどうして……え?
    ク、クリスタ、泣いてるんですか……?」

クリスタ「あっ……え、えっと、これは、その……」

クリスタ「な、なんでもないの!大丈夫だよ、平気だから……!」

サシャ「平気って、そんなわけ……」

クリスタ「ほんとになんでもないの、だから……!」

サシャ「そう言えばさっき、エレンの名前を呟いてたような……」

クリスタ「……!」

サシャ「もしかして……エレンと何か?」

クリスタ「……っひ……ぅくっ……!」

サシャ「!や、やっぱり……!えーっと……。
    な、何があったかは、話してくれませんか……?」

クリスタ「じ……実は……」




サシャ「――そんな、あのエレンが……。正直、見損ないました……」

クリスタ「えっと、サシャ……。こ、このことは、誰にも……」

サシャ「え!でも、エレンが危ないってみんなに……」

クリスタ「お、お願い……」

サシャ「……よくわからないですけど、そこまで言うなら……」

クリスタ「うん……ありがとう」

サシャ「いえ、このくらい!その代わり……しっかり警戒してくださいね。
    私も明日からは出来るだけあなたと一緒に居ますから!」

クリスタ「!あ、ありがとう、サシャ……!」

ちょいと抜けます。
1時間後くらいにまた来ます。

翌朝

ユミル「あ?なんだサシャ。今日はここで食うのか?」

サシャ「はい、たまには席を変えてみようかと」

ユミル「まさか私らの飯を狙ってんじゃねぇだろうな?」

サシャ「ち、違いますよ!」

ユミル「なら良いんだけどよ。それよりクリスタ、本当に体調は大丈夫なのか?
    昨日の夜から様子が変だが……」

クリスタ「う……うん、大丈夫。なんともないよ」

サシャ「(!来ましたよ、クリスタ!)」

クリスタ「……!」

エレン「……よ、よう」

ユミル「ん?なんだエレンか」

クリスタ「……おはよう……」

サシャ「…………」

エレン「あれ……サシャ、お前今日はそこで食うのか?」

サシャ「はい、まぁ」

ユミル「……?それで、なんだよ?何か用事でもあるのか?」

エレン「えっ?いいや、何も……。
    用が無くても挨拶くらいしたって良いだろ?えっと……じゃあな」

クリスタ「…………」

サシャ「…………」




アルミン「どうだった、エレン?」

エレン「あぁ、大丈夫だったんだが……何故かサシャの声も聞こえなくなってた」

アルミン「えっ?サシャって……本当だ。今日はクリスタの横に座ってるね。
     だけどどうしてサシャの声まで……?」

エレン「も、もしかして、アレでもう治っちゃったんじゃねぇのか!完全に!」

アルミン「……だと良いんだけど。まずは他の2人はまだ聞こえるかどうかを確認……」

ミカサ「おはよう。エレン、アルミン」

エレン「っ!」

アルミン「……おはよう、ミカサ」

ミカサ「体調はもう大丈夫?エレン」

   (エレン今日もカッコイイまじ惚れる)

エレン「っ……お、おう……」

アルミン「!」

ミカサ「無理はしない方が良い。辛ければ今日も医務室で寝ているべき」

   (私が看病したいアーンしたり体拭いてあげたりあわよくばそのまま)

エレン「だ、大丈夫だっての!」

エレン「(だ、駄目だ。ミカサはまだ聞こえる……!)」

アルミン「(エレンの言う通り嫌われることが幻聴を止める方法だと仮定すると……。
     そうか、わかったぞ!サシャはクリスタから昨日のことを聞いたんだ!
     だからクリスタを守るために、今日は向こうで朝食を食べてるんだよ!)」

エレン「(な、なるほど、そういうことか……。
    そりゃあんな話聞きゃ、自分のことじゃなくても嫌いになってもおかしくねぇよな……)」

ミカサ「……エレン?」

   (エレンきゅんはぁはぁ……)

エレン「っ……わ、悪い。今日はその……メシは1人で食わせてくれ……」

ミカサ「……わかった」




エレン「はぁ……」

エレン(ひょっとするとついでにミカサの方も治ってやしねぇかと思ったが……。
    流石にそんなに甘くはねぇか。しかしどうする……嫌われるには一体……)

  (あ……エレンが1人でご飯食べてる。どうしよう、声かけようかな)

エレン「うわっ!?」

アニ「……通りがかっただけでそんな反応しないでくれる?」

エレン「わ、悪い……」

アニ「それとも何?何か用?」

  (ミカサも居ないし、隣に座っても良いかな?それとも正面にしようかな?)

