謙吾「理樹、子供生まれた」理樹「」(113)

鈴「ん? そうか……悔しいが、お祝い金だ」
真人「はー、さっきまでは俺の方がリードしてたのに先越されるとはな、ほらよ」

恭介「ひいいやあああっほー! 今日の俺は張り切ってるぜ! お祝い金だ受け取れ謙吾!!」

謙吾「いや、恭介。こんなには貰えない」

恭介「かまうもんか! 今の俺は最高にハイなんだぜ!」

理樹「いやいやいや、そういうルールだから……あ、これ僕の分」

謙吾「おう、ありがとな理樹」



もちろん人生ゲーム中です

おう、立っちまったぞこの野郎。

恭介「しゃあねえ。だが俺はこのまま億万長者まで突っ走らせてもらうぜ!」

謙吾「また前回みたいに罰金マスに止まりまくったり株を大暴落させなければいいんだが」

鈴「いや、間違いなくやるぞ」

真人「まあ良くも悪くも運の強さは並じゃねえからな」

恭介「まあ見てろって。せいっ」

カラカラカラカラ……ピタッ

恭介「っしゃあ! 10きたーー!!」

恭介「ええっと何々?」

恭介「重大な交通事故を起こす。罰金10万ドルを支払い2回休み……」

恭介「ほらな? やってやったぜ?」

鈴「馬鹿だな」

理樹「こら、鈴」

恭介「はっ、これぐらい今の俺にはいいハンデじゃねえか! このチャンスに乗っかる手はないぜ理樹!」

鈴「結局、また馬鹿兄貴がボロ負けしたわけだが」

恭介「理不尽だ! なんで俺ばっかり怪しい壷を買わされたり、スリに会ったり、交通違反しなきゃならないんだ!」

謙吾「それに併せ、カジノゾーンに入って最大ベットで負け続けたんだからな」

恭介「所詮ゲームならパーッと行こうぜ! ってなるんだ、仕方ないだろ」

真人「また謙吾と同着かよ……あがった順番的に俺の負けじゃねえかああ!! くそっこうなりゃ腹筋だ!」

ふっふっ、筋肉、筋肉!

鈴「やめろ馬鹿キショい!」ゴシュ

真人「だっはああああん!」

理樹「まあ恭介、元気だしなよ」

恭介「理樹は優しいな……好きだぜ理樹」

理樹「えぇ……!?」

葉留佳「っていう話がありましてね」

鈴「うむ、馬鹿兄貴が勝てるようにはどうすればいい」

来ヶ谷「なるほど。と、言われても我々にできることなど無きに等しいぞ」

来ヶ谷「恭介氏のゲーム中のお金の使い方を考え直させる以外ないだろう」

鈴「うみゅ……」

バンッ!

小毬「りんちゃーん! 持ってきたよー」

クド「持ってきたのですー!」

小毬「ばっばーん! 人生ゲームです!」

葉留佳「ほっほう。都合よく持ってますなぁ、こまりん」

美魚「なぜか私の部屋にずっと置いてある謎の人生ゲームです」

美魚「私が入寮してから一度も開けていませんから、駒などが足りるかどうかは不明ですが」

来ヶ谷「ほう、おもしろい。では早速開けてみよう」

……き…!
……きろ!
起きろくるがや!

