男「魔法学校? に入ったので・・・」 (424)

#1


20xx年




おっさん「はぁ・・・」


サルの玩具「オタンジョウビオメデトウ ハッピーバースデー」


おっさん「・・・」


サルの玩具「ハッピーバー――」ピッ


おっさん「はぁ・・・」ポイッ



おっさん「今日で俺も・・・50歳か」

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 バリーンッ


おっさん「!」ビクッ



フクロウ「ぃやぁ! おっさん」


おっさん「!?」



フクロウ「んどぉした? 固まって」


おっさん「ふ、フクロウが喋った・・・」



フクロウ「あー・・・ま、気にスンナ」



おっさん「きにするなって・・・一体どこから・・・」


フクロウ「そこの窓割って入ってきただろハハッ」

おっさん「あ、」


フクロウ「それより、アンタ今日で50歳だな?」


おっさん「お、おう」



フクロウ「よし。ならば・・・」



フクロウ「ぼくと契約して魔法使いになってよっ!」



おっさん「は?」

フクロウ「ぅゴホン。アンタさ、30を過ぎてもドーテーだと魔法使いになれるっての知ってる?」


おっさん「あ、ああ」



フクロウ「それな、正解なんだ」



おっさん「ま、まじか」


フクロウ「ただ魔力溜まりに20年かかる」



おっさん「20・・・あ、俺って童貞・・・」




フクロウ「フッ」

フクロウ「この世とは別に裏の世界があるんだ」


おっさん「裏の世界?」


フクロウ「そこには魔法を使える者たちが集うんだ」



フクロウ「今のアンタはその卵の状態にある」



フクロウ「魔法学校に入れば、一流の魔法使いになれるぜ」



おっさん「俺が? っていっても・・・」



おっさん「遅すぎるよ・・・俺、50だぜ」

フクロウ「だから、俺と契約しろ」


おっさん「契約?」


フクロウ「ああ」



フクロウ「アンタの残りの寿命は、何も延命などしなければ・・・あと38年ある」



おっさん「・・・割とあるんだな」



フクロウ「その寿命半分を俺によこせ。そしたらアンタを15歳に若返らせてやる」



おっさん「え、ええ!?」

おっさん「半分ってことは俺が生きれる時間があと19年になるってことだろう?」



フクロウ「ん、15になったら約34歳まで生きれる」


おっさん「ぅ・・・ぅう」



フクロウ「...悩むか?」



おっさん「そりゃ・・・いきなりいろんなことがありすぎて・・・」




フクロウ「...アンタ、これまでの人生でいいことあったか?」

おっさん「いいこと・・・」



おっさん「...ねぇなぁ」




フクロウ「だったら悩むことはねぇだろ」



おっさん「・・・魔法使いなんて、本当にいるのか?」



フクロウ「ああ。アンタはもう、感じれるんじゃないか」




おっさん「・・・」




フクロウ「っへ。15歳から人生やり直せ。今度はうまくいくさ」



おっさん「・・・貴方は...何という・・・」



おっさん「・・・神様」バッ



フクロウ「へ、へへ」



おっさん「やります、契約しましょう!」

フクロウ「あーそうこなくちゃな」


フクロウ「おっさん、いいこと教えてやるぜ」



おっさん「?」



フクロウ「裏の世界はな、魔法界っていうんだけど・・・」



フクロウ「そこにいる魔法使い、男女比は・・・男3の女7だ」



おっさん「!」



フクロウ「精々青春を楽しみな」...




  ピカッッ




フクロウ「坊主」


・・・


男「ぅん?」



フクロウ「おう、起きたか」



男「あ、神様・・・夢じゃなかったのか...」



フクロウ「んじゃあ行くぜ、おっさん・・・いや、男」




男「・・・体が軽いです」




フクロウ「そいつは良かったな。ちょっと俺の羽をつまんでみろ」

男「はい」ギュッ


フクロウ「いってぇ、強いわ」...


男「すみませ――」



 ビュウウウ・・・




・・・



〈魔法界〉



 ビュウウン...



男「ん。かみさ・・・」ポッ



フクロウ「はぁい、到着です。一瞬です」



男「こ、ここは・・・」



フクロウ「ぃようこそ、魔法界へ」

#1.5


男「神様!?」



フクロウ娘「しッ、大声だすなよ」



男「それ・・・擬人化というやつですか」



フクロウ娘「魔法だ。っとフード被るからな」スッ



男「あ、俺は」



フクロウ娘「何もするな。俺の後を付いてくれば良い」

・・・


男「どこに行くんですか」



フクロウ娘「杖を買いに行くんだよ。魔法使いは『基本』杖がないと魔法ができない」



男「杖・・・そういえば昔見た映画も同じような・・・」


男「なんだっけあれ・・・確か、ハリー・・・ポッキーだっけか」



フクロウ娘「来たぜ、河童商店街」



・・・


〔河童商店街・杖屋〕



小豆洗い「いらっしゃい」

男「・・・妖怪ですか」


フクロウ娘「驚かねえのな。妖怪見たの初めてだろ」


男「はい、でも、50年生きてますから」キリッ



フクロウ娘「うるせぇチェリー」



男「」ザクッ



男「こ、これからですよ、なんたって俺は15歳!」



フクロウ娘「こいつに見合った杖をくれ」



小豆洗い「あいよ」

小豆洗い「あずきウッドなんてどうだい」スッ



フクロウ娘「くせえよ」


男「・・・」



小豆洗い「んじゃあ、キュウリ杖は?」



フクロウ娘「だせぇよ」



男「ちょっとー・・・?」



小豆洗い「んーじゃあ」



フクロウ娘「おし、男、お前が選びな」



男「!」


・・・


男「!」キョロキョロ



男「?」キョロキョロ



・・・



男「うーん」



フクロウ娘「おい! まだかよ」



男「だってどれが良い杖なのか分かりませんよ!」



フクロウ娘「だったら最初に言え!」



小豆洗い「ほうほう」

男「うーむ・・・」


小豆洗い「おい兄ちゃん」



男「どれがいいかなぁ」



小豆洗い「兄ちゃんってば」




男「えっあっはい」



小豆洗い「おいらの店の杖、気に入ったか」




男「ん、分からないです」



小豆洗い「・・・正直だねぇ」


男「・・・まぁ」


小豆洗い「ところでよ」



小豆洗い「どうしてここらが河童商店街なんて呼ばれてるか分かるか?」



男「? 妖怪がいるからじゃないんですか」



小豆洗い「んー、何か違うな。ここらは昔、河童が大暴れしたっていう伝説があるんだよ」




男「へぇ」

小豆洗い「河童は凄い勢いで土地を荒らしていったそうだ」


小豆洗い「まぁその関係でここらの名前が河童商店街なんだけどよ」



男「そうなんですか」



フクロウ娘「・・・zz」スピー



小豆洗い「んまぁ河童の悪さに堪忍袋の尾を切っちまった神様がな・・・」



男「神様?」チラッ


男(っと、あの方は俺にとっての神様だ)



小豆洗い「ある日河童に向けて隕石を落としちまったって訳だ」



小豆洗い「それで河童は死に、平和になった」




男「へぇ・・・でもそれがなにか・・・」



小豆洗い「まあ、本番はこっからだ」

小豆洗い「隕石後のクレーターによ、魔力を持った杖があったんだ」


男「杖・・・」



小豆洗い「その杖は持っているだけで衝撃をある程度吸収する」



小豆洗い「そんでもって、その杖は・・・ここにある」スッ



男「あ!」


男(銀色の杖だ・・・)



小豆洗い「持つ者によって吸収する衝撃は変わってくる・・・が。」



小豆洗い「お前さんなら3分の1は衝撃を吸収できるだろう」



男「えっ」



小豆洗い「まぁひよっこだけどさ、いつかは大物になりそうなんだよ、you」



男「お、俺が」



小豆洗い「ん、くれてやる」スッ



小豆洗い「名はメテオ・ウォンド」



男「あ、ありがとうございます!」




フクロウ娘「ふぁ~」ムニャ


フクロウ娘「お、杖貰ったのか」



男「はいっ」



フクロウ娘「じゃあ観光でも行くか、明日から入学式だからな」



男「はい。ところで今更なんですけど・・・貴方は一体何者なんですか?」




フクロウ娘「・・・神。とだけ名乗っておこう」



男「さ、さすが・・・」



フクロウ娘「まぁそれより、これはいくらなんだい」



小豆洗い「・・・そうだな。お客さんの出世払いということで」チラッ



男「えっ」



フクロウ娘「んじゃあ紙にこいつの名前書いとくね。・・・男、と」カキカキ



男「え」

#2


豚校長「ようこそ。我が魔法学校・日本第三支部へ」


男(ったく神様めぇ)


――――――――――――

―数時間前―



フクロウ「ひー」パタパタ


男「もう人化しなくていいのですか?」



フクロウ「ああ。帰るからな」


男「ん・・・どこへ?」



フクロウ「家だけど?」



男「え。俺は」



フクロウ「入学手続きは出来ているから。それとあれ学校な」スッ



 ドーン



男「でけぇ!」


フクロウ「じゃ」ヒュン



男「ちょ!」




――――――――――――



男「ったく」ボソッ



男(こっちに来て体育館みたいなところで校長からの挨拶受けてるけど・・・)



男(女子なんて一人もいなくね)キョロキョロ



○「っち、あいつ話しなげえ」ボソッ


△「むさくるしい・・・」ボソッ


×「・・・本当に魔法使いが存在するのか」ボソッ




男(本当に男女比3対7なんだろうな? 神様)



友「・・・」チラッ



男「ん・・・(なんだあいつ、こっち見てきて・・・)」



・・・


男「ふー。やっと終わったー。久し振りだなこの感じ」



男「・・・で、教室どこ」ポツーン




友「やぁ」


男「わ! ・・・いきなり現れるなよ」


友「ごめんごめん」



友「もしかして君が、噂の特待生かと思って」


男「特待生?」



友「うん、なにかオーラが違うと思ってね」


友「特待生は史上今までに、世界で二人しかいないんだ」


男「ほう」



友「一人は行方不明になったけど・・・もう一人はその昔の伝説の英雄なんだって」



男「ほうほう」



友「特待生は何か特殊な人のようなんだけど」


友「新たな3人目の特待生がうちに来るらしいんだ」



男「んー、特殊っちゃあ特殊だけど」



友「そうなの? じゃあやっぱり・・・」



男「だいたい魔法使いとして魔力が生まれてこっちに来るのが15歳なんだろ?」



友「うん。15歳丁度からでないと魔法学校には入れないんだ」



友「でも、特待生は何歳からでも入学が可能らしい」



友「君は?」



男「・・・15歳だけど」



友「ええっじゃあ違うのかなぁ」




 キーンキーンカーンキーンカーン...



友「まっずい、授業だ」


男「本当か?」



男「悪い、俺、教室が分からないんだ。教えてー」



友「・・・僕も分からないや・・・」



・・・


〔第二教室〕


担任「初日だから、今回は見逃す」


男「すみません」ペコッ


友「うん」



担任「それより・・・まさか特待生が遅刻をするとは思わなかったよ」ニッ


男「え」


 ざわ・・・ざわ・・・


「え、どっちが特待生なんだ?」


「女みたいなやつの方じゃないか?」



友「やっぱり君・・・!」


担任「期待しているよ。男くん」



男「え、えええええええ」


・・・


担任「じゃあ自己紹介をしよう」


担任「まずは君からだ」




男(どうしてこうなったー)


男(神様に連れて来られただけだぞ・・・)


男(は・・・まさか、神様の力なのか?)



・・・


男(いやいや。確かに特殊ではある・・・のか)



男(世界で二人の特待生って・・・それ、ただ50まで童貞を守り抜いたモテナイ男なんじゃ)



男(うん。そうなのかな・・・えっ)




担任「んじゃあ次はいよいよ、男君だ」




男「! じ、自分ですか」


担任「ああ。皆がやったみたいにな」


男(聞いてなかった...)





男「え、えー名前は男と申します」



 ざわ・・・ざわ・・・



男(すっげぇざわつき。つか女子いねぇ)



男「好きな食べ物は・・・寿司、かな」



担任「質問ある人は言ってくれよー」



「はいっ特殊能力は持ってるんですか?」


「何歳ですかー」



男(質問・・・これは助かったか)



男「えっと能力・・・とかは分からない」


男「年は15歳・・・です」



 ざわざわ・・・



担任「よし、もういいよな。次だー」

男「ふー」


男(なんとか乗り切れた)



・・・



友「名前は友です」


男(おっ。あいつの番か)


友「母親は魔法使いをやってます」


友「目標は――」



・・・




 キーンキーンカー...



担任「じゃあ、今日は終わりだ。寮に戻って早く寝な」


担任「明日は属分けやるぞー」テクテク



男「はぁーほんっと・・・久々」



友「やっ」


男「・・・友、だよな」


友「そうだよ、男」


友「今朝寮に行ったんだけど、二人で一部屋らしいよ」


男「そうなのか」


友「うん。で、ドアの名前にあったのが、男と友」



男「え、一緒の部屋?」



友「そういうこと。って訳で、よろしく」



男「・・・おう。よろしく」



・・・



男「ところでさぁ」テクテク


友「うん」テクテク



男「まだこの学校で女性を見ていないんだけど・・・」ピタッ


友「ん、ははっ。当たり前だよ」ピタッ



男「なんで? 男女比3:7だろ」


友「でもここ、男子校だから」




男「・・・」



 拝啓神様 あなたは神ではありません。 思えば寿命取ったし。 あれ、悪魔?



男「・・・」カチコチ


友「だ、大丈夫?」


男「お、俺は共学に行きたい」


友「そうなの? でも・・・無理だね」



男「そ、んな」

・・・・・・

フクロウ『っへ。15歳から人生やり直せ。今度はうまくいくさ』

・・・・・・

男「お、れは」


友「あ、でも一つだけ方法があるね」



男「!」



友「今年度の最終試験、そこで一位を取ったら魔法学校・日本本部に行けるよ」


男「本部?」



友「うん。そこでの男女比は男1、女9。あ、男子はもっと少なかったかも」


男「それは本当か?」


友「確か、一年生だけからしかここからでは編入できなかったはず・・・」


友「うん。共学行きたいなら頑張ろう」



男「ああ・・・俺、頑張るよ!」



男(駄目ライフを送るわけにはいかない)


〔次の日・第二教室〕


担任「よーし。席替えは終わったな」


男「隣だな」


友「縁があるね」



担任「じゃあこれから、属分けを始める」



男「そういえば属分けって?」


友「自分が持ってる属性を見るんだよ。入学のしおりや教科書に書いてあったはずだよ」



男「そうなのか・・・事情があって分からないんだ」



友「そっか、えっとね」



友「属性は...火、水、風、土、闇、雷、氷、回復、無の9種類があるんだ」



男「へぇ、どっかの漫画みたいだな」


友「それで――」


担任「ゴホン」


友「!」


担任「私語は・・・やめような」ニコッ


友「は、はい」



担任「じゃあせっかくだから友君から行こう」


友「あ・・・」ゴクッ


担任「皆も知ってるように、属性は持てて3つ。基本的に我々が持つのは1や2くらいだろう」


担任「まぁ後から秘めた属性が目覚める『大器晩成』っていうのもあるからな」


担任「ちなみに先生は初め、火と無しか持っていなかったが、後から水が目覚めた」


担任「じゃあ、・・・魔方陣の上へ」


友「はい!」ゴクッ


友「ふぅ」



担任「よし、10秒まてよー」


 パアアアアア...


担任「ほう」


男(白の魔方陣が緑に変わった・・・)


担任「魔法学校に入るからには皆、必ず何らかの属性を1つは持ってる」


担任「彼は風だ」


友「おおっ」ジーン


 
 パアアアアア...


男(今度は水色・・・)



担任「おっ、二つ持ちか。これは氷だな」


友「やったっ」



担任「ちなみにこの検査で分かるのは何が自分に一番向く属性かってだけで、一応、9種類の属性は鍛錬を積めば皆使えるぞ」


担任「まぁこれで出た属性ほど、将来的に自分がうまく扱えるものだ」



 シュウウウウウ



担任「ん。友君はこれで終わりのようだな」


担任「大器晩成ってこともあるからいいと思うぞ。てかいきなり3つも属性を持てる奴なんてそうそういねーよ」





男「やったな」


友「うん! 目標に一歩近づいた感じだよ」


・・・


担任「うん、大体皆やったな」


担任「まだ氷は友一人」


担任「雷、闇、無はだれも出してないぞ」



担任「まぁこれから一気に3つでちゃうかもな」チラッ



男「・・・最後ですね」ヨイショ



担任「ああ」



男「これでいいですか? (この魔方陣の中って視界がグラグラするなぁ)」



担任「おう、10秒待てよー」


 パアアアアア...


 ざわ・・・ざわ・・・


「魔方陣が消えたぞ・・・」


「なんなんだ?」



担任「これは、無だな」



男「無・・・(なんか嫌だな)」



 プシュウウウウウ



担任「ん? 終わりみたいだな」



男「え、」


〔夜・寮〕


男「はぁ・・・」


友「元気ないね。昼の健康診断やら検査ばかりで疲れた?」



男「いやさ、俺はもっと派手な属性が良かったんだ。火とか」


男「それが・・・無...」



友「そう? 無ってすごい属性なのに」



男「そうなの?」


友「確か、幻術や肉体強化、カギ開けの呪文やら・・・全部無属性のはずだよ」


男「・・・なんか...」


男「友はいいよな。二つ持ちで風と氷なんて」



友「でも大器晩成っていうのがあるでしょ」


男「俺にそんな大層なものがあるとは・・・」


男「はぁ・・・」



友「うーん」


友「えっと」ガサガサ


男「?」


友「あった。これ見てよ。家からなんだけど・・・」コトッ



男「・・・綺麗だな。砂時計か」



友「うん。でもただの砂じゃあないんだ。僕も良く知らないけど、ほら癒されるでしょ」



男「・・・確かに。ありがとう」



友「ふっ。さ、明日からは授業だよ。頑張っていこう」



男「...友は、あっちの日本からこの魔法界に着たのか?」


友「いや、僕は魔法界が生まれ育ちだよ。そっちは?」


男「俺はその逆かな」


男「魔法界なのにここは日本支部なんだろ?」



友「そうだよ。他にもイギリス本部やら色々あるんだ。魔法会? か何かが領土を決めたんだ」


友「言っても土地は物凄く広大らしいよ」



男「へー。・・・zz」スー


男「nっと。眠いから寝るよ。おやすみ」



友「おやすみー」

#2.5


 入学してから早三週間。俺は、大ピンチなう。



担任「おっかしいなぁ。特待生だろう」


担任「分からんが皆飛べるようになって、残るは君だけだぞ」


担任「毎年平均から見ても、そろそろ飛べるはずだ」



男「いやー箒が浮きません」


担任「だからイメージとしては魔力を箒に流す感じで」


男「ムウウウ」ギュギュ


担任「うーん子供は成長が早いからなぁ。ま、そろそろ飛べるさ」



男(本当は50のおっさんだよ。体は動くけど)



男「ちなみに飛べなかったらどうなるんですか?」



担任「んー最悪退学・・・補習・・・」



男「退学・・・(日本の高校・・・嫌だ)」



男「退学は嫌ですッ!」ググッ


担任「じゃ、やるっきゃないっしょ」


男「やってます!」ググッ


担任「その調子。ちょっとあっちを見てくるわ」



・・・


担任「どうだ? 属性のカラーを魔力に流して具現化できたか?」



「友だけですー」

「すっげえな、あいつ」

「本部行けんじゃねーの」



友「そんな・・・」


担任「ほう、やって見せてくれ」



友「はい」...


友「っ」ググッ


 ブオン


友「はぁ」シュインシュイン


担任「ん・・・凄いな。綺麗に緑色がオーラとして体から見える」


友「はぁああ」...


友「ふっ」シュインシュイン



担任「! 氷の水色オーラ・・・もう二つもこなせるのか」


担任「こりゃ逸材だな」



友「ふぅ」



友「あの、男はどうですか?」



担任「あいつは・・・」


・・・・・・

男「はぁ!」ピョン


男「とりゃあああ」ピョン


・・・・・・



友「・・・手伝ってきてもいいですか?」


担任「ん・・・構わないが...」


友「ありがとうございます」タタッ



担任「...ふぅむ」


担任「果たして人を手伝っていて大丈夫なのか・・・」



担任「どんなに才能があっても寄り道していては一流にはなれんぞ」



・・・


友「男ー!」



男「なんだー」


友「なんで屋根の上にいるのさ、高いだろそこー」


男「どうしても飛べないからぶっつけ本番だー」


男「死ぬ気になりゃなんでも・・・できるー」



友「本当に死ぬぞー!」



男「って、どうしてお前がいるんだー?」



友「手伝いに着たんだよ! とりあえず降りてー!」


・・・


―夕方―


男「悪いな、授業終わってまで・・・」


友「気にしないで」


男「にしても、ここは9時始まりの16時終わりなんだな」


友「うん。でも集中して」


男「おう・・・」



友「箒にまたがったら、太ももから血を流す感じでやってみて」


男「ん」



男「やってんだけどさ」ググ


友「無理かー・・・じゃあ・・・」



担任「おっす、悪いな練習中」


男「どーも」


友「あっ」


担任「男、残念だが校長からあることが下った」



男「ある事?」



担任「明日の朝、テストを行う。箒に乗って飛べるかどうかだ」



男「いきなりですか!」


担任「もし、出来ないようなら・・・君は退学だ」


友「!」


男「え、待ってください、補習とかあるでしょう!?」



担任「・・・おそらく、特待生としての期待があったのだろう」


担任「こっちも掛け合ってみたんだが・・・あの頑固な豚・・・」




男「そんな・・・」



友「・・・飛べれば、良いんですよね?」



男「友?」


担任「そうだ」


友「・・・僕が...彼を飛べるようにして見せます」



男「なっ」


担任「・・・っふ。ぁあ任せたぞ!」


担任「こっちはもう一度校長に言ってくる」



友「はいっ」



男「友・・・ありがとう」



友「大丈夫。友達だろう?」


男「・・・友達・・・あぁ!」



―夜、20時―


男「はぁーはぁー」


友「っく、じゃあ次は・・・」




―夜、22時―



男「ぜぇーはぁー」ボロボロ


友「っくっそォ・・・なんで・・・」



男「すまん、友。限界...」フラッ



友「男っ」



担任「友ォ」


友「先生・・・」


友「どうだったんですか?」



担任「・・・駄目だった」



友「そんな・・・」



担任「男は・・・倒れたのか」


友「...」


担任「あいつを寮まで運ぶから、君は箒を片付けてきてくれ」



友「・・・は...い」




・・・


友「僕に・・・もっと力があれば・・・」


友「ぅくっそぅぅ...」ギュウウ



掃除のおばさん「どしたい?」



友「ぅうう」



掃除のおばさん「怪我でもしたかい?」



友「いえ・・・仲間が...友達が・・・」



掃除のおばさん「・・・そうかい」


友「ぅうぅぅ」


掃除のおばさん「・・・顔を上げな。そうして居たって、何も解決しないよ」


友「そう、ですね」ガバッ



友「僕は・・・あ・・・!」


〔次の日・中庭〕


担任「午前八時、これから10分間だ。テストを行う」



男「・・・はい」


担任「君の相棒はいないのか?」


男「友・・・ですか? あいつはまだ寝かしてます。昨日遅くまで付き合わせてしまったんで・・・」



担任「そうか・・・決めろよ、男君」



男「はいっ!」



担任「開始ッ!」ピッ


・・・

〔寮〕


友「・・・」ボー


友「っは!」ガバッ


 8:05


友「や、やっばい! 寝過ごしたああ」タタッ




・・・



担任「8時8分。あと二分だぞ。踏ん張れ」


男「はあああああ」ピョンピョン



担任「跳ねるんじゃない! 浮くんだ!」



男「飛べ! おわああああ」ピョン ツルッ



 ドスン


男「いってぇ」


担任「・・・時間が・・・」





友「お、お待たせしました!」




男「友・・・」




友「コレが・・・」サッ




友「本物の男の箒です!」バンッ


男「は!」


担任「な!」



友「その箒で飛べるはずがありません!」


友「何故ならそれは魔法の箒ではなく、ただの箒だから!」



担任「ど、どういうことだ? 説明してくれ」





友「はい、僕は昨日男の箒を倉庫に戻しに行きました」


友「その途中で掃除のおばちゃんと会いました」


友「その彼女が持っていた箒、それが男の箒と良く似ていたのです」



担任「い、入れ替わったというのか? 箒が」


男「・・・」ポカーン



友「恐らく、何らかの手違いで二つの箒が入れ替わっていたのかと・・・」



担任「君が持ってるのは魔法の箒なのか?」


友「はい」


担任「確かに箒は一見して見分けが付かない・・・」



担任「男くん、急いであれに乗るんだ」




男「へっあっはい」タタッ




・・・


男「じゃあ・・・」...


 フっ


男「えっ」


 フワッ



友「う、浮いたあぁ!」



男「お、おおォ」フワフワ


男「これが浮く感覚か・・・」フワ



男「・・・よし」ブオオオ


 ビュオオオオ


男「うおおおおお」ヒュウウウン



友「凄い! 早く飛べてる!」



担任「・・・は、はは」



担任「教師失格だな。箒が違うことを見分けられなかった・・・」



友「兎も角、これで男は居られるんですよねっ?」



担任「当たり前だ・・・見ろ、あれほど早く飛べるんだ」





男「ひゃっほーーー」プンッ



男「・・・あ」ヒュウウウ


担任「あ」


友「お、落ちた」








今日はここまで

#3


―5日後―



男「ほっ」...


 シュウウン



男「お?」シュインシュイン



「男の周り・・・」


「おい、なんか歪んでねぇか?」


「本当だ・・・」



担任「友の次に出来たのが君か。すまない、箒の件で遅れを取らせてしまったな」


友「無属性のオーラは周りが歪むのか・・・」



男「ってことは、クリア?」



担任「ああ、次はそのオーラを杖に移すんだ」



友「僕もそれをやってるんだけど・・・難しくてね」



男「杖にオーラを乗せるのか・・・」






男(でもイメージは箒に乗るときの感じでいけるような...)...



男「っ」ヒョウン



 シュワシュワ



男「あっ出来た」




友「え・・・凄い・・・」



担任(こいつも逸材だったか)




友「す、凄い、一発で決めるなんて・・・一体どうやったの?」



男「ああ・・・こんなかんじでな」・・・





・・・




友「出来たー!」ヒョウン



男「おお! 教えただけですぐに出来たな。やっぱ友は才能あんじゃね?」



 キーンキーン...


担任「よぉし、今日の授業はここまで!」



担任「男と友は、今度は一々体にオーラを纏わずに、杖に一瞬で魔力を乗せるんだ」



男「わかりました」


友「はい」



担任「他のものは二人に負けないようになー」



担任「んじゃ、また明日」


〔寮〕


友「今日は助かったよ。君のお陰で詰まってたとこが解消できた」



男「御相子だよ、俺だってお前がいなけりゃ五日前に退学になってた」



友「そう? でも、ありがとうね」



男「ああ」





―翌日・午後―




担任「・・・だから君たちは、20歳になるまでの5年間、魔法学校で勉強するんだ」



担任「来週からは属性別で担当が変わる授業になる。それまでに、全員杖に一瞬で魔力移動出来るようにな」



担任「原理としては箒で飛ぶときや、オーラを纏うときと変わらないんだから」



担任「じゃあ、今から中庭に出て、それぞれ練習するぞ」


〔中庭〕



男(なんかこうしてると本当に魔法使いになれそうな気がするな)



男(どこか長い夢にも思えてくるような、今までとは離れた現実・・・)




男(でも俺はこうして・・・)...ポワッ




男(魔法使いとしての道を歩んでる)ブオン




男「・・・先生、出来ましたよ。一瞬で杖に」



友「先生! 僕も出来ました」ブオン




担任「・・・お前ら...断トツだな。感心するわ」


―数日後・朝―



担任「早く終わった男と友のお陰もあってか、全員・・・こなせるようになったな」



「ありがとーう」


「お前らすげーわ」


「うん、彼達に教えてもらってから、感覚がよく分かったよ」


「先生よりも教えるのうまいよな」



担任「おい、誰か一言よけいだぞ」



担任「まぁ・・・ひとまず、おめでとう」



担任「君たち一人ひとりがこうして、一流の魔法使いに近づいて行ってる」



担任「今日からは・・・属性担当の先生に代わるから・・・皆バラバラになってしまう・・・」



担任「しかし頑張るんだぞ! お前らは強い!」



担任「先生は見守ってるからなー!」




男「教室ごと変わるんだな」



友「うん。どうやら僕は風と氷の二つに行かないと行けないみたい」



男「俺は無・・・か」



友「そういえば・・・無属性の先生は女性らしいよ」



男「え? この学校に女性いたの?」




担任「うおーー! 頑張れよー」



「今日の先生、暑苦しいな」


「放っておこうぜ」


「熱血教師だったか」

・・・


〔第一無属性教室〕



メガネ「やぁ。特待生」



男「その言い方やめろよな。別に特別待遇されてるわけじゃないんだぜ・・・たぶん」





・・・



〔第二風属性教室〕



友「うん。風か氷のどっちかの教室に行けって言われたから、こっちにしたんだ」



「へぇ。俺も二つ属性持ってるけど、こっちにしたんだ」



友「風ってなんかいいもんね」



「おっ分かるか?」




 キーンキーンカーン...



友「どうやら授業が始まるようだね」



「あーあ。俺は無属性が良かったな。確かあそこは女教師だろ」



〔第一無属性教室〕



 コツコツコツ...