エレン「い、いや別に……」

アニ「そう。それじゃ……」

エレン「ちょ……ちょっと待ってくれ」

アニ「……何?」

エレン「あのさ……オ、オレのこと、嫌いって言ってみてくれねぇか?」

アニ「は?」

エレン「聞こえなかったか?だから……」

アニ「いや……聞こえたけど。なんでそんなことしないといけないわけ?」

  (そんな、エレンのこと嫌いだなんて嘘でも言えるわけないよ)

エレン「良いから、頼むよマジで!」

アニ「……嫌い。これで良いの?」

エレン「…………」

  (い、言っちゃった……。エレンのこと、嫌いって言っちゃった……)

エレン「っ……!イ、イヤ駄目だっ!もう1回頼む!」

エレン「次はもっと心を込めて言う感じで……!」

アニ「……何言ってんの、あんた?」

  (や、やだよ。もう二度と言ったりするもんか……!)

エレン「頼む、もう1回……」

アニ「意味わからないんだけど……くだらない遊びに付き合う暇はないよ。じゃあね」

エレン「く、くそっ……!」

エレン(やっぱり本心じゃないとダメなのか……!)




エレン「アルミン……知恵を貸してくれ」

アルミン「どうすれば嫌われるか……か。嫌われる方法なんて考えたことないけど……」

エレン「頼むよ!お前だけが頼りなんだ!」

アルミン「うーん……。例えば、悪口を言うとか……。理由のない暴力とか。
     あとは、そうだな……。異性が相手なら、セクハラとか……」

エレン「あ、相手を傷付けずに嫌われる方法ってないのか……?」

アルミン「性格に問題がある感じなら傷つけたりもしないかも知れないけど、
     それだと時間がかかっちゃうよ。それまでエレンの精神がもつかどうか……。
     今は少し落ち着けてるけど、この状態が続けばまたいつか……」

エレン「うっ……ど、どうすれば良い?アルミン、お前が決めてくれ!」

アルミン「そんな……。エ、エレンのためを考えるなら即効性のある方が良いだろうとは思うよ。
     それに性格に問題を作る方を選んだとしても、
     特にミカサは幻滅すると同時に傷付いちゃうだろうし……」

エレン「どっちにしろ傷付けちゃうってのかよ……。
    だったらもう、やるしかねぇ……。オ、オレはあいつらの心の強さを信じる……!」

アルミン「!と、ということは……」

エレン「まずは悪口からだ……やってやる……!こうなりゃとことん嫌われてやるぞ!」

アルミン「ほ、本当にやるんだね?後悔はしない……?」

エレン「このままだと幻聴のせいであいつらに何するか分からねぇ……。
    それに比べりゃ理性が残ってる今の方が多分マシだ……!
    別に嫌われるぐらい、どうってことねぇよ……!」



アニ「で……話って何?」

  (エレンに呼び出されるなんて……どうしよう。まだ心の準備が……!)

エレン「あ、あぁ……。あのさ、アニ」

アニ「…………」

エレン(頼むぞ!出来るだけ早く、オレのこと嫌いになってくれよ……!)

エレン「お前……マジでチビだよな。ほんと」

アニ「……は?」

エレン「ガキみたいだよな。後ろから見たら見間違えちゃうぞ、いや本当に」

アニ「…………」

エレン(か、顔怖ぇ……滅茶苦茶怒ってる。……はずなのに、なんだよこれ!)

   (ど、どうしてそんなこと言うの?エレン、そんなこと言うために呼び出したの?)

