ほむら「フフフ…ついに完成したわ」 なぎさ「おいしそうな大福なのです」 (53)

――マミルーム


マミ「うーん…シチュー作りすぎちゃったわね」

なぎさ「でも杏子が来たらこのくらいたいらげちゃうのです」

マミ「そうなんだけど佐倉さん、今夜美樹さん一家と外食するから来られないそうなの」

なぎさ「へー」

マミ「事前に連絡してもらっていたら、こんなにたくさん作らなかったんだけど…」

マミ「そうだわ。なぎさちゃん、ちょっとおつかいを頼んでもいいかしら」

なぎさ「おつかい?」

マミ「ええ。このシチューを暁美さんにお裾分けしたいから、彼女の家まで届けてほしいの」

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なぎさ「暁美ほむらさんですね? でもおうちには行ったことないのです」

マミ「地図をコピーしておくからそれを頼りにすれば大丈夫よ」

マミ「なぎさちゃんがおつかいに行ってる間に、私はマンションのご近所さんにお裾分けしておくわ」

なぎさ「先にほむらさんに連絡しておいたほうがいいのではないですか?」

マミ「そうなんだけど、実は彼女の連絡先知らないのよね。あまり他人と関わらない子だし…」

なぎさ「うーん、いきなり押しかけてもおせっかいだと思われるかもしれないですね」

マミ「だけどあの子も一人暮らしだから放っておけなくて。喜んでもらえたら嬉しいんだけど…」

なぎさ「わかりました。なぎさおつかいやります」

なぎさ「ほむらさんにもマミのおいしい料理を喜んで食べてもらえるように、頑張るのです」

マミ「ありがとうなぎさちゃん。それじゃあお願いするわね」

なぎさ「はいです。なぎさにお任せなのです!」

――ほむホーム

ほむら「まだだめよ……まだだめよ……♪」こねこね

ほむら「まだだめよ……♪」コポポ


ほむら「フフフ…ついに完成したわ」

ほむら「まどかのためだけを想って作った渾身の力作、私の愛の結晶――」

ほむら「ほむ大福、そしてほむ茶!」ジャーン

ほむら「悪魔パワーで浴室にサウナを作ってせっせと汗を流した甲斐があったわ」

ほむら「これさえあれば間違いなく、まどかは永遠に私のものよ…」

ほむら「ウフフ。こんな危険なものを作ってしまうなんて、私って本当に悪魔ね…」

ピンポーン

ほむら「あら、お客さんなんて珍しいわね。もしやまどかだったりして、ウフフフ…」

ガチャ

なぎさ「ほむらさんこんにちはなのです!」

ほむら「チッ」

なぎさ「どうしたのです?」キョトン

ほむら「なんでもないわ。ところであなた、何の用かしら」

なぎさ「じゃーん! シチューとケーキをお裾分けしにきたのです」

ほむら「ああ。巴さんが作ったのね」

なぎさ「もしよければ召し上がれなのです」

ほむら「まあ作ってもらったものは受け取らなきゃね。どうぞ上がって」

なぎさ「おじゃましますです~」

なぎさ「よいしょ、よいしょ…」

ほむら「あなたここまで歩いて来たの? そんな重そうな荷物持って…」

なぎさ「はいなのです。おつかいですからね」

ほむら「危なっかしいわね。台所までは私が運ぶから、あなたはそっちでくつろいでいなさい」

なぎさ「ありがとうなのです」ニコニコ

ほむら「……何よその顔」

なぎさ「ほむらさんって優しい人なのですね。さやかからは怖い人だって聞いてたから…」

ほむら「それは美樹さやかの言うとおりよ。だいたい私、あなたに優しくしているつもりなんてないし」

なぎさ「でも優しさって無意識に出るものだと思うのです」

ほむら「こましゃくれた子ね」

なぎさ「えへへ。よく言われるのです」

ほむら「まあ適当に座ってて」スタスタ

なぎさ「はーい♪」

ガチャ

なぎさ「すごーい。椅子とテーブルが時計みたいに並んでるのです。あれ?」

なぎさ「わぁー、あんなところにおいしそうな大福があるのです♪」

なぎさ(こんな素敵なお菓子を用意してくれるなんて、やっぱりほむらさんは優しいのです)