メガネ「これはヒール? の音かな」



男「女性・・・」



 
 ガラッ





男「・・・え」




幼馴染「無属性・一年担当の幼馴染です」



幼馴染「よろしくお願いします」




男「お・・・幼!!」




幼馴染「?・・・!」


幼馴染「お、男・・・」



 ざわざわ・・・



「なんだあいつ? いきなり先生呼び捨てにして」



「しらんのか? 噂の特待生だぞ」



「っち。先公ってババアじゃん」ボソッ



「先生も知り合い見たいだな」




男(間違いない・・・あれは幼だ)




幼馴染「ど、どうしてここに・・・って」



幼馴染「その姿・・・あなた年をとってないの・・・?」





「おいおい、どういうことだ」



「しらんわ」



「何か秘密がありそうだな」




男(やっべ・・・)




幼馴染「とっとっ取りあえず、授業をしましょう」




幼馴染「男・・・くんは、後でこっちに」




男「...はい」



 ざわ...ざわ


幼馴染「静かに! ・・・今日は自己紹介でもしましょう」



幼馴染「・・・私は幼馴染。メイン属性は火、無です」






・・・




―放課後―




男「・・・久しぶり...です」



幼馴染「・・・ええ」



幼馴染「本当に、久しぶり」



男「・・・十四か十五歳のある日、貴方は行方不明になった」



幼馴染「敬語はしなくていいわ...」



男「・・・どこに行ったのかと思ったら・・・魔法使いになってたんですか」



幼馴染「...そうよ。ごめんなさい」




男「・・・謝ることはないですよ。誰だってこんな世界を知ったら好奇心で居たくなる」



男「ただ・・・心配したんだぞ!」




幼馴染「・・・本当に...ごめんなさい」






――――――――――――




母ちゃん「男ーいい加減に部屋から出たらどうなの!」



男「・・・」



母ちゃん「幼ちゃんが居なくなってから3年・・・あんたもいい年でしょ!」



母ちゃん「いつまでウジウジしてんのさッ!」



男「・・・」




母ちゃん「・・・働きもしないで・・・」




男(幼・・・どこ行ったんだよ)





母ちゃん「このままじゃあ、ろくな大人になれないよ!」



男「・・・」



母ちゃん「最近流行のニートってやつになっちまうよ!」



男「・・・」




―数十年後―




おっさん「母ちゃんも死んじまった。ついでに親父も・・・」



おっさん「俺は・・・」



おっさん「なんだよ・・・女々しいなぁ」




――――――――――――




男「ああ・・・もういいよ。どうでも」



幼馴染「・・・その体はどうしたの?」



幼馴染「...なぜ、あの頃のままなの?」



男「・・・分かんねぇ」



幼馴染「まさか、禁術を使ったんじゃ・・・」



男「禁術?」



幼馴染「・・・無属性における禁術の魔法の一つ・・・『リバース』」



幼馴染「若返る代わりに、残りの寿命の半分を失ってしまう・・・」




男「・・・」




幼馴染「ねぇ・・・」




男「・・・だったら、なんだよ」




幼馴染「っ!」




幼馴染「どうして自分を大事にしないのっ!」



男「・・・俺は・・・」



男「やり直しただけだ! つまんねぇ人生を!」



幼馴染「・・・」




幼馴染「・・・『この事』は秘密にしておきます」



幼馴染「これからは、生徒と教師の関係で接しましょう」





男「・・・はい」





・・・





〔寮〕



友「やっほー男。教室は変わったけど寮では一緒だね」



男「・・・ああ」



友「? 何かあったの? 元気ないよ」



男「・・・いや」



友「・・・」



男「あの...」



男「不思議な砂を見せてくれよ」



友「え、うん」




男「少し...落ち着きたい」

#3.5


 あれから数日の時が経った。




幼馴染「無属性というのは、他の火や水属性などの攻撃に比べて、強い攻撃力を持った技が少ないと言えます」



幼馴染「しかし、カギ開けや肉体強化などの多くの補助技を有しています」



幼馴染「ではこの箱」コトッ



幼馴染「これには鍵がかかっています。魔術・・・基本的に我々は魔法と呼びますが、これを開けるにはどういう呪文を唱えたらよいのでしょう?」



幼馴染「ちなみにこの箱はそう複雑ではありません」



幼馴染「では、・・・男君、答えてください」





男「・・・無属性・初級魔法・カギ開けという詠唱で開くと思います」




幼馴染「そうです。杖に属性魔力を乗せつつ詠唱すると、魔法が使えます」




 幼馴染と俺の関係に特に変化はない。ただの教師と生徒だ。




幼馴染「ちなみにもう少し上級の魔法使いになると、初級無魔法・カギ開けや・・・」



幼馴染「さらに上になると『ヒラーク』・・・魔法の名称です」



幼馴染「そんな感じでも開けるようになります。実践などでは短い詠唱で行えるのでヒラークが使われます」



幼馴染「あなた達はまだ上級の域に達していないので、無属性・初級魔法・カギ開けと言いましょう」



幼馴染「では、これから実際にやります」




 キーンキーンカーンキーン...



幼馴染「・・・時間切れですね。また明日行いましょう」



幼馴染「今日の授業はここまで」

 たぶん今日、ここまで

 イってQ見たい


幼馴染「ちなみに明後日は遠足ですので、昼食を各自持ってくるように」テクテク





男「・・・ん? なぁ、遠足って?」



メガネ「この前先生が言ってただろう」



男「えー...んなこと言ってたか?」



メガネ「ああ、そういえばそのとき君は起きてはいたがボーとしていたね」



男「・・・で、結局どこに行くんだよ」



メガネ「えっと」




メガネ「伝説の英雄の像がある・・・ヒーローセントラルだな」




男「なんだ、それ?」



メガネ「知らないのか? ・・・まぁ行ってからのお楽しみにしときな」


―二日後―



幼馴染「昨日は全員、うまく箱を開けられましたね」



幼馴染「今日は遠足でヒーローセントラルに行きます」



幼馴染「昼食を忘れた人は・・・・・・いませんね」



幼馴染「では、皆さん。ペアを組んでください」





男「ペア? なんでだ」



メガネ「僕と組まないかい? 特待生」



男「だからその呼びは・・・まぁいいか」



男「おう、組もう」




男(そういえば昔は俺のペアっていったら幼だったな・・・)



・・・



幼馴染「全員組めましたね」



幼馴染「これは誰かが迷子になったときに知らせるためのペアです」



幼馴染「そして迷子になった場合は連帯責任となりますので、気をつけてください」



幼馴染「それと自由時間ではペアでの行動とします」




幼馴染「では私に付いてきて下さい」テクテク


・・・


男(・・・ちゃんと先生やってるじゃないか)テクテク



幼馴染「・・・」テクテク




メガネ「特待生、さっきからボーとして歩くなよ」テクテク



男「あ? 別にそんなことはないぞ」テクテク



メガネ「そうか。ところで・・・」テク



メガネ「スタートしてから30分は歩いた。そろそろ一回目の森が見えてくるぞ」テク



男「森? 森に入るのか?」テクテク



メガネ「ああ、ちなみに英雄像まではここから3時間だな」テク




男「うへ~箒で飛んで行きばいいのに」テク



メガネ「はぁ・・・分かってないな特待生」テクテク



メガネ「それだと遠足らしさが弱まるだろう」テクテク




男「・・・俺にはよく分からん」テクテク


〔アイスの森〕



男「アイスの森? 食えんのか」



メガネ「違う。アイスとは英雄の仲間であった人だ」



メガネ「この森はその人の名前から付けられた」



男「ふぅん」



メガネ「さらに進むと今度は二回目の森が見えてくる」



幼馴染「後ろの二人ー歩みが止まってますよー」





・・・




男「おっ。やっとアイスの森抜けれたか」テクテク



メガネ「・・・やっぱり箒に乗りたい」テクテク





〔ライトの森〕



男「ライトの森か・・・光るのか?」



メガネ「違う。ライトとは英雄の仲間であった人だ」



メガネ「この森はその人の名前にちなんで付けられた」



男「分かってるよ。あえて聞いたんだ」





メガネ「っふむ・・・そろそろ広場に出て自由時間だろう」



男「そうか・・・お前ってなんつーか・・・便利だな」



メガネ「ふっ」




男「おっと・・・歩こうぜ、また言われちまう」テクテク



メガネ「毎回君の質問に答える度に前の列から遅れてしまう」テクテク



〔ヒーロー広場〕



幼馴染「ここからは自由時間です」



幼馴染「ご飯を食べるもいいし・・・お金のある人は名物のホット・ドッドーを食べても構いません」



幼馴染「三時間後にここに集合です。遅れた場合には連帯責任ですので」







男「うーん・・・どうしようか」



メガネ「なんなら名所でも連れて行ってやろうか?」



男「分かるのか?」



メガネ「僕に分からないのは世界中でちょっとしかない。と言ってみる」




男「・・・あっそ。とりあえず頼むわ」




メガネ「分かった。じゃあ、あそこに行こう」





・・・


〔ルーンの滝壺〕



メガネ「ここは英雄が愛し、最も信頼していたルーンという人にちなんで名づけられた」



男「うおー(ナイアガラの滝みたいだな。見たことないけど)」



メガネ「あの下のところの深いとこには財宝が眠っているという噂だ」



男「へぇ。夢がある話だな」



メガネ「・・・そろそろ次に行こう」




・・・



〔ミントの大地〕




男「ミント・・・食えるのか?」



メガネ「違う――」フガフガ


男「やっぱいいや」



メガネ「口を塞ぐな」




男「にしても・・・ヒーローセントラルって広大だな」



メガネ「まだあるぞ」



〔セント神殿〕



男「ここも英雄の仲間にちなんでか?」



メガネ「そうだな。でも一応、これで最後だ」



メガネ「次はいよいよ英雄像だぞ」




男「英雄、仲間多いな」




メガネ「いらん情報かも知れんが、ここは奥に募金箱がある」



男「どこに寄付すんだよ」




・・・





男「おーい、まだかよ」



メガネ「神殿の前で飯を食ってたからちょっと時間ギリだな」



男「あと一時間か・・・」



メガネ「集合場所までは・・・近道でも30分かかるか」



メガネ「歩くペース上げるぞ」ダダッ

・・・


〔英雄の祠〕




男「っくっそ。なんかここら辺、空気重いな」



メガネ「英雄が倒した魔物の怨霊がいるという噂だ」



男「魔物?」



メガネ「人間とは違う種族全部を指す。常識だぞ」



男「妖怪とかも魔物か?」



メガネ「ギリそうだな」




男「ふーん・・・・・・この人が英雄か」



男(なんかアジアの顔立ちだ)




メガネ「確か名前は・・・ユウキ・ヤマダという」




男「・・・」



男(山田 ユウキ・・・こいつは・・・やはり長年の童貞生活から魔力を得たのか)





メガネ「この人は俺の憧れでもある」




男「そうなのか!? ・・・」





メガネ「凄いんだぞ。ユウキ・ヤマダは」









メガネ「かつて魔法界を荒らしていた『魔神』と呼ばれるものを仲間とともに打ち倒したんだ」




メガネ「魔神はとてつもなく凶暴で、強かったそうだぞ」



男「・・・じゃあ、この人も強いんだ」




メガネ「・・・まぁ、英雄でも相打ちでやっと魔神を倒したそうだ」





男(良く考えたら...仮にこいつが童貞力から魔力を得たとして、)



男(この世界では英雄となり、愛人? もいたことは事実・・・)



男(おまけに見た目が若いってことは・・・リバース? とか使ったんだろうか)





男「英雄・・・か」



メガネ「ん? 君も憧れたか?」






男「・・・少しな」



メガネ「ふふっ。君はある意味でこの人に近いよ。特待生」




男「あ。史上二人の特待生ってやつか」




男「でも何が特別なんだろう」




メガネ「さぁ・・・っと時間だ。戻ろう」テクテク




男「ん、おう」テクテク






・・・


〔ヒーロー広場〕




幼馴染「どうでしたか。皆さん〕




幼馴染「私が見ていた限りではほとんどの人が遊んだりしてましたが・・・」




幼馴染「まぁ・・・これもいい経験になったでしょう」




幼馴染「明日は中庭で授業を行います」




幼馴染「それでは帰りましょう」テクテク


#4



幼馴染「1、2、3、......はい。全員中庭に集合できましたね」



幼馴染「・・・あなた達はカギ魔法がこなせるようになりました」



幼馴染「今日は肉体強化について勉強してみましょう」





メガネ「ふむ。無属性の肉体強化か」ボソッ



男「? 他の属性にも強化ってあんの?」ボソッ



メガネ「よくは分からんが、例えば風なら応用で風で足を早くできる」ボソッ



メガネ「どっちにしろ本格的な肉体強化は無属性だけだ」ボソッ




幼馴染「肉体強化とは名の通り、自身を強化する技です」



幼馴染「腕力・脚力・体力・防御力・・・忍耐力は上がりませんけどね」




幼馴染「敵からの攻撃を受けるときは防御力を。殴るときは腕力、背筋力、などなど・・・」




幼馴染「どちらかと言えば接近戦に向いてますね」



幼馴染「では、実際にやってみましょう。・・・男君」



男「! ...はい?」



幼馴染「私と腕相撲をしてください」スッ




男「えっ・・・はい」タタッ




男「・・・握ります」スッ





幼馴染「メガネ君、審判を」



メガネ「あ、はい」




メガネ「よーい、スタート!」





幼馴染「ふっ・・・」ググッ



男(幼・・・君の姿は変わったけど・・・なんか懐かしいな)




幼馴染「こら。力が入ってませんよ」ググッ



男「...すみません」ググッ・・・ドン




メガネ「特・・・男の勝ち」




男(流石に50歳の幼に負けねーよ」



幼馴染「最後のほう、聞こえたよ」ボソッ



男「っ!」ビクッ





幼馴染「・・・では、もう一度です」スッ




男「・・・はい」スッ





メガネ「ええっと、スタート!」




男「ふっ」ググッ




幼馴染「『ストーロン』」...





男「! 無属性のオーラっ」




 ダンッ






メガネ「せ、先生の勝ちです」







幼馴染「ふぅ・・・二人ともありがとう」




幼馴染「今のは省略しましたが・・・肉体強化に必要な呪文名です」




幼馴染「さっき男君がオーラと言ってくれたように、無属性の魔力を杖と強化したい部分に乗せ、詠唱することで使えます」




幼馴染「魔法使いは『基本的』に術を使うときは杖が必要です」




幼馴染「あなた達は、無属性・初級魔法・肉体強化といいましょう」



幼馴染「多少魔力が強い人やコントロールは中級でも試してみてください」




「よっしゃあああ」


「男らしい魔法だぜ」


「俺は遠距離がよかったー」





メガネ「無属性・初級魔法・肉体強化」...




メガネ「おおっ」ググッ




男「ん」



メガネ「力が溢れてくるよ」



男「よっし・・・」



男「無属性・中級魔法・肉体強化」...



 ドウン...




「おおっ」


「あいついきなり中級やったぞ」


「うほっマッチョ」




幼馴染「普通・・・肉体強化でマッチョにはならないのですが・・・よほど合う魔法だったのかな・・・?」





男「うお、うお」ヨロヨロ




メガネ「特待生。・・・僕も今、中級やってみたけど君みたいにはならなかったよ」




メガネ(良かった)






幼馴染「え、ええー。たまに『魔法適合』と言って、術者と相性が良く、その効果を増加させる場合もあります・・・」






男「ちょ・・・どうやって解除するのーぉ!」ヨロヨロ


飯。    ↑のヨロヨロって表現は、力が強くて制御できないって状態ね。


・・・


男「ふぅ・・・やっと元に戻れた」



幼馴染「・・・そういえば」



幼馴染「来週から大型休暇ですね」




メガネ「あっそうだ。すっかり忘れてた」



男「なんなんだ?」



メガネ「三週間の大型連休だよ。やったな」




男「え? それって休みってことか?」




男(・・・困ったな)








―夜・寮―




友「そっか。男はあっちの世界への戻り方を知らないのかぁ」



男「ああ。まぁ別に戻ってもすることもないけどな」



友「方法はあるにはあるんだけど、金額が高いんだ。飛行船やら列車やら」



男「ってことは行けることは行けるんだ」



男「うーん・・・」



友「良かったら、うち来る?」



男「え?」



友「僕は父さんのところに帰ることにしてるんだ。よかったら・・・」



男「い、いいのか?」



友「もちろん。大切な友達って言えば何日でも泊めてくれるよ」



男「友ー! ありがとう!」



友「いえいえ」




男「ちなみに・・・いつ行くんだ?」



友「校長の長話が終わったら列車で帰ることにしてるんだ」



男「じゃあ、金とか必要なんじゃ・・・」



友「大丈夫だよ。あっちのあっちの世界行きの列車は高いけど、僕んちまでのは安いから」




男「・・・ならお言葉に甘えるよ」




#4.5

    休みへ突入・・・そして


〔魔法列車・特急カルタゴ〕




 ガタン...ガタン...ゴォオオオオオオ...




男「カルタゴ?」



友「うん。僕の家の辺りの地名」



友「この列車でも3、4時間はかかるかな」



男「まぁ、何にしても助かったよ」



友「こっちも一人で帰るのは退屈だったしねぇ、お互い様だって」




男「ははっ。ところで、そっちの授業はどーなの?」



友「えっと・・・風は得意になったんだけど、氷の魔法はいまいち感覚が難しくて・・・」



友「そっちの授業は?」









男「ああ・・・実力、クラス一位」



友「本当に! すごいね!」



男「自分でも驚きだよ・・・」



男「でも・・・一歩ずつ、魔法使いになろうと頑張ってる」



男(・・・俺がここまで変わるなんてなぁ...)



友「僕も負けないように頑張るよ」



男「ああ。まずは、本部学校に行かねーと」





友「うん・・・男。僕も本部を目指してる」



男「・・・」



友「けど、年度末の最終テストで一位だけが本部に行ける」



男「分かってる・・・そのときはお互い・・・」



友「うん」



男・友「「敵同士だ」」





男「ってー、最終試験って何やるの?」




友「・・・僕も知らないんだ」








―数時間後―



「カルタゴー。カルタゴー。到着いたしましたー」





 ダンッ




男「すぅー・・・はぁー」



友「ちょっと疲れたね」



男「ずっと座りっぱなしだったからな」




友「いっよし。早いとこ行こう」



男「何分くらいだ?」



友「えっと、2時間歩けば家につくよ」



男「・・・おーう」



男「学校から箒借りてくれば良かったな」



友「ははっ許してくれないよ。でも箒って買ったら高いらしいね」




男「ああ・・・箒事件思い出した」












―2時間後―



 ドァーンッ ドァーンッ 



友「ただいま。薪を割ってるのか」



友父「はァ・・・おかえり友。なんでも長期の休みらしいな」



友「うん。友達連れてきたんだけど・・・」




男「どうもー」ヒョコッ



友「家に泊めてもいいかな?」



友父「おう。お前の友達なら歓迎だぜ」



男「ありがとうございます」ペコッ



男「男と申します」



友父「友父です」ペコッ





友「挨拶はそのくらいで、部屋に行こうよ」



男「ん、おう」テクテク



男「失礼しやす」ペコッ




友父「うむ。礼儀正しいなァ」








・・・



 グツグツグツグツ...



友父「ふんふん」




 ガバア・・・



友父「いよっし」デーン





友父「ご飯できたよー!」





友「はーいっ」タタッ





友父「んん、男は?」



友「疲れたのか眠っちゃってるよ」




友父「あちゃーせっかく作ったんだけどな」




友「・・・おこしてこようか?」




友父「いやぁいい、いい。休ませておこう」





友父「まぁ。久々の親子で飯にしようや」スタッ




友「そだね。男には起きたときようにパンを取っておくよ」





友父「・・・」モキュモキュ


友「・・・」パクパク



友父「・・・」ムシャムシャ


友「・・・」パクパク




友父「・・・」


友「・・・」パクパク




友父「あー、友」


友「んー」パクパク





友父「学校はどうだ」



友「楽しいよ。うまくやってる」



友「男っていう良い友達もできたしね」


友父「それは良かった」


友「うん」パクパク




友父「・・・お前の目標は叶いそうか?」



友「んー分からないや」



友「とりあえず本部行きを目指すよ」




友父「・・・頑張れよ」





友「任せて」






友「必ず偉大な魔法使いになって母さんを見つけ、連れ戻すよ」



友「絶対にその目標は遂げてみせる」グッ




―次の日―



男「...ふ」




男「あぁーあ~」




男「・・・ん~よく寝た」



男「よっと」ヨイショ...テクテク






・・・



男「あっおはようございます」




友父「おお。おはよう男」



友父「ご飯を用意しているから食べなさい」



男「はい、いただきます」



友父「俺と友はもう食べたからね」



男「ん、わかりました。ところで友はどこへ?」




友父「あいつは魔法の練習に行ったよ」




男「へぇ・・・熱心だなぁ」




友父「友から聞いたが男も本部へ行きたいそうじゃないか」



男「・・・はい」


友父「それは何故?」




男(・・・男女比いちきゅーの理由はマズイか・・・)





男「・・・伝説の魔法使い。ユウキ・ヤマダのように凄い魔法使いになるためです」チラッ




友父「・・・」ジロッ





男(めっさ見とる!)ゴクッ






友父「そうか」ニッ




友父「頑張れよー」





男「・・・は、はい」








#5



  カルタゴに来て、早二週間とちょっと。




友父「思い出作りにあの場へ連れて行ったらどうだ?」



友「あの場? あーあそこね」



友「うん。そうしよう」




男「何の話だー?」



友「ふふっ。男、急いで準備して」




男「は。え?」





友「行くよ。星夜の洞窟」











・・・


男「ちょ・・・ここら辺茨の道じゃん。ガチの」チクチク



男「というか星夜の洞窟って?」




友「綺麗な場所だよー。絶対ビックリする」




友「女の子だったら泣いて喜ぶほど綺麗だよ」




男「そこまで? (ふむ。確認せねば)」チク!





男「いってぇえええ」










・・・


友「気をつけて、ここからはドロドロの道だから」



男「なんかダンジョンみてーなとこ」



友「もうすこしだよー」







・・・




・・・




友「あっ見えた」




男「それは良かった」ボロボロ




男「危うく死ぬとこだった。てか何故お前は無傷なんだ」ボロボロ









〔星夜の洞窟〕


 キラキラキラ...



男「・・・なるほどなぁ・・・」



友「ねっ美しいとこでしょ」



男「ああ。上がまるでプラネタリウムみたいだ」




友「プラネタリウム?」



男「ん、知らないのか?」




男「それはな、こんなか――」





 ゴゴゴゴゴゴゴゴ...




友「伏せてッ!!」バッ






 ドゴォオオオオオオ...パラ...パラ・・・







・・・



男「ゴホッごほ・・・大丈夫かァ? 友」



友「う、ん。平気」ゴホッ




男「怪我は・・・ないようだな」




男「・・・ついてないな。いきなり天井の岩が崩れるなんて」



友「・・・それよりも問題は・・・」チラッ





男「...ああ。大きな岩だったせいもあって・・・入り口が防がれちまってる」




男「これじゃあ、帰ることは出来ない」





友「どうしよう・・・」



男「・・・そうだな。手持ちは何がある?」



友「水と・・・懐中電灯、それに杖だけだよ」




男「俺は水と杖だけだ」





男「まぁ・・・ここは明るいから明かりは大丈夫だろう」





友「魔法で岩を壊せないかな?」




男「うーん・・・無理だな。俺の魔法にこれを突破できるものはないよ」



男「ここの岩は恐ろしく硬いし・・・殴ったら拳が割れるだろうな」




友「僕も・・・突破できる魔法ないなぁ・・・」





男「・・・なら、道は一つだな」




友「?」




男「入り口から帰るのは諦める。そして、この先に進むんだ」



男「運がよければ、抜け道があるかもしれない」




友「そんな・・・」




男「何もなかったら戻ってきて、助けを待とう」





友「・・・男」




男「ん?」




友「禁止されてるんだ」






友「父さんに、この先に進むことを」




男「なんでだ?」




友「分からない。絶対に行っては行けないと言われたんだ」




男「・・・」





友「それに、何か感じない?」




男「・・・」




男「・・・!」ゾクッ





友「ね? 『この先』には、何かいる」







男「ああ・・・『何となく』分かったよ」




男「その上で、俺は先へ進むことを望む」





友「・・・何故?」





男「知らない」




男「けど、さっきから体が震えるんだ」ブルブル



友「!」




男「武者震い・・・好奇心・・・確かめたい...」



男「お前は、思わないか?」




友「・・・」




友「奇遇だね」




友「僕も本当は、それが言いたかったんだ」ブルブル





男「・・・っへ」ニッ





男「行くか」



友「うん」ニッ








・・・



 入り口から歩き続けて30分が経過。




 ズシッ




男「うおぉ!」ググッ



友「っく」ググッ





男「こ、っこっから足を踏み入れた瞬間・・・まるで体全体にかかる重力が増えたように感じた」



友「圧力だ・・・僕達、魔法使いは第六感ってやつが発達してる・・・」



友「感じるんだ・・・強者のプレッシャーって奴を」










男「どうやら想像以上の相手かもな」



友「君は相手が敵だったら勝つ気でいる?」




男「いや・・・俺一人では無理だろう」




男「けど。二人なら勝つつもりにもなれそうだ」




友「僕もだよ・・・行こうか」テクテク




男「ああ」






〔星世の洞窟〕



男「看板・・・星...『世』?」



友「字が違うね」




友「そしてどうやらここが一番奥地のようだ」





男「・・・ついでに相手もいたが・・・ありゃ・・・敵だな」





ゴーレム「我、宝を守りし魔の奴隷」





友「うん。さぁ、杖を手に取ろう」




男「おう」




男「・・・ん?」




男(俺って何か攻撃技持ってたっけ?)







ゴーレム「与えられた命はただ一つ」



ゴーレム「敵は抹殺し、魂を星に浮かべよ」






友「いくよっ男」




男「えっおう」





友「風属性・中級魔法・カマイタチ」...




ゴーレム「...抹殺開始」ピキピキ





友「そ、そんな今のは僕の一番攻撃力を持った魔法だぞ・・・」




男「・・・どうやら奴の体の周りにある岩は入り口を塞がれたのと同じ強度だな」







友「な・・・」



ゴーレム「・・・」ゴオオオオ



男「! かわせ! 突っ込んできた!」




 ドゴオオオン





男(壁に突っ込んだ? 制御が利かないのか?)




男「・・・」




男「友、氷魔法で奴の動きは止めれる?」




友「氷・・・やってみるよ」




男「よし、なら一か八かの賭けだ」





男「次にアイツが俺達に近づいたとき、足を凍らせてくれ」




友「・・・」コクリ









男(正直・・・やったこともないし、うまくいくかは分からない・・・)



男(けど、この技でないとあれは壊せない)




男「持ってくれよ。俺の拳と左腕」ボソッ






ゴーレム「・・・」パラパラ




ゴーレム「ふぁああああああ」バシュウウウウ




ゴーレム「・・・」ゴオオオオオオ






友(来た!)





友「氷属性・中級魔法・氷固め!」...



 ...



ゴーレム「ぐ」カチカチ




友「やった! 男!」







男「...ああ。後は俺に任せてくれ」ゴゴゴ...




友「!(魔力が渦巻いて見えるほど・・・)」




友「い、一体何をするつもりなんだ・・・?」






男(僅かに修正を加えて中級はこなせるようになった)



男(それにこの技は俺に魔法適合している)




男(なら...いけるだろッ!)






男「無属性・『上級』魔法・肉体強化」ゴゴゴ...





友(こ、これは・・・倒せる・・・)




男「うおぉぉおおおおおお!!」ダダッ





ゴーレム「ぐ! お!」ビクッ




友「いっけぇええ! 男!!」






 ドゥン・・・バシャ




男「・・・」ブシャッ


男「ぁ・・・」バタッ



友「ぇ...そんな」




ゴーレム「う・・・おお」


ゴーレム「ゥオ。抹殺...」



男「ぁ」ハアハア




友「あ、当たる前に男の左腕が裂けた・・・」



ゴーレム「抹殺ゥゥウ!」バリーン




友「そんな・・・『リバウンド』なんて・・・」



ゴーレム「・・・」ゴオオオオオ



友(もう・・・動けないや)


友(敵も氷を抜け出したし・・・)




 ・・・ドォオン!



友「え」


友「ゴーレムが・・・(吹っ飛んだ・・・)」



 ドンッ



男「はぁ...はぁ・・・てめ、ぇ」



友「男!」



男「くッゴホっ・・・てめぇ、ごときが・・・せっかくの・・・」



男「俺の友達! 殺せると思うなァ!」




友「・・・お」



友「もう、もう良いよ! そんな体で何やってんだよ!」



男「ぁあ・・・悪いな・・・フラフラして・・・何言ってるのか分からんねぇ」



男「た、だ・・・もう一発、中級で決めるさ」



友「! 何言ってるんだ! 馬鹿か、休めよ!」



男「最後の意地ぃ・・・」ググッ




ゴーレム「・・・」スッ


ゴーレム「・・・」ゴオオオオオオ




友「やめろォおおお!」




男「右がぁ! まだ!」ブンッ



 
 ゴッパアァン



 ピチャ...ピチャ



友「ぁ・・・と」



友父「怪我はないか? 坊主共」



友「父ざんっ!」



友父「おお。って・・・男・・・」


友父「まさか・・・リバウンドしちまったのか?」


友「う、うん」



友(あのゴーレムが『一発』で粉々に・・・)



友父「あれほど・・・あれほどここには来るなと言ったのに・・・)


友「・・・ごめんなさい」



友父「もういい。帰るぞ」



友父「男はすでに、危険な状態だ」



男「」





#5.5


――――――――――――


 ここは?


A、さぁね。


 
 俺は?



A、男だろ。


 
 貴方は?


A、知ってるだろ


 分からないんだ。



フクロウ「分からない? 何故だ」



 思い出せない。


フクロウ「せっかく久しぶりに会えたのになぁ」



 ・・・思い出した。貴方は確か・・・悪魔だ。


フクロウ「悪魔ぁ?」


フクロウ「失礼な・・・俺は神! だ」


 
 神? ・・・・・・神様!



