杏子「とりあえずチョコでもくれよ、さやか」 (66)

~さやかの家~


さやか「はあ?」

さやか「…あんたねえ、今日は確かにバレンタインデーだけど」

さやか「夜にマミさん家で、チョコの交換会しようってなってるから」

さやか「手作りのを用意しよってなったんでしょ!」

杏子「そりゃ、知ってるけどさ~」

杏子「こんだけ目の前にチョコあったら、ちょっとくらいもらったって…」

さやか「あんたが一人で作れないから、あたしが手伝ってんでしょーが!」

さやか「別にあたしは一人で作れるからいいんだよ?あんたの手伝わなくても」

杏子「…んだよ、さやかのケチ」

杏子「へいへい、悪かったよ」

さやか「謝るくらいなら、そこのボウルにココアパウダーいれといて」

~まどかの家~


まどか「えっと…」

知久「まどか、これはこっちに一緒に入れとくんだよ」

まどか「う、うんっ」

まどか「んしょ」

知久「でも、まどかが手作りチョコを作りたいだなんて、好きな子でもできたのかい?」

まどか「ち、違うよっ!パパ」

まどか「先輩の家でお友達同士で、チョコの交換会やることになって…」

まどか「先輩もさやかちゃんも、料理とか上手だから…私だけ、買ったのってわけにも…」

知久「ははは、まどかも負けたくないわけだね」

まどか「ま、まあ…」

知久「おや?でも、この一つだけは、特別みたいだけど…」

まどか「あっ、こ、これは…」

まどか「な、なんでもないよっ、これもお友達のだもんっ」

知久「ははは、まあ、そういうことにしておくよ」

~マミの家~


マミ「夢を~♪叶えて~」フフーン

マミ「一人で探してたときも~♪」フフーン



…ピンポーン

マミ「はーい」

…ガチャ


マミ「いらっしゃい、なぎさちゃん」

なぎさ「お邪魔するのですっ」

マミ「みんなは夜に来るわ」

マミ「さあ、あがって、チョコを作りましょ」

なぎさ「はいです!」

~ほむらの家~


ガサゴソ…
バタバタ…

ほむら「…えっと、これは、ここで…」

ほむら「後は、これを冷蔵庫で冷やして…」

ほむら「レンジは…あと、3分ね…」


ほむら「あっ!」

ほむら「文字書かなきゃ…!」


バッ!
ガチャーン

ほむら「あつっ!」



ほむら「…ううっ」

ほむら「…はあ、また失敗…」


ほむら(どうして私にはこういう才能ないのかしらね)

ほむら(悪魔なんだから、なんでもできるはずなのに…!)



ほむら(でも、諦めないわ…!)

ほむら(必ず私の手作りチョコをまどかに…!)


ほむら「あ…」

ほむら「そういえば、交換会用のチョコを買ってこないと…」

ほむら「それに材料も減ってきちゃったから、ちょっと買い物に…」

その後
 ~見滝原市内~


スタスタ…

ほむら「…」

ほむら(これで、いいわね…)



ほむら「…さて」


スタスタ…

~さやかの家~


…ピンポーン

杏子「おい、誰か来たぞ」

さやか「ごめん、杏子」

さやか「今、手離せないから、出て」

杏子「ったく、しょうがねーなー」


杏子「はーい」

スタスタ…

ガチャ…


ほむら「こんにちは」

杏子「なんだ、ほむらじゃねーか」

杏子「どうしたんだ?てめえも今夜の準備してんじゃねーのか?」

ほむら「ええ…買い物の帰りよ」

杏子「で、なんでアタシんとこに?」

ほむら「…これよ」
バッ

杏子「?」

杏子「んだ、この紙袋の山は?」

ほむら「中を見てみなさい」


杏子「ん?」

杏子「!!」


杏子「こ、コイツは!!」

杏子「ブラックサンダーじゃねえか!!」

杏子「しかも、これ全部か!?」

ほむら「…ええ」

杏子「おお!」

杏子「なんでだ!?どうしたんだ!?」

ほむら「…いえ、ただ…美樹さやかに頼まれたのよ」

ほむら「あなたが節分のときから、ブラックサンダー食べたがってたから」

ほむら「美樹さやかが特別にあなたにブラックサンダーを用意していたのよ」

ほむら「でも、恥ずかしくて自分では渡せないから、私が頼まれたの…」


杏子「ホントか!?さやかあ!!」

バタバタ!