なぎさ「いっただっきまーす」パクッ

モグモグモチモチ…

なぎさ「おや? 塩大福とは意外ですね。でもおいしいのです」

なぎさ「お茶もいただきましょう」ズズ…


……

――数分後

ガチャ

ほむら「ほら、冷蔵庫にあった適当なチーズよ。これ食べたらさっさと帰っ――」

ダキッ

なぎさ「えへへ、ほむほむぅ…///」スリスリ

ほむら「!?」

ほむら(な、なんなのこの子。巴マミは一体どういう教育を――ってまさか!)チラッ

ほむら(ない……私のほむ大福とほむ茶が……ということは)

なぎさ「なぎさはほむほむ派なのですー///」スリスリ

ほむら(全部この子が食べてしまったわけね)

なぎさ「あ、ほむほむチーズ持ってるのです。もしかしてなぎさにくれるのですか?」

ほむら「えっ? ええそうよ…」

なぎさ「嬉しいのです。ほむほむがわざわざなぎさの大好物を用意してくれるなんて…」ウルウル

なぎさ「うう、感激しすぎて涙が出てきたのです…。なぎさを想うほむほむの気持ちが伝わって…」

なぎさ「なぎさ、もう壊れてしまいそうなのです///」ハァハァ

なぎさ「ほむほむが悪いのですよ。なぎさの心をこんなにも虜にしちゃうんだから///」

ほむら(なんて効き目なの。本来なら今頃まどかがこうなってたはずなのに…)

ほむら(私の計画は完璧だった。そうよ、巴マミがこの子におつかいなんてさせなければこんなことには…)

なぎさ「ねぇほむほむ、あ~ん…」

ほむら「は、はぁ??」

なぎさ「あ~んしてほしいのです。あ~ん…」

ほむら「……」スッ

なぎさ「もぐもぐ……えへへ、とってもおいしいのです///」

ほむら「そ、そう」

なぎさ「ほむほむありがとうなのです」ニコッ

ほむら(キュンッ)

ほむら(い、いけないわ私ったら。愛するまどかがいながら…)

ほむら「なぎさちゃん、そろそろ帰らないと巴さんが心配するわ」

なぎさ「えーっ、なぎさ帰りたくないのですー」ギュッ

ほむら「きゃっ」

なぎさ「なぎさとほむほむはずっと一緒なのですー」メロメローン

ほむら「……」

――マミルーム

マミ「――ふーん、なるほどね……」

ほむら「……」

なぎさ「ほむほむ~///」スリスリ

マミ「あなた、自分の計画は完璧だった。悪いのは私だと言ったわね」

ほむら「ええ」

マミ「お客が来たのに大事な品を部屋に放置していた。それもあなたの計算どおりだったと?」

ほむら「……」

ほむら「すみませんでしたアァーーーーーッ!!!」

なぎさ「土下座するほむほむも、とってもプリティなのです///」

マミ「で、その大福とお茶はいわゆる媚薬の類いであるわけよね」

ほむら「ええ。私の体から染み出た愛のエナジーが凝縮されているわ」

マミ「当然、効果が切れさえすれば元に戻るわけよね?」

ほむら「わからないわ。元々永遠に効果を持続させるつもりで作ったものだし」

マミ「そんな無責任な」

ほむら「だって…だってまどかったら、ちょっとしたきっかけですぐ覚醒しそうになるから…」

ほむら「こうでもしなきゃ、私が見ていない隙に完全に神に戻ってしまうかもしれない…」

ほむら「ううまどか…あなたはどうしてそんなに他人のために自分を犠牲にしようとするの?」

ほむら「私はあなたに幸せになって欲しいのに……こんなにあなたを愛しているのに…」メソメソ

マミ「ちょっと暁美さん、泣かないで。あなたの鹿目さんを想う気持ちはわかったわ」

マミ「でもね、そんな媚薬で作り上げた関係なんて幻想よ」

マミ「本当に鹿目さんを愛しているなら媚薬なんかに頼らず、精一杯彼女と向き合わなきゃ」

ほむら「グスン……ええ、そうね」

マミ「では今から私が先輩として、人と精一杯向き合うとはどういうことかをあなたに見せてあげるわ」

マミ「うふふ。私となぎさちゃんとの絆は、こんな媚薬程度で崩れ去ったりしないんだから」

ほむら(言えない…二人が私の気まぐれがなければ知り合いですらなかったなんて、口が裂けても言えない…)

