夜中 白糸台学生寮 菫さんの部屋
菫「バンバンバンバンバレンタイン♪バンバンバンバンバレンタイン♪バンバンバンバンバレンタインバレンタインデー♪」グルグル
菫「よし、チョコとけたな」
菫「まさか直接火にかけてはいけなかったとはな、ビックリだ」
菫「ビックリだよほんと」
菫「おかげで用意したチョコの半分くらいはコゲコゲの何かになってしまった」
菫「グーグルがなかったらきっとチョコとかすこともできないままに一生を終えていたな」
菫「しかしグーグルはあった 21世紀 チョコはとけた」
菫「あとはこいつを型に流しこんで固めれば出来上がりだ」
菫「簡単だな 目を瞑ってもできそうだ」
菫「バレンタインデーキッス♪バレンタインデーキッス♪バレンタインデーキ・ィッス♪サルでもできーる♪」
菫「ちょろいな」フフン
バン!バン!バン!
菫「なんだ!?窓に雪玉が!?」
菫「誰だ!窓に雪玉をぶつけるのは!」ガチャ
淡「テルー!雪!雪すごい!雪ヤバい!!雪降ってるよ!!」
淡「ゆーきやこんこあられやこんこふってもふってもこんこんこんこ♪こんこんこんここんここんこんこん♪」
淡「こんっ!」
菫「雪が降ってるのは知ってるしわたしは照ではない」
淡「うわあ!す、すみれ先輩!?なぜテルの部屋に!?」
菫「照の部屋はこの上だ」
淡「なんと」
淡「よーしじゃあ」
淡「菫先輩の上のテルの部屋に向かって大星淡の投げる雪玉の放物線は栄光への架け橋だー!!」ポーイ
バシッ!(菫の顔に雪玉がぶつかる)
淡「あっ」
菫「淡、お前そこでちょっと待ってろ」
淡「い、いやだ!」
菫「待ってろ、な?」
淡「いやだ!」
菫「しかたない…あったかいココアを買っていってやるから」
淡「ほんと!?」
菫「ああ、だから待ってろ」
淡「怒らない?」
菫「怒るに決まってるだろ むしろ怒るで済むと思ってるのか?」
淡「ひいっ」
菫「雪だるまでも作って待ってろ」
淡「はーいっ」
裏庭的なところ
菫「おーい淡」
淡「あ、菫先輩おそいよー」
菫「すまんすまんこれでも喰らえ!」ポイッ
バシッ!(淡の顔に雪玉が当たる)
淡「ぎゃう!」
淡「コ、ココアは!?」
菫「ひととおり終わったらくれてやろう」
菫「そらっ!」ポイッ
淡「わあっ!どうやらわたしを本気にさせちゃったね…!」
淡「雪合戦の鬼、ホワイトアウト大星と呼ばれたこのわたしを!!」
菫「わたしは雪合戦で照を殺したことがあるんだぞ?」
淡「ひとりでしょ?わたしはもう何人亦野センパイを殺ったかなんて覚えてないよ!」
菫「オラァ!」ポイッ
淡「セェイッ!」ポイッ
菫「ほら、ココアだ」
淡「わあ、あったかーい」
菫「雪、だいぶ積もってきたな」
淡「もうくるぶし超えたもんね」
菫「おまえ、フードもかぶらないで本気出すから髪バーッてなったまま固まってるじゃないか」
淡「いやー参っちゃうね」
菫「参っちゃうのはわたしだ、ちょくちょく顔に刺さってるんだから」
淡「できれば傷つけたくはなかったけど…」
菫「なにいい台詞っぽく言ってるんだ」
淡「見てみて、雪だるま作ったんだよ!」
菫「おおきいな」
淡「しかもなかはカマクラになってるんだよ!」
菫「崩れるぞ」
淡「ところでチョコ誰に渡す?」
照「き、京太郎くん・・・///」
終わり
菫「よし、もう夜も遅いし部屋に戻るか」
淡「はっ、思い出した!わたし鍵を失くしたんだった!」
菫「なに?」
淡「部屋の鍵を失くしたの、雪で遊んでて」
淡「それでテルの部屋に泊めてもらおうと思って雪玉を投げてたらなぜか菫先輩が」
菫「なぜかじゃないだろ」
淡「たしかに」
菫「しかしこの雪のなかに落としたのか…?」
淡「たぶん…」
菫「それは見つからないな…カマクラじゃ寒いだろうが達者で生きろよ、じゃ」
淡「うんバイバーイ…っておーい!」
淡「泊めてよ!」
菫「…」
淡「ココア買ってあげるから!」
菫「しかたないな…」
菫さんの部屋
淡「甘いにおいがする!!」
菫「そういえばチョコが……ああ、固まってるじゃないか」
淡「チョコ?」
菫「バレンタインだからな」
淡「え、もしかして菫先輩チョコ作ってるの?」
菫「作ってるというか、作ってたところだったというか…」
淡「へー、にあわなくてウケるね ひゃー」
