エレン「朝起きたらミカサが横で寝てた」(64)

──0500 男子寮201号室『エレン・アルミン・ライナー・ベルトルト』

エレン「んっ……ふぁ……あぁ~……?」

エレン「まだ5時じゃないか……妙に体が重くて起きちまったけど……」

エレン「って体重いってレベルじゃねぇぞ、尋常じゃねぇ」

モゾモゾ

エレン「な、なんだ?なんか動いたぞ……?」

ミカサ「すぅ……すぅ……」zzz

エレン「何してんだお前」

ミカサ「すぅ……すぅ……」zzz

エレン「勝手に忍び込んだのか……」

ミカサ「えりぇん……」zzz

エレン「……なんだよ」

ミカサ「だいしゅきぃ……」zzz

エレン「そうかよ」

ミカサ「あいしてぅ……」zzz

エレン「……ったく、どんな夢見てんだか」ナデナデ

ミカサ「んー……♪」スリスリ

エレン(なんか昔を思い出すな……昔は毎日こうやって一緒に……)ナデナデ

ミカサ「かじょく……でしゅぃ……」zzz

エレン(……二度寝するか)

──0600 起床時刻~男子寮201号室『エレン・アルミン・ライナー・ベルトルト』

ミカサ「えりぇん……」zzz

エレン「みかしゃ……」zzz

ライナー「ひすとりあすけっち……」zzz

ベルトルト「ほしみっちゅ……」zzz

アルミン(何だこれは?何なんだこれは?いったい何が起こっているんだこれは!?)

アルミン(なぜミカサがここに!?凄く自然に寝ているけどいったいどういうことなんだ!?)

アルミン(意味が全く分からないけど、こんなの見つかったら厳罰ものだ!同室の僕にまで連帯責任だ!)

アルミン(幸い目撃者は僕だけだ……ミカサだけこっそり起こして部屋に帰らせればいい!)

アルミン「ミカサ、起きるんだ」ユッサユッサ

ミカサ「ゃぁ……えりぇんってばぁ……」zzz

アルミン「とっとと起きろこのポンコツが……起きろってんだよ!」ベシッ

ミカサ「んんっ……アルミン……?」ボー

アルミン「この手に限る」

ミカサ「なぜアルミンが……?」ボー

アルミン「逆だミカサ。ここは男子寮だ」

ミカサ「んー……?」ボー

エレン「みかしゃぁ……」zzz

ミカサ「えりぇん……?」ボー

アルミン「いつまでも寝ぼけてないで、誰かに見つかる前に部屋に戻るんだ」

ミカサ「なんで私ここに居るの……?」ボー

アルミン「いやだから知らないよ」

ミカサ「えりぇぇぇん……♪」スリスリ

アルミン「話聞いてくれ」

エレン「ん~♪」スリスリ

ミカサ「……寝る」ボー

アルミン「いやもう起床時間だから」

ミカサ「……」zzz

アルミン「ホントに寝やがったぞ!?」

アルミン(何故だ、何故こうなる)

アルミン「起きるんだミカサ。今ミカサを引っ叩いてるのは左手だ、利き手じゃないんだよ?」ベシベシ

ミカサ「いたい」

アルミン「見つかると僕たち怒られちゃうから」

ミカサ「エレン温かい……♪」

アルミン「頼むから聞いてくれ」

ミカサ「おやすみなさいエレン……」

アルミン「聞けや」

ライナー「しゅわしゅわ……」zzz

ベルトルト「はい……」zzz

ライナー「しゅわしゅわ……」zzz

ベルトルト「はい……」zzz

ライナー「なないろ……」zzz

ベルトルト「わお……」zzz

アルミン「君達は君達でなんなんだ」

アルミン(まずいぞ……そろそろ食堂に行かないと怪しまれる……)

アルミン(そ、そうか!僕たちの部屋からミカサが出ていく瞬間さえ見られなければ大丈夫だ)

アルミン(そしてみんな仲良く食堂へ……みたいな流れなら誰も怪しまない!)

