ほむら「サイレンの音?」(549)
――――
―――
――
「ダメよ!ソイツの言葉に耳を傾けちゃいけない!」
ありったけの声を振り絞り叫ぶ
「ソイツと契約しては………!」
しかし、その声は届かず
「聞いて、私の願いは……」
――
―――
――――
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1338646889(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
―――――――オオオオオオオオオオオオオ―――――――――
それは彼方から聞こえ魂を歪曲させ引き裂く
不快で神経を掻きむしり逆撫でするような
ほむら「 サ イ レ ン の 音 ? 」
暁美ほむら 宮田医院/第二病棟202号室 初日/00時05分08秒
ほむら「また……まどかを救えなかった……」
これで一体何度目になるのだろうか
何度も何度も繰り返してきた一ヶ月、未だにほむらにとっての未来は訪れない
ほむら「まどか、必ず貴女を……」
しかし今度こそ彼女を救うことが出来ると信じ、気を引き締めるが
ほむら「……」
ほむら「……ここはどこなの?」
ここは見知ったいつもの病室ではない
そして
―――――オオオオオオオオオオオオオ―――――
ほむら「サイレンの音?」
外ではサイレンの音が鳴り響いていた
終了条件 「宮田医院」からの脱出。
ほむら「一体何が起こったの?」
肌にまとわりつく空気は魔女の結界の中のように湿り、ねっとりしている
魔力で視力を矯正し、辺りをよく見回すと壁のカレンダーには昭和51年とある
ほむら「どういうことなのよ……」
さらに病室内は荒れ果てまさしく廃墟のようになっている
間取りも異なり、いつもの無機質で清潔な病室でないことは明らかだった
ほむら「とにかく病室を出て確かめないと……」
静かに病室の扉を開ける
ほむら「……あれは、人?」
病室を出た先、明かりのない暗い通路を懐中電灯を持った人影がこちらに歩いてくる
しかし、その人影の顔を見て魔力で視力を矯正したことを後悔しそうになった
それは嬉々とした表情で赤い血の涙を流す青白い老婆の顔
そして手にしている赤い液体に濡れた鈍色に光る鉈
グロテスクな魔女や使い魔を多く見てきたほむらであったが、生理的な嫌悪感、本能的な恐怖心が沸き起こり総毛立つ
そして老婆から感じるこちらへの害意
すぐさま魔法少女の姿に変身する
どんな相手か判らないなら確実に安全な方法を取るべきだ
ほむら「時間停止……」
盾が正常に作動し、目論見通りに時間が
と ま ら な か っ た
ほむら「うそ……」
盾は間違いなく作動したはずだ
『ひひひゃひゃひゃは』
嬉々と濁った声を出し、鉈を振り上げた老婆がほむらに迫る
ほむら「くっ……」
急いで盾から拳銃を取り出し、即座に三発発砲
動揺から銃弾を一発外してしまうが、残り二発が胸に命中
老婆は絶叫と共に倒れ、少し暴れるとダンゴムシのように丸まり動かなくなった
ほむら「一体何なのかしら……」
丸まった老婆を見ながら呟く
一瞬魔女の使い魔かと思ったが、倒しても消滅しないところを見ると違うらしい
ほむら「本当に訳が分からないわ……」
見知らぬ場所
謎の老婆
無効化された時間停止
ほむら「とにかくここを出た方がいいわね……」
警戒しつつ階段を降りて一階へと向かう
階段を降りて慎重に暗闇の通路を進む
通路はうす気味悪く、バケモノが飛び出してきそうな扉が幾つもある
しかし先ほどのバケモノに出くわすこともなく、無事病院の出入口を見つけることが出来た
病院を出る前に一度だけ今来た暗い通路を振り返る
ほむら「気のせいかしら……」
視線を感じたのだが……
通路に背を向け、ほむらは病院の外へと出た
しかし病室の窓、そこから倒したはずの老婆が不気味な笑顔でほむらの後ろ姿を見つめていた
終了条件達成。
と、いう訳でまどか☆マギカとSIRENのクロスです
遅筆なので更新遅いですが宜しくお願いします
予想以上の反応を頂き有難い限りです。
はじめにお断りするのを忘れていましたが、
・まどマギ、SIRENともに都合上独自の解釈や設定を採用します
・SIRENは細かい箇所うろ覚えです
・SIREN2は未プレイです
・NTは友人のプレイを一部始終見てただけです
・SIREN未プレイの方のために可能な限り説明を入れます
・リンクナビゲーターはAA能力なくて作れそうにありません
・アーカイブは100個も作れません、ごめんなさい
以上です。
文章下手で、筆が遅いのですが楽しめる作品にできるよう努力します。
では、何とか次のエピソードが書けたので投下します。
巴マミ 大字波羅宿/火の見櫓 初日/06時38分29秒
火の見櫓からマミは数軒の民家が寄り添うこの集落を見渡す
マミ「風が淀んでいるわね……」
曇天の空からは間もなく雨が降り出しそうだ
マミ「本当にここは何処なのかしら……」
お菓子の魔女の大きな口が目の前に迫ったところまでは覚えているが……
マミ「やはっぱり魔女の結界?それとも……」
血のように赤い水が流れる川
その向こうから悲鳴が響く
マミ「たとえそうだとしても人助けはしなくっちゃね」
マミはマスケット銃を構えた
終了条件 「黒い服の少女」の「刈割方面の道」への到着。
黒いワンピースを着た少女が川向こうから白い犬を連れて走って来る
犬は少女を守るように先導している
しかし、彼女の後ろからは血の涙を流す人の姿をしたバケモノ―屍人が三体迫っていた
マミ「ようやくまともな人に会えた気がするわ……」
マスケット銃で狙いを定め、即座に追手の屍人を撃ち倒す
追手を逃れた少女と犬が橋の中央へと差し掛かる
すると目の前の屋根で丸まっていた猟銃を持つ屍人がむくりと緩慢な動きで起き上がった
マミ「まだ寝てなさい!」
火の見櫓に登るために倒したこの狙撃手を再び撃ち倒す
マミ「本当に厄介ね……」
屍人は一度倒してもある程度時間が経過すると、先ほどのように再び起き上がってくる
マミ(グリーフシードのストックもないのに……)
不死身かつ不滅のバケモノに無闇やたらと魔法を連発する訳にはいかない
そう考えていると、今度は川向こうの狙撃手がこちらを狙っているのが見えた
マミ「遅いわ!」
相手の狙撃手より早くマミのマスケット銃が火を噴く
狙いすました一撃が頭を撃ち抜き、屍人は倒れて丸まる
マミ「よし!」
少女の援護に戻ろうとすると
マミ「え?」
背中に鋭い痛みが迸った
背後を振り向いて見ると、
『ぐひゃ、グひひゃひゃ』
そこには包丁を持った屍人の身も凍るような笑顔があった。
包丁が引き抜かれ、痛みがマミを再び襲う
マミ「くぅ……!」
相手に蹴りを入れて火の見櫓から突き落とすと、ぐしゃりと嫌な音が下から響く
余りの背中の痛みにマミは膝をつきそうになる
不覚だった
マミ「それでも……あの子を護らなきゃ」
痛覚を遮断し、武器を持たない少女のために銃を構え直す
そして少女の前に立ちはだかる屍人を狙撃し、道を作る
マミ「立ち止まらずに行きなさい!」
黒い服の少女は白い犬に導かれつつ走り抜けて行った
マミ「彼女、無事に逃げ切ってくれればいいけど……」
負傷の度合からすぐには動けそうにない
マミ「鹿目さんたち、無事かしら……」
未だに出会えない、共に戦うと誓ってくれた少女の安否が気がかりだった
終了条件達成。
屍霊「ほう」
闇霊「なるほど」
夜魅島だったらなんとかなったんだがな・・・・・
いや身体もってかれるだけか
アーカイブNo.02 アトランティス創刊号
現実と非現実の境を飛び越える!謎解明マガジン
アトランティス創刊号
1976年7月号
総力特集
四次元の謎を解明!!
今、神秘の扉が開かれる!!
解説
四次元時空間での時間
……四次元で時空間の捻れが生じ、かつ並行世界と交差した世界では時間はその流れのエネルギーを増大させ滞留や停滞を許さないことはよく知られている。
また、閉じた円環型循環時空と重なる時空間においてはそもそも時間の流れそのものに干渉することすら不可能なことは概念的に……(略)
……理論に基づけば数年前に好評を博したアニメーションに登場する何でも取り出せるポケットの再現も可能であろう……(略)
……最後に、本記事が読者の皆様の四次元時空間に対する理解の一助になれば幸いである。
更新がアーカイブだけでごめんなさい。
最初のアーカイブはSIRENの世界の眉唾な雑誌アトランティスです。
勿論、文章はほとんど虚構なので本気にしないで下さいね?
(※猫型ロボットのアニメが1973年に初めて放映されたのは事実みたいです)
キュゥべえ 蛭ノ塚/県道333号線 初日/05時59分13秒
QB「全く、訳が判らないよ」
魔女の結界にも似た異界に巻き込まれてからキュゥべえは他の個体との連絡も出来ずにいた
脱出を図ってここまで来たものの道が寸断され、その先には広大な赤い海が広がるばかりだった
まるでこの土地が世界から切り取られてしまったかのように
QB「時空間の捩れが原因だろうけど……」
何故それが起きたのかは判断がつかない
しかし原因を取り除ければ、ここから脱出出来る可能性があるとキュゥべえは推測する
ふと崖となった道の端から眼下の赤い海を見る
そこには入水自殺でもするかのように集団で屍人が海の彼方を目指して歩いていた
――――――オオオオオオオオオオオオオ――――――――――――――
そして突如サイレンが鳴り出す
QB「最初にも聞いた感覚器を揺さぶるようなこの音……」
QB「機械的なものじゃないね」
まるで何かの鳴き声に聞こえなくもない
QB「…………」
QB「ここにいても仕方がない、とにかく脱出する手段を考えよう……」
来た道をそごそごと引き返すことにした
アーカイブに「海送り」が追加されました。
アーカイブ No.3 海送り
羽生蛇村に古来から伝わる民俗行事。
旧暦の大晦日に黒装束に見を包み眞魚川に身を沈め、一年の罪や穢れを祓い清める。
この後に行われる儀式は海還りと呼ばれる。
元々は水辺を現世と常世の境目であると見立てて、現世の穢れを水に洗い流し、常世の恩恵を願ったのが始まりとされている。
常世とは古来より海の向こうにあると信じられていた永久に変わらない不老不死の理想郷である。
僅か2レスですが三人目(?)の登場はキュゥべえです。
SIREN知らない人のために解説を少し。
舞台である羽生蛇村は通常の世界からの隔絶され、現在は異界の赤い海に浮かぶ孤島のようになっています。
入水自殺するかのように屍人が赤い海に向かっていたのは「海送り」と呼ばれ、六時間毎に鳴るサイレンのたびに起こります。
気になさっている方には申し訳ありませんが、議論や考察はSIRENの醍醐味なので私は存分にやって欲しいと考えています。どうかご理解下さい。
リンクナビゲーターのAA作って頂きありがとうございます!