ほむら「…ふふふっ」

ほむら(美樹さやかが来たら説明するのも厄介ね…)

ほむら(メモでも置いていけばいいでしょう…)

…スタスタ
____


杏子「ホントだって!さやか!」

さやか「はあ?あたしそんなの知らないよ?」

杏子「じゃあ、ほむらに聞いてみよーぜ」

さやか「…あいつ、また何か」

スタスタ…

杏子「あ、あれ」

さやか「ちょっと、ほむら!」

杏子「あれ、アイツ帰っちまったのかな」

さやか「はあ、何よそれえ」


杏子「でも、見ろよ、これだけのブラックサンダーだぞ!」

杏子「うわあ~これならブラックサンダーの風呂だって入れるじゃねーか!」


さやか「……」

さやか(…アイツ、また何か企んでるんじゃ…)


さやか「ん?」


さやか(何、このメモ書き…それと、5000円札!?)

スッ…

メモ書き「お年玉は、ごめんなさい」

メモ書き「でも、そのまま返すのは悪魔らしくないので」

メモ書き「ブラックサンダーで返します。 悪魔より」

メモ書き「P.S それと卸値で買ったので、利益の5000円は返します」



さやか「あ、あいつ…!」


さやか(まあ、でも素直じゃないあいつらしいし…いいってことにしますか!)

さやか(杏子にはうまく言ってたみたいだし…)

杏子「なあなあ、さやか、これホントにお前が用意したのじゃないのか?」

さやか「えっ、あ、ああ~う~ん」

さやか「じ、実は、あたしが杏子のために買っといたんだ~」

杏子「やっぱ、そうじゃねーか!」

杏子「うおおお!さやか、ありがとう!」
ダキッ!

さやか「ちょ、ちょっとっ」

杏子「マジで嬉しいぞ」

スリスリ…

さやか「ちょっ///」

~見滝原市~


スタスタ…

ほむら「…ふふふ」


ほむら(感謝しなさい、美樹さやか…悪魔であるこの私が、ちゃんと返したんだから)

ほむら(杏子ともイチャつけるネタにもなったんだし)



ほむら「さあ、はやく帰ってまどかのチョコを作りましょう」

バレンタインデーの日の夜

~マミの家~


マミ「ゴホン」

マミ「…じゃあ、全員そろったわね」

マミ「では、バレンタインデーパーティを始めたいと思いまーす」

なぎさ「はじめるのです!」

さやか「いえーい!」

杏子「ひゅー!ひゅー!」

まどか「うぇひひっ、みんなはしゃいじゃって!」


ほむら「……」


ほむら(相変わらずこのノリだけは理解に困るわ…)

ほむら(まあ、でも今日はまどかにチョコを渡さなきゃいけないから…仕方ないわね…)

杏子「うおお!チョコばっかじゃん!」

杏子「うまそ~」

マミ「もちろんバレンタインなんだから、チョコのお菓子がメインよ?」

杏子「じゃあ、いっただきま~す!」
パクッパク

杏子「おおお~うめえ!」
モグモグ

さやか「あんた、さっきまでブラックサンダー食べてたくせに…」

さやか「どんなお腹してんのよ」

まどか「私もいただきますっ」
モグモグ…

まどか「…おいしい!」

マミ「ありがと」

さやか「よし、それじゃあ、あたしも」
モグモグ…

さやか「うお!めっちゃうま!」

ほむら「……」
モグモグ…

ほむら「あ、おいし…」


ほむら(どうしてこんなにおいしくできるのかしら…)

ほむら(私がどんなに頑張っても、こんなにはならなかったのに…)


ほむら「…はあ」

ほむら(まどかは私が作った下手なチョコで喜んでくれるのかしら…)

ほむら(自信なくしたわ…)