アルミン(ならいち早くこいつらを起こして作戦を──)

ジャン「おい!まだ起きてねぇのかお前ら!」ガチャ

アルミン(何故こうなる)

ジャン「あ?この部屋からミカニウムが……?」

アルミン(エレンみたいなこと言わないでくれ)

アルミン「エ、エレンが持ってるミカサの私物じゃないかな……?本とか本とか」

ジャン「いや……微かにミカサが寝ている時にしか分泌されないミカ酸もあるな」

アルミン(なんだそれは)

ジャン「ん!?こ、これは……!」

アルミン「ど、どうしたんだい?」

ジャン「ミカサが最高潮にリラックスしてる時のみに分泌されるミカリンCやミカリンB6もあるぞ!?どういう事だ!」

アルミン(何言ってんだこいつ)

ジャン「まさか……ミカサが居るのか!?」

アルミン「いや居ないよ。エレンに染み付いちゃってるだけで本物が居るわけないじゃないか」

ジャン「そ、そうか……そうだよな……ミカサは俺なんかよりエレンのほうが……そっか……染み付いちゃってんだ……」ブツブツ

アルミン(早くどっか行ってくれ)

アルミン「そういうわけだから早く食堂行きなよ、僕たちもすぐ行くからさ」

ジャン「おぅ……」

アルミン(意外と引き際がいい……そんなことよりさっさと起こさないと面倒が増える)

アルミン「起きろエレン!ミカサ!」

ライナー「うぉ!?なんでミカサがここに居るんだ!?」

ベルトルト「ひ、ひすとりあ荘から飛び出してきたのか?」

ライナー「そりゃミカサじゃなくて202号室のミカちゃんだろう」

アルミン(何で君たちが起きるんだ!?っていうかだからこいつらはこいつらで何なんだ)

アルミン「よく分からないけど、僕が起きた時には居たんだ」

ライナー「鍵閉めたはずなんだが」

ベルトルト「壊された形跡はないね……」

アルミン「さっきミカサが起きてたんだけど寝ぼけてた上にすぐ寝ちゃって……っていつまで寝ているんだ!」ドカッ

エレン「いってぇ!」

ミカサ「エレンの危機!」

アルミン(この手に限る)

