男「僕は兄さんが好き」女「私は姉さんが好き」 (20)



今日は三年生の卒業式だった。
一通りの式典が終わり、すっかり人気の無くなった三年のとある教室。
一年生の僕はそこに忍び込み、前から三番目の窓際の席に腰掛けると、持ってきた自分のスクールバックからあるものを取り出した。


それは、今日卒業した僕の兄の体操服だった。
僕は兄の席に座りながら、その体操服をそっと彼の机の上に置いた。
最後の兄の体育の日が、僕の洗濯当番の日で良かった。



暫く静かな教室の中、無言でそれを見詰めた。
そして湧き上がってくる気持ちの昂りのまま、思いっきりそれを抱きしめ、僕は一心不乱に匂いを嗅いでいた。



彼の最後の体育は、さほどハードな内容ではなかったらしく、服に全く汗ばんだ様子が無かったのが幸いだった。
洗わないまま何週間と経った今でも全く不快感が無く、僕の鼻腔一杯に兄の臭いを満たすことが出来るのだから。



男「兄さん兄さん兄さん兄さんハスハスハスハスハスハスハス」

女「あなた、ここで何してるの?」




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そこで一人の女子生徒の声が、がらんどうな教室に凛と響き渡った。
僕の心臓が痛いほど膨らんで、どきぃ!という音が頭の中に反響する。


やや間があって、服に埋めていた顔をのろのろと上げ、僕は声のした教室の入り口を見た。
そこにいたのは僕のクラスメイトの女さんだった。
彼女は女子にしては珍しい一匹狼タイプで、この一年クラスメイトだったのに殆ど話した覚えの無い人だ。


そんな人に見られていたなんて。
いや、この人はクラスの誰ともあまり喋っていた様子が無い。
むしろ幸運か?
この事態をどう言い訳すべきか……。
僕の頭の中で様々な言葉がぐるぐると回るが、彼女は意に介した様子もなく、もう一度聞いてきた。



女「ねぇ、何してるの?」

男「……あ、あの……これは……」

女「やっぱり嗅いでたわよね?」

男「……はい……」

女「そう。いいわよ、続けてても」

男「えぇ!?そ、そそんなこと、女さんのいる前ではさすがに出来ないよ!」



意外にも彼女の顔にはこれと言ったものが無かった。
特に不快そうな様子も、こちらを嫌悪しているような感じも、僕には見えなかった。
それどころか、彼女は慌てる僕に不敵に笑ってみせた。



女「ねぇ、どうして三年の教室にあなたがいること、一年の私が分かったと思う?」

男「……え?」

女「それはね、私もさっきまで同じことしてたからよ。私も姉さんの教室で姉さんの体操服を嗅いでたところなの。その帰りにあなたがこの教室に入るのを見たから、覗きに来たのよ」

男「お、女さんのお姉さんって、女姉さんだよね?あの、生徒会長だった……」

女「そうよ。あなたのお兄さんのことは、私は知らないけど」

男「それは無理もないかも、僕の兄さんは」

女「ちょっとそこでストップ」

男「?」

女「長話になりそうだから、やっぱりその体操服をとっととしまって、どこかで話の続きをした方がいいわ。サイゼでもいい?」

男「あ、そ、そうだね」アセアセ



彼女は終始、とても冷静だった。
本当に僕と同じように実の姉の体操服を嗅いでいたなんて、到底思えない。
だけれど彼女が堂々と手にぶら下げている体操服入れの袋の色は、間違いなく三年生のものだった。


~サイゼリア~



男「まさか、同性の身内に恋してる人生ハードモードな人が、こんな身近にいるとは思わなかったよ」

女「私もよ」



目の前の彼女は色白の肌に濡れたような黒髪で、僕が普通ならば、あまり親しく無かった美少女と偶然にもお近付きになれたことで、今頃うきうきと舞い上がっていただろう。
学生御用達のファミレスの中でも、彼女の存在は際立っていた。