フクロウ「そうだ。俺がアンタにチャンスをやった」


男「お久しぶりです」


フクロウ「ああ。さっきの訂正。ここは夢の中だな。アンタの」


男「夢?」


フクロウ「そうだ。ったく死に掛けてんじゃねーよ。男」


男「死にかけ・・・」



 




フクロウ「そうさ。アンタは魔法でリバウンドしちまって倒れたのに、立ち上がってまた魔法を使った」


男「リバウンド・・・とは」



フクロウ「アンタの魔力・魔法レベルを超えた魔法を使ってしまって、全部自分に返ってきたんだよ」



男「そうなんですか・・・」


フクロウ「まぁ。まだ生きてられんのはその杖のお陰だな」



男「杖? ああ。メテオ・・・」



男「あっ! そうだ! 何で男子校に入れたんですか!」



フクロウ「あ? 俺はアンタが試験を一位で突破して本部に行くだろうと期待してんだぜ」



男「え?」


フクロウ「そのために嫌々入れたんだ。あの学校に」


男「そうだったんですか・・・」



男「すみません、なんか」


フクロウ「・・・気にすんな」




男「それより・・・リバウンドなんてものがあったんですね」


フクロウ「ああ、今度からはヒヨッ子のクセに大層な技使うなよ」


フクロウ「もう懲りただろ?」


男「はい・・・」




フクロウ「ん・・・っち。男、お別れだ」


男「え?」


フクロウ「夢が覚めちまう」



――――――――――――



「...とこ...お!」


男「っは」


友「あー心配した」


男「友・・・」


友「ったく・・・なんであんな馬鹿な真似したんだよ」



男「馬鹿って・・・勝手に体が動いたんだよ」


男「それに行かなきゃ、お前、死んでただろ」



友「うっ...それは、ありがとう」



男「ん・・・んん!」ググッ



男「左腕が動く! ある!」


男「割れた右拳も治ってる!」グパグパ



男「どうなってんだ・・・」



友父「それは、宝と俺の技術のお陰だ」ドヤッ



男「あっどーも」




友父「あの星世の洞窟の星はな・・・魔物の魂だ」


男「た、ましい?」


友父「おう。魂が輝いていたんだよ」



友父「ちなみに男が戦ったような、人間に攻撃してくる凶暴な奴は魔物ではなく『魔人』というんだぜ」



友父「んで、男が助かったのは、魔人のゴーレムが守っていた『命の枝』のおかげだ」



男「命の枝?」


友「あらゆる生命を助けるという世界に一本だけの木の枝だって」



友父「うん。その枝をー心臓にぶっ刺した」テヘッ



男「・・・はい?」



男「えっ ここに?」ユビサシ



友「でも、男の心臓に刺した瞬間、全ての傷が回復されたんだよ」





男「・・・よく分からんが、ありがとうございます」


友父「うん。・・・これであらかた説明したよな?」



友父「よし。じゃあお前ら・・・」




友父「何で先に進みやがったぁ!!!」




 
 この後、半日は怒られた。




・・・


・・・



 そして。



―連休最終日・朝―




 

 ボオオオオオオ



「間もなく出発致しまーす」



友父「気をつけてな」


男「はい」


友「うん」


友父「また帰って来い。男も」



男「・・・はい(なんか行き辛い・・・)」


友「じゃあ、行くね」


友父「おう」



友父「友!」


友「ん?」


友父「目標、成し遂げろ」


友「・・・」



友「勿論っ!」


友父「っふ」ニッ




友(・・・それにしても父さんがあれほど強いとは・・・知らなかった)




 ボオオオオオ...



男「友ー、早く」


友「ごめんごめん」



友「じゃあね」フリフリ


親父「おうっ」グッ




〔魔法列車〕



友「なんか大変だったね」



男「そうだな・・・経験になった」



友「もう、あんなボロボロになってるのに助けなんて要らないからね」


男「・・・」


友「・・・」



友「君が助けられないほど、僕は強くなる。そして本部に行く」


男「・・・っへ」ニッ



男「分かったよ。ただし、本部行きは譲らないぜー」



友「ははっ。これからも良い友達でいよう」



男「うん。そうだな」






 ボオオオオオオオッ...



「次の停車駅はー・・・」


今日はここまで



男「あ・・・」



友「どうしたの?」



男「忘れてた・・・あのさ」



友「うん」


男「星夜の洞窟で滅茶苦茶強い圧力を感じたとこがあったろ?」


友「ああ、あったね」


男「でも奥地にいたのはゴーレムだけだった」


男「確かに強かったが・・・あれにあそこまでの圧力を出せたと思うか?」


友「・・・そういえば・・・確かに・・・」



友「まてよ・・・君は他にも何かいたっていうのかい?」


男「・・・たぶんな」






#6


 大型連休から何ヶ月かの時が過ぎた。

 季節が変わった。



 そして・・・



男「ついにここまで来た・・・」



 明日は最終試験だ。






幼馴染「皆さん。お疲れ様でした」


幼馴染「来年からは二年生になりますね」


幼馴染「でもその前に試験があります」



幼馴染「一年最後の期末試験。頑張ってください」




幼馴染「試験内容は、先ほど説明したように・・・」



幼馴染「雪山での、緑に輝く玉、エメラルドストーンの入手」



幼馴染「これは3人一組のチームで行います。今からそれぞれに紙を配るので、それに書かれた場所で待ち合わせてください」スッ





・・・

―食堂前―



男「三人一組って・・・本部に行くには一位通過が必要なんだろ・・・」


男「三人がいけるってことか? ・・・」



男「とりあえず・・・(紙に書かれた食堂前に着た。他にも赤文字でCチームとかかれてあるな)」




メガネ「あれ。特待生じゃないか」テクテク


男「ん? ・・・メガネ!」


男「どうしたよ。こんなとこで」



メガネ「いや。僕の紙に食堂前ってかかれてたから・・・」


メガネ「ちょっと君の紙を見せてくれ」



男「お、ほら」スッ


メガネ「どうも・・・」ペラッ



メガネ「なるほど・・・赤文字のC・・・どうやら同じチームのようだね」



男「本当か!? すごい偶然だな。一年全体からランダムで分けられるのに」



メガネ「ああ・・・あ! ・・・どうやら・・・」チラッ



男「ん」チラッ



メガネ兄「よォ!」



メガネ「もう一人は僕の知り合いのようだ・・・」



メガネ兄「弟! まさかお前・・・赤Cか!?」



メガネ「ビンゴ・・・」


男(暑苦しい奴・・・)


メガネ「彼は僕の双子の兄貴だよ。ちょっと誕生日があっちのが早いだけで、同学年だ」



男「えっ・・・でも、メガネかけてないじゃないか」



メガネ「弟が掛けてるからって、兄もかけるとは限らないだろ・・・」



メガネ兄「赤Cなんだな! よろしく。そっちは!?」



男「お、男です」


メガネ兄「! 弟から聞いてるぞ! 特待生」


男「は、はぁ」


メガネ兄「よろしくな、特待生」


男(こいつもその呼びか...)




メガネ「・・・じゃあ今日はもう解散しよう。明日に備えて」


―夜・寮―



友「はは、そうなの?」


男「ああ。まさか・・・あの兄弟がチームとはな」


男「そっちは?」


友「うん。中々良いチームに分かれてくれたよ。バランスがとれてるんだ」



友「ところで、本部行きの話なんだけどさ」


男「おう」


友「明日のエメラルドストーン探しで、『無事に三人ともが持ち帰った』とこから、希望制で、トーナメントが開かれるらしい」



友「そのトーナメントで一位になったものが、本部へいけるみたい」



男「なんだよ、それー・・・」



男「じゃあ、明日はエメラルドストーンってのを見つけるだけでいいのか?」


友「うん。情報ではね」




・・・

―数時間後―



 カンカンカンカンカン!



男「な、なんだ!?」


友「ん」ネムネム


友「・・・どうやら、出発のようだね。急いで着替えよう」


男「出発? まだ夜中の二時だぜ」


友「今回行く場所、ヘル・スノーマウンテンは・・・箒で飛ばして3時間かかる場所なんだ」



男「箒で行くの!?」



友「そう・・・だから、魔法使い一年生の最終試験なんだって」



友「たぶんだけど・・・習ったこと全てが試されるんじゃない?」





〔ヘル・スノーマウンテン〕



 ビュオオオオオ...



担任「いいか!? 今は6:00、朝だ!」


男(・・・久しぶりっす)


メガネ兄「おい、どうやら俺がリーダーのようだぜ。さっきバッジを渡された」


メガネ「声がデカイよ」ボソッ



担任「必ず、18:00までには戻って来い。ここからは箒の使用は厳禁だから、周りの先生方に渡してくれ」



担任「エメラルドストーンは雪山の奥地にある。怪我をしないよう気をつけてくれ」



担任「では、赤のAチームから、この9つの道から一つ選んで進みなさい。君たちの健闘を祈る」スッ



「9つの道は、魔法属性を指してるらしい」


「どれがいい?」


「一番右にしよう」テクテク



担任「次、B。」



男「そういえばメガネ兄は何属性なんだ?」


メガネ兄「わしは当然、火属性onlyだ!」



男「予想通り・・・(無、無、火のチームか)」



担任「次、Cチーム」


メガネ「行くよ」テクテク


メガネ兄「真ん中、5番目が良い!」ダダッ



男「・・・一年全体で約90人はいるなぁ・・・」



メガネ・メガネ兄「特待生ー!」


男「うぉ・・・悪い」タタッ


・・・

 ビュオオオオ



男「さっみぃなぁ」


メガネ「これだけ着込んでも寒いな」


メガネ兄「そうか? 熱いぞ」メラメラ



男「・・・そうっすか」



・・・


クマール「ガオオ」


男「お、熊だ」


男(こっちにもいるんだな)


メガネ兄「むっ魔物か」


男「魔物?」



メガネ「気をつけてよ。クマールは、魔人じゃないけど襲ってはくる」


クマール「ガオオ」ノッシノッシ



男「近づいてきた。でも何かカワイイな」


クマール「ガオオ」ダダダッ



メガネ「特待生! タックルしてきてるぞ!」



メガネ兄「初級火魔法・メラ」...


 ボワッ


クマール「わぅ!」タタタッ


メガネ兄「ふむ・・・やはり呪文の短縮は便利だな」



メガネ「ここらの魔物は火なんて見ないだろうから驚いて逃げたんだろう」



男「うわー驚いた」


メガネ「野生の魔物には注意した方がいいぞ」


男「ああ。助かったよ」


メガネ兄「チームは助け合うものだ」


・・・


―10:00―



男「ふぅ、大分歩いたんじゃないか?」


メガネ「そうだな、サンドイッチ食うか?」スッ


男「おっさんキュー」モグモグ



メガネ兄「思い出したが、先ほど見たチーム。おそらく風属性かなんかの力で、物凄い速さで進んでおったぞ」


メガネ「僕は風を盾にして吹雪を防いでいるのを見たよ」



男「風・・・か」



・・・・・・


友「おっ。あったよ。あれがエメラルドストーンだ」


「おお。本当だ、流石は友だな」


「おいおい・・・俺達こりゃ一番乗りじゃねーの?」


友「かもね。選んだ道が良かったのかも」


友「君が闇属性の力で案内してくれたお陰だよ」


「おいおい・・・照れちまうだろ」


友「それと僕と君の風属性の応用の力で、早く歩いてこれた」


「おお。気にすんな」


友「じゃあ、取ってから帰ろうか」



・・・・・・


男(何してんだろうなぁ。友は・・・)


男(あいつのことだからもう見つけてたりして...)



 ビュオオオオオ


メガネ兄「っく! 吹雪が強くなった。視界が悪いぞ」


メガネ兄「メガネ! 今、わし達はどこにいるんだ?」


メガネ「たぶん・・・まだ中間ってとこじゃないの」


メガネ兄「そうか。特待生! 調子はどうだ?」


 シーン


メガネ兄「ん? 特待生?」


メガネ「あれ、あいつ居ないぞ・・・」


メガネ「特待生ー?」オーイ


メガネ兄「む・・・まさか遭難か!?」


メガネ「そんな・・・特...男ー!」





―森―



男「い・・・いてて」ヨイショ


男「くっそ・・・急に吹雪いて足を滑らせちまった」



男「どこだ? ここ」キョロキョロ





男「森・・・か?」


男「やっべ、山道からそれちまったのか・・・」



男「とりあえず・・・天辺目指せばつけるか?」テクテク




・・・・・・


メガネ「兄貴、どうすんだよ」


メガネ兄「むぅ・・・」



メガネ兄「進む!」


メガネ「なっ・・・正気か?」


メガネ兄「魔法時計を確認したがもう11:08分だ」


メガネ兄「特待生が進むか、先生達の下へ戻るかは分からん」


メガネ兄「この試験をクリアするためには一人一つ。三つの玉が必要だ」


メガネ「・・・」


メガネ兄「今、わし達がすべきはこの猛吹雪の中、やつを見つけることではない」


メガネ兄「やつを信じて、やつの分の玉を確保するべきだ」



メガネ「・・・それで彼が死んでたら意味がないだろ」


メガネ兄「では、お前はどうする?」


メガネ兄「あと約7時間しかない。どこにあるか分からんエメラルドストーンだ」


メガネ兄「特待生がどこにいるかも分からない。どうする?」



メガネ「・・・先生達のとこに戻り、連絡する」



メガネ兄「・・・そんなことをしてみろ。タイムアップするぞ」


メガネ「信じろ。やつを」



・・・・・・



―12:30―





メガネ「特待生!」


メガネ兄「特待生!」



男「・・・」フラッ


男「! ふ、二人とも・・・」


メガネ「ったく心配させやがって」


メガネ兄「無事で何よりだ」



男「悪い・・・吹雪で足を滑らせちまって」



メガネ兄「気にするな。こうしてお前は無事なんだから」



男「あっ・・・エメラルドストーンはどうなった?」



メガネ「・・・まだなんだ」


メガネ兄「この馬鹿がどうしてもお前を探したいっていってな」



男「メガネ・・・」



メガネ「っふ。チームは助け合うもんだろ」


男「ありがとう」





・・・・・・


「先生ー!」


担任「! お、驚いたな。もう戻ってきたのか」


友「ええ。仲間のお陰も合って・・・ほら」スッ



 キラキラ...キラキラ...キラキラ...


担任「ほう・・・確かに」


担任「凄いぞ。一番乗りだ」


「やったー」


「友に感謝だな」


友「そんな・・・」


担任(きっと良いチームワークが取れたのだろう)



「途中で俺が足を滑らして落っこちたとき、すぐに友が駆けつけてくれたんだよな」


「ああ、あんときゃ・・・惚れかけたぜ」


友「はは・・・それはやめてよ」


担任「ほう。その選択は正解だったな」


友「はい・・・あんな吹雪ですからね。一人ひとりにロープを付けておいて正解でした」



担任「そうなのか? ・・・じゃなくて・・・」


担任「あの山には〔誘いの森〕っていう魔人がいる場所があるからなぁ」


友「誘いの森?」


担任「ああ。山のどこにあるのかは分からんが、大変危険なとこらしい」


担任「まぁ山道から外れなければ大丈夫だ」



・・・・・・


男「? 何かおかしくないか?」



メガネ「何が?」


男「探してるものは山の奥地・・・天辺辺りにあるんじゃないの?」


男「だんだん外れて行ってる様な気もするが」



メガネ兄「お、入れたな」ズシッ


メガネ「誘導せいこーう」



男「え?」


メガネ「ようこそー。い・ざ・な・いの場へ」ドロオ


メガネ兄「これで、ようやく本気がだせる」ドロオ



男「な! な!」



男「りゅう!?」



竜「久々の獲物だぁ・・・」


龍「人間とはまた・・・うまそうだ」



男「お前ら・・・俺を騙してたな・・・」


男「魔人か?」



龍「そうだ。厳密に言えば少し違うがな」


竜「さぁて・・・いただこう」



男「・・・りゅうが相手とはな・・・」


男「こりゃ、詰んだかも」


男「・・・本当にいたんだな」



竜「ああ、灼熱の息を吐き、大地をもえぐる爪を持ち、」


龍「マグマからも身も守る鱗を纏う」


龍「貴様に勝ち目はない。さぁ命を差し出せ」




男「ああ・・・タダじゃ死んでやらないぜ!」



男「中級無魔法・硬化」...


男(ゴーレムのときとは・・・違うぞ)


男「中級無魔法・肉体強化」...


男(これで拳などは鉄並みの強度を持ち、肉体強化で全力で戦える。・・・ただ)



男「遠距離技がほしーぜッ」ダッ



竜「・・・おろかな」


龍「我らに攻撃は利かぬというのに・・・」



男「だらッ」ヒュッ


龍「! っご」ドン



男「?」



男「・・・」スタッ



男(変だな・・・サイズの割りにやけに実がない・・・)


男(まさか...)


男「どうした? 反撃してこないのか?」



龍「・・・今のは・・・貴様の全力か?」


男「だったら?」



竜「灼熱の息を浴びろォ!」ブオオオ



男(もし・・・俺の予想が正しいのであれば・・・)



 ゴオオオオオ...


竜「灰となれェ!」



男「幻術だッ!」



 ボオオオッ



男「・・・」



竜「・・・チ」


龍「見抜いたか」



男「...いつからだ?」


龍「・・・ここに魔人は居ないさ」


竜「いるとすればこの森」





男「...いや。この森も幻術だろう」


竜「・・・」


龍「・・・我らも、森も、実態がない」


龍「全ては貴様ら人間がエメラルドストーンを盗むせいだ」



男「何?」


竜「ヘル・マウンテンが防衛として『山自身』が幻術をかけた」


男「・・・ばかな」


龍「真実だぞ。エメラルドストーンは僅かながらに魔力を持つ」


龍「まぁ・・・それももう良い」




男「...すまなかった。俺、言っておくよ」


男「先生やら人間達に。この山に入るなって」



竜「...ありがとう」


龍「すまない」




男「ただ・・・幻術は消させてもらうぜ」




竜「できるのか?」


龍「中々に強い幻術だぞ」


男「心配しなくてもいい。幻術は俺に魔法適合している」


男「それに、得意な魔法なんだ」



龍「・・・そうか。世話を掛けた」


龍「貴様だけは・・・エメラルドストーンを貰ってくれ」スッ...コロン



男「・・・分かった。ありがとう」





男「上級無魔法・幻術解除」...







・・・


―17:30―



担任「帰ったか」


メガネ「は・・・はい・・・」


メガネ兄「すみませんでした!」


担任「お、お?」



メガネ兄「特待生が遭難してしまいました!」


メガネ「・・・途中で僕も遭難して・・・男のエメラルドストーンを失くしてしまいました・・・」



担任「ああ。そのことか」



男「おっ。二人やっと帰ってきたのか・・・うんストーンも持ってるな」



メガネ「おt・・・特待生!」


メガネ兄「なにぃ!?」





担任「君も大変だったな」


男「まぁ・・・それより、さっき話したのは本当のことなんで・・・」


担任「分かってるよ。エメラルドストーンは先生達が返しておく」


担任「この山には誰も立ち入らせないようにしよう」


男「ありがとうございます!」



メガネ兄「何の話だ?」


メガネ「さぁ・・・それよりもさすが・・・特待生だ」


メガネ「いつの間にか僕達よりも先にストーンを持って、帰ってるなんて」



男「はは・・・でもこれで?」



担任「合格だ。ところで、本部――」


男「行きます」


担任「即答かよ・・・」



男「あの、友は?」


担任「ああ。あいつは一番来て・・・もう学校に帰ったぞ」



担任「ちなみに、君たちは脱落組を除いて、一番最後だった」




男「あちゃー・・・結構な差が付いちまったなー」




担任(だが。先ほどの男君の話を聞いた限りでは・・・彼は一番、凄い力を秘めた生徒かも知れんな)




#6.5


 最終試験から一週間後。



友「明日の魔法トーナメントでは負けないからね」


男「それは俺の台詞だぜ」



男「・・・でもさ、最終試験一位通過で決まってたら、友が行けてたんだよな」



友「でもチームだから分からないね。どっちにしろ、明日で決まるよ」



男「ああ(・・・これで男女比1:9の学校に行ける・・・)」





―次の日―




今日はここまでやで

担任「さぁ! やって参りました・・・魔法トーナメント!」


担任「優勝者には魔法学校・日本本部へ行ける権利。さらにメダルが贈られます」



担任「では、第一回戦・・・組み合わせは――」




―特別見物席―


豚校長「わざわざ100kmも離れた我が校までお越しいただき、感謝いたします」


会長「いえいえ。これはうちに来る生徒を決める大事なイベントですからね」


会長「ところで・・・男、という生徒はどこにいるのですか?」


豚校長「はい・・・あそこにいますね」ユビサシ



会長「...彼が」


会長「・・・ふむ。是非とも我が校に来てもらいたいものですね」



・・・



男「・・・まさか」




友「ははっ」


男「初戦の相手がお前だとはな...ついてないぜ」


友「本当だよ。でも、逆に考えればこれ以上大きな相手とは戦わなくてすむってことだ」


男「まるで俺が一番やっかい、みたいな言い方じゃないか」


友「・・・負けないよ。男」



担任「第一回戦。男vs友・・・試合開始!」



・・・


会長「今回は希望人数が少ないような気がしますね」


豚校長「はぁ・・・本部行きを希望したのは僅か10名でございます」


会長「なるほど...。友という生徒も中々良いですね」


豚校長「! その生徒は我が校の一年生の中でトップの成績です」


会長「そうですか。しかし・・・」


会長「成績=強さとは限りません」


・・・


友「はっはっふぅ・・・」フラッ


男「どうしたよ、友。やけに息が上がってるじゃないか」


友「...君は・・・早いとこ本気出したほうがいいよ」


友「それとも、僕なんかには本気を出すまでもないって?」


男「まさか」



友「・・・くそっ(攻撃魔法が一切当たらない・・・)」


男「...不思議か?」


友「え・・・?」


男「何故、俺に攻撃が当たらないのか」


友「ああ・・・不思議でたまらない...」


友「お陰で火がついたよ・・・」


男「おう。お前の本気を見せてくれ」


友「絶対に当ててみせる!」



友「この技は絶対に避けられない」


男「なら、避けるのはやめるよ」


男「中級無魔法・硬化」...


男「受けてたとう」カチコチ



友「中級風魔――」!


 
 ドオォオオオオォ!!...



・・・


会長「!」


豚校長「わわわわわっ何ですか! あれは!?」


会長「どうやって侵入した・・・ここは学校の敷地内だぞ・・・」


会長「警備は万全...魔人なぞが入れるわけがない」


・・・


男「な、なんだあのでっかい化け物...」


友「あいつは・・・雷獣」


男「雷獣? 知ってるのか、友」


友「うん・・・この前読んだ魔物大全という図鑑に載ってた・・・」


友「雷とともに現れ、人を『食う』という魔人だ」


友「確か・・・絶滅した種族のはずだよ」





「ギャー○男が食われたー!」


「っくそ! 中級水魔法――」...


「なら中級火魔法」...



男「さっきの爆音は奴の仕業か...」


友「人が・・・...トーナメントどころじゃなくなったぞ」


男「あぁ。助けに行くぞ」



友「なっ待ってよ。僕達に太刀打ちできる相手じゃない!」



・・・

豚校長「うっわああぁ。どうしましょう? ねえ? ねぇ?」ガシッ


会長「・・・上級生はいないのですか?」


豚校長「えっと、5年は卒業式の準備で外に皆買い物に・・・かなり遠くなので・・・」


会長「4年は?」


豚校長「もう休みに入っております・・・3年は海外(他校)遠征」


豚校長「2年は遅れて最終試験をしております・・・」


豚校長「生徒は1年生のみ・・・教員も少ないです・・・」


会長「...絶望的、ですか」


豚校長「うわ~っ終わりだァ!」


会長「仕方ない・・・」


・・・


男「なら! お前はそこで黙って見てろよ!」


友「なっ・・・そんな言い方ってないじゃないか」


男「あんなデカブツ倒せなきゃ、本部にだって行けねーよ」


友「けど...魔力を有した上位クラスの魔人だよ? 体長だって10m以上はある・・・」





男「以前の俺なら、こんな時、絶対に行かなかったよ」


男「・・・こうしてる間にも人が食われてる。俺は行くよ」タタッ


友「...男」



・・・

〔雷獣出現跡〕


「はぁ・・・はぁ・・・私?」

「大丈夫よ。魔力は多いほうだから」



男「・・・ッチ。怪我人がこんなに・・・」


「あなた・・・男ね」


男「ん? (オカマの人か?)」


「割と有名になってたから知ってるわ」


男「そうですか」


「私は3年生なんだけど・・・ちょっと体調を崩して、遠征に行けなかったの」


男「はぁ・・・ん? もしかして怪我人の治療を?」


「ええ。大変だけどね」


男「・・・ありがとうございます」


「ふふ。頑張ってよね」


男「何をですか?」


「雷獣と戦うんでしょ? さっき担任先生が言ってたわ。あなたもどうせ後から来るだろうって」


男「今先生は雷獣と戦闘を!?」


「そうよ――」

「ごめんなさい。怪我人の治療に行かないと・・・」




男「あ...頑張ってください!」


「ええ。あなたも」タタタッ


「ごめんなさい、って...これは重症ね」


「でも安心していいわ」


「上級回復魔法・ライフ」...



男(いい人だな・・・)


男「っと」タタッ


・・・

・・・


 ドゴオン! ドゴォン!



担任「ってぇー・・・いい加減、止まってくれよ!」


担任「バースト!」...


担任(一体どこへ向かってるんだ?)


雷獣「今のは、上級の火魔法か」


担任「そうだ。肉弾戦がお望みか? ストーロン!」...


担任「ちなみに今の技は上級の上、『究極』のストーロンだ」


雷獣「知らんよ。そんなことは」...



 ビシャァァアアァン!



担任「」プスプス


雷獣「いくら外を強くしようが、我が雷は内を通る」



・・・


男「! なんだ今の音は!」タタッ


男(先生・・・)タタッ



・・・


担任「ァァ」


男「先生ー!」


担任「ァ・・・」


男(駄目だ・・・傷だらけで...危険だ)



友「男ー!」


男「友・・・」

男「それに、」


幼馴染「無事ですか!?」


男(幼・・・)


友「先生を連れてきたんだ。ていうか・・・」


男「ああ。たぶん雷獣の攻撃だろう。酷い傷だ」


幼馴染「・・・おそらく、やられる前に肉体強化をしていたのでしょう。まだ大丈夫です」


幼馴染「男君、友君。担任を外にいる救護班のところまで連れて行ってください」


友「わかりました」


男「外? なんだって救護班がそんなところに」


幼馴染「当然です。いつ雷獣が本気で暴れるかわからない」


友「男、早く行こう」




男「・・・いやだ」


幼馴染「...また、あなたは・・・」


男「先生はこれから雷獣のところへ行く気でしょう。そんなの駄目だ」


幼馴染「あなたはどうしたいの?」


男「先生と一緒に行きます」


友「男・・・だめだ」


男「あの担任先生でもこんなになっちゃったんだぞ!」


幼馴染「はっきり言います」


幼馴染「正直、あなたが来たところで、邪魔にしかなりません」


男「!」


幼馴染「早くしないと担任は死にますよ。分かったらさっさと行け、男」


男「ぁ・・・っはい・・・」


男「友、行こう・・・」


友「うん・・・」



・・・

―トーナメント会場前―



友「男・・・君はどうしてあの化け物に戦いを挑みたいの?」


男「...分からない」


男「ただ自己満足したいのか・・・正義感からなのか・・・」


男「昔はこんなこと絶対になかった」


友「昔って?」


男「・・・忘れたよ。過去は棄てた」


男「幼、一人で勝てると思うか?」


友「え、幼馴染先生のことかい? そりゃ・・・」


男「他の生徒は逃げちまい、他の教員は救護で手が一杯」


男「じゃあ、誰が雷獣を倒すんだ?」


友「・・・誰にしろ、君じゃ勝てないんだよ」


男「分かってるよ。でも幼を一人で死なせちまったら・・・殺されたら・・・」


男「俺は死んでも後悔することになる」


友「...」


男「一生に一度のお願いだ」


友「・・・」


男「担任先生を、頼む」


友「...約束」


男「え」


友「絶対に殺されないと約束するなら、行けよ」プイッ


男「あ・・・ああ。ありがとう・・・!」タタッ




・・・
・・・
・・・

 雷獣は歩むのを止めた。

 
 とてつもない強者の重圧を感じたからだ。



男「どうして・・・幼がいない?」


雷獣「・・・あ、ああ」


雷獣「ちゃんといるぞ。ここに」ツンツン


男「・・・食ったな。お前」


雷獣「!」


男「俺は・・・お前を殺すぞォ! 雷獣」...ゴゴゴ



%%%%%%


雷獣「ここは」


男「何もない。無の空間だ」


雷獣「馬鹿な。さきほどまで庭にいたぞ」


男「さぁ。右を見ろ」


雷獣「右・・・!」ドン



男「それは爆弾の山だ」


男「左を見ろ」


雷獣「はっ」バッ



男「でっかい穴が開いてるな」


男「じゃあ、上を見ろ」



雷獣「っ!」


男「隕石だ・・・。俺は禁術を使い、お前を異世界へと連れてきた」


男「ここは、今から滅び行く世界だ」






雷獣「あ、あああああああ!」


男「さぁ、一緒に消えよう」


男「言っただろう。お前を殺すと」



雷獣「や、め、やめろおお!」バッ



 ドゴオオオオオオォォ!



・・・


 ジュウウウウウウ...


雷獣「ぎゃああああ!」


雷獣(穴に飛び込んだら...)ジュウウ


雷獣「毒の海じゃねぇかァ!」ジュウ


雷獣「ギャアアアアアァアァァ」ドロドロ



雷獣(もう...し、ぬ)ドロドロ



%%%%%%



雷獣「ぐああああっ!」ジタバタ



男「はァ・・・はぁ・・・」



雷獣「ぐぅうううう・・・助けてぐれええぇ」ジタバタ


男(所詮...)ハアハア


男(俺が出せる『幻術』じゃ・・・こんなのが限界だ)



男「分かってたさ・・・勝てないってことくらい」


雷獣「ぐ・・・あ・・・あ?」ピタッ


雷獣「い、生きてる・・・」



男「どうだ? 最後に地獄を味わった気分は?」


雷獣「あ...あぁ。そういうことか」


雷獣「幻覚だったってわけか・・・」


男「ああ。完璧にやったから気付かなかったか?」


雷獣「・・・恐れ入ったぞ。流石は・・・」



男「お陰でもう一歩も動けない」バタッ


雷獣「・・・」


男「・・・やれよ」


雷獣「...安心しろ」


男「あ?」

雷獣「我は先ほど、誰よりも強い者の圧力を感じた」


雷獣「一瞬、歩みを止めてしまうほどに、寒気を感じた」


雷獣「振り向けばいたのは貴様だったが。あれは貴様ではなかった」



会長「わしじゃよ」ット


男「!?」



雷獣「ああ・・・貴様だ」


会長「どうしてここにいる?」


雷獣「死んでもそれは言えん」


会長「ならば・・・お別れかの」



男「あの、誰か知りませんが気をつけた――」


会長「グラップ」



 ブシャアアアア...