エレン「いって……なんだ?まぁいいか、お前らおはよう」

ミカサ「おはよう」

アルミン「ナチュラルに挨拶交わしてないで、何でミカサが居るのか説明してくれ」

エレン「そういや何で居るんだ?」

ミカサ「分からない」

アルミン「知らないって事はないだろう?」

ミカサ「本当に分からない……覚えているのはエレンの温もりだけ」

エレン「知らないならしょうがないな」

アルミン「しょうがなくないよ」

ライナー「朝からお熱いな!」

アルミン「そういう問題じゃないんだ」

エレン「いや、でも知らないならどうしようもないじゃねぇか」

アルミン「それは……そうだけど」

ライナー「そんな事より飯だ。早く行かないとサシャに朝食を駆逐されちまうぞ」

エレン「そうだな。別にミカサが居た理由なんて後から考えりゃいいんだ。行こうぜ」

ミカサ「頑張って思い出してみる」

アルミン「それもそうだね。ここで考えてたって答えが出るわけでもなさそうだし」

ライナー「ほら!ベルトルトも行くぞ!お前喋んないと居るのかどうかすら分からないじゃないか」

ベルトルト「ご、ごめん」

──0630 訓練兵食堂

エレン「ふぅ~ん、気付いたら俺の横で寝てたと」モグモグ

ミカサ「そう。でもお陰で熟睡できた……付いてる」ペロッ

エレン「お、悪い」モグモグ

アルミン「寝るときは自分のベッドだったんだよね?」モグモグ

ミカサ「それは間違いない」モグモグ

ライナー「鍵が閉めてあったハズだが……」モグモグ

ベルトルト「ちゃんと指さし確認したよ。付けるよ」ベチョ

ライナー「付けるな馬鹿」モグモグ

ミカサ「合鍵持ってる」モグモグ

アルミン「なんで!?あ、醤油とって」ガタッ

エレン「え?俺が渡したんだよ。逆に俺もミカサの部屋の合鍵預かってるし……ほれ」モグモグ

ライナー「お前ら付き合ってるみたいだな」モグモグ

ベルトルト「付いてるよ」ヌリヌリ

ライナー「お前が付けたんだろうが……って塗り広げるな馬鹿」モグモグ

エレン「ばっ……!家族だ家族!醤油とって」モグモグ

ミカサ「家族、家族。はい、あなた」

エレン「お、悪い悪い」ナデナデ

アルミン「いや、ただの家族はそこまでしないと思うけど……」

エレン「え?家族なら鍵は持っておくだろ普通」

アルミン(僕が言いたいのは君達の食事中の行動についてだ)

ライナー「鍵持ってるなら入れても普通だな……ソースとってくれ」

ベルトルト「そして鍵を持っているミカサ本人がドアを開けたって事にもなるね……かけてあげるよ」ドヴァァァァ

ライナー「かけすぎだバカ」

アルミン「そうなるね。でも本人は覚えていない……あ、小皿取って」

ミカサ「ごめんなさい……自分で取りなさい」

エレン「ドアノブにミカサの指紋付いてたしミカサが開けたのは間違いない」

アルミン「いつ調べたんだ!?」

エレン「いや見りゃ分かんだろ」

アルミン「わっかんないよ!」

──0700 男子寮201号室『エレン・アルミン・ライナー・ベルトルト』

アルミン「で、ごく当たり前のようにミカサも付いてくるんだね」

ミカサ「ベルトルトの陰に隠れてきた。見つかってない」

ベルトルト「僕は見辛い巨人の子と呼ばれたベルトルト。気配を消して歩くの得意なんだ」

エレン「すげぇなベルトルト!そんな特技が!?」

ライナー「特技ってより体質だな」

アルミン「別に消灯時間後に他の部屋に行っちゃだめってだけで、今はいいんだよ?」

ミカサ「えっ」

エレン「そうなのかライナー?」

ライナー「俺が知るわけないだろう」

アルミン「規則くらい知っといてよ」

ベルトルト「ぼ、僕は無意味だったというのか……?僕はっ……僕はいったい何の為に……!」

エレン「お、お前は十分に活躍したぞ!」

ミカサ「あ、あなたの残した意志が私に力を与えてくれる!」

ライナー「約束しよう!俺は必ず、人類を絶滅させる!」

ベルトルト「み、皆……!」

エレン「気にすんなって!」

ミカサ「私たちは仲間。違わない?」

ライナー「俺とお前は一緒に故郷へ帰るって約束した戦士だろう?」

ベルトルト「あ、ありがとう!」

アルミン(何この空気。僕だけ入れてないぞ?入りたくはないけど)

アルミン「で!話を戻すけど、集まった所で結論は出ないんだ」

ミカサ「え……?」

アルミン(話聞いてたのか!?)

アルミン「僕が昼休みに資料室で調べてみるから、その時まで待ってて」

ミカサ「分かった」

エレン「なぁライナー?」

ライナー「ん?なんだ?」

エレン「アルミンが資料室に調べものすれば何でも解決する風潮ってどうなんだ?」

アルミン「うるさいよ!」

──0800 座学

座学教官「さてと、皆居るようだね。今日は氷爆石の性質について学ぶ」

アルミン(唯一の癒しの時間だ……)