男「それでさっきの続きだけど、僕の兄さんは特に部活に入ってなかったし、女さんが知らないのも当然だよ」

女「そうなの。まぁそんなことはどうでもいいわ。恋バナしなさい」

男「こここ、恋バナ!?」

女「そう。私もするけど、まずあなたからしてちょうだい。はい、お兄さんを好きになったのはいつ?」

男「え、えっと、11かな……でも、僕の話に興味あるの?」

女「あるわよ。私、こんな話をしたことないもの。それに学級委員で人望のある男くんが……スキャンダルは嫌いじゃないわ」

男「うわぁ……」

女「ちなみに私が好きになったのは10よ。姉さんは誰よりも優しくて美しいの。私、あの人を誰にも渡したくない。何処の馬の骨とも分からない男に託したくないわ」

男「そ、そりゃあ、僕もそう思うよ。僕が兄さんを幸せにしてあげたい。兄さんには苦労ばかり掛けてるし、早く恩返しをしたい」

女「私たち、どうしてこうやって表立って堂々と好きと言えないのかしら……だって兄とか姉とか、自分と同じ血が流れてて、ずっと近くに一緒にいる人じゃない?性別なんてついてるか付いてないかの違いだけだし、素敵な人だったら、惚れるのが筋ってモンじゃないの?」

男「相手のことを知り過ぎてると、普通はそういう目で見れなくなるんじゃない?僕も惚れてるから何とも言えないけど……」



女さんって、こんなに喋るんだな。
僕は驚いていた。
彼女はいつも一人で物静かに本を読んでいる人だった。
長い睫毛を伏せ、背筋を綺麗に真っ直ぐ伸ばしているその姿は、兄に心底ベタ惚れの僕でも見惚れてしまうことがあった。


だがひとたび口を開けてみれば、はきはきとした物言いと、強い光を宿す瞳。
教室で見る時の儚さなんて何処かに吹っ飛んでいた。



女「ねぇ、男くん」

男「な、なに?」

女「私……今日、心の中で決めたことがあるの」

男「決めたこと?」

女「私、高校を卒業するまで、姉さんに頑張ってがんがんアタックするわ」

女「そしてもし、高校を卒業しても私と姉さんが結ばれなかったら……私が姉さんの恋人に相応しい男を用意して、ソイツと結婚してもらう。何処の馬の骨とも知れない輩と結ばれるくらいなら、こっちからお膳立てしてやるわ」



