コンコン

蝿魔人「失礼しまする…ﾌﾞﾌﾞﾌﾞ…」ﾌﾞｰﾝ…

魔王「はい、よろしくお願いします…（蝿なのか…？）」

蝿魔人「ﾌﾞﾌﾞﾌﾞ…」ｶﾞﾀｯ

魔王「…（あ、何も言ってないのに座っちゃった…）」

蝿魔人「ﾌﾞﾌﾞﾌﾞ…」

魔王「こんにちは。では志望動機を聞かせてもらえますか？」

蝿魔人「ﾌﾞﾌﾞ…私は蝿です…飛翔能力が、あります…ﾌﾞﾌﾞﾌﾞ…」

魔王「あ、いや、志望動機を…」

蝿魔人「あ、はい。やりがいを感じたから…ﾌﾞﾌﾞ…です…」

魔王「なるほど…どういうところに？」

蝿魔人「ﾌﾞﾌﾞ…」

魔王「…？」

蝿魔人「ﾌﾞﾌﾞﾌﾞ…ﾌﾞ…」

魔王「…（黙り込んじゃったよ…）」

蝿魔人「ﾌﾞﾌﾞﾌﾞ…初任給はいくらですか…」

魔王「えっ…？あぁ、いちおう総支給で22万円ですね（さっきの質問はどうした…）」

蝿魔人「ﾌﾞﾌﾞ…」

魔王「ん…？な、何ですか？」

蝿魔人「ふやして…ﾌﾞﾌﾞ…」

魔王「え、な、何をですか？」

蝿魔人「おかね、増やして…ﾌﾞﾌﾞ…」

魔王「いやぁ、ここでお願いされてもねぇ…」ｱｾｱｾ

蝿魔人「ﾌﾞｯ…」

魔王「…？」

蝿魔人「ﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞ」

魔王「…」

魔王「では、面接は以上です。本日はどうもありｇ」

蝿魔人「ありがとうございましたしつれいします」ﾊﾞﾀﾝｯ

魔王「……ございました」

魔王「ハァ…あれがコミュ障か。ずっと下向いて」

魔王「けどマジメそうな子だったな…」

魔王「う～ん…」

受付魔人「魔王さま、次をよろしいでしょうか？」

魔王「あ、うん。お願い」

魔王「さて、次はどんなかな…」

ドンドンドンッ！

魔王「ひっ…！びっくりした」

魔王「ど、どうぞ」

牛魔人「ヴオオオオオオッ！！！牛魔人だッッッ！！ヴォオオオオ！！」

魔王「あ、は、はい…どうも…（デカいな…斧持ってるし…）」

牛魔人「座ってもいいッスか！！？？いいッスか！！？？」ﾄﾞｼｨﾝｯ…

魔王「あ、はぁ…どうぞ」

牛魔王「押忍ッッッ！！！失礼しますッッッ！！」ｽﾞｯｼｨｨﾝﾝ…

魔王「…（なんか部屋の温度が上がったな…）」

魔王「すごくガタイがいいみたいだけど…何かスポーｔｓ」

牛魔人「押忍ッッ！中学からラグビーやってますッ！体力なら自信ありますよッッ！？」

魔王「そ、そうなんだね」

牛魔人「ハイ、そうッスけど！？押忍ッッ！！」ｳﾞｫｵｵｵｵｵｵｵ！！！

魔王「あの、叫ぶのやめてもらえるかな？」

牛魔人「あ、スンマセンッ！自分、体育会系なんで！やる気、伝わってるッスか！？」ｽﾞｼﾝ、ｽﾞｼﾝ

魔王「あ、う、うん。充分伝わってるよ」

牛魔人「よっしゃああぁぁああああああああああ！！！ヴォオオオオオオオオオオ！！！」ﾄﾞｶﾞﾝ、ﾄﾞｶﾞﾝ

魔王「ひぃ…」

牛魔人「志望動機、話していいッスか！？」

魔王「あ、はい。どうぞ…」

魔王「よ、よく分かりました。では、今日はどうもありがとうございました…」ﾊｧ…

牛魔人「押忍ッ！自分、入社できたらマジ頑張りますんで！ラグビー並に頑張りますんで！」

魔王「は、はい…どうもね」

牛魔人「失礼しますッ！ヴォオオオオオオオオオオオ！！！」ドシンッ…ﾊﾞｷﾊﾞｷ、ﾄﾞｼｬｧ…

魔王「…（うわ、ドア粉々だよ…）」

魔王「はぁ、耳がキンキンする…」

魔王「けど元気のある子だったなぁ…」

魔王「う～ん」

受付魔人「お疲れ様です…あら、ドアが壊れてますね」

魔王「壊れてるっていうか、無くなってるね」

受付魔人「次、よろしいですか？」

魔王「あ、うん」

蛇魔人「失礼します…うわっ、おっとっと…」

魔王「あぁ、ごめんね。ドアの破片が散乱してるから、気をつけて」

蛇魔人「あ、いえ。平気です」ｱｾｱｾ

魔王「…（可愛らしいお嬢さんだな…けど、アレ？）」

魔王「あの…そのサングラスは何ですか？」

蛇魔人「あ、いえ…これは、その…気にしないでください」

魔王「…（これまたゆとりっ子だなぁ…）」

魔王「そうは行きません。これは企業の面接ですよ」

蛇魔人「あ、はい…けど、その…これは…」

魔王「（厨２病っってやつか…）履歴書の写真と照合するだけですので、一瞬でいいですよ」

蛇魔人「は、はぁ…じゃあ、ちょっとだけ」ｽﾁｬ…

魔王「…（どれどれ…おぉ、なかなか可愛い）」ｽﾞｲ

魔王「…」ﾋﾟｷｰﾝ

魔王「…」

魔王「…」

魔王「…」

蛇魔人「うわぁ！またやっちゃった」ｽﾁｬ…

蛇魔人「どうしよう…魔王さまを石にしちゃった…」ｺﾝｺﾝ…

蛇魔人「んもう…こんなことなら、お姉ちゃんに制御のやりかた教わっとくんだった…」

蛇魔人「まぁけど、５分もすれば解けるよね」

蛇魔人「とりあえずLINEにあげよ…『最終面接で石化なう』…」ｶｼｬ…