来ヶ谷「はっ!」

鈴「やっとおきたか」

来ヶ谷「ん……私は眠っていたのか?」

鈴「そうだ」

小毬「ゆいちゃんの寝顔可愛かったよねー!」

クド「はい! それはとってもキュートでした!」

来ヶ谷「な、くっ……小毬君、クドリャフカ君、忘れるなら今のうちだぞ?」


葉留佳「んふふ……そんなに食べられないッスよ……Zzz」

美魚「三枝さん、起きてください」

美魚「起きてください。さもなくば首筋に手刀を」スッ

葉留佳「スピスピスピ……Zzz」

美魚「ていっ」ダンッ

葉留佳「うっきゃああああってもういきなりなにするんスかみおちん!」

美魚「三枝さんも起きました」

小毬「オッケーですよ! じゃあこれで全員起きたみたいだね!」

  葉留佳「やいやい人の首筋に鉄拳叩き込んでおいてなんの弁解もないのかいベイビー」

クド「そうですね! それにしてもここは一体どこなのでしょう?」

  葉留佳「おーい! みんな聞いてるのかーい!」

来ヶ谷「見たところ、女子寮ではないし校内でもないようだ」

鈴「あたしはこの風景を見たことがある気がする」

クド「ホントですか!」

鈴「うむ。たぶんだが、人生ゲームのボードに描かれていたような気がする」

  葉留佳「無視しないでぇ~……><」

鈴「はるかはうるさい」

来ヶ谷「なるほど、そういわれれば確かにそうだな」

小毬「街があってー、その周りには緑がいーっぱいだー」

クド「グリーンシティなのですー! わふー!」

美魚「つまり、ここは」

葉留佳「人生ゲームの中ってわけですネ!」

鈴「ちょっと待て。なにかがこっちに来たぞ」

来ヶ谷「ん、自動車のようだな」

葉留佳「色とりどりなオープンカーですナ」

小毬「青いのとー赤いのとー黄色いの!」

クド「って運転席に誰も乗ってません!?」

小毬「クーちゃん、お車さんは運転手さんがいないと動かないんだよー? ってほわぁっ! ホントに誰も乗ってない!」

クド「アンビリーバボーですぅ!」

小毬「ゆいちゃーん! 大変大変大変なんだよ!」

クド「大変なのですー!」

来ヶ谷「いや、だからゆいちゃんと呼ぶのはやめろと」

小毬「だってだって大変なんだよー」

来ヶ谷「ここが本当に人生ゲームの中だというのなら、車に誰も乗っていないのは至極当然」

小毬「ふぇ?」

来ヶ谷「我々がプレイヤー兼ドライバーなのだろう」

小毬「えええ!? 私、運転免許持ってないよ!?」

来ヶ谷「まあ、行けばわかるさ」

ブゥウウン……キッ

小毬「勝手に止まったよ! すごいねクーちゃん!」

クド「どうなってるのでしょうか……ドキドキ」

ガチャッ

葉留佳「自動ドア! 見た目によらずハイテクッスね!」

鈴「だが、三台しかないぞ。どうすればいい」

来ヶ谷「ここにいるのはちょうど六人、ペアで乗れば問題あるまい」

美魚「では、ここにあみだくじがあります。どうぞ」

来ヶ谷「ふっ、さすがは西園女史。仕事がはやいな」

一号車・青――鈴&来ヶ谷

鈴「なんでこいつとなんだ!」

来ヶ谷「良いではないかお姉さんに全て任せなさい」

鈴「いーやーじゃーはなせー!」ジタバタ

二号車・赤――小毬&クド

小毬「クーちゃん! 一緒にがんばろー!」

クド「はい小毬さん! がんばります!」

小毬クド『えいえいおー!』

三号車・黄――葉留佳&美魚

美魚「はぁ、三枝さんですか……」

葉留佳「なんだなんだみおちん、その『はぁなんでこいつと組まなきゃいけないんだヘマするなよマヌケ』とでも言いたそうなため息は!!」

美魚「ヘマしないでくださいね?」

葉留佳「うぇえ、ちょっとぐらいフォローしてぇ……><」

はるちん可愛い

来ヶ谷「さあでは参ろうか鈴君!」

鈴「うぅ……」

来ヶ谷「そうか。まあ私も無理には引き留めないがそうだな……なら明日から『いくじなしベルちゃん』とでも呼ばせてもらおうか」

鈴「な……なんでそんな変な名前で呼ばれないといけないんだ!」

来ヶ谷「なら、一緒に来るがいい」

鈴「……わかった」

来ヶ谷「ふっ……やる気になってくれたようでお姉さんはうれしいぞ」

鈴「その代わり! べたべたするな。したらぶっ飛ばす」

車内

来ヶ谷「見た目に似合わずオートマチックか……つまらん」

鈴「なんでもいい早くゴールするぞ?」

来ヶ谷「まあ待ちたまえ鈴君。そう焦ることでもあるまい」

かちゃん……ウィーン

鈴「なんか出てきたぞ」

来ヶ谷「ダッシュボードからモニターが。中身は最新型かもしれんなこやつ」

――さあさあみなさんお待ちかね! 人生ゲームまもなく開幕!
――っとそのまえに簡単なルールだけ説明するよっ!