出来れば今後も是非お願いします
それでは更新します
佐倉杏子 刈割/切通 初日/06時15分14秒
杏子「ここが地獄ってことかよ!」
槍を一閃し、動く屍を叩き伏せる
杏子「さやか……」
杏子は魔女から元の姿へ戻すことが叶わなかった少女の名前を呟く
ただ一つ杏子が彼女のために出来たことは……
……だからこそ
杏子「一人ぼっちにはさせない!」
杏子にはこの地獄の何処かにさやかが居るのが分かっていた
頭痛と共にこの異界に居る姿が"視えた"からだ
杏子「待ってろよ、さやか!」
終了条件 「手紙」の入手。
出エジプト記の災いを思わせる赤い水の棚田を杏子は進んで行く
杏子「まさに地獄だな……」
何処へ行っても亡者が蔓延っており
何処へ行っても水は血のように赤い
それに、突然備わった他人の視界を覗き見る能力――幻視
杏子「少し気味が悪いが便利だな」
目を閉じて集中することで相手の視界を覗くことが出来る
これを使えば無駄な戦闘を避けることも可能だ
魔法少女の戦闘力をもってすれば屍人など恐るに足らない
しかしグリーフシードが手に入るか判らない状況では戦闘は避けてソウルジェムの濁りはできるだけ抑えたかった
杏子「さて、この先に化物は……」
杏子は幻視で屍人の視界をジャックする
砂嵐のようにちらつく視界とノイズ混じりの音
これが屍人が見聞きしている光景だ
《ごみハ燃ヤさナキャ、ごみハ燃ヤさナキャ》
この屍人はブツブツ呟きながら走っているようだ
砂嵐とノイズの具合からみてそう遠くない所にいるらしい
そして何か文字の書かれた紙切れを持っている
杏子(あれは!)
一瞬紙切れの文字が読めた
―さやかちゃんへ―
杏子「ヤツを探さねえと」
あれは間違いなくさやかを見つける手がかりになる
視界ジャックをやめて紙切れを持った屍人を探す
棚田を下り降りてみるが一向に見つからない
杏子「確かヤツはゴミは燃やさないとって言って……」
見回すと棚田の上段側で立ち昇る煙が見えた
杏子「っヤロウ!!」
慌てて石段を数段飛び上がって上を目指す
すると屍人の後ろ姿が見えた
杏子「喰らえ!」
屍人に向けて槍を投擲
矢のように屍人を貫く
しかし、その衝撃で紙切れはドラム缶の焼却炉に投入されてしまった
杏子「間に合え!」
急いでそばに落ちていた火かき棒で紙切れを取り出すが
杏子「クソ!だいぶ燃えてやがる!」
杏子は怒りに任せて火かき棒を地面に突立てた
終了条件達成。
アーカイブに「焼けた手紙」が追加されました
アーカイブNo.04 焼けた手紙
慌てて書いたような文字が横長のチラシの裏にマジックペンで書かれている。
ところどころと右がほとんど焼けてしまって判読不能。
隅にセロハンテープの切れ端が付いている。
さや ち
オバケが沢
さ 神
逃げる ら
ま か
ということで今回はあんこちゃんです。
今回登場した『幻視』、別名視界ジャック(※こちらの方が一般的です)はSIRENの世界では欠かせないものです。
屍人から人間、さらには犬まで視界を覗けます。せんとうで使えたら捗りますね?
これを駆使しない限りゲームSIRENのクリアはほとんど不可能でしょう。
次回は書き上がれば土曜の夜に投下します。
土曜を待たずに書き上がったので投下します
美樹さやか 蛭ノ塚/県道333号線 初日/02時35分32秒
さやか「ああもう!本当にここは何処なのさ!?」
工事中のフロアで転校生に襲われたまどかを助けたと思った瞬間
いつの間にかバケモノがいるこの異世界に紛れ込んでしまった
さやか「まどかが無事だといいんだけど……」
先ほど広域放送のスピーカーから聞こえた助けを求める女の子の声
その怯えと恐怖に震えた声がさやかの不安を一層掻き立てていた
終了条件 「鹿目まどか」との合流。
用心しながら前方の道を進む
さやか「神社があるのかな……」
道沿いの左手側に赤い鳥居があり、上の方に続く階段の端が見えた
さやか「階段の上は死角か……」
そっと目を閉じてまだ慣れない能力で誰かの視界を覗き見る
最初にこの能力に気付いた時は驚いたが、これのお陰でなんとかここまで無事でいられた
さやか「……やばっ!」
ジャックした視界の主がこちらに向かって鳥居の階段を駆け降りて来る
さやか「早く逃げなきゃ」
目を開けすぐさま道を引き返して距離をあける
すると背後で銃声と悲鳴が響き、振り返る
さやか「うそ、まどか!?」
見覚えのある後ろ姿が向こうへ走り去る
さやか「まど……」
追いかけようとすると階段の上から銃弾が飛んできた
さやか「あっぶな!」
思わず後ろに身を飛び退かせる
どうやら階段の上にはライフルを持った屍人がいるようだ
しかし階段の左右は壁でライフルの射角は小さい
銃に当たらずに走り抜けることも出来なくはなさそうだが……
さやか「……突破は無理か?」
しかし、まごついてる間にまどかが屍人に襲われるかもしれない
さやか「ええい!強攻突破だ!」
一気に前へと駆ける
すると銃弾が肩をかすめた
さやか「痛っ……!」
左肩にかすり傷を負ったが、狙撃手が追ってくる気配はない
安心して前を見ると、壊れた古い型のパトカーが目に止まった
さやか「パトカーになら何か武器になるものがあるはず」
今まで丸腰で何とか出来たが、これから先は判らない
さやか「傘……は武器にならないし」
さらに漁ってみると警棒が出てきた
さやか「よし、これで武器は確保出来た」
「警棒」を入手した。
先に進むと一軒だけポツンとある家があった
しかしその前には石の階段脇でこちらに背を向けかがみこむ屍人が見えた
視界ジャックで屍人が何をしているか確認すると
さやか「バケモノは草刈りに夢中か……」
こっそり背後をいけば大丈夫だろう
ここにたどり着くまでに分かったことだが、何かに集中している屍人は基本的に注意力が散漫だ
大きな音や側を駆け回ったりしない限り気付かれることはない
さやか(分かっていても、やっぱり怖いなあ……)
武器を手に入れたからといって無理に戦う必要はない
音を立てないように気配を殺して静かに背後を通り過ぎる
ぐるりと家の周りを一周するがここにまどかの姿はなかった
さやか「ここにいないとなると、上に行ったか……」
民家の付近から伸びるもう一つの階段を登る
すると三角形を描くように三つ重なった木組みの鳥居が現れた
鳥居の先は壁のような岩の行き止まりで、左手側に下へと降りる階段が見える
階段の下を窺うと先ほどの草刈りをしている屍人が見えた
どうやらこの道は周回しているらしい
さやか「まどかはどこに……」
消えたまどかについて考えていると、ふとあるものに目が止まる
さやか「あれは……」
岩の側に一斗缶が落ちている
さやか「あれを足場にして上に登った?」
まどかにそんな行動力があるとは思えないが、必死に逃げていたと考えれば頷ける
さやかも一斗缶を踏み台に岩をよじ登ると、小さな祠が見えた
そしてその祠の影に隠れるように何かの気配が感じとられる
声をかけようかと思ったが
さやか(ちょっとまてよ……)
祠の影にいるのが本当にまどかかどうかは判らない
こっそり近づいて確認した方がいいだろう
静かに一歩を踏み出すと
足に鋭い痛みが走った
さやか「痛っ!」
激痛に足を引っ込めるがバランスを崩し転倒する
足を確認するとトラバサミの罠が歯をたてて噛み付いていた
外そうともがくと今度は何かが割れる音とともに頭に衝撃が走る
そして漂う酒の臭い
薄れゆく意識のなか聞こえてきたのは
?「うそ……さやかちゃん?」
驚いたような親友の声だった
終了条件達成。
アーカイブに「水蛭子神社御籤」が追加されました。
アーカイブNo.05 水蛭子神社御籤
運勢 凶
ほのかな月の光たよりに進む暗き細道
願望 辛抱すべし
待人 あてにせず待て
失物 物にかくれて出ず
旅立 靴下に穴があく
商売 思いがけない災難
学問 妨げ有り
恋愛 良人だが危い
病気 重し、身内を呼べ
縁談 見込みなし
水蛭子神社
ということでSYK、さやかちゃんです。
今回はSIRENネタを幾つか使ってみました。
ニヤリとして頂けたら幸いです。
御籤は文面が面白くて好きなアーカイブです。
>>125
屍人さん乙
オススメの赤い水の摂取方法は何がありますか?
>>130
ぱっと思いつくのを選んでみた。
好みのシチュエーションを選んでくれ。
・赤い湖に身を沈める
・猟銃の先を口の中に入れて引き金を引く(雨の日限定)
・崖から落ちてむき出しの鉄骨で串刺しになる(化け物から逃げてる時、外国人と争ってる時にオススメ)
・高校生の運転する軽トラックに轢かれる
・医者に首を絞めてもらう(病院内でナース服を着用すること。常に笑顔を忘れないでね)
・雨の日に村を散策する(途中から妖精が見えるのでオススメ。その後で家族に会いに行くと家族の絆が深まるぞ)
・部下に射殺される(下克上)
・女子中学生に包丁で挿してもらう(いい人限定)
・神様にぶっ飛ばされる(ヘタレ限定)
・給油車の近くでライターに火をつける(幼女と一緒に行動していると名前を呼んでくれる)
・大きい屍人に捕まった状態でライターをガソリンの上に落とす(幼女と一緒に行動していると名前を呼んでくれる)
>>131
すまない、この二つは変なのが身体に入って来るからオススメしない。
・女子中学生に包丁で挿してもらう(いい人限定)
・崖から落ちてむき出しの鉄骨で串刺しになる(化け物から逃げてる時)
屍人になってもNIPやってるってお前どんな生活おくってたんだよ
>>133
察してくれ、水道水飲んだら赤かった……。
美樹さやか 大字粗戸/六角家 初日/06時14分34秒
まどか「ごめんね、さやかちゃん」
まどか「オバケかと思って殴っちゃって」
さやか「気にしなくていいよもう痛みもないし」
雨が振る中、二人は安全な場所を探して彷徨い、この家にたどり着いた
さやかの足の傷ははまだ少し出血が続いているが不思議と痛みはない
それよりもさやかは服に染み込んだ酒の匂いで酔いそうだった
まどか「さやかちゃんにまた会えて本当によかった」
さやか「まどかこそ無事でよかったよ」
再び再会を喜んでいたのだが、ふとまどかの表情が曇った
まどか「でも、さやかちゃんは本当にさやかちゃんなんだよね?」
さやか「どういうこと?」
まどか「だってさやかちゃんは魔女になって杏子ちゃんと……」
さやか(何を言ってるのよこの子……?)
さやかにはまどかが何を言っているのかが判らなかった
さやか(このおかしな世界に迷い込んで気が狂いはじめてる?)
さやか「しっかりしなさいよまどか!」
さやか「私が付いてるんだから安心て!」
まどか「……うん」
その時、近くで銃声が響いた
まどか「見つかっちゃったの!?」
慌てて戸の隙間から外を見る
さやか「あれは転校生?」
転校生が例のコスプレでバケモノを撃ち倒して駆け去ってゆく
まどか「ほむらちゃん、ほむらちゃんがいるの!?」
心なしかまどかの声に喜びが混じっているように聞こえる
まるで地獄のなかで救世主を見つけたかのように
まどか「さやかちゃん、追いかけようよ!」
さやか(まどかは本当に大丈夫なのか?)
さやか(アイツはまどかを襲ったヤツだぞ?)