座学教官「知っての通りだが、演習場以外で立体機動をするには立体機動技能講習の資格が必須となる」

座学教官「兵士が必ず取得しなければならないこの資格の試験に必ず出題される範囲だ。必ず聞いておくように」

エレン(なんでミカサが居たんだろうな……)チラッ

ミカサ「……?」チラッ

座学教官「氷爆石の比重は空気を1としたとき0.9073である。つまり空気より軽い」

座学教官「ガス漏れを起こした場合、高所の換気口から排出させなければならない。この時気を付けなければならないのが──」

エレン(別に嫌とかじゃないし、むしろミカサの温もりを感じられて良かったんだけどさ)ニコッ

ミカサ「……///」プイッ

座学教官「このガスは黒金竹を利用した繋ぎ目なし容器に19.6MPaという高い圧力にて充填され──」

エレン(昔と違って結構色っぽくなったよな……って何考えてんだ俺は!?ミカサは家族だぞ家族!!)

座学教官「──使い切る前に、つまり圧力が完全に抜け切る前に補給する事が好ましい……エレン君?」

エレン「え……?あ、はい!」ガタッ

座学教官「聞いているかね?」

エレン「も、もちろんです!」

座学教官「では、ガスを使い切らずに少し残した状態で補給するのは何故かな?」

エレン「えぇっと……それは……」

座学教官「……きちんと聞いておくように。アルミン君、教えてくれるかい」

アルミン「はい。ボンベ内に空気……特に酸素が混入するのを防ぐ為です」

座学教官「そうだ。氷爆石は可燃性ガスとはいえ、酸素が無ければ爆発しない。爆発の3要素は可燃物、酸素、火源だ」

座学教官「逆にボンベ内に酸素が混入してしまうと爆発の要素が2つも揃ってしまい、爆発する危険性が増してしまう」

座学教官「これを防ぐ為に使い切る前に補給するように。エレン君、分かったかな?」

エレン「は、はい……」

ミカサ(ちゃんと聞いてなきゃだめでしょ?)トントトン←モーゼス信号

エレン(すまん、お前のことばっか考えてて……)トトトン

ミカサ(えっ……///)トントン

エレン(ばっか!そういう意味じゃねぇ!)トントン

座学教官(若いっていいな……)

