ジャン「俺達の反撃はここからだ!!」 (114)
※原作で、ウトガルド城の話が終わったとこくらいから始まります。
ネタバレ注意。
マルコは生存。ジャンは憲兵団に所属。
原作とは違う展開になります。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391913011
あと、リヴァイ班は生存、アニは原作通り捕まっています。
憲兵団 男子寮
マルコ「ジャン、いつまでも寝てるんだ、そろそろ起きなよ。」
ジャン「…ん、おう、おはようマルコ…」
マルコ「…最近、疲れてるようだね。」
ジャン「…あぁ、まぁな。」
―――憲兵団に入って1ヶ月以上は経った。
予想はしていたが…本当にこの組織は腐っている。頭の悪い上司に毎日のようにイライラさせられる。
そして…ついこの前、アニが巨人だという事が突然発覚した。壁内での捕獲作戦では俺も協力したが…
まさか同期が人類の敵だったなんて。
…憲兵団に入ってから、色々な事がありすぎた。
マルコ「…アニの事は僕もショックだった。疲れるのも仕方ないね。」
ジャン「あぁ…。だが兵士である以上は、そんな事は言ってられねぇな。」ガバッ
マルコ「そうだね。…そういえば、ジャンのお母さんから手紙が来てたよ。」
ジャン「そうか、後で見とく。」
マルロ「おい、ジャン、マルコ!!」バタン
ジャン「マルロ、どうしたんだ?」
マルロ「…お前らの同期の多くは調査兵団に行ったんだよな?」
マルコ「…そうだけど。」
ジャン「それがどうしたってんだ?」
マルロ「…今日の新聞だ…見てみろ。」
ジャン「………」
ジャン「…は?」
「調査兵団が壊滅。団員の9割以上が死亡。その中にはエルヴィン団長やリヴァイ兵士長も。」
内地の診療所
ジャン「…生き残った団員はこの診療所にいると聞いたが。」
マルコ「…心配だから、早く入りたいけど…怖いよね…」
ジャン「…あぁ。」
ジャン(俺達の同期はどうなったんだ…知りたいが、知るのが怖い…)
マルコ「行こう。ジャン。」
ジャン「あぁ…」
―――そして、俺達は調査兵団の生き残りが治療を受けている部屋に入った…
軽傷の者との面会は許された。
ジャン「…あれは、クリスタ!」
クリスタ「…」
ジャン「おい、クリスタ…良かった、無事で…」
クリスタ「…」
マルコ「…クリスタ…?」
クリスタ「…私のせいだ……私のせいで…」
ジャン「おい…どうした?」
マルコ「ジャン、やめておこう…」
ジャン「…あぁ。」
アルミン「…マルコ、ジャン、久しぶりだね…」
マルコ「アルミン!」
コニー「………」
ベルトルト「…」
ジャン「コニー…ベルトルト…」
ジャン「…なぁ…アルミン。」
アルミン「…」
ジャン「他の同期は…エレンやミカサやライナーやユミルは…どうしたんだ?見当たらないぞ…おい。」
アルミン「…」グスッ
アルミン「う…ぅぐっ…」ポロポロ
マルコ「まさか…」
ジャン「…嘘だろ…」
アルミン「…みんな…しん…じゃった…」
ジャン「…嘘だ…」
アルミン「エレンも、ミカサも、ライナーも、ユミルも…」
アルミン「…サシャ…はウォール・ローゼに巨人が発生した時から行方不明になってる……」
アルミン「でも、全く帰って来ないって事は………たぶん……」
ジャン「………っ!!」
アルミン「エルヴィン団長や、リヴァイ兵士長や、ハンジ分隊長も…」
コニー「………」
ベルトルト「…」ブルブル
ベルトルト(僕は…どうしたらいいんだ…。アニは捕まって、ライナーは…しんでしまった…。)
ベルトルト(もう…僕は…何をしたらいいのかわからない…)
マルコ「…何で…そんな事に……」
コニー「…ジャン…マルコ。」
コニー「お前ら何か知ってないのか?」
ジャン「え?」
アルミン「…」
コニー「…みんな…」
コニー「憲兵団の服着た奴等にころされたんだぞ!!!」
ジャン「!!?」
マルコ「なんだって…」
ジャン「どういう…事だよ…」