まどか「ほむらちゃんならきっと私達を助けてくれる!」
その言葉にはさやか以上にほむらを強く信頼しているような響があった
さやか「……わかった、私が転校生を連れてくる」
まどか「じゃあ、わたしも一緒に!」
さやか「まどかは待ってて!!」
外は危険だし、再び襲ってくるかもしれない転校生とおかしくなりつつあるまどかを会わせるのはリスクが高い
さやか「すぐに戻る、ちゃんとそのつっかえ棒しとくんだよ!?」
さやかは戸のつっかえ棒を外してまどかに渡すと外へと飛び出した
ということで引き続きSYKのターンでした
服に酒の臭いが染み込んでいるのは……
昨晩久々にSIRENプレイしたら腕がなまってましたorz
アーカイブNo.06 大吟醸酒「予知夢」
三隅酒造の大吟醸酒、2001年からモンドセレクション金賞を2年連続受賞。
芳醇な香りが呑んだ後も12時間続く夢であったような酒。
三島酒造の大吟醸酒「大予言」と並ぶ銘酒。
誠に申し訳ありませんが重大なミスを見つけました。
>>137
(誤) 美樹さやか 大字粗戸/六角家 初日/06時14分34秒
(正) 美樹さやか 大字粗戸/六角家 初日/04時14分34秒
今後このようなことがないよう気をつけます。
また夜に投下します。
暁美ほむら 蛇ノ首谷/事故車両付近 初日/03時45分06秒
病院を出たあと、ほむらは辺りを捜索しながらこの異常事態の手がかりを探っていた
ほむら「分かったことはほとんどないわね……」
まずここは何処かの田舎の村であること
これは病院近くの電信柱には《羽生蛇村 比良境 ××・×××》と住所らしきものが書かれたプレートがあったからだ
次にこの異変は非常に広範囲に渡っていることだ
もしこれが魔女の結界だとしたら大きな村一つ飲み込むほどの巨大さということになる
そのような大規模な結界を張れるような魔女の心当たりは、ほむらには一つしかない
ほむら「でも確証はないわね……まだ調べてみないと」
そう呟いたとき、ほむらの耳に電子音が響いた
終了条件 「襲撃者」の撃退。
音の出どころを探ると、電話ボックスの公衆電話から響いていた
更にそのそばには猟銃を持った屍人が丸まっていた
背後から殴打されたのか、その屍人の後頭部は陥没している
ほむら「誰かがコイツを倒した?」
近くにその人物がいるかもしれない
ほむら(探してみましょう)
霧が出ていて先があまり見通せず、ほむらは警戒しながら道を進む
そして橋を渡り終えた時、霧のカーテンの向うに動く人影を見た
ほむら「止りなさい、止まらないと撃つわよ?」
ほむらは拳銃を突きつける
するとこちらに背を向けていた人影はぴたりとその動きを止める
ほむら「そのまま両手を上げてこちらを向きなさい」
ほむら「妙な真似をしたら即座に撃つわ」
「……わかった」
低い声の主はほむらの指示に従う
それは白衣を着た男だった
手には片方だけの靴と血のついたラチェットスパナを持っている
ほむら「まずは質問よ、貴方は人間?」
何よりも先に確認しておくべきことだった
「ああ、そうだ」
男は頷く
見たところ屍人の特徴はない
「そういうお前はどうなんだ?妙な恰好だが?」
ほむら「……人間よ」
人間と呼ぶにはかけ離れている自身のカラダを考えて言葉につまる
返答に間があった為か男は眉をよせる
ほむら「……手を下ろしていいわ」
男の警戒を解くためにほむらも銃口を下ろす
ほむら「ここで何が起きているのか貴方は知っている?」
「いいや、わからないな……お前こそ何か知っているんじゃないのか?見たところ村の者じゃないようだが?」
ほむら「私も分からないからこうして聞いているわ」
どうやらこの男から得られそうな情報は無さそうだ
しかしこうして人間に会えたことは大きな収穫だろう
ほむら「それで貴方は……」
その時、左の崖の上からほむらは奇襲を受けた
ほむら「っ……」
間一髪でほむらはその攻撃を回避した
「へぇー、よく避けられたね」
聞き覚えのある声だった
目を引く大きな鉤爪
黒を基調とした装束
過去の繰り返しの中で出会った白い魔法少女の片割れ
黒い魔法少女
ほむら「呉キリカっ!」
ほむらは襲撃者を睨みつける
キリカ「私とは初対面のはずだけどよく分かったね」
キリカ「まさかこんな状況で魔法少女に遭うなんて思ってもなかったよ」
キリカは不敵な笑を浮かべる
ほむら「……"これ"はあなた達の仕業ね?」
訳が判らないこの異変
これに美国織莉子が関わっていとすると……
キリカ「さあ、どうだろう?私は指示通りに魔法少女を狩るだけだからね」
キリカは笑みを崩さずに肩をすくめてみせる
ほむら「美国織莉子は何を企んでいる!言いなさい!」
拳銃を構える
キリカ「……織莉子のことも知っているのか」
キリカの表情が変わり、
キリカ「だったら、やっぱりここで始末しなきゃいけないな!」
戦闘態勢に入った
ほむらは過去のループでキリカの手の内を知っている
爪による斬撃を主体とした近接格闘
これは距離をとって弾幕を張ればそれほど怖ろしいものではない
問題は彼女の固有魔法だった
時間に干渉し、対象の時の流れを遅らせる遅延魔法
これを使われたら弾幕を張ったとしても速度差で懐に潜り込まれ、爪刃の餌食にされてしまうだろう
キリカもそのつもりで、なんの躊躇いもなく突撃してくる
たとえ無駄だとしても、次の手のためにまずは弾幕で牽制をする必要がある
ほむら「喰らいなさい!」
盾から89式自動小銃を取り出し、ほむらはセレクタを"レ"にしてフルオート射撃を開始したのだが、
ほむら「なっ!?」
予想外の出来事が起きた
キリカ「くっ、どういう魔法を使ったんだ……」
たなびく硝煙の向こうに足を撃ち抜かれ倒れたキリカがいた
困惑はほむら以上にキリカの方が大きかった
キリカ「まさか私の遅延魔法を無効にするなんて……」
力が入らないであろう足で無理やり立ち上がる
キリカ「魔法が効かないんじゃ仕方がない……」
片足で橋の欄干に跳び乗り、
キリカ「織莉子も探さなきゃいけないし、ここは逃げさせてもらう……」
キリカ「でも次に会ったときは必ず殺すよ!」
霧の向こうへ消えた
ほむら「…………」
キリカの魔法も無効化されていた
ほむら「……魔法自体が無効化されている?」
しかし視力矯正の魔法は使えたのでそれは違うだろう
ほむら「………」
考え込んでいると
ほむら「……あの男がいない?」
白衣の男の姿が見当たらなかった
ほむら「まあ、いいわ」
そもそも彼からは有力な情報は引き出せそうになかった
ほむら「でも、何で靴を持ってたのかしら?」
終了条件達成。
アーカイブNo.07 89式5.56mm小銃
豊和工業製の自動小銃、陸上自衛隊、海上自衛隊、海上保安庁、警察庁などが装備している。
左右非対称のストックや通称"アタレ"と呼ばれるセレクタ、小銃てき弾発射可能、使用する弾倉弾薬が米軍と共有できるなどの特徴がある。
ほむらが用いたのは陸上自衛隊に配備されていたもの。
有効射程 500m
使用弾薬 5.56mmNATO弾
装弾数 20発/30発
はい、今回は外伝から呉キリカが登場です。
そしてSIRENからは撲殺天使が降臨
SIRENキャラもそろそろ登場し始める予定です
1レスで全キャラ入らなくなるかもしれないので、
リンクナビゲーターはニ分割して問題ないですか?
まどかキャラ用リンクナビゲーターとSIRENキャラ用リンクナビゲーターって感じで……。
丸腰神父の弟キタ!
校長とかピタゴラ装置とか期待
呉キリカとか知らないわ…
鉤爪ってことは、ヒュドラとか無双4の張衡みたいなのでいいの?
外伝キャラが出るなら物質の再構築ができるかずみとかニコとかなら屍人を殺せるか?
かずマギからはキャラを出す予定ありますか>>1さん
こんばんはです
>>167
リンクナビゲーターいつもありがとうございます。
作れない私では判断がつかないのでお任せします。
外伝おりこ☆マギカから三人登場させます。
彼女たちについては作中で出来る限りの説明を入れていきたいと思います。
>>168
武器はだいたいそんな認識でOKです。
>>177
かずみはまだ完結していないのでなんとも調理しがたいです。
再構築で倒せるかについては倒せる、かな……
少ないですが投下します
千歳ゆま 合石岳/三隅林道 初日/11時18分49秒
「あなた、何なのよここは!?」
「五月蝿い!俺だって知るか!」
ゆま「……………」
ゆまにとっての久しぶりの家族揃っての"おでかけ"はすっかりご破算になった
街の中にいた筈がいつの間にか鬱蒼とした森に迷い込んでしまったからだ
「大体あなたが突然出かけようだなんて言うから!」
「いつもお前がどこか連れてけって言うから連れてったんだろ!」
ゆま「……………」
両親はゆまを放って言い争いをはじめる
いつもこうだった、ほんの些細なことで両親は……
その時、茂みが音を立てて揺れた
「何かしら……」
「お前、見てこいよ」
「嫌よ、ゆま見て来なさい」
ゆま「……はい」
言われるがまま、ゆまは音がした茂みにそっと近づく
すると
ゆま「ひっ……」
そこには全身から血を流し笑っている屍人がいた
『コっちへこォオオお゛おおおおい!』
「きゃあああああ!」
「ひいいいい!」
両親はゆまを置いて我先にと逃げ去る
しかし、腰を抜かしたゆまは動けずにいた
死が目前に迫る
ゆま「いや……いやぁあああ!」
屍人は鎌を振り上げ
銃声が轟いた
銃弾を受けた屍人はもがいたあと勢いよく蹲る
丸まった屍人の後方、そこには猟銃を構えた老人がいた
その出で立ちから猟師だと思われた
ゆま「あ……ありがとう、おじいちゃん……」
「……………」
老人は何も言わずに両親が逃げ去った方向へ歩いていく
ゆま「……………」
ゆまは少し躊躇したが、この無口な猟師らしき老人について行くことにした
以上……
おりこ☆マギカから鋼鉄メンタルに定評ある幼女ゆまちゃんの登場です。
全然説明ないじゃんってツッコミは勘弁して下さい。後の話に盛り込みますので。
あとアーカイブは今回はありません。
早ければ次回は水曜日に投下します。
美国織莉子 蛇ノ首谷/選鉱所 初日/11:56:10
織莉子「やっぱりあの生き物は悪魔だったのね……」
織莉子は赤い雨が降る空を仰ぎ見る
あの白い獣は願いを叶えると言って近づき、命を奪うものだったのだろう
織莉子「私の願いが叶うことなんて……」
願いを口にした途端にこの地獄に引きずり込まれた
知らず知らずに俯き体が縮こまってくる
その時、泣き声が聞こえた
織莉子「……子供?」
織莉子は恐る恐る声がする方向へと歩き出した
終了条件 「千歳ゆま」と「比良境への道」に到達
橋の上に猟師らしき老人と泣きわめいている子供がいた
そして彼らの足元には血だまりに横たわるまだ若い男女の姿
二人とも頭を撃ち抜かれて半分ほどなくなっている
織莉子「一体何が……」
織莉子は物陰から様子を窺うことにした
老人は女の子の肩に手を置き、何かしら言葉をかけているようだった
老人の言葉を聞いた女の子は首を横に振る
すると老人は躊躇いを見せつつ頷き、女の子を残して橋の向こうへ去っていく
ゆま「ママ……パパ……」
どうやら倒れている男女は彼女の両親のようだ
しばらく様子を見ていた織莉子だったが、ついに見ていられなくなり女の子に歩み寄る
そして
―オオオオオオオオオオオオオオオ―
けたたましくサイレンの音が轟いた
織莉子「くっ……頭が……」
サイレンの音と共に頭が割れるような激しい頭痛に襲われる
ゆま「いたい……いたいよ……」
目の前の女の子も苦しんでいた
そして異変はそれだけではなかった
織莉子「うそ、でしょ……」
織莉子は我が目を疑った
『『きゃははははははははははははははははははは』』
倒れていた男女がおぞましい笑い声と共に立ち上がった
吹き飛んだ頭は再生し、顔は青白く、流す涙は赤く
明らかにその姿は屍人であった
ゆま「ママ……パパ……?」
織莉子「こっちに来て!」
織莉子は女の子の手を引いて来た道へ走る
『まぢなざいユマあああぁ!』
『ごっチはたのじいぞおおおぉ!』
屍人と化した二人が追いかけてくる
ゆま「どうして……どうして……」
織莉子「とにかく今は走って!」
選鉱所の建物に入り扉を閉める
落ちていた折れたモップで扉につっかえ棒をしたが
『あ゛けなぁざいぃぃぃい!』
激しく扉は叩かれ、破られるのも時間の問題だった
逃れるため階段の踊り場に駆け上がると
織莉子(痛っ……)
頭痛とともに脳裏にある映像が浮かんだ
それは階段の登りきった先を脇から見張っている誰かの視界
その手にはライフル銃が握られている
織莉子(挟まれた!?)