鈴「うわあ! いきなり喋るなビビるだろ!」

来ヶ谷「はっはっはっ、鈴君は可愛いな。お姉さんが頭をナデナデしてあげよう」

鈴「うわああやめろー!」

――このゲームは人生ゲーム! 人生なにが起こるかわかりません!
――これから巻き起こるトラブル、アクシデントを乗り越えて、ゴールの億万長者の土地を目指しましょう!
――ただし、この人生ゲームただの人生ゲームだと思ったら大間違い!
――マス目は一切ございません! 一心不乱にゴールを目指すもよし! 途中でカジノで一攫千金を狙ってもよし!
――交通事故にはご注意! 安全第一! 全てのトラブルはその身に実際に降りかかります!

――では無事にゴールまでたどり着けるよう祈ってますよ!!

――Good Luck you Baby!


来ヶ谷「つまり、できるだけ金を稼いでできるだけ早くゴールにたどり着けばいいんだな」

鈴「よし、頼んだぞ来ヶ谷!」


――あ、そうそう。所持金はデータとしてこのモニターに表示されますので随時確認を!
――相乗りしているところは職業も所持金も共通、グループで一つの駒になってしまうのでご注意!
――そして無事億万長者になることが出きれば! このゲームから抜け出すことができます!
――現段階で参加者は10人、車両は7台! さあこの7組だれがいち早くゴールするのか!
――あらためてグッドラック!

鈴「ん? あたしたちは三組しかいないぞ?」

来ヶ谷「どうやらほかにも参加者がいるらしいな」

鈴「そうなのか?」

来ヶ谷「それから、我々はこのゲーム内に閉じ込められているということも判明したぞ」

鈴「なにぃ」

来ヶ谷「億万長者にならなければおそらく、何周でもさせられるぞこのゲームは」

鈴「それは、イヤだな……やるぞ来ヶ谷。なにがなんでも億万長者だ!」

来ヶ谷「言われなくともやってやるさ、お姉さんに任せなさい」

小毬「……と、ところでクーちゃん」

クド「は、はい……」

小毬「これどうやって運転するのかな……」

クド「そーりー小毬さんアイドントノーです!」

小毬「そ、そっかぁーってどどどどどうしよう!」

クド「ああ小毬さん! とりあえずおちつきましょー!」

小毬「そそそうだね! すーーーはーーーーすーーーはーーー」

クド「わふー……」

小毬「よし! 大丈夫、きっとなんとかなるよ!」

クド「はい! がんばりましょー!」

葉留佳「ふっふっふっ、ふぇっふぇっふぇっ」

葉留佳「慌てておる慌てておる。こまりんクー公は車の運転なんてしたことなさそうだかんね」

美魚「そういう三枝さんもしたことなさそうですが」

葉留佳「ぎくっ。いやーどうにかなるっしょ! 車の運転ぐらい!」

美魚「死ぬならおひとりでどうぞ」

葉留佳「えええはるちん事故ること前提!?」

美魚「なにか問題でも」

葉留佳「うぇええはるちんこれからの旅路が地獄ううう!!」

美魚「とはいえ私も実際に運転したことがないので人のことはいえませんが」

葉留佳「ふん。いいぜベイビー、気合いで根性テラ根性! はるちんの華麗なハンドル捌きにビビんなよー!」

美魚「開き直りましたね」

――ではみなさん、スタートラインへどうぞ!