まどか「ん?どうしたの?ほむらちゃん?」

ほむら「えっ、う、ううんっ」

ほむら「なんでもないわ…」

杏子「なあ、マミ、これはハンバーグか?」

マミ「ふふっ、これはね…食べてみればわかるわよ」

杏子「んー?」
モグモグ…

杏子「!」

杏子「チョコパイか!」

杏子「それに…」

杏子「チーズか?」

なぎさ「なぎさの特製チョコパイチーズがけなのです!」

杏子「へえ、意外とあうなあ」
モグモグ

さやか「ねえ、まどか、これ食べてみて」
ヒョイッ…

まどか「え、あっ」
パクッ
モグモグ…

さやか「どう?」

まどか「ど、どうって、おいしいけど…?」


さやか「へー、うまくできてたんだあ」

さやか「んじゃ、あたしも」
パクッ

さやか「あ、ほんとだ、案外おいしいじゃん!」


まどか「え…ええっ?」

さやか「いやあ、ごめん、ごめん」

さやか「杏子がさ、てきとーに作ったチョコだったから心配だったんだよね」

さやか「まあ、材料の調整とかはあたしがしたから、間違ってるはずはないんだけどね」

さやか「チョコを交換する前に、味見くらいしとかなきゃなあって」

まどか「そ、それで…わ、私に味見させたの!?」

さやか「ま、そんなとこ~、でもおいしかったんだし、良かった良かった」

まどか「ひいどいよ~さやかちゃん!」

杏子「なんだよ、アタシのチョコは不味いってかあ?」

まどか「さやかちゃんがね、心配だからって私に味見させたんだよ、杏子ちゃんっ」

杏子「なあにい!おいさやか、どういうことだ」

さやか「いやあねえ、だって毒物レベルで、なぎさちゃんかマミさんが食べて倒れでもしたら大変じゃん?」ニヤニヤ

杏子「てめえなあ…!」

まどか「杏子ちゃんに失礼だよっ!さやかちゃん!」

ほむら「……」

ほむら(相変わらず、この子たちは楽しそうね…)

マミ「まあまあ、いいじゃない、みんな誰だって最初はお菓子作りなんてうまくいかないものよ」

ほむら「…巴さんに言われても説得力ないわね…」

杏子「右に同じ…」

まどか「…マミさんには悪いけど…うん…」

さやか「マミさんの言うとおりだよ、みんな」

マミ「どうして私が言うと、説得力ないのよ!」

さやか「いやいや、マミさん、みんなあたしたちのお菓子作りのうまさに嫉妬してるんですよ~」ニヤニヤ

ほむら「…」ギクッ

まどか「…うぇひひっ、まあ正直に言うと…」

杏子「ま、あたしは食うほうだから、どうでもいいけどなあ~」

杏子「作るのなんて、めんどいだけだし」

マミ「あら、そうなの?あなたたち、別に嫉妬なんてする必要ないわ」

マミ「誰だって、最初はなんでもうまくいかないものよ」

まどか「あの、マミさんは…どうしてそんなにお料理とか、お菓子作りとか上手なんですか?」

マミ「私は…まあ、両親がいないっていう、環境のせいもあるかしらね…」

まどか「あ、ご、ごめんなさい…」

マミ「ううん、いいのよ、私もそれで料理とか始めて、その大変さとかわかったし」

マミ「最初はもちろん、うまくいかなかったわ」

マミ「でも、何度も練習して、そうやってうまくなっていったの」

マミ「あなたたちだって、家で何度も練習して、諦めずに続けていれば絶対うまくなるわ」

さやか「ま、さやかちゃんは、日ごろから手伝いしてますからね~」

ほむら「……」

まどか「そんなものかなあ…私は何をやってもダメなような気がするなあ…」

ほむら「…そんなことはないわ!まどか」

まどか「ほむらちゃん…」

まどか「でも、ほむらちゃんも、そんなこと言ってお料理とかお菓子作りとか上手なんでしょ?」

ほむら「そんなわけないわ、私の方こそ全然ダメよ」

まどか「えぇ、そんなことないと思うけどなあ」

ほむら「まどかの方が私より絶対うまいわ」

さやか「まあまあ、いいじゃんいいじゃん」


マミ「さあ、それじゃそろそろチョコの交換をしましょうか」

なぎさ「賛成なのです!」

マミ「じゃあ、みんな、テーブルを囲むように座って」

マミ「自分の用意したチョコを手に持って、右から左に回すのよ?」

まどさや杏なぎ「はーい」

まどか「これって、クリスマスのプレゼント交換みたいっ」

マミ「それじゃあ、みんな、目を瞑って」

マミ「ミュージック、スタート!」

ポチッ

ユメヲーカナエテー♪
ヒトリーデサガシテタトキノー♪


マミ「はい、右から左に手渡ししてって」
スッ
まどか「えっと、右から左に…」

さやか「ええと、こっちが右だから、左っ」

杏子「これ一番でけーな、アタシこれにする」

マミ「ダメよ、佐倉さん、音楽が止まるまで回すのよ」

なぎさ「なんかイスとりゲームみたいで楽しいのですっ!」


ほむら「……」

ほむら(…なによこれ、ほんとにイスとりゲームじゃない…)

ほむら(でも、これなら…)

…カシャッ
ササッ!