到底現実とは思えなかったが、織莉子は直感的にその映像が事実だと認識した
絶望的な状況
しかし僅かな希望は階段脇に外への出口が監視者の視界に映っていたことだ
織莉子(あそこから出られれば……)
その瞬間、つっかえ棒が折れて扉が開いた
織莉子は死を覚悟したが、
織莉子(!?)
奇跡か偶然か、監視者の視線が階段から外れたのが"視えた"
織莉子「今よ!」
ゆま「うん」
階段を駆け上がって出口から一気に建物の外に出る
そこには一本の吊り橋がかかっていた
後方からは奇声を上げて追いかけてくる屍人の気配
織莉子とゆまは必至に搖れる吊り橋を走り抜け
銃口に出くわした
立て続けに銃声が2発轟き
織莉子「あ……」
銃弾は狙い違わず全て命中した
射手は硝煙がたなびく銃口をおろすと
「大丈夫か?」
低くしわがれた声を掛けてきた
射手は先ほど橋にいた老人だった
振り返れば後方にいた屍人たちは倒れてうずくまっていた
ゆま「ありがとう、おじいちゃん」
織莉子にしがみついていた女の子が笑顔で老人に礼を言う
織莉子「助けて頂いてありがとう御座いました」
織莉子も深々と頭を下げた
老人は軽く頭を掻くと
「………村に下りる、今度こそ一緒に来るか?」
女の子の方を見た
ゆま「うん!」
老人は背を向けて歩き出す
しかし女の子は直ぐには彼を追わず、蹲る変わり果てた両親を見ていた
両親を亡くしていた織莉子には彼女の気持ちが十分に察せられた
織莉子「……行きましょう?」
それでも今はそんな感傷にも浸ってはいられない
ゆま「……バイバイ、ママ、パパ……」
吊り橋を渡りきり、森に入った時だった
織莉子の脳裏に再び誰かの視界が視えた
しかし、その視界はまるで這っているかのように低い位置にある
そしてそれだけではない
織莉子(速い……)
屍人の倍近い速さで走っている
それはまるで犬のようであった
織莉子(こっちへ来る!?)
それは織莉子たちがいた建物を通り抜け、吊り橋を見ていた
織莉子「……早くここから逃げましょう!」
三人は森を通り抜け、道に出るとその場を脱出した
――その時の織莉子には、遠くで異様な羽音がしていることを気に留める余裕はなかった
終了条件達成。
アーカイブNo.08 美国織莉子の学生証
白礼女学院中等部
生徒番号72115
美国織莉子
上記の者は本学院学生であることを証明する
平成××年 白礼女学院学長
はい、今回はおりこ☆マギカの主人公織莉子です。
アーカイブはでっちあげです。この話での設定ですのであしからず。
SIRENからは前回に引き続きスナイパーおじいちゃんです。
次回更新はちょっと長くなるかもしれません。
巴マミ 田堀/街道 初日/13時01分01秒
マミ「おかしな村ね 新しい物と古いものがごちゃ混ぜになっている……」
怪我を治療魔法で直したあと、この異界を歩き回った結果分かったことだ
ちぐはぐでまるで鵺のようだ
マミ「田舎だからかしら?」
それにしては不自然過ぎた
綺麗に舗装された道路の真ん中に上塗りするように古い家屋が基礎ごと建っていたりしたのだから
マミ「いずれにせよ何か手掛かりが欲しいわね……」
辺りを見回すと
マミ「……あの子」
早朝に助けた黒いワンピースの女の子が少年に連れられて歩いているのが見えた
マミ「貴女、無事だったのね」
少女の無事を確認してマミは安堵から声をかけた
「君は?」
連れの火かき棒を持った少年が尋ねる
マミ「私は巴マミ、魔法少女よ」
「魔法少女?」
マミ「まあ、正義の味方ってところかしら」
訝しがる少年を見てマミは微笑む
マミ「よければ一緒に……」
「ダメ!コイツについていっちゃダメ!」
大人しくしていた少女が少年にしがみついて突然叫んだ
「どういうこと?」
マミも少年も困惑する
「とにかくダメ!コイツ人間じゃない!」
「アイツらと同じ嫌な感じがする」
少女はおぼつかない足取りで少年の腕を引っ張ってゆく
「ちょっと待てよ、なんでいきなり……」
「いいから、行く!」
少年はマミに会釈すると少女に引きずられるようにその場を去る
マミ「どういうことかしら……?」
助けたのにえらく嫌われてしまったものだ
魔女退治で助けた人の中にはさっきの少女のような反応をする人が少なからずいた
マミ「…………」
経験があるとはいえ、マミは少し傷付いた
そしてそれ以上に
マミ「人間じゃない……アイツらと同じ感じ……?」
少女が言ったフレーズがどうしても頭から離れなかった
はい、今回も短いです
今回はSIRENのメインキャラSDKと二回目の登場の美耶子とマミさんでした。
忙しいので次回更新も長くなると思います
キュゥべえ 田堀/街道 初日/15時10分55秒
QB「これは驚いた」
QB「まさかこれほどの因果の持ち主がいたなんてね」
村を彷徨っていたキュゥべえはとある女に出くわした
その女が持ち合わせている因果の量は計測不能だった
それこそ鹿目まどかが持つ因果が霞んで見えてしまうほどに
どうすればこれ程までの途方もない因果を背負い込めるのか、キュゥべえには考えもつかない
彼女が魔法少女になれば全宇宙のエネルギー問題は解決するといっても過言ではないだろう
そして彼女ほどの逸材はもう二度と現れまい
女は慈愛あふれる顔を驚きに変え、キュゥべえを見て目を丸めている
「え?」
QB「これまた驚きだ、ボクの姿まで見えるなんてね」
「貴方はいったい……?」
女は狐に摘まれたような表情のまま尋ねる
QB「ボクの名前はキュゥべえ」
QB「魔法少女になってくれる女の子を探しているんだ」
「魔法少女?」
女の赤い修道服が風に揺れた
アーカイブNo.09 アトランティス増刊号
現実と非現実の境を飛び越える!謎解明マガジン
アトランティス増刊号
2003年7月号
総力特集 宇宙考古学!!
人類の起源や文化の発展の影にはいつも彼らがいる!!
神々の足跡を追え!!
・少女に契約を持ちかける!?白い獣型宇宙人に迫る!
年端もいかない少女に対して"契約"を持ちかけてくる白い獣型宇宙人を皆様はご存知だろうか。
我々アトランティス編集部が独自のルートから入手した情報によると、彼らはインキュベーター(※孵卵器)を名乗り……(略)
……我々の祖先が洞窟に暮らしていた頃から人類と宇宙人が密接に関わっていた事実は、特集の宇宙考古学の記事を読んで納得して頂いただろうが、なんと驚くべきことに彼らこそが……(略)
……彼らインキュベーターは優れた科学力によって熱力学の法則を超越した感情エネルギーを実用化し、エントロピーを凌駕する画期的な機関を開発していた驚愕の事実がここに判明したのだ!!……(略)
ご無沙汰です、一段落したので更新です。相変わらず短い……
SIRENから今回はあの人です。
アーカイブ書いてて、誰もほむらの話を信じないのも当然だなあなんて。
あと、一日考えましたがピタゴラ装置って想像以上に難しい……次回更新も長くなりそうです。
佐倉杏子 下粗戸/三叉路 初日/16時21分35秒
杏子「……見つからねぇ」
あの焼けた手紙にあった手がかりになりそうなものは『沢』と『神』
沢を探してみたがそこには居なかった
また、手紙を入手した直後に見つけた神の家たる教会―異端ではあったが―も無人だった
杏子「沢にもいない、教会にもいねぇ……」
杏子は途方に暮れる
すると
「ねぇ、そこのコスプレの子!」
間延びしたような声を背後からかけられた
終了条件 「頭脳屍人」を倒す。
杏子は槍を振り向きざまに薙ぐ
「きゃっ!」
声の主は情けない悲鳴と共に尻もちをつき、
「いきなり何するんですかぁ!?」
手を振り回して抗議の声を上げてきた
杏子「……お前、人間か?」
女子大生くらいのこの女は血の涙も流してなければ青白い顔でもない
「当たり前です、オバケじゃありませんよぉ」
女は頬を膨らませる
「ところでこの村ではコスプレが流行ってるんですかぁ?」
女はズレた眼鏡を直しながらのっそり立ちあがる
杏子「いや、知らねぇ……」
「そうなんですかぁ?キミみたいにコスプレしてる子見かけたんだけどぉ」
杏子「おい!そいつはどんな奴だった!?」
さやかの手がかりが得られるかもしれない
杏子は詰め寄る
「えっとねぇ……」
女が答えようとし、
「何、あれ?」
杏子の背後を指さした
振り返ると路地の裏からこちらを伺っている屍人がいた
しかし、その屍人は
杏子「……なんだありゃ」
「すっごいキモい……」
顔にオニヒトデのようなものがびっしりと生えていた
杏子たちの視線に気づいたソレはくぐもった奇声を上げて逃げた
杏子「………それで、さっきの……」
逃げたところを視る限り無害そうなので無視して女に話しかけると
「そうだった!先生を見かけませんでしたかぁ!?」
杏子「先生?いや、まずさっきの……」
「髪がこうモジャっとフサフサでぇ、めちゃイケメン!あと背が高くって……」
杏子「人の話を聞けっ!!」
「そっちが聞いてないじゃん」
拗ねたような女の態度を見て、杏子は頭を抱える
杏子「……分かったからソイツの特徴を言え」
すると
「えっと…………何か音が聞こえない?」
杏子はまたかと思ったが、確かに唸るような音が聞こえる
杏子「……そこだ!」
多節槍が伸びて近くの住居の屋根を穿つ
すると
『ぎゃぎゃあああ!』
屋根から四足の影が飛び出してきた
杏子「このっ!」
飛び出してきた影を石突で叩きつけると
『ふぐら゛ぎぃぃぃ……!』
それは断末魔を残して丸まる
杏子「奴らの変種か?」
ただの屍人ではなく、犬の様に四つん這いの状態で走り、頭からは角のような触覚が生えている
そして
「きゃあああ、沢山来た!?」
杏子たちを囲むように方方の路地から次々にこの犬屍人が現れる
「どうするの!?ねぇ、どうするの!?」
杏子「少し黙っててくんねぇか!そんでどっか隠れてろ!」
「無理ですぅ!怖いしどこにも隠れるとこないし!」
女は杏子にしがみつく
杏子「ウゼェ、邪魔だ!」
杏子は女を引きはがすと放り投げた
そして赤い立方鎖の障壁結界を女の周りに展開する
杏子「そこで大人しくしてろよ!」
先程攻撃した際も女は邪魔な位置にいた
魔翌力が勿体なく思えたが、戦闘中に邪魔はされたくない
杏子は襲いくる犬屍人の群れを叩きのめしていくが、
杏子「小賢しい!」
今までの屍人と異なり上手く連携攻撃を仕掛けてくる
その様子はまるで統率された狼の群れだ
杏子「待てよ、この感じ……」
以前にも使い魔を意のままに操り、似たような戦闘を行う魔女がいたことを思いだす
犬屍人たちの組織だった攻撃と、魔法少女としての今までの戦闘経験から杏子は答えを導き出す
杏子「ボスを潰す!」
杏子がまっさきに思い浮かべた標的は先程逃げたあのオニヒトデの屍人だ
杏子「おいお前、そこで囮になってな」
犬屍人を女の方に誘導する
あの障壁結界なら屍人の単純な物理攻撃で破られることはない筈だ
「ええ!?何でぇ!?」
障壁結界から聞こえてくる女の抗議を無視して杏子は路地に飛び込む
すると
杏子「見つけた!」
あのオニヒトデの屍人だ
杏子の姿を見た瞬間、屍人は勢い良く逃げ出す
杏子「逃がすかよ!」
槍が閃光のように煌めき、屍人を貫いた
『ぎぃぃぃおおおぉぉぉ!!』
耳に粘りつく絶叫を残して屍人が地面に伏す
さらにこのオニヒトデの屍人が倒れると、あちらこちらから犬屍人の悲鳴が木霊してきた
杏子「……こいつを倒せば皆やられるって寸法か」
これはいいことを知った
杏子は獰猛な笑みを浮かべる
終了条件達成。
はい、今回はウザ子です
ゲームでは「待て」ないこの子に何度か泣かされました
せめて銃口の前に立たないで……
あと今回のステージは理由あって2003年のオリジナルステージです
ゲーム中にはありません(地名のみ拝借)
そしてやっぱりピタゴラ装置が思いつかないorz
次回更新も長くなるかと思います
乙 でも依子は年下に敬語使わないよ
アーカイブス配信されるらしいぜ!めでたい
乙
てか犬屍人って知能低下してるから壁につきあたったら物理攻撃すらやらないと思う
まきのんはいつでるん?