マルコ「新聞では、巨人に食い殺されたって…」
アルミン「…それは嘘だよ。真実が漏れないように隠したんだ。」
コニー「なぁ!お前ら本当に何も知らねぇのか!?」
ジャン「…すまん…全く、知らなかった。」
マルコ「うん…ごめん。」
コニー「………」
コニー「いや、俺こそいきなり悪かった。二人だって辛いだろうに…」
ジャン「…なぁ…アルミン。何があったんだ?辛いなら話さなくてもいい。」
クリスタ「……私がいなければ……」
マルコ「クリスタも…どうしちゃったんだ…」
アルミン「…話すよ。」
アルミン「…今から3日ほど前、調査兵団はウォール・ローゼに巨人が発生したという報告を受けた。」
ジャン「…その話はこっちにも入った。結局どこにも穴はなかったそうだな。」
アルミン「うん。いくつかの班に分かれて行動していてね…それで、僕の班には先輩四人、ライナー、ベルトルト、ユミル、コニー、クリスタがいた。夜になって、とりあえず他の班と合流して帰ろうと思ったけど…近くに使われてない城があったからそこで休むことにしたんだ。」
コニー「おう。それで…いきなり巨人が襲って来てよ。先輩方はみんな食われちまった。ユミルが…巨人になって何とかしてくれたがな…」
ジャン「ユミルも巨人だったのか!?」
アルミン「うん。」
アルミン「で…日が出てきたから僕たちは合流地点まで行くことにしたんだ。」
ジャン「…」
アルミン「そこには僕ら以外の班がみんな集まっていた………けど……」
コニー「…」
ベルトルト「…」
クリスタ「…」
アルミン「そこには団員が憲兵団にころされている光景があった。」
マルコ「そんな…」
ジャン「待て!調査兵団は戦闘のプロの集団だろ!?それに、リヴァイ兵士長やミカサだっていたはずだ…たかが憲兵団にころされるなんておかしくないか!?」
アルミン「…」
アルミン「…調査兵団内にね、憲兵団に買収されてスパイとして紛れ込んでいた者がいたんだ。」
アルミン「そいつはその日の皆の食料に毒を入れていた。」
ジャン「…」
アルミン「そして、前の日の疲れと毒で弱ったところを憲兵の集団に殺されたんだよ。」
マルコ「な、何でそんな事をしたんだ!?」
アルミン「…エレンとクリスタを捕らえるためだ。結局、エレンもしなせてしまったみたいだけどね…」
ジャン「…なんでクリスタまで捕らえるんだ?」
アルミン「…クリスタは、本当はレイス家という貴族の娘なんだ。そして、この世界の秘密に近い人物だからだろう。」
クリスタ「…」
アルミン「僕たちはすぐに助けに向かったよ…でも、こっちは数で圧倒的に不利だった。。」
アルミン「そして、クリスタは憲兵に一度捕まった。ライナーが助けに向かって行ったけど、助けた後、その時に後ろからやられた…」
ジャン「…」
ベルトルト(あの時、ライナーの体は巨人の力で再生されなかった。…心が完全に兵士になってしまったからだろうか…)
アルミン「そして、ユミルは巨人になって生き残った僕らを連れて内地まで逃げたんだ。」
クリスタ「…」
アルミン「ユミルは急いで逃げる為に憲兵に攻撃されても耐えてずっと走り続けた。」
アルミン「ユミルのおかげで内地まで逃げて来れた…けど、ユミルはずっと憲兵に攻撃されていたから…その場で力尽きて、そのまま…」
マルコ「…」
ジャン「…くそっ、何て事だ…」
アルミン「…サシャも…未だに行方がわからない…」
アルミン「みんな…うぅっ…」グスッ
マルコ「…ジャン、ナイル団長に聞いてみよう…何か知ってるかも知れない。」
ジャン「あぁ…」
ミケ「いや、ナイル団長でも知らないだろう…」
ジャン「!」
アルミン「ミケ分隊長!体は大丈夫ですか?」
ミケ「昨日よりはマシになった。」
マルコ「ナイル団長も知らないって…どういう事ですか?」
ミケ「奴等は恐らく…中央第一憲兵団だ。」
アルミン「聞いた事はある…憲兵団とはまた違う組織らしいけど。」
