アニ「だから、チョッコレイト頂戴」
ライナー「言い直して欲しかったわけじゃない。急にどうした?」
アニ「別にチョコじゃなくて別のお菓子でもいいんだよ?甘いものなら」
ライナー「なんで上からなんだよ」
アニ「明日はヴァレンタインデイでしょ?」
ライナー「そういやそうだな」
アニ「ハッ、モテる男はヴァレンタインデイなど気にしないと」
ライナー「(さっきから発音いいな)別にモテないしそういうんじゃ」
アニ「だからチョコ頂戴。チョッコレイトッ」
ライナー「何でだよ?普通逆だろ。というかテンション高いな」
アニ「普通って、何?大多数と一緒ってこと?それって何の意味があるの?」
ライナー「は?」
アニ「誰にも迷惑かけないなら『普通じゃない』ってことに何の問題もないでしょ?」
ライナー「……お前、また勝手に俺の漫画読んだろ」
アニ「男の癖にCLA○Pとか」フッ
ライナー「鼻で笑うな…それこそ誰にも迷惑かけてないんだから問題ないだろ」
アニ「チッ、論点をずらすんじゃないよ」
ライナー「お前な……」
アニ「あんたどうせ明日は沢山チョコもらえるんでしょ?だから分けてよ」
ライナー「さぁな、未来のことなどわからん」
アニ「じゃあ貰えたらでいいからさ、少し分けてよ」
ライナー「わかったから出てってくれ。一番良いの食わせてやるから」
アニ「さっすが兄貴太っ腹」
ライナー「俺はお前のような妹を持った覚えはない」
アニ「兄貴分ってことだよ、じゃあまた明日」
ライナー「まったく、仕方のない奴だな……」ハァ
アニ「あー緊張した。ちょっと巫山戯すぎたかな…私のキャラじゃないよ」フゥ
アニ「フフッ、でもこれでライナーの中に私からチョコを貰えるという考えはなくなったはず」
アニ「しかもライナーに届く一番いいチョコは私の胃の中へ行くこととなった」
アニ「私は美味しいものが食べられるし一石二鳥、いや三鳥。嬉しい誤算だね」
アニ「仕込みは済んでるし、さっさと仕上げないと」ウキウキ
現パラ
進撃である必要性がない
ライアニ
ベルトルトが可哀想
続きはバレンタインデイである明日になります
といってももうすぐだけど
――翌日、放課後
アニ「お疲れ様です、ライナー先輩」
ライナー「ん?アニか、お疲れ…放課後だし敬語はいらんぞ」
アニ「流石だねライナー、やっぱり沢山貰ってる…それ鞄に入りきるの?」
ライナー「ああ、困ったな」
アニ「それだけ貰うと男子からの視線が痛かったんじゃない?私としては誇らしいけど」
ライナー「何故おまえが誇るんだ?クリスタに貰った時は酷かったな」
アニ「何で一年のクリスタが?もちろん義理でしょ」
ライナー「ユミルに友チョコを渡しに来た時についでにくれたんだ」
アニ(義理かどうかは無視か)
アニ「なるほどね」
ライナー「しかし困った」
アニ「ほら、これ使いなよ」
ライナー「この紙袋どうしたんだ?有難いが」
アニ「紙袋持ってけって言ったのに聞かないからだよ」
ライナー「大袈裟だと思ったんだよ……というか義理チョコの存在を忘れてた」
アニ「あちこちに恩ばら撒き過ぎだよ。ただでさえモテモテなのに」
ライナー「すまん、しかしそれが俺の性分だ。モテモテではないぞ」
アニ「さあチョコを寄越しな」
ライナー「……帰ったらな。これならやるが」
アニ「チロルチョコって…紙袋に詰めてやるって言ってるんだよ」
ライナー「勘違いしてすまんな、助かる。因みにそれはユミルからだ」
アニ「アイツも一応くれたんだね、安上がりだけど」
ライナー「先輩をアイツ呼ばわりはないだろう。俺はいいが」
アニ「ベルトルトは?」
ライナー「委員会の用事で残るんだと」
アニ「折角渡してやろうと思ったのに。アイツはいくつ貰えたんだろうね、チョコ」
ライナー(俺には渡さないくせにベルトルトには渡すのか)
ライナー「それなりに貰ってたぞ…俺より大分少ないがな」ムスッ
アニ「……どうしてわざわざそんなこと言うの?」
ライナー「ん?」
アニ「やっぱりあんたも気にするんだね、貰ったチョコの数とか」
ライナー「そんなんじゃねぇよ…」
アニ「なんだかんだ言っても思春期だね」フフッ
ライナー「うるせぇ」
アニ「照れなくたっていいんだよ」ゲシッゲシッ
ライナー「小突くな。帰るぞ」
アニ「はいはい」
――ライナーの家の前
アニ「じゃあ私鞄置いてくるから。玄関の鍵開けておいてよ」