男「っ・・・」


会長「究極闇魔法の一つじゃ」


男「こ、殺しちまったのか!?」



男「中には...人が居たんだぞ!」


会長「ふむ・・・わしはそんなミスせんよ」


会長「ほれ、後ろを見てみい」



男「・・・」チラッ


男「お、幼!?」



会長「ただ、時間がたったせいか・・・彼女しかすくえんかった」


会長「そのうえ・・・」



男「な、なんて酷い怪我を・・・」


会長「近くに医者はおらん。わしは回復属性をもっていない・・・」



男「・・・雷獣の跡地に回復を使える者がいました・・・何とか行けませんか?」


会長「...もうおらんよ。人はわし等以外、全員非難させた」


男「そんな・・・」



男「幼・・・」


――――――


〈数十年前〉


―小学生―



幼馴染「あなた、またいじめられたの?」


男「う・・・ぅ六年生にたいそうふく取られた・・・」


幼馴染「はぁ・・・分かった。取り返してくる」


男「...ぅ一人で行くの?」


幼馴染「そうよ」


男「や、だめだよ。あいては三人だよ?」


幼馴染「取り返さないと、体育できないでしょ」


男「ぅ・・・おれも行く」


幼馴染「へ? だめよ。じゃまになる。危ないわ」


男「幼ちゃん一人なんて・・・きけんだよ」


幼馴染「は・・・ふぅ。大人しく待ってて」タタッ



・・・


幼馴染「取り返してきたよー」ボロボロ


男「き、傷だらけじゃんっ!」




―中学生―


幼馴染「――で、家出してきたわけだ?」


男「・・・まぁ」


幼馴染「ええ。泊めてあげるわよ」


男「本当に!?」





・・・夜・・・


男父「男! あれはどういうことなんだ!」


幼馴染「あの、お父さん」



・・・


幼馴染「ほら、あなたのお父さん説得してきたから」


男「・・・ありがとう」



―高一―


男「だから財布なんて取ってませんて」


警察官「まぁまぁ。話は署で聞くから」



幼馴染「男っ」



・・・・・・


――――――



男(何かが起きるたび・・・幼が助けてくれた・・・)


男「このまま死なせてたまるか」グッ



男(今度は俺が助ける番だ!)...


 プシュウウウウウウッ



会長「!」


男「? 体が温かい・・・」シュインシュイン


会長「桃色のオーラ・・・大器晩成か...」


会長「属性が開花した・・・」


男「桃色は・・・回復属性!」


男「あの、これって幼を助けられるんじゃ?」



会長「・・・彼女の傷は酷い・・・助けるなら上級クラスの魔法が必要だ」


会長「開花したばかりじゃそんなのは使えんじゃろ。それに呪文も知らないはず...」



男「そんな・・・」


『でも安心していいわ。上級回復魔法・ライフ』



男「・・・あ」



男(さっき、人助けをしていた3年の人が・・・唱えていた!)


男「頼むっ!」



男「回復属性・上級魔法・ライフ!」...


男(リバウンドすんなよ...)パアア



・・・


会長「・・・どうやら、」


会長「大器晩成と同時に魔力の量も増えたようじゃの・・・まさに、奇跡じゃ」



幼馴染「・・・ここは・・・男・・・」



男「幼・・・幼ー!」ダキッ


幼「ちょっ!」アセッ


男「良かったー!」


幼「・・・男・・・」


幼「...ふふっ」ニコッ



#7


 雷獣襲来から二日後。


―終了式―


豚校長「――で、あるからして・・・」


豚校長「・・・ま、長い話はやめますか」


豚校長「次に学校に来るまで、10日ほどの休みがありますが・・・気を抜かないように! それでは解散」



・・・


男「はぁ~。ようやく一年終わりかー」


幼馴染「・・・先日はありがとう」


男「おう」


 あれから幼とは昔みたいによく話をするようになった。

 ・・・ちなみにもう、彼女のことは引きずってない。たぶん。


幼馴染「それから、聞いたけど・・・本部に行くんだって?」


男「ああ。担任先生から聞いたけど、数十年前に本部に行ったのは幼らしいじゃん」


幼馴染「ええ・・・(できれば数十年とかっていう単語は使わないで・・・)」



男「すごいなぁ、やっぱ」


幼馴染「もっと褒めて~」


男「ま、幼が数十年前に辿った軌跡を俺も進むよ」


幼馴染「・・・ええ」


幼馴染「それより! 今日でお別れ?」


男「だろうなー」


幼馴染「どこか行く予定はあるの?」


男「そうだな~旅でもしようかな。一週間くらい」


幼馴染「・・・そ」





男「あ! ごめん。友と話があるんだった」タタッ


幼馴染「あっ...ちょ」


男「じゃあ、また会いましょー。幼馴染先生!」


幼馴染「・・・ったく」


幼馴染(昔・・・一言も相談せずにこっちに来てしまったこと...ちゃんとあやまりたかったのに・・・)



・・・


〔屋上〕


友「ん。やぁ」


男「おっす。・・・こんな場所があったんだな」


友「うん。授業日だけは閉めてるんだって」



男「そういえば昔、俺が屋根から飛び降りようとしたことあったよな」


友「ああ・・・あったね。ははっ、あの時は僕も必死だった」



友「・・・行くんだね?」


男「ああ」


友「会長からの推薦かぁー」


男「うん、あの爺さんがまさか本部の校長だなんてな。通りで強いわけだ」


友「そう・・・」


友「僕は今・・・本部のことなんてどうでもいいんだ」


男「?」


友「君ともうこうして話せないのが辛い」


男「・・・友」


友「って、男に言われても気色悪いだけか。ははっ」


友「頑張ってよ!」ニッ


男「・・・おう!」ニッ




〔校門〕


男「! 先生!」


担任「・・・男」


男「怪我はもういいんですか?」


担任「おう。最近の魔法医療ってすごいなぁー」


担任「そうそう。君、大器晩成で回復属性を手に入れたんだってな」


男「はいっ。これで無と回復の二つです。(結局、遠距離技は持てなかったか)」


担任「まーあれだ。しっかりな」


男「はい!」



・・・



 |ようこそ。我が魔法学校・日本第三支部へ|



男「看板ねぇ・・・これでここともお別れか」


男「神様につられて・・・・・・やりましたよ。いよいよ本部へいけます」


男「・・・」




男「あばよ」テクテク




今日ここまで

#7.5


幼女「あっるっこ~あっるっこ~わたちは~」


幼女「わっ」ドザッ


幼女「・・・」


幼女「へ・・・もう大人だもん・・・ころんだだけでなかないもんね」ウルウル



オーク「ぐふっ、お嬢ちゃん大丈夫かい?」ニヤニヤ


幼女「ふぇ!? ・・・おいたんだれ?」


オーク「ふへへ...通りがかりの紳士だよ」


幼女「しん、し?」


オーク「そーう。紳士ってのはね・・・女性にとても優しいんだ」ニヤ


幼女「そうなの?」


オーク「そうさ、特に・・・お嬢ちゃんみたいな小さな子にはね」


幼女「へぇ~おいたんはしんし!」


オーク「はははっ・・・そうだ。飴でも食べるかい!」スッ


幼女「うん! ありがと!」ヒョイ


オーク「ふへっ...お嬢ちゃんは甘いものが好きなの?」


幼女「うん! 大好きなの」


オーク「へー。実はオレの家、お菓子で出来てるんだ」


幼女「おかし・・・おかしの家!?」


オーク「あぁ、良く知ってるね」


オーク「どう? 家に来ないかい?」



幼女「行くー! 行くもんね~」


オーク「ぐへ・・・グヘヘ」ニヤニヤ



・・・

〔オークの森〕



「へぇ、そんな若いのに一人旅かい」


男「まぁ・・・暇つぶしみたいなもんですけどね」


「暇つぶしねぇ」


男「にしても意外でしたね」


「なにが?」


男「オークとかの魔物って人間と仲良くしないと思ってたから・・・」


「ふはっ正直なやつ。でもオレはあんまり魔物って言い方は好まないね」


「知能のある魔物は割と、人間好きよぉ」


男「へぇ」


「これからどこ行くきだい?」


男「とりあえず・・・結構歩いたんですけど、ここから本部まで90kmはあるんですよねぇ・・・」


「なら魔法列車に乗ればいいよ」


男「いやー、金がないんすよ」


男(よく考えたら、俺が特待生なのって・・・学費とか免除だからかな)


「金ねぇ・・・」


男「はは・・・」


「うーん。ギルドとか行ったらどうかな」


男「ギルド?」


「おう。確かその本部ってとこの近くにあるはずだよ」


男「ほう・・・ありがとうございます」


男「じゃあ、そろそろ行きますね」


「ん。きをつけてなー」



・・・


―奥地―


オーク「グヘヘ」バッ


幼女「いや~~!」ウルウル


幼女「うそつきぃ! おまえはしんしじゃない!」


オーク「紳士だよぉー。変・態・紳・士」


幼女「ふぇえぇええ」ポロポロ


オーク「へへ、何も犯すわけじゃない。美しくないからな」


オーク「ガキは殺す。これがオレの流儀だ」


オーク「安心しな・・・」ズズッ



オーク「このこん棒で一発昇天よっ!」ブンッ




 ガンッ!


幼女「ふぇ・・・」


オーク「・・・」


オーク「誰だてめぇ」



男「通りすがりの、魔法使い」カチコチ


オーク「魔法使いだぁ? どうりで素手でオレの攻撃を受け止めるはずだ・・・」


オーク「クソインチキ野郎め・・・」


男「硬化魔法だ。屑野郎」


オーク「てめぇの存在は・・・今ここに、相応しくねぇ」


オーク「美しくないごみは壊すべきだ」


男「同感だな」


男「ならば俺は俺のやり方でお前を壊そう」


%%...


男「上級無魔法・幻術」...


%%%%%%



オーク「あ?」



ガチムチ「うほっ」


ゲイブスキモ子「あらっ」


ゲイ「む」


バイ「おっ」


H・G「オ~クー」



オーク「な、なんだこいつらは・・・」


オーク「! (両手両足が縛られている・・・!)」



ゲイブスキモ子「楽しみましょう」


ガチムチ「うむ。出会いは一瞬。別れも一瞬。君に出会えたことを感謝!」バッ


オーク「な、やめろっ! くるな!」


オーク「あっあっああ!」



%%%%%%


オーク「」ピクピク


オーク「もぅらめ・・・」ブクブク



男「...あまりに美しくなさ過ぎたのだ・・・」


幼女「お兄ちゃん!」


男「おっああ」


幼女「ありがと! しんしなの?」


男「紳士? ・・・いんや、ただの魔法使いさ」ニコッ


幼女「!」ニコッ



〔魔法列車・特急ヴァージンクロウ〕



男「な、俺本当に金ないからな?」


幼女「だいじょうぶっ! 奢ってあげますぜー旦那ー」


男「いや、(こんな子供に奢られるって・・・)」




―数時間前―


・オークの森の入り口にて・



男「つまり、お使いで遥か遠くのここまで来たっての?」


幼女「うん」


男「えらいなぁ」カンシン


幼女「えへへっ」


男「で、一人で帰るのは危険だから、俺に護衛をして欲しいと?」


幼女「うん」


男「・・・で、ついでに俺も列車に乗せてくれると?」


幼女「うんっ!」



・そして今に至る・



「ヴァージンクロウ行きー特急ですーまもなく発車いたしますー」



・・・


男「...本当に金あったんだな」


幼女「えっへん。すごいっしょ?」


男「うん。感謝感謝」


男(ヴァージンクロウにつけば、本部との距離が・・・36kmか)


男「よっし、じゃあ君を死ぬ気で守るよ」


幼女「えへ、・・・お兄ちゃん、なまえは?」


男「ん、そういえばまだだったな。自己紹介」


男「俺は男、よろしゅう」スッ


幼女「あたちは幼女!」ガシッ


幼女「えへへっ」ニギニギ



幼女「どうしてお兄ちゃんは本部? にいきたいの?」


男「・・・うーん。男の事情があってね」


幼女「ん?」


男「まぁ、大人の世界ってやつだ」


幼女「・・・ふーん」



幼女「そこ、お姉ちゃんと同じ学校かも・・・」


男「お姉さん!? ・・・姉ちゃんがいるのかい?」


幼女「たぶん...そうだったかも」


男「ふーん。なんて名前なの?」


幼女「教えない」


男「えっなんで?」


幼女「・・・おねえちゃんきれいだから」


男「はい?」


幼女「女のじじょうがあるの!」


幼女(教えたらきっとお兄ちゃんをとられてしまう・・・)


男「?」


幼女(それはさけたいぜよ・・・)




・・・


「ヴァージンクロウ ヴァージンクロウー」


 ダンッ



男「うひゃー・・・もう夕方か。そんなに時間かからなかったな」


幼女「ふぇーつかれたー」


男「・・・おんぶしてやろうか」


幼女「えっ・・・いらない。もう大人だもん」


男「そか。んじゃ、行こう」テクテク



・・・



 モォー ピヨピヨ バウバウ ドードー


男「・・・(のどかなとこだなー)」


幼女「牛さんだっ!」


男「いいとこやでぇ~」


幼女「鳥さんも!」



―夜―


男「・・・とか言ってたら、こんな時間になった」


幼女「ぅみゅ・・・」コクッ


男「眠いんじゃないの? ほら、おんぶしてやるって」


幼女「ぅん・・・まほうで眠気とって」


男「あ、出来なくはないが...」


幼女「これもごえーの仕事に入ってるよぅ」ムニャ


男「・・・分かったよ」


男「中級無魔法・眠気覚まし」...



幼女「ふ・・・ふえぇえええええ」パチッ


男「・・・後悔すんなよ・・・」




・・・


幼女「あっお家見えた」ユビサシ


男「あれが・・・」




―お家―


 ガチャッ


幼女「ただいまー」


男「...おじゃましまーす」




・・・
・・・
・・・


―朝・on the hutonn―



男「・・・おい。何故君がいる?」


幼女「眠れなかったからー」


幼女「一時間しか眠れなかったー」


男「ん・・・悪かったな」


男「俺はもう一度、君の両親に挨拶してくる」


幼女「む、だめー。あたちといなさい」


男「またな」ナデナデ



・・・


―リビング―


男「おはよーございます」


女「あっ」


男「ん・・・」


女「えっと...男さんでしたっけ?」


男「・・・」


男(カワイイandキレイ・・・俺と付き合ってください)


女「あ、あの・・・」


男「あっはい」


男「えっと・・・昨日挨拶したときはいませんでしたよね?」


女「はい・・・すみません。寝ちゃってて・・・」


男(学園のマドンナ。いや、アイドル・・・)


男(俺の好みにドストレートにぶつかった)


女「えと、女と言います。よろしく・・・同い年でしょ?」


男「あ・・・うん。俺は...僕は男です」



女「あの、お母さん達狩にいっちゃてて...」


男(狩り・・・)


女「だから、一緒に朝ごはん食べない? 私が作ったんだけど・・・」


男「! よろこんで!」




・・・

男(女さん、綺麗な黒髪だなぁ)ボー


女「どう? おいしい?」


男「うん。毎日作って欲しいくらいだよ」


幼女「あー!」



幼女「な、なんでお姉ちゃんがいるのー!?」


女「あ、おはよう」


男「お姉ちゃん・・・あ! 昨日、幼女が話してた・・・」



幼女「そんな、うそだ」


女「学校が休みなんだよ」ニコッ


幼女「天使の微笑み・・・(だめだ...これをくらってしまったら・・・)」


男(カワイイ)


幼女「oh・・・」



男「あっ女さんって、本部の生徒なの?」


女「そうだよ。男君も会長先生からの推薦で今度うちに編入してくるんでしょ?」


男「あ、うん」


女「ってことは魔法の腕、凄いんだ?」


男「ぅんー。それはどうかな」


男「女さんは何の属性を持ってるの?」



女「えっと、土属性、雷属性、回復属性、の三つだよ」


男「三つも!? 凄いですね・・・」


女「男君は?」


男「無属性、それと回復属性の二つ」


女「本当? なら回復はクラスで会うかもだね」


男「この学校も属性別なの?」


女「大体そうだよ」


幼女「こら~あたちを置いて話しするなぁー!」





・・・


 そして。


 数日後。


女「いよいよ、明日は学校かぁー」


男「一緒に行こうよ」


 女さんとの仲は良好。そして一つ、確信した。


女「うんっ」ニコッ


 彼女は天使が転生した姿だ。(特に深い意味はない)


男(そう思わせるほど美しいー!)



幼女「お姉ちゃん、ちょっと」クイクイ


女「なにー?」タタッ



幼女「男は渡さないから」ボソッ


女「?」




#8


男「ここが、魔法学校・日本本部」ザッ


女「相変わらず大きい学校だねぇー」



・・・

―講堂―


会長「わしは一つ、思うことがある」


会長「何故、わし達が魔法を使えるのか。ということじゃ」


会長「ま、そんなことはどうでも良いがの」


会長「新一年生は入学おめでとう」


会長「他の諸君らはよくぞ、戻ってきてくれた」


会長「これからも学に励み、一流の魔法使いになっておくれ」



・・・


男「ふぃー・・・」チラッ


おんな「みんなおはよー元気だったー?」チャラチャラ


男「よいしょっと」チラッ


オンナ「まじあの校長話しなげーんだけど」


onnna「校・長まじリスペクト」


男「いてて」チラッ


ヲンナ「otoko×tomoの新作・・・ぐふ」


男「ふぅ・・・」



男(想像と違うッ!)





男「・・・」ダダッ


―屋上―


 バンッ


男「な、なんだここは? 想像してたのと違うぞ・・・」


男「俺はあんなケバケバした女子を想像したんじゃない・・・」



男「ぅう...女さんとは別れちゃうし・・・この学校の男子はどこにいる!」


男「ここが・・・男女比1:9の学校・・・」



 _男、今君はどこにいる?_


男「!? なんだ?」


 _うーん。察するに屋上かの?_


男「誰だ? それになんだこれ・・・」


 _ああ。わしじゃ。会長じゃよ_


 _これは無属性の魔法のテレパシーじゃ_


男「会長・・・無属性ってそんなこともできたのか...」


男(属性は持てて3つだったよな。ということは、会長はあと一つ何か持ってんのかな)


 _ちょっと渡したいものがあるから、校長室まで来てくれんか?_


男「ん。了解です」


 _場所は・・・_




今日はここまでぽ

―校長室―


 コンコン


男「失礼します」


会長「おぉ。久しぶりじゃのぉ」


男「それにしても・・・テレパシーなんて凄いですね。今度教えてくださいよ」


会長「君が・・・そうじゃの、4年生になったら教えよう」


会長「...そうそう、渡したいものが・・・」ガサゴソ


会長「あったあった」スッ


男「? なんですか、これ」ヒョイ



会長「全自動翻訳機じゃ。耳に付けるといい」


男「翻訳機?」


会長「そう。それをお互いが付けておると、たとえ言語が違っても、理解して話すことが出来る」


会長「わしが日本語を外人に話しても、相手はそれを理解できる。相手が英語で話しても、わしは日本語としてそれを認識できる」


男「す・・・すげぇ」


会長「魔法と科学が融合した結果じゃ」


 キーンコーンコーンキーン...



男「あ、チャイム...」


会長「授業じゃの。おまえは午前に無属性。午後に回復に出ればいい」


男「はい。ところで、3つ属性を持ってる人はどうしてるんですか?」


会長「時間制でいろいろうまく授業を受けさしとるよ」


男「へぇ・・・ありがとうございました」ペコッ





・・・


―第4無属性教室―


男「編入生の男です」ペコッ


男「よろしくお願いします」



「あら。中々いい男ね」

「そう? 普通レベルよ」

「うーん。ないわ」


男(俺にとってお前ら全員ないわ)


男教師「じゃあ。後ろの席についてくれ。雄のとなりだ」


男「はい」テクテク



男「・・・」スタッ


男「ふぅ・・・よろしくな」


雄「おう。俺は雄って名だ」


雄「二年のこっちの無属性教室は俺しか男子がいなかったから、助かったぜ」ニッ


男(良いやつそうだな。にしても「こっち」ってことは二つあるのかな)


男「そうか、んじゃ仲良くしようぜ」ニッ





・・・

 午後。

―回復属性第二教室―


男「編入生の男です。よろしくお願いします」


「あり」

「優しそうな人だね」

「っけ。男かよ」


男(一部、俺もあり)


男(ってか。女子多いな・・・ん?)キョロッ


男(男子俺しかいねぇ!?)


女教師「今年初めて男の子の生徒が来ましたね」


男(先生カワエエ)


女教師「それでは男君、後ろの右席でお願いします」


「んん。眼鏡女の隣じゃん」


「いいなぁ」


男「はい」テクテク



男(回復教室最高)スタッ


男「よろしく」


眼鏡女「あ...よろしくぅ」ボソッ


男(隣は綺麗な子だなぁ)





・・・

 キーンコーンコーン...


女教師「今日はここまでーお疲れ様でしたー」テクテク


男(まず、支部んときとは匂いから違うな)キョロキョロ


男「あ、ねぇ」


眼鏡女「は、はい」


男「女さんって知らない?」


眼鏡女「女さん・・・って・・・あの女さんですか?」


男「? どの女さんかは知らないけど、・・・美しい感じの人」


眼鏡女「ぁあ・・・彼女なら『発展クラス』じゃないですか?」



・・・・・・


女「うーん? 男君いないなぁ・・・」


女「あっちの教室なのかなぁ・・・」


女「てっきり推薦だから同じ教室かと思ったんだけど...」


雌「何ブツブツ言ってんの? 女」


女「ううん。何でもないよ」ニコッ


雌「はぅっ!」キュン


・・・・・・


男「っへ...なんだよ、それ・・・そんなのありかよ・・・」


眼鏡女「え、えと」


男「どうやったら発展に行ける!?」クワッ


眼鏡女「っひ、えと・・・半年に一回、発展クラスに行けます」


眼鏡女「成績優秀者一人だけですが・・・」


眼鏡女「だ、だから。貴方がこの回復クラスで成績が一番よかったら、行けるかもです・・・」


男「いっよし! 寝る間も惜しんで回復魔法頑張る! 発展行く! 回復だけでいいから行く!」


眼鏡女「が、頑張ってください!」オドオド



・・・


男「なぁ、どこ行くんだ」


眼鏡女「り、寮に帰るんですっ」


男「寮?」


眼鏡女「はい・・・」


男「・・・いきなりだけど、君って魔法界生まれ?」


眼鏡女「はぃ、どうしてわ、分かったんですか?」


男「いや、髪が緑だったから・・・」


眼鏡女「でも、日本語ペラペラですよ」


男「ああ、さっき翻訳機外したから分かるよ」


眼鏡女「は、はぁ」


男「これって凄い機械だよな。相手の声もそのままの声で、翻訳してくれる」


眼鏡女「は、はぁ」



・・・


眼鏡女「で、では、また明日会いましょう・・・」


男「えっ?」


眼鏡女「・・・はい?」


男「寮行くんじゃないの?」


眼鏡女「そうですけど・・・」



雄「お! 男ッ!」


男「ん、雄か」


雄「寮へ行くのか?」


男「ああ。この子と」


雄「? お前、退学になる気か?」


男「へ?」


雄「! あ、ああ。悪いな。そうか、冗談か」ハハッ


雄「悪いなぁ。周りが女子バッカで男子との冗談があまりわからんくなっていた」


男「お、おう(自慢か?)」


雄「って言ってもモテるわけでもないんだが・・・」


雄「いつか良い彼女を作るぜ!」ギラッ


眼鏡女「っひ」


男「お、おう」


雄「・・・ま、帰ろうぜ。男」テクテク


男「あ、ああ」テクテク


男(まて、何がどうなった?)




・・・

―男子寮前―



男「えっ男子と女子とで寮を別れるのか?」


雄「? 当たり前だろ・・・っは」


雄「悪い、今のも冗談だったのか」


男「・・・」


男(退学ってそういうことか・・・眼鏡女も言ってくれたらいいのに・・・)



・・・


雄「おっ」ペラッ


男「どうした」


雄「奇遇だな。一緒の部屋だ」


男「oh」



続きは夜に書きます。

#8.5

 編入から二週間後。



 キーンコーンコーン...


男「終わったーぁ」ノビー


 特に何事もなくスクールライフを送っています。

 ただ、何か足りません。

 ・・・恋です。


男(この二週間、一度も女さんと会っていない!)クワッ


眼鏡女「ひっ」



女教師「・・・」チラッ


女教師(教室には男君と眼鏡女さんの二人か)


女教師「男くーん」チョイチョイ



男「ん。どしたんすか、先生」


女教師「チョコは欲しくないかい?」


男「チョコ? なんでまた・・・」


女教師「ほら、もうすぐアレの時期じゃないですか・・・」


男「アレ?」


女教師「バレンタイン」



男「・・・へ?」


男(まて、今は春だぞ。魔法学校は日本の高校と同じ年度だし・・・)


男「それって、2月14日に渡すものですよね?」


女教師「えっと・・・あっちの世界ではそれが主流だけど、」


女教師「こっちでは4月28日がバレンタインなの」


男「えぇっ」


男「あと4日じゃないですか」



女教師「そうですね」


男(・・・待てよ、これは先生からチョコが貰えるというフラグ...)


男(初めて幼以外から貰えるというのか・・・)


女教師「そこでお願いがあるのですが・・・」


女教師「明後日は学校が休みです」


男「はい...」


女教師「そこで、チョコの有名店、―フランソワ―でチョコレートを買ってきて欲しいのです」


女教師(アタシはそれを溶かして作って男教師さんに・・・!)


男(そしたら先生が俺にくれるという訳ですね!)


男(でも・・・)


男「何で俺が行くんです?」


女教師「それは・・・」


女教師「男子が行くと、特別に安くしてくれるのです...」


男「・・・」


男「はい」


女教師「お、お願いします」ペコッ


男「・・・分かりました。でも、ここらの土地のこと知らなくて・・・」


女教師「ぁ・・・どうしましょう」チラッ


眼鏡女「?」


女教師「...」ニコッ


眼鏡女「! わた、私が案内します」


男「え、本当か? 助かったー」


女教師「ありがとう、眼鏡女さん」





―二日後・校門前―


男「ごめん。まさか外出するのに届けがいるなんてな」タタッ


眼鏡女「だ、大丈夫です。今来たとこなので」


男「そう? んじゃ、行こうか」テクテク


眼鏡女「あ、はい」テクテク



・・・

―バス停―


男「ところでフランソワってのはどこにあるの?」


眼鏡女「え、ええと、魔法都市です」


男「魔法都市?」


眼鏡女「は、はい。魔法バスで20分ほどです」


男「へぇ・・・ちなみに―ギルド―ってのも魔法都市にあるの?」


眼鏡女「ギルド・・・はぃ。ありますよ。支部が」


男「支部って?」


眼鏡女「んと、ギルドは元々日本のものではないので・・・本部はアメリカにあります」


男「ああ、そういえば魔法界って滅茶苦茶広いんだっけ」


 プシュウウウー


眼鏡女「あ、バスが来ました」



・・・

〔魔法都市〕


 プシュウウウー


男「よっと」タッ


男「んー(都市って言っても東京みたいにビルがたくさんあるわけではないな)」


男(外国...ヨーロッパみたいな街だ。たぶん・・・)


眼鏡女「こ、こっちです」


・・・


 ガヤガヤ...


男「ここら辺、人が多いね」


眼鏡女「・・・それは、行列のせいです」スッ


男「は・・・え。これ全部!?」


男「どう見ても100人以上並んでるぞ...」


眼鏡女「有名店ですからね」



・・・


―フランソワ―


男「おい、並ばなくて良かったのか」


眼鏡女「だ、大丈夫です。先生が予約してるそうです・・・一年前から」


男「いち・・・」


店員「いらっしゃいませ」ペコッ


眼鏡女「あ、予約した女教師・・・」


店員「はい、ただいまチョコをお持ちいたします」テクテク





男「おぉ。見るからにうまそうなチョコばっかだな」


眼鏡女「おいしそうですねぇ」


男「うん。食ってみたいなぁ」


店員「お待たせいたしました」スタッ


店員「こちらが予約いただいたチョコになります」スッ


眼鏡女「はい」スッ



・・・


 ガヤガヤ...ワイワイ


男(うわっさっきより増えてる...)


眼鏡女「はぁ~」


男「あ、会計終わった?」


眼鏡女「っは、はい」


男「そっか」


男「んじゃ・・・時間もあるし、どこか案内してよ」


男「魔法でチョコは解けないんでしょ?」


眼鏡女「は、はい」


眼鏡女「で、では食べ歩きというのはどうでしょう?」


男「おっ良いよ。(幼と大阪へ旅行したときによく食ったなぁ)」


男「あー・・・でもお金が・・・」


眼鏡女「...大丈夫です。奢ります」


男「いや・・・悪いよ」


眼鏡女「・・・お、奢りたいんです」


眼鏡女「だめ、ですか?」


男「・・・じゃあ。お言葉に甘えさせていただきます」



・・・


男「お! ホットドードー! ここにもあるのか」


眼鏡女「あっ本当だ!」


男「あれうまいんだよなぁ。ヒーローセントラルの名物だろ?」


眼鏡女「はい。私も好きなんですよ。二つ買ってきますね」タタッ

―――

幼馴染『串カツ。二本買ってくるね』タタッ

―――

男「・・・」



眼鏡女「は、はいっ。男さんの分です」スッ

―――

幼馴染『ん。男の分』スッ

―――

男「ありがとう、眼鏡女」ヒョイ


男「・・・」パクッ


男「うめ~」ホッコリ


・・・

―服屋―


男「あの服とか似合うと思うよ」


眼鏡女「そうですかぁ?」


男「おう」


眼鏡女「男さんが言うなら・・・着てきます」タタッ


―――

幼馴染『男がそう言うなら・・・着てくるよ』タタッ

―――


男「・・・」




 カララ...


眼鏡女「ど、どうですか?」


―――

幼馴染『・・・どう?』


―――


男「・・・似てる」


眼鏡女「はい?」


男「あっ・・・似合ってるよ」


眼鏡女「そ、そうですか・・・」


眼鏡女「じゃあ買って来ます」ニコッ



男「なんで...思い出す...」



・・・


 午後5時。


―バス停―


眼鏡女「今日は楽しかったです。ありがとうございました」


男「うん。俺も楽しかった」


男「また・・・暇があったら行こう」


眼鏡女「! はい!」ニコッ


男「!」ズキッ


男(重なる・・・昔の・・・あの時の幼と...)




・・・

―魔法学校・会議室―



女教師「あっりがとー!」


眼鏡女「いえ」


女教師「にしても、帰りが遅かったねぇ」


眼鏡女「・・・はい」


女教師「デートしてたんだぁ?」


眼鏡女「! で・・・」


女教師「男子の前だと、言葉がどもるの治ったんじゃない?」


眼鏡女「・・・あっ」


女教師「へへっ。いや、男君の前だけか」


眼鏡女「む・・・」


女教師「ほら、チョコレートちょっとあげるから、渡しちゃいな」


眼鏡女「む、無理ですよ」アセ


女教師「好きなうちに渡しておいたほうがいいわよ」


女教師「いつ彼がいなくなるのか分からないから」


眼鏡女「そんな・・・」


女教師「あ、好きなんだ!?」


眼鏡女「! ちょ・・・」


眼鏡女「むぅ...」


―4月28日―


 放課後。

 屋上。


男「はぁ、結局チョコ0かよ。女教師先生、くれなかったし」


男「・・・女さんを探してもいないし」


 ガチャッ


男「んー?」クルッ


眼鏡女「・・・ここに、居たんですか」


男「あぁ、どうしたの?」


眼鏡女「ち・・・」


眼鏡女「チョコレートを貰ってください!」スッ


―――

幼馴染『ほら、チョコレート。ん』スッ


―――


男「・・・!」


眼鏡女「この日のために、一生懸命作りました!」


―――

幼馴染「頑張って作ったんだから」


―――


男「・・・ありがとう」ニッ



眼鏡女「は、はい!」ニコッ


―――

幼馴染「へへっ」ニコッ

―――


男「・・・」


男「...違う」


眼鏡女「?」


男「君は、君だ」


眼鏡女「えと・・・どういう」


男「君は俺が昔好きだった人に似ているんだ」


眼鏡女「・・・え」


男「何故か...君を見ていると思い出される」


男「・・・」


男「ごめん」


男「そのチョコは、受け取れない」


眼鏡女「! な、んで・・・」


男「・・・受け取ったら、また失いそうな気がする・・・」


男「違うかもしれない・・・でも...」


男「...ごめん」タタッ


眼鏡女「まっ・・・って」


眼鏡女「・・・」



・・・


男「クソヤロウだ。俺は」


男「もう終わったことなのに・・・」


男「引きずってはいないんだ」


男「・・・」


男「思い出した...」
 

 高一の2月15日。

 その日、幼が消えた。


男(重ねてるんだ・・・彼女と幼を・・・)


男(だから・・・彼女も消えてしまいそうな気がして...)