──1000 対人格闘術

エレン(ミカサはクリスタとしてるのか……)チラッ

エレン「ライナー!一緒にやろうぜ!」

ライナー「もちろんいいぞ。まずはお前がならず者をやる番だな、ほれ」ホイッ

エレン「あいよ。いくぜ!」

ライナー「さっき俺のクリスタの事見てなかったか?」パシッ

エレン「んあ?ちげぇよ」ガッ

ライナー「ほう?なら愛しのミカサか?」

エレン「なっ……ちげぇよ!」

ライナー「隙あり」バシッ

エレン「これは隙なんかじゃねぇ、余裕の現れだ」ズガッ

ライナー「ぐはっ……」バタッ

エレン「悪い、力の加減が下手でよ」

ライナー「その妙な強さはなんなんだ?」

エレン「ん?ミカサと一緒に居るとこうなる」

ライナー「どういう事だ?今度は俺がならず者だな」

エレン「ミカサと薪拾いとかに行くだろ?」

ライナー「ほうほう」ベシッ

エレン「ミカサが妙に大量に運ぼうとするだろ?」パシッ

ライナー「それで?」ガッ

エレン「可愛い女の子に重たい思いさせたくないからって俺が代わりに背負うだろ?」バッ

ライナー「可愛い女の子、か。それで?」ペシッ

エレン「ミカサが俺にいいとこ見せようとしてさらに拾うだろ?」ドスッ

ライナー「ふむふむ」ソイッ

エレン「どんどん俺のが重くなっていって鍛えられていく」ドカッ

ライナー「痛って……それじゃ力が強くなるだけで喧嘩に強くはならんだろう」

エレン「いやほら、毎晩のようにミカサの寝技食らってたし」

ライナー「今日みたいなあれか」

エレン「あんな可愛いもんじゃなかったけどな」

ライナー「つまり今日のあれは可愛かったのか」

──1200 昼休み~訓練兵食堂

エレン「疲れた~……ってアルミンは?」

ミカサ「資料室に行ってる。早く食べよ?」

エレン「おう、いただきます。アルミンが資料室やら書庫に行けば何でも解決するからな」

ミカサ「アルミンは人類を正解へと導くチカラがあるから……いただきます」

ライナー「なんだそれは?いただきます」

ベルトルト「なんか強そう。いただきます」

エレン「別に深い意味はねぇけどさ。あいつはいつも正しい選択をするんだ」モグモグ

ライナー「テストの時に役立ちそうな特技だな」モグモグ

ミカサ「そこまで便利でもない」モグモグ

ベルトルト「随分と使い道が狭いね……」モグモグ

エレン「そんな事言うなって。俺とミカサが生きてるのもアルミンのおかげなんだからよ」モグモグ

ライナー「なんでテストで役に立たないくせにそうなるんだ?醤油とってくれ」モグモグ

ベルトルト「エレン達を助ける事よりテストのほうが難解なんだろうね。かけてあげるよ」ジョボボボボ

ライナー「かけすぎだバカ」

エレン「そりゃ喜んでいいのかどうか微妙だぞ……ライナー、そんなかけたら体に悪いぞ」モグモグ

ミカサ「私たちを助ける事は当たり前、常識だと捉えてくれているのかもしれない」モグモグ

ベルトルト「そんなにかけちゃ美味しくないよ?」モグモグ

ライナー「お前がかけたんだろうが」モグモグ

エレン「そうだったら嬉しいんだけどさ……」ペシッ

ミカサ「きっとそう……好き嫌いはダメでしょエレン?食べなさい」

エレン「俺キュウリ嫌いなんだよ……栄養もねぇくせに食品ズラしやがって……」

ミカサ「食べなさい。はい、あーん?」

エレン「っ……あ、あーん……」

ミカサ「おいしい?」

エレン「……お前がそうしてくれると食える気がする」

ライナー「もうお前ら結婚しろよ……俺もクリスタにそんな事してもらいたいね」ペシッ

ベルトルト「好き嫌いかいライナー?食べてあげるよ」パクッ

ライナー「バカ!俺は好きなもんは最後までとっておく派なんだよ!お前も知ってるだろ!」

ベルトルト「もう遅いよ」ゴクン

──1300 立体機動術

エレン(結婚、ねぇ……結婚って家族になるためのもんだろ?)バシュウウウ

ミカサ(エレンが見てる?)バヒュン

エレン(俺とミカサは既に家族だろうが……)ズバッ

エレン「またミカサより浅い……!」ビヒュン

ミカサ(なんという凄まじい視線。何故だろう、凄く高揚する)

エレン(っていうかミカサ速すぎだろ!どうやってあんなに速く……)

エレン「うわっ!」グイッ

エレン(ワイヤーが木に引っ掛かった!?巻きついちまう前にアンカーを外して……)

ミカサ「エレン!?」バシュウウウ

エレン「大丈夫だ!」バシュウウ

エレン(ちょっとヤバかったな……ミカサが気になって集中できねぇぞ……)

ミカサ「ちゃんと前見て。でないとエレンが死んでしまう」

エレン「もう大丈夫だって!」

エレン(……ん?待てよ?さっきのやつ、凄い衝撃だったけど旨く使えればスピードを落とさずに方向転換できるぞ!)

エレン(むしろ加速しているように感じた!これでミカサに追いつける!)

エレン「行くぜぇええ!!」パシュッ

ミカサ「あんな見当違いな所にアンカーを……?エレン?」バヒュン

エレン「このタイミングで……!」グイッ

ミカサ(さっきの事故を利用している……?しまった!追いつかれる!)