来ヶ谷「――」クイッ

キュッ

鈴「……」


小毬「ええと……これかな」グイッ

ブオオオオオー

小毬クド『わああああっ』

ドガッシャーン

小毬「ふぇええ~」
クド「わふぅうぅ~」


葉留佳「まあアクセルとブレーキさえ分かってれば大丈夫だよね」クイッ

キュッカックン

美魚「きゃっ」

葉留佳「ああごめんごめん。強く踏みすぎちった」

美魚「……」

鈴「ん? おい来ヶ谷。こまりちゃんの車がないぞ」

来ヶ谷「なに?」


ぷしゅうう……

小毬「わあああどうしようどうしよう」

クド「へ、ヘルプなのです!」


来ヶ谷「しょうがないな。助けるぞ鈴君」

鈴「もちろんだ」

葉留佳「ぷくししししっ」

葉留佳「スタート前から派手にやりましたナ」

美魚「あなたは助けに行かなくていいんですか」

葉留佳「姉御がいるなら大丈夫でしょ」

――では始めます

葉留佳「ほら、もうすぐ始まるし」

ピッ ピッ ピッ ピーーーー

葉留佳「レディ、ゴー!」グイッ

キュルっブォオオオオオオオオン

美魚「……」

眠いシャカシャカヘイッ

二号車脱輪中。

鈴「くるがや! はるかが先に行っちゃったぞ!」

来ヶ谷「ああ、わかっている。よし、ロープは結んだ、引っ張るぞ。鈴君は小毬君たちと一緒に向こうの車を頼む」

鈴「わかった!」



小毬「そーれっそーーーれーーっ」
クド「んーしょ、よいしょーっ」
鈴「動けこの! んーー!」

来ヶ谷「――」グイッ

ギュオオオンオンオンオン

鈴「動け! うごけえええ!」

ガタンッ――グググッ

小毬「動いたあ! もうちょっとだよ! ふぁいとー!」

クド「いっぱーつ!! なのです!」

ギュオンオンオンオオオンぶぉおおおおん

鈴「やったぞこまりちゃんクド! 脱出成功だ!」

小毬「やったー!」
クド「やりましたー!」

来ヶ谷「ふぅ……」



来ヶ谷「と、いうわけでだいたいの運転の仕方は理解できたかね、コマリマックス」

小毬「うん! ありがとうゆいちゃん! これで私も頑張れるよ!」

来ヶ谷「うむ。それからゆいちゃんと呼ぶのはやめるといい」

鈴「じゃあみんな急ごう。あたしたちこのままだとフリーターだぞ」

クド「はい! では小毬さんレッツゴーなのです!」

小毬「よっし! じゃあ鈴ちゃんゆいちゃんまたあとでねー」

ブォオオオオォォォ……――

来ヶ谷「行ったか……お姉さんは初っぱなから疲れたぞ」

来ヶ谷「さて……では、葉留佳君へのお仕置きはまた後で考えるとして――」

鈴「おい来ヶ谷、ここから巻き返せるのか?」

来ヶ谷「当然だ。私を誰だと思っている。鈴君は安心して助手席に座っていればいい」

鈴「そうか、わかった」


来ヶ谷「まずはまともな職に就かなければなるまい」

ハ○ワ

来ヶ谷「ゲームの特性上、なにもしなくてもフリーターにはなれるが安定した収入の為にも」
ウィーン

来ヶ谷「……なんだこれは」

鈴「ルーレットだな」

来ヶ谷「ああ。『ルーレットを回せば専門職、出た数に応じた職業になる』」

来ヶ谷「『誰かが既になっていたり気に入らない場合はもう一度回せるが、それでも決まらなかった場合フリーターになる』か」

鈴「とりあえず、まわせばいいんだな?」

来ヶ谷「ああ。すでにほかの二組が就いてる職業もある、注意して回してくれ」

1医者 2先生(こまクド) 3タレント 4スポーツ選手
5プログラマー 6デザイナー(はるみお) 7政治家
8-9サラリーマン

このレスのコンマ下桁、被ったら一桁目。それでも被ったらフリーター。

鈴「よし、行くぞ?」

鈴「決定したぞ。あたしたちはサラリーマンだ」

来ヶ谷「まあ無難なところだな……ん?」

鈴「どうしたくるがや」