エレン「そ……そうだ、こんなこと言うために呼び出したんだよ。
    大体お前なんだよその目つき。目で人殺せるんじゃねぇの?
    クリスタが上目遣いすりゃあ小動物みたいで可愛いもんだが、
    お前の場合肉食獣っつーか猛禽類っつーか……」

アニ「あんた……どういうつもり?」

エレン「っ……」

エレン(怖ぇ……怖すぎる、なんだよこの顔……。正直さっきの半分本心だぞ!
    イ、イヤ問題はそうじゃなくて……こんな顔してんのになんだよこの声!)

  (もしかして……そういうプレイなの?エレンそういうのが好きなの?)

エレン「お……お前……怒ってるんだよ、な?」

アニ「……誰かのおかげでね」

エレン「お、おう……」

エレン(し、しかし参った……これ以上の悪口なんか思い浮かばねぇぞ……。
    じゃあ次は理由のない暴力……だけどこいつに暴力が通用するとは思えねぇ。
    それに直接的に傷付けるってのはやっぱり……。
    ってことは、や、やるしかねぇのか……これだけはやりたくなかったが……!)

エレン「ア、アニお前さ……結構良い体してるよな」

アニ「……今度は何……」

  (エ、エレンがそんな目で私のことを……嬉しい)

エレン「い、いや、確かに背は低いが、出るとこ出てるっつーか……。
    さてはお前、着やせするタイプだろ?いっぺん裸を見てみてぇよ。
    足とかケツとか、結構ムッチリしてるんじゃねぇかとオレは睨んでるんだが……」

アニ「…………」

  (私……良い……エレ……)

エレン「!」

エレン(こ、声が消えかけてる!良いぞ、もう一息だ!)

エレン「兵士ってよりはさ、女の体っつーか……マジたまんねぇよ。
    ほんと自信持てってお前。きっと丈夫な赤ん坊も産めるぞお前なら」

アニ「……言いたいことはそれだけ?」

  (うれし……レン……私……)

エレン「い、いや待て!まだ……」

アニ「まさかあんたがそんな気持ち悪い奴だとは思わなかったよ。
   私はもう戻るけど……しばらく話しかけないでくれる?近寄るのもやめて欲しいね」

  (私……エレ……なら……)

エレン(くっ……!ま、まだ完全には嫌われてない!こいつ精神力強すぎるだろ!)

アニ「明日から、近付いたら問答無用で蹴り飛ばすからそのつもりで。じゃあね」

エレン(ま、まずい!ここで帰すわけにはいかない!近づけなくなるってんじゃ、
    嫌われることもできねぇ!時間を置いたら元に戻るかもしれねぇし……!
    だから……今ここで完全に嫌われないとダメなんだよ!)

アニ「…………」

  (……大好……エレ……)

エレン(い、行っちまう……くそっ!どうする、引き止めるか!?しかし言葉ではもう……。
    も……もうこれしかねぇ!やるしかねぇ……!すまん!許せアニ!)

エレン「これならどうだぁあああ!うおぉおおおお!!」

アニ「っ!?」

エレン(や、やった!掴んだ!アニの尻を思いき)

エレン「ぐほっ!?」

アニ「……二度と近付くな」

エレン「お……おう……」

エレン(当然、こうなるよな……。だ、だがこれで、完全に声は消えたぞ……)

アルミン「エレン!」

エレン「ア……アルミン……また見てたのか……」

アルミン「だ、大丈夫!?思いっきり地面に叩きつけられてたけど……」

エレン「正直、かなり痛ぇ……。しかしやったぞ……アニの声も、完全に消えた……」

アルミン「エレン、君は……!」

エレン「あと、は……ミカ……サ……」

アルミン「エ、エレン!……気絶してる……」

今日はこのくらいにしておきます。
明日の夜また来ます。
多分明日で全部書き終わります。

翌朝

ミーナ(ア、アニってばどうしちゃったのよ。顔が怖すぎるんだけど……)

アニ「…………」

ミーナ(うう……正面だから余計……。席移動しちゃおうかな……)