エルド「やっぱりそうか…ミケ分隊長…」
オルオ「…クソッタレ共が…」
ペトラ「…そいつらが、リヴァイ兵士長やエレンや皆を…」
アルミン「リヴァイ班の皆さんも…」
グンタ「ここまでされていつまでも寝てる訳にはいかんからな。」
モブリット「…早くここから出た方がいいでしょうね、ミケ分隊長…」
ミケ「そうだな、我々がここにいる事は既にバレているだろう。」
ミケ「新兵達よ…辛いだろうが、いつまでもこうはしてられん。今夜には行動する。」
アルミン「…はい…」
ペトラ「君たちも早く戻りなさい。あまり私たちと一緒にいると、中央憲兵に見つかった時に何されるかわからないわ。」
マルコ「わかりました…」
ジャン「…何かあれば俺たちにも声をかけてくれ、アルミン。必ず助けに行く。」
アルミン「ありがとう…ジャン。」
ダダダッ
ハンネス「エレン、ミカサ、アルミン!!」バタンッ
アルミン「!!」
エルド「駐屯兵団のハンネス隊長!」
ハンネス「…はぁ…はぁ…」
クリスタ「…」
ベルトルト「…」
コニー「…」
アルミン「…っ」
ハンネス「…アルミン…エレンと、ミカサは…?」
アルミン「…ハンネスさん…エレンとミカサは…っ」グッ
ハンネス「…っ!!」
アルミン「僕は、二人を…助けれなかった…。ごめんなさい…」
ハンネス「…アルミン、お前が謝る事はねぇ…」
アルミン「…」
ハンネス「…」ガクッ
ジャン(…くそ、知らない間に…こんな事になってるなんて……ミカサも…死んじまうなんて…)
ジャン(エレン…お前、何やってんだよ……本当に死に急いでどうすんだよ、バカ野郎が…)
その頃、現場では駐屯兵が調査兵団の遺体回収を行っていた。
駐屯兵「酷いなこりゃ…」
駐屯兵「あぁ……おい、見てみろよ、これ。女の子がこの男の子を守るように一緒に死んじまってる。」
それは、ミカサがエレンを守るように抱き締めたまま死んでいた…
駐屯兵「まだ若いのに…可哀想にな…」
駐屯兵「…ん?」
駐屯兵「どうした?」
駐屯兵「今、この男の子の様子が、なんか…」
駐屯兵「え?」
カアッ!!!
駐屯兵「な、なんだ!?」
駐屯兵「これは…!」
――憲兵団 男子寮
ジャン「俺たちも…憲兵団の中からでも、あいつらと一緒に戦いたいが…」
ジャン「……はぁ…」
マルコ「…とりあえず、今日はもう休もう。無理するのもよくない。」
ジャン「そうだな…今日は、もうダメだ…」
マルコ「うん…。」
ジャン「…明日、ナイル団長にも話そう。今回の事件の事は知らないんだろうが、中央憲兵について知ってる事を出来るだけ聞きだす。」
マルコ「大丈夫かな…」
ジャン「…あの人は、悪い人ではない…と思う。たぶん大丈夫だ。」
その日の夕方、中央の手から逃れる為、調査兵団は診療所から出る。
ハンネスの協力で彼等は駐屯兵団の管理する建物に隠れる事になった。
――調査兵団
ミケ「…ここなら、暫く身を隠せるだろう。その間に全員、よく休んでおけ。」
グンタ「はい。」
オルオ「ちくしょう!こうやって逃げ続けるしかねぇのかよ!?」ダンッ
エルド「…」
ペトラ(…新兵の子たち大丈夫かしら…あんな目にあったから、…立ち直れるかどうか)
アルミン「…」
コニー「…」
ベルトルト「…」
クリスタ「…」
モブリット「皆さん、大変です!!」バタンッ
ミケ「どうした!」
オルオ「中央に見つかったのか!?」
モブリット「いや、奴等にはまだ見つかって無いです…」
モブリット「エ、エレン・イェーガーと…ミカサが・アッカーマンが…」
アルミン「!!」
ミケ「…我々も行ってみよう。」
――外
ミケ「……これは…」
アルミン「何が起こったんだ…」
ハンネス「俺たちにもわからん…だが、駐屯兵団が遺体の回収をしている時、突然こんな事になったらしい。」
アルミン「エレンとミカサが…巨大な結晶に覆われている。」
エレン「…」
ミカサ「…」
アルミン(これは、あの時…アニが結晶に閉じこもったのと同じものなのか…?)
