来ヶ谷「私が理樹くんに何をしたって言うんだっっ!!」恭介「知るかよ!!」 (45)



裏庭

ゴトンッ

理樹「…ごく…ごく…ぷはぁ」

来ヶ谷「お?……やあ理樹くん。昼に缶コーヒーはお腹を壊すぞ」

理樹「………」

プイ

理樹「………」スタコラサッサ

来ヶ谷「えっ」

来ヶ谷(いま…この私を無視したのか…?……いや、ただ聞こえていなかっただけかもしれないな。最近は難聴系男子がモテるというからその影響だろう)

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来ヶ谷「……」ウーンウーン

理樹「~~~っ」



5時間目

キーンコーン

来ヶ谷「………」カチカチカチ


ピロン

理樹「?」

来ヶ谷【件名:どうした?】『本文:さっき自動販売機でコーヒーを買ってただろう?私が声をかけたのに聞こえていなかったのか?』

理樹「…………」

パタン

理樹「……」カリカリ

来ヶ谷「!?」

先生「~~~であるからして…この問題を直枝、答えてみろ」

理樹「はい。チャールズ・ブロンソンです」

来ヶ谷(いやいやいや。さっき絶対に私のメールを見たはずだぞ!あれで確信した。少年は意図的に私を無視している!)

来ヶ谷「……」ナンデ…ナンデ…

理樹「~~~~っ!」



放課後

グラウンド

鈴「それっ!」

ビシュッ

理樹「っ!」

カキーン!

来ヶ谷「……」パシッ

来ヶ谷「…ほら理樹くん」ポーイ

理樹「………」

ポトッ…コロコロ…

恭介「おいどうした理樹。さっきからなんで来ヶ谷のボールだけ打ち返さないんだ?コンボを繋げないと強くなれないぞ」

理樹「あっ、ぼうっとしてたよ」

来ヶ谷「………絶対嘘だろ…っ!」

来ヶ谷(私が何か嫌われるようなことでもしたのか!?………ハッ!そういえばこれはよくある誕生日の前に徹底的に人を無視するssのネタかもしれんな!そうだ、そうに違いない………って)






更衣室

来ヶ谷「次の私の誕生日は来年の春なんだが!!!」

葉留佳「ほえ?いきなり自分の誕生日をアピールしてどうしたんですか姉御」

西園「祝ってほしいなら祝いますよ」

来ヶ谷「う…いや、すまん…熱をふいてしまった」

小毬「ええ~っゆいちゃんお熱さんなの!?保健室行かないとっ」

来ヶ谷「いや、そういう意味ではない。それとゆいちゃんは止めてくれと言っているだろう…」

来ヶ谷(いったいどうなってしまったんだ…)



恭介部屋

謙吾「急に俺たちを呼び出してどうしたんだ?」

真人「しかも理樹は絶対に連れて来るなって…」

来ヶ谷「理樹くんと一番長いこといたのは君ら4人だろう?」

恭介「ああ。それがどうした?」

来ヶ谷「それが…最近、少年に避けられてるらしいんだ……」






来ヶ谷「…といった具合に」

真人「………」

謙吾「そんなこと理樹がするとは思えんがな」

鈴「くるがやの妄想だ」

来ヶ谷「違う!実際に体験したんだ!」

恭介「信じられねえな…いったい何があった?」

来ヶ谷「分からん…突然こうなったんだ…私が理樹くんに何をしたって言うんだっっ!!」

恭介「知るかよ!!」

来ヶ谷「おい、そこの筋肉」

真人「な、なんだよ…」

来ヶ谷「理樹くんと一番近いのは貴様だろ?何か私のことに関して言及していなかったか?」

真人「いっ、いやぁ…何も言ってなかったぜ……?」

来ヶ谷「……そうか…分かった。邪魔したな…」

バタンッ

恭介「……来ヶ谷があそこまで動揺するとは…明日理樹に話を聞いて…」

真人「いや待て!そ、その事件は俺が担当する!」

謙吾「どうした急に」

真人「いや…本当俺が…大丈夫だから!」

恭介「……よく分からんがとりあえず真人に任せることにしよう」

真人「あんがとよ…」

真人(理樹がおかしいのは分かっている…でも、その真相はたとえ幼馴染にも言えねえ…だって……)



理樹部屋

真人「た、ただいまー…」

理樹「はぁ…はぁ…」

真人「うっ…」

理樹「はぁ…はぁ…!!ふにぃぃぃーーーっ!ゆいちゃん可愛いよゆいちゃん!!無視された時のゆいちゃんの涙ペロペロしたいよぉぉおおおお!!!!!はぁん!いつもクールなのに相手にされなくてタジってる姿ヤバい!もう最っ高だなぁ!もっといじめちゃいたくなるよぉおおおおお!うっヒョォーーーーッッ!!!リズベスぅぅぅぅぅうううう!!……あ、おかえり真人」