…カシャ
ササッ!

まどか「…あ、あれ…」

まどか(私の触ってる箱、いつも同じ形のような…)



…プツ

マミ「はい!ストップ!」


ほむら(ふふふ、まさか時間停止がこんなとこで役に立つとはね…)

ほむら(これで、まどかのチョコは私のとこに、私のはまどかのところにきたわ)

ほむら(やっぱり便利ね、この魔法…まだ使えてよかったわ…)

マミ「はい、みんな、目を開けて」

マミ「もし自分のが手元にある人は隣の人と交換ね」

さやか「あれ、これあたしのじゃん」

さやか「はい、杏子、あたしのと交換」

杏子「さやかのチョコなら、別にいつでも食べられるしなあ」

杏子「せっかくなら、マミのもっと食いてえし」

杏子「このデッカイやつ、マミのだろ?」

マミ「ええ、それは私のよ?」

さやか「杏子!あんたねえ…!」

さやか「ま、まあでも、確かに一理あるわね、あたしも多分アンタの作ったやつ当たってたら同じこと言ってるだろうし」

さやか「…じゃあ、なぎさちゃん、交換しよっか」

なぎさ「はいなのです!なぎさも自分のを持っていたのです!」

さやか「おお!じゃあ、あたしはなぎさちゃんのを食べれるわけかあ」

マミ「じゃあ、これで全員いいわね?」


マミ「えぇっと、私のチョコを佐倉さんが持ってて」

なぎさ「私のはさやかが持ってるのです!」

マミ「暁美さんが…」

ほむら「…これは、まどかのものね」

まどか「えっ…う、うん」

まどか(ど、どうしてほむらちゃん私のって、わかったんだろう…)

杏子「アタシのが、マミので、さやかのがなぎさのだろ?」

さやか「うまく、別れたね」


マミ「じゃあ、みんな、食べてみましょう!」

まどか「いただきます」
パクッ
モグモグ…

ほむら「…いただきます」
パクッ
モグモグ…

さやか「いっただっきま~すっ」
パクッ
モグモグ…

杏子「いただきまーす」
パクッ
モグモグ…

なぎさ「いただきますなのです!」
パクッ
モグモグ…

マミ「いただきます…」
パクッ
モグモグ…

モグモグ…
まどか「……」

まどか(ちょ、ちょっと苦いけど…私のより、絶対おいしくできてる…)

まどか(やっぱり、ほむらちゃん、お菓子作りも上手なんだ…)

モグモグ…
さやか「おおっ、なんだこの食感は!」

なぎさ「チーズ入りなのですっ!」

さやか「なるほど~」

なぎさ「さやかのも、甘くておいしいのです!」

なぎさ「マミのと同じくらいおいしいのです!」

さやか「いやあ~マミさんには負けるって~」

杏子「!!」

杏子「…お、おい…マミ、何を食べさせやがった…!」

マミ「ふふふっ…」

杏子「…辛ええ」

さやか「ええっ!マミさん、何したんですか!?」

マミ「なぎさちゃんと一緒にね、ちょっと…」

マミ「普通のチョコだけじゃ面白くないかなと思って」

マミ「市販のハバネロ入りのチョコを真似して作ってみたのよ」

まどか「私じゃなくて良かったあ…」

マミ「誰に当たるか心配してたんだけど、佐倉さんなら大丈夫そうね」

マミ「あなたのチョコは、普通においしかったわよ、佐倉さん」

杏子「マミ!てめえ、ふざけんな!」

杏子「でも、残すわけには…!」

まどか「うぇひひっ、頑張って、杏子ちゃん」


モグモグ…
ほむら「……」


ほむら(まどかのチョコ…可愛い見た目とは裏腹に、意外と苦いわね…)

ほむら(砂糖の量、間違えた?)