彼女の顔は本気だった。
僕は息を飲むしかなかった。
愛する人の恋人を、自分で用意してやるだって?
そんなこと考えただけで嫉妬で気が狂いそうになる。



男「す、凄いことを考えるね」

女「ふふふ、ずっと愛してる姉さんの好みなんて、完璧に把握してるわ。私が用意した男なら、姉さんは確実に惚れるハズ」

男「……それを僕に話して、どうするの?」



女「あなたにも、私と一緒に頑張ってみて欲しいの」

男「僕も?つまり、兄さんにアタックしまくるってこと?」

女「そう。貴方もあと二年間、一緒に頑張る仲間になって欲しい。その後のことは別に貴方の自由でいいわ」

女「とにかく、こんな恋なんて誰にも応援されないじゃない?私たちせっかく見付けた同士なんだから、この繋がりは大切にすべきよ」

男「で、でも……」



兄さんにアタックするなんて、そんなこと僕に出来るんだろうか?
思春期で悶々として仕方が無い年頃の中、僕はよくここまで自分の気持ちを隠し通せてきた、と思っている。


しかし、だから何だと言うんだ?
気持ちを隠し通して得られたものなんて、こんな苦しい気持ちしかない。



男「……でも、そうだね。このまま一人でウジウジするなら、僕も死ぬ気であと二年間、仲間がいる内に頑張って兄さんにアタックしてみようかな」

女「オーケイ、話はまとまったわね。これからは定期的にここに集まって、互いに報告し合いましょう」





こうして、僕たちの秘密の同盟が組まれることになった。
僕たちはだいたい月に二度ほど、このサイゼリアで互いの進捗状況を報告し合うのが常になった。



~男の家~



男「兄さん、今いい?」

兄「ん?どうした?」

男「友達から映画の割引券もらったんだけど……」

兄「あ!これ、俺が観たかったヤツだ」

男「……よ、良かったら、観に行かない?友達が誰も行きたがらなくて」

兄「全然いいぜ!じゃあ、日曜にに行くか。俺も仕事が休みだし」



僕の兄さんは卒業してからすぐ工場で機械工をしている。
僕らには両親がおらず、ずっと親戚の人の元で過ごしてきた。
そして兄さんが働き出したと同時に、僕らはアパートに引っ越して、今は二人きりで過ごしている。



女「何それ、羨まし過ぎるわ」

男「そうでもないよ、結構辛いんだ……女さん、男のムラムラってね、本当に抑えるの大変なんだから」

女「あら、女だってそういうのあるわよ。姉さんが傍にいるだけで、私、かなりヤバいもの」



妖艶に笑う彼女の姿に、背筋にゾクッと震えが走る。
背徳を犯しているのは同じ筈なのに、彼女の方がなんだか様になっている気がする。


女「あら?貴方だって、時々ゾクッとくることあるわよ」

男「そうかな……僕にも女さんみたいな魅力があればなー」

女「馬鹿言わないで。私だって人生ハードモードよ」

男「それはそうだけど」

女「まだまだ頑張りましょうね。私も今度、映画デートするのよ」

男「そっか。お互いに頑張ろうね」



僕たちは二年間ずっと互いに励ましあって頑張ってきた。
いかにデートに誘い出すか、そしてどんなプランで行くのか。
どうやったら自分を意識させることが出来るのか。


いろんな愚痴を言い合って、励まし合った。
二人でこっそりと会う中で、たとえ実の姉だとしても、彼女の魅力をもってしても落とせないのが、僕にはいつも不思議だった。
彼女も僕に対して、どうして貴方のお兄さんは落ちないのかしらね?と首を傾げてくれた。


僕たちにはどうしても、家族同士の壁の高さが分からないようだった。
生まれてからすぐ傍にずっと魅力的な人がいて、いつも一緒にいたら、惚れてしまうじゃないか、が僕らの持論だった。
友達はみんな兄弟というやつをけなすけど、僕らはそれを感じる何かが欠如しているようだった。



二年間はあっという間だった。
告白する機会を逃したまま、僕らは卒業式を迎えることになった。
その前日の夜、僕らは初めていつものサイゼリアではないところで会うことにした。
真夜中の学校のグラウンドだ。


こっそり家を抜け出し、月明かりの下で出会った彼女は、夜を司る妖精のようだった。
なるほど、僕は暗闇に招かれるべき人間なのかもしれない。
実の兄に恋した弟なんて、陽の目を見られないだろう。



女「私、明日姉さんに告白するわ」

男「僕も、明日兄さんに告白する」

女「明日の夜、また此処にきてね」

男「うん」

女「……ねぇ、貴方はお兄さんになんて言うつもり?」

男「……たぶん、愛してるって言うかな」

女「そう。私もよ。愛してます、って言うつもり」

男「でもちゃんと言えるかな。どのみち今晩は眠れないかも」

女「私も無理だわ」

男「じゃぁ、朝までいよっか」

女「えぇ、そうね」



彼女と初めて見た夜空は、結構たくさん星が見えて、柔らかな月光を浴びる姿はとても美しかった。



女「男くん」

男「なに?」

女「私、今日の貴方がとてもかっこよく見えるわ」

男「えぇ、本当に?」

女「本当。私、ずっと道ならぬ恋をしているから、自分が醜い人間だと思ってた。でも貴方は、優しくて、かっこよくて、綺麗だわ。だからかしら、今は昔よりちょっとだけ自分に胸が張れるの」