アルミン(…君たちは、結晶の中で死んでいるのか?それとも…)
コニー「…アルミン、エレンとミカサはどうなったんだろうな?」
アルミン「…わからない、でも…もしかしたら…」
アルミン(死んでいたと思ってたけど…エレン、まさか…)
ベルトルト「…」
ペトラ「…コニーとアルミンの表情、少し良くなってるみたいね。」
オルオ「あぁ…エレンとミカサだけでも、もしかしたら生きてるかも知れない可能性が出たからな…」
ペトラ「…あれ?」
オルオ「どうした、ペトラ?」
コニー「せめてあいつらだけでも…戻ってきてくれねぇかな…」
アルミン「うん…」
ベルトルト「…」
ペトラ「…クリスタがいない!?」
アルミン「…え!?」
コニー「本当だ…どこだ!?」
ザッ… ザッ… ザッ…
クリスタ「…」
クリスタ(私がいたせいで…ユミルも、みんな死んだ。私が生きていたせいで)
クリスタ(…このまま内地まで行って自分から憲兵に捕まりに行けばいいんだ。そうすればもうみんなを巻き込む事は無い)
クリスタ「…」
クリスタ「…うっ、ぐすっ…うあぁぁぁ…」ボロボロ
―――
コニー「見つかったか!?」
アルミン「ダメだ…どこにも見当たらない」
ハンネス「…後は俺が探しておく、お前らは帰れ。もし見つかったらマズイ」
アルミン「…」
―――翌日 憲兵団本部
ナイル「…なんだと?中央の奴等に…」
ジャン「えぇ、本当です。調査兵団は中央第一憲兵団によって壊滅に追い込まれました」
マルコ「僕達の同期だった者も殺されました…その、本当に彼等の事について何も知らないのですか?」
ナイル「…すまん。彼等の詳しい事は知らない。奴等に限らず…中央の者の考えている事はわからんのだ。だが、逆らえば最悪こちらの命が危ない…だから下手に逆らったり詮索する事は出来んのだ」
ジャン(嘘を言ってるようには見えないな…憲兵団の団長でもよく知らない組織なのか)
ナイル「…辛いだろうが、あまり深い詮索は止めた方がいい。奴等はこの世界の最高権力者だ。それより今は…自分の憲兵団での仕事を果たせ」
ジャン「…はい、失礼しました」
――調査兵団隠れ家
アルミン「…え?」
コニー「ほ、本当なんですかそれ!?」
ミケ「あぁ、昨日までは君たちをこれ以上パニックにさせないように黙っていたが…」
モブリット「あの虐殺が行われた時、奴等は巨人を率いていた」
アルミン「中央憲兵が巨人を…なんで、そんな事が…」
コニー「でもよ、俺達が見た時は巨人なんかいなかったぜ!!」
アルミン「うん…」
ミケ「中央憲兵が率いていた巨人は、理由はわからんが3分程度動いたら急に動きを止めその場で消えて行ったからな。君たちは見てないだろう」
アルミン「…」
モブリット「実は…ハンジ分隊長は、巨人は人工的なものなのではないかという説も唱えていたんだ」
アルミン「!!」
モブリット「自分も最初はあり得ない説だと思っていたが、あんなものを見てしまったら…」
コニー「じゃ、じゃあ外にうろついてる巨人はなんだよ!?なんで人を食べるんだよ!?」
アルミン「…いったい、この世界は何なんだ?」
ベルトルト「…」
―――憲兵団本部
ジャン「…はぁ、こんな時に…仕事は街に出てる中央の有力者の護衛か」
マルコ「気分があまり乗らないのは分かるけど、今は任務だから」
ジャン「あぁ、わかってるよ」
マルコ「レイス家の人間らしいね…中央では有名な貴族らしいけど」
ジャン「…クリスタの本名もレイスだったな。ちっ、この前の事件に関わってるかも知れねぇぞ」
マルコ「あまり大きい声で言わない方がいい…聞かれたらマズイ」
上官「お前たち何を喋っている。ちゃんとついてこい」
マルコ「はい、すみません!」
ロッド「…」
上官「どうしました、ロッド・レイス様」
ロッド「いや、何でも無い」
ジャン(このオッサン、何を見ていた…?)チラッ
ジャン「…っ!!」
クリスタ「…」ザッザッ
ジャン(クリスタ…!?何であんなところに…)
ロッド「…お前たち、行ってこい」ボソッ
中央憲兵「はっ」ボソッ
ジャン「…っ!!」
ジャン「マルコ、ここにいろ。俺はトイレに行ったって誤魔化しておいてくれ」ボソッ
マルコ「え!?」
ジャン「くっ…」ササッ
ジャン(何してんだよ、あのバカ…レイス家の野郎に見つかってるじゃねぇか!)