来ヶ谷「いや、我々の車に婦警さんが張り付いているんだが……」

ウィーン

来ヶ谷「どうかされましたか」

婦警1「あっ、あなたこの車の持ち主?」

来ヶ谷「ええそうですが」

婦警2「ここ、駐車禁止なのよねえ。悪いんだけど、これ違反切符ね」

来ヶ谷「なんだと」

婦警1「じゃ、罰金はよろしく~♪」
婦警2「ま、こんな感じでこれから先違反があればビシバシ裁いちゃうからよろしく!」

来ヶ谷「……」

鈴「えっと、災難だったな」

来ヶ谷「鈴君、それじゃ人事みたいだ」

鈴「人事だぞ」

来ヶ谷「私たちはチームなんだ。協力しあって行かないと億万長者になれないぞ?」

鈴「おまえが全部任せろって言っただろ?」

来ヶ谷「ああ言ったな。だがあれは運転は任せろって意味だよ鈴君」

鈴「なにぃ……そうだったのか」

来ヶ谷「ああ、そうだ」

鈴「……ほんとうか?」

来ヶ谷「当然だ」

鈴「……」

来ヶ谷「まあ諦めて乗りたまえ」

来ヶ谷「就職後で良かったが、せっかくの給与が一瞬でパーだ」クイッ

ブォオオン

鈴「……」

来ヶ谷「では女の子二人だけのドキドキドライブと洒落込もう」ポンッ

鈴「!」ビクッ

鈴「ふかーっ!」

来ヶ谷「なんだ、頭に手を乗せただけじゃないか」

鈴「それをやめろと言ってるんだ!」

鈴「それにべたべたするなと言っただろ」

来ヶ谷「この程度軽いスキンシップじゃないか」

鈴「嫌だ、おまえに触られることを許可したら次になにが来るかわからないからな」

来ヶ谷「そうか、わかった。いくじなしベルちゃんがそこまで言うのなら深入りはしないことにしよう」

鈴「ふ、ふんっ。なんとでも呼べ」

二号車

小毬「さあお仕事も決まったし、レッツゴー」

クド「おー!」

小毬「前方よーし後方よーし」

クド「こっちも大丈夫です!」

小毬「うんっ、ウィンカーだしてアクセルをじわぁっと踏み込めば」クイッ

ブオオオン

小毬「しゅっぱーつ!」

クド「ドキドキドライブなのですー!」

三号車

葉留佳「どうよみおちん私の華麗なドライビングテクニックは!」

美魚「わーすごーい、です」

葉留佳「……」

美魚「平坦な信号もない道をひたすらまっすぐきてるだけですからどうもこうも」

葉留佳「もうノリ悪いなー」

美魚「あなたはドライバーなんですから前をしっかり見ていてください」

美魚「人生ゲームなので万が一人を跳ねてしまっても罰金と一回休み的な処置で済むと思いますが、出きれば1ドルたりとも払いたくはないので」

葉留佳「はい……」

美魚「このモニターを操作すれば各プレイヤーの進行状況を見ることが出きるようです」

美魚「我々の三組のほかの四組の状況も見れるようですが名前の部分が???で隠されていて見れません」

美魚「ですがまだ一位は私たち。どうやら来ヶ谷さんは駐車禁止で罰金を払わされたようです」

美魚「意外と厳しいみたいですねこのゲーム。くれぐれも違反しないようにお願いします」

葉留佳「……」

葉留佳「山道に入ってからが本番なのさ! そろそろ峠でしょ?」

美魚「このモニター、カーナビモードにもなるようです。確かにここから先、曲がりくねった道が多いです」

美魚「ですので自分の腕を過信してガードレールにキスしたりしないでください。三枝さんならやりかねません」

葉留佳「みおちんひどいッス」

美魚「痛いのは嫌ですから」

葉留佳「へーきへーき。こんな山の一つや二つパワーアップして乗り切るから!」グイッ

グォオオオオオン

美魚「アクセルを踏み込んだだけでパワーアップというのはどうかと」

美魚「それにあまりスピードを出しすぎると……」

そこの筋肉ーとまりなさーい! そこの暑苦しい筋肉! とまりなさーい!