ほむら(でも、まどかにこんなことを言うわけには…)

ほむら「まどか、あなたのチョコもとてもおいしいわ…」

まどか「え、ええっ!?」

まどか「そ、そんなわけないよ…」

まどか「私なんて、パパから教えてもらって、やっとできたくらいなんだから…」

ほむら「いいえ、ほんとにおいしいわ」

まどか「そんなわけないよっ」

まどか「無理しなくていいよ…ほむらちゃん…」

ほむら「…私は無理なんて…!」

ほむら「それに、それを言うなら私のだって絶対においしくないはずだわ…!」

ほむら「まどかこそ…!」

さやか「まあまあ、どうしたんだよ~2人とも」

まどか「…だって、ほむらちゃんが」

ほむら「だって、まどかが…」

マミ「2人とも謙遜してるんでしょうけど、傍から見たらなんだか喧嘩してるみたいよ?」

ほむら「そ、そんなつもりじゃ…!」

まどか「……」

まどか「なんだかごめんなさい、みんな…」

ほむら「まどかは何も…」

ほむら「私の方こそ…!」

さやか「ほらほら、お互い謝りだすと、あんたたち止まらないじゃん」

ほむら「……」

ほむら「ごめん…まどか」

杏子「なんかめんどくせーなあ、お前ら」

なぎさ「みんな仲良しが一番なのです!」

まどか「……」

ほむら「……」

…………


さやか「お邪魔しました~」

杏子「じゃーなあ~」

マミ「ええ、またいらっしゃいね」

さやか「なぎさちゃんはまたお泊り?」

なぎさ「もちろんなのです!」

まどか「お邪魔しました…マミさん」

ほむら「…お邪魔しました」


…バタン

マミ「…じゃあ片付けましょうか、なぎさちゃん」

なぎさ「はいなのです!」


ジャー…
ゴシゴシ…

マミ「鹿目さんと暁美さん、大丈夫かしらね…」

なぎさ「ホントはとっても仲がいいのです、あの2人は」

なぎさ「でも、お互いに気を遣い過ぎだと思うのです」

マミ「…ふふっ、そうよね」

なぎさ「もっと、お互いに頼ってもいいと思うのです!私とマミみたいに」

マミ「確かにそうね、なぎさちゃんは私を頼ってくれてる?」

なぎさ「もちろんなのです!」

マミ「ありがと、私も私でなぎさちゃんに頼ってるとこ…あるわね」

なぎさ「…う~ん、でもよく考えてみたらマミが私に頼ってることってなんですか?」

マミ「えっ?」

マミ「そうね…ふふっ、秘密…」

マミ「自分で考えてみて、もし当たったらご褒美あげるわ」

なぎさ「…う~ん」


マミ(私はあなたがいてくれるだけで、頼ってしまっているわ…なぎさちゃん)

マミ(よく考えたら、そういうところは暁美さんと同じかもね…私も)

~帰り道~


スタスタ…

杏子「おいおい、アイツら大丈夫なのか?」

さやか「誰が?」

杏子「まどかとほむらだよ」

杏子「アイツらが今日みたいな感じになったのって初めてだろ?」

杏子「大丈夫なのかなあ、と思ってよ」

さやか「ああ…」

さやか「今はそっとしといてあげなよ」

さやか「あいつもそのうち気付くだろうからさ」

さやか「自分のホントの気持ちにね」

杏子「はあ?」

杏子「どういう意味だよ、さやか」

さやか「なーんでもないっ」

さやか「さ、寒いし、早く帰ろう、杏子」

その後
~まどかの家~

まどか「…はあ」

まどか(なんだか、ほむらちゃんと喧嘩みたいな感じになっちゃった…)

まどか(そんなつもり全然なかったのに…)

まどか(ほむらちゃんのためだけに作ったチョコも渡せなかったよ…)


まどか(ほむらちゃん…私のこと嫌いになっちゃったよね…)

______

同じ頃
~ほむらの家~


ほむら「……」

ほむら(まどかと喧嘩してしまったわ…帰りも何も話せなかったし…)

ほむら(まどか、私のこと嫌いになってしまったわよね…間違いなく)

ほむら(ど、どうしましょう…)


ほむら「…ううっ、ひくっ…まどかあ…」

その後
~さやかの家~


さやか「……」

さやか(ま、これがきっかけにでもなればいいんだけどね…)