なぎさ「ほむほむの髪いいにおいなのです///」スリスリ

マミ「なぎさちゃん」スッ

なぎさ「ほえ?」

マミ「なぎさちゃん、私よ。マミよ。わかる? さあいらっしゃい。いつもみたいに絵本を読んであげるわ」

なぎさ「ほむほむの手は白魚のようなのです///」スリスリ

マミ「なっ!?」

マミ「なぎさちゃんっ、いつも私の膝の上に座ってくれたじゃない! 思い出して!」

なぎさ「ほむほむ……この人怖いのです…」フルフル

マミ「」ガーン

ほむら「巴さん…」

マミ「フヒヒ」

ほむら「えっ」

マミ「ベベちゃ~ん、かわいいわね~。さあ、いつもみたいに私の胸に飛び込んでらっしゃ~い」ユラユラ

なぎさ「ほむほむ助けてなのですぅ」

ほむら(恐れていた展開だわ。このままでは巴マミのソウルジェムがもたない。どうすれば…)


ピンポーン

杏子『マミー、いないのかー? デザート分けてくれよー』

さやか『あんたまだ食べ足りないわけ?』


ほむら(……さらに傷口が広がる予感しかしないけど、仕方ないわね)

ガチャ

さやか「げっ。なんであんたがここに」

杏子「あれ? 珍しいな。なぎさがほむらとくっついてるなんて」

ほむら「ええそうよ。今まさに珍事が進行中なのよ」

なぎさ「ほむほむ~///」スリスリ

さやか「…明らかになぎさの様子がおかしいんだけど、どうせあんたの仕業なのよね」

ほむら「ええ。立ち話もなんだし、奥の部屋まで来てくれるかしら」

さやか(ここあんたの家じゃないでしょうが…)

杏子「マミ!? おい大丈夫か、しっかりしろ!」

ほむら「安心して。一時的に意識を奪っただけだから」

さやか「ちょっと、いったい何がどうなってるわけ?」


ほむら「実はかくかくしかじかで――」

さやか「またあんたは面倒なことを…」

ほむら「私は悪魔。摂理を乱すのは当たり前でしょ」ファサァ

さやか「あんたそれこの間遅刻の言い訳に使ってたでしょ」

ほむら「言い訳? 夜中に公園で踊り狂って崖から落ちるのも悪魔の大事な仕事よ。寝坊も致し方ない」

ほむら「それが凡人には理解できないだけ……教師と呼ばれる者達には特にね」

さやか(この子ひょっとしてただの反抗期なんじゃね?)