佐倉杏子 蛭ノ塚/県道333号線 初日/17時54分25秒
「こっちこっち、神社はもうすぐだよ!」
杏子「少しは警戒して歩けよ」
杏子は溜息をつく
杏子「神社ねぇ……」
女―安野依子の話を聞くまで、杏子は神社という存在を失念していた
というのも杏子にとって神社は縁遠く、"神"と聞くと真っ先に思い浮かぶのは教会だったからだ
依子の話によると彼女は先生―無論杏子に心当たりはなかった―に神社で待っておくように指示されていたらしい
しかし、いつまでたっても戻らないので探し回っていたとのことだ
杏子「それにしても、マミの奴までいるなんて……いよいよここは地獄かもな」
依子が先生を探していたときに見かけた―依子が言うに"長い鉄砲を持ったくるくる髪の子"は杏子が知る限り巴マミだ
彼女は魔女にやられて死んだと杏子は聞いていたのだが……
依子「地獄?……そういえば先生が"ヨモツヘグイ"がどうとか言ってたかも」
杏子「"ヨモツヘグイ"?」
耳慣れない言葉に首をかしげていると、
―オオオオオオオオオオオオオオオ―
サイレンの音が轟いた
杏子「っ……嫌な音だ」
依子「ホント……まるで何かの鳴き声みたいな……」
剥き出しの神経を引き剥がされるような、不快で頭痛を伴うサイレンの音に二人は顔をしかめる
そして、
杏子「なんだ、あれは……」
崖の下、遥か彼方まで続く赤い海
その向こうから人々の群れがやってくる
誰ひとり生気はなく、誰ひとり"ヒト"ではなかった
歪みゆがんだ足腰、捻れた胴、ヒトにあるまじき羽根、癒着した海洋生物……
「海還りだ……」
背後から聞こえた声に杏子が素早く槍の矛先を向けると、
茂みから猟銃を持った老人が現れた
彼は間違いなく"人間"のようだ
杏子「……なんだって、ジイさん」
杏子は槍を下ろす
「海から還ってくる奴は人間じゃない……」
老人は独り言を呟くように杏子を視界に入れず、ぼそぼそと声を発する
「海送りに海還り、村の風習みたいなもんだ……」
老人は目の前に広がる赤い海と異形の群れを見つめる
「山ん中に海も何にもねぇとは思っていたが……」
赤い海がすぐそこにある
「……この村はもう終わりだ」
老人の表情は絶望へと染まっていく
「俺はせめてバケモノになる前に逃げ出すとするか……」
そして老人は銃口を自らの口に咥え、
杏子「おい!ジイさ……」
銃声が……
アーカイブNo.10 黄泉竈食ひ
黄泉竈食ひ―ヨモツヘグイ―
古事記の記述より
伊弉諾(イザナギ)と伊弉冉(イザナミ)の夫婦神は火の神、迦具土(カグツチ)を出産した。
しかしその火に触れた伊弉冉は火傷で死んでしまい、黄泉の国へと旅立つ。
愛する妻を失った伊弉諾は悲しみのあまり黄泉比良坂(ヨモツヒラサカ)を越えて伊弉冉を探しに黄泉の国へと赴く。
しかし、伊弉冉は黄泉竈食ひ(ヨモツヘグイ)―黄泉の国の火で煮炊きした食事を口にし、そのため既に黄泉の国の住人になっていた……
アーカイブNo.11 海還り
海還り
羽生蛇村に古来から伝わる民俗行事。
旧暦の大晦日から年明けまでの間、眞魚川に身を沈めていた人々が年明けと同時に岸辺に上がる。
穢れを洗い清めた人々は、常世の神の恩恵を受けたとされ村人たちのもてなしを受ける。
はい、今回は前回の続きです。
志村おじいちゃんは……
次回更新ですが、すみません。のんびり待って下さい。
最後にレスポンスを
>>283
ご指摘ありがとうございます。そう言えば依子は須田君に対してタメ口でした。
>>286
結界は鮫タッチダイビングツアーのゲージみたいなものなので……もちろん彼女たちは扉も開けられない可哀想な子たちです。
>>284
耳寄りな情報をありがとうございます!
>>288-289
あと二回更新以内には登場出来るかと思います。
美国織莉子 廃屋/離れ 初日/15時23分33秒
織莉子「だいぶ歩いたけど疲れていない?」
織莉子は畳に腰を下ろし、ゆまに微笑みかける
ようやく周りに屍人がいないこの廃屋の離れに隠れることができた
志村と名乗ったあの老人は確かめたいことがあると、織莉子たちをここに残して1人で出た
ゆま「ゆまは大丈夫だよ、おりこお姉ちゃん……」
しかし、ゆまの表情には疲れがみてとれる
織莉子「無理はしないで 私が"視てる"から少し休んでいなさい」
そっと頭を撫でる
ゆま「うん、ありがとう」
ゆまは甘えるように織莉子の膝に頭を乗せ、静に目を閉じた
再び頭を撫でるとゆまはくすぐったそうに笑う
織莉子も自然と微笑みを浮かべる
この異界に巻き込まれてから初めて心が安らぐ瞬間だった
しかし、織莉子の微笑みは直ぐに曇ったものへと変わる
織莉子(これは……)
ゆまの額や頭皮、目につかないところに火傷や傷跡、殴痣があった
織莉子(この子は……)
虐待の文字が織莉子の脳裏に浮かぶ
織莉子(……今は考えないようにしましょう)
今は彼女と生き延びてここを脱出することを……
ここで織莉子は自身の心の変化に気が付く
織莉子("ここ"に来るまで自棄になっていたというのに、ね……)
父の自殺、それによる周囲の変化
自分が何者か解らず、自殺まで考え
白い悪魔の甘い囁きに縋ろうとした弱い自分
それがどうだろうか?
今の織莉子は膝の上で甘えてくる女の子を守らなければと強く思っている
織莉子(まるで別人ね)
織莉子は自嘲気味に笑いつつ、決意する
この子と必ず生き延びよう
織莉子は気を引き締め、幻視で周囲を探り始めた
織莉子(うそ……)
幻視で周囲を探ってから数分後、
飛ぶようにこちらに向かってくる何者かの視界が視えた
織莉子「ゆまちゃん!ここから逃げるわよ!」
急いで立ち上がるが、逃げるにはとても間に合いそうにはない
織莉子は側にあったライターと殺虫剤を手に取る
これで簡易的な火炎放射器が出来るはずだ
すでに何者かは扉の前にまで来ている
織莉子(せめてゆまちゃんだけでも……)
織莉子はしがみつき、震えるゆまを背中に隠す
鍵をかけていた扉が、がたがたと揺さぶられる
織莉子はライターを点火し、いつでも火を放てるように構え……
瞬間、扉が弾けるように開き、黒い塊が織莉子をめがけて飛びつく
押し倒された織莉子は火炎を放つことも、悲鳴を上げることさえ出来なかった
そして、
「おりこ おりこ おりこ おりこ おりこ 織莉子だああぁぁぁああああ!
やっぱり私の勘は正しかった!
そうだとも、そもそも私が織莉子を間違うはずがないっ!!