エレン「……よう、ミーナ」

ミーナ「あっ、おはようエレン」

アニ「…………」

ミーナ「(ね、ねぇ、エレン……。アニが今朝からずっと怖いんだけど、何か知らない?)」

エレン「(さ……さぁ、なんでだろうな。寝起きで機嫌でも悪いんじゃねぇのか?)」

ミーナ「(そ、そうなのかなぁ……)」

エレン「……それじゃ、またな」

ミーナ「あ、行っちゃうの……?ま、また後でね」

エレン(……よし、アニの声はやっぱり消えてる。
    さっきはクリスタと目があったが、あいつの声も聞こえなかっ……)

  (エレン今日もカッコイイ大好き愛してる)

エレン「ミカサ!?」

ミカサ「!どうして分かったの?真後ろなのに……」

エレン「あ、いや。気配っつーかなんつーか……」

エレン(くそっ!やっぱミカサはまだ駄目か!しかもアニの時もそうだったが、
    もう近付くだけで幻聴が聞こえるようになってやがる……!
    早くなんとかしねぇとやばいぞ、マジで……!)

ミカサ「……今日も1人で食べるの?」

   (私はエレンを食べたい。性的な意味で)

エレン「あ、あぁ……じゃあな」

ミカサ「…………」

   (エレンこっち見て振り向いてエレンのカッコイイ顔が見えない)

アルミン「あっ、ミカサ……」

ミカサ「……行こう、アルミン。早く、食事を済ませよう……」

アルミン「えっ?あぁ、うん……そうだね、そうしよう」






エレン「よし……いよいよ決行の時だな……」

アルミン「ほ、本当にやるの?やっぱり何か、別の方法を……」

エレン「は……!?な、何言ってんだ今更!」

アルミン「こ、声が大きいよエレン……!」

エレン「っ……あ、あぁ悪い。だが今になってそんな……」

アルミン「……今の時点でミカサはかなり落ち込んでる。
     いつも一緒だったエレンがかなり余所余所しいから……。
     ミカサが落ち込んでることくらいは……エレンも気付いてるよね?」

エレン「そ、そりゃそうだが……今になってやめられるかっての!」

エレン「大体、オレのこと嫌いになればあいつだって、
    仲良くなくなっても別に落ち込んだりしねぇはずだろ!」

アルミン「そうかも知れないけど……」

エレン「あの幻聴をあと一歩で止められるんだ……そのためには、なんだってしてやる!
    どうせこのままでも、ミカサは傷つけちまうんだ……。
    だったらやるしかねぇだろ……アニの時と同じ方法で、やってやるさ……!」

アルミン「エレン……。だけど、もしアニと同じ方法が無理だったら……?」

エレン「は……?どういう意味だよ?」

アルミン「……イイヤ、なんでもない。その時はその時で、また考えよう」

アルミン(アニと同じ方法で、か……。
     それで本当に嫌いになってくれれば良いけど……)




ミカサ「……どうしたの?突然、呼び出したりなんか……」

   (エレン可愛いカッコイイ結婚したい)

エレン「あぁ……あの、さ」

エレン(まずは悪口からか……。
    普段軽く言い合うこともあるが、それよりかなりキツい感じで行けば……!)

エレン「ミ、ミカサお前……最近マジで鬱陶しいぞ」

ミカサ「えっ……?」

   (こ、高圧的なエレンかっこよすぎ!濡れる!)

エレン(っ……まだだ、まだキツく……!)

エレン「いや、マジで……。ガキ扱いするし余計な世話ばっか焼くし。
    会話も下手糞だし。表情もほとんどないし、暗いしよ」

ミカサ「エ、レン……?」

   (ドSエレンマジ最高興奮する)

エレン「お、お前と居るとこっちまで暗い気分になんだよ!マジつまんねぇわお前!陰気野郎!」

ミカサ「……ごめんなさい」

エレン(な……なんだよこれ。
    ミカサのやつ怒る気配すらないどころか……すっげぇ落ち込んでる!
    罪悪感が半端じゃねぇぞ!し、しかも……!)

   (もっと言ってエレンはぁはぁ)

エレン(全然嫌いになる気配がねぇ……!)

エレン(や、やっぱ悪口じゃだめか……。くそっ!またこれに頼るしかねぇのかよ!)