ライナー「なぁベルトルト?エレンの奴、ミカサに追いつく為に必死だぞ」

ベルトルト「素敵だね。片時も離れたくないんだろう」

ライナー「俺もクリスタとそうなりたいぜ……」

ベルトルト「僕やアニとばかり一緒に居るけどね」

ライナー「アニはともかくお前はなぁ……」

ベルトルト「一緒に故郷へ帰る仲間だろう?」

ライナー「それはそうだがな……男と居てもつまらん」

──1500 兵站行進

エレン「兵站行進は楽でいいよな。走るだけだし」

ミカサ「こんな事毎日してた。毎日エレンと薪拾いに行ってた」

アルミン「待ってくれ。この重り20kgだよ……?」

エレン「なんだアルミン?思いなら俺が担いでやるよ」ヒョイ

アルミン「……え」

ライナー「対人格闘の時にエレンが言ってたやつだな」

ベルトルト「なんだいそれは」

エレン「ばか!言わなくていい!」

ミカサ「何を言っていたの?」

ライナー「可愛い可愛い愛しのミカサに重い物背負わせたくないからって頑張ってた話」

エレン「だから言うなって!」

ミカサ「エ、エレン……?い、今のホント……?」

エレン「う、うるせぇ!」

アルミン(薪どんだけ重かったんだ……?)

ライナー「それで鍛えられたんだと」

ミカサ「エレン……私の為に?」

エレン「ちげぇよ!」

ベルトルト「照れなくてもいいじゃないか」

ライナー「そうだぞエレン。そんなに消極的だと将来困るぞ?」

エレン「だから違うって!」

ミカサ「エレンの将来は私が保証する。だから安心して」

エレン「ミ、ミカサ……!」

ベルトルト「よかったねエレン。もうお嫁さんが見つかるなんて」

ライナー「こいつ興味なさそうな事いいやがってちゃっかり居やがるんだ」

エレン「俺達は家族!家族だろミカサ!」

ミカサ「家族にもいろんな形がある」

ライナー「そうだぞ?夫婦も立派な家族だ」

ベルトルト「既に嫁認定しているから家族って強調しているのかい?」

アルミン(どうして僕よりベルトルトのほうが目立っているんだ!?)

──1700 課業終了~訓練兵食堂

エレン「そういやさ、アルミンのほうはどうなったんだ?調べもの」モグモグ

アルミン(やった!やっと僕の出番だ!)

アルミン「うん、調べてみたんだけd──」

ミカサ「すっかり忘れてた」モグモグ

ライナー「そんな話もあったな」モグモグ

ベルトルト「そういえば昼休み居なかったね」モグモグ

アルミン(この圧倒的アウェー感!)