本当に無事でよかったよおぉおおお!織莉子ぉぉぉおおお!」
それは真っ黒な装束の少女だった
彼女に抱きつかれ頬ずりされ、織莉子はもみくちゃにされた
ゆま「え……?え?」
ゆまは何が起こったのか判らずに呆然としている
織莉子「ええと……貴女は?」
織莉子は何とか驚きから立ち直り、困惑しつつ自分にすがりつく少女に話しかける
「何言ってるんだよ織莉子!?私だよ!?キリカだよ!」
少女は自分の顔を指さして訴えるが、その顔に織莉子は心当たりがない
織莉子「その……ごめんなさい、貴女のことがわからないの……以前どこかでお会いしたかしら?」
キリカ「酷いよ織莉子……冗談でもひどいよぉ……」
キリカと名載った少女はぽろぽろと涙を流す
それはまごうことなき人間の、透き通るような涙だった
そして子供のようにわんわんと泣き出した
織莉子「その、何とか思い出すから泣かないで」
困惑しつつ織莉子は取り出したハンカチをそっと差し出す
キリカ「……うん」
キリカはそれを受け取り涙を拭うと、
キリカ「うん?」
小首をかしげた
キリカ「ソウルジェムの指輪が……それに魔力も感じない?」
織莉子「えっ……?」
キリカは織莉子の顔を間近で覗き込み、うーんと腕を組んで悩みだす
織莉子「あの……?」
キリカ「間違いなく織莉子なんだけどなあ」
彼女はしばらく目をつぶってうんうんと唸ったあと、
キリカ「織莉子は織莉子なんだし、その、あれだ、ささいだ」
ひとしきり頷いて、何か納得したように笑った
アーカイブNo.12 週刊誌「報道」
週刊誌「報道」第1352号
・美国久臣議員の経費改竄疑惑
美国久臣議員の経費改竄の不正疑惑について、本誌は議員と親交のあったA氏にインタビューをとるが出来た……(略)
……美国議員が自殺したことに関してA氏は誠に残念に思っており、行き過ぎた報道に対し……(略)
アーカイブNo.13 ぬいぐるみ
呉キリカが身に着けていたマスコットチャーム
美国織莉子からのプレゼント
はい、今回は織莉子です。
スプレーの簡易火炎放射器は危ないので真似しないで下さい。火傷しました。
次回更新は近日中の予定です。
暁美ほむら 刈割/切通 初日/10時18分19秒
ほむら「美国織莉子と呉キリカがこれに関わっている可能性がある……」
ほむらにとってこれは重大な問題だった
この二人が現れたループではまどかを失う結果しか得られていない
特に美国織莉子はまどかの殺害、それによる救済の魔女の誕生阻止に積極的だ
逆に言えば
ほむら「彼女たちがここにいる以上、まどかもここにいる……」
ほむらにはそうとしか思えなかった
ほむら「……まどかを探すべきね」
ほむらは行動指針を立てる
まずはこの異界の何処かにいるであろうまどかの保護
そして美国織莉子と呉キリカの"排除"だ
終了条件 「友人」に会う。
ほむら「弾薬を使い過ぎたのが悔やまれるわね……」
ほむらにしてみれば舞台装置の魔女を相手取った直後
持ちうる武器の殆どは彼女との戦いのために費やしてしまった
ほむら「こんな状況になるならロケット弾の一発でも盾に残しておくべきだったわ」
屍人に対してのみならず、魔法少女二人を相手にしなければならない
特に呉キリカはソウルジェムの濁りを鑑みない戦法をとってくる
そのためすぐに魔女化して、手こずらさせる
今回は時間停止の魔法が使えず、武器も少ないため苦戦は必至だ
ほむらは手元にある武器を今一度確認する
「9mm弾拳銃」、「自動小銃」、「ボルトアクションライフル銃」がそれぞれ一挺ずつ
それぞれに「予備弾倉」が僅か
そして切り札は3つしかない「手製時限爆弾」
ほむら「あとはこれね」
魔法少女に成りたての時に使ったきりの「折れ曲がったゴルフクラブ」
それなりに想い入れがあったため、ずっと盾に保管していた
ほむら「この状況だとこんなものでも何だか心強く思えるわね……」
ゴルフクラブのグリップを握り、ふとあの頃を懐かしむ
ちょとした懐古に浸っていると、いきなり銃弾が飛んできた
怪我はないが長い髪が数本ハラハラと落ちる
かなり正確な射撃だった
ほむら「こう隠れる場所がないと避けながら進むのは難しいわね」
盾から狙撃銃を取り出すと地面に伏せ、弾が飛んできた方向に構える
スコープの十字線が向こうの茂みに立つ狙撃手を捉える
ほむら「そこね!」
両者が発砲するのはほぼ同時だった
ほむら「っ……!」
相手の銃弾が肩に命中した
肉を抉る激しい痛みと衝撃が襲う
ほむら「く……」
痛みを堪え、ライフルを構え直してスコープを覗く
相手にもこちらの銃弾が命中し、丸まっているのが見えた
ほむら「倒すことは出来たみたいね……」
ほむら「痛い……」
肩に開いた孔がズキズキと痛む
ほむら(何が起こるか判らない今、万全な状態でいないと)
貴重な魔力を用いて傷口を修復する
ソウルジェムが濁るが、
ほむら「どういうこと?」
ほんの僅かな魔力で傷の修復が出来た
ほむら「……」
原因は不明だが今の状況では有難い
しばらく周辺を探索していると不思議な建物にたどり着いた
ほむら「不入谷教会……」
壁の看板の文字を読み上げる
しかし、ほむらが知っている教会とはまるで趣が違う
十字架があるべき位置には村のそこここで見かけた奇妙なシンボルマークが掲げてある
それに建物から漂う言い表しようのない重苦しく不吉な雰囲気
そして、内部に感じる何者かの気配……
ほむらが覚悟をきめて扉に近づこうとした時、突然その扉が開いた
ほむら「動かないで、撃つわよ」
教会から出てきた黒い人影に拳銃を向ける
「ひぃっ……撃たないで!」
人影はその場に頭を抱えてしゃがみこむ
がくがくと震えるその様子から、死を恐れない屍人ではないことは明らかだった
ほむら「……ごめんなさい、アイツらかと思って」
ほむらは拳銃をしまう
「き、君は……?」
恐る恐るといった具合に人影が立ち上がる
ほむら「貴方は……」
教会から出てきた人物の顔にほむらは見覚えがあった
あのナースシューズを持った白衣の男だ
しかしどこか様子が違う
あの男はほむらに銃口を向けられても動じた様子は見せなかった
それにこの男は対照的な黒衣の救導服に身を包んでいる
医者かと思ったが、彼はこの教会の関係者だったのだろうか?
ほむらが訝しんでいると
「あ、あの……女の子を見かけなかったでしょうか……?」
おどおどと男がそう切り出した
「その、君ぐらいの年頃で……前田知子ちゃんって言うんだけど……」
彼は背後、教会の中で泣いている女とそれを慰めている彼女の夫らしき人物に視線を向ける
ほむら「残念だけど見ていないわ……」
「そう、か……」
救導師の男はがっくりと肩を落とすが、それを持ち直す
「と、とにかく教会の中へ ここは安全だから」
ほむらを中へ導こうとする
ほむら「折角だけど、遠慮しとくわ。私も女の子を探しているから」
探しているのは3人、助けなければならないまどか、そして"排除"すべき美国織莉子と呉キリカだ
ほむら「その子を見かけたらここへ来るよう声をかけるわ」
髪を払い、ほむらが踵を返そうとした時だった
「てん、こうせい……」
聞き覚えのある声をほむらは聞いた
ほむら「……美樹、さやか」
ほむらは声の方を振り向いた
終了条件達成。
アーカイブNo.14 M24対人狙撃銃
レミントンアームズ製ボルトアクション狙撃銃、各国の軍隊や警察機関が装備している。
様々なバリエーションが存在するがほむらが用いたものは、陸上自衛隊に配備されていた基本型。
有効射程 800メートル
使用弾薬 7.62mmNATO弾
装弾数 5発
アーカイブNo.15 羽生蛇村観光ガイド
羽生蛇村観光ガイド
羽生蛇村役場地域振興課発行
・不入谷教会
不入谷教会はバロック様式の非常に美しい建物で、眞魚教(まなきょう)の信者が祈りを捧げる神聖な教会です。
眞魚教は来訪神である堕辰子(だたつし)様を奉じる土着信仰で、羽生蛇村の村民のほとんどが眞魚教を信仰しています。
眞魚教のシンボルであるマナ字架は生(なま)の字を回転させたもので、堕辰子様が降臨なさった眞魚岩(まないわ)がその名前の由来です。
はい、久しぶりにほむらのターンです。
作中で書いたように、ほむらの盾内の武器は引き継げる設定を採用します。
そして今回やっと救導師様が登場です。
次回更新は少し長く掛かりそうです。お待ちください。
こういうSIRENとのクロスSSって面白いの多いよね
何か参考にした他のSSとかってあるの?
デザートイーグルは残ってないのか…残念
対ワルプ戦に挑むのになぜ狙撃銃を盗んだし
美樹さやか 下粗戸/水酉酒店前 初日/05時05分55秒
さやか「転校生め、なんて足の速さしてんのよ……」
さやかはほむらの後をすぐに追いかけたにも関わらず、その姿を見失った
辺りは住宅や店舗が数軒建ち並んだ場所だ
先ほどまでまどかと隠れていた家とは異なり、このあたりの住宅はまだ新しい
さやか「転校生は諦めてまどかのところに戻るか……」
雨も降り出したので来た道を引き返そうとすると
『そこの゛キミ、どまりナさぁい』
警官が路地から現れた
そして、
『りょうカい、しゃサつしマす……』
銃弾が足元に突き刺さった
終了条件 駐在警官からの逃亡。
『み゛せいねんの゛飲しゅは、だメだぁぞ!』
再び警官の拳銃が火を噴き、弾丸が肩の肉を僅かに抉る。
さやか「痛っ……!」
『さけ、ざけ……』
酒、酒と屍人は繰り返し呟く
さやか「……ひょっとしてアイツ私のお酒の臭いに反応してる!?」
まどかに浴びせられた酒の香りがまだぷんぷんとさやかから立ち上っていた
さやかは死を覚悟する
しかし、逃亡のチャンスがやってきた
ピストルが弾切れを起こした
警官はのっそりとした動きで拳銃に弾を込め始め、
さやか「今のうちだ!」
さやかは近くにあった店舗に駆け込む
緊迫した空気に合わない電子音の入店チャイムが鳴る
さやか「……うっ、よりにもよって」
さやかが入った店舗
そこは個人経営の小さな酒屋であった
さやか「でもこれは逆にチャンスかも」
さやかは棚の酒瓶をいくつか床に叩きつけて割り、その中身をぶち撒ける
すると辺りには強い酒の匂いが立ち込めた
さやか「これで匂いを誤魔化せる……はずだよね?」
飛び散ったガラス片を踏み鳴らしバックヤードへと走り込む
そしてそれと入れ替わりに電子音楽が鳴り、
『かぐレてないで、でデきなさぁい』
警官の屍人がこの店に入ってきた
さやか(やっぱり追いかけてきた……)
さやかは息を殺して物陰に潜む
死がすぐ側にある
さやか「恭介……」
きつく目を閉じ、もう会えないかもしれない想い人の名を口にする
しかし、しばらくたっても警官がこちらに来る気配がない
さやか(……何やってんだろ?)
幻視で警官の視界を盗み視ると、
『もった、い゛ない』
屍人は割れた酒瓶を見つけ、それに残った酒を舐めているようだった
さやか(ただの好きかよ!?)
どうやら警官が酒の匂いで追ってきたのは、未成年の飲酒を許さないという法令遵守の精神からではなさそうだ
すこし張り詰めていた気が緩む
さやか「……とにかく、ここを脱出しよう」
幸いなことに警官から死角になる位置に棚がある
入り口も開いたままなのでそこを通れば見つからずに脱出できそうだった
しかし、出入口には赤外線で反応するチャイムがある
音が鳴れば直ぐに見つかってしまうだろう
こっそり近づいて背後から警官を警棒で殴ろうにも、床に散らばったガラス片で音を立ててしまう
さやか「ああもう、どうすりゃいいのさ……」
さやかは考えながらバックヤードで使えそうなものを探すことにした
バックヤードには二階へと続く階段があった
この酒屋は店舗兼住宅なのだろう、二階は住居になっていた
バックヤードとこの住居も含めて捜索したところ
さやか「ライターに蚊取り線香、玩具のパチンコ……」
あまり役に立ちそうな代物はなかった
さやか「こんだけじゃ鉄砲持ってる相手には心もとないわ……」
それでもさやかは今使える物で作戦を考える
さやか「まずはあのお巡りさんを店の外に出さないと……」
「ライター」「蚊取り線香」「ゴムパチンコ」を入手した。
さやかは様子を窺いながら、そっとバックヤードを出る
幸いなことに警官の屍人は未だに酒に夢中なようだった
相手から死角になっている棚へとさやかは移動を始める
姿勢を低く、目立たないよう、しわぶき一つたてずに少しずつ
数歩の距離が千里にも感じられる
手を伸ばせば届きそうな距離から屍人の息づかいが伝わってくる
さやか(怖い……でも……)
息をのむ永遠にも思える数秒間
その中で一歩、また一歩と足を進める
そして、なんとか気付かれることなく棚へと辿り着いた
さやか(ああ、怖かった……)
ひとまずの安堵をさやかは得る
さやか(さて、ここからだ……)
警官の屍人にここを離れてもらわなければ
さやかは蚊取り線香の渦巻きにライターで火を付ける
さやか(上手くいくか判らないけど……)
火のついた蚊取り線香の先端を折り、ゴムパチンコに挟む
さやか(とにかくやってみないと!)
