俺「世の中は不平等だ…」 (10)
回想
ーー10年前
お母さん「なにをいっているの、弟者は当たりなんだよ、どちらの親にも似てなくて綺麗な顔をしてるんだから」
弟者「でも、兄者には「お前は親に似てないから家の子じゃないっ」で言われる…怖いよ」
お母さん「そんなことないから大丈夫、ちゃんとお母さんのお腹から生まれてきたんだから」
弟者「うんっ!」
回想
7年前
クラスメイト男「あれがお前の弟?お前に全然似てなくて可愛いし顔綺麗だよな、お前の弟とか信じられないわ」
兄者「ははっ、可愛い弟だろ?あれが歴とした俺の弟なんだよははっ」
クラスメイト女1「まじありえない、うける」
クラスメイト女2「笑い方きも、魔女みたい」
回想4年前
お父さん「さすが弟者、兄ちゃんとは大違いだ、これで将来は安泰だぞ」
お母さん「いいこに育ったよ、本当」
弟者「ははっ、照れるよ」
兄者「…」
回想終り
兄者「俺の人生は常に弟と比べられてきた」
兄者「それはこれからも変わることはないだろう、その度に劣等感や嫉妬に押しつぶされそうになって辛い思いをすることだろう」
兄者「もう、終りにしよう…そんな人生は」
兄者「もうこんな人生に未来や希望もなにもない…22にもなってただのアルバイトで貯金もほとんどない、学歴もなければやる気もない…」
兄者「終わりだよ、死のう」
妹「兄ちゃん…なにいってんだよ、兄ちゃんは兄ちゃんにしかいいとこがあるだろ」
兄者「い、妹っ!?」
妹「人生の終りだとか死のうとか言ってんなよ…悲しいだろ…」
兄者「…ふふっ、わかんねえだろ妹?お前は俺じゃないんだ、俺がこれまでどれだけ辛い思いをしてきたか」
妹「確かにあたしは兄ちゃんじゃないからわからないよ…でもだからって兄ちゃんがこれまでどれだけ辛い思いをしてきたか知らない訳じゃねーんだ」
妹「あたしも人の心を少しでも理解できる知能くらいは持ってるつもりだよ…それにあたしら家族だろ?ずっと兄ちゃんの側に居たからなんとなくはわかるよ」
兄者「…仮に俺の辛さを10分の1程度わかったとしてそれが何なんだ?お前ではおれをどうこうすることなんて出来ねえよ」
妹「あたしはただ兄ちゃんには兄ちゃんにしかないいい所があるっていいたいだけなんだ…それに仮にどうこうできなくても兄ちゃんの妹として出来ることはして置きたいよ」
兄者「…聞くが妹よ、俺のいいところってどこだ?」
妹「全部だよ、兄ちゃん…怒った顔も笑った顔も泣き顏も…その捻くれてる性格も全て」
兄者「だが、それはお前が思う俺のいいところであって世間がそういってる訳じゃない」
兄者「世間がそうおもっていたなら俺は自殺なんて考えないさ」
妹「…仮に人の大半がそう思ってなくてもあたしみたいに兄ちゃんを必要としてくれる人もいるってことなんだ、少数派かもしんねーけどそれは理解して欲しい」
兄者「少数派という言葉では表現として間違っているな、正確には極少数派だろう、仮に一人や二人いたところで俺の人生が華やかになる訳じゃない」
兄者「妹よ、こんな話はもう終りだ…」
兄者「もう今の俺になにをいおうが意志は変わらないし、お前では寧ろ悪化させるだけだ」
妹「だ、だけど兄ちゃんっ!あたしは兄ちゃんには死んで欲しくないんだっ!あたしが兄ちゃんを必要としてるだけじゃ駄目なのか?」
兄者「駄目だね、そんなもの」
妹「兄ちゃん…じゃ、じゃあどうしたら兄ちゃんは生きれるようになるんだ?」
兄者「こんな劣悪な環境ではなく普通の家庭の子供として生まれ変われるなら生きれるさ」
妹「バカタレ、そんなもの無理に決まってるじゃねーかっ」
兄者「だからよ、妹よ、死ぬしかねーていってんだよ」
妹「馬鹿じゃねーの本当に…馬鹿だよ」
兄者「ああ、俺は馬鹿でいいよ…もう楽にさせてくれ」スタスタ
妹「…」
あたしは何故ここで兄ちゃんの足を折ってでも自殺を止めようとしなかったのか…酷く後悔をしている
あの時のあたしはただどうしていいかわからなかった
黙るしかなかったんだ
それに兄ちゃんは死ぬ訳ないとどこかで思っていた節もあり安易に大丈夫だろうと自分にいいきかせていたんだ…
兄ちゃんは
リビングで首をつって自殺した
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