京介「正直めちゃくちゃ気まずい」(157)
京介「……」
京介「あー部屋から出たくない」ゴロリ
京介「…春休みってもっと忙しいもんだと思ってたのによ」
京介「こうも暇を持て余すとはな」
京介「何処かに出かけるにしたっても、何処行きゃー良いんだか」
京介「……」
京介(俺が行くことろ行く所に……あいつ等、居るだろうしな)
初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」
初春「百番煎じのSSは、タ書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねぇ」
初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」
初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」
初春「結果スとして面白くないのは許せます。許せるだけで面白くはないんですが」
初春「パクリ二匹目のドジョウ百番煎じは許ケせませんね。書いてて恥ずかしくないんですか?」
初春「ドヤ顔してる暇があればとっとと首吊って死ねよ」
初春「まあ、一番の害悪はそういったSSを持テち上げてる人たちなんですが」
佐天「初春?」
初春「そうネットに書いてありました」
佐天「なんだネットか」
京介(…黒猫にあやせ、麻奈実に加奈子)
京介(俺が出かけると言ったらアイツらと同じような場所だしな、基本)
京介「ゲーセンにしたって、黒猫と鉢合わせになりそうだし」
京介「あ。今は闇猫だっけか、はは、アイツもまた凄い事言いだすよな…」
京介「……」
京介「…駄目だ死んじゃうよ俺」
京介「というかむしろ死にたい、どんな顔してアイツらに顔を合わせたらいいんだよ…」
京介「………」
京介「うがぁー! やべー! もんもんするぜー!」がばぁ!
「うるさいっ! 何朝から騒いでんのっ!?」ドンドン
京介「ううっ…桐乃ぉ…」ずりっ
「……な、なにその情けない声……もしかして、泣いてんの?」
京介「うん…ガチ泣きしてる…」
「………」
京介「俺さぁ…なんつぅか本当に馬鹿だよなぁ…っ!」
「……まぁね」
京介「だよなぁ…だってさぁ、なんか色々と説明しようとして麻奈実にちょっと電話したんだけどさぁ…」
『現在電波の届かない場所か───』
京介「これ絶対に着信拒否されてるよな!? そう思うだろ桐乃っ!?」
「当たり前じゃん、されてるに決まってるでしょ。つぅーか良く電話で来たよねアンタ……」
京介「……俺だってアイツとは不仲になりたいわけじゃないからな」
「…ほんっと馬鹿、あんだけのこと言って置いて今さら仲直りとか出来るわけないでしょ。少しは考えないさいよね」
京介「…だよな、俺だって分かってるんだよ。もう後戻りは出来ないって」
「じゃあ電話なんてするのよ」
京介「…」
「黙るなってーの、未練たらたらなだけじゃん。そうなんでしょ? ハッキリ言いなさいよ」
京介「っ…あったりめーだろ! 未練たらたらだよ! お布団デートも未だに未練ダラッダラだよ!」
「きも」
京介「あーキモいだろうなっ! 心底キモいだろうし、心の奥底からなさけねー男だって分かってんよ!」
京介「だけどっ! だけど……違うんだよ、桐乃」
「…意味わかんない」
京介「…そーだろうな、俺だってわかんねーもん」
「あっそ」
京介「…桐乃」
「なに」
京介「…ちょっと部屋に入ってもいいか」
「……いいケド、別に」
京介「あれ? いいの?」
「なに、断ってほしかったワケ? なら来なくていいよ別に」
京介「…すまん、部屋に行きたい」
「はいはい」
~~~
京介「桐乃ー」コンコン
「開いてるから」
京介「おう…」ガチャ
桐乃「……」
京介「よ、よお」
桐乃「…座れば?」
京介「そ、そうだな」そそくさ
桐乃「……」
京介「……」もじもじ
桐乃「…なんかめっちゃ不審者っぽくてキモいんですけど?」
京介「すまん、よくわからんが俺緊張してる…」
桐乃「なんで緊張すんのよ…以前のあたしらじゃあるまいし」
京介「そうだな…そうなんだけどな…」
京介「って、以前のあたしら?」
桐乃「……」
京介「いきなり何だけどよ、お前って俺が部屋に来るたびに緊張してたの?」
桐乃「…そうだけど、なに」
京介(素直に認めやがった…)
桐乃「この際だから言っておくけど、まぁアンタでも兄貴で男であるワケだし」
桐乃「そう言った所も含めて…うん、緊張してた」
京介「そうか…そういうもんなのか、よくわからないな」
桐乃「わかってもらわなくてもけっこー」
京介「……」
桐乃「…それで?」
京介「あん?」
桐乃「なんで部屋に来たの」
京介「…お前の顔を見にきた、って言ったらどう思う?」
桐乃「…………」
京介「…………」
桐乃「……微妙」
京介「…意外に好印象で良かったぜ」
京介(てっきりキモいやら、死ねやら言われると思ってたからな)
京介(──だって俺等は兄妹だから)
京介「…そういえば桐乃、お前は今日は何処にも出かけないのか?」
桐乃「うん」
京介「へーそうなのか、お前みたいに友達多い奴は休みの日も予約が沢山だと思ってたけどよ」
桐乃「…それ、遠まわしに悪口言ってる?」
京介「言ってない言ってない。ただ、暇を持て余してるのが目についただけだ」
桐乃「別にあたし暇じゃないけど」
京介「どうみたって暇そうだろ。じゃあ大好きなエロゲーでもやってろよ」
桐乃「……もうクリアしたし、別にやる所ない」
京介「もうクリアしたの!? すげーなお前!」
桐乃「あれから何日たったと思ってんの? とっくの昔に終わってるに決まってるじゃん」
京介「そ、そういうもんなのか」
桐乃「そーいうもんなの、アンタが捌けないだけ。
ゲームする時間の浪費をいちいち考えてたら、なんにも終わんないわよ」
京介「…じゃあお前超暇じゃん」
桐乃「暇じゃない」
京介「強がるなよ、俺と一緒で……暇なんだろ?」
桐乃「違う」
京介「んなこと言うなって! ほらほら、じゃあ一緒に格ゲーしようぜっ?」
桐乃「………」
京介「なっ? なっ? 桐乃、俺だってやるんだぞ? どうだ? 一戦交えようぜ?」
桐乃「……っはぁ~」
京介「な、なんだよ」
桐乃「…今のアンタにあたしがどれだけ言えるかって思えば」
京介「?」
桐乃「口の中が渇いて乾いてしょうがなくなるぐらいに、言葉がバンバン出ると思う」
京介「意味が分からんぞ」
桐乃「…意味が分かってないのはアンタだけ、兄貴だけだけだって」
京介「………」
桐乃「もうさ、あたし達って色々と深く知っちゃったんだよ」