男「クソッ!」ガンッ





・・・

 ―男子寮―


雄「男ー。寝てるのか?」


男「・・・なんだよ」


雄「いや、お前はチョコ何個貰ったのかとおもってな」


男「・・・お前は?」


雄「ははっ、0に決まってんだろ。冗談か?」


男「奇遇だな。俺も0だ」


雄「・・・いや」


雄「お前は0じゃねぇよ」


男「あ?」


雄「『1』だ」スッ


男「・・・これ」


雄「女子を泣かせるんじゃねーよ」


男「お前・・・どうして...」


雄「俺はただ、泣きながら走ってった眼鏡女に訳を聞いただけだ」


男「・・・」


雄「このチョコ。どうやって作ったか知ってるか?」


男「溶かして作り直したんじゃないのか?」


雄「いや、女教師からチョコを貰ったそうだが・・・」


雄「彼女はこれを一から作った」


男「一からって・・・」


雄「魔カカオ豆から作ったんだ」



雄「結構大変な工程らしいぜ」


男「・・・悪いことしたな」


雄「だったら、食って感想を伝えろ」


雄「お前、あの子と隣の席だろ。毎日会えるじゃねーか」


男「・・・ああ」


雄「うまかった。って言って仲直りするんだ」


雄「本当に悪かったって思ってるのなら、紐を解け」


男「・・・」


男「雄、ありがとよ」シュルッ


男「恩に切るぜ」パカッ


雄「おう」


男「...凄いな。これ全部手作りか」ヒョイ


男「ん」パクッ


男「・・・うめぇや」



―次の日―


〔第二回復属性教室〕


男「はよー」


男(謝らねーと・・・)


 ガヤガヤ...


男「ん? どうしたんだ、そこ」


「それって、マジ?」

「マジ話」

「ガチならヤバクね」


男「?」


女教師「あ・・・」


男「あっ先生。何かあったんですか?」


女教師「男君・・・」


女教師「実は・・・」



女教師「眼鏡女さんが行方不明になったの...」


男「...え」



#9


男「どういうことですか!?」


女教師「分からないわ。同じ寮の部屋の話だと・・・」


女教師「ピエロの姿をした人間に攫われたって」


男「っく・・・(悪い予感が、的中しやがった...)」


男「ピエロはどこに?」


女教師「捜索中よ」


女教師「アタシは職員室に行ってくるわ」タタッ


男「眼鏡女・・・」



・・・

―校長室―


 コンコン


会長「悪いが今は・・・」


 ガチャ


男「失礼します」


会長「男・・・」


男「ピエロは今、どこにいるんですか?」


男「あなたなら知ってるのでしょう?」


会長「知っていたならすぐに助けに行く...」


会長「おそらく相手は無属性か闇属性の使い手じゃ」


会長「わしの包囲網で見つけられんからのぅ」




男「そんな...」


男「俺は助けたいんですよ、お願いします」バッ


会長「・・・S教室に行きなさい」


男「S教室・・・」


会長「ああ。実は今、別の事件が起こっている。わしはそれであまり動けん」


会長「おまえなら信頼できる。先公先生を頼ってくれ」


男「・・・とりあえず、その教室に行けばいいのですね」


会長「そうじゃ。先公先生は追跡のエキスパート。彼なら力になれる」


男「失礼しました」ガチャ



・・・


 コンコン


〔S教室〕


 ガラッ


男「失礼しまっ(煙草クセぇ!)」


先公「あっ?」チラッ


先公「おい、男子に教えることはねぇぞ。帰れ」


男「はい。・・・え?」


先公「男子禁制。てか今、授業中だろ。サボりか?」


男「いえ、その、協力してほしいことがありまして」


先公「やだ」


男(この柄の悪いクソオヤジィ・・・!)


男「会長からのお願いでもありますよ」


先公「んんー関係ねぇよ」


先公「会長もおとこじゃん」


男「・・・」



男「話だけでいい! 聞いてください!」


先公「・・・わーたよ。話しな」


男「! はい!」



男「実は、眼鏡女という女子が昨晩にピエロの姿をしたやつに攫われて――」


先公「よし。話は分かった。どーせ攫われたから探してほしぃの! ってとこだろ」


男「は、はい」


先公「男子が攫われたなら俺には関係ねーが、女子が攫われたのなら話は別だ」


先公「それに、眼鏡女っていったら・・・ここのクソみたいな女子じゃない一部の良い(カワイイ)生徒だからな」


男「それじゃあ...!」


先公「あぁ。探してやる。その代わりに一つ、条件がある」


男「う・・・分かりました。何でもしますよ」


先公「そうか、じゃあ黙ってろ」


男「え?」


先公「禁術使うから黙ってろっての」



先公「『アースレイ』」...


 パシュッルルルルルッ


男「!」


男「今何かが・・・体を通ったような・・・」



先公「闇属性の禁術、アースレイ」


先公「禁止される理由は、『影』が人の中を一瞬にして通り、その人物が持つ情報や知識を瞬時に把握するから・・・術者に負担がかかることと、情報が何でも分かっちまうってのが法に触れるからだ」


男「じ、じゃあその影ってのが俺の体を通ったってことですか?」


先公「そうだ。てめぇが眼鏡女を泣かしたゴミ男ってことも分かったぞ」


先公(それに・・・大変な事件が別に起きてるみたいだな)


先公「!」ニヤッ


先公「見つけたぞッ」


男「本当ですか!」


先公「場所は魔法都市の廃墟の建物・・・ワイドルッドの地下、だな」


男「そこまで・・・よしっ早く行きましょう!」


先公「は? 俺はイカねーよ」


男「えっなんでですか・・・」


先公「大体、なんでその場所が分かったんだって話になるだろ? だからお前一人で行け」


男「そんな・・・」


先公「つか、お前っておっさんだったんだな。禁術使ってんじゃねーよ」


男「!」


先公「いや、正確には使われた、か」


男「その...」


先公「いいから行けぇ! 時間ねーぞ」


先公「助け出したら、学校無断で抜け出して、周りのやつに情報聞いてその場所を知ったって言えよ!」


男「は、はい!」タタタッ


先公「っけ...」



先公(・・・やつに接触したあのフクロウ・・・一体何モンだ...)クラッ


先公「っと・・・今は休むか...」フラフラ





今日はここまで

数十分後。

〔魔法都市〕


―ワイドルッド―


男「割とでかいからすぐに分かった。裏町って感じの通りだな」


男「・・・にしても・・・本当にここなのか...」


 ピーンピーン...ガチャガチャ...シュルルル


男「どーみてもカジノなんだが・・・(どこが廃墟だ)」


黒服「ここに何か用ですか」


男「! (いかついおっさん・・・)」


黒服「失礼ですが、未成年の入店は禁止されています」


男「あ・・・はい」テクテク


男「・・・」テクテク


男(...って)


男「いかにも怪しい場所なんだよなぁ」クルッ


黒服「? どうかされたので――」


男「中級無魔法・幻術」...


・・・

黒服「! っは・・・もうしわけありません!」


黒服「金持ち様のご子息でしたか・・・どうぞ」スッ


男「悪いね」タタッ


・・・

―ワイドルッド・店内―


男「おいおい...違法カジノってやつじゃないの、これ・・・」


男「あんなに金が・・・」


おじさん「ん。おい、兄ちゃん。アンタ未成年だろぅ?」


男「何言ってるんですか・・・未成年なら入れないでしょう?」



おじさん「・・・アンタのつけてるバッジはどーみても学生を現してるんだが・・・」


男「・・・中級無魔法・幻術」...


おじさん「! 幻術解除」...


男「な、・・・(嘘だろ・・・)」


おじさん「...幻術解除は短縮形の詠唱にしても名前が変わらないんだぜ」


おじさん「んなことより、どーいうつもりだ?」


男「あなたこと何者ですか・・・」


おじさん「魔法界は全員が魔法を使えるってわけでもない、が・・・私はギルドの者だ」


男「ギルド!?」


おじさん「私は身を明かした。アンタは、何者だ」


男「・・・魔法学校の本部の生徒です」


おじさん「何故ここにいる?」


男「ある人を追って・・・」


 ガシャアーーン!


「マネー泥棒だ! 捕まえてくれ!」


おじさん「! すまない、話しはまた後だ!」タタッ



男「っつー・・・」


男(ちょっと焦った・・・行くか)タタッ



・・・


男(地下なんてどっから行けるんだ)キョロキョロ


ハゲ「うっわぁ!」ズルッ


ハゲ「・・・アブねぇ...この床だけ異様に脆くなってやがる・・・」


ハゲ「あーひやひやした」テクテク


ハゲ「って! ヅラがねぇ!?」



男「もろ・・・く?」



男「それだ!」タタッ


男「階段がないなら、作れば良い・・・」スタッ



男「中級無魔法・硬化」...


男「上級無魔法・肉体強化」...


男「・・・ふんッ!」バゴッ!


 メリ...メキ...バッゴォ!・・・



・・・


男「いてて・・・」


男「!」



ピエロ「・・・あっれ~? どこからネズミが入ってきたんだ?」


眼鏡女「む! ほほおおじゅ!」モガモガ



男「眼鏡女・・・無事だったんだな・・・」


眼鏡女「ふにゃのは!」モガモガ


男「喋らなくていい・・・口を布で挟まれてんだ。息苦しくなるぞ」


男「さて・・・」



男「眼鏡女を帰してもらおうか」


ピエロ「ふはは、誰が返すかよ。男」


男「? 何故名前を知っている」


ピエロ「・・・この娘から聞いたんだ」



男「まぁ、それはいい。何故彼女を攫った?」


ピエロ「いいだろう...特別に教えてやる」


ピエロ「この娘は眼鏡一族・・・超金持ち一家のお嬢様ってとこなんだわ」


男「金目当てか・・・」


ピエロ「そーゆうこと。って訳で、お前を殺さなくてはいけなくなった」スッ



男「・・・もう一つ聞かせてくれ」


男「あの学校の警備はどこよりも万全。外部から侵入することは不可能なんだよ」


ピエロ「ふは、俺を舐めんなよ?」


ピエロ「あんな警備、ちょちょいのちょいよ」


男「・・・お前の声、どこかで聞いたことがあるんだよ」


男「なぁ、先生?」



ピエロ「・・・」


男「知らないふりか・・・男教師よォ」


ピエロ「・・・」ベリベリ



男教師「勘の良い生徒で感心するよ」ニイ


男「...今なら、皆も許してくれます。帰りましょう」


男教師「ふはっ・・・俺が相手だと流石に分が悪いもんなぁ?」


男「えぇ(奴は無属性を教えている人だ・・・他には確か...)」


男(土属性、も教えていたはず・・・)


男教師「俺は帰らんぞ。これを返して欲しければ、実力で奪ったらどうだ・・・」


眼鏡女「ふおも・・・すえへ」


男教師「ソリッド」...


 モコッ


男「ぅ地面が・・・!」


 ズオッ!


男「っく」サッ


男(地面から伸びたコンクリートの槍・・・これが土属性・・・)


男教師「スピッド」...


男「ぅ!」ドン


男「っぃ」ズザザ


男教師「驚いたか? おそらく瞬間移動を見たのは初めてだろう?」


男(無属性・・・か)


 ザクッ!



男「ぅおおォ!」ドバッ

男「っが・・・」ゴホッ
 

 ズボッ...


男教師「・・・背から腹まで穴が開いたな」


男(槍...)


男教師「ふぅ。あっけなかったな」


眼鏡女「びゃあしゅあふい!」バッ


男教師「てめぇは黙ってろ」ガンッ


眼鏡女「ぎゃっ」ズズッ






男「! てめ・・・」


男教師「恨むなら弱い自分を恨め」


男「上級ぅ・・・」


男(やべ・・・血が...)クラッ


眼鏡女「ふは! ほふりあひすびぃ!」


男教師「黙れっつってんだろォ!」ガンッ


眼鏡女「ぁ・・・」バタッ



男「...上級ぅ回復魔法・ライフ」...


男「・・・」パアア


男「・・・」ダン!



男教師「驚いたな。まだ立ち上がるか」


男教師「流石は会長じきじきの推薦って訳か」


男「お前は、俺の恐れていたことをやった悪魔だ」ハアハア


男「眼鏡女を帰せっ!」ダダッ



男教師「ほう」スッ


男「上級無魔法・肉体強化!」...


男教師「面白い。俺が真に得意とするのは肉弾戦ッ!」


男教師「相手になってやろうッ」


男教師「究極無魔法・肉体強化!」...


 ブシャッァァア・・・


男「! な」


眼鏡女「・・・」


男教師「」



 _リバウンドじゃよ_


男「この声は・・・会長」


 _待たせたの、男_


男「ここが分かるのですか?」


 _場所は分からん。わしはただ、君にテレパシーを送っただけじゃ_


 _それと、彼に魔力を少しずつ吸い取る魔法、ワーキュリー、を掛けた_


 _そしてそれに気付かぬ彼は、魔力を大幅に使う魔法を使用してしまい、結果、リバウンド・・・_



男「・・・助かりました。危うく・・・死んでいたかも...」


 _それよりも早く彼女を助けてあげてくれ_


男「っはい」タタッ



男「大丈夫か?」シュルッ


眼鏡女「・・・怖かった・・・」


男「ごめん」


眼鏡女「...ありがとぅ」ギュッ


男「あぁ・・・」ギュッ


男「チョコ...ごめんな。あんな事言ったりして」


男「全部食べたよ。おいしかった」


眼鏡女「いいよ。もう・・・食べてくれてありがとう」ニコッ


男「! ・・・あぁ素敵な笑顔だ」


眼鏡女「えっ・・・何言ってるの・・・」


男「ははっ。うしっ帰ろう」


眼鏡女「うんっ」


男「立てるか?」スッ



おじさん「おーおー派手にやってくれたなぁ」テクテク


男「あ!」


おじさん「心配するな。会長さんから訳は聞いた」


おじさん「アンタが殺したわけじゃないんだろう」


男「・・・はい」


おじさん「送っていこう。もうボロボロじゃないか」スッ




#魔道書・1


○リバース・・・無属性の禁術。若返る代わりに残りの寿命の半分を失う。


○ヒラーク・・・無属性。カギ魔法の詠唱短縮名。


○ストーロン・・・無属性。肉体強化の詠唱短縮名。


○幻術・・・無属性。短縮しても名はそのまま。


○幻術解除・・・無属性。短縮しても名はそのまま。


○カマイタチ・・・風属性。短縮しても名はそのまま。


○氷固め・・・氷属性。


○メラ・・・初級の火属性。短縮しても名はそのまま。


○硬化・・・無属性。短縮名はストーン。


○ライフ・・・上級の回復属性。短縮しても名はそのまま。


○バースト・・・上級の火属性。短縮名。火炎放射みたい。


○グラップ・・・究極の闇属性。短縮名。魔法の手で握りつぶす感じ。


○眠気覚まし・・・無属性。短縮名はワッショイ。


○テレパシー・・・無属性。短縮名はそのまま。


○アースレイ・・・闇属性の禁術。短縮名はそのまま。>>241


○ソリッド・・・上級の土属性。短縮名。土の槍のイメージ。


○スピッド・・・無属性。瞬間移動の短縮名。


○ワーキュリー・・・無属性。短縮名。>>253


Ж短縮してない詠唱名に○級ってのが付いてなかったら、何級でも使える。テレパシーとかは上級だったら長距離使えるけど、初級だったら近くないと無理みたいな。




#9.5


 眼鏡女誘拐事件から数週間。


男「あっちょー」


雄「まぁ、俺は実家に帰るさ」


男「しまったなぁ・・・大型休暇の時期かぁ」


眼鏡女「男さんはどこへ行かれるのですか」


男「行く当てなんてないよ」


男「そっちは?」


眼鏡女「私は実家に帰ります」


雄「お前んちってあの眼鏡家だよな」


眼鏡女「はい」



男「・・・どーすっかなぁ」



・・・


―会長挨拶―


会長「はい、エンジョイしてきなさい」



・・・


 ―次の日―


男「学校を追い出されてしまった」



男「ったく。いーじゃんか。行く当てがないんだから学校にいても」


男「・・・あ!」


男「行く当て、あったわ」



・・・


―魔法都市―



男「ええと、こっちか」タタッ


男「あった!」



・・・


〔ギルド〕


受付「いらっしゃいませ」


受付「初めての方ですか?」


男「は、はい」


受付「依頼でしょうか?」


男「えと、受けるほうです」


受付「はい」


受付「では、右の部屋へどうぞー」


男「ん・・・」テクテク




・・・


 ガチャ


男「うぉ・・・(機械だらけ)」


禿「ようこそー。じゃあ、検査するねー」



・・・


―数十分後―


禿「じゃあこれを受付に持って行ってねー」スッ


男「は、はい」ヨロヨロ



・・・


受付「お疲れ様です」ヒョイ


受付「・・・Cランクですね」


男「なんですか・・・それ」



受付「ギルドでは、EからAまでのランクに応じた仕事があります」


受付「あなたのランクはC。仕事で言うと簡単な魔人討伐などでしょうか・・・」


男「へぇ」


受付「今日から仕事をしますか?」


男「仕事・・・(初めての響き...)」


男「も、もちろん」


受付「わかりました」



続きは夜で

受付「・・・」カタカタカタ


受付「登録完了です」ターン


男(パソコンみたいな機械だな)


受付「あ」


男「どうかしました?」


受付「丁度、良い依頼が来ました」


男「やった・・・」ドキ


受付「内容は護衛です。頑張ってください」


男「護衛...って、人を守るんですよね」


おじさん「おい」ガシッ


男「!」ビクッ


男「あ、あなたは確か」クルッ


おじさん「久し振りだな。カジノの次はギルドか」


男「えぇ。学校が長期休暇に入ってて・・・」


おじさん「ああ。なんだ? 依頼を受けるのか、アンタ」


男「はい、初仕事です」


おじさん「へぇ。嬢ちゃん、こいつの仕事は何時から?」


受付「3時からとなっております」


おじさん「なら付いて来な。ここ(ギルド)について色々教えてやるよ」テクテク


男「あ、はい」タタッ



―ギルド内・カフェ―


男(おしゃれな場所だ・・・)


おじさん「まずここでは3種類の人間がいる」


おじさん「依頼をする者。依頼を受けるもの。そして、ギルド兵だ」


男「ギルド兵って・・・」


おじさん「町の警護をする連中だ。表の世界なら警察って連中だな」


おじさん「ちなみに私も、ギルド兵だ」


男「あ、だからこの前泥棒とか、あのピエロとかを?」


おじさん「そうだ。ところでアンタ、ランクは?」


男「えっと、Cです」


おじさん「ん。二年の学生のくせしてCか。中々良い腕してるんじゃないか」


男「そうなんすか?」


おじさん「さっき検査されたんだろう? あれは人が持ってる魔力とか魔法レベルとかを測定してるんだ」


おじさん「んで、アンタは総合的にCだった」


男「へぇ。聞いたんですけど、ここって支部らしいですね」


おじさん「あぁ。そういやぁ本部では、この前すっげぇ事件が起きてたな」


男「そうなんですか」


おじさん「ん。会長さんから聞いてないのか...」


おじさん「この前な、本部が何者かに襲撃されたんだよ」


男「ええ!」


おじさん「まぁ今はもう落ち着いてちゃんと機能してるがな」


おじさん「・・・おい、そろそろ時間じゃないのか?」ピピッ


男「二時半・・・どこに行けばいいんですか?」


おじさん「確か、嬢ちゃんはギルド前って言ってたぞ」




・・・


―ギルド前―


男「ええと、依頼書」ガサガサ


○アメリカのお姫様を飛行船までお連れする。ルート・・・――。何かあった場合は自らの身を差し出して犠牲になること


男「は?」


男「・・・」


男「はっ?」


男(これどう見てもCランク以上の仕事だろ!)


男「アメリカのお姫様・・・て・・・」


姫「呼びました?」


男「うわっ!」アセ


男「こ、これはこれは姫様。よくぞご無事で」


姫「はい」


男「って・・・護衛なんて出来ませんよ! ちょっと待っててください。代わってきますんで」


姫「良い。私はあなたを望む」


男「・・・はぃ」


姫「大丈夫よ。飛行船までの道のりはとても短い・・・たったの10kmよ」


姫「爺には歩いて来いって言われたわ。まったく・・・酷いわね」


男「・・・ちなみに、その短い距離の間で何かあったら、どうなるのでしょうか?」


姫「さぁ。知らないわ」


男(でしょうね)


男「では、・・・行きましょうか」


姫「・・・手、握らないの?」


男「へっ」


姫「護衛でしょ? 私がこけたらどう責任を取るつもり?」


男「は・・・はい。かしこまりました」ギュッ


姫「よろしい」ニコッ


男「・・・」ボー


姫「行かないの?」


男「っは、はい」テクテク


男(金髪が美しい・・・笑顔にやられかけた・・・)



・・・


・・・


|右? それとも 左?|



男「分かれ道・・・」ペラッ


男「左ですね」スッ



 バンッ!


男「な・・・」


姫「大変! 魔弾よ・・・誰かが狙ってるわ...」


男「ま、魔弾・・・大体想像が付きました」


男「走りますよ!」ダッ



・・・

―岩陰―


男「っくそ...ツイてない・・・」


男「・・・姫様。誰が狙ってるか、心辺りはございますか?」


姫「ない...怖いよ」ギュッ


男「・・・」ギュッ


 ドンッ! ドンッ!


男「な・・・奴らこの岩を壊す気か!?」


姫「魔弾は普通の弾丸の何倍もの威力を持ってる・・・どうしましょう」オロオロ


男「・・・岩が崩れたとき、全速力で走ってください」


姫「でも...」


男「大丈夫。死ぬ気で守りますから」ニコッ


姫「はぃ」


男(念には念を・・・)


 ドン ドン ドンッ ドンッ!


男「上級無魔法・硬化」...



 ズッ!! ガラガラガラ...


男「今だ!」ダッ


姫「はい!」ダッ




ズンッ!!


姫「キャア! 大丈夫ですか!?」ダダッ


男「っく・・・大丈夫」ダダッ


姫(服が破れてるのに血が出てない・・・)


姫「魔法ですか?」ダッ


男「そうです――」...


 グシャッ


・・・
・・・
・・・


男「・・・」


男「! 姫様、大丈夫ですか!」


姫「ぅん...って、ごめんなさい!」バッ


姫「なんで私...あなたの上に・・・」


男「・・・上を見てください」


姫「上?」クイ


姫「え」



男「・・・察するに、落とし穴のようなものが遭って、落ちてしまったようです」


―地下―


男「恐らく、ここは地面の下・・・でも見てください」スッ


姫「・・・先に進む道がある?」クルッ


男「えぇ。あの上の穴までは上がれそうにない」


男「この先へ進みましょう」テクテク


姫「・・・分かりました」テクテク


・・・


 ピチャ...ピッチョン


男(暗いな)


男「初級無魔法・懐中電灯」...


姫「杖が光った・・・それも魔法ですね」


男「はい。この前習ったんですよ」


男「元々、雷属性にしか使えなかったそうなんですけど、応用で無属性もできちゃって・・・」


姫「ふふっ。魔法の話は私には分かりませんよ」


男「あっ・・・すみません」


姫「でも・・・聞きたいです」ニコッ


男「そ、そうですか?」



・・・

男「それでー、カギ魔法はヒラーク、とか――」


姫「ごめんなさい」


男「えっ...ああ。すみません。面白くないこと話して・・・」


姫「いえっ! ...そうじゃないんです」


姫「・・・あなたに私は...嘘をついていました」


男「嘘?」


姫「はい...私を狙っていた人は・・・私の家の者です」


男「え、ちょ、ん」アセ


男「・・・わざと狙わせたって事?」


姫「...すみません」


男「どうしてそんなこと・・・」


姫「・・・」


姫「あなたのことが好きなんです」


男「えっ」


姫「ギルドで一目見て・・・惚れてしまいました」


男「ちょ」


姫「そしたら爺が「よろしい。ならば戦争だ」と、試練を・・・」


男「え、ええ!?」


姫「爺は私を無事に飛行場まで連れて行けば、二人が付き合うことを認めると――」


男「ちょ、ちょっと待って・・・(なんだこの展開)」


男「じゃあこの地下のことも仕組まれてんの?」


姫「さぁ・・・ただ、爺はこんなことはしません」


男(さっきめっちゃ銃弾撃たれたんですが・・・)


男「なっ・・・」ピタッ




姫「えっ」


男「なんだよ・・・このでっかいロボットは・・・」


姫「・・・昔、」


姫「昔に資料で読んだことがあります」


姫「これはかつて魔法戦争で使用された殺人兵器・・・ホムンクルス」


男「兵器って・・・でも、動きはしなさそうだな」キョロキョロ


姫「まだ・・・残っていたんですね」


男「姫様...」


男「残念ですが、この先に道はありません。行き止まりです」


姫「え...そんな」


男「っすー。はぁ。あなたの家の者が迎えに来てくれるはずです。それまで待ちましょう」




・・・・・・


爺「ええい! なぜ出てこない!」


「まさか・・・何か中で間違いが・・・」


爺「間違い! 何を言い出す貴様ぁ! 間違いって何だぁああ」


「ひぃ」


爺「もういい! 魔手榴弾を投げ込めぇ」


「そ、そんなことをすれば・・・生き埋めになってしまいますよ」


爺「よろしい。ならば威力の低いものを・・・投げ込めぇ!」


「ひぃ」カチッ

「っふ」ブンッ

「これでいいのですか?」オドオド


爺「上出来だ、二等兵!」


・・・・・・


男「とりあえず、落ちたとこまで行きましょう」


姫「はい」



続き後で

ドッゴォooooooooooooッ!!


男「っくぅ」


姫「きゃぁっ」


 パラパラ...


男「ば、爆発音?」


姫「まさか爺が・・・」


 ・・・ギイイイイィ


男「!」クルッ


男「そ、そんな・・・」


ホムンクルス「ぁぁぁ」ギイイイ


姫「う、動いてるっ」


男「...今の衝撃で起きたんだ・・・やべぇ」


男(5m以上ありそうだ・・・)


ホムンクルス「ぁ」ピンッ!


男「!」


 バシュウウウウぅぅ


姫「あ、ありがとう。助かりました」ギュ


男「いえ・・・(地面が溶けてる...もし避けなかったら・・・)」


男「アレは魔法も使うのですか?」


姫「確か、はい」


男(巨体な上に詠唱も杖もなしで魔法を使うか・・・唯一の救いは錆でうまく動けてないことか)



ホムンクルス「...」ギギイイ


男「先ほど、魔法戦争と言っていましたが、それは何年前の出来事で?」


姫「...戦争はユウキ・ヤマダ率いる人間軍と...ま、魔神率いる魔人軍との間に行われました」


姫「私の記憶が正しければ、それは約100年前の出来事かと」


男「そんな昔に・・・」


男「自分はアレに...勝てそうですか?」


姫「はい、勝機は十分です。ホムンクルスの・・・人間で言うへその部分」スッ


男「あっ青色の玉が埋まってる」


姫「えぇ、あれは魔道核と言って、ホムンクルスの力の動力源です」


男「つまり・・・それを壊してしまえば勝てるのですね」


姫「はい」


男(けど、3~4mはありそうだ...幻術は効かないだろうし...あの装甲硬そうだなぁ)


姫「! お、お、男」ゴクッ


男「どうかしました?」


姫「ホムンクルスが動きを止めてるわ・・・」


男「? チャンスですね」スッ


姫「違う! 思えば約100年前からあれはいた・・・流石に魔道核の魔力も持たない・・・」


男「つまり...?」


姫「魔力を溜めている・・・一撃で私達を殺す気よ」


男「・・・はぁ」


姫「・・・受けたら死んじゃう。避けても恐らく天井が崩れて死んじゃう・・・」



男「これは絶望的な状況ではありません。チャンスです」


姫「な、何言ってるの? さっきの攻撃を見たでしょう? 地面が溶けたのよ・・・」


男「俺は絶対に死にたくない。あなたも死なせない」


男「・・・奴は一か八かの賭けに出ています。勝ってみせましょう」


姫「そんな...」


男「全て受け止めたら俺の勝ち、もしやられても奴は魔力切れになるのであなたは助かる」


男「ってわけで、逃げてください」


姫「や・・・嫌よ!」


男「中級無魔法・幻術」...


姫「・・・」


姫「・・・」テクテク



男「...さぁ、来いよ!」


ホムンクルス「ぁぁぁあ」キュウウウ


男「上級無魔法・肉体強化...上級無魔法・硬化」...



ホムンクルス「あああああああああッ!」ズッ


 バッ...



・・・

「さぃ...て・・・起きて」ユサッ


爺「姫様、あまり動かしては・・・」


姫「起きてください...ねぇ」ユサユサ


爺「心配せずとも、我が医療チームが全身全霊を込めて治療に当たったので、大丈夫ですよ」


姫「でも...もう丸一日は寝てるのよ?」


爺「そうですね」


姫「そうで・・・zz」バタッ



爺「すみません、姫様。紅茶に眠り粉を入れてしまいました」ヨイショ


爺「飛行船の出発時刻を遅らせることはもう限界であります」グッ


爺「それに早くアメリカへ戻らねば・・・」


爺「おい、二等兵」


「はい!」


爺「この男にありったけの報酬を用意しろ」


「は、はい!」


爺「・・・ふん。自らの身を持って姫様を守り抜いたことは褒めてやる」


男「zz...zz...」


爺「ただ・・・飛行場まで行くことができなかった。よって姫様と付き合うことは許さん」


爺「報酬はやるんだ。感謝してくれたまえ」




#10

 〔無属性第4教室〕

雄「はぁ~今日から学校かぁ」


雄「なぁ。お前はどんな休日を過ごしたんだ?」



男「死に掛けた」


雄「はっ」


男「ギルドでクエストやってたんだよ」


雄「そうなのか。実家でだらだらしてた俺とは大違いだ」


男「とは言っても、依頼を受けたのは一回きりだ」


雄「ん、なんで」


男「いやさ、死に掛けて、起きたら病院だったのよ。んで机の上に大金が」


雄「まじかよ・・・報酬か。よっぽどの大仕事だったんだな」


男「うーん。護衛だよ」


 ガチャッ


先公「・・・」テクテク


 ザワザワ・・・


男「ぶっ!?」


雄「なんだぁ? あの変なオヤジ・・・教師か?」


先公「・・・」バアン!