アルミン「で!調べてみたんだけどさ」

エレン「どうだったんだ?……この魚骨多過ぎだろ」モグモグ

ミカサ「とってあげる」

アルミン「結局わからなかったよ」

エレン「そうだろうと思ったけどさ……ありがとな、ミカサ」

ミカサ「んっ……別にいい」

アルミン「少しくらい期待してくれたっていいじゃないか!?」

ライナー「そうは言うが、『朝起きたら隣でミカサが寝ていた理由』なんて本読んで分かる事じゃないだろう」モグモグ

ベルトルト「普通に考えれば分かりそうだけど」モグモグ

エレン「そう責めるなって。頑張ってくれたんだし……うわ、キュウリ入ってる」モグモグ

ミカサ「正解へ導いてくれる能力にも不発くらいある。はい、あーん?」

エレン「あーん……」モグモグ

アルミン「僕の扱い酷くない!?っていうかエレン達は何してるのさ?」

エレン「ミカサがこうしてくれないとキュウリ食えないんだよ」

ミカサ「エレンは私が居ないと餓死する」

ライナー「昼休みからこうしてるぞ?小皿取ってくれ」

ベルトルト「そいっ」

ライナー「投げるな!」

アルミン「僕が頑張ってる間に2人は昼間からいちゃついてたのか……!?」

エレン「いちゃついてるわけじゃねぇよ!なーミカサ?」

ミカサ「うん」

アルミン「まぁ別にいいけどさ……」

アルミン「それに本じゃ分からなかったけど、おおよその見当はついてるし」モグモグ

エレン「そうなのか?ほれ、お返しだ。あーん?」

ミカサ「は、恥ずかしい……あ、あーん……」゙

ライナー「本なんて要らなかったな。醤油とtt──自分でとろう」

ベルトルト「遠慮しなくていいよ?はい」ドバババババ

ライナー「余計な事するなバカ」

アルミン「多分、夢遊病じゃないかな」

エレン「夢遊病?」

アルミン「ああ。精神的ストレスなんかが原因で引き起こる──」

エレン「それはねーな」

ミカサ「それはない」

ライナー「それはないだろう」

ベルトルト「ねーよ」

アルミン「なんなんだよ最後まで言わせてよ!」

エレン「ミカサに精神的ストレス……ねぇ。あるか?」

ミカサ「エレンと一緒に居れば大丈夫」

エレン「ならずっと一緒に居ような」

ミカサ「分かった」

ライナー「おお?ついに結婚か?」

ベルトルト「常に一緒に居ても疲れなさそうだね、この2人なら」

アルミン「エレンと一緒に居れば大丈夫なんだろう?ミカサ」

ミカサ「そう」

アルミン「なら一緒に居ないとき、例えば女子寮に居る時はアウトじゃないか?」

エレン「確かに」

ミカサ「さすがアルミン。正解を引き当てる能力がある」

ライナー「いやむしろアルミンが選択したものが答えになるんじゃないか?」

ベルトルト「その発想はなかったよ」

アルミン(手のひら返しやがって)

アルミン「つまり、ストレスを解消したいと無意識のうちにエレンを求めているんだよ」

エレン「じゃあ今日から一緒の部屋で寝ようぜ」

ミカサ「それがいい。代わりにアルミンが女子寮に行くといい」

アルミン「なんでだよ!」

ライナー「アルミンなら大丈夫だろう。女の子みたいだしな」

ベルトルト「女性声優に居そうだよね、『あるみん』って」

アルミン「僕は男だよ!」

ライナー「いえす!」

ベルトルト「アルミス!」

アルミン「誰だよ!」

エレン「アルミンのツッコミってこんな激しかったか?