菫「やっぱりカマクラに泊まることにする?そうかそうか、風邪ひくなよ」
淡「いやだ!わたしはもうこの部屋に住むんだい!」
菫「いや住むのは普通に困るぞ」
淡「住むもんっ」
菫「可愛く言ってもダメだ」
淡「ちぇー」
淡「でもほんとに意外かも 菫先輩ってそういうの作らなさそうなのに」
菫「わたしは基本的に優等生だから何でもできるぞ」
淡「すっごい焦げてるのあるけど…」
菫「それは照が焦がしたんだ」
淡「へえーテル駄目じゃん」
菫「まあぼんやりしてるやつだからな、大目に見てやろう」
菫「淡は作らないのか、バレンタインチョコ」
淡「わたしは食べるの専門だよ、封印してるんだ」
淡「昔亦野センパイに本気で手づくったお菓子をあげたら味覚の革命が起きてわたしが作ったもの以外一切食べられなくなっちゃったから…」
淡「うまく作れすぎるってのも罪なんだよね」フゥ
菫「適当な嘘をつくのは罪じゃないのか?」
淡「ごめんなさい」
菫「二度と嘘はつくなよ、わたしは嘘が大嫌いだ」
淡「はい」
淡「シャワー空いたよー」
菫「ああ、じゃあ入ってくるか」
淡「一緒に入ればよかったのにー」
菫「どう考えても狭いだろ」
淡「たしかに」
菫「服はそこに置いてあるの着ていいから」
淡「はーい」
菫「ちゃんと髪乾かせよ、風邪ひくから」
淡「しょーがないなー」
菫「あと部屋にあるもの勝手に触るなよ」
淡「またまたー殺人現場じゃないんだからー」
菫「お前は殺人現場以外のものはベタベタ触るのか…」
淡「熱いもの以外はねっ!ヤケドは嫌いだから!」
菫「ヤケドはわたしも嫌いだが」
菫「ふう、サッパリした」
淡「あっつ!」
菫「なんだ、何をやってる」
淡「あ、菫先輩 チョコとかして味見しようとしたら熱くって」
菫「い…いや、当たり前だろう…バカか?」
淡「今日いちばんのマジなツッコミだね」
菫「それになに人のチョコ勝手にとかしてるんだ?」
淡「どうせとかすんだろうし、やっといてあげようかなと思って」
菫「本当は?」
淡「チョコ作ってみたくなっちゃった…」
菫「…しかたないな」
淡「!」
菫「半分だけだぞ、わたしも作るんだから」
淡「うんっ!ありがと菫せんぱい!」
淡「隠し味が欲しいよね」
菫「要らん」
淡「醤油とかどうかな」
菫「わたしの部屋の醤油をそんなことに使う気か?」
淡「いいじゃん弘世さん醤油貸しておくれー」
菫「昭和の長屋か」
淡「じゃあ何か中に入れよう」
菫「やめとけって」
淡「チョコボールとかどうかな」
菫「あーうん、いいんじゃないか」
淡「カレーの隠し味にチョコってよく聞くしね」
菫「あーうん、そうだな」
淡「って、チョコボール無いやないかーい」
菫「そうね」
淡「そうね、やあらへんがな」
淡「できたー!」
菫「あとは冷蔵庫に入れておくだけだな」
淡「なんふん?なんふん?5分くらい?」
菫「赤いきつねじゃないんだぞ」
淡「3分ってこと?」
菫「緑のたぬきでもない」
菫「このままにして寝て起きたら出来てるだろ、たぶん」
淡「そんなに!?ほとんど永遠だねっ!」
菫「そんなに寝ない」
淡「じゃあわたし床もーらいっ!」
菫「なにっ、床はわたしが……ん?」
淡「あ、うん、じゃあ床は譲るよ 我慢してベッドで寝るね」
菫「いや、床は結構本当に嫌だ」
淡「しかたないなー、入れたげるね」
菫「すまないな」
淡「できたー!」
菫「あとは冷蔵庫に入れておくだけだな」
淡「なんふん?なんふん?5分くらい?」
菫「赤いきつねじゃないんだぞ」
淡「3分ってこと?」
菫「緑のたぬきでもない」
菫「このままにして寝て起きたら出来てるだろ、たぶん」
淡「そんなに!?ほとんど永遠だねっ!」
菫「そんなに寝ない」
淡「じゃあわたし床もーらいっ!」
菫「なにっ、床はわたしが……ん?」
淡「あ、うん、じゃあ床は譲るよ 我慢してベッドで寝るね」
菫「いや、床は結構本当に嫌だ」
淡「しかたないなー、入れたげるね」
菫「すまないな」
淡「…ねえ、菫せんぱい、寝ちゃった?」
菫「ああ」
淡「起きてるじゃん」
菫「なんだ?」
淡「いや、あのね、チョコ誰にあげるのかなって」
菫「なんだ、そんなことか…」
菫「あれはあw…………はっ!」
菫(そうだ!淡にあげる予定のものだったんだった!!)