桐乃「駄目な所とか、良い所とか……好きな所とか」
京介「おい、桐乃それは…」
桐乃「黙って聞いてて」
京介「…おう」
桐乃「あたしは別に後悔なんてしてない。
これっぽっちも、あたしがしたこともアンタがしたことも、全て受け止めてるつもり」
京介「……」
桐乃「それがどんな結果を生むかなんて、考えたくないのもわかる」
桐乃「そういった現実から逃げたくなるも、あたしには分かる」
桐乃「…でもさ、そうなるようにしたのは、結局のところあたし達何だから」
京介「桐乃…」
桐乃「別にね、兄貴は周りの奴らと仲直りしていいと思ってる、あたしはさ」
京介「…それは」
桐乃「都合が良いって? 良いじゃん別に、もう開き直って『あれは只の演技でしたー』何て言えば?」
京介「……」
桐乃「…あたしへの告白だって、周りのお断りだって、きっと上手く進んでいくはずだって」
京介「…違うだろ、それは」
桐乃「違わない。そう思ってるのは、兄貴だけ」
京介「……」
桐乃「もう後戻りが出来ないなんて、後悔やら失敗やらを押し隠して生きようとしてるのは」
桐乃「…きっと馬鹿なアンタだけだよ」
京介「…それがなにが悪いってんだ。それが正しい事だろ、本当にしなくちゃいけないことだろ」
京介「例えあれが一時の間だけの関係だったとしても、お前が望んだ結果だったとしても」
京介「俺は本当にお前の事が──………違う、すまん」
桐乃「……」
京介「何を言いかけたんだ俺、忘れてくれ…」
桐乃「…あたしそろそろ出かけるから」
京介「えっ? お前さっき暇だって…」
桐乃「何時言った? 暇じゃないって言ってたじゃん」
京介「そうだけど、さ」
桐乃「そういうことだから、着替えるから出てって」
京介「…おう」すっ
桐乃「……」
京介「なんか、すまなかったな。変な事言わせちまって…」
桐乃「あたしは気にしてない、けど」
桐乃「…色々考えるべきだよ、アンタ」
京介「…だな」
~~~
京介「………」
京介「っはぁ~~~~~……ふぅぅぅぅぅうう~~~~……」
京介「落ちつけ俺、もはやスーパー京介は終わったんだ、これからは今まで通りの俺」
京介「いやむしろ新しい俺だ──ニュー京介だ、二言は無い」
京介「……」
京介「…俺も、少し外に出てみるか」
~~~
京介「…まだ少し風が冷たいな」
京介「俺の心にも…まだ寒い風が吹いてるぜ…」
京介「何言ってるんだろ俺…寒いからもう帰ろうかな…」
京介「………」すっ
京介(──公園まで、近所の公園まで行ってみるか)
京介「……せっかく外に出たんだ。ちょっと歩くのも悪くないだろ」
すたすた
京介「ふぅー……寒いな」
京介「なんで今日に限ってこんなにも寒いんだよ…やる気失くすだろ色々…」トボトボ
京介「ん?」
「あっちゃ~駄目だったね~」
「…ざんねんです」
京介(公園の砂場で遊んでる二人組、あれって…)
京介「まさかアレは…」
京介「お、おい! もしかして───」
「えっ?」
京介「──あ、すんません。人違いでした」
「だ、誰ですか…?」
京介「す、すまん。俺の知り合いかと思って…怖がらせるつもりは無いんだ…」
「い、いこっ!」ぐいっ
「っ……!」
京介「あっ…」
京介「………」
京介「何やってるんだよ俺…馬鹿か」
京介(もしかしてあの姉妹かと思ったんだが…当たり前か)
京介「…それにもし仮にそうだったとして、俺はどう会話するつもりだったんだよ」
京介(今さらノコノコと会話できる立場か? 違うだろ、俺はもうあの二人の前にたつ資格なんてねぇんだ)
京介「…馬鹿野郎」
京介「ははっ……もう、帰るか」
京介「……」トボトボ
~~~
京介「…あれ?」
京介(しまった。何も考えずに歩いてたら──まったく違う道を通ってるぞ)
京介「とうとう思考能力まで低下したか…」
京介(桐乃に散々、馬鹿や脳なしなんて言われてきたが…本当のことだったかもな)
京介「どこらへんだココ。見知った道じゃねえな…」
京介(とりあえず適当に歩いてみるか…別に大して迷ったりしないだろ…)
~~~
京介「結局迷ったぞオイ!」
京介「やべぇ…これは本格的に脳細胞が死んでいるやもしれん…!」
京介(ど、どーする!? 助けを呼ぶか!? 誰にだよ! 桐乃か!? で、でもアイツ出かけてるし…っ!)
京介(うぉおおお! 携帯をとりあえず開いてっ…誰か誰か…うぉおおお!! かけずらい奴らばっかじゃん!!)
京介「うぉおおお!! 死ねる! 大学生になると言うのにこの所業! 車の免許もとれねーよコレ!!」
京介「っはぁ~…これも罰だろな…」
京介(色々と好き勝手やった仇がここにきて爆発してやがるんだ…いいや、甘んじて受けよう。それがニュー京介だ)
京介「クールになれ京介。全てには意味があり、そして答えがある!」
京介「活目せよ! これがニュー京介の……力だッ!」
~~~
京介「あ、ありがとうございますぅ。すみません、大変失礼しましたぁ~」
京介「……やっぱ交番って便利だな」
京介「さて、とりあえず駅を目指すか……結構遠くまで着てるみたいだしな」
京介「どれどれ。お、意外と近いな…なんで迷ってたんだ俺、
ていうかそもそも携帯あるしマップ見りゃ良かったんじゃ…」
京介(深く考えるのは止そう。無限ループに嵌りそうだ)
京介「軽い散歩が飛んだ遠出になっちまったなぁ…」すたすた
京介「……」
京介(──これがもし、俺が高校生の時……まだあいつらと出会って間もない時だったら)
京介(なんやかんやあって、例えば黒猫とかに、バッタリ道端で会ったりして──)
『──あら、こんな所で何をしているのかしら』
京介(なんて、私服姿のアイツと帰り道を一緒に歩いたりして)
京介(…それに、仕事中のあやせとかを見かけて)
『ちょ、ちょっと! いやらしい目でみないでください! 変態ッ!』
京介(とか言われて、大袈裟にコトを重大にしたり)
京介(学校をサボってた加奈子とかに会って)
『よー! なにやってんの? オイオイ、無視すんなって! ぎゃははは!』
京介(変に絡まれて、それから遊びに行ったりするかもな)
京介(もしくは──麻奈実とも会ったりして)
『──きょうちゃん』
京介「アイツは…色々と世話かきだからな、馬鹿な俺を怒りつつも優しく道案内してくれるんだろ」
ころころ変わってごめんな
ちょっとトイレ
京介「それから…」
京介「…それから…」
京介「………」
京介「…なんだっけか、わからん」
京介「…別にいいだろうもう、何を考えてるんだよ俺」
京介(もう戻らないことを考えて、もう手放したものを思い出して、もう壊してしまったものを掘り返して)
京介(一体、なんの意味があるってんだ?)