クリスタ「…」 ザッ ザッ
「待て」
クリスタ「!」
中央憲兵「ヒストリア・レイスだな。そこを動くな」
クリスタ「…」
クリスタ(これで、誰にも迷惑掛けないですむ…そして、やっと楽になれる)
中央憲兵「大人しくすれば手荒な真似はしない。さぁ来い」
ガタガタ ガタガタ
クリスタ(…あれ?私、なんで震えてるの…)
中央憲兵「早くしろ!」グイッ
クリスタ「あっ!」
クリスタ(…連れていかれたら…やっぱり殺されるの?)
クリスタ(…怖い…さっきまでは、死ぬ事も何とも思って無かったのに…やだ、まだ…死にたく…)ガタガタ
バシイッ!!
中央憲兵「うっ!!?」ドサッ
クリスタ「!!」
ジャン「…気絶、してるよな…?よし」
中央憲兵「」
ジャン「おい、クリスタ」
クリスタ「…」
ジャン「お前…何やってんだよ」
クリスタ「……私がいたら、周りにいる人はみんな死んでしまうから…。だから、自分から中央憲兵に捕まってしまえば、もうみんなが巻き込まれる事は無い」
ジャン「何バカな事言ってんだお前は!さっさと皆のところに戻れ!!」
クリスタ「無理だよ、またあんな光景を見るのは…もう嫌だ!」
中央憲兵「…そこの憲兵団の少年」ゾロゾロ
ジャン「!」
クリスタ「!」
中央憲兵「我々はそこの少女に用がある。こちらに連れてきてくれ」
ジャン(くっ、ここで素直に言うことを聞かなければ俺まで中央から目を付けられるかも知れねぇ…だが、クリスタを黙ってあいつらに引き渡すなんて…)
クリスタ「…ジャン、ごめんなさい。私…行くから」
ジャン「…!」
中央憲兵「よし、それでいい…さぁ来い」
「大変だああぁぁ!!」
ジャン「!!」
???「おい、そこの憲兵さん!向こうに強盗が出たんだ!早く来てくれ!」
中央憲兵「な!?」
中央憲兵B「ちっ…こんな時に…」ボソッ
???「なにしてんだよ、死人も出てるんだから早く来てくれよ!!」
中央憲兵C「市民に不信感を持たれたら厄介だ。ヒストリアはまたいつでも探せる。仕方ない、行くぞ」
中央憲兵「了解…」
ザッ ザッ ザッ
ジャン「…」
クリスタ「…」
???「…危ないところだったね」
???「あともう少しで連れていかれるとこだったな」
ジャン「お前ら…アルミンとコニーか」
アルミン「うん、変装してきた」
コニー「クリスタ…何してたんだよ」
ハンネス「よう、クリスタは見つかったのか」
ジャン「ハンネスさん!」
ハンネス「ジャン君か。俺がクリスタを探すって言ったのに、こいつらは自分達も一緒に行くってしつこくてな。変装してまで来ちまった」
クリスタ「……なんで…」
クリスタ「なんで、そこまでするの?」
アルミン「…君に死なれたら嫌だからだよ」
クリスタ「なんで死なれたら嫌なの?私が…世界の秘密を握ってる重要人物だから?」
コニー「おい、お前な…」
クリスタ「私は、生きてない方がいいの!生まれた時からずっと必要の無い子だったんだよ、私は!!」
アルミン「クリスタ…落ち着いて…」
クリスタ「私がいなければ皆、死ななかったかも知れなかった…私が中央に自分から行けば、皆ももう狙われる事は無いんだよ!?もう放っておいてよ!!」
コニー「いい加減にしろ!!!」ゴンッ
クリスタ「っ!!?」ガクッ
アルミン「コニー…!何も殴らなくても…」