 シーン


男(黒板叩いた・・・ってか何故あの人が...)


先公「あー。てめぇらの代理してた教師は連休中にやめた」


先公「んで、俺が今日から代わりの先生な」


先公「GTS・・・グレートティーチャー先公。4649!」




 

 シーン


先公「うっわ、ノリ悪っ! ・・・まぁ要らん虫も2匹いるが・・・」チラッ


男(こっち見た! 絶対こっち見たよ!)


雄「ん?」


先公「仲良く行こうぜ」テクテク


先公「ってことで、早速授業だ」カリカリ


先公「今日は・・・テストには範囲外だがマインドコントロールについて教える」


雄「誰なんだよ。ホント」ボソッ


先公「マインドコントロールってのは、人や魔物を自分の意のままに操る魔法だ」


男(幻術の応用かな? この前姫に似たようなことを・・・)


先公「幻術では相手に見せたいようなもんを見せて苦しませたり、楽しませたりできるな」


先公「やろうと思えば、うまく術掛けて、錯覚させて思い通りに行動させたりもできる」


先公「だが、マインドコントロールは違う。完璧に相手の心を掴み、操る」


先公「まぁ相手の生き死にに係わることはできないけどな」


雄「割とまともな授業・・・」ボソッ


先公「強い魔法は時に身を滅ぼし、相手を滅ぼす。ゆえに責任が問われる」


先公「この術の使用には気をつけろ。時と場合を考えてな・・・っつっても、この中から何人が扱えるようになるかわからねぇけどな」


先公「詠唱名は、○級無魔法・マインドコントロール。短縮名もマインドコントロールだ」


先公「んじゃ、使いかたと詳しい理論を説明する」カリカリ


・・・

・・・


先公「以上だ。それじゃあペア組んでやってみろ」



雄「驚いたな・・・滅茶苦茶ハイレベルな授業じゃん」


男「あぁ・・・」




雄「いくどー」


男「おう」


雄「中級無魔法・マインドコントロール」...


男「・・・」


雄(あの先生に話しかけて来い)


男「なぁ、なんともないけど・・・」


雄「まじか!?」


雄「うまくいったと思ったんだが・・・」



先公「理論が定着してないんだ。魔力の流れは良かった」


雄「先生...」


男(げっ)


先公「にしても...お前はできてんのか、おっさん」


男「ちょっ」アセッ


雄「ん? なぁ先生、教えてくれよ」


先公「はっぁ? 嫌だね、俺は男子には教えない主義なんだ」


雄「えええ!?」


先公「おい、おっさん。お前やってみろ」


男「...へい」


男「中級無魔法・マインドコントロール」...


雄「」ガシャッ


男(その先生を叩け)


雄「・・・」バシッ


先公「いでっ!」


先公「・・・てんめぇ」


雄「・・・っは」


雄「俺は一体...」


 キーンコーンコーン...


男「ははっ...成功しましたね」


先公「っけ・・・おーい、今日は終わりだー」テクテク


雄「んー。ま、いっか」


男「ちょ、先生」タタッ


・・・


―廊下―


男「ちょいちょい!」


先公「んだよ」


男「あの呼びは止めてくださいよ! せっかくセカンドライフを頑張ってんだから」


先公「へいへい」テクテク


男「やめないと、魔法界のトップの魔法局に訴えますよ」


先公「ほーい」テクテク


男「ったく・・・」



・・・


 午後。


〔第二回復教室〕


女教師「今日は凄い回復魔法を教えます」


「えー」

「先生の恋話聞きたいー」


女教師「うふっアタシが信じた人はとんだ野望を腹に飼っていたの」フフッ...


眼鏡女「久しぶりだね」ボソッ


男「あぁ」ボソッ



女教師「まぁ・・・その魔法なんだけど・・・」


女教師「細胞を活性化させて傷を治りやすくし、なおかつ身体能力も上げるというハイび・・・ハイブリッド技れす」


男(ダメージきてんな・・・)


女教師「詠唱名はトンビ。短縮名もトンビ」


「えー何か変な名前ー」

「そう? カワユスな名前じゃん」

「うけるし」


女教師「じゃあやって見て」


男(活性化させんの?)


#10.5


 数ヵ月後。



―夜・寮―


雄「聞いたぞ。回復クラス、お前が断トツで一位の成績だったらしいじゃん」


男「あぁ、無属性は惜しくも二位だった」


雄「俺は三位だ」


男「まぁ・・・何はともあれ、これで発展クラスにいける」


雄「回復属性だけだけどな」


男「それでいいんだよ。ははっ・・・はははははっ」バンザーイ


雄「...変な奴」


男「これで...(会えるぞぉ!)」バンザーイ


雄「ふぁあああ。ねむ」


雄「んあ!」


男「どしたん」


雄「そういやぁ、さっき、眼鏡女がお前のこと探してたわ」


男「何で早く言わないんだよ!」


雄「女子寮の裏で待ってるって」


男「はぁ? 何だってそんなところに・・・」


雄「知るかよ」


雄「ただ・・・あいつ、覚悟決めた目ぇしてたぞ」


―女子寮・裏―


 ザっザっザ...


男「あ...ごめん、待たせて」


眼鏡女「! ううん、来てくれてよかった」ギロッ


男(な、何故睨む)


眼鏡女「まずは・・・発展行きおめでとう」ニコッ


男「あ、ああ。ありがとう」ニッ


眼鏡女「...私は男さんからたくさんの勇気を貰ってきた」


男「おう・・・何の話だ?」


眼鏡女「ううん。男教師に攫われたときは、本当に怖かったの」


男「ああ」


眼鏡女「それで、男さんが来てくれたときは、本当に嬉しかった」


男「・・・そりゃ、助けに行くだろ。前日にあんなことがあったんだから・・・」


眼鏡女「私・・・」



眼鏡女「貴方が好きみたい」ポッ


男「・・・へ?」


眼鏡女「発展クラスにいっちゃうと・・・もう会えないから」


男「・・・会えるだろ。また、こことかで会えばいいじゃん」


眼鏡女「うん...それで・・・」


男「すーっごめん!」


眼鏡女「! ・・・」




男「俺も好きな人がいるんだ」


眼鏡女「・・・誰?」


男「...女さん」


眼鏡女「あ・・・編入初日に訊いてきた・・・」


男「そう。俺は女さんのいる発展クラスに行くために頑張ってきた」


眼鏡女「そこまで...」


男「まだあんまり話したこともないけど・・・彼女について何も知らないけど、」


男「女さんがすきだってことは分かる」


眼鏡女「・・・私じゃ、駄目なんですか?」ウルッ


男「...ごめん。頑固頭でな。こうと決めたらもう止められない」


男「君には俺よりももっとふさわしい人が必ず、現れる」ニッ


眼鏡女「・・・分がっだ」グスッ


眼鏡女「おやずみなさい」テクテク


男「・・・あぁ」


男(ごめん)



―次の日―


〔校長室〕


男「へぇ・・・で、結局、発展クラスってどこにあるんです?」


会長「地下じゃよ」


男「地下ぁ!? 通りで気付かないわけだ・・・」


会長「それにしても、おまえはどんどん、力を伸ばしているなぁ。わしは嬉しいぞ」


男「っふ、はい」ニッ


男「でも、これからですよ」


会長「ああ。これからじゃ」


会長「精進せぇよ」


男「はい」テクテク


男「失礼します」ガチャ



会長(本当に...成長が早いのぅ)


#11


男「今日からよろしくお願いします。男です」


女「あっ!」パアア


男「女さん!」タタッ


女「久しぶりだね!」


男「本当...嬉しいよ」グスッ


雌「・・・」イラッ



老婆「これ、まだ自己紹介の途中じゃぞ」


男「・・・すみません」


老婆「この発展回復属性クラスでは、より複雑なことを学ぶ・・・覚悟はええの?」


男「もちろん」グッ


老婆「席は・・・」


男(女さんの隣ぃ!)


老婆「自由じゃ」


男「・・・は?」


老婆「ほれ、空きが多いからのぉ」


男「ああ...全員含めて15人でしたっけ。このクラス」


老婆「そうじゃ」


男「んじゃ」テクテク


男(女さんに近いところに座ろう。出来る限り)スチャッ



雌「・・・」ギロッ


男(...前の女子、目つき悪いな・・・)


男(ってか、今回も男子は俺一人か)キョロ


男(こっちのクラスはアホッぽい子とかケバい子はいないんだな。皆静かだ)







老婆「それじゃあ。さっそく授業といこう」


老婆「奇数か・・・誰か男君と組んでやってくれ」


女「はい! 私が組みます」スッ


雌「ッチ」ボソッ


老婆「よし。今日行く場所は風神の谷。取って来るものは、「風邪の王冠」じゃ」


老婆「じゃあ、箒を配るぞ」サッ



男「なぁ、一体何をするんだ?」ツンツン


雌「あ?」ギロッ


男(感じ悪っ)


男「ほら、俺来たばっかで何するかわからねぇから・・・」


雌「・・・」


雌「っち。魔法薬を作ったりするから。週何回かは材料採取に行くんだよ。たまに危険な場所にも行く」


男(ちゃんと答えてくれるのか・・・)


雌「もういいかよ?」


男「ああ。ありがとう」ニッ


雌「っけ」


老婆「では、移動じゃ」



・・・


―空中―


女「奇数だからどこかは3人組にならないといけないんだよ」


男「そっかぁ」


雌「・・・なぁ、女。こいつ、知り合いか?」


女「うん! 友達だよ」ニコッ


男・雌「!」キュン


雌「そ、そうかよ」




〔風神の谷〕


 ヒュオオオオ~


老婆「ここは危険度5のうち3.5じゃ。気をつけてくれ」


みんな「はいっ」



・・・


男「ふぅ、風邪の王冠って何に使うの?」


女「風邪薬に使われるんだよ」


男「へぇ」


雌「・・・っ」


女「?」チョイチョイ


雌「ん、何?」



女「なんで今日はずっと怒ってるの?」ゴニョ


雌「...別に。あいつがちょっと気にイラねぇ」ボソッ


女「え。なんで? いい人なのに」ゴニョ


雌「さぁな・・・」ボソッ



男「それってこの谷のどこら辺にあるの?」


女「あ、一番下じゃないかなあ」


 ヒュオオオオー



男・雌「!」ズドオン


女「きゃっ風が強いね」ウウ


男(女さんの長い髪が...)


雌(風になびいて・・・)


男・雌(とても美しい...)



女「ん。どうしたの? 二人とも」


男・雌「なんでもない」


女「・・・ふふっ」


男(何故笑ったんだ?)


雌(何が面白いんだろう...)


女(二人の息ぴったり。フフッ)ニヤ





今日はここまで

もしかしたらまだ書くかも

・・・


男「なぁ」ビリッ!


女「なにー?」


男「ぁ・・・」


雌「? 何お前、変な顔してんだよ」


女「男君?」



男「く、来るッ!」


雌「あ?」


女「何が来るの?」


男「やべぇぞ...相当強い」


雌「だから――」


 -ウぉォォオオオオオオォーーー


雌「んだ、このうめき声?」


女「下から・・・」チラッ


女「!」



・・・・・・

老婆「ありゃ、どっから現れたんだい・・・」


老婆「はーっ」ダッ


・・・・・・


女「ねぇ! どうしてあんなに早く気付けたの?」


男「...魔法だ、無属性の。俺は今、第六感を底上げしてる」


女「あれは・・・なに?」


雌「んだありゃ! 10m以上あるぞ・・・こっからでも目視できる」


男「知らない、けど。昔、似たような生物を見たことがある」




男「雷獣って魔人だ」


雌「雷獣? って絶滅したやつじゃん」


男「ああ。ただ、雷獣は色が黒だった。でも、下にいる化け物は色が白だ」


女「白・・・」


女「考えられることは一つ。あいつの正体は風獣。雷獣同様、絶滅した魔人よ」


男「風獣...。雷獣には少なくとも理性があった。下のやつにはそれが感じられねーぞ」


 ダンッ!


老婆「無事かえ・・・」


女「先生!」


雌「おい、大変だ。下に変なやつが・・・」


老婆「分かっておるよ。っ男ちゃん。」


男「はい」


老婆「二人を連れて上へ戻っておくれ。そして会長へこのことを・・・」


男「...分かりました」


男「行こう」テクテク


女「えっちょ・・・先生はどうするんですか?」


老婆「下にもまだ生徒がおる。助けなければねぇ」


女「そんなぁ」


雌「女、行くぞ」


女「雌まで・・・」


雌「急げ。魔人とは係わりたくない」


男「女さん」


女「・・・分かった」テクテク



老婆「さて」ダッ




・・・


老婆(風獣・・・何故こんなところで...)ダッ


老婆(最近...魔法界が乱れておる・・・おそらく)ダッ


老婆(裏で何かが悪巧みしているな)ダッ


老婆(それも飛びっきりの、腕利きの者が...)ダンッ



老婆(おそらく、風獣もその者により、ここへ召喚された)ッタ


老婆「というところかのぉ?」



風獣「グルルルル」バキバキ


老婆「! 貴様、何を食っている?」


風獣「グルル」メキメシ


老婆「まさか、まさか...」


老婆「私の生徒じゃないだろうね?」ゴゴゴ...


風獣「!!」バッ



老婆「距離をとったのは、得策とは言えんのぉ」


老婆「会長・・・会長ちゃんほどではないが、私も一流の魔法使いだよ」ダンッ



老婆「ブリザードッ」...


風獣「グルオオオ!」ザバババ



老婆(直撃・・・何故避けない?)


老婆「!」




風獣「オオ・・・」ビュンビュン


老婆「はは...(私の攻撃を風と共に体に纏っている・・・)」


老婆「倍返し、というわけか」


風獣「グぁああぉオ」ブンッ



 ズオッ


・・・

・・・


女「どうしてこんなことに・・・」


雌「考えたって仕方ないだろ」


男「まぁ、上まで行けば箒があるんだ。会長に助けを求めよう」


 ズオオオオオオッ!


男「!」ビリッ


男「フセロッ!」バッ


・・・


雌「い、今・・・巨大な竜巻が上に伸びていったんだが...気のせいじゃないよな」


男「それより走れ! 足場がやられてる!」ダッ


雌「な、マジかよぉ!」ダッ


女「きゃッ」グラッ


雌「女!」バッ


 ダンッ


男「手をぉ」スッ


女「っ」ガシッ




雌「あっ、はぁ」ホッ


女「あ、ありがとう」


男「うん・・・」ハア



・・・


風獣「グルル」


老婆「どういうつもりだい・・・まさか、今ので残りの生徒を殺そうと思ったとか・・・」


老婆「言わないよな?」


風獣「ガウッ」バッ


老婆「っふ」キイン


老婆(こいつ...普通の魔人よりも強化されてる・・・)


老婆「アイスメテオ」...


風獣「ッグ」バババッ


老婆(究極魔法でもたいしたダメージではない・・・)


老婆「仕方、ないね」バッ


老婆「禁術・アイスガーデン」...


 ブバババッババッ!


 シュッ


・・・


老婆「・・・誰だい?」


フード「悪いな婆さん」


老婆「禁術をかき消す何ざ・・・聞いたこともないよ」


風獣「グルルゥ」ビクッ


フード「こいつの相手はお前じゃない。あいつだ」スッ


老婆「・・・」クイッ


老婆「彼はうちの生徒だよ」


フード「違うな。俺の餌だ」


フード「お前の存在は消させてもらう――」シュッ


・・・
・・・


男「うっわああぁあああ」


女「きゃああああ」


雌「上級風魔法・風受け」...


 ブワッ


男「いって」ドン


女「は・・・はぁ」フワッ


雌「だから言っただろう。安全だって」フワリ


男「おい、俺だけ落ちたぞ」


男「てて・・・まさか足場が崩れるとは・・・」



風獣「グルルル」



雌「ぁあ。おかげで地獄の底に着ちまった」


男「面白い表現するなぁ」


女「・・・先生がいない」


男「ん、・・・確かに...生徒助けて帰っちまったのかな」


雌「アタシらも生徒だろう」


男「えっと・・・雌、さん」


雌「...何だよ」


男「君の風で上まで上がれる?」


雌「無理だ」


男「じゃあどうやって逃げようか・・・」


雌「うし、男。お前囮になれ」


男「はぁ?」



男「ふざっ――」ビリッ


男「っふ」ドンッバッ


雌「でっ」


雌「おい、いきなり押すんじゃねえよ。冗談だって」


男「油断するんじゃねぇ」タッ


雌「あ?」


女「う、後ろ・・・」ユビサシ


雌「! ・・・」


男「ったく、でっかいカマイタチ飛ばすもんだ」


風獣「グルル」ヒュンヒュン



雌「た、助かった」


男「おう...」


男「さっきの囮作戦。採用でいい」


男「逃げろ」


雌「はっはぁ? 冗談だって」


女「男君・・・自分の命を犠牲にするようなことは・・・」


男「綺麗ごと言って助かるなら、そうして」


雌「・・・」


雌「バカ」タッ


男「お前・・・なんで」


雌「逃げろ女。アタシと男で食い止める」


女「えっ何でよ!?」


女「なら私も戦うッ」





男・雌「駄目だ」


女「い・・・嫌だ!」


男「頼むよ。やつはこっちに集中してる」


雌「このままじゃ、全員死ぬぞ」


女「・・・大体、帰り道がないじゃない。上へは上がれないよ」


雌「そこに川がある」スッ


雌「泳いでいくんだ」


女「じゃ、じゃあ皆で行こうよ」


女「なんで私だけ逃がそうとするの!?」



男・雌「未来のためだ」


男「・・・お前、気が合うな」


雌「ああ」


女「ど、どういう・・・」


男「君は未来へと羽ばたかなくてはならない存在だ」ビリッ


男「来るッ!」バッ


男(女さんを・・・)ダッガバ


雌(女を)ダッ


 ザクッ...!



男「大丈夫?」ギュ


女「うん・・・」


雌「あ...」ダラッ


男「え」


女「め、雌!?」



#11.5


男「二つカマイタチが着たんだ・・・」


雌「っか...油断したぁ」バタッ


女「回復を...っ」


雌「無駄だ・・・ここまでの傷は再生できない」


男「喋るな、黙って治療を受けろ」スッ


雌「よぉ...男」


男「ん?」


雌「お前...女とベタベタしてゥゼェやつだと思ったけどよ・・・いい奴だって分かった...」


男「そうか、分かったから――」


雌「女を、頼んだぜっ」カクッ


男「!」


男「女さん・・・回復魔法を頼んだ」


雌「」


女「・・・駄目だよ・・・もう...死んでる...」グスッ


男「回復を、頼む」


風獣「グルルルル」


男「俺が敵をとるから・・・」ズッ!


男「回復を頼む」シュインシュイン



女「オーラが・・・(最大魔力量が増加した...?)」



切り悪いけど、今日ここまで

男(とは言ってみたものの・・・どうやって倒せばいいんだよ)


男(俺が持つ技じゃあ分が悪い)


男(取りあえず、たくさんある岩の陰に隠れて・・・)スッ


風獣「ッグ!」ブオン


 ピシッ


男「嘘だろ!」サッ


男(・・・なんて威力だ。とても勝ち目は・・・)


男「なんて...考えてられないよな」ダッ


男「究極無魔法・肉体強化」...


男「上級回復魔法・トンビ」...


男「上級無魔法・硬化」...


男「上級無魔法・耐風」...


男(っう、魔力が・・・)クラッ


風獣「ぁぁグルグゥ!」ブンブンブン


男「当たるかよぉ!」


男「っ」ビリ


女「きっ...」


男(違う・・・野郎、女さんを狙いやがった!)


男(間に合えッ)ダンッ


 ビシュッ



女「男・・・くん」


男(良かった。間に合って)バタッ


女「どうして...二人とも・・・」


風獣「...ッグッ」


女「あなたは・・・」


女「上級雷魔法・サンダー」...


風獣「ぁ・・・」キイン


女「そんな(風で防がれた・・・)」


女「...もう、駄目ね」


女「ごめんなさい。二人とも」


男「...」


女「せっかく、また会えたのにね」


雌「」


女「雌...私」


 ドッォォン


女「え」


風獣「」


女「どうして・・・」


_どうやら、強化された上で蘇らされた魔人だったようじゃの_


女「これは、会長?」


_わしの声じゃよ。魔法じゃ_


_この魔人は何者かに無理やり能力を強化されておる_


_おそらく、代償じゃろう。強くなった代わりに短命になったのじゃ_


女「私...これからどうすれば・・・」




_まだ魔力が残っているのなら、男の回復を頼む。たぶんまだ生きとるぞ_


女「え、え、本当ですか?」バッ


男「・・・n」


女「ホントだ...」


_老婆先生が危険時の発信機を持っていてのぉ、それで分かったんじゃよ_


_まぁもうすぐ迎えが来る。それまで、少しばかり待っていてくれ_


女「はい・・・」


_学校で待っているからの_



・・・・・・


先公「勘弁してくれよ・・・俺はただ、生徒の迎えに来ただけなんだぜ?」


先公「それがよぉ...ついてねぇなぁ」


フード「そちらが手出しをしないのであれば、俺もすぐに帰る」


先公「・・・あぁ。分かった。それでいい。じゃあな」テクテク


先公「アースレイ」ボソッ...


 パシュッルル・・・グチャ


フード「余計な詮索はしないほうが良い」ギロッ


先公「・・・っち。何者だ? 禁術を消すとは・・・」


先公「ま、正体は分かってんだけどね」


先公「ま――」


フード「なら、殺すとしましょうか」


先公「...嘘に決まってんだろ。っへ...ジョークの分からないやつ・・・」テクテク


フード「・・・」


フード「まぁいい。目的は果たした」


・・・・・・





女「先生っ!」


先公「おぉ、カワイコちゃん」ニッ


男「・・・あなたが来たんですか」ボロッ


先公「っは、なんでぇ。てめぇ、生きてたのか」


男「まだ死ぬには早いですから」


先公「言うねぇ。おっさ...男」


男「・・・はい」



・・・


―魔法学校・本部・校長室―


会長「――つまり、いきなり現れたんじゃな?」


男「はい」


会長「・・・そうか。・・・おまえも酷い目にあったのぉ」


男「体は、大丈夫です」


会長「...回復属性発展クラスは、おまえと彼女を除いて、全員死んだそうじゃ・・・」


会長「とても...残念だ」


男「...今日が最初だったんです。途中で仲良くなった人もいました」


男「あなたは知っているのですか? だれが風獣を放ったのか」


会長「知っていたとしたら、どうする?」


男「・・・何もしません...いえ、何も出来ません」


男「もう一年半、魔法について勉強しています。自分の力については分かっているつもりです」


会長「...知らんよ」


男「そう、ですか」


会長「ただ、魔法界が荒れておる。もしや、ドラゴンが目覚めたのかもしれん」


会長「真相は誰にも分からん」


男「・・・はい」


会長「今日はもう。休みなさい」


 バタン


女「男君」ギュッ


男「女さん・・・」


女「みんな...死んじゃった」


男「..うん」ギュッ


男「雌とも、仲良くなれた気がしたのになぁ・・・」


女「・・・一つ、約束して欲しいの」


男「ん、あぁ」


女「私のことは守らなくていい。自分の命を大切にして」


男「……わ、かった」


男「その代わり、俺からも、だ」


男「いつか必ず風獣を放った犯人を見つける。だから、もし――」


先公「何してんの? 抱き合ったりして」


女「えっあっ」バッ


男「・・・」


先公「ま、いいや」


先公「お前ら、来週まで休んでろ」


先公「んで、来週からは俺がお前らの面倒を見る」


男「...え? あなたは無属性の教師でしょ」


先公「会長がやれって言ったんだ」


先公「じゃーな」テクテク




#12


 約半年後。


〔S教室〕


先公「はい、最終試験合格おめでとー。ま、受かって当然だがな」


女「よしっ」


男「やったな、女さん」


女「うん。男君は断トツで一位だったんでしょ」


男「ああ」


先公「はいはい。ところでよ、今日で大体半年じゃねぇの? あの事件から」


男「・・・」


女「...」ウルッ


先公「だーっ・・・お前ら、いい加減に分かれって」


先公「俺が言いてぇのは、あれからお前らは見違えるほど魔法が上達したってこと」


男「・・・はい」


女「...先生の、お陰です」


先公「・・・おう。ってことで、頑張ったやつには褒美だろ」スッ


女「これは・・・」


先公「MDL=魔法界デステニーランドのチケット。・・・二人で行ってきな」


男「!」


女「あ、ありがとうございます」


男(あ、怪しい。この人がこんなことをするなんて・・・)


先公「明日だな。楽しんでこいよ」


女「はいっ」


男(明日は第六感を強化しなければ・・・)



―次の日―


〔MDL〕


マッキー「ハハっ二人でデートかい?」


女「そ、そんなことは、・・・ないです」


マッキー「ハハっ」


男(こいつ、怪しい)ジロッ


女「男君、お化け屋敷行こうよっ」


男「えっ。うん」



・・・


―魔法界一怖いお化け屋敷―


女「ここね、滅茶苦茶怖いんだって」


男「へぇ(俺の人生経験上、お化けはいない)」


男「行こうか」テクテク


女「うん・・・」


男(もしかしたら、女さんが抱きついてきたりして・・・)



・・・


男「!」ビリッ


男「来たっ」


お化け「うわアアあああ」バア


女「あはは、魔法を使ったら駄目だよー」


男「あ、ごめん」ビリッ


男「左だっ!」



・・・


女「あー面白かった」


男「本当に?」



男「ごめん、お化けが出てくるほうを言ったりして」


女「ううん。逆にあっちが驚いてて、面白かったよ」


男「そ、そうなんだ」


女「あっパフェだ」ダッ


・・・


男「うっめーぇ」


女「ホントだ、甘ーぃ!」パクッ


・・・


女「あっアレに乗ろうよ」


男「おう」


・・・


女「あはははっ」


男「ははっ面白いな、こいつ」


・・・


―夕方―


女「あーっ楽しかった」


男「うん、俺も楽しかったよ」


女「もう暗くなってきたね。早く学校に戻らないと」


男「ああ(何事もなく終わったか。二つの意味で)」



女「ん! ね、最後にあれに乗ろうよ」ユビサシ


男「・・・観覧車?」



―観覧車―


女「たっかーい」ワッ


男「あ。見てよ、夕日が丁度・・・」


女「...綺麗だね」


女「また、一緒に行きたいね」


男「あぁ・・・(チャンスは、今か)」


男「女さん」


女「んー」


男「俺と、付き合ってください」


女「どこにー?」


男「結婚前提で、お付き合いをしてください」


女「・・・え」


女「わ、私が?」


男「もちろん」


女「え・・・ええぇええ」


男「駄目、ですか」ドキドキ


女「・・・」


女「とても、とっても嬉しい・・・でも、ごめんなさい」ペコッ


男「oh...分かった」


男「いきなり、ごめんね」


女「・・・私こそごめん」



・・・


 ピー


男「か、帰ろうか」


女「う...うん」



・・・


―夜・寮―


男(あーぁ・・・あんなバカなことしなければ良かった)


男(せっかく、仲良くなったのに...)


男「はぁ・・・」


雄「お疲れのようだな」


男「そぅ」



・・・・・・


―校長室―


「っはっははは」


会長「どうでした、総帥? 今日一日見ていて」


総帥「実に面白い生徒でした。ぜひ、イギリスの私の学校に来て欲しいですね」


総帥「男、という生徒でしたな。彼は今日一日、ずっと、魔法で危険察知能力などを上げていたようです」


総帥「いや~すばらしい」


会長「と、いうことは?」


総帥「よろしいですよ。会長の言うとおりにしよう」



・・・・・・


男「・・・うっせーな。寝かせろって」


雄「んだよー。せっかく俺が失恋ソング歌ってやってんのに」


男「はいはい、寝ろ寝ろ」




#12.5


―校長室―


男「い、イギリスに留学!?」


男「なんで俺なんですか・・・」


会長「あっちの本部の学校の人に色々とおまえのことを話したら興味を持っての」


会長「ぜひとも交換留学させてくれと言っているんだ」


男「えぇ・・・」


会長「おまえは成績も2年の中でトップ・・・どうじゃ? 行って来なさい」


男「んんー・・・」


男「そんな急に言われても・・・」


会長「なに、たったの一年行くだけじゃ」


男「一年って言ったって・・・女はどうするんですか? 俺が抜けたら一人じゃないですか」


会長「3年生になったら新しい回復の発展クラスに行ってもらう」


会長「男、イギリスは魔法技術が少しだけ、日本よりも進んでいるんだぞ」


会長「おまえはもっと強くならなくてはいけない」


男「・・・会長、俺と交換されてくる生徒は誰なんですか?」


会長「・・・」


男「なんか怪しいですね」


会長「もとよりおまえに教えるつもりであった。一年後にな」


会長「まぁよい。今、ここで教えよう」


男「まさか、その生徒のために俺を行かそうってんじゃないですよね?」


会長「・・・正直言うとそれも半分ある、が」


会長「おまえは強くならなくてはならない、これも経験じゃぞ」


会長「強くなって、戻ってきなさい」


男「・・・はい」





男「それで、誰が来るんです?」


会長「名は、少年という。・・・第10の属性の持ち主じゃ」


男「第10?」


会長「そうじゃ。魔法属性は普通...火、水、地、雷、闇、氷、回復、無、風の9つじゃ」


会長「しかし彼は、第10の属性、光属性を持っておる」


男「光? そんなのがあるんですか」


会長「今までに前例がないんじゃよ。光属性とは」


男「へぇ」


会長「どうじゃ、イギリスは?」



男「・・・そうですね。何で行くんですか? そこへは」


会長「魔法の飛行機じゃ。3時間で行けるぞ」


男「...なら条件があります」


会長「何でも聞こう」


男「行きと帰り、ファーストクラスで!」



・・・

男「あざっす。失礼しました」
 

 バタン



女「男君!」バッ


男「うわっ」


男「なんだ・・・ビックリした」ドキドキ


女「イギリス行くって本当!?」


男「お、うん。何で知ってるの?」


女「先公先生が教えてくれた・・・というか、なんでなの」


男「色々あって・・・」


男「でも、一年後には戻ってくるから」





女「・・・うん」


男「...あの、今言うべきことじゃないかもしれないけど」


男「言っておきたいんだ」


女「うん」


男「やっぱり君が好きだ。大好き」


男「だから、俺と付き合ってくれ」


女「・・・は――」


男「あっ返事は返ってからでいい」アセッ


男「帰ったときに、また言うから」



女「やだ」


男「え」


女「今言いたいの、私は」


女「昨日はごめんなさい」


男「あ、うん」


女「なんとなく・・・私だけが幸せになっていいのか分からなくなって」


男「ん?」


女「ほら、雌達・・・」


男「ぁあ」


女「でも、やっぱり私も君が、男君が好きだからっ」


男「え...え」


女「付き合いましょう」ニコッ


男「や・・・」


男「やったー!」


女「そ、そんなに喜ぶの?」


男「は、ははっそりゃそうだよ。ずっと好きだったんだから」



女「ふふっ」


男「俺といるの、幸せ?」


女「うんっ」ニコッ





・・・
・・・
・・・


―数日後―


〔飛行機内〕


CA「お客様、お飲み物は?」


男「あぁ。ワインをくれ」


CA「未成年の飲酒は禁止されています」トポトポ


CA「ブドウジュースはいかがですか?」スッ


男「やれやれ」ゴクッ


男「美味しい料理を頼むよ」


男(というか、人生で初めて飛行機に乗ったんだが・・・大丈夫かな...落ちない?)