京介「…後悔なんて、ないだろ」
京介「むしろ後悔なんて──ものを考えるほうがおかしいんだ」
京介「やりたいようにやって、したいようにやって、それから迎えた今なんだぜ」
京介「……」ぎゅっ
京介「あー……マジで俺って情けねぇー……」
京介「…アイツの兄貴失格だよ、ほんっと」
京介(さて、帰るか。この妄想が現実になったらかなわんからな)
京介「後──何日、俺は情けないコトを考えるのかね」
京介「あと…どれだけ考えれば、俺は…俺は……」
京介「……」
すたすた
~~~
京介「ただいまー」
京介「……誰も居ないか」
京介「平日だしな、母さんも出かけてるだろうしっと」ずぼっ
京介「さて、なにすっか」
京介(エロゲーでもするか? …だけどなー、
ちょうどエロシーン入ってるし、親が帰ってきた時のことを考えると…)
京介(ま、いっか。どうせ入ってこないだろ、ヘッドホンつけるし)すたすた
京介「ん?」
京介(今なんか、桐乃の部屋から音がしたような)
京介「……」コンコン
京介「おい、桐乃?」
シーン
京介「…居ないのか?」コンコン
京介(じゃあ何だ今の音? まさか泥棒? 警察の家にドロボーとはいい度胸だなオイ…)
京介(とりあえず中を確認するか──いや、危険かもだが違ったら恥ずいし)ガチャ
京介「おい桐乃。返事ぐらいしたらどうだ──」
「──ふっふっふっふ」
京介「………」
京介「は?」
「よくもまぁ堂々と開けられたものねぇ…暗黒により召喚された獣が放たれてるやも知れないというのに」
京介「……」
「そこが付け入る隙だと言っているのよ、我が放たれし──眷属よ」
京介「…おい、なにやってんだお前」
「あら下賎な物言いね。高貴なる血族の私に、なんら献上もせず対話するつもりかしら?」
京介「いいから、やめろそのキャラ。突っ込みきれん」
「…なにかしら、何処が悪いっていうの」
京介「全てだ。全てにおいて、今の俺では対処できん」
「つまらない男ね。いつからそう寂れた人間になったのかしら」
京介「…やめろって言ってるだろ」ぐい
「ちょ、なにを…!」
京介「やめろって言ってんだ! 桐乃!」バサァ
桐乃「……なによ、怒らなくてもいいじゃん」
京介「っ……怒るに、決まってるだろッ」
桐乃「……」ムスッ
京介「なんだよその格好…それにこのカツラ! その口調もだ!」
京介「あれじゃまるで──っ……お前、本当になにやってんだよ…!」
桐乃「…いいじゃん、それっぽかったでしょ」
京介「…あ?」
桐乃「つぅーか何で怒られるのか分かんなし。あたしはただ…そう、アイツのコスプレをしてただけだし」
京介「…なんで急にコスプレをするんだよ、しかも…」
桐乃「あたしが何やってもカンケーないじゃん。アンタにどう思われるかなんて、アタシが気にする必要なんて無い」
京介「…本気で言ってんのか、お前」
桐乃「いっ…いっちゃ悪いっての!? 関係ないんでしょ!ハッキリ兄貴もそういったじゃんッ」
京介「……」
桐乃「……気にするほうが悪いんでしょ」
京介「……あーったくよ…」ガシガシ
桐乃「……」
京介「なんつーか、すまん。俺も冷静になりたいし、お前の本当の気持ちも察してやりたい」
京介「だけど、無理なんだよ桐乃…わかってくれ、本当に」
桐乃「…どういう意味、ハッキリ言えば」
京介「……」
桐乃「つまり…どういう意味なのよ」
京介「…ふぅ」
京介「今にもお前のことを、殴ってしまうかもしれん」
桐乃「っ……」
京介「そこまで冷静じゃないってことだ。馬鹿なぐらいに怒りが湧いてる、意味がわからないし、意味も分かりたくない」
京介「だから、やめてくれ桐乃。そのコスプレとやらを…やらないでくれ」
桐乃「……勝手に部屋に入っておいて、よく言えるわねそんなこと…っ!」ぐいっ
京介「うぉおっ!?」
桐乃「馬鹿! 死ね腐れ兄貴! 死ね死ね死ねっ!」ぐいぐいっ
京介「ちょ、桐乃…!」
桐乃「──もう二度と顔も見たくないっ!」バン!!!
京介「…桐乃」
「ひっぐ……ぐしゅっ……」
京介「……」
京介「あー本当に俺は…ッ…」ガシガシ!
京介「……はぁ~」
京介「桐乃…聞いてるか」コン
「っ…話しかけるなっ! もう二度と話しかけるなっ!」
京介「…そういうわけにはいかねぇよ、俺はちゃんとお前と会話したい」
「ううっ…いっぐっ…ふぇえっ…」
京介「…すまん桐乃、酷いこと言って」
「ぐしゅっ…んっぐ…」
京介「俺だってお前の気持ちがわからないでもない…なんつーか、その…」
京介「色々と考えてくれたんだろ、よくわからなけどよ…自惚れかも知れねえかもだけど…」
京介「俺の為、じゃないのか…そのコスプレってのは…」
「…ち、ちがうし…ばかいうんじゃないわよ…っ」
京介「そっか、じゃあ俺が勝手にそう思っとく」
「……ぐす…」
京介「だけど、そんなお前の気持ちを蔑ろにして…すまん、俺は本当に馬鹿なやつだよ…」
京介「本当に…本当に…ありがとう、桐乃」
「き、きもいんだけどっ…そう何度も言われるとっ…」
京介「…そうだよな。キモいよな俺って」
「……」
京介「何時だってどんな時だって…俺はキモいやつだよ、知ってるさ」
京介「なんとかしてやるって、誰にでも言って。
なんの根拠も手立てもないのに、自信だけはあって」
京介「前しか見えてなくて、自信過剰で、馬鹿で気持ち悪くて」
京介「──こうやって誰かの優しさも察してやれない」
「……」
京介「…俺、もう大学生なのにな。なにやってんだろうな、本当に」
「…そ、そんなんじゃっ…車の免許取れない…からねっ…」
京介「ん、そうだな」
「馬鹿ばっかでっ…事故っちゃって…なにもかもなくしちゃって…迷惑かけて…」
「周りがどんどん…人が居なくなって…ひとりぼっちになって…」
京介「ん」
「自分がどれだけ寂しい人間かって…気づいた時には、もう…アンタは…」
「っ…ずずっ…兄貴はきっと何時までも悲しい奴になるよ、絶対に…」
京介「…そうかもな」
「…なにやってんのよ、違うでしょ…兄貴はそうしたかったわけじゃないんでしょ…」
京介「……」
「これでいいって、自分で考えて…やりたいようにやって、だけど──」
「───最後は最後で、きちんと決めてくれるのが兄貴じゃん…!」
京介「……おう」
「…ばか、ばかばか」
京介「だな、俺は馬鹿だ」
京介「…じゃあその馬鹿の奴から一つ、お前に言いたいことがある」
「…なに」
京介「人生相談だ」
「え…なに、相談…?」
京介「おう、馬鹿な俺がお前に助けを乞う。大学生の俺が、高校生のお前に相談したい」
京介「ひとつ大人になったお前になら──俺も安心して身を任せられるからな」
「………」
京介「はは、大丈夫だって。あの麻奈実とガチ喧嘩したんだろ? アイツからお墨付きだしな」
「…人生、相談」
京介「そうだ、人生相談。俺の専売特許だった場所をお前に譲るよ」
京介「──そして俺を新たな俺に、変えてくれ」