さやかはゴムを引き絞り、狙いを定めた
一射目、蚊取り線香は開け放たれた扉から外へと飛び出した
"反応"は、ない
二射目、一射目とほぼ同じ軌道で外へと消えた
"反応"は、やはりない
三射目、思い切って側を狙ってみた
しかし狙いすぎたため屋内の壁に当たりそうになった
さやか(危ない危ない……)
四射目、五射目と続けるが"反応"はない
さやかは焦りを覚える
そして六射目を撃とうとした時だった
棚の向こうで、がたりと瓶を置く音がした
屍人の立ち上がる様子がさやかの脳裏に浮かぶ
ゴムパチンコを掴む手が震える
さやか(ど、どうしよう……)
直ぐにでも幻視で様子を伺いたかったが、"自分の後ろ姿"が視える気がして恐怖でそれが出来ない
割れたガラス瓶を踏みしめる音がする
さやか(お願い!反応して!)
祈るような気持ちでさやかは六射目を放った
明るい電子音楽が店内に鳴り響く
ようやく赤外線感知器が反応した瞬間だった
『ま゛ちナさぁああい!』
外にさやかが出たと勘違いした屍人が叫ぶ
ガラスを踏みしめる音が入り口の方へ駆けてゆく
さやか(よし!)
さやかは警棒を取り出すと出口の方へ向かう
そして外の様子を窺っていた警官の屍人を背後から殴りつけた
さやか「この野郎!死ね、死ね、死んじゃえ!」
警棒を振り上げては叩き下ろす
今までの恐怖の仕返しとばかりに後頭部を複数回殴打した
飛び散る血が頬にかかるがさやかは気にも止めなかった
やがて屍人は動かなくなり、跪きひれ伏すように丸まった
さやか「どうだ!参ったか!」
さやかはひとしきり笑うと空を見上げた
いつの間にか雨も止み、朝焼けに染まった空は赤く、きらきらと輝いていた
さやか「きれい……」
死の恐怖と隣合わせだった時間を過ごしたさやかにとって、それは神の祝福とも思える光景だった
さやか「そうだ、転校生を追わなきゃ!」
目的を思い出し、さやかは駆け出したが、
あれ?
なんで わたし
てんこうせーを おいかけて たんだっけ……?
終了条件達成。
アーカイブNo.16 回覧板
下粗戸町内会回覧板(8班)
・大字原羅宿を懐かしむ会
27年前に土砂災害で消えた原羅宿を懐かしむ会を開催致します。
もう思い出の中にしかない原羅宿について語り合い昔を懐かしんでみませんか?
もちろん原羅宿が下粗戸になってからの住人の方も参加歓迎です。
当時の懐かしい集落の映像や、最新の3DCGを駆使した再現マップも上映致します。
美味しいお茶やお菓子をご用意してお待ちおります。
2003年7月30日
下粗戸公民館にて開催
企画・運営:下粗戸老人会
今回はまず謝辞を
駄菓子屋のおばあちゃん、蚊取り線香持った不審者に協力していただき本当にありがとうございました。
置いていった蚊取り線香はこの夏存分に使って下さい。
さて、今回ようやく石田巡査を登場させられました。
この分だと校長先生やお姉ちゃんも当分先になるかもしれません。
次にレスポンスです。
>>346
けいおんやストライクウィッチーズ、涼宮ハルヒとのクロスなどを少々参考にしています。
>>348
裏設定がございますが、主私の趣味です
最後に次回更新ですが、申し訳ありませんがリアルが立て込んでいるので、再来週末になりそうです。
鹿目まどか 大字粗戸/六角家 初日/04時45分56秒
まどか「さやかちゃん遅いな……」
さやかがほむらを追いかけてから、どれくらい時間がたっただろうか
まどか「まさかあのオバケに……」
嫌な想像が浮かぶが、
まどか「……きっと、大丈夫」
さやかを、そしてほむらをまどかは信じることにした
大丈夫ともう一度自分に言い聞かせたとき、外からガラガラと何かが崩れる音が響いてきた
まどかは逡巡しつつ、戸口のつっかえ棒を外して外の様子を伺うと
まどか「……オバケが家を壊してる?」
大通りで鋸や金槌を持った屍人が家々の壁を壊していた
しかし、単純に壊しているのではなく、板などを打ち付けており、まるで建物を改築しているかのようだ
まどか「一体どうして?」
今はまだ数軒先だが、やがてこの家にもくるかもしれない
まどか「……どうしよう」
今なら気づかれずにここを抜け出すことが出来そうだが、
ここを離れれば戻ってきたさやかと合流出来るか分からない
まどかは悩んで、落ちていたチラシの裏に伝言を残すことにした
さやかちゃんへ
オバケが沢山来てここも危ない
さっきの神社に
逃げるからきっと来て!
まどか
隙間の開いた勝手口から外へ出て、
まどか「これでよし」
セロハンテープで伝言を扉に貼り付け、
まどか「……ちゃんと来てね、さやかちゃん」
ぽつりとそう呟いたときだった
まどか「!?」
視界の隅、家の角からこちらの様子を伺っている視線に気がついた
まどか「さやかちゃん?」
視線と視線が絡み合う
そこにいたのはまどかが知っている友人ではなかった
美樹さやかではなかった
暁美ほむらでもなかった
まどか「……貴女は、誰?」
そこにいたのは一人の少女
「……わ、私……」
彼女は一度言い淀み
「……私は……四方田、春海」
はい、今回はまどかです。
週末にはと言っておきながら明けて月曜日になってました、ごめんなさい。
離れていた間にSIRENクロスSSが二つも立っていたので、読んでいたらこんな時間に……
自分の読書速度と筆の遅さ拙さに絶望……
今週末にまた更新する予定です。
ごめんなさい、週末に更新予定でしたが、忙しくてまだ書き上がっていません。
近日中には書き上げて更新します。しばらくお待ちください。
暁美ほむら 刈割/不入谷教会 初日/10時37分54秒
ほむらは自身の魔法にかけられたかのように
硬直し
絶句し
身じろぎ一つとれなかった
目の前にいたのは美樹さやかだった
ほむら「…………うそ、でしょう?」
そして、美樹さやかではなかった
血色のよかった肌は青白く、
明るい笑みを浮かべていた口は口角を歪めて嗤い、
目からは血の涙を流す
彼女は屍人になっていた
さやか『てんこーせー!』
さやかは警棒を振り上げ、
さやか『まどがのドころへいこう゛よ!』
喚き散らしながらこちらへ駆けてくる
ほむら「っ…………」
ほむらは拳銃を抜き、僅かに躊躇うもさやかの頭を撃ち抜いた
銃弾が貫通し、さやかの頭が血潮と脳漿を飛び散らせてはじける
人間なら即死だが、それでも身体は動き続けた
ほむら「………」
ほむらはもう一度引き金を引いて止めをさす
悲鳴をあげて丸まったさやかを見て、ほむらはきつく唇を噛む
過去のループで幾度も魔女となったさやかを屠ってきた
しかし、人の姿をした彼女を撃ち殺したことなどありはしなかった
いやがおうでもまどかを手に掛けたことを思い出してしまう
ほむら「……まどか」
ほむらはがくりと肩を落とす
しばらくそうしていたかったが、
ほむら「美樹さやかが"こう"なっているということは……」
嫌な想像が頭に浮かんでくる
ほむらが頭を振って想像を追い出していると、
「あ、あの……」
影に隠れていた求導師が声をかけてきた
「その子……知り合いだったのかい?」
ほむら「……ええ」
「その、なんと言っていいのか……」
求導師は沈痛な面持ちを浮かべる
ほむら「気にしなくて結構よ、私はもう行くから」
ほむらは教会から離れるべく歩み出す
「待って!」
追いすがるように求導師がほむらを呼び止める
「人を探しているなら、協力するよ」
「見たところ君は村の子じゃないみたいだから、村も案内するし」
「私も八尾さんと知子ちゃんを探さないといけないし」
ほむら「……」
ほむらは怯えを含んだような相手の目を見る
屍人と戦えそうにない弱腰のこの男は、銃を持つほむらを戦力として当てにしようと考えているのだろう
ほむら「……ならお願いするわ」
ほむらは自身の長い髪を払う
牧野「私は牧野といいます」
ほっとした様子で求導師が右手を差し出す
ほむら「暁美ほむらよ」
ほむらは差し出された手を無視し、
ほむら(向こうがこちらを利用しようというなら、こちらも利用するまでよ)
まどかを探すべく歩きだした
と、いうことでほむらは求導師様とパーティを組みました。
これ程頼もしい仲間もいませんね……
結局更新まで2週間かかってしまいました、楽しみにしてた方、本当に申し訳ありません。
今後も遅れることはあっても、死なない限りエタらせないので生暖かく見守って下されば幸いです。
お待たせして申し訳ありません。
投下まで暫しお待ちください。
お久しぶりです。
気がつけば最終更新から二ヶ月以上が経過してしまいました。
楽しみにしていてくれた方に大変申し訳なく思っています。
先々月の中旬にかなりショックな出来事があり、断筆していましたが、再開します。
投下は今週の日曜日に行いたいと思います。
ご心配とご迷惑をお掛けしましたが、何卒ご容赦下さい。
巴マミ 下粗戸/街道 初日/17時38分21秒
マミは身体に気だるさを感じていた
魔法少女になって以来感じたことない倦怠感がその身を苛む
加えて、
マミ「ソウルジェムが……」
黄色の輝きを放っていたソウルジェムは黒く変色していた
こうなることがないように、欠かさずにグリーフシードで浄化してきたのだが……
マミ「これでストックも終わりね……」
グリーフシードは僅に穢れを吸い取っただけだ
これ以上吸わせては魔女が孵えってしまう
どうすべきか思案していたとき、子供と女性の悲鳴が聞こえた
終了条件
「高遠玲子」と「四方田春海」の刈割方面への脱出。
間違いなく誰かが屍人に襲われているのだろう
マミは悲鳴が聞こえた方向へ迷わずに走る
助けに行かなければならない
たとえソウルジェムが濁りきり、"魔法が使えなく"なったとしても
それが巴マミの魔法少女としてのあり方だった
間もなくマミは袋小路に集まっている屍人の群れを見つける
判断は迅速だった
魔力で編んだリボンを伸長させ、屍人を一纏めに拘束
魔力の消費が少ないこれなら屍人は倒せずとも、人を逃がすことは出来る
マミ「大丈夫ですか?」
袋小路の奥に女性と女の子がいた
「これは、貴女が?」
突然屍人を拘束したリボンに女性は驚きを隠せないようだった
マミ「ええ、それよりこちらに早く」
最低限の魔力で編まれたリボンの強度は保証できない
女性は頷くと、女の子の手を引いてマミのもとへとやって来る
「ありがとう、助かりました」
女性は深々とマミに頭を下げ、
「春海ちゃん、怪我はない?」
腰を落して女の子を気にかけた
「はるみは大丈夫……でも先生が……」
女の子の視線が女性の肩口に注がれる
「先生は大丈夫、先生が丈夫なのは晴海ちゃんも知ってるでしょ?」
女性は安心させようと微笑むが、無理をしているのがマミには分かった
マミ「とにかくここを離れましょう、リボンもそう長くは持たないわ」
二人を連れて路地を出た先、
――『はぁルみちゅあんの匂いが、するぅよおオ!』
奇妙な触手を付けた禿髪の屍人が行く手を塞いでいた
「校長先生……」
女性は女の子を背後に隠す
マミ「……私に任せて下さい」
マミは魔法銃を召喚した
魔力の残量から考えて、おそらく魔法銃を撃てるのはこれが最後だ
しかし、後にいる彼女達の安全のため、この頭脳屍人は確実に倒す必要がある
マミは銃を構え、そして
ティロ・フィナーレ
― 最 終 射 撃 ―
魔女を一撃で吹き飛ばす必殺技ではない
文字通り”最後の射撃”としてマミはそう口にしていた
頭を撃ち抜かれた頭脳屍人が丸まると同時にマミは膝を付く
「ちょっと、大丈夫!?」
マミ「大丈夫です、ちょっと疲れちゃっただけですから」
マミは無理に微笑みを作る
マミ「先に行って下さい、ちょっと休んだら後を追いますから」
「……分かったわ」
女性は女の子の手を引いて歩き出す
「助けてくれて、ありがとう」
マミ「……どういたしまして」
母娘のように連れ添って歩く二人の背中を、マミは見送った
終了条件達成。
巴マミ 下粗戸/街道 初日/17時58分30秒
マミは自分のソウルジェムを取り出して眺めていた
すでに真っ黒に染まり、元の輝きなど微塵もない
魔法少女としてもう戦うことは出来ない
人を守ることはおろか、自分の身すら守れない
マミ「……さて、どうしましょう」
気を抜けば消し飛んでしまいそうな意識を保つべく、マミは思考しようとし、
『ぢゅふふぅふふ、はるみちゅあんはドコかナァあ』
頭脳屍人の余りにも早すぎる復活によって、それは中断させられた
マミ「………ゃ」
巴マミに魔力はない
マミ「…………ぃゃ」
戦う術はもうない
マミ「………いや」
『デゅふふぅふふは、はるみちゃんー』
抗えない死が眼前に迫り、
マミ「いやぁああああああああぁあああ!!」
ピシッ………
――――――オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――――――
●
はい、ということでマミさん高遠せんせーと春海殿、校長でした。
さて全く関係ない話なんですが、皆さんはどんなマミさんがお好みですか?