ハンネス「止めなくていい、アルミン」
ジャン「クリスタ…少し落ち着け。こいつらが、どんな気持ちでお前を探してたと思ってんだ」
クリスタ「………」
コニー「アルミンは…クリスタに何かあったら嫌だから探しに来たと言った。俺もだし、ジャンだってそうだろ。本当に心配してたんだぞ、お前の事を」
クリスタ「…」
コニー「なのに、なんだよお前は…自分の命を軽く見すぎなんだよ。ウトガルド城でユミルに言われた事、忘れちまったのか?」
コニー「そりゃ、あんな事があれば落ち込むのも分かるよ…でもよ、自分が必要無いとか[ピーーー]ばいいなんて…簡単に言うんじゃねぇよ」
クリスタ「…」
コニー「なんでお前が悪いみたいに言ってんだよ!悪いのは、下らない理由で皆を殺した中央の奴等だろうが!!なんでもかんでも自分の責任にするな!!」
クリスタ「…」
アルミン「…クリスタ、辛いのは僕達も一緒だよ。全てを君が1人で背負うなんて考えちゃダメだ」
アルミン「それに…大事な仲間がまた犠牲になるなんて…絶対に嫌だ。だから、クリスタがまだ無事で本当に良かったよ」
クリスタ「……っ」ジワッ
クリスタ「ごめんなさい…コニー…アルミン…私は、自分の事しか、考えて無かった…」グスッ
コニー「俺も、殴って悪かったよ。…もう自分を軽く扱うのは止めろよ…もっと自分を大切にして生きろ」
クリスタ「…でも、やっぱり、私は一緒にいない方が…」
ジャン「…だからといって外をうろちょろしてたらお前が危ないだろうが」
コニー「ったくまだそんな事言ってんのかよ!心配すんな、俺達はもう負けるつもりはねぇ!!」
アルミン「うん、今度は僕達から反撃してやる番だ…一緒に戦おうクリスタ」
クリスタ「…うん」
ジャン「俺もマルコと一緒に協力するつもりだ。だから、余計な心配なんかするなよクリスタ。もう誰も死なせやしない」
クリスタ「…みんな、ありがとう」
ハンネス「よし、戻るぞお前ら。中央に見つからない内にな」
―――その頃、訓練所にて…
訓練兵「教官、早く来てください!」
キース「どうした、お前たち?」
訓練兵2「食糧庫から…何か物音がするんです」」
ガサガサッ ガサガサッ
キース「本当だな…見てみたのか?」
訓練兵「いえ、恐ろしくてまだ…」
キース「…何がいるのか分からん。私が開けるからお前たちは下がっていろ」
訓練兵「はっ」
キース「誰かいるのか!!?」
バタンッ
――憲兵団 本部
マルコ「…え、本気かい…ジャン」
ジャン「あぁ…中央憲兵を1人、拉致して聞き出そうと思う」
マルコ「そんな事…バレたりしたら…」
ジャン「わかってる…怖いけど、もうそれしか無いだろ…」
ヒッチ「なに話してんの二人とも~?」
ジャン「うおっ!」
マルコ「いつからいたんだ!?」
ヒッチ「あはは、最初から聞いてたよ、まぁ何があったかは前から何となく聞いて知ってたけど…そんな物騒な事考えてるなんてね!あはは!」
ジャン「バラしたりすんなよ…」
ヒッチ「しないしない。てゆーか面白そうじゃん」
ジャン「はぁ?」
ヒッチ「私も協力してやるよ。私に任せたらそんな危ない事しなくたって済むよ?」
マルコ「何か案があるのかい?」
ヒッチ「ふふ、中央憲兵たって頭は悪いオッサンだからね…」