美魚「警察に捕まります。……筋肉?」

葉留佳「さーっきから後ろで二台カーチェイスして迫ってきてるんだよねぇまさかねぇ」

美魚「少し脇に止めて様子を見たほうがよろしいと思います」

葉留佳「そうだね」



筋肉が通りまーす相当な筋肉がとおりまーすブオオオオーーーン……――
     暑苦しい筋肉がとおりまーす道を開けてくださーいオオオオオーーーン……――



葉留佳美魚『……』

葉留佳「や、やっぱりあれって」

美魚「井ノ原さんと宮沢さんですね。モニターの???が井ノ原さんと宮沢さんに変わりました」

葉留佳「こうなると残る二人はやっぱり……」

美魚「直枝さんと恭介さんが有力かと思われます」

キィイイイイイ――ドガッシャアアアアアン

葉留佳美魚『……』

葉留佳「あ、あーそりゃあのスピードで峠に突っ込んじゃあね……」

美魚「とりあえず様子を見に行きましょう」

葉留佳「そだね」ギュルルル

葉留佳「……え?」

葉留佳「あ、あれ?」ギュルルル

美魚「どうかされましたか」

葉留佳「やー、大丈夫大丈夫」ギュルルル

美魚「?」

葉留佳「おっかしーなー。さっきまでかかってたのに」ギュルルル

美魚「三枝さん」

葉留佳「な、なに」

美魚「ロードサービスを呼びましょう」

はるちんかわいいよはるちん

美魚「結果、バッテリー上がりで3000ドルも取られました。ゲームとはいえむちゃくちゃな値段設定です」

葉留佳「……」

美魚「様子を見ようと言ったのは私です、今回は私のミスでした」

葉留佳「う、うん……次からはエンジンはかけっぱなしにしておくよ……」

美魚「では、行きましょう」

葉留佳「……」クイッ

葉留佳「やー、一時はどうなることかと。電話した瞬間にロードサービスが来たのもゲームって便利だよねえ」

美魚「そうですね。おかげで来ヶ谷さんに負けを強いられていますが」

葉留佳「やだなーみおちん。まだまだ序盤なんだから余裕余裕」

美魚「と、脳天気なことを言っていると負けますよ」

葉留佳「もう心配性だなあみおちんはー」

美魚「パートナーが来ヶ谷さんならこんなに心配はしていませんが三枝さんなので心配です」

葉留佳「うぇええもう許してぇええ><」

葉留佳「そろそろ事故現場だよね」

美魚「白煙があがっていますからそのようです」


真人「謙吾てめえ」

謙吾「なんだ、おまえが事故ってなければ俺は普通に通過できたはずだぞ」

真人「まさかこのカーブがこんなに急だとは思わなかったんだよ! 悪いか!」

謙吾「カーナビをちゃんと見ておけばよかっただけの話だろう。修理代は払ってもらうぞ」

真人「くそおおおお!」


プッ、プップー

真人謙吾『?』

葉留佳「ヘイガーイズ、楽しそうだねえ」

真人謙吾『……は?』

葉留佳「ん?」

真人謙吾『なんでここに三枝がいるんだ?』

葉留佳「それはこっちが聞きたいぐらいなんだけどねぇ」

美魚「二人とも大丈夫なのですか」

井ノ原「お、心配してくれるのか? 大丈夫だぜ、俺には筋肉がついてるからな!」

謙吾「これぐらいでくたばるほど俺の体は柔じゃないさ」

美魚「それもそうでした」

謙吾「そういえば、参加者一覧に???で隠された欄がいくつかあったが……」

真人「なんだよ、その参観日閲覧ってのは」

謙吾「参加者が何人いるか誰がいるのかが書かれた一覧だが……そういうことか」

真人「どういうことだよ」

謙吾「つまり残されたメンバーはバスターズ女子。リトルバスターズ全員集合ってわけだ。そうだな西園」

美魚「はい」

謙吾「だからといって何かが変わるわけではないが……来ヶ谷がいるとなると、億万長者を狙うのは少々苦戦するかもしれんな」

美魚「ちなみに来ヶ谷さんは現在金額順でトップ、進行順だと四位にいます」

葉留佳「さっすが姉御。強敵っぽいですネ」

謙吾「やはり、警戒しておいた方が良さそうだな」

真人「あ、謙吾。車が直ったみたいだぜ」

謙吾「よし。ゲームとはいえ今この場所でしかもこの短時間で新車のようになるとは驚きだな」

真人「さっそく所持金をチェックといきますか……」

謙吾「三枝、西園。ここからは敵同士だ。正々堂々と勝負しよう」

美魚「はい。ではお先に失礼します」

葉留佳「謙吾くん真人くんじゃあねー」クイッ

ブオオオン

一号車

来ヶ谷「鈴君、どうだ。少しお腹が減ってきただろう?」

鈴「あたしはいい」

来ヶ谷「そうだろう。ではおしゃれなカフェに美少女二人でランチと洒落込もうではないか」

鈴「いらないって言ってるだろ」

来ヶ谷「いいじゃないか。腹ごしらえは大切だぞ」

鈴「お腹減ってない、いらない」

来ヶ谷「ちっ、ええいうるさい黙れこの猫耳娘」

鈴「いらないものはいらない」