さやか(あの2人も、わかってるんだろうけど…)


スッ…
杏子「なんだ、まだ起きてたのか?さやか」

さやか「あ、うん、ちょっと考えごとをね…」

さやか「あんたこそ、どうしたのさ」

さやか「さっき、先に寝るって言ってなかった?」

杏子「あ、あのさ…ブラックサンダー、ありがとな…ホントに」

さやか「えっ?」

さやか「あ、ああ、別にいいって、そんなに嬉しかった?」

杏子「そりゃな、あんなことされたら、う、嬉しいに決まってんだろ」

さやか「そりゃあ良かったじゃん」

杏子「だ、だからさ、その礼…ってわけじゃねーんだけど…」

さやか「?」

杏子「今日くらい…い、一緒に寝てやろーかなって…思って」

さやか「はあ?」

杏子「べ、別に迷惑だったら、い、いいけどよ…」

さやか「はあ…」

さやか「迷惑じゃないよ、一緒に寝よ?」

杏子「い、いいのか!?」

さやか「はあ、あんたねえ、朝は普通に抱きついてきたくせに」

さやか「何今更、恥ずかしがってんの」

杏子「あ、朝のはブラックサンダーでテンション上がっちまっただけだっつうの」

さやか「はいはい、一緒に寝るんでしょ?」

さやか「はやく、こっちきなよ」

………

モゾモゾ…
杏子「さやかの布団の中、暖けえ」

さやか「もう、何恥ずかしいこと言ってんのさ」

杏子「たまには、こうして寝るのもいいよな」

さやか「いいけどさ、なんであんたがお礼で私と一緒に寝てやるっ、みたいになってんのよ」

さやか「ホントは寝たがってたのはあんたでしょ?」

杏子「そ、それは…」

さやか「…別に一緒に寝たいなら、寝たいって、素直にそう言えばいいじゃん」

杏子「だ、だって!恥ずかしいだろ!そんなのっ」

さやか「素直に言わないとさ、後悔することだってあるよ?」

杏子「…わ、わかったよ、今度からは気をつけるよ」

さやか「別にあたしはあんたと寝るの嫌とか、ないからさ、絶対に」

杏子「さやか…」

さやか「…ねえ、杏子」

杏子「ん?」

さやか「あんたはさ、もし、あたしが死ぬってなったら、どうする?」

杏子「はあ?」

さやか「もしもの話だよ、もしもさ、あたしが明日死ぬって知ってたら、どうする?」

杏子「そりゃ、当然助けるだろ」

さやか「でも、助けられなかったら?」

杏子「いや、それはありえねえ!ぜってー助ける!」

さやか「じゃあ、それが繰り返せるとしたら、何度でも繰り返す?」

杏子「どういうことだ?」

さやか「だから、例えばあたしが死ぬことわかってて、それを助けれなかったとするじゃん?」

さやか「でも、あんたは時間をやり直せて、あたしを何度も助けれるチャンスがあるわけ」

さやか「もし、そうだったら、諦めずに何度もあたしを助けてくれる?」

杏子「あたりめーだ」

さやか「…たとえ、それがどれだけ苦しくて、迷路みたいに先が見えないとしても?」

杏子「アタシなら、必ずどうにかして助けてみせるな」

さやか「ふーん…ま、確かにアンタはそーゆー奴だよね」

杏子「どうしたんだよ、そんな胸糞わりーような話しやがって」

さやか「ううん、別に…」


さやか「ただ、杏子はあたしのためにどれだけ本気になってくれるんだろーって思ってねえ」ニヤニヤ

杏子「アタシはいつだって本気だ、決めたことはやり通すだけだ」

杏子「べ、別にてめーにだけ本気になってるわけじゃねーからな」

さやか「素直じゃない奴め~」ニヤニヤ



さやか「ささ、もう寝よっか」

~ほむらの家~


ほむら「……」

ほむら(いいえ、こんなことで泣いていたら、前の私と同じだわ…)

ほむら(私は悪魔…悪魔は孤独…孤独で当然のはずじゃない…!)


ほむら(たとえ、あの子に嫌われても、敵になったとしても…)

ほむら(あの子が幸せになる世界を望んだんだから…)

ほむら(あの子から、どれだけ嫌われて疎まれて、敵になったとしても…!)

ほむら(私は…!!)

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