ライナー「おう、すぐ戻ってこないと閉めちまうぞ」
アニ「大丈夫。それじゃあ一旦さよなライナー」フリフリ
ライナー「それやめろ」
ガチャッ
バタン
ライナー「ただいま、といっても誰もいないが」
ライナー「……さて、アニが来る前にあれ温めとくか」
―――――
――――――――――
アニ「お待たせ」
ライナー「おう、そんなに待ってはいないがな」
アニ「さて、早速チョコを」
ライナー「まったく、少しは待てんのか」
アニ「どれをくれるの?」
ライナー「半分やる、好きなのを選べ」
アニ「キャッホゥ」
ライナー「猿みたいだな」
アニ「黙れゴリラ」
ライナー「ゴリラじゃねぇ」
アニ「そっくりだよ」
ライナー「おまえ携帯でゴリラの画像検索してみろ」
アニ「どれどれ」
ライナー「本当にするのか」
アニ「ああごめん、全然似てないわ」
ライナー「だろ。だから俺の事はゴリラと呼ぶな」
アニ「似てるからって訳でもないんだけどね…まあいいや、じゃあこれ貰うね」
ライナー「今全部食べるなよ。なんか痛くなるからな」
アニ「分かってるよ…それでさ、ライナー」
ピーッピーッ
アニ「……何?」
ライナー「お、温まったか」
アニ「何が?」
ライナー「今持ってきてやるよ」
――
――――
ライナー「ほら、フォンダンショコラだ。手作りだぞ」ニッ
アニ「え?なんで?(得意げな笑顔いいね)」
ライナー「一番良いの食わせてやると言っただろう?」
アニ「ライナーが作ったの?わざわざ?昨日、あの後?」
ライナー「おう、自信作だぞ。俺の分もある」ドヤ
アニ「ありがとう…でも自分で作ったのを一番良いのとか、あとその顔やめろ」
ライナー「市販とか誰が作ったのかわからねぇのよりはこの方が良いと思うんだがな」
アニ「でも高級チョコには負けるんじゃない?」
ライナー「そんなもん本命じゃないと渡さんだろう」
アニ「絶対あの中に本命あるって」
ライナー「高校生がわざわざ買うか?高級チョコなんて」
アニ「買うかもしれないでしょ」
ライナー「なんだよ、俺のは食いたくねぇってのか?」
アニ「(拗ねてるライナー可愛い)食べたいに決まってるでしょ」
ライナー「フッ」ニヤ
アニ「その顔やめろ(可愛い…)」
ライナー「すまんな。食おうぜ、せっかく温めたのに冷めちまう」
アニ「飲み物はないの?」
ライナー「ココアなら淹れてあるが」
アニ「あんた良い主夫になるよ」
ライナー「プロポーズか?」
アニ「は?ちょっ、何言ってんの!?」
ライナー「なんだ、違うのか…残念だな。まあ元々主夫になる気はないが」
アニ「残念って…何?ひょっとしてこれは本命なわけ?」
ライナー「さぁ、どうだろうな…いい加減冷めるぞ」
アニ「…いただきます」
ライナー「いただきます。…うん、良く出来てる」
アニ「美味しそうだね」
ライナー「どうだ?」ワクワク
アニ(うわぁ、すごく期待してる顔)
アニ「まだ食べてないよ…あっつ!」
ライナー「おいおい、大丈夫か?」
アニ「舌火傷したかも…まあ大したことないから大丈夫」
ライナー「そうか、ならいいんだが…気をつけろよ?」ズズッ
アニ「わかったよ」フーフー
ライナー「……」ワクワク
アニ(ワクワクしてるライナー可愛い。…うん、丁度いい甘さだ…生地の焼き加減も最高)
アニ「…美味しい。流石ライナーだね、私の好みをよくわかってる」フフッ
ライナー「お気に召したようでなによりだ」フッ
アニ「素人が作ったものとは思えない。あんたパティシエにもなれるよ…ご馳走様でした」
ライナー「お粗末さまでした」
アニ「これ食べた後だと他のチョコ食べる気になれないね…これは全部持ち帰らせてもらうよ」
ライナー「おう、フォンダンショコラもまだあるぞ。持っていけ」
アニ「本当?じゃあ有り難くいただくよ。レンジでチンすればいいんだよね?」
ライナー「おう」
アニ「……あのさ、ライナー」
ライナー「なんだ?改まって」
アニ「はい、これ…あんなもの出されたあとだとちょっと渡しにくいんだけど」
ライナー「…なんだ?これは」
アニ「ココアマフィン」
ライナー「俺にか?」
アニ「あんた以外誰がいるのさ」
ライナー「そうだよな…んじゃあ、まあ…いただきます…」ギクシャク
アニ「はい…どうぞ」ギクシャク
ライナー「……美味いな」
アニ「あ、言い忘れた。サプラ~イズ」
ライナー「なんだそれ」クス
アニ「私からは貰えないと思ってたでしょ?」