杏子「よくわかんねーけど一歩間違えばあたしがこうなってたかもしれないわけか?」

なぎさ「ほむほむ大好きなのですー///」スリスリ

ほむら「そうね。あなたの食欲とお行儀の悪さを考えれば、その可能性は大いにあったといえるわ」

杏子「ひでえ!」

さやか「とにかくなぎさがこんな調子じゃ無理矢理引き剥がすわけにもいかないわ」

杏子「マミもショックで正気じゃなくなってるみたいだし」

ほむら「佐倉杏子、あなたには巴マミが目覚めた後の精神的なケアをお願いするわ」

ほむら「今回のことで、彼女のソウルジェムは大ダメージを受けてる。このままでは円環の理に導かれてしまうわ」

杏子「そんなレベルなのかよ!?」

さやか「もしかして今回の件って悪魔ほむらちゃん始まって以来の最大の悪事だったりして?」

ほむら「……否定できないわね」

なぎさ「ほむほむ~ずっと一緒なのですー///」スリスリ

さやか「とにかく、あんたは媚薬の効果が切れるまで責任を持ってなぎさの世話をすること」

杏子「マミのことはあたしらがなんとかするよ」

ほむら「ええ。申し訳ないけどお願い…」

ほむら「はあ……どうしてこんなことになったのかしら…」

ほむら「私はただ、まどかともっと一緒にいられたらと……そう思ってただけなのに…」

杏子「なんだかなー。こんな弱気な暁美ほむらは初めて見るはずなのに、全然意外って気がしねえな」

さやか「まったく、自分が一番不器用なんだよなこの子は……」

なぎさ「ほむほむ元気出して。よしよしなのです」ナデナデ

ほむら「なぎさ…」

さやか(おおっ、優しくされると弱いほむらになぎさの手が差し伸べられた)

なぎさ「よしよしなのです~」ナデナデ

ほむら「/// …くっ、おのれ美樹さやか。今日のところは一旦退くことにするわ」

さやか「いやだからそうしろって言ってるじゃん」

ほむら「さあなぎさちゃん、帰るわよ」

なぎさ「はぅ~。ほむほむだっこなのです~///」

ほむら「仕方ないわね。おうちに帰ったら夕ご飯にしましょう」

なぎさ「その後はほむほむと一緒にお風呂に入りたいのです~///」

ほむら「ええわかったわ……それじゃあ二人ともごきげんよう。追いかけても無駄だからね」ヒュンッ

杏子「意外とまんざらでもない感じだな」

さやか「あの様子だとあんまり心配なさそうね。むしろ問題なのはマミさんだな…」

ダダダダダ…


なぎさ「ほむほむは足が速いですね。まるで風になった気分なのです」

ほむら「そうよ。私の足は時の流れよりも速いのよ」ダダダ

なぎさ「さすがわたしのほむほむ。惚れ直しちゃうのです///」スリスリ


ほむら(この状況をまどかに見られたらまずいわ。絶対に見つからないようにしないと)

ほむら(私はまどかの全てを知っている。日常の行動パターンの把握だって完璧よ)

ほむら(今の時間なら自宅で家族とくつろいでいるはず…鹿目邸の近くさえ通らなければ大丈夫ね)

まどか「あっ、ほむらちゃーん!」

ほむら「なんでこうなるの」

ほむら「まどか、こんなところで何をしているの?」

まどか「今日風邪で早退した子が保健室に忘れた荷物を届けに行ってたんだよ」

まどか「わたし保健係だからね」

ほむら「そうだったの…」

ほむら(ああまどか、自宅から遠いのにわざわざ……なんて優しい子なの///)

まどか「あれ? この子は確かマミさんがときどき預かってるなぎさちゃんだよね」

ほむら「そ、そうよ…」

なぎさ「ほむほむ~///」スリスリ

まどか「ウェヒヒヒ。ほむらちゃんずいぶん懐かれてるんだね」

なぎさ「なぎさはほむほむが大好きなのです~///」

まどか「いいなーわたしもなぎさちゃんだっこしたいなー」

なぎさ「やだー! なぎさはほむほむのお嫁さんなのですー!」ギュッ

まどか「お嫁さん?」

ほむら「えっと、この子おとぎ話にハマってて…」

なぎさ「うふふ。なぎさはほむほむに何度もめちゃくちゃにされたのです」

なぎさ「首を絞められたり、口に爆弾を放り込まれたり――まさに悪魔の所業だったのです」ウットリ

まどか「え? え?」

ほむら(げっ、この子全部思い出してる)

ほむら「違うのよまどか。これは…」

まどか「へ、へぇー…そうなんだー…」

まどか「そうそう、わたしもう帰らなきゃ。じゃあねほむらちゃん」ダッ

ほむら「待ってまどか! まどかあああーーっ!」

まどか「ウェヒヒヒヒ(加速)」

ほむら「ぬ゛う゛うううううううううううううう」

――ほむホーム

なぎさ「やっと二人きりになれたのです///」

ほむら「ええそうね(白目)」

なぎさ「シチューもおいしいですけど、なぎさはほむほむの手料理が食べたいのです」

ほむら「そうね。明日の朝作ってあげるわ」

ほむら(シチューを食べたら巴マミが恋しくなるかと思ったけど、そんな素振りは一切ないわね)