エレン「性格はアレだけどさ……お前、か、体は良いよな……」

ミカサ「え……」

エレン「背は高いし足も長いし、む……胸も意外とあるだろ?」

ミカサ「っ……」

   (エレンにそんな目で見られてたなんて嬉しい余計濡れちゃう)

エレン「そ……そういや、昔は一緒に風呂に入ったりしてたよな!
    ま、また今度入ろうぜ?な、良いだろ?」

エレン(も、もう勘弁してくれ。
    我ながら気持ち悪すぎんだろ……。早くオレのこと嫌いに……)

ミカサ「エ……エレンが……」

エレン「……?」

ミカサ「エレンが、そう言うなら……」

エレン「……は!?」

ミカサ「エレンがそれを望む、なら……私は構わない」

エレン「な、何言ってんだお前……!?」

エレン(嘘だろオイ……どういうことだよ!こんなの完全に計算外だぞ!)

エレン(こ、こいつ、わかってねぇのか?オレの言ってる意味が……!
    いや、でもまさかそんなはずは……!)

ミカサ「エレン……本当に、私の体に興味があるの?」

エレン「えっ?あぁいや、その……ふ、風呂に入るだけじゃねぇんだぞ!
    お前だってもうガキじゃねぇんだからわかってるだろ!?
    もっと、その……や、やばいことだって……!」

ミカサ「……私の性格は嫌いでも、体が好きだと言うのなら、私は……」

エレン「や、やめろよ!こ……これでも!これでもまだそんなことが言えるのかよ!?」

エレン(すまん、ミカサ……!)

ミカサ「っ!?」

エレン(や、やった……!ミカサの胸を思い切り掴んでやったぞ……!)

エレン(どうだ、あのアニにトドメを刺したこれなら……)

ミカサ「…………」

エレン(オ、オイ……。なんで動かねぇんだよお前……)

ミカサ「……エレン」

エレン「!」

エレン(オレの手を掴んで……お、下ろした。よし、流石に胸を触られるのは嫌……)

ミカサ「こ、ここじゃ、ダメ……。それに、順序が……あ、あると思う」

エレン「は!?何言ってんだお前!?」

エレン「ここじゃダメとか順序とか……意味わかんねぇよ!」

ミカサ「……!が、我慢、できないの……?
    どうしてもと、言うなら……ここ、でも……」

エレン「違うって!そうじゃないっての!抵抗しろよお前!嫌がれよ!」

ミカサ「……そういうのが、好き、なの……?」

エレン「わ、わかんねぇよ……わかんねぇよお前!なんで……!
    お前、震えてるじゃねぇか!怖いんだろ!?なんで嫌がらねぇんだよ!?」

ミカサ「……私は……エレンと……。
    そ、そういう関係になること、を……望んでるわけじゃ、ない。なかった……」

エレン「だったら……!」

ミカサ「だけど……エレンが、そういう関係を、欲している、なら……」

エレン「だ、だからそれが意味わかんねぇっての!オレが望んでるからってなんだよ!?
    お前が嫌なら嫌がれば良いだろうが!!」

ミカサ「……エレンに嫌われる方が、ずっと嫌だ」

エレン「っ……」

ミカサ「私は、エレンと……離れたくない。
    エレンは私の、か、体は好きと、言ってくれてる。
    体を使えばあなたと一緒に、居られるの、なら……私は、なんだってする……」

エレン「な、なんでそこまで……」

ミカサ「……エレンのことが、好き、だから……」

エレン「っ……!?」

ミカサ「…………」

エレン「……そ、そりゃつまり……異性として……って、ことか?」

ミカサ「……分からない。でも……多分、そうだと思う」

エレン(わ、分からない?多分……?き……気付いてないのか?
    お前……か、顔が真っ赤じゃねぇか……)

ミカサ「多分……私は、エレンのことが、異性と、して……す、好き」

エレン(っ……し、しかも間違いない。どういうことだ!?
    いつからだ……!?こ、声が、消えてる……!
    ま、まさか……惚れられるってことでも、幻聴は消せたってのかよ!?)