真人(言える訳がねぇ…)



理樹「もぐもぐ…」

来ヶ谷(こうなれば正面からぶつかろう)

来ヶ谷「あ、少年。そこの醤油取ってくれないか?」

理樹「………」スッ

来ヶ谷(やった!ちゃんと取ってくれ…)

理樹「……ッチ」

来ヶ谷「!?」

来ヶ谷(い、いま舌打ち…)

理樹「…ごちそうさま」ガタッ

来ヶ谷「あ……あう」

真人(なんで来ヶ谷にだけドSなんだよ…)

HR前

来ヶ谷「真人少年。君の距離なら聞こえたろう、理樹くんの舌打ちが」

真人「い、いやぁ…なんのことだか?」

ギュゥ

真人「イデッ…イデデデデェ!!」

来ヶ谷「男性は……精巣さえ潰せばどんどん筋肉がなくなって、終いには女々しい身体つきになるんだと聞いたことがある。…貴様で試してみようか?」

真人「いや…本当に聞こえなかった……!」

来ヶ谷「………」

来ヶ谷(…もしかして私の聞き間違いだったのか?)

真人(くっ…たとえこの筋肉に変えても理樹の秘密は俺が…守らなくちゃなんねえ……!)

休憩時間

廊下

理樹「………」

来ヶ谷「……」

来ヶ谷(つ、次だ…次、敵意を感じたら次こそ理樹くんが私を嫌いだって……いや、でも急に性格が豹変するなんてことはないはず…)

トントンッ

理樹「?」クルッ

来ヶ谷「えいっ」ツンッ

理樹「………」プニー

来ヶ谷「ふっ、引っかかったな!理樹くんは案外初歩的な引っ掛けに…」

理樹「はあ…」スッ

トコトコ

来ヶ谷「あ…待って……」ジワ

キーンコーン

教室

真人「次は数学かぁ…寝るか」

理樹「………」


ベンチ

来ヶ谷「…グスッ」


教室

先生「だからここは~」

理樹(んぁぁああああああ!!ゆいちゃんクンカクンカ!案外攻めに弱いゆいちゃんマジストラィーーッカンナァッ(※ストライク)!!!もはやここまできたら止められなひぃーーーっ!おっと、興奮しすぎてつい現代仮名遣い忘れちゃった☆ああ、ゆいちゃん!いと美しゅうーーッッ!!!!)

先生「直枝、問3を答えてみろ」

理樹「3xです」

昼休憩

来ヶ谷(……もしかしたら私が知らない間に理樹くんを傷付けていたのかもしれない…だとしたら最低なのは私の方かもしれないな。やはり、私には感情というものが欠如しているのだろう…もしそうなら、嫌われてもいい。本人に話をつけよう)

教室

来ヶ谷「…理樹くん」

理樹「………」

来ヶ谷「そのままで構わない。どうせ聞こえていない振りをしているんだろう?」

理樹「………」

「ねえ、何アレ?来ヶ谷さんが直枝くんに何か言ってるけど…」

「なんだなんだ、天下の来ヶ谷がどうしたって?」

ザワザワ

来ヶ谷「君が私のことをどう思っているのか知らない…ただ、嫌っているとしたら私に正直に言ってくれ。……私は君のことを大切に思っているのだから……だからこそ知らないうちに私達の関係を凍らせたくはないのだ……理樹…くん」

理樹「………」

「あの…来ヶ谷さん?」

来ヶ谷「なんだ!今は取り込み…」

「その…多分…直枝くん、今寝てると思う…」

理樹「ぐー」

来ヶ谷「なっ!?」

「クスクス」

「来ヶ谷さんかわいい」

「よせっ、言ってやるな……ぶふぅっ」

来ヶ谷「や、やめろ……」

「『どうせ聞こえないふりをしているのだろう?』……プッ」

「やはは!ちょっと美魚ちん…ブフーッ!」

来ヶ谷「ふぇぇーー!!」ダダダッ

バンッ

理樹「…………」

理樹(んほぉぉおおおおおおおお!!!)