ほむら(まどかにも誤解されてしまったし)

ほむら(もしこのままこの子が元の状態に戻らなかったら……)

なぎさ「はいほむほむ、あ~ん」

ほむら「え? …あ~ん」パクッ

なぎさ「えへへ。おいしいですか?」ニコニコ

ほむら「……ええ。とっても…」キュン

ほむら(何なの? さっきから湧き上がっている、この温かな気持ちは……)

ほむら「なぎさちゃん、口の周りがシチューだらけよ」フキフキ

なぎさ「はうう…ほむほむに恥ずかしいところを見せてしまったのです///」

ほむら「気にしなくていいのよ。あなたまだ小さいんだから」

なぎさ「むーっ、なぎさは子供扱いされるのは嫌いなのです」プクー

ほむら「ふふふ、そんなこと言う子ほど子供なのよ」

なぎさ「もーう、ほむほむのいじわるーっ!」プンプン

ほむら「あら、嫌われちゃったかしら?」

なぎさ「……///」ピトッ

ほむら「素直じゃないわね」

ほむら(私って、小さい子を相手にこんな風に接することができたのね)

なぎほむって珍しいな。
避難所にいた人か?

期待

――入浴後

なぎさ「ほむほむはスレンダーでうらやましいのです」

ほむら「あら褒めてくれてるの?」

なぎさ「もちろんなのです。なぎさもほむほむみたいなすらっとシャープな美人さんになりたいのです」

ほむら(でもどうせ普段は巨乳になりたいとか言ってたんでしょ…)

なぎさ「ほむほむー。髪のお手入れをしてほしいのです」

ほむら「あなた自分でできないの?」

なぎさ「なぎさはほむほむにやってほしいのです///」モジモジ

ほむら(もう。これじゃ私が巴マミの代わりになっただけじゃない)

ほむら「わかったわ。ほら、いらっしゃい」

なぎさ「わーい♪」

ほむら(まったく…)

――寝る時間

なぎさ「ほむほむと同じベッドで眠れるなんて、幸せすぎておかしくなりそうなのです///」スリスリ

ほむら(まあ実際とっくにおかしくなってるんだけどね)

なぎさ「ほむほむ、何かお話を聞かせてほしいのです」

ほむら「お話? …そうね。なら私のとっておきのラブストーリーを聞かせてあげるわ」

なぎさ「わくわくするのです///」

ほむら「昔々、未来の向こう――いいえ、つい最近の話よ」

ほむら「あるところに内気で体が弱くて、生きてる価値などないに等しい無力な少女がいたの」

ほむら「少女はあるとき、そんな自分にもとても優しく接してくれる女の子に出会って――」

なぎさ「……ええ、知ってるのです。なぎさはほむほむのことなら、なんでもね」ピト

ほむら「きゃっ」

なぎさ「ほむほむは、宇宙一の頑張り屋さんなのです」ナデナデ

ほむら「……」

なぎさ「なぎさは、ほむほむにもっと自分を大事にしてほしいのです」

なぎさ「だからどうかあなたも忘れないでいてください。誰かのために自分を犠牲にすることで」

なぎさ「自分を想う誰かを悲しませていることを…」ギュッ

ほむら「なぎさちゃん……あなた本当にこましゃくれた子ね」

なぎさ「……スヤスヤ」

ほむら「寝てるし」

ほむら(自分を犠牲にすると自分を想う誰かが悲しむ……そんなこと痛いほどわかってるわ)

ほむら(だからこうしてまどかや他のみんなの記憶を消していったんじゃない)

ほむら(なんやかんやで結局またみんなと知り合ってしまったけど…)

ほむら(でも全ては私が悪魔となって望んでやったこと。残念だけどあなたの想いに応えることはできないわ)

――翌日、見滝原中学校


女子A「ねぇ聞いた? 暁美さんって――」

女子B「嘘っマジでロリコン!?」

女子C「あーそれで転校初日から鹿目さんに話しかけてたんだ…」

ほむら(噂ってやっかいなものね。一人の誤解に次々と余計な尾鰭がついてくる…)

ほむら(私がまどかを愛してるのはロリコンだからってことになってるし)