「………」
きぃ
桐乃「…本気で言ってるの、それ」
京介「ああ」
桐乃「人生相談、って。簡単なことじゃないケド、本気でやるの?」
京介「本気でやる。俺はお前に全てを預ける、どう調理してもいいぜ」
桐乃「……」
京介「……」
桐乃「……情けない、本当に大学生なの?」
京介「情けない大学生だが、お前の兄貴だ」
京介「だから俺は──お前の前では立派な兄貴でいたい」
京介「そのためにお前に助けて欲しい。お願いだ、桐乃…」
京介「…俺を助けてくれ」すっ
桐乃「……」
京介「……」
桐乃「…あたし」
京介「おう」
桐乃「あたしは、一切…手を抜かないつもりだから」
京介「っ…それって…!」
桐乃「…」
京介「了承してくれ、たのか? 本当に俺のことを助けて…くれるのか?」
桐乃「…うん」
京介「っ…! ありがとう! 桐乃!」ばっ
桐乃「………」
桐乃「…それじゃあ始めるから、人生相談」きぃ
桐乃「──ばかな兄貴を更生して、みんなと仲直りするための……」
桐乃「……任せなさい、なんとかしてあげる」
うんこいってくる
~~~
桐乃「……」
京介「それで、一体何をしてくれるんだ?」
桐乃「……とりあえず1つだけ兄貴に言っておくけど」
京介「なんだよ」
桐乃「あたしは多分、一人だけしか仲良くさせることは出来ないかも」
京介「…一人だけ?」
桐乃「そう。これは自信がないとかじゃなくって、アンタの問題って話」
京介「俺が、か。まあ言わんとしてることはわからないでもないけどな」
京介(今から全員と仲良くなるってのも、俺が出来るかどうかわからねえしな)
桐乃「うん。それはキチンと理解してて、すぐに忘れそうだし」
京介「忘れねーよ。お前の言うことだ、ちゃんと覚えておく」
桐乃「ならいいけど」
京介「それで? 俺は誰と仲直りすればいいんだ?」
桐乃「……」
京介「桐乃?」
桐乃「よいしょっと」ばさぁ
京介「お、おい」
桐乃「ちょっと黙ってて、ゴホン」
桐乃「──こんな感じかしら。よくわからないけれど」
京介「うおぉっ!? く、黒猫!?」
桐乃「あら、お久しぶりねお兄さん。元気にしてたかしら? 私を振っておいて、元気にしてたかしら?」
京介「すげぇ! まんま黒猫に聞こえるし、めっちゃ心臓に悪い!」
桐乃「ま、こんな感じね。どうだった?」
京介「すげよ、前から思ってたけど黒猫のものまね上手いな…」
桐乃「ふふーん、でしょでしょ? ま、あたしにかかればこんなもんよねー」
京介「ああ、我が妹ながら素晴しいぜ。で? これが何の解決方法になるんだ?」
桐乃「せかさないで。とにかくアンタ、これに慣れなさい」
京介「へ?」
桐乃「今のあたしに慣れる、ってコト。そうすれば自然と本人とも会話できるようになるハズだから」
京介「…おいそれは流石に無理があるだろ」
桐乃「全部任せろって言ったのはアンタでしょ?」
京介「そうだけどよ…」
桐乃「あら、それとも振った相手の顔はもう見たくないと言うのかしら?」
京介「やめろ!」
桐乃「ほらボロが出た。モノマネのあたしでも、きっついんだから本人の前でちゃんと会話できるワケ?」
京介「うっ…確かにそうかもしれん」
桐乃「いい? 人ってのは壁にぶち当たったらまず、慣れることから始めないとダメ」
京介「お、おう」
桐乃「それがどれだけ高いのか、どれだけ分厚いのか。ひとつひとつ知って覚えて、慣れないといけないの」
京介「流石は陸上で海外行ったやつだな…俺とは説得力が違うぜ」
桐乃「それはアンタがおかしいのよ。さて、じゃあいっちょやりますか!」
京介「うっし! ……というかそれとなく決まってるが、俺が仲直りするのは黒猫なわけ?」
桐乃「そうだけど」
京介「う、うむ…」
桐乃「…先輩」
京介「うわぁっ!?」
桐乃「ひっひ。弱気にならないならない、頑張るんでしょ?」
京介「…頑張る」
桐乃「うん、頑張りなさい。そして仲直りするの、アイツと」
京介「どうして…黒猫なんだ?」
桐乃「ん? なんとなくだけど?」
京介(なんとなくで決めてやがった…)
桐乃「つぅーか他の娘とは難しいって思う所もあるし、最初はハードルの低い奴から攻めるがベスト」
京介「あれ? 意外と考えてるじゃねえか…」
桐乃「だから、なんとなくだってば。こうゆうのは難しく考えちゃダメ、ドツボにはまるだけ」
京介「なるほど…つかお前凄いな、俺ものすごい速さで納得してるぞ」
桐乃「慣れてるし、人からの相談とか」
京介「…お前がぶりっ子だったことを忘れてた」
桐乃「ぶりっこでも役に立つ! ふふん、自慢じゃないけど百は超えるわね。相談相手は」
京介「俺より上級者だった!」
桐乃「…ま、でかさが違うけど。てか無駄口叩いてないで、ほら行くよ馬鹿兄貴!」
京介「よ、よし! 来い黒猫!」
桐乃「そう身構えられるとやりにくいんだけど、まーいくよー?」
京介「おおっ!」
桐乃「ふぅ……───」
黒猫『──あら、お兄さん』
京介「うぐっ!?」
黒猫『どうしたの? 具合でも悪い?』
京介「あ、ああ…ちょっとな…」
黒猫『…そうなの、心配になるわ。お兄さんは元気だけが取り柄じゃない』
京介「良く親からも言われるよ。黒猫も…その、元気そうだな」
黒猫『………』
京介「く、黒猫?」
黒猫『ふふ、元気そうに見えるのかしら? 今の私が、あなたの目にはそう見えているのかしら…』
京介「そ、それは…どういう意味なんだろうか…っ?」
黒猫『とぼけても無駄よ。私には全てわかってるのだから』
京介「ど、どういうことだよ?」
黒猫『アタナはそう──今の生き方に後悔している』
京介「…後悔…?」
黒猫『自分が行った過ちに、罪に、押しつぶされそうになっている』
京介「……かもな」
黒猫『でも、私が感じた傷はそれすらも超えるわ』
京介「っ……!」
黒猫『信じてたのに。あなたは決して裏切ることないと、私のことだけを見つめてくれてると』
黒猫『私はただ、それだけを信じてたのに……あなたは違った』
京介「……すまん、俺は…」
黒猫『あら? 今度は言い訳? …また私を傷つけるのね』
京介「ち、違う! 俺はそんなつもりは無い!」
黒猫『じゃあどんなつもりなのかしら? 血の繋がった妹と恋に落ち、他を捨て、傲慢に生きていく』
黒猫『それが貴方の思いなのかしら? それが貴方を形成する全てなのかしら?』
京介「く、黒猫…違うんだ…俺は…」
黒猫『違わないわ。決して、貴方は違わない』
黒猫『結局はなにひとつ決められない。貴方は逃げたのよ、ひとつの約束で───』
京介「……」
桐乃「──ふぅ……ちょっと兄貴」
京介「……」
桐乃「兄貴ってば、黙ってちゃ練習になんないでしょ。聞いてんの?」
京介「……」
桐乃「? なにやってんの」
京介「ひっぐ…ぐぇ…ぐしゅっ」
桐乃「いいっ!? ちょ、ガチ泣き!?」
京介「ご、べんなッ…ぐじゅるるるる…くろべごぉっ…おで…おでっ…!」