続く

先生「~~今日の連絡はこれぐらいだな。よし、日直よろしく!」

「起立、礼!」

キーンコーン

真人「ふう…今日も頭を使い過ぎて腹減ったぜ…」

理樹「真人はそもそも寝てたでしょ」




ガラッ

来ヶ谷「…………」

来ヶ谷(人が通り過ぎるたびに私は好奇の目線を投げつけられる…)

「おーほっほっほ!」

「アーッハッハッハ!」

「ふっ…最低ね。…最低」

来ヶ谷「くっ…」

来ヶ谷(私のクールな美少女のイメージが完全に崩れ去ってしまった。つい動揺してヘマをしてしまったのだ…こうなればもう…)



理樹部屋

理樹「真人ごめん、ちょっとゆいニーしていい?」

真人「ゆいニーってなんだよ。来ヶ谷のことなんだろうが語呂悪すぎだろ」

理樹「来ヶ谷さんが送ってきた『腕をおっぱいに似せた写真』をセットしてと…準備完了だ!」

真人「おい、なにするつもりか知らねえが…」

コンコン

真人「お?」

真人「……こんな時間に誰だよ…ちょっと追い返してくる」

真人(理樹のこんな姿を誰かに見られて来ヶ谷にでも聞かれたらマズいからな…)

ガチャ

来ヶ谷「なんだ真人少年か。ちょっと中へ入れてくれ、今度こそ理樹くんと話がしたい」

真人「」

真人「り、理樹か!?いや、えーっとその…理樹ならま、まだ帰ってないぜ!」

来ヶ谷「いや、背中が見えるんだが」

真人「あっ、あれは謙吾だよ!」

真人(気付け理樹ーーーッ!!てめーが見てる写真の張本人がすぐ後ろにいるぞぉー!!!)

来ヶ谷「謙吾少年ならさっき『今日は理樹たちの部屋に行けない…試合に向けてこれから竹刀で練習しない(竹刀)とな。竹刀だけに☆』と言っていたが」

真人(謙吾ぉぉぉーーーっ!!!)

真人「あっ、いや間違えた!ありゃ恭介だよっ」

来ヶ谷「恭介氏ならさっき『今日は理樹の部屋に行くのは遅れる。サタデーナイトフィーバーするためにちょっとレッドブルを買ってこないと(Night)な。ナイトだけに☆』と言っていたが」

真人(なんでお前ら今日に限ってテンション高いんだよぉぉぉーーーっ!!!)

来ヶ谷「もういいだろう。ちょっとそこを退いてくれ」

真人「まっ、待て!あ、ああ………!!」

グイグイ

理樹「~~~!」

来ヶ谷「?」

来ヶ谷(何かを叫んでいる…?)

理樹「フゥゥゥゥゥウ!!やっぱりゆいちゃんのプニプニお腕は綺麗だなあ!なんていうか…その…デュフ…僕のナルコレプシってる息子が一気にエクスタシーしちゃうよぉぉ…!君のそのロングで髪コキしてくれるならさらば諭吉しても惜しくないよ!ああ…もうヤバイ…限界だ……!真人が見てるけどゆいちゃんと一緒なら恥ずかしくないよねっねっ!むしろ僕らの営みが見られてると思うなら君も興奮するだろ!?どうなの?この変態さんめっ!」

来ヶ谷「………」

真人「理樹、後ろー!」

理樹「あ?邪魔すんな筋…」

来ヶ谷「………」

理樹「………」

真人(やだもう見たくない…)

理樹「く、来ヶ谷さん…」

来ヶ谷「………」ビクッ

理樹「………す、好きだぁーー!!」

来ヶ谷「!?」

真人(野郎、勝負に出やがった!)

来ヶ谷「そ、そんな…」ヘタッ

来ヶ谷「…う、うぇぇん!」ポロポロ

真人「どっ、どうした!?幻滅したあまり泣いたのか!?」

理樹「ゆい…来ヶ谷さん?」

来ヶ谷「よかったよぉ…やっと…やっとこっちの世界でちゃんと理樹くんと付き合えたぁ…!」グスッ

……………
……


真人(しばらく泣くと次第に落ち着いたのか理樹と並んでベッドに座った)

来ヶ谷「もう理樹くんに嫌われたのかと思って…えぐっ…ひぐっ……」

理樹「来ヶ谷さん…馬鹿だなぁ。僕が来ヶ谷さんを嫌うわけないじゃないか」

来ヶ谷「だって……あっちで私が……グスッ…理樹くんと結ばれたら……理樹くんと鈴くんの成長を諦めることになるから…ううっ…2人のために諦めないといけないから……うっ…」

理樹「うんうん。ありがとう来ヶ谷さん」ナデナデ

来ヶ谷「助かったあとも…もう一生誰とも付き合わずに生きていこうかなって……っ!」

理樹「大丈夫。僕がいるよ…」

真人(なんだこれ)



理樹「ほら、来ヶ谷さん。あーん」

来ヶ谷「あ、あーん…」

葉留佳「」

クド「」

謙吾「」

西園「井ノ原さん…」

真人「…聞くな」

鈴「よく分からんが仲良くなって良かっな恭介」

恭介「ああ、雨降って地固まる…だ。この場合だともはやセメント流し込んでカッチカチだが」

理樹「……おいしい?」

来ヶ谷「うむ!」



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