1.小っちゃいマミさん
2.スナイパーマミさん
3.フェアリーのように可憐なマミさん
4.子犬のようにじゃれてくるマミさん
5.頭のいいマミさん
私のお勧めは4.です。じゃれてマミさんのマミさんをマミマミしたい。
次回更新は来週の日曜日、同じ時間帯にやろうと思います。
【初日】
暁美ほむら 宮田医院/00時05分08秒 >>5
・ループしてきたほむらは見知らぬ廃病院で目覚める。外ではサイレンが鳴り響いていた……
美樹さやか 蛭ノ塚/02時35分32秒 >>107
・異界に巻き込まれたさやかは、一緒にいたはずのまどかの身を案じ捜索する。
暁美ほむら 蛇ノ首谷/03時45分06秒 >>154
・廃病院を出たほむらは医者らしき人物に遭遇。彼と話をしているとキリカに襲撃される。
美樹さやか 大字粗戸/04時14分秒34 >>137
・さやかは負傷するもまどかと合流。隠れていた空き家でほむらを目撃、追いかけることに。
鹿目まどか 大字粗戸/04時45分46秒 >>385
・屍人が迫り、まどかはメモを残し空き家から逃げる。するとそこである少女と出会う。
美樹さやか 下粗戸/05時05分55秒 >>352
・ほむらを見失い、引き返そうとするさやかの前に警官の屍人が現れる。なんとか撃退するが……
キュゥべえ 蛭ノ塚/05時59分13秒 >>76
・異界からの脱出を試みていたキュゥべえは村の外れで海送りを目撃する。
佐倉杏子 刈割/06時15分14秒 >>93
・さやかの姿を幻視した杏子は彼女を探して村を彷徨う。手がかりを見つけるもそれは焼損してしまう。
巴マミ 大字波羅宿/06時38分29秒 >>28
・お菓子の魔女との戦闘中に異界に迷い込んだマミは、屍人に追われている少女を助ける。
暁美ほむら 刈割/10時18分19秒 >>329
・まどかの保護と織莉子たちの排除を指針にしたほむらは教会で求導師、そしてさやかに会う……
千歳ゆま 合石岳/11時18分49秒 >>180
・屍人を見て逃げ出した両親に置き去りにされたゆまは、猟師の老人に助けられ、彼について行く。
美国織莉子 蛇ノ首谷/11時56分10秒 >>196
・契約寸前に異界に来た織莉子は、屍人化した両親に襲われそうになっていたゆまを助ける。
巴マミ 田堀/13時01分01秒 >>223
・マミは朝助けた少女とその連れの少年に出会う。しかしマミは少女に人間じゃないと拒絶される。
キュゥべえ 田堀/15時10分55秒 >>253
・村を探っていたキュゥべえは、まどかを凌ぐ途方もない因果を秘めた求導女と出会う。
美国織莉子 廃屋/15時23分33秒 >>311
・志村と別れ廃屋の離れにゆまと二人で潜んでいた織莉子の前に、キリカが現れる。
佐倉杏子 下粗戸/16時21分35秒 >>268
・さやかを見つけられずにいた杏子に女子大生が声をかけてくる。そして変種屍人と遭遇。
巴マミ 下粗戸/17時38 分21秒 >>472
・マミは屍人に襲われている高遠玲子と四方田春海を助けるが……
佐倉杏子 蛭ノ塚/17時54分25秒 >>290
・依子の案内で神社へ向かう途中で海還りを目撃する。その様子を見た志村は猟銃で……
巴マミ 下粗戸/17時58分30秒 >>480
・マミのソウルジェムは限界を迎え、真っ黒に染まる。そのとき、4度目のサイレンの音が……
【アーカイブ】
No.01 ―――――
No.02 アトランティス創刊号 >>57
No.03 海送り >>78
No.04 焼けた手紙 >>98
No.05 水蛭子神社御籤 >>115
No.06 大吟醸酒「予知夢」 >>143
No.07 89式5.56mm小銃 >>164
No.08 美国織莉子の学生証 >>209
No.09 アトランティス増刊号 >>255
No.10 黄泉竈食ひ >>297
No.11 海還り >>298
No.12 週刊誌「報道」 >>320
No.13 ぬいぐるみ >>321
No.14 M24対人狙撃銃 >>342
No.15 羽生蛇村観光ガイド >>343
No.16 回覧板 >>366
すみません、仕上がらなかったので投下は明日に延期します
美国織莉子 廃屋/離れ 初日/17時45分33秒
呉キリカは不思議な子だった
先程美国織莉子との関係を聞いても、
織莉子と私の関係に言葉はいらない
と無条件に好意を示すばかりで、織莉子は困惑するばかりだった
そしてそんなキリカは今、畳に寝そべってゆまと一緒に新聞紙で折り紙を折っている
二人の様子を見ていると不意にキリカが問いかけてきた
キリカ「ねぇ織莉子、これからどうするんだい?」
織莉子「………そうね、元の世界に戻る方法を探したいわね」
そう口にはしたものの、織莉子自身は元の世界への帰還を積極的に願っている訳ではない
父の汚職疑惑で「美国」の名に対する世間の風当たりは強く、戻っても決して幸せとはいえない
事実、織莉子は自殺すら考え、キュウべぇと名乗る得体の知れない生き物と契約を交わそうとするところまで追い込まれていた
それでも元の世界に戻ろうと思ったのは、死と隣り合わせの現状よりは幾分かましだろうという考えと、
ゆま「出来た!」
ゆまをこの地獄から救い出してあげたいという思いからだった
キリカ「じゃあ、全力で探さがそう!」
寝そべっていたキリカはぽんと立ち上がり、
キリカ「確かにここは辛気臭いし、あの赤い水じゃ織莉子が淹れてくれる紅茶も美味しくなさそうだ」
うーんと大きく伸びをする
キリカ「ま、私は織莉子が居ればどこでもいいし、織莉子が淹れてくれたら泥水でも甘露のように飲むけどね!」
キリカはにこりと笑うと、先程まで折っていたものを両手で織莉子に差し出した
織莉子「これは?」
キリカ「お守りみたいなものさ」
キリカ「丹精込めて作ったから貰ってくれると私が喜ぶ!」
それは折り鶴のようなものだった
いや、辛うじて折り鶴の体をなしているものだった
作業の様子を見る限り、この子は手先がそれほど器用ではないらしい
不恰好な折り鶴
でも、「美国の娘」ではなく「織莉子」に純粋な気持ちで贈られたものだ
ゆま「はい、ゆまからも織莉子お姉ちゃんに!」
ゆまも折り鶴を織莉子に差出す
織莉子「……ありがとう二人とも」
織莉子はそれが堪らなく嬉しく、目を閉じ2羽の折り鶴を宝物のようにそっと胸に抱いた
織莉子「!?」
キリカ「どうしたんだい、織莉子?」
織莉子「……誰かがこっちに来てる」
その言葉にゆまは怯え、キリカは臨戦態勢になった
キリカ「安心して織莉子、化物なんか私がちょちょいと切り刻んでしまうからさ」
織莉子「待って!一人じゃ危険よ!」
表に一人で出ようとするキリカを引き止める
キリカ「心配はこの上なく嬉しいけど心配ご無用さ」
キリカ「織莉子はここで戦艦にでも乗ったつもりで待っててよ」
織莉子「でも……」
キリカ「大丈夫、なんてったって私は魔法少女なんだからさ!」
したり顔でニヤリと笑い、キリカは飛び出して行った
織莉子「魔法少女……」
それは聞き覚えのある言葉だった
アーカイブNo.17 三隅日報 投書欄
昭和73年7月30日
三隅日報 投書欄
報道と子供
昨今の事件や事故の報道で、子供を実名のまま報じているものを見かけます……(略)
実名が公表されたことでイジメられた、謂れのない誹謗中傷を受けたなどの話もあるそうです。
中にはそんな被害から逃れるために氏名を変えて転校する子供までいると……(略)
私はこうした子供を守る報道のあり方を考える必要があると感じています。
38歳 主婦
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すみません、うたた寝して気がつけば火曜日になってました。
げに恐ろしきこたつの魔力。
さて次回更新は書き上がり次第お届け致します。
むしろageに過剰反応する奴のほうがageるやつよりたちが悪い
ageるやつにとって最大の燃料源だし
故意にせよミスにせよageる奴が出る
↓
それに過剰反応する奴が出る
↓
それをおもしろがってわざとageるやつが現れる
↓
それに過剰反応(ry
↓
それを(ry
以下ループ
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