CA「かしこまりました。素敵な空の旅を」


男「ああ・・・(女。待っててくれ。必ず精進して戻ってくるさかい)」


男「あ、一応袋ください」



今日ここまで

今まで保守してくれた人ありがとー

今から書きます

忙しくてサボッてごめんなさい

とりあえず、はっておきます↓

#魔道書・1


○リバース・・・無属性の禁術。若返る代わりに残りの寿命の半分を失う。


○ヒラーク・・・無属性。カギ魔法の詠唱短縮名。


○ストーロン・・・無属性。肉体強化の詠唱短縮名。


○幻術・・・無属性。短縮しても名はそのまま。


○幻術解除・・・無属性。短縮しても名はそのまま。


○カマイタチ・・・風属性。短縮しても名はそのまま。


○氷固め・・・氷属性。


○メラ・・・初級の火属性。短縮しても名はそのまま。


○硬化・・・無属性。短縮名はストーン。


○ライフ・・・上級の回復属性。短縮しても名はそのまま。


○バースト・・・上級の火属性。短縮名。火炎放射みたい。


○グラップ・・・究極の闇属性。短縮名。魔法の手で握りつぶす感じ。


○眠気覚まし・・・無属性。短縮名はワッショイ。


○テレパシー・・・無属性。短縮名はそのまま。


○アースレイ・・・闇属性の禁術。短縮名はそのまま。>>241


○ソリッド・・・上級の土属性。短縮名。土の槍のイメージ。


○スピッド・・・無属性。瞬間移動の短縮名。


○ワーキュリー・・・無属性。短縮名。>>253


Ж短縮してない詠唱名に○級ってのが付いてなかったら、何級でも使える。テレパシーとかは上級だったら長距離使えるけど、初級だったら近くないと無理みたいな。

#魔道書・2

○懐中電灯・・・無属性、明かり、短縮名はライト

○マインドコントロール・・・>>281

○トンビ・・・>>283,>>284

○ブリザード・・・氷の究極。究極じゃないと扱えないの

○アイスメテオ・・・氷の究極。同じ

○アイスガーデン・・・氷の禁術・・・永久に凍らせる

○風受け・・・風の防御壁、短縮形も一緒、何級でも

他に、耐風とか、耐熱とか・・・魔法防御、何級でも、、、ダメージを減らす

○サンダー・・・上級の雷魔法、短縮名一緒

男がちょくちょく言ってる第六感を上げるっていうのは、ッ序盤のオーラの応用

#13

〔イギリス空港〕


総帥「そろそろ、時間かな」


――――――――――――

〔数日前〕


総帥「まぁ、交換留学の件はこれでいいとして、あれはどうしますかな」


会長「あれ・・・」


総帥「どうして彼の周りでこんなにも事件が起きるのか」


会長「さぁのぅ。おまえならうまくやってくれるじゃろう? 万が一何か起きても」


総帥「ええ、まぁ」


総帥「しかし――」


会長「心配しなくとも、やつらはこちらで対処してみよう」


総帥「・・・はい」


――――――――――――


総帥(ある意味で問題児)


キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
定期的に上げててよかった

>>340

>>341

ありがとうございます

総帥「男……」


・・・


 「お忘れ物にご注意ください」


男「ふぅ...ついたな」

男「これが魔法界のイギリス領土・・・」


男「えっと・・・うん、翻訳機は付いてるな」スッ


・・・


総帥「おっ」


男(んー・・・ここらにいるってきいたんだけど・・・)


総帥「やぁ、男君」


男「え、あ、」


総帥「会長から話は聞いてるな? よろしく。私が総帥だ」


男「あなたが・・・(随分と若いな、俺よりも年下なんじゃないか)」


総帥「さっそくだが、学校に行こうか」


総帥「明日は始業式ですよ」

―車内―


男(っすげぇ車...)


総帥「どうだい? 魔法界はどこもそんな変わりないだろう?」


男「あ・・・そうですね。確かに」


総帥「ふむ。確か君が使える魔法属性は無と回復だったな」


男「はい」


総帥「うむ、ちなみに私は水しか使えない」


男「えっ?」


総帥「まぁ、それ以外の全属性も使えるがね」


男「ん...全属性?」


総帥「ああ……例の第10の属性は使えないけど」


男(光の・・・)

男「……じゃなくてっ待ってください、魔法は属分けで出た奴・・・三つまでしか扱えないんじゃないですか?」


総帥「ん?」

総帥「何か勘違いしてないか?」

総帥「魔法は鍛錬を積めば、一応9種類使えるぞ」

総帥「まぁ、得意な三つの属性とはあきらかに質が違うがな」


男「うっそぉ・・・!」

男(そういえば・・・>>37


担任『ちなみにこの検査で分かるのは何が自分に一番向く属性かってだけで、一応、9種類の属性は鍛錬を積めば皆使えるぞ』


男「ああ!」


総帥「属分けでも見つけられんのが、大器晩成・・・」


総帥「そうだ、試しに見て見るか?」


 ブオン


男「!?」ビリッ


総帥「これは水属性のオーラだ」シュインシュイン


男(すごい...押しつぶされそうな力だ・・・)ビリビリ


 フッ

男「歪んだ・・・」


総帥「無属性のオーラ。でも、明らかに君のオーラよりも弱いだろう?」


 フッ

総帥「この桃色のオーラもそうだ。私は結局、大器晩成は起こらなかった」

総帥「でも、君は違うだろ?」


男「・・・会長も全種扱えるんですか?」


総帥「いや、彼はこういうのは嫌いだろうから、得意な無、闇、雷だろうな」


男「え! ってことは会長の持つ三つ目の属性は雷...」


総帥「ん、知らなかったのですか。彼はその三属性を極めているよ」


総帥「おそらく、それらの術においては、会長に扱えないものはないと思う」



男「そうだったのか・・・」


総帥「っと、話はここからが本番だ」


総帥「我が校と日本のとこの違いは、さっき話した感じのことだ」


総帥「会長のところでは、得意な属性を極めるやり方。私のところでは、全体の属性を強化して行くやり方だ」


男「なるほど・・・」


総帥「まぁ、あの光属性の少年を会長の下へ送ったのには、そういう訳もある」

総帥「世界初だからな、あんな……属性は」


男「へぇ・・・ん?」チラッ


総帥「気になるかい? あれは魔法界中の資料が集められているところだ」


男「大きいですね、魔法学校の日本本部くらいありそうだ」


総帥「セキュリティも凄いよ、だからあそこに忍び込もうとする奴は、まずいない」


「総帥さん、あと10分ほどでつきますよ」


総帥「分かったよ、ナノ」


男「この声……機械ですか?」


総帥「ああ、この車は魔法車。無人でも動けるぞ」


男「無人でも!?」


総帥「そう、表の世界にも教えてあげたい技術だよ」



・・・
・・・
・・・


 キキィ

 ガチャ




〔魔法学校・イギリス本部〕


総帥「さ、ゆっくりしていきたまえ」


総帥「なんてな。私は仕事があるから、寮に行ってみたらどうだい? 今日はまだ誰もいないと思うぞ」


男「ここが……わかりました」


男「えっと・・・男子寮と女子寮でわかれるんですかね?」


総帥「んー・・・寮自体は一緒だが、部屋は当然違う」


男(おな寮!?)


総帥「では、また明日、始業式で会おう」


男「はい!」

#13.5


 ザワザワ...


総帥「やぁ、みんな」

総帥「5年生は今年が最後だね」

総帥「新1年生は、はじめましてだ」


男(毎回始業式の度に学校も校長も変わるから、違和感しかない)

男(にしても・・・美人な人多いなぁ)

男(例えば・・・)


金髪「・・・」ネムネム


男(あの子とか・・・)


銀髪「...」


男(あの子とか・・・ま、俺には女がいるから関係ないけどな)


男(俺は欲を棄て、風獣事件の犯人を見つけ、仇をとる。そのためにここで強くなるんだ!)


男(・・・女、浮気とかしねーよな……)


男(もしかして今頃・・・)



女『ちょっとー』

雄『よいではないかーー』ソレー

女『キャー』



男(何てことが!? 雄のやつ、良い野郎だから...)クワッ


男「・・・(女に限ってそれはないな)」


総帥「じゃあ、今年も頑張りましょう」


 「礼ッッ」


男(何て考えてたら終わったーー)


続きはまた明日で・・・

男(まぁ別にいいけどさ)


友人「なぁ、ちょっと良いか?」


男「ん? ああ」


友人「俺は友人。お前は? 見ない顔だけど・・・」


男「俺は男だ。交換留学で来たんだ」


友人「交換留学・・・っていうと、少年と入れ替わり出来たんだ?」


男「みたいだな。その少年ってやつはどんな感じのやつだったんだ?」


友人「さぁ? あいつは四人目の特待生だからなぁ。11歳でここに来てたんだ。あまり周りに馴染めてない感じだったなぁ」


男「四人目? (ユウキ・ヤマダはおそらく童貞、そして俺も・・・ってことは・・・)」


男「そっか。ありがとな」スッ


友人「ん? どこ行くんだ?」


男「教室だよ、皆移動してるぜ」


友人「場所はわかるのか?」


男「ああ、事前に調べておいたからな」テクテク


友人「そうか、待てよ...一緒に行こうぜ」タッ





〔3Aクラス〕


講師「このクラスは特別なクラスだ。なにが特別なのかというと、魔法内容がトップクラスであることだ。ゆえに留年するものも少なくない」


講師「留年したら、このクラスにはいられないからな」


男(なるほどね...)


講師「さて、先ほど留学生の男君にも挨拶してもらったから、今日は解散としよう」


講師「っと、その前に明日はクラス内の親交を高めるという目的で、街に行くから、班を決めておこう」


講師「決められた班は、これから一年、なにか課題が出るたびに、班員全員で取り組んでもらう。もちろん何かあったら連帯責任だからな」


講師「それじゃあ、第1班・・・」


友人「班かぁ」


男「どんな感じなんだ?」


友人「んー? 中のよくない奴と当たったら最悪だな」


講師「次は第3班・・・男、金髪、友人、銀髪」

講師「次は・・・」


友人「まじか・・・。」


男「何かあるのか?」


友人「いや、ちょっとな。銀髪とは話したことないんだ。金髪は我がままだし」


男(金髪と銀髪って言ったら・・・今朝の美女二人か!)



・・・

講師「...よし、これで全員だな。一年を通して、班点が良かったとこには、総帥が何か良い物を送るらしいぞ」


男(ようはチームで課題をうまくこなせばいい訳だ)


講師「それでは、解散」



・・・


〔寮〕


友人「参ったなぁ~。男や銀髪は良いとして、金髪は・・・」


男「そんななのか?」


友人「ああ……」


男「ふぅん(黙ってたらカワイイってタイプか)」


金髪「ちょっと!」

友人「っげ」


金髪「なんでアタシがあんたと同じ班なのよ! 成績が落ちるじゃない!」


友人「知るか! 文句があるなら講師に言え!」


男(うわっ)

男「ま、まぁまぁ。落ち着いて……」


金髪「・・・」チラッ


金髪「あんたはどうなの?」


男「へ?」


金髪「成績!!」


男「あ、ああ。普通かな・・・」


金髪「はぁ・・・駄目ね。このチームは」


男「あ!」


銀髪「・・・」テクテク


男「銀髪! ...さん」


銀髪「・・・なに?」


男「いや、丁度来たからさ」

男「これで班員揃ったじゃん?」


金髪「ふぅ・・・とりあえず、ヘマはしないでね!」タタッ


友人「っけ。言いたいことだけ言って・・・自分勝手な奴だ」

友人「な? 分かっただろ、男」


男「え? ああ・・・って、銀髪?」


銀髪「もう休む」テクテク


男「あ...お休み」


友人「俺も休むかな・・・同じ部屋だっけ、男。先行ってるぞ」テクテク


男「ああ...」ポツーン

男「・・・」

男「まずいぞ......この班」



#14

―翌朝―


〔観光バス内〕


ガイド「右手に見えます建物は、魔法界で一番の本の貯蔵量ほこる場所なんですよー」


男「お、あれ、この前見たやつだ」


友人「中に入ったことあるのか?」


男「ない」


金髪「ふぁー・・・ねぇ、今日もあんたらと行動しないといけないの?」


男「昨日講師にそう言われたろ」


金髪「だるー・・・ねぇ、あんたもそう思うでしょ?」


銀髪「...別に」


友人「どうせこの後別行動やろ。お前らはどっか行っててもいいんだぜ」


金髪「じゃーそーするわー」


男「おい・・・それではぐれたら連帯責任だぞ」


金髪「こっちは大丈夫。問題はあんたよ。まだこっちきたばかりで街のこと知らないでしょ?」


友人「それを教えるために俺がいるんだよっ」


 プシューー


講師「ついたぞー。降りてくれー」


・・・


講師「ここからは自由行動だ」

講師「かといって、はしゃぎすぎてはぐれないように、では解散っ」



友人「さ、行こうぜ男」グイッ


金髪「行きましょ、銀髪」グイッ


・・・

男「ここは?」


友人「魔英兵訓練所・・・の前、大通り。ギルド兵とは違うのは兵力差だ」

友人「ギルドは魔法しか使っちゃいけんけど、魔英兵は魔法科学武器とか使える」


男「なるほどな・・・って人多いな、ここ」ガシガシ


男「...あれ? 友人? どこいった?」



・・・

友人「いてて...どうした? 急に袖掴んで」


銀髪「金髪が・・・」


友人「え!?」

友人「な、悪い。男を頼んだ、金髪んとこ行ってくる!」ダッ


銀髪「・・・」


・・・

・・・

・・・

男「くそっ。こりゃ完全に迷子だな。俺が」


男「仕方ねぇ。中級無――」

占い婆「そこの人」


男「あ?」


占い婆「どうじゃ...占って行かんかえ?」

占い婆「ワシの占いは当たるぞぉ...」


男「お婆ちゃん、悪いけど俺は占いとか信じてないからさ・・・」


占い婆「ふぅむ。お前、今困っておるのぅ」

占い婆「友人と逸れたか?」


男「え・・・ああ」


占い婆「よし。一つ、そやつらの居る場所を占ってやろう」


男「・・・できるんですか?」


占い婆「付いて来なさい」テクテク


男「・・・」テクテク


・・・


―占いの館―


男「名前は、友人、銀髪、金髪」


占い婆「あい、分かった」


男「本当にコレだけの情報でいけるのか?」


占い婆「無論じゃ。・・・意でよ\\\」


占い婆【大きな噴水...ここらには一つしかないのぅ。その前のベンチにいる・・・】


占い婆「ふぅ・・・」


男「・・・信じ難いな」


占い婆「なら、試してみるといい」


男「え?」


占い婆「さっきお前がやろうとしていたやり方で」


男「……中級無魔法・テレパシー」ビビッ


・・・


友人「ったく転んだくらいで・・・」


金髪「う、うっさい! これ痛いんだよ!」


友人「だから回復魔法かけてやってるだろ」


金髪「何でこんなに治りが遅いのよ!」


友人「しゃあねぇだろ! 得意魔法じゃないんだから。俺は土onlyだっつの!」


金髪「あたしだって火属性しかうまく扱えないわよ!」


友人「っん?」ビビッ


男『友人、聞こえるか?』


友人「この声...男か? なんだこれ、魔法か?」


男『ああ。それよりお前ら今どこにいるんだ?』


友人「どこって・・・噴水広場のベンチだけど・・・金髪が転んで怪我したんだ」


金髪「あんた・・・何一人でブツブツ言ってんの?」


友人「は...聞こえないのか?」


男『この魔法は特定のやつだけに送ってんだ』


友人「そうか、今どこにいるんだ?」


男『わかんね。もう切るぞ』


・・・


占い婆「どうじゃ?」


男「...あってたよ」


占い婆「フフ」


男「・・・気に入らないな」

男「どうして、わざわざ俺に声をかけた? 何が目的だ?」


占い婆「ワシはお告げにきただけじゃよ」


男「お告げ?」


占い婆「そうじゃ」

占い婆「良いか。よく聞け」

占い婆「近々、そう遠くない未来...魔法界で大きな戦いが起こる」


男「は――」

占い婆「その戦いの鍵になるのはお前じゃ。男」


男「俺が?」


占い婆「フフ。道を間違えるなよ」


男「婆さん・・・何者だ?」


占い婆「...今は未だ知るときではない」


男「っは・・・なぁ、もう一つ占ってもらって良いか?」


占い婆「内容によるのぅ」


男「風獣を放った犯人を見つけてくれ」


占い婆「絶滅した魔人じゃないか」


男「そいつを蘇生かなんかさせたやつがいるんだよ」


占い婆「ふむ。やってみよう」


占い婆「意でよ\\\」


 バチイ!


占い婆「! 跳ね返された・・・ワシが押し負けるとは...」


男「どうした?」


占い婆「いや・・・最大出力じゃ」ビリ


占い婆【意でよ・・・\\\】


占い婆【よし、入れた。あとは・・・!】


男(この占い・・・先公がアースレイ使うときと感覚が似てるな...)

占い婆【フ...フフ・・・】スッ


占い婆「占いは終わりじゃ」


男「え?」


占い婆「フフフ・・・全ての謎が解けた。男、お前...厄介なのに目を付けられたのぅ」


男「どういう...意味だ?」


占い婆「・・・今日は店じまいだ。帰ってくれ」



・・・
・・・
・・・


友人「おーい、時間ギリギリだぞ」


男「悪い」


金髪「何してたのよ」


男「ちょっとな・・・(結局粘って見たけど、追い出されちまった)」


金髪「ちょっとってなによー」


銀髪「...彼にも用事はある」


金髪「なに? あんたこいつの肩持つの?」


金髪「あーやだやだ。大体、班行動が基本でしょー」


銀髪「最初に文句を言い始めたのはあなた・・・」


金髪「なっ...」


男「とにかくっごめん」


金髪「・・・もういいわよ」


金髪「戻りましょ」


#14.5


〔寮〕


 昨日、俺は奇妙な予言を受けた。


男(未だにその意味はわからないままでいる)


男(それに・・・あの婆さんは占いで何を見たのか・・・)


金髪「合宿ぅーーー!?」


男「・・・うるさっ」ボソッ


友人「あぁ、しかも明日から」


金髪「何でそんな急に・・・今までだってそんなことはなかったじゃない?」


男「あー、一体何があるんだ?」


友人「抜き打ち課題みたいなもんかもな。明日から、合宿でどっか行くらしい・・・うちのクラス」


金髪「講師のやつ...何考えてんだか・・・」


男「明日って随分急だな。昨日は街行ったし、今日は授業休みだろ? 俺、3年になって、技術なんて学んでないぜ」


金髪「それはみんな一緒よ・・・大丈夫かしら、このパーティーで」


男「そういえば銀髪は?」


金髪「あの子はまだ寝てたわよ」



今日ここまで

矛盾してるとことか、質問は受ける

乙!
銀髪は僕のお嫁さんになりますか?



占いで分かるってことは婆さんは封印を解いたやつより強いのか

>>365
そういう専門的なことは婆さんの方が得意なんだろうな

>>364なりま……

>>365>>366の考え通りです

婆さんは戦闘面弱い

〔翌日〕

 学校から箒で2時間の場所。


―闇の森―


男「ここが合宿場所?」


金髪「みたいね」


友人「木が生えすぎていて、日光が地面まで届かなくて暗いんだ。それで闇の森」



講師「よし、みんな。無事に箒でここまでこれたな」


講師「今日からここで二日間の合宿を行う」


講師「料理はこっちで提供するから、寝床は自分らで見つけてテントをはってくれ」


「キャンプってことですかー?」


講師「そんな感じだ。まぁ、ここらには魔人はいないが、気をつけろ」


金髪「めんど・・・」ボソッ


講師「じゃあ、くれぐれも皆怪我しないように」

「はーい」


講師「それでは、ひとまず解散。班行動に」


・・・


友人「ふぃーどこにテントはる?」


男「んー。こうも木があっちゃなぁ」


友人「銀髪は?」


銀髪「...金髪に聞いて見て。しおりでは彼女が今回の合宿の3班班長・・・」


金髪「そーよ!」


友人「えっこいつが班長て・・・」


金髪「文句あるわけ?」


友人「いや・・・で、どうしたいんだ?」


金髪「……木を切るとかどうかしら?」


男「流石にそれは駄目だろ」

男「・・・そういえば...」


男「皆の属性って何なんだ? 俺は、無と回復」


金髪「得意属性ってこと? 火よ」


友人「土onlyだ!」


銀髪「・・・闇...と氷」


友人「え? 銀髪って二属性持ちだったのか」


金髪「そういえば、あたしも初耳」


男「そうか・・・」


男「友人、土魔法の力で木を動かせたり出来ないの?」


友人「無理。出来ねーよ」


金髪「そだ、他の班がどうしてるか見てきなさいよ。友人」


友人「はぁ! 何で俺が」


金髪「班長命令よ」


友人「なっ・・・わかったよ」テクテク


・・・
・・・
・・・


友人「他の班も、木と木の間がせめーからテントはれないって」


男「普通は寝袋使うよな」


金髪「大体、場所がこんなところって言うのがおかしいのよ!」



 ピーーーー


金髪「・・・何?」


銀髪「たぶん、講師からの呼び出し...」






講師「どうやら皆苦労しているみたいだな」


講師「別に木は切り倒しても構わないぞ」


男「え?」


講師「この木は普通じゃないからな。切ってもすぐに生えてくるんだ。そうだな・・・1分もかからないな。生えるの」


友人「なら、どのみちテントはれねーじゃん」


講師「まぁ。そんな中で悪いが・・・最初の課題があります」スッ


男(箱?)


講師「この掌に納まるほどしかない箱。これを壊してください」

講師「今から、班毎に配ります。時間は明日の朝まで」スッ


友人「余裕だな」


金髪「何か気持ち悪いわね、あの箱。変な文字が刻まれてる...」


男「あれか? 呪術の類か?」


・・・


男「ん。意外と軽いな」フイフイ


金髪「ちょっとかして」


男「ん」スッ


金髪「ありがと...じゃあ。さっそく壊すわね」チャキ

金髪「思いっきりやってみる」


男「いきなりか?」


金髪「上級火魔法・バースト!」...ボウ

 ヂヂヂヂヂ

友人「あー・・・全然駄目。ビクともしてない」


金髪「うそ...」ヂヂ...


友人「じゃあ、次は俺な」スッ


友人「物理ならどうだ...」チャキ


友人「上級土魔法・ソリッド・・・貫け!」...ズオッ

 ギンッ!

金髪「駄目ね。傷一つついてないわ」


金髪「銀髪、あんたやってみて」スッ



銀髪「私は攻撃魔法とか...あまりうまくない」


男「んじゃあ、俺だな」


金髪「でもあんた、無と回復でしょ?」


男「一応な、やっとく」


男「究極無魔法・トンビ」

男「究極無魔法・肉体強化」


金髪「え」


友人「な! 一気に究極魔法を・・・」


男「これで...こいつを・・・潰す!」ギュッ



男「・・・駄目だ」


金髪「ええ...でも、凄いわね。ちょっと見直したわ」


男「え?」


友人「ああ、魔力たくさんあんだな。疲れもそんな見えないし」


男「ああ・・・」


銀髪「あの・・・」


男「ん?」


銀髪「それってもしかして、カギ開けの魔法なんじゃない?」


男「え・・・あ!」

男「確かに...有り得るな・・・講師は壊せって言ったけど、ようは開ければ良いのかも」


金髪「待って、それだと各班に一人は無属性の使い手が必要ってことにならない?」


友人「・・・それ合ってるかも」

友人「他の班のやつら、属分けや大器晩成で無属性を得てないものの、少しならそれも扱えるはずだ」


男「なら、やってみるか」スッ


切り悪いけど、ここまで

男「位はどのくらいかな?」


友人「たぶん、中級くらいでもいけるんじゃないか?」


男「おーけー・・・中級無魔法・ヒラーク」...


 ...ガシャーン


男「おっ」


銀髪「開いた...」


金髪「やるじゃない!」


友人「どっちかっていうと、バラバラ崩れたって感じだな」


・・・


講師「箱が開いた!? は、早いですね」


講師「まだ...30分も経ってませんが」


男「銀髪が提案したんですよ」


講師「ほう・・・大体皆、壊すと言ったら攻撃的な魔法を使いがちなんですよ。よく気付きましたね」


講師「課題クリアです。休んでいてください...あ、箱壊しのやり方は他班に教えないように」






金髪「一番乗りね」


友人「銀髪のお陰だな」


銀髪「私は...」


男「謙遜することないよ。お前のお陰でクリアできたことは事実なんだから」


金髪「そうね。でも、それよりテントはどうするの?」


男「あ! それなんだけどな・・・」


男「えっと・・・」タタタ


男「ちょっとこっち来て」


友人「何だ?」


男「ほら、この木って再生するから切っても構わないって言ってたよな」


金髪「でも、すぐに再生するから結局テントはれないってことじゃない」


男「なら、何故わざわざそんなことを言ったと思う?」


金髪「え・・・?」


銀髪「...何か意図がある?」


男「そう。例えば根っこごと燃やしたらもう再生はできないんじゃないかな」


金髪「木を燃やす・・・あたしの出番って訳ね」


男「ん・・・でも山火事にでもなったら大変だから、この案は駄目だな。やっぱ」ハア


金髪「う...そうね」


銀髪「・・・逆に凍らすっていうのはどう?」


男「凍らす?」


銀髪「木を切って、切り株から根にかけてを凍らすの」


男「はぁ・・・なるほど」


友人「銀髪すっげェな」


男「ああ、それでやってみるか」



・・・


金髪「木はどうやって倒すの?」


銀髪「任せて・・・」スッ


銀髪「中級氷魔法・アイスロッド」...


銀髪「...これで・・・切って」


男「へぇ、杖の先から氷の刃か・・・って、俺?」


銀髪「私では力不足・・・」


金髪「術者が杖を手放したら、魔法の効果なくなるんじゃない?」


銀髪「そう・・・だから一緒にやってほしい」


男「えっと・・・わかった」


銀髪「じゃあ...」スッ


男「ああ・・・手、握るぞ」ギュ


男(後ろから抱きしめてるみたいでちょっと恥ずかしいな・・・)


銀髪「やはり、逆の方が良い」スッ


銀髪「・・・うん、丁度良い」


男(コレはこれで、後ろから抱きしめられてる感じで・・・)



―10分後―


男「ふぃー・・・切れたな」


銀髪「お疲れさま・・・」


男「そっちこそ」



友人「あ、終わったー?」


金髪「眠たくなってきたわ」


男「何でくつろいでんだよ」


友人「やることないし...それより!」


男「うん・・・銀髪、いける?」


銀髪「ええ。上級氷魔法・氷固め」...


 ピキピキピキ


男「おお! 凍った凍った」


友人「なんか、切り倒されたほうの木は消滅していってるな」


金髪「本当だ、消えていってる・・・え」


男「あれ?」

男「木が・・・生えてる」

男「何でだ。確かに凍ってたのに」


銀髪「...氷で押さえる力を、木の再生力が上回った・・・」


男「そんな・・・」


金髪「ってことは寝れないじゃない!」


友人「まじかよ・・・」


銀髪「・・・もしかしたら、別の意図があるのかもしれない」


男「別の意図?」


友人「どういうこと?」


銀髪「勘だけど・・・夜にまた課題が出るはず」


金髪「? だとしたら、今日は課題で寝れないってことでしょ? 早く終わったなら別だけど・・・わざわざテント持たせる必要あったのかしら」


男「・・・そうか、さっきの箱と一緒か」

男「たぶん・・・箱やこの寝床造りの意味は魔力の無駄な消費」


友人「そうか! 箱壊そうと色々魔法を試したり、木を切ったり・・・」


金髪「ははーん・・・そういうことね」

金髪「この合宿の目的は、正しい判断と、選択ができるかってことが関係してくる」


友人「それとその正しい判断をするための力!」


男(・・・いろいろ心配してたけど、皆まとまってきてる・・・)


金髪「あんたは平気なの?」


男「ん・・・何が?」


金髪「魔力よ」


男「ああ、それは大丈夫」


友人「まじか、タフだな」


男「まぁ・・・この半年間、魔力を底上げしてきたからな」


#15

 「中級無魔法・ライト!」


男「闇の森ってだけあるな。夜になるとほんっと真っ暗だ」


銀髪「ええ。周りには注意して...」


男「わかってるよ」


銀髪「そろそろ1時間・・・連絡してみたら?」


男「そだな、俺たちも動き出そう・・・中級無魔法・テレパシー」


男『・・・どうだ? 見つかったか、SHINOBIは?』


――――――

―一時間前―


講師「時刻は22時。飯は食ったし力も出た」

講師「でも皆の顔には疲労がうかがえるなぁ」

講師「テントは結局誰もはれなかったな」


男(これから課題が出されるのか? 俺たちの予想通りか・・・)


講師「えーま、それは置いておいてね。課題です!」


「えー」

「えー」

「えー」


講師「はい。内容は、最新の魔法科学で作られたロボット、SHINOBIを捕まえること」

講師「SHINOBIはすでに、この森の中を動き回っている。注意してくれ、森は暗いし、木も多いから衝突注意だ」

講師「時間はどこかの班がロボを捕まえるまで。懐中電灯は渡しません。魔法でも使ってください」


「えーえー」

「えー」


講師「文句は受け付けません。では、解散!」

講師「・・・ちなみに! 捕まえたチームは、スペシャル班点をプレゼントします」


「うおおおお」

「きゃあああ」

「よっしゃあああ」



・・・


友人「他の班、すっげー勢いで探しに行ったぜ」


金髪「何言ってんの。あたし達も負けてられないわ」


男「まぁまぁ、リーダー。俺に任せてよ」


金髪「どしたの」


男「これくらいの森なら、すぐに見つけられるよ、SHINOBI」


友人「おお!」


銀髪「...魔力は本当に大丈夫なの?」


男「ああ、言ったろ。じゃ・・・上級無魔法・レーダー・・・」ピピ

 ------
 ------
 --..