さやか「で、なぎさはまだあんたにホの字のままなんだ」

ほむら「ええ。今朝も涙の別れを交わしてやっとの思いで登校したところよ」

さやか「効き目が切れそうな様子は?」

ほむら「今のところ全く見られないわ」

ほむら「巴マミの様子はどう?」

杏子「オメーなあ、あれからマジで大変だったんだぞ。あえて詳しくは言わないけど」

さやか「一応学校に来られるくらいには安定したかな」


男子A「おい、何だあれ」

男子B「アドバルーン? いや、飛行船か?」

男子C「サーカスか何かの宣伝じゃねーの?」

男子D「よくできてるなー。まるで生きてるみたいだ」

ほむら・さやか「「まさか」」ダッ

杏子「おい、どうしたんだよ?」

シャルロッテ(大)「モジョモベェーー!///」ハァハァ

ほむら「ねえ、あれってあの子よね」

さやか「うん。あの子の行きつく果ての姿よ」

ほむら「なんで飛んでるの?」

さやか「愛するあんたを求めてさまよってるんじゃないの?」

シャルロッテ(大)「ジュベベーー!///」ハァハァ

杏子「なあ、向こうの校舎の窓枠に立ってるやつ、マミじゃねーか!?」

ほむら「えっ」


マミ「なぎさちゃん…私に会いに来てくれたのね。嬉しい…私も会いたかった…」バッ

三年生A「ギャーッ! 巴さんが窓から身を投げたーッ!」

ほむら「ああ……なんてことなの」

さやか「驚いてる場合じゃないでしょ! とにかく屋上に行くよ。杏子はマミさんをお願い」

杏子「わかった!」


――屋上

ほむら「なぎさは今どの辺り?」

さやか「見つけた、あそこ!」

シャルロッテ(大)「ムベムベェーー!///」ハァハァ

さやか「マミさんは空中で変身して、リボンでなぎさに掴まろうと必死にもがいてるわ」


杏子「やめろマミ落ち着けー!」

マミ「なぎさちゃん! ベベ! 私の天使! もうあなたを離さない!」

さやか「さあほむら、なぎさを説得して小学校に帰らせるのよ」

さやか「今頃向こうでは抜け殻状態の体がいて大騒ぎになってるはずだから」

ほむら「ああそうか。あれは中身が飛び出したモノだから、本体は向こうにいるわけね」

さやか「まあこの状態だとむしろこっちが本体っていうかなんというか」

シャルロッテ(大)「モジョ?」

さやか「やばい気づかれた」

シャルロッテ(大)「ファンタグレープ! ファンタグレープ!///」ガバァ

さやか「ほむら早く!」

ほむら「嫌よ怖いわ! 頭を食べられるなんて私耐えられない!」

さやか「悪魔なのに何言ってんのよ! あんたのこと愛してるんだからそんなことしないって!」

ほむら「愛されてるがゆえにむしろそうなってしまうかもしれないじゃない!」

シャルロッテ(大)「ファンタグレープ~(はぁと)」ゴゴゴゴ

ほむら・さやか「「ぎゃああああああーーっ!!」」

チュッ

さやか「えっ?」

ほむら(キスされた。大きな口だけど、とても優しい感触…)