ミカサ「……だから、エレン……私は、我慢できる。あなたのためなら、わ、私は……」

エレン「……悪かった、ミカサ。さっきのナシだ。全部……」

ミカサ「え……?」

エレン「オレはお前のこと、そんな目で見たことなんて、一度もねぇよ……。全部、ウソだ」

ミカサ「っ……そん、な……。い、嫌だ、エレン……私を、1人に……」

エレン「オイ!言ったろ、全部ウソだって……。
    だから……お前のこと、これっぽっちも嫌ったりなんかしてねぇよ……」

ミカサ「……!ほ、本当……?」

エレン「あぁ……本当ごめん。悪かった」

ミカサ「……ぐすっ……」

エレン「オ、オイ!なんだよ、何も泣くこたないだろ!」

ミカサ「あ……安心した……き、嫌われてないって、離れないって、わかって……」

エレン「……悪かったって、ほんと。傷付けちゃってさ……」

ミカサ「エレン……」

エレン「ん?」

ミカサ「あなたは……どう、思ってるの……?私の、こと……」

エレン「……は!?」

ミカサ「私は……こ、告白した。だから、あなたは、答えるべき……」

エレン「こ、告白って……マジか……」

ミカサ「…………」

エレン(くそっ、なんだよミカサのやつ……。
    そんな顔赤くするくらいなら言い出すなっての!)

ミカサ「エレン……顔が赤くなってる」

エレン「お前に言われたくねぇよ!」

エレン(し、しかしどうする……。
    正直言うと、今まではこいつのことまったくそういう目で見てなかったんだが……)

エレン(それに多分、ミカサ自身もついさっきまで、自覚がなかったはずだ……。
    だが……状況が変わった!
    こいつはオレに惚れてるって自覚したし、はっきり口にした。
    そんな状況で、オレにも今まで通りで居ろってのは……流石に……!)

ミカサ「……エレン」

エレン「っ……あ、あのよ、ミカサ。まずはだな、落ち着いて……」

ミカサ「…………」

エレン「あぁいや、その……なんつーか……。
    わ、悪い。考えさせてくれねぇか……」

ミカサ「え……」

エレン「す……すまん。色々と、心の整理が……」

ミカサ「いつ……返事はくれるの?」

エレン「う……あ、明日だ。明日の夜には、返事するから……」

ミカサ「……わかった。あなたがそう言うなら、待つ……」

エレン「あ、あぁ」

ミカサ「じゃあ……先に、戻ってる。また、明日……」

エレン「あぁ……」

エレン(な、なんて顔してんだよ、あいつ……)

アルミン「エレン!」

エレン「!お、お前やっぱり見てたのかよ!」

アルミン「そりゃあ見るよ、心配なんだから……!
     そんなことより、どうするの?ミカサの告白の返事……」

エレン「……正直、どうすりゃ良いかわかんねぇんだよ……」

アルミン「それは、気持ちの整理がついてないから……?」

エレン「それもあるが……。クリスタやアニにあんなことしといて、ミカサと付き合うとか……。
    なんか……良くねぇ感じがしてさ……。オレ、あいつらに謝ってもねぇのに……」

アルミン「あ……そ、そうか……。で、でもそれじゃあどうするの?」

エレン「くそっ……!どうする、告白を断れば間違いなくミカサは傷付くだろうが、
    だからと言って付き合うのは……。もうこの際、クリスタたちに話しちまうか……?
    いやでも、そうすりゃまた幻聴が始まるかも知れねぇし……!」

アルミン(っ……い、一体どうすれば良い?どうするのがベストなんだ……!?
     もう一か八かに賭けるしか……)

アニ「……ちょっと良いかい」

エレン「ア、アニ!?それに……」

アルミン「サシャ、クリスタ……!」

クリスタ「…………」

サシャ「……あ、あのクリスタ?あんまり引っ張られてると服が伸びちゃうんですが……」

クリスタ「あっ、ご、ごめん……」

アルミン「え、えっと、それで、どうしたの……?」

アニ「私達に嫌われるとか、幻聴とか……そのことについて確認したいんだけど」

アルミン「なっ……!?」

サシャ「その、さっき……エレンの大声が聞こえたから見に行ったんです。
    ちょうどたまたま近くに居た、私達3人で。そしたらエレンとアルミンが話してて……」

エレン(大声……あ、あの時かよ……!)