男「・・・他の班のやつらが、まだ俺たちの近くにいるとして・・・」

男「それを除いても、反応が二つある。一つはあっちの方向・・・もう一つはあっちだ。」


金髪「本当? そんなことまでできちゃうんだ」


男「ふぅ・・・無属性は万能なんだよ」

男「ぅーどうする? 二手に分かれるか」


金髪「そうね。片方は男、もう片方はあたしが」


友人「ん? どうしてそんなわけ方なんだ?」


金髪「バカね。明かりが必要でしょ」


友人「あぁ...」


男「じゃあ、残りはじゃんけんで決めるか。知ってるだろ? じゃんけん」


・・・

友人「何故、こいつとペアなんだー」


金髪「・・・」ジロッ


銀髪「よろしく...」


男「おう。じゃあ行くか」


金髪「待ちなさい。あたしらが先に行くから、そっちはここに居て」


男「なんで?」


金髪「レーダー役が必要でしょ。テレパシーだっけ、使えるんでしょ? それで的の居場所を教えて頂戴」






男「別に動きながらでもいけるけど?」


金髪「別にいいわよ。こっちで片付けるから」


男「そうか・・・でも・・・ま、いいか」

男「それじゃあ、頼んだよ」


・・・

―10分後―


銀髪「そろそろ...」


男「ああ・・・上級無魔法・レーダー」ピピ


 ------

男「あ・・・駄目だ。他の班のやつらが奥まで行ってるから、散らばってどれがどれだかわからん」


銀髪「・・・」


男「・・・やっべ」


銀髪「...れ、連絡してみたら?」


男「そうだな・・・中級無魔法・テレパシー」

男『・・・あ、どこにいっ! わかった。わかった!』ブツ


銀髪「どうしたの?」


男「今それっぽいやつ追いかけてるから邪魔するなって・・・一時間後には戻るからそれまで連絡無用、だそうです」


銀髪「・・・それ言ったの金髪ね」


男「うん・・・」


――――――




銀髪「どう?」


男『んー・・・友人が出ない』


銀髪「・・・何かあったんじゃ...」


男「金髪にやってみる」

男「中級無魔法・テレパシー」



・・・

金髪「はぁっはぁっ」ダダッ

金髪「何よ・・・あいつはっ」ダッ


_あのー・・・金髪? 今どう・・・_


金髪「これ...男の・・・」


_ん? 走ってるのか? まだSHINOBI捕まえてないの?_


金髪「! それどころじゃ・・・友人が...殺された!」


・・・


男「ごほっ!? ・・・! 逃げろ! すぐに行く...」


銀髪「何かあったの・・・?」


男「友人が...殺されたって」


銀髪「・・・え」


男「SHINOBIは化け物だって・・・」

男「わかんねぇけど・・・今、大変なことになってる」


切り悪いけどここまで


金髪と男をわけたのは

金髪は火魔法で明かりを、男は無魔法で明かりを生むためね

・・・

銀髪「!」ゾクッ


男「・・・」ゴゴ

-------------
-------
--


男「・・・妙だな...レーダーで感じる反応が次々と消えていってる」ダダッ

男「この探知魔法はものがある程度の力を持ってないと反応しないんだ・・・」


銀髪「・・・つまり、本当に死んだってこと?」タタッ


男「...もしかしたら、だけど」


銀髪「次々消えていってるってことは・・・」


男「SHINOBIが他の班の人も襲ってるってことだ」

男「・・・よし、敵の位置は大体掴めた。今、誰かの反応が消えたところがある...SHINOBIが消したってんなら、そこらへんにいるだろ」


銀髪「そうね・・・」


男「中級無魔法・テレパシー」


男『金髪、炎を上空に打ち上げてくれ』

男『・・・ああ、大丈夫だから』


男「・・・」


銀髪「! あそこに火柱が!」


男「ああ、あっこに金髪がいるとして・・・さっきのレーダーの情報と合わせると...SHINOBIは金髪を狙っている訳じゃないな」


男「やっぱり機械の故障か・・・暴走か・・・...友人は本当に・・・」


銀髪「...ねぇ。火柱が上がったところとは別方向に進んでいるようだけど」


男「...SHINOBIを止めないと、もっと被害が増えるだろ」


銀髪「・・・そぅ。でも、今は彼女の方へ向かうべきだと思う」

銀髪「さっきの火柱で、彼女のいる場所を敵にも知らせてしまったから」


男「え・・・相手はロボットだろ? わかるのか・・・」


銀髪「念のため・・・」


男「...そうだな」

男「もう一度レーダーで調べて見るか」


銀髪「今はあまり魔力を使うべきではない・・・」


銀髪「SHINOBIを止めるんでしょ?」


男「・・・そうだな」


・・・


金髪「あ!」


男「悪い・・・」


金髪「遅かったじゃない...」


銀髪「何があったの?」


金髪「あ・・・」

金髪「...あたしと友人とでSHINOBIを探してたら、いきなりあいつが出てきて・・・たぶん、風魔法で友人の心臓を貫いたの・・・」


男「・・・それは確かなのか?」


金髪「目の前で見たのよ・・・?」


男「・・・」


 カサッ


 ヒュンッ!


銀髪「あぐっ・・・」ザクッ


金髪「え」


男「なっ!?」

男「これは・・・カマイタチ...」

男「金髪!」


 ヒュンッ


金髪「っが・・・」ザクッ

金髪「ぉ・・・男」


男「ふ...二人とも・・・」


男「っく...どこにいる! 出て来い!」




男「・・・」

男「何てな...っち。気分の悪い幻術だ」

男「上級無魔法・幻術解除」


・・・


忍「・・・」


男「お前が、SHINOBIか」

男「っち」タタッ


男「平気か?」


金髪「う・・・今の...幻術だったの?」


男「ああ。もう解いたから大丈夫だ」


金髪「あいつ! ・・・友人を殺した・・・」


男「落ち着け、もしかしたら友人とお前が幻術にかけられていただけかもしれないぞ」


銀髪「・・・なるほど、友人や皆は幻術で昏睡状態になってレーダーから消えたのね」ムクッ


男「そういうことだ」

男「大体、最新のロボットなら暴走したときようの機能停止システムやらなんやらあるはずだろう」


金髪「だとしたら、こんなの悪趣味よ! 仲間を殺される幻術なんて」


男「・・・それが3Aの特別クラスってことなんだろ。胸糞悪いけど」


忍「お前らさっきから何の話をしている?」


男「・・・声までナチュラルなんだな」

男「お前を捕まえて、全て終わりだ!」ダッ


男「上級無魔法・肉体強化,硬化」スッ


忍(一度に二つ・・・)

忍「なるほど」ニヤッ


男「ふっ」シュッ

忍「・・・」サッ


男(かわされた・・・しかもすごく素早い・・・)ダッ

男(ここは距離を取って・・・)ガッ


男「投石!」ブンッ


忍「・・・」パシッ

忍「本気で来いよ」


男「っへ。口だけは立派なことで」ダッ


男「・・・は?」ブシュッ

男「うっ...」ドタッ


金髪「男!?」


銀髪「・・・」


男(何だ・・・今の...)

男(まるで・・・火と水と雷と風魔法を一気に叩き込まれたような・・・)


忍「火と水と雷と風の魔法をお前の腹にぶつけたんだ」


男「!?」


金髪「な、何者なの・・・一度に四つの魔法を使ったって訳?」





男「ぐふっ・・・驚くべきは「そこ」じゃないぜ」ググッ


男「今のが魔法だとして・・・どうして詠唱も杖もなしで魔法が使える・・・!?」


男(・・・前に見たホムンクルスと同じ技術か?)


男「まぁ良い。てめぇが人に危害を加えるロボットだってことだ」


忍「忠告はしたはずだぞ。本気でこい、と」


・・・・・・


「先生ー」


講師「おっ。SHINOBIを捕まえましたか」


「はい! でも・・・うちの班の何人かが気絶してるんですよ」


講師「気絶?」


「はい・・・この最新の小型ロボット、SHINOBIを捕まえた帰りなんですけど、いきなり倒れて」


講師「・・・寝不足だったのでしょうか」


「いや・・・あの...それだけではなくてですね」


講師「うん?」


「他にも気絶している人がいて・・・僕が見た限りでも、10人は倒れてました・・・」


・・・・・・


男「っけ。究極無魔法・トンビ」

男「中級無魔法・耐熱,耐風,耐電,耐水」


男「・・・」フラッ

男「っく(流石に魔力を消費しすぎたか)」ダンッ


金髪「ぉ、男!」


男「・・・なんだ」


金髪「あたしも戦う!」ググッ


男「無理すんな・・・まだ動けねぇくせに。・・・こっちは大丈夫」


忍「それがお前の本気か?」


忍「...笑わせる」


 ビュオオオオ...!!


銀髪(無数の小さな竜巻・・・くる!)


男「っく・・・中級無魔法・スピッド」シュン



忍「瞬間移動か。・・・その技は戦いにおいて、使うべきものではない」


 ザクザクザク!


男「ぐああは!?」


金髪「きゃ・・・」


男(なんっ・・・)


男「っき、究極回復魔法・エンゼル」パアア


男「っふ・・・はぁはぁ・・・」

男(今のはソリッド・・・一度にあんな大量に...)


 パッ


金髪「あ・・・(明かりが消えた...)」


男「っく...(ライトを維持する魔力もねぇか・・・)」


忍「魔力切れか? それともわざと明かりを消したのか?」


男(どうする・・・一か八かでスピッドで後ろに入り・・・駄目だ。魔力overでリバウンドがきちまう)


男「・・・(ん?)」


忍「何をする」


「あなたはやり過ぎた」


男(銀髪の声か?)


「これでは台無しだ」


忍「・・・わかった」


男(SHINOBIと話しているのか? 台無しって・・・)

男「金髪! 火で明かりを!」

 パッ

忍「・・・眩しいな」



すません

今日はここまでで

忍とSHINOBIは違うからね

男「え・・・」

男(銀髪は金髪の隣にいる・・・?)


忍「お前の力はよくわかった」クルッ


男「待て! どこに行く?」


忍「・・・帰る」タッ


「待て」

講師「逃がしはしないぞ」


忍「・・・」


男「講師?」


講師「君は一体何者だ?」


男「何を言って・・・(ロボットじゃないのか?)」


忍「もう用は済んだ。これ以上は無駄だ」


講師「用だって? ふざけるな・・・」


忍「そこをどけ」

忍『どけ』


講師「!?」ググッ


男(マインドコントロール!?)


忍「じゃあな」タタッ


講師「っう」フラッ

講師「大丈夫か?」タタッ


金髪「大丈夫よ...友人は?」


講師「ああ・・・気絶しているようだけど、命に別状はなかったよ」


男「先生...あいつはロボット...SHINOBIですよね?」


講師「いや・・・SHINOBIは小型のロボットだ。あんなのじゃない」


男「は・・・?」

男「ってことは、あいつは詠唱も杖も用いずに魔法を使ったってことか...」

男「そんなこと・・・」





講師「人は基本的に魔法を使うのに杖や詠唱が必要だが、トップクラスの魔法使いとなるとそれも必要なくなる」


銀髪「魔人」


講師「うん?」


銀髪「あれが魔人だったら、杖も詠唱もなくトリックは使える」


講師「まさか・・・」


男「なぁ...」

男「お前、ずっとそこに居たか?」


銀髪「・・・? 私はずっと動けずにいた」


男「・・・だよな」


・・・
・・・
・・・

―翌日―



金髪「友人!!」タタッ


友人「うおっ」

友人「まだフラつくんだからやめろよ!」


講師「これでは合宿は中止ですね」


銀髪「でも皆無事で良かった」


講師「そうですね。幸いでした」







男「はぁ・・・」


男(あんなに努力して魔力を上げても・・・あいつには歯が立たなかった)


男「くそ・・・っぶ!?」ベチャッ


男「っべ! ・・・新聞かよ」

男「ったく。ちゃんとゴミ箱に捨てろよな」グシャグシャ


男「・・・」テクテク

男「よいしょ」ガシャッ

男「ゴミはゴミ箱へ・・・さて、帰るか」テクテク



 イギリス新聞

[イギリス一の占い師・占い婆、何者かの手により殺害か!?]


先日、占いの館に住む占い師……


#15.5


 合宿から一週間後


―昼休み―


友人「どうだい、調子は?」


男「うーん、悪い」

男「大体、大器晩成もしてねぇのに、どうやって火魔法とか使うんだよ」


友人「コツが掴めないってか? まぁ俺たちは一年生のときからやってるからなぁ」


男「くっそ...このままじゃ留年だぜ」


友人「まだ早いだろ、ハハ」


金髪「ちょっと、しっかりしてよね。同じ班なんだから」


男「わかってるよ」


金髪「せっかくあんたのこと、ちょっと見直してるんだからさ」


男「俺の評価、そんなに酷かったの!?」







―校長室―


総帥「合宿の前の日に?」


講師「はい。その日に占い婆のところを訪れたんです」

講師「先日の合宿での事件を考えると・・・」


総帥「あの人にそう言われたのか・・・惜しい人を亡くしたな」


講師「はい・・・」


総帥「嵐の予感ねぇ?」


講師「はい。あの男という生徒を中心に事件が勃発する・・・」


総帥「ふむ、今日は天気が悪い。こんな日にこそ何か起きそうだな」







男「ん? 何か感じないか?」ビリ


金髪「何かって?」


男「こう・・・胸が圧迫されるような...」


銀髪「・・・感じる」


友人「疲れてんじゃねー・・・」


 ドオオオンッッ!!


・・・

総帥「な・・・ぁ」


講師「ちょ...何ですか、今の揺れは・・・」


総帥「こっちに来てみろ・・・」


講師「え? はい」テクテク


講師「!?」


・・・


男「いってぇ・・・地震か?」


友人「ぉ男...窓の外・・・」


男「ん・・・」テクテク


「ゴワァアアアアッ」


男「これは・・・」

男「ドラゴン...」


ドラゴン「ゴアアアア!!」


校内アナウンス「生徒の皆さんは直ちに聖堂へ集まってください」

校内アナウンス「先生方は校長室へ・・・」



―聖堂―


総帥「落ち着いてよく聞いてほしい」


総帥「今、外にドラゴンがいる。先ほどの揺れはそのせいだ」


「大丈夫かよ・・・」

「ドラゴンだって?」

「何でこんなところへ...」

総帥「落ち着いてくれ」


総帥「今は先生方がなだめているので、ドラゴンは落ち着いている」



友人「あれ? 男は?」


金髪「え? ・・・」


銀髪「いない...」


友人「は...あいつ、まさか」


・・・

―グラウンド―


男「でっけぇ・・・」


男「赤龍か・・・」


赤龍「ゴアアァァオ!」


「駄目だ!」

「一旦離れろ!」

「強力すぎる・・・」


男「あのドラゴン...酷く傷ついてるな・・・」


赤龍「ゴアア・・・」チラッ


男「ん? (目があった・・・)」


赤龍「うおお・・・」ブルブル


男「は?」


赤龍「うおおおお!」ブオオオオ


「離れろ! 火を吹いたぞ!」

「待て、火の方向に誰かいる!!」


男「なっ・・・究極無魔法・耐熱!」...


 バチイイイ

男「うわあああッ」ゴロゴロ...






・・・

「おい! 無事か!?」


男「あ...何とか・・・火傷はないっす」ヨロッ


「○先生! ドラゴンが!?」

「なっ。これは・・・」


男「え?」


龍女「zz・・・」


・・・
・・・
・・・


―校長室―


講師「何て無茶をするんですか!」


総帥「まぁまぁ。無事だったしいいじゃないですか」


男「すみません・・・」


総帥「それで? ドラゴンが君に向かって火を吹き、その後にドラゴンは人になっていたって言うのは本当なのか?」


男「はい、眠っていたように見えました」


総帥「ふむ...ドラゴンが力を蓄える際に人に変化するというのは耳にしたことがある」

総帥「つまり、今、地下室に入れてある人はドラゴンということだな」

総帥「何か変わったことはあるか?」


講師「いえ・・・未だ眠りについています」


総帥「ふぅむ」


男「あの・・・」


総帥「まぁ・・・今日は休むといい」


男「・・・はい」

男「失礼しました」ガチャ



友人「男!」


金髪「大丈夫だったの!?」


男「ああ・・・」


銀髪「本当にドラゴンは人に変化したの?」


男「そうだ。この目で見たんだから」


友人「ったく。お前いっつも無茶してんな。知り合って一ヶ月も経ってないけど」


男「ああ・・・ごめん。ちょっと休むわ」テクテク



・・・




―数日後・昼休み―


校内アナウンス「3Aクラスの男君。至急校長室まで来てください」


男「?」


友人「何かあったんじゃねーの?」


男「・・・ドラゴンか」



―校長室―


男「どうしたんですか?」


総帥「ああ・・・結構前にドラゴンが眠りから覚めたというのは伝えたよな」


男「ええ。大人しくしてるんですよね」


総帥「そうだ・・・喋らず、飯も食わずな」


男「え?」


総帥「このままではまずい...何とかしないと・・・そこで、君にお願いがあるんだ」

総帥「地下牢でドラゴンに会ってくれないか?」


男「・・・はい」


―地下牢―


男「ここが・・・(空気が重いな)」


総帥「もし、襲ってくるようなら私が力ずくでおさえよう」

総帥「そろそろだぞ」



龍女「・・・」


男「・・・やぁ」


龍女「!」パア


総帥(笑った?)


龍女「男!」タタッ


 ガシャンッ


男「喋った・・・」


総帥「人語を理解するのか...」


男(普通のかわいい女の子って感じなんだけどな・・・)


龍女「ずっと会いたかった・・・」


男「俺とか?」


龍女「うん!」


総帥「君は何者なんだ? どうして学校に来た? 普通、ドラゴンなんて位の高い魔物はここらにはこないだろ」


龍女「・・・」


総帥「・・・どうやら、私の質問には答えないらしい」


男「あぁ...お前は誰なんだ?」


龍女「私は龍女だよ!」


男「そうか。じゃあ龍女、どうしてご飯を食べないの?」


龍女「だって、毒でも入ってたら死んじゃうでしょ?」


男「ああ・・・龍女は賢いんだな」


龍女「えへへ」


総帥「おい、流暢に話してる場合じゃないぞ」



男「はい・・・どうして学校に来たの?」


龍女「んー? 秘密!」


男「えー・・・教えてよ」


龍女「ん・・・じゃあ、キスしたら教えてあげる!」


男「...はい?」

男「・・・それは、できないかな」


総帥「・・・してもいいんだぞ」


男「え・・・」


龍女「冗談だよーー?」


男「と、とにかく、ご飯はちゃんと食べろよ?」


龍女「う・・・男が言うなら・・・」


男「なぁ、どうして俺の名を知ってるの?」


龍女「もう! さっきから質問ばっかり、もう答えないもん!」


男「あ...ああ、悪かったよ」

男「総帥」


総帥「そうだな。ひとまずここまでにしよう」



―校長室―


総帥「彼女は何故か君になつくようだな」


男「はい...普通の人って感じでしたね」


総帥「何か接点はないのだろう?」


男「はい・・・まさかドラゴンの時に火を吹いてきたのは、じゃれてきた。っていうのはないですよね?」


総帥「・・・先ほどの様子だと、それも有り得るかもな」


男「そんなぁ」


&&&&&&&&


「赤龍・・・機嫌直せよ」


赤龍「嫌だ...痛い」


「悪い・・・ちょっと魔法に失敗しちまって」


赤龍「あなたでも魔法に失敗するんだね」


黒龍「おい、口に気をつけろ」


赤龍「だって痛いんだもん!」


「すぐに治してやるから・・・あ、良い事思いついた」


赤龍「いいこと?」


「ああ。赤龍が会いたがっていたやつに会わせてやるよ」


赤龍「本当!?」


「本当だ。すぐに飛ばしてやろう」


赤龍「やったぁ! [ピーーー]大好き!」


「ふふ・・・」


&&&&&&&&


龍女「ん・・・夢か」


龍女「そうだ・・・[ピーーー]にも会わせてあげたいな」




#16

―数日後・放課後―


友人「男ー。寮行こうぜー」


男「ごめん、補修あるんだ」


友人「は? かかったの? らしくねーな」


男「んー・・・」

男「ま、先行っててくれよ」



・・・
・・・
・・・


「火属性魔法というのは・・・」


男「・・・」ボー


男(何か最近思い出すんだよなぁ・・・)


男(神様に連れられこっちに来て・・・いろんな人に出会って・・・魔法やさまざまな出来事...)


「こら、男君。集中しなさい」


男「...すみません」



―地下牢―


赤龍「うーん・・・絶好の...破壊日和だ!」


 ドシャアアアン!!



・・・


総帥「! この力は・・・」


・・・


赤龍「ゴアアアア!」ガシャンガシャン

赤龍「アアアアア」






男「・・・龍女?」


校内アナウンス「せ、生徒の皆さんは急いで避難してください!」



ここまでな

男「あいつ・・・」タタッ

男「おい!」


赤龍(男、みーっけ)ニヤッ


 ガシッ


男「うぐっ(掴まれた? 全然見えなかった・・・)」

男(真っ暗だ・・・龍女の手の中かな)


・・・


校内アナウンス「全教員に告ぐッ直ちに戦闘の用意をしろッ」


講師「これは総帥の声か・・・」


 ザワザワ

「何が起きたんだ?」

「この前のドラゴンが暴れてるんだって」

「怖ーい」


「? ねぇ、そのドラゴンってあれのこと?」


・・・


男「初級無魔法・テレパシー」

男『おい、聞こえるか? 何してんだよ』


龍女(魔法? 凄いね・・・これでお話できるじゃん!)

男『お前...自分が何してるのかわかってるのか』

龍女(!)

龍女「ゴアアアアアアアアア!」


男「っう、何だ・・・」


龍女(男...行くよ)バサッ


・・・
・・・
・・・


―屋上―


講師「総帥! 何故こんな場所にいるんですか!」


総帥「・・・」


講師「あの赤いドラゴン。逃げちゃいましたよ・・・飛んで行きました」




総帥「:赤い:ドラゴンか」

総帥「そんなものは放っておけ」


講師「はい?」


総帥「・・・下を見ろ」


―グラウンド―


魔物1「黒龍様、この結界...中々頑丈です」

魔物2「びくともしません」


黒龍「下がっていろ」


・・・


講師「な、なんですか・・・あれは」


総帥「誰かがやつらごと魔法でこっちに持ってきたのだろう」


講師「そんな...やつら魔人ですよね!? 軽く200体はいますよ! ・・・それを動かしてくる魔法使いなんて」


総帥「構えろ・・・結界が破られる」



黒龍「さぁお前ら! 暴れるぞぉ!」




―二時間後―


男「!」バッ


男「どこだ...ここ」


龍女「目が覚めた?」


男「お前...」ガシッ

男「どういうつもりだ!?」


龍女「...苦しいよ。離して」


男「隙間から見えた・・・あの魔物の大群は何だ! どうして学校にいた?」


龍女「知らないよ...ただ、利用されたのかも」


男「は?」


龍女「私があなたをあの人のところへ連れて行こうとしたのを・・・見計らって、学校を襲撃させた」

龍女「たぶん、全てはあなた...男を傷つけさせないため」


男「何を言って・・・あの人って、だれだ?」


龍女「それは教えれない」


男「ふざけるな! 俺を傷つけさせないにしても・・・少なくとも...大切な人が傷ついたら、俺は悲しむ」


龍女「ごめん・・・あの人はあなたのことをとても気に入っている」


男「頼むよ・・・教えてくれ。誰があんなことをしたんだ」


龍女「・・・」


龍女「全ての魔人の頂点に立つ人...だよ」



・・・


―学校―


 ザアアアアア


黒龍「いい加減...このうるさい雨を止めてはどうだ?」


総帥「・・・流石は、ドラゴン族だ」

総帥「私の杖を破壊するとは・・・」


黒龍「ああ...それだよ。人間は杖がないと魔法を使えないんだろ?」



総帥「舐めるな...杖など魔力をうまく扱うための道具にすぎない」

総帥「究極水魔法・水龍」...


水龍「...」

黒龍「ほう」


黒龍「流石は青竜だ」


総帥「! どうしてその名を知っている!?」


黒龍「あの方から聞いたのだ」


総帥「・・・ああ。そういうことか」


総帥「やはり、生きていたのだな」


総帥「白虎・・・いや、魔神は」


黒龍「その名を呼ぶか...」


総帥「おかしいとは思っていた」

総帥「青竜・朱雀・玄武・白虎はこの魔法界のバランスを保つ存在だからな」


総帥「やつが100年ほど前の戦争で死んでいたのなら、もっと世界のバランスは壊れているはずだ」


黒龍「フハハ、もう時間稼ぎはよかろう」


総帥「時間稼ぎ・・・何のだ?」


黒龍「気付いてないのか? この学校の長ともあろうものが...」

黒龍「生徒が一人、欠けておるだろう」


総帥「! ...そうか・・・男だな」


総帥「何故お前らは彼を狙う?」


黒龍「俺は知らねぇよ」ッグッ


水龍「」ゴッパアアン


黒龍「もうお前の時代は終わりだ」


総帥「・・・私が青竜であることを知っているのに、殺そうとするか」


黒龍「世界のバランスなど、あの方一人で十分にまかなえる」


黒龍「時は来たのだ」


総帥「愚かな」


講師「そのドラゴン以外の魔人は全員倒した! 生徒も非難済みだ!」


総帥「そうか! よくやった。講師も逃げろ!」


講師「・・・わかった」



総帥「さぁて。こっちも時間稼ぎは出来た」

総帥「そちらの魔人が邪魔をするお陰で、生徒を非難させるのに時間がかかったよ」


黒龍「ッハ・・・禁術を使う気だな」

黒龍「俺はあの方の力で守られている。そんなことは無駄だ!」


 ドオオオオン!


総帥「闇魔法・・・(究極魔法以上の破壊力・・・)」


総帥「講師!」



講師「自分の身くらいは自分で守れてます」ボソッ



総帥「良かった・・・」ホッ


黒龍「あーあ。校舎は半壊だな。学校と呼べねえな」


総帥「お前は許さないぞ」ゴゴ...


黒龍「許さない、か」


総帥(・・・あそこまで逃げれば講師も大丈夫だろう)


総帥「っふ!」ドンッ


黒龍「っつ」ビリッ

黒龍(馬鹿でけぇ魔力のオーラ・・・)

黒龍「おもしろい・・・」


黒龍「受けてたってやる! 俺の闇の力とどっちが上か!」キュウウウ


総帥【暗術水魔法・ディスペイント】


 バシュウウウ



黒龍「」


総帥「あまりに危険すぎるが故、歴史からも忘れ去られたとされる技だ」


総帥「大地さえも、全ての生き物も・・・自分以外は全ての水分を奪い取られる」


・・・
・・・
・・・


男「全ての頂点・・・か」

男「たいしたやつだな」


龍女「魔法も凄くうまいんだよ」


男「人を傷つける魔法か」


龍女「そんな・・・」


男「まぁいい...ところでここはどこだ?」


龍女「ここは・・・ドラゴンの憩いの場」


―〔龍の息吹〕―


男「・・・そうか。もう十分休んだろ」

男「俺を学校に戻せ」


龍女「駄目だよ。まだ魔人が暴れてるかも」


男「だから戻るんだろーが!」


龍女「弱いくせに正義感は強いんだね」

龍女「・・・あ」


男「...」


龍女「ごめんなさい・・・」


男「いや...」

男「確かにそうだ。俺が行けばなにか変わるわけでもないだろう」


龍女「・・・」


男「一つ聞かせろ」

男「お前はあの人ってところへ俺を連れて行こうとしてるんだろ?」


龍女「うん・・・」


男「魔人の頂点だろ?」


龍女「...うん」

男「なるほどね。よし、行こう」


龍女「・・・暴れたりしないでね」

龍女「あの人は、例えお気に入りでも殺しかねない」


男「物騒なこと言うなよ」


緑龍「もしかして、赤龍?」


龍女「・・・緑龍ちゃん?」


緑龍「そうだよ! 久しぶり!」


龍女「っふ」

 ドオオオオン


赤龍「本当・・・久しぶり」


男「お...い? いきなり化けるな」ゴホゴホ


赤龍「ごめーん」


男「早く連れて行けよ」


赤龍「うん・・・じゃあね。緑龍ちゃん」


緑龍「待って・・・裏切り者」


 ヒュドドドドドドッッ


赤龍「・・・え」


男(無数の矢...)


男「! おい、おい! 龍女」


 ボンッ

龍女「どう...して?」


緑龍「我ら龍は気高き存在...人など襲ったりはしない」

緑龍「なぜ魔人になった?」


龍女「ぅうう・・・」



緑龍「答えろぉ!」


男「待てよ! お前ら仲間じゃないのか!」


緑龍「仲間? っく...っくっく」

緑龍「人間は・・・やはり、愚かだ!」


 ザッザッザ


竜人1「・・・」

竜人2「・・・」

竜人3「・・・」


男「お前らが矢を打ったんだな」


男「上級回復魔法・ライフ」パアア


龍女「っふ...ふうぅ」


緑龍「! 何故助けた? そいつは魔人だろう」


男「俺の勝手だろうが」


緑龍「・・・傲慢なやつめ」

緑龍「裏切り者を庇うというのなら話は別・・・その人間を打てぇ!」


 ヒュドドドドド


・・・


男(何だこの感じ・・・前にも感じた...)


男「似てる・・・あの時と」ボソッ


男「風獣」



毒龍「騒がしいぞ」


緑龍「な、毒龍・・・どうしてここに...」

緑龍「お前は世界一の監獄に投獄されたろう...?」


毒龍「あの程度・・・」

毒龍「それよりも、だ。黒龍が死んだ」


緑龍「黒龍? はは、そうか。やつも裏切り者だ」


毒龍「時代は変わっている。邪魔なのはお前だ」ッス


緑龍「っが!?」


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