桐乃「うっ…ちょ、ちょっと…アンタ本当に何泣いてるのよ…?」
京介「うっぐ…グスッ…」
桐乃「……そこまできつかったの? もう、やめとく?」
京介「っ…ちょっと休憩…させてくれ…」
桐乃「う、うん…いいけど…」
京介「すまんなっ…すぐ、泣き止むから…っ」
桐乃「………」
~~~
京介「ぐすっ……あーすまん、迷惑かけた」
桐乃「もういいの?」
京介「いいんだ、平気平気。鼻がムズムズしてるぐらいだ」
桐乃「そ、アンタがそういうならイイケド」
京介「…なんつーか、やっぱりキツいな」
桐乃「当たり前じゃん、そーいうことしたんだもん」
京介「ああ、そうだよな。俺はそんな事をアイツにしたんだ…それは、わかってたつもりだったのに…」
桐乃「…それでもちゃんとしなくちゃ、ダメだって思ったんでしょ」
京介「…ああ」
桐乃「うん。じゃああたしも頑張るから、兄貴も頑張ること」
京介「よろしく、頼む」
桐乃「………」
京介(頑張れ、俺。なんとかしたいって思ったからにはやらないとな)
京介(自分がどれだけ馬鹿なのかは分かってんだ。わかってるからこそ、どうにかしないといけないんだ)
京介(──前を向け、見定めろ、お前の眼の前にいる相手は……)
京介「…おう、来いよ黒猫」
桐乃「……──」
黒猫『何度も思うけれど、貴方は本当に強いわね』
京介「……。どうしてそう思う?」
黒猫『嫌われて当然の相手に、こうも堂々と会話できることに決まってるじゃない』
京介「…そうだな」
黒猫『そんなに寿命を減らしたいのかしら。神経を磨り減らしてまで、貴方はいったい何がしたいの?』
京介「俺は…ただ仲直りがしたいんだ」
黒猫『…仲直り、ねぇ』
京介「…そんなの難しいことだってのは分かってる」
黒猫『そうかしら? 私は結局のところ、あの絵に基づくのであれば何だっていいのよ?』
京介「あの絵か…」
黒猫『そう、私と貴方──そして桐乃。構成される形としてあれば、私は構わない』
黒猫『その裏に闇があり、苦悩があり、悲しみがあろうとも』
黒猫『私はあの絵のように、笑ってみせるわ』
京介「…違うだろ、それは」
黒猫『違わないわ。そういった人間だっているもの』
京介「ああ、居るかもな。だけど、それはお前じゃない」
黒猫『…何を分かったようなことを』
京介「そうだな、思いっきり上から目線だし、わかったような口ぶりになるのも悪いと思ってる」
京介「だけど黒猫、お前は違うよ。絶対に違うって、俺はハッキリ言える」
黒猫『貴方にそんなことが言えるの? 物事をはっきりと捉えきれてない貴方が』
京介「それは俺の問題だ。今はお前のことを話してる」
黒猫『一緒よ、貴方の問題も私の問題も結局のところ同じなのよ』
京介「一緒にするな!」
黒猫『っ…』
京介「違うだろ…違うじゃねえか、お前の問題は全然違う!」
京介「俺の問題と…俺みたいなちいせー問題と、お前の問題を一緒にできるかよ!」
黒猫『なにを…言ってるの…』
京介「それは! 俺の身勝手で起こした問題じゃねーか、そして巻き込まれたのはお前だ!」
京介「んなもんは一緒じゃねえ! 全部俺のせいだ、むしろ俺が悪い!」
黒猫『ちょ、ちょっと落ち着きなさい…』
京介「いーや、駄目だ。きかねーぞお前の言葉なんて…ふざけるな!」
黒猫『ど、どうして私が怒鳴られるのかしら…っ!?』
京介「ふざけたこと言ってるからだよ! くそ、なんでこうも苛つくんだ…」
京介「………」
黒猫『……?』
京介「…そっか、単純なことだったのか」
黒猫『どういうことなのよ…』
京介「俺さ、結局のところ……逃げただけなんだよな」
京介「どうしてこんなにも…ずっとずっと悩んでるのか、わからなかったんだ」
京介「俺はやりたいようにやったのに。後悔なんて、しないためにやったのに」
京介「──俺は今、凄く後悔してるんだ。なんもかんも、全てに後悔してる」
黒猫『………』
京介「例えお前やあやせ、加奈子や麻奈実…あいつらに距離を取られたって」
京介「俺はそれでも良いって思ってた筈だったんだ。全てを覚悟して、そう言い切ったつもりだったんだ」
京介「──だけど結局は違ってる」
京介「なぜか俺は怖がってる、お前らに会うことを、今の現状を知られることを」
京介「それを責められることを心の奥底から怖がってるし……そして苛ついてる」
京介「なんでこうなったんだって、だけどやっと意味がわかった……」
黒猫『……意味?』
京介「ああ、逃げたんだな俺」
京介「あの【約束】だよ──桐乃が出した約束だ」
京介「あれに俺は逃げてたんだ。自分の想いを忘れて…アイツに逃げ込んだんだ…」
京介「…黒猫、俺はお前を振ったよな」
黒猫『…そうね』
京介「あんな恥ずかしいこと言って、気持ち悪いことを言って、お前を思いっきり振った」
黒猫『妹と結婚してやるなんて言ってたわ』
京介「ああ、言ってやった。それに俺は言った後、凄く後悔……してない、思いっきり気持ちよかった」
黒猫『……』
京介「だけどさ、今はそれに後悔してる」
黒猫『…どういうこと?』
京介「だって逃げたんだよ俺……あの時! お前に伝えた気持ちが…今は無いんだよ!」
京介「あの時の俺はなんだってするつもりだった! 桐乃を連れてどっか逃げてもいい覚悟だったんだよ!」
京介「…だけど、今は違う。そうじゃない、だって俺と桐乃は──兄妹に戻ってるだろ」
京介「どうしてか分かるか? それはアイツの出した約束に逃げたからだ」
『──卒業まで、二人は期間限定の恋人。卒業したら、二人は普通の兄妹に』
京介「それが一番だって思ったんだよ、一番の落とし所だって…あの時の俺は思ってた…」
黒猫『…そうね、それが兄妹にとっては一番ね』
京介「なんにもっ…なんにも間違っちゃいないよな、正しい考えだったはずだ…」
黒猫『……』
京介「…だけど、俺は後悔しちまってる」
京介「違うじゃねえかっ…だってそれは、黒猫たちを裏切ることになるじゃねえか…!」
京介「あの時の思いのままにっ…お前たちを振ったって言うのに…俺は! 今の俺は……違う」
京介「今はあの気持が全くないんだよ…! 俺には黒猫を振った時の気持ちが、一切ない…」
京介「逃げたんだよ…俺は桐乃に…だから後悔してる…お前らに会うことも、話しをすることも…」
京介「全てが恐いんだ…今の俺を見られることが…凄く恐い…」
京介「腑抜けやろうになっちまった俺に…どうやったら黒猫と会えるんだ…」
黒猫『……──』
京介「だから違うんだよ、お前は……ぜんぜん違う」
京介「お前はちゃんとすごいやつなんだ…あんな馬鹿な俺の話しを、きちんと聞いてくれてたんだ」
京介「俺の本気を受け止めて、そして泣いてくれた奴なんだ」
京介「そんなヤツの問題が…今の俺の問題と一緒のワケがねえ…」
京介「小さすぎて嫌になるぐらいだぜ…」
『──それで、貴方は……アンタはどうするの?』
京介「……俺は決めなきゃ行けないんだな」