アニ「言い訳はいらないよ。全部聞いたから」

クリスタ「な……何か、理由があったんだよね?
     私達に、わざと嫌われなきゃいけない理由みたいなのが……。
     私はあんまり詳しくないけど、心の病気みたいな……」

エレン「ちょ、ちょっと待てよ。それじゃあお前ら、もしかして……もうオレのことは……」

クリスタ「も……もう、大丈夫なの?エレン……。病気は、治ったの?」

アルミン「……!き、嫌ってないんだ、もう……!エレン、幻聴は!?」

エレン「聞こえねぇ……聞こえねぇぞ!
    ほ、本当にお前ら2人とも、もう嫌ってねぇのか!オレのこと!」

アニ「はぁ……。まさか本当にワケありだったとはね」

クリスタ「や、やっぱりそうだったんだ……!」

エレン「つーか……し、信じてくれんのか?そんな、幻聴とかわけわかんねぇこと……」

サシャ「流石にいきなり言われても信じられなかったでしょうけど……。
    これまでのエレンらしくない行動を考えれば、まぁ納得できますし」

エレン「そ、そうか……。っ!そうだ、す、すまんクリスタ、アニ!
    理由があったとは言えあんな酷いことしちまって……!」

アルミン(正確には、クリスタはちょっと違うんだけどね……)

アニ「……別に良いよ、もう」

クリスタ「良いの、エレンが元通りになってくれただけで……。良かった、本当に良かった……!」

エレン(神様……)

アルミン(女神……)

アニ「……で、どうするの?ミカサはさ」

エレン「!そ、そうか。お前らも見てたんだよな……」

クリスタ「ご……ごめんなさい。覗き見なんかしちゃって……」

アルミン「いや、仕方ないよ……。何かあったら止めるつもりで見てたんだよね?
     悪気はなかったんだし……良いよね、エレン?」

エレン「!あ、あぁ……」

サシャ「えーっと、もうエレンの心配事は無くなったんですよね?
    だったらもう、付き合っちゃえば良いんじゃないですか?」

エレン「お、お前そんな簡単に……」

クリスタ「み、みんな、あとはエレンに任せようよ!
     こういうのって、あんまり私達が口を出すようなことでもないと思うし……」

エレン「クリスタ……!」

クリスタ「でも……結果はちゃんと、報告してね?」

エレン「……あぁ、わかった。ただ……このことは、他の奴らには……」

クリスタ「もちろん内緒にしておくよ!2人とも、良いよね?」

アニ「……まぁ良いけど」

サシャ「大丈夫!こう見えても口は堅いんですよ!
    エレンがクリスタを襲ったことも誰にも言いませんでしたし」

エレン「うっ……。す、すまん、クリスタ……あの時は本当に……」

クリスタ「い、良いよ。もう謝らないで!」

アニ「……私もあんたにされたこと、誰にも話してないしね」

エレン「わ、悪かった、ほんと……」

アニ「良いよ別に」

エレン(ア、アニ、本当はまだ怒ってるんじゃねぇのか……?
    だけど、まぁ……嫌われてないだけ、良いか)

アルミン「それじゃあみんな、そろそろ……。
     結構遅くなっちゃったし、早く戻ったほうが良いよ」

エレン「あ、あぁ、そうだな。それじゃまたな、みんな」

アルミン(しかし、あの幻聴……一度消えれば再発しないものなのか、
     それともミカサのおかげで完治したのか……。
     最後まで謎だらけの幻聴だったけど、とにかくこれで一件落着だね。
     それに、あとはエレンの感情の問題とは言ったけど……
     もうエレンの気持ちは決まってるはずだ。良い報告を期待してるよ、エレン)