シャルロッテ(大)「ファンタグレープ///」ペロペロ

ほむら「ちょっ、やめ…くすぐったい///」

さやか「なんというか……この状態だと愛情表現もワイルドね」

シャルロッテ(大)「ジュベ?」

ほむら「ん? 舌の動きが止まった」

さやか「きょとんとしてるわ。おーいなぎさ、どうしたの?」

シャルロッテ(大)「ジュベー」プイッ

さやか「あらら、行っちゃった。なんだったんだろう」

ほむら「……」

さやか「ほむら、どうかした?」

ほむら「唇を、奪われた……あんなに情熱的な時間、まどかともまだ交わしたことなかったのに…」ゾワゾワ

さやか「わーちょっと落ち着きなよ、絶望すんなって」ユサユサ

ほむら「いいえ。この気持ちは絶望ではないわ」

ほむら「希望よりも優しく、絶望よりも身勝手な――」


ほむら「禁じられた恋よ」ズッキュン

さやか「え」

――放課後

なぎさ「マミー!」タタタ

マミ「なぎさちゃん! 記憶が戻ったのね! ああ、よかった…」ギュッ

なぎさ「マミ苦しいのです。どうしたのですか?」

マミ「なぎさちゃん、私のこと好き?」

なぎさ「なっ……も、もちろん大好きなのです///」モジモジ

マミ「よかった…本当によかった。これからもずーっと一緒よ」ナデナデ

なぎさ「はいです。心配しなくてもなぎさはマミのそばにいるのです」パフパフ


杏子「どうなってんだ?」

さやか「うーん……あのキスがきっかけで元に戻ったとしか考えられないな」

さやか「しかしこれでまた新たな問題が…」

ほむら「……なぎさちゃん」ヌッ

なぎさ「ほえ??」

ほむら「あなたと巴さんは騙されている。二人の関係は本物じゃない。偽物の記憶を植え付けられているの」

さやか「うんそうだね。仕掛け人が言うんだから間違いないよね」

ほむら「本来赤の他人であるはずの中学生と小学生がこんな抱擁……許されないことよ」

マミ「ちょっと暁美さん、一体どうしちゃったの?」

なぎさ「ほむらさん…?」

ほむら「なぎさちゃん、あなたは私と愛し合うべきなの」

ほむら「理解できないのも当然ね。この気持ちは私だけのもの。なぎさのためだけのもの…」ハァハァ


杏子「どうなってんだよオイ」

さやか「多分、なぎさにキスされたことで媚薬の成分があいつ自身に移ったんだと思う」

杏子「自分で作った媚薬に引っかかるなんてドジなやつだな…」

マミ「ダメよ、暁美さん」

マミ「なぎさちゃんは私の大切な存在なの。あなたの好きにはさせない」

ほむら「どうあっても彼女を守るつもり?」

マミ「追いかけようなんて思わないで。さもないと私と戦う羽目になるわよ」

ほむら「ええ。望むところよ」

マミ「なぎさちゃん、ちょっと待っていてね。あなたがそばにいる限り、私は負けない」

ほむら「なぎさちゃん…例えあなたが私を拒絶しても、私はあなたが幸せになれる世界を望むから…」

なぎさ「二人の美女がなぎさを取り合ってるなんて…まるでお姫様になった気分なのです///」テレテレ


杏子「おいなんかやべえぞ」

ダダダダダダダ…  ズドドドドドド…

マミ「同じ条件で私に勝てる!?」

ほむら「根比べなら負けないわ!」



杏子「…こいつら街中で銃撃戦始めやがったけど、どうしようか」

さやか「うん。あたしちょっとまどかを覚醒させてくるわ」



おわり



杏子「わけわかんないけど無駄足かな、こりゃ……。とりあえずマミに連絡入れとくか」

さやか「わたしはまどかに電話しとくよ。バーガー屋の途中でいきなり席外しちゃったから、フォローしとかないと」



ネクラ「どうしよう」ヒソヒソ

イバリ「まだ見つかってないし、そっと逃げる?」ヒソヒソ

ワルクチ「鯖相手に?」ヒソヒソ

ミエ「それはやだ」ヒソヒソ



杏子「さやか。マミは途中で気づいてたって。一応、確認しにこっちに向かってたみたいだけど、来なくていいって言っといたよ」

さやか「マミさん、今日はなぎさとお茶会だって楽しみにしてたからねぇ。中止になってなきゃいいけど」

杏子「どうだか。マミのやつも真面目だからなー。そういうときぐらいあたしたちに任せてくれてもいいのにさ。
 で、まどかはどうだった? まだバーガー屋にいるって?」

さやか「あー、もう帰ってる途中だって。悪いことしたなぁ」

杏子「マジか。しゃーねーな。なんか埋め合わせを考えておこーぜ」

さやか「そーだねー。ちょっと早いけど、もう家に帰ろっか……ん?」

ワルクチ「げ」

イバリ「あ」

ネクラ「うわー」

ミエ「見つかった……」

やべえ、間違えた。すまん

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