ミカサ「彼は変わってしまった……」

アルミン「君たちのせいだよ!」

エレン「ミカサが居るのって女子寮103号室だろ?クリスタやアニも居るぞ?」

ライナー「じゃあ俺行くわ」

ベルトルト「じゃあ僕が」

アルミン「じゃ、じゃあ僕が」

ミカサ「どうぞどうぞ」

アルミン「どうぞじゃないよ!行かないよ!」

ライナー「男に二言はないぞアルミン」

ベルトルト「二言をするということはアルミンはやはり女の子」

エレン「俺もおかしいと思ったんだよ。ホントに男か?って」

ミカサ「え……?あ、エレンが言うならそう思う」

アルミン「ミカサは今明らかに疑問を感じていたよね!?っていうか話脱線し過ぎだから!」

エレン「分かった分かった。で、話ってなんだ?」

アルミン「ミカサだよミカサ!ミカサ!君の家族!君のミカサ!ミカサの話!」

ミカサ「話すことはない」

アルミン「誰もミカサが話せなんて言ってないから!」

──1800 男子寮201号室『エレン・アルミン・ライナー・ベルトルト』

エレン「で、どんな話だっけ」

アルミン「ミカサが精神的安定を求めてエレンのベッドに行っちゃう病の話」

ミカサ「解決法が見当たらない……!」

ライナー「一緒に寝かすしかないだろう」

ベルトルト「やればできる」

ライナー「おいベルトルト。なんでこのタイミングでそんな事言うんだよ」

ベルトルト「深い意味はない」

アルミン「解決法なら思いついてる。ミカサがしばらくエレンと離れても安心できるくらい安心させてあげるんだ」

エレン「どういうことだ?」

アルミン「離れたときに『もう帰ってこないんじゃないか』って思えなくなるくらい何かしてあげるんだよ」

エレン「ん~……飴やるよ」

ミカサ「ありがとう」

アルミン「飴で釣るな」

エレン「じゃあどうしろっていうんだよ」

ミカサ「アルミンは文句ばかり」

ライナー「代案無き否定は見苦しい」

ベルトルト「僕も飴欲しい」

エレン「あいよ」

アルミン「いや案は思いついてるよ。婚姻届書いて提出してきてくれ」

エレン「は?なんで?」

アルミン「ミカサがエレンの『帰るべき場所』になってあげればミカサは安心すると思うんだ」

エレン「そうは言っても……なぁ?」

ミカサ「うん。婚姻届なら昨日書いたばかり」

アルミン「!?」

ライナー「はっはっは。早いな」

ベルトルト「善は急げって言うからね」

アルミン「ちょっとくらい驚こうよ」

アルミン「なんで!?どういった経緯で書いたのさ!?」

エレン「いやミカサがな?『エレンは私の気持ちなんてちっとも考えてくれない!もう別れる!』って言って離婚届押し付けてきたんだ」

ライナー「そうなのかミカサ?」

ミカサ「事実」

アルミン「そもそも結婚もしてないのに離婚届っておかしいでしょ」

エレン「俺もそう思ってよ。だから『それ書く前にこっち書けよ』って婚姻届押し付けたんだよ」

ベルトルト「斬新なプロポーズだね」

アルミン「斬新過ぎるよ」

エレン「そしたらミカサが泣きながら区役所のほうに走り出した」

ライナー「よっぽど嬉しかったんだろうな」

ベルトルト「よかったね、ミカサ」

ミカサ「凄く嬉しかった……」

アルミン「つまりもう君はミカサ・イェーガーなの?」

ミカサ「まだ提出してない」

アルミン「出せよ!」

ミカサ「とても嬉しかった。ので手元に残したかった」

エレン「区役所に残さないと意味ないだろ」

ミカサ「分かってる。でも」

エレン「ほら、今から出しに行くぞ」

ミカサ「……わかった、行こう」

ライナー「おぅ、行ってこい」

ベルトルト「見回りがきてもなんとか誤魔化すよ」

エレン「ベルトルトが誤魔化してくれるから大丈夫だな、急ぐぞ」

ミカサ「わかった」

ライナー「行ったか」

ベルトルト「僕たちは愛のキューピットになったみたいだね」

アルミン(なんだろう。いい話っぽいけど支離滅裂だ、僕がバカだから理解できないのだろうか?)

ライナー「俺達はとっとと風呂を済ませて寝るとしようか」

アルミン「あれ?うまい事誤魔化すんじゃないの?」

ベルトルト「僕がこの部屋に居る限り大丈夫だから」

──0600 翌朝~男子寮201号室『エレン・ミカサ・ライナー・ベルトルト』

ミカサ「エレン、起きて」

エレン「ん……?もう朝か」

ミカサ「おはようのちゅーを忘れてる」

エレン「しょうがないなミカサは……ほらよ」チュ

ミカサ「えへへ……」

ライナー「まるで新婚さんだな」

ベルトルト「新婚さんだよ」

──同時刻 女子寮103号室『アルミン・アニ・クリスタ・ユミル』

アルミン「なんで結局こうなるんだ……」

アニ「何してんのあんた」

クリスタ「ぎゃっ?アルミン!?」

ユミル「何でここに居る!?」

アルミン「……助けてくれ」

終わり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年05月10日 (日) 22:08:33   ID: FMicvg3n

なんだよ評価5.3点とか…エラーか?

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