淡「あ…?」
菫(いやでもこの流れで「お前だよ」って言うの意味不明だし恥ずかしすぎるな…どうしようどうするどうする…)
淡「ねえ、だれ?だれ?」
菫「そ、それは……」
淡「うんっ、うんっ」
菫「…………渋谷」
菫(ちょっとリアルな嘘をついてしまった…!!)
淡「そっか、タカミかー」
菫「あ、ああ」
淡「なんかリアルだね、それ」
菫「ま、まあな」
菫「お、おまえはどうするんだ?」
淡「え?これはすm…………はっ!」
菫「ん?」
淡「え、えっと…んーと…」
菫「…」
淡「す、すみ…すみ…」
菫「…」
淡「…………スミヨ」
菫「だれだ」
菫(…そんなことより、チョコ、どうするか…)
菫(なんだかすごくあげづらくなってしまった…)
朝 教室
照「じゃあ淡を部屋に泊めてあげて、一緒にチョコ作ったんだ」
菫「ああ、大変だったよ」
照「淡は部屋に戻れたの?」
菫「朝、管理室から合鍵を借りてな 一応危ないから雪がやんだら新しく付け替えるんだそうだ」
照「へえ」
先生「おーい、今日休校にするぞー、寮に戻って大人しくしとけー」
照「やっぱり」
菫「まあそれはそうだろうな、寮生だけではないんだし」
照「雪、すごい」
菫「まったく、今年はどうなってるんだか」
照「チョコ、直接あげるのが恥ずかしいなら寮のドアにでもぶら下げとけば?」
菫「なに急に言い出してるんだ!!?」
照「いまのわたしはなんでも御見通し」
照「チョコで頭に糖が回ってるから」
寮 淡の部屋前
菫「…来てしまった」
菫「照はああ言っていたが……しかしなあ……」
菫「一緒に作ったからさすがに見たらわかりそうだし…いや、あいつはすごくバカだからあるいは…」
菫「でもなあ、なんかなあ、恥ずかしいしなあ…」
菫(…もうこれ渋谷にあげちゃおうかなあ)
菫「って、なんでそうなる!」
ガチャ
菫「のわっ!」
淡「お、おおう、菫先輩……どうしたの?」
菫「あ、ああいや……ちょっと、犬の散歩に…」
淡「ひとりで…?」
菫「お、おいてきたんだ…」
淡「…????」
淡「あ、チョコ持ってる…」
菫「!」
菫「い、いやこれは……ん?」
菫「お前も持ってるじゃないか、チョコ」
淡「!」
淡「こ、これは…」
菫「そうか、スミヨさんのとこに行くところか」
淡「え、誰それ?…あ、ううん、そうじゃ…」
菫「…?」
淡「す、菫せんぱいも、タカミのとこに行くところ?」
菫「い、いや……その…」
淡「違うの…?」
菫「……し」
菫「渋谷は死んだ」
淡「!?」
菫「だからこれはお前にやる!」
淡「!!?」
菫「じゃ、じゃあな!」
淡「ま、待って!ずるい!じゃあスミヨも死んだ!」
菫「なっ!そっちも死んだのか…」
淡「うん……亦野せんぱいが言ってた」
菫「そ、そうか…」
淡「だから、わたしも菫先輩にあげる、これ…」
菫「あ、ありがとう」
淡「こ、こちらこそ」
照「ね、なんかおもしろいでしょ?」(物陰から覗いてる)
尭深「おもしろい」
誠子「にしてもあのふたり嘘つきすぎでしょう…」
照「ね」
菫の部屋
菫「チョコ、渡せたな…」
菫「もらえたし…」
菫「…」
菫「…ふふっ」
びゅおーん
菫「雪すごいな…」
菫「まだまだ積もりそうだな…」
菫「…」
菫「…食べてみるか」
菫「袋…わたしのだから既視感がすごいが」ガサゴソ
菫「…」ガサゴソ
菫「…」
菫「い、いただきます」
菫「…」パクッ
菫「……」
菫「ふっ…ふふっ、不味いな、いやこれはひどい、はははははっ!」
バン!バン!バン!
菫「…?」
バン!バン!バン!
菫「誰だ、雪玉を窓にぶつけるのは」ガチャ
淡「菫せんぱーい!」
菫「淡…」
淡「あーそーぼーっ!」
菫「…」フッ
淡「あーそーぼーっ!」
菫「…ちょっと待ってろ」
菫「ココア買ってってやるから」
カン
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