男「そうかな。僕も兄に恋してる変な人間だと思ってたから、人に親切にするよう心掛けてて、おどおどしてしまう自分が嫌だったんだよ。でも、女さんが綺麗で魅力的だと思ったから、僕も兄が好きな自分を変だって責めるのは止めようって思ったんだ」

女「……」

男「……」

女「ねぇ、私の計画、覚えてる?」

男「うん、覚えてるよ」

女「……もし、私が失恋したら」

男「女さん」

女「……」

男「それは、もしそうなった時に聞かせて」

女「……そうね」





二人で仲良く目の下に隈を作って、卒業式は殆どうつらうつらで聞いて、学校から帰ってからが僕らの勝負だ。



男「兄さん、話があるんだけど」

兄「なんだ?真面目な顔で」

男「兄さん、僕」

男「僕……愛してる、兄さんのこと」

兄「……え?そ、れって、お前」

男「どういう意味かは、分かるよね?」

兄「……本気なのか?こんな……俺には……」

男「……」

男「うん、本気じゃないよ」

兄「へ?」

男「そういうことにしといて。僕らのために」





夜中に家を抜け出すと、風が泣き腫らした目元にあたってひりひりした。
真夜中のグラウンドには、真っ赤な目をした彼女がぽつんと立っていた。



女「そっちも駄目だったみたいね」

男「イケるかなと思ったんだけどね……やっぱり無理かー」



彼女は目を伏せて、じっと何かを考えていた。
そしてその考えに、なんとなく僕は察しがついていた。



女「ねぇ、男くん」

男「……もしかして、計画の続き?」

女「そう。私が駄目だったら、私が姉さんの恋人を用意したげるってやつよ」

男「そうだったね」

女「私……貴方がいいと思ってる」

男「……」

女「貴方は優しいし、姉さんはしっかりしてるタイプだけど、それを受け入れる度量のある人がいいと思うの」

女「それに何より、私が、貴方ならいいと思えるから」

男「女さんにそう思われるなんて、すごく光栄だな」

女「どう?受けてくれるかしら」



彼女は目線を上げ、真っ直ぐ僕を見てくれた。
美しい黒真珠のような瞳がそこにあった。
僕が普通の男だったなら、吸い込まれてしまいそうだ。



男「いいよ。でも条件がある」

女「何かしら」

男「女さんに、僕の兄さんの彼女になって欲しい」

女「……無理に私の真似しなくていいのよ?」

男「ううん、そうじゃない。女さんのあの計画を聞いた時から、僕もずっと考えてたんだ」

女「そう……」

男「兄さんはちょっと気の強いくらいの人が好きだから。それに、僕も女さんならいいと思う」

男「僕も、女さんの大切なお姉さんなら、絶対に大切にする」

女「私も、貴方の大切なお兄さんなら、貴方の思うくらい大切に出来るわ」


僕たちが愛せるのはお互いの兄や姉だけだったけど、でも愛とかじゃなくて、大切な人だと思うのならば、もしかしたら兄よりも彼女を選ぶかもしれない。
誰にも話せなかった秘密を共有し合い、お互いに毎日ドキドキしたことや悲しくなったことを深く分かち合ってきたこの二年。


この秘密のために、上辺しか晒せない友人付き合いをしてきた僕と、そもそも人と関わらなかった彼女にしてみれば、僕らは想い人とはまた異なった、唯一無二の存在なのだ。



男「じゃあ、決まりだね」

女「また明日、いつものサイゼリアに行きましょ。作戦会議よ」

男「うん。またこれからもよろしくね」

女「こちらこそ」



その時、初めて互いの手を握り合った。
特に鼓動は高まらなかったけど、何かが心の中に注ぎ込まれて満ちていくのを感じた。





それから、僕たちは上手いこと互いの兄と姉をそれぞれに引き合わせた。
彼女の姉はなるほど、あの魅力的な人をさらに魅了した人だけあって、匂うように美しくて、聡明な人だった。