翌晩

エレン「!き、来たか……」

ミカサ「……うん」

エレン「わ……悪いな、1日待たせちゃってよ……」

ミカサ「ううん……良い。それより、返事は……」

エレン「っ……!あ、あぁ、そうだな。返事は、えっと……」

ミカサ「…………」

エレン「えーっと、その……。ハ、ハンナとフランツみたいなのはゴメンだからな!?」

ミカサ「!」

ミカサ「それは、その……私の、告白を……う、受けてくれるということ?」

エレン「お、おう……」

ミカサ「エ、エレンも、私のこと、好き……?異性として……」

エレン「た……多分、な」

ミカサ「っ……エレン……!」

エレン「だけどなんつーか……大人しくっつーか、こっそりっつーか……。
    で、出来るだけ今までと変わらない感じで……」

ミカサ「……どうして?」

エレン「どうしてってお前……恥ずかしいだろ!」

ミカサ「……わかった。あなたが言うなら、そうしよう」

エレン「お前……表情と口調が全然あってないぞ。器用な奴だな……」

ミカサ「表情は仕方ない。エレンが私を……愛してくれていることが分かったんだから」

エレン「愛してるとか言うなよ!照れちゃうだろうが!」

ミカサ「うん……私も」

エレン「じゃあ言うんじゃねぇよ……。と、とにかくそういうことだからな!
    付き合うのは良いがこっそりだぞ!バレねぇように努めろよ!」

ミカサ「わかった……努力する」

ミカサ「だけど……」

エレン「な、なんだよ?」

ミカサ「ここには今、あなたと私の2人しか居ない」

エレン「あ、あぁ。でもそれがどうし……」

エレン(なに目ぇ瞑ってんだよお前!?)

ミカサ「…………」

エレン「っ……わ、わかったよ。い……行くぞ……」

ミカサ「……ん」




ジャン「やんのかこの死に急ぎ野郎が!」

エレン「やってやるよこのクズ野郎が!」

コニー「おぉ!久し振りに始まったぞ!」

ベルトルト(一時期はエレンが大人しかったんだけどな……)

ライナー(まぁ、元気そうで何よりだが)

アルミン「ふ、2人とも落ち着いて……」

ミカサ「エレン、やめて」

エレン「!あ、あぁ、悪い……」

ジャン「は……?なんだ来ねぇのか!腰抜け野郎!」

エレン「んだと……!?」

ミカサ「エレン」

エレン「……ふん、言ってろよジャン。お前の相手をする気はねぇよ」

ジャン「なっ……!」

マルコ「も、もうやめなよ。エレンの方は退いたんだから……」

ジャン「……くそっ!」

アルミン(前よりずっと、エレンはミカサに対して素直になってる……。
     これも付き合い始めた効果かな?)

ミカサ「喧嘩なんかするより、早く食事を済ませてしまった方が良い。そうでしょ?」

エレン「あぁ、そうだな。お前の言う通りだ」

サシャ「早くご飯を済ませたいのなら、私が手伝ってあげましょうか?」

エレン「は?いや、別に……」

サシャ「(だって、早く済ませて2人きりの時間を作りたいんですよね?)」

エレン「なっ……!」

サシャ「ホラホラ、遠慮なんかしないで。パンがまだいっぱい余ってますね。食べてあげますよ」

エレン「い、良いって!自分で食うからほっとけっての!」

ミカサ「エレン、そんなに急いで食べなくても良い。喉に詰まらせたりして、何かあったら……」

エレン「むぐっ……あ、あぁ。そうだな、悪い」

サシャ(いやー、幸せそうですねー)

アニ(……せいぜい楽しみなよ、今の時間をさ)

クリスタ「……ふふっ」

クリスタ(2人が幸せになれて本当に良かった……。おめでとう、2人とも)

ユミル「しっかし……おかしな奴だな」

クリスタ「えっ?誰が?」

ユミル「お前だよ。つい最近まで妙に落ち込んでると思ったら、急に生き生きしやがって」

クリスタ「!そ、そう?気のせいだよ。そんなことな……」

   (元気なクリスタまじ可愛い結婚したいキスしたいクリスタぺろぺろ)

クリスタ「なっ!?何言ってるのユミル!もう、変な冗談やめてよ!」

ユミル「は?」





 おしまい

付き合ってくれた人ありがとう、お疲れ様でした。

「エレン争奪戦とかハーレムとかほんともうそういうの良いんでマジで」
という思いをSSにした結果がこれやで

あ、一応言っとくけど>>308のアニのセリフは巨人化組としての発言だお
いつかエレンを奪い取ってやろうとかそういうことじゃないからね
一応言っとくけど

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