ライナー「ああ、だから最高に嬉しいよ…ありがとな」
アニ「そう、そんなに嬉しいんだ…私も嬉しいよ、あんたの事大好きだから」
ライナー「……えっ」
アニ(あれ?なんかつい言っちゃった、さらっと…どうしよう、ライナー呆然としてるし)
アニ「あ、いや…今のはその」
ライナー「俺も」
アニ「えっ」
ライナー「アニ、好きだ」
アニ「あ、うん」
ライナー(あ、うんって何だよ)
アニ(あ、うんって何)
アニ「え?あの、好きって…そういうこと?」
ライナー「よくわからん」
アニ「は?」
ライナー「お前のことをそういう風に見たことは…まあ、あったが…あまり意識してこなかったからな」
アニ「あったんだ」
ライナー「それはそうだろ…一番身近な女の子なんだから」
アニ「…それで?」
ライナー「それでって…まあ、お前に好きだって言われてそういうこと想像してみたら…良いかもなと、な」
アニ「そう…結局、そういうことでいいの?」
ライナー「……抱いていいか?」
アニ「は?…えっちょっと何言ってんの!?」
ライナー「そういう意味じゃない!…ハグしてもいいかと聞いてるんだ」
アニ「ああ、うん…お願い…します」
ライナー「(敬語?)お、おう……」
アニ(温かい…)
ライナー「ガキの頃は、っつっても今もガキだが…よくこういうことしたよな」
アニ「そうだね、でも…全然違う」
ライナー「ああ…アニ、好きだ」
アニ「ライナー、好き」
ライナー「おう……アニ、キスしても…いいか?」
アニ「うん、いいよ」
ライナー「……(温かくて柔らかい…)」
アニ「……甘いね」
ライナー「……甘いもん食べたからな」
アニ「フフッ、もう…そうじゃないよ」
ライナー「どういうことだ?」
おしまい
なんか書いてて恥ずかしくなった
以下蛇足なおまけ
変態臭いかもしれないので読まないほうがいい
アニ「こんなのも作ったんだよ」
ライナー「シュークリームか?」
アニ「うん、中身はチョコレートホイップ」
ライナー「なるほどな」
アニ「こっちは自分の分も用意してある」
ライナー「じゃあさっそく食うか?」
ライナー・アニ「いただきます」
アニ「あ、失敗…これクリーム詰めすぎた」
ライナー「うぁ、手に付いた」ペロッ
アニ「……ライナー、ほっぺについてるよ」ペロッ
ライナー「はっ!? お前なぁ……お前も付いてるぞ」ペロッ
アニ「ひゃっ!……仕返し」ペロッ
ライナー「おまっ」
アニ「フフッ」クスクス
ライナー「……」
アニ「……」
ライナー・アニ「……」
ペロッ
ライナー「ッ!?」
アニ「っ!?」
ライナー(舌と舌が…)ドキドキ
アニ(うわっうわぁ…)ドキドキ
ライナー「その……すまん」
アニ「いや、別に…嫌じゃなかったから(火傷に触れてちょっと痛かったけど)」
ライナー「ならいいが……もう一回、キス…するか?」
アニ「うん」
ライナー「……(甘い…熱い…)」
アニ「……やっぱり甘いね」
ライナー「甘いもん食べたからな」
アニ「それはもういい…」フフッ
実はこれ(ふざけてほっぺ舐めからの舌同士でタッチ)は私の姉と兄が小学生の時にやらかしたことだったりする
姉と兄…姉とアニ……
なんでもない
以下さらに蛇足
ベルトルト「…はぁ、今年はアニにチョコ貰えなかったなぁ」
ライナー「よお、ベルトルト。今帰りか?」
ベルトルト「ライナー!どうしたんだい?」
ライナー「これ、アニからお前にだとよ」
ベルトルト「本当?マフィンだ、やったー!」
ライナー「あとこれは俺からだ」
ベルトルト「フォンダンショコラ…え?ライナー?」
ライナー「深い意味はねぇよ」
ベルトルト「あ、うん」
「お母さん、あれ」
「愛の形は人それぞれなんだよ」
「そうなんだ」
ライナー「……」
ベルトルト「……」
ライナー「深い意味はねぇ」
ベルトルト「う、うん…ありがとう」
本当におしまい
アニはシュークリームについて失敗とか言ってるけど本当はわざとかもしれない
でもフレンチキスもどきは完全に想定外だったはず
実はどうなのかはご想像にお任せします
この後ライナーの家に三人で集まってチョコレートケーキでも作って皆で食べるんだと思う
チョコはたくさんあるからね
書きかけのSS中断してまでこっち書いちゃったから流石にそれは書けないけど
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