来ヶ谷「いくじなしベルちゃん、少しは引くことも覚えてはいかがかな」

鈴「おまえその呼び方気に入ったのか」

来ヶ谷「いいや、別に」

来ヶ谷「で、なんだかんだいいつつしっかり食べるのか君は」

鈴「うるさいっ」

来ヶ谷「ふっ、そういう気まぐれなところもお姉さんは好きだよ」

鈴「!」ササッ

来ヶ谷「そう逃げなくてもいいだろう」

鈴「やめろ! あっちいけ! こっちくんな!」

来ヶ谷「ふっふっふっ、鈴君そちらは壁だ。それも角だ。もう逃げられんぞ」

鈴「うっ……」

来ヶ谷「はっはっはっ」

??「はいはい、来ヶ谷さんそこまで」

来ヶ谷「なにやつ」クルッ

理樹「鈴相手になにやってるのさ」

来ヶ谷「なんだ理樹君か。いやなに、ほんの冗談のつもりだったんだが」

理樹「はいはい。半分本気だったでしょ」

来ヶ谷「半分な」

鈴「はぁ……助かった」

理樹「鈴、大丈夫?」

鈴「だ、大丈夫に決まってるだろこのぐらい。理樹がいなくてもなんとかできたぞ」

理樹「ほんとうに?」

鈴「当たり前だ」

理樹「まったく来ヶ谷さんは油断も隙もないんだから」

来ヶ谷「車という狭い空間の中美少女と二人っきりだぞ? 押し倒してしまっても仕方ないだろう」

理樹「いやいやいや」

鈴「仕方あるわボケー!」



来ヶ谷「ところで理樹君」

理樹「はい?」

来ヶ谷「優雅にランチしてるところ悪いが君の車、駐禁切られるぞ」

理樹「ぶっ」

理樹「っていうか婦警さん来ちゃってるし! な、なんでもっと早く言ってくれないのさ!」ガタッ

ちょっと待って! ねえ、お姉さん待って!
あー、これ君の車? ちゃんと駐車場に止めなきゃダメでしょ? はいこれ、切符。
……5000ドル!? そんなあああ来ヶ谷さあああん!

来ヶ谷「はっはっはっ、お姉さんのお楽しみを中断した仕返しだ」

鈴「怖っ」

理樹「……」ズーン

来ヶ谷「どうした少年、元気がないな」

理樹「そりゃね……所持金の半分飛んでったからね」

鈴「ゼリーやるから元気出せ」

理樹「鈴……ありがと」



来ヶ谷「ではな少年。一応我々は敵同士だということを忘れぬようにな」

理樹「まあ、さっきのでよーくわかりました」

鈴「でも、なにかあったら言え。助けられるかどうかはわからんが」

来ヶ谷「うむ。私たちで良ければいつでも力になる。金銭のやり取りがない限りはな」

理樹「うん、ありがとう」

来ヶ谷「よし。じゃあお先に失礼するとしよう」

鈴「じゃあな理樹」

理樹「いってらっしゃい。気をつけてね」

理樹「ごちそうさまでした」

理樹「さ、僕も行こう。お会計は――」



理樹「……」ズーン

理樹「きっちりゼリー代まで取られた……」

理樹「……」

理樹「次からは注意しよう……」

二号車

小毬「右へ左へゴーゴゴー♪」

クド「わふっ」

小毬「山越え谷越えレッツゴー♪」

クド「わふっ」

ぴこーん

小毬「ふえ? なにか光り出したよー?」

クド「? んーと、エフユーイーエルって書いてありますー!」

小毬「えふゆーいーえる……f u e l、フューエル、燃料」

小毬「も、ももももしかして、燃料切れですかああ!?」

クド「燃料切れ!? そ、そそれは一大事ですぅ!!」

クド「カーナビでえとえと……こうしてええと……一番近いガソリンスタンドまで15kmありますです!」

小毬「えええ!? ま、間に合うよね!?」

クド「わかりませんが、行くしかありません!」

ガソリンスタンド

小毬「ふぅ……間に合ったよクーちゃん!」

クド「はい! これで一安心ですね!」

小毬「うん!」

小毬「……あ」

クド「どうしたのですか?」

小毬「そういえば私、ガソリンの入れ方教わってない!」

クド「……」

小毬「……」

小毬「わぁっ大変だああ」

クド「大変ですー!」

プーププッ

小毬クド『?』

恭介「よう、こんなところでなにやってんだおまえら」

小毬「あれ? 恭介さん」

クド「おぉ! 恭介さん!」

恭介「ははー、だいたいわかったぜ」

恭介「フューエルランプが点灯したからガソリンスタンドまで来たはいいが、セルフスタンドなので入れ方が分からないと、そうだな?」

小毬「そのとおりです! さすがは恭介さん!」

恭介「まあ俺のに入れるついでだ、一緒にいれてやろうか?」

小毬「本当ですか! お願いします」

恭介「よしよし。任せとけ」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月06日 (月) 04:19:03   ID: pxjdiiu7

終らせんな。

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