僕たちはお互い、自分の想い人の好きなものや傾向を徹底的に教え合い、お互いの付き合いが上手くいく取り計らった。
僕は彼女のお姉さんと、彼女は僕の兄さんと。


この関係が歪なのかは分からない。
僕にはお姉さんを愛することは出来ないけど、この素敵な人を大切にする気持ちはある。
僕とお姉さんも、彼女と兄さんも、周囲の誰もが認める良きパートナーになれた。


そしてやはり、僕と彼女は時々サイゼリアに行くのだった。



女「どうやら、私がお先に結婚するようね」

男「本当に良かったよ。女さんなら兄さんを託せるから」

女「えぇ、お兄さんは本当に良い方ね。私、絶対にお兄さんを大切にするわ」

男「僕もそっくりそのまま返すよ。僕も……お姉さんとなら、新しく道を歩めると思う」

女「……これからは此処にはあまり来れないかもね。私、人妻だし」

男「そうだね」





それから遅れて二年で、僕もお姉さんと結婚した。
絵に描いたように幸せな家庭。
僕が鬱屈としながら絶望的な兄との未来に必死に縋っていた頃には、思いもしなかった。
人間って、存外難しいのだろうか、それとも単純なのだろうか。
愛とは違う感情で、それでも掛け替えのないと思える人が、今の僕の傍にいる。



先に子どもを設けたのは、結婚も早かった彼女と兄さんの方だった。
僕らもそれに遅れて子どもが出来て、何度か互いの家族同士で会った。


兄さんは幸せそうに小さな男の子を抱き締めていて、お姉さんが僕らの女の子をおぶっていた。


女「男くん」

男「ん?」

女「あの子たち、どうなるかしら」

男「んー……もしかしたら結婚するかもね」

女「あら、やっぱり貴方もそう思う?」

男「なんせ僕らの子どもだからね」

女「そうね。血が濃くなるのって、あまり良くないとかいうけど」

男「しょうがないよ。そんな人間がちょっとばかしいたって、別に問題ないんじゃないかな」

女「確かにそうだわ」





一時では考えられないほど、僕らはまともな人生を歩んでいった。
もし彼女と出会っていなければ、僕はきっと鬱屈としたまま耐えられなくなって、何処かで死んでいたかもしれない。
兄と共にいない未来に絶望して、何もかもから目を逸らしていただろう。


でも、彼女がいたから、その先にあるまた別の、しかし大切なものに出会うことが出来た。
人間って、とにかく逞しいもんだな。
それが僕の結論だ。



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昔、サイゼリアがあった場所は、もう何回も店を変え、今は別の和食屋のチェーン店になっている。
だけどすっかり年を取り、白髪頭になってしまった僕らには有難いことだ。



女「とうとう姉さんもお兄さんも、いなくなったわね」

男「そうだね。後はどっちが先かな」

女「あらやだ、私、絶対ひ孫までこの目で見てやるわ」

男「無論、僕もその心意気だよ」

女「結局私たちの一人娘と一人息子が結婚しちゃったけど、ひ孫が生まれたらその子はどうなるのかしらね」

男「うーん、どうなるんだろうね」



見るからにお上品なお婆さんなのに、彼女の口ぶりは全く変わらない。
とても素敵で、魅力的な、兄さんが愛した人。
そして僕にとっても、大切な人。
長年、共に戦ってきた戦友みたいな感じだろうか。



男「あのさ」

女「なにかしら」

男「またここでしばらく作戦会議しない?」

女「作戦会議?」

男「うん。あの世で今度こそ兄さんにアタックするための作戦会議」

女「あら、それいいわね。あの世だったら、姉妹でもハードルはこっちより低そうだし」

男「じゃあ、またしばらくよろしくね、女さん」

女「こちらこそもうちょっとよろしく、男くん」



おしまい


読んで下さってありがとうございました。
って書き込むだけだったのに、私用でけっこう時間が空いてしまった……。
改めてありがとうございました。

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