『なにを決めるの?』
京介「自分の、本当の想いをだ」
『…本当の想い?』
京介「ああ、現実に怖がって何も出来なかった自分…ニュー京介と、本当にオサバラしなきゃな」
『……』
京介「そして、あいつ等と堂々と顔を合わせるためにも」
京介「なぁ、桐乃」
『っ……』
京介「聞いてくれるか。俺の言葉を」
『……うん』
京介「俺、お前のことが好きだ」
京介「他の誰よりも、どんな女の子よりも、やっぱり好きだ」
京介「マジで結婚したいって思う。駆け落ちだってどんと来い、何だってしてやるよ」
京介「桐乃、結婚してくれ」
『…本当の想い?』
京介「ああ、現実に怖がって何も出来なかった自分…スーパー京介と、本当にオサバラしなきゃな」
『……』
京介「そして、あいつ等と堂々と顔を合わせるためにも」
京介「なぁ、桐乃」
『っ……』
京介「聞いてくれるか。俺の言葉を」
『……うん』
京介「俺、お前のことが好きだ」
京介「他の誰よりも、どんな女の子よりも、やっぱり好きだ」
京介「マジで結婚したいって思う。駆け落ちだってどんと来い、何だってしてやるよ」
京介「桐乃、結婚してくれ」
『………』
京介「……」
『……本当に何考えてるんだが』
京介「俺もわからん、だけど、後悔しないためだ」
『きっと後で後悔すると思うケド?』
京介「あの日、お前の約束を承諾した日よりは後悔しない。絶対に誓う」
『…馬鹿』
京介「ああ、馬鹿野郎だ」
『あの日の約束は、アンタに後悔させないためにと思って考えてたのに…』
『まさかそれが後悔の原因になるなんて、本当にわけわっかんないわよ』
京介「…はは、確かにな」
『…京介』
京介「ん、なんだ」
『──いいよ』
京介「……そうか、うん」
『なにそれ、もうちょっと感動したら?』
京介「おう…そうなんだけどな、なんだか違うんだよ」すっ
『?』パサリ
京介「やっぱり嬉しいなって思うし、反面、やっちまったなと思っちまってる」
「…ちょっと、もう後悔してるじゃん」
京介「ちげーよ、そういうんじゃねえって。後悔って言えるレベルじゃない」
「どゆこと?」
京介「……ああもう言わせるなよ、恥ずかしいだろ」
桐乃「…ええぇ~? なになにぃ? 言ってみてよ、ちょっと!」
京介「だぁーもう! やめろ!」
桐乃「恥ずかしがらなくてもいいじゃん、ねぇ~え~?」
京介「じゃ、じゃあ……言うぞ? いいんだな!? 言っちゃうぞ俺!?」
桐乃「うん」
京介「こ、子作りとかどうしようかなーって」
桐乃「さ、サイテーッ! マジなんなのそれ!? なんでまずそれを考えるの!?」
京介「だって結婚だろ!? じゃあ考えなきゃだろ!」
桐乃「何を言うのかと思えばっ…変態! 死ね死ね! ばーか!!」
京介「お前を置いて先に死なん!」
桐乃「あ、うん……ってちょっと、そんな勢いでも騙されないからねそんなの!」
京介(騙されそうになったんだ…)
桐乃「ったくもぉー…なんだっていうのよ…」
京介「諦めろ。惚れた相手はこんなやつだ」
桐乃「うぎっ…今のあたしこそ後悔しそうになってるんですけど…」
桐乃「……それで、どうすんの?」
京介「考える」
桐乃「大丈夫なの、お父さんとか色々と」
京介「大丈夫だ。いざとなったら……うん、殺される覚悟で挑む」
桐乃「…ほんと?」
京介「やっぱ逃げるかもしれん…」
桐乃「はぁ~…ま、どっちでもいいけどね」
京介「おい、どっちでもいいってなんだよ…」
桐乃「あたしはどう転ぼうと良いって言ってんの。喧嘩売っても、喧嘩買われても」
桐乃「最大の約束まで使っても……折れなかった京介の……ゴホン」
桐乃「ず、ずっと…側に入られるんならぁ? そ、その…どこまでも付いて行くって…いうかぁ? う、うん」
京介「……」
桐乃「そ、そんな感じっ…だから…わかった?」
京介「桐乃…」
桐乃「な、なに?」
京介「抱きしめていいか」
桐乃「えっ? ちょ、まって、わぷっ」
京介「……」ぎゅう…
桐乃「ちょっと…!」
京介「…ありがとう」
桐乃「え…?」
京介「ありがとな、お前のことを好きになって本当に良かった」
桐乃「………」
京介「ずっとそばに居てやるから、ずっとずっと…死ぬまでいてやるよ俺」
桐乃「…ばか」
京介「……桐乃」すっ
桐乃「あ…え…」
京介「……」
桐乃「えっと…あの…する、の?」
京介「うん」
桐乃「っ……えっとさ、違くてその…あたしもね…キスとかーしたいのは…うん」
京介「いやなのか?」
桐乃「違う違う! な、なんで泣きそうになるのよ…」
京介「…なんかめちゃくちゃ怖くて、よくわからんけど」
桐乃「ううっ…ああもうっ…えっと…」
桐乃「……したいの?」
京介「したい」
桐乃「うぉおっ…!」
京介「なんだその悶え声…」
桐乃「う、うっさい! だけどさ、それはまた今度にしないっ?」
京介「……」ホロリ
桐乃「泣いた!? う、うっそ本当に泣かなくてもいいじゃん…!」
京介「…やべぇ、俺、本気で死んじゃうかも」
桐乃「だ、だめだって! なんていうかちょっと都合が悪いっていうかっ…」ごにょごにょ
京介「なんだよ、何が悪いって──……ん?」チラッ
京介「お前耳の中に、何か入ってない?」
桐乃「え」
京介「なんだそれ、イヤホン? ワイヤレスの奴か──」すっ
桐乃「だ、だめっ」
京介「えっ」
桐乃「これはだめだかんねっ! 触っちゃダメだから!」
京介「…おい、なんだその反応」
桐乃「うっ…」
京介「ちょっとそれを貸せ。いいから貸せ、夫命令だ」
桐乃「まだ結婚してないし!? いやいや! いーやだってば!」
京介「じゃあ未来夫からの命令だ! かしなさい!」
桐乃「ちょ、本当にダメだって! あっ…!」ぽろり
京介「そこだ!」がしっ
桐乃「ちょっとマジで返して! マジで!」
京介「いーや駄目だ。こんな大事な時にお前は一体何を聞いてたんだよ──」ごそっ
『どうでありますか黒猫氏』
『わからないわ。先程から雑音が酷くて…それと私は闇猫よ、間違えないで』
京介「………」
桐乃「っ……」だらだらだら
『そうでありましたな! 拙者慣れしたんだ名前が好きでありまして~』
『それは過去の私よ。もう既に廃れた存在である者──これこそがダークシステム、闇猫』
京介「おい、黒猫。あと沙織」
『っ……!? !!? ! ?』
『なっ…えっ!? ちょ、うそうそっ』
京介「どういうことだよ、どうしてお前らの声が…これから聞こえるんだ」
『い、いや~えっと…色々と訳がありまして~』
『っ……っ……』
京介「ワケ? どういったわけだよ、って待て。ちょっと黒猫の様子大丈夫かよ?」
『え? 黒猫氏──黒猫氏!? 大変であります! 黒猫氏が泡を拭いてあわわわわ!』
『』
『黒猫氏ぃ───!!!』
京介「お、おい…大丈夫か…?」
桐乃「な、なにかあったのっ!?」
京介「…えっとわからん、なんか黒猫が泡を吹いたらしい」
桐乃「えっ! 嘘!」くるっ
京介「ちょ、オイ! どこに行くんだ桐乃!?」
桐乃「リビング!」だだっ
京介「リビングって…え? リビング?」
~~~
京介「……まさか、ずっとここに居たのかよ」
沙織「あ、あはは、あはは~」
黒猫「……」
京介「それで、どうしてここに居るんだ」
沙織「電波が届く距離の最大が、ここまででして。安物故に、仕方なく上がらせてもらいました」
京介「なるほどな、って違うだろ。どーしてお前らがここに居るんだってことだ!」
黒猫「…それは貴方のためよ」
京介「…黒猫」
黒猫「久しぶりね、先輩」
京介「ああ、そうだな」
黒猫「えらく余裕なのね。私はてっきり、
貴方の妹が仮装した私と…同じ様な反応が来ると思っていたのだけれど」
京介「…それはもう大丈夫だ」
黒猫「そう、後悔──してないようね」
京介「おう。何度でも何回でも文句でも言ってくれ、呪いも可だ」
黒猫「ふふっ…今の貴方には何も効かないでしょうからまた今度にしておくわ」
京介「…そっか、何時でも遊びに来いな」
黒猫「ええ」
沙織「…これはこれは、拙者は二人は仲直りをしたと見てよろしいのですかな」
京介「ははっ、それはわかんねーよ」
黒猫「ええ、そうね。我が一族が付け狙う標的としては変わってはないわ」
沙織(仲がよろしいですなぁ)
京介「それで、俺のためってどういうことだよ」
沙織「それは拙者からご説明させて頂きます」
沙織「──以前よりきりりん氏からご相談を受けておりまして」
沙織「あの腑抜けた兄貴をどうにかしたい、と。」
京介「…続けてくれ」
沙織「きりりん氏は申しおりました」
『変わるためにはアイツを本気にしないとダメ。何にたいして本気になるか気づかせなきゃダメなのよ』
京介「…桐乃が」
沙織「左様、つまりは京介氏は──自分のこととなると『本気を見出す瞬間』を見つけ出せれないと」
沙織「他人のこととなれば、脇目もふらず本気になれる方でありながら──」
沙織「──こと自分のことになれば、わけもわからず泣いてしまうと」
京介「…自分のことながら恥ずかしい話だぜ」
沙織「ええ、きりりん氏も嘆いておられました。だからこそ、拙者たちが一肌脱いだという形であります」
京介「あの、コスプレ衣装にカツラは沙織が用意したんだな?」
沙織「左様です」
京介「そっか、じゃあその…なんていうか桐乃のガチ憑依みたいな演技力は…」
黒猫「私よ先輩」
黒猫「耳に入れたイヤホンを通じて、私が伝えたいことを呟いたの」
京介「…じゃあ、あの時の言葉は」
黒猫「そう、私の全て。私の心の中の言葉を全てよ」
京介「……」
黒猫「先輩、私は貴方に本当は気づいてほしくはなかった」
黒猫「──自分の本当の後悔を、気づいては欲しく、なかった」
黒猫「そのままずっと後悔を知らず、何が悪いのかを自覚せず」
黒猫「全てを絶望しながら──人生を消化することを、心から望んでいたわ」
京介「末恐ろしいことを考えるなお前…」
黒猫「それが私よ、リア充を呪い、カップルを穢し、全ての恋に──終焉を望む」
黒猫「貴方にもその呪いがかかり続ければいいと、思っていた」
京介「…でも、それも今日までだ」
黒猫「そうみたいね。貴方はもう呪いにかかっては居ない」
黒猫「自分の足で立ち、自分の意思で前を向いている」
黒猫「…なんて羨ましいのかしら」
京介「はっ、馬鹿言うなよ黒猫。違うって、俺は別に呪いは溶けた訳じゃねえよ」
黒猫「…どういうことかしら」
京介「むしろ呪いが強まったんじゃないか? よくわからんけど、そう思ってる」
京介「まぁ何にも解決なんてしてないってことだ。
俺は自分のことを踏ん切りをつけただけ、まだ何も行動しちゃいない」
黒猫「……」
京介「言ってもいいか、黒猫」
黒猫「…ええ、どうぞ」
京介「俺は桐乃が好きだ。だから、お前とは付き合えない」
京介「──そんな俺を許してくれ」
黒猫「…最低ね本当に」
京介「だな、だけどコレが俺だよ」
黒猫「…知ってるわ、そんなこと」
黒猫「ずっと…ずっとまえから、貴方のことなんて」
京介「そっか、嬉しいよ。それに沙織もだ」
沙織「およ?」
京介「やっぱ好きになったからには、大事にしたいんだ。すまん、俺は桐乃と生きる」
沙織「………」
沙織「…いやはや、あの時、拙者は京介氏に期待しすぎてたようですな」
京介「そうだな」
沙織「まさか真逆の選択をおとりになるとは…感服いたしました、是非にがんばってください!」
京介「…いいのか」
沙織「良いも何もいったでござろう? 京介氏には期待しすぎたと」
沙織「──ならこの先も、どんどん私の期待を裏切り続けてください」
京介「…わかった、期待しとけ」
沙織「ええ、期待しておりますわ」
「──さっきから期待期待って何言ってんのよ」
京介「お。マイハニー」
桐乃「き、きもっ! やめてよその呼び方…っ!」
沙織「いやーラブラブですなぁ~」
黒猫「桐乃」
桐乃「うっ…なによ…」
黒猫「はやくそれを。喉が乾いてしょうがないわ」
桐乃「なによ偉そうにっ…はい、どうぞっ」
黒猫「ご苦労様ね、ごく…ごく…」
桐乃「……」
京介「なあ、桐乃」
桐乃「…なーに」
京介「お前って結局、俺にどうして欲しかったんだ?」
桐乃「…今回の件でってコト?」
京介「そう、それが気になってるんだよ」
京介「沙織や黒猫に頼んで、俺をどうにかして欲しかったみたいだけどさ」
京介「お前的には一番──望んでた結果ってのは、なんなのかなって」
桐乃「……」ぷいっ
京介「おい、なんだよ聞かせてくれてもいーだろ」
桐乃「やだ」
京介「かわいくねーな…チュ~するぞコラ」
桐乃「なっ!」
京介「嘘だよ」
桐乃「ぐぬぬっ…!」
黒猫「──キスよ」
京介「……えっ?」
桐乃「ちょ! アンタなにをいって!?」
黒猫「そうなのでしょう? 沙織は騙せても、私は騙せないわよ」
京介「黒猫…それはどういう…?」
沙織「ほほぅ、拙者も気になりますなぁ?」
黒猫「つまりはこのビッチ、貴方のキスを忘れられないようなのね」
桐乃「っ~~~~!?」ぼっ
京介「ほ、ほほう」
沙織「なるほどなるほどぉ」
黒猫「よほど感動的で、扇情的で、思い出に残ったキスだったようね」
黒猫「──顔を見れば一発で分かったわ。ああ、またキスをして欲しいだと」
桐乃「あ、あ、あ、あ、ああああっ…あんたねぇ~~~~!!!」
黒猫「あら、違うのかしら。違うのであれば反論材料を用意してきなさい」
桐乃「ち、違うわよ! 違うったら違う!」
黒猫「駄々をこねても問題は解決しないわ。考えなさい、その小さい脳みそで」
桐乃「きぃいいいい!」
京介「なんだよ桐乃…言ってくれれば何時だって俺、したぜ?」
桐乃「ば、ばかっ! 近づくな! 変態! シスコン!」
沙織「いいですなぁ~きりりん氏ぃ~あつあつですなっ?」
桐乃「ちょ、沙織も変なこと言わないでよ!」
京介「んだよ素直じゃねーな。ほら、ん~~~」
桐乃「ぎりっ!」シュッ!
京介「いでェッ!?」パァン!
桐乃「はぁっ…はぁっ…もう知らないから! ばかっ!」だだっ
京介「ちょ、桐乃! 何処行くんだよ!」
沙織「あらら~」
黒猫「ふふん」
京介「ったくよー…じゃ、追いかけてくるわ」
沙織「お。さっそく京介氏っぽくなってきましたでござるなっ!」
京介「ん、そーかもな」
黒猫「褒めてないわよ、決してね」
京介「そーだったとしても、今の俺にとっては褒め言葉なんだ」
黒猫「そう。じゃあ行きなさい──愛しい存在の元へ」
京介「おう、行ってくる」
黒猫「私たちは待ってるわ。戻ってきたら……そうね」
黒猫「──あなた達を祝ってお祝いをしなくちゃいけないものね」
京介「……おう」
たったった
沙織「…これでよかったのでしょうか」
黒猫「…ええ、良かったのよ」
沙織「あの二人には一生、苦難が押し寄せてくるのでしょうね」
黒猫「それを望んだからにはね」
沙織「…でもわたくしは決して、あの二人からは離れませんわ」
黒猫「殊勝な心がけね、尊敬するわ」
沙織「いえいえ、黒猫さんほどではありませんわ」
黒猫「…ふふ、いいのよ私は」
黒猫「私には考えることすら必要ないのよ──全ての線から断罪された、永遠なる…」
黒猫「…闇のように漆黒の呪いで繋がれているのだから」
~~~
京介「…おい桐乃」コンコン
京介「……入るぞ」
桐乃「ぐす…」
京介「なんだよ泣くなよ…泣き虫だな、お前も」
桐乃「っ…あんたと一緒にしないでっ」
京介「へいへい」
桐乃「…二人は、まだ居るの…?」
京介「居るよリビングに。呼ぶか?」
桐乃「ううん…いい」ふるふる
京介「そっか」
桐乃「……」
京介「ほら、こっち来い桐乃」ぽんぽん
桐乃「ど、どうしてよ…っ」
京介「いいだろ別に。泣いてるお前を慰めたいんだ」
桐乃「…あたしは別に」
京介「んっ」ぐいっ
桐乃「きゃっ」
ぽすん
京介「…こういう日ぐらい、ちょっとは甘えろ」ぎゅっ
桐乃「……」
桐乃「……うん」ぎゅうっ
京介「桐乃…俺はお前のことが好きだからな」
桐乃「…わかってるって」
京介「この世で一番大切な人間だからな」
桐乃「…大丈夫、わかってる」
京介「俺らが兄妹でも、だ…絶対にお前を離さない、絶対にだ」
桐乃「…わかったから」
京介「そっか、分かってくれたならいいんだ」
桐乃「…あたしも離れないからね」
京介「いいぞ、死ぬまで離れるなよ」
桐乃「…死ぬときはあたしが先に死ぬから、京介、先に死んじゃったらもう…酷いことなると思う」
京介「…同意見だ、俺もお前よりは先に死にたいよ」
桐乃「…ぷっ」
京介「…ははっ」
桐乃「あははっ…くす、ねーあのさ」
京介「ん、なんだ──」
ちゅっ
桐乃「ん…ありがと」
京介「…突然だなオイ」
桐乃「そお? いーじゃん別に、これからもっと…す、するんでしょ?」
京介「か、かもな。やべー覚悟しておかないとな、とりあえず子供の名前何にする?」
桐乃「先走り過ぎだからっ! なんでそう直ぐに子供を考えんのよっ…!」
京介「男のロマンだからな」
桐乃「っ…あーもう勝手にすればっ」
京介「怒るなって、ほら、一緒に考えようぜ?」
桐乃「………うん」
京介「じゃあ、そうだな。まずは…」
桐乃「男の子、がいいな」
京介「男の子? つまり最初の子が、ってことか?」
桐乃「そうそう! そして次が…女の子」
京介「ほう。兄に妹か」
桐乃「うんっ! それなら色々と妄想できるしっ!」
京介「待て、実の息子と娘をお前の欲望の糧に使おうとするなっ!」
桐乃「なにってんの? この話自体が妄想じゃん」
京介「ち、違う! なんかそういうことじゃない! もっと夢のある話をしてるんだよ俺たちは!」
桐乃「だから妄想でしょ?」
京介「妄想言うな! 未来予想図と言ってくれ!」
桐乃「はっ! なにそれウケルー」
京介「…本気で考えてくれよ、マジで」
桐乃「なぁーにマジで受け取ってんのよ。ちゃんと考えてるってば」
桐乃「だけどさ、やっぱり兄と妹がいいな」
京介「…なんか意味深だな」
桐乃「そお? 無事に生まれてくれるだけでもありがたいって思うけれど」
京介「…おう」
桐乃「大丈夫、きっとうまくいくはず」
桐乃「──アンタみたいなバカみたいな兄が生まれると思うよ」
京介「そうかい、だったら後から生まれてくる妹も、こんな感じだろうな」
京介「生意気でムカツクやつで、直ぐに兄のことを蔑ろにする」
京介「そんな面倒くさいやつで、だけど、努力家で自分の意思を曲げないほんとーに凄いやつ」
桐乃「いやー照れるなぁー」
京介「……だからこそ、その兄も思うハズなんだよ」
『──俺の妹がこんなに可愛いわけがない、ってな』
終わりです
ご支援どうも
最終巻読んで思った事をそのまま書いた悔いは無い
idコロコロ変わってるけど全部>>1です。
それではではノシ
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