ジャン「…俺はお前を信用できない…」
マルコ「ジャン…」
ジャン「何で協力しようなんて言い出した、どういうつもりだ」
ヒッチ「…あんたらと同じさ。調査兵団には、私の同期もいたんだよ」
マルコ「!」
ヒッチ「確かに私はろくでもない奴かも知れない…でもね、かつて一緒に過ごした同期を殺されていい気はしないでしょ」
ジャン「…そうか、悪かった」
マルロ「…俺も協力するぞ」
ジャン「マルロ」
マルロ「俺はこの世界の腐った部分を正したいと思ってる。だから俺もお前たちと一緒に戦うぞ」
ジャン「あぁ、よろしく頼む」
―――翌日 夕方
ジャン「…ヒッチの奴、本当に上手く行くのか?」
マルコ「中央を相手するなら、どんな手段を使おうと危険なのは同じだ。上手く行く事を祈るしか無い」
マルロ「しくじった時の為に俺達もこうして見張ってるんだ」
ヒッチ(…いつもこの時間帯にこの辺を中央憲兵の奴がうろついてるのは知ってる、何でかはわかんないけど。その時がチャンスだ)
中央憲兵「…」ザッ ザッ
ヒッチ(来た!)
ジャン「なぁ…マルコ」
マルコ「なんだい?」
ジャン「あそこに、今は使われてない立入禁止の大きな建物があるだろ?」
マルロ「それがどうしたんだ?」
ジャン「あれ…本当に使われてないものなのか?」
マルコ「え?」
ジャン「ヒッチは、夕方になるとこの辺を中央憲兵がうろついてると言ってた………何か、嫌な感じがするんだが」
マルコ「…」
マルロ「…」
―――翌日 夕方
ジャン「…ヒッチの奴、本当に上手く行くのか?」
マルコ「中央を相手するなら、どんな手段を使おうと危険なのは同じだ。上手く行く事を祈るしか無い」
マルロ「しくじった時の為に俺達もこうして見張ってるんだ」
ヒッチ(…いつもこの時間帯にこの辺を中央憲兵の奴がうろついてるのは知ってる、何でかはわかんないけど。その時がチャンスだ)
中央憲兵「…」ザッ ザッ
ヒッチ(来た!)
ジャン「なぁ…マルコ」
マルコ「なんだい?」
ジャン「あそこに、今は使われてない立入禁止の大きな建物があるだろ?」
マルロ「それがどうしたんだ?」
ジャン「あれ…本当に使われてないものなのか?」
マルコ「え?」
ジャン「ヒッチは、夕方になるとこの辺を中央憲兵がうろついてると言ってた………何か、嫌な感じがするんだが」
マルコ「…」
マルロ「…」
ヒッチ「ねぇねぇ、おじさ~ん♪私と遊ばない?」
中央憲兵「!」ピタッ
ヒッチ「おじさんカッコいいねぇ、どんな仕事してるの?」
中央憲兵「…」
中央憲兵「ここは人目に入るかも知れん。誰にも見られないところに行こう」
ヒッチ「ふふ、いいよ」
マルロ「ん、あの憲兵…ヒッチをあの使われてない建物まで連れて行ってるぞ」
ジャン「…っ!!」ガタッ
マルコ「ジャン!?」
ジャン「嫌な予感がする、中止だ!ヒッチを止めに行くぞ!!」
中央憲兵「何をしているのかな?君たちは」
ジャン「!」ビクッ
マルコ(しまった…)
マルロ(気づかない内に後ろに…)
中央憲兵2「なぜここでこそこそ隠れるように動いていた?」
ジャン「……いや、この辺に犯罪者が隠れてるとの情報が入りましてね。その調査をしていたところです…」
中央憲兵「…」
ジャン(くそっ、どうする…)
―――建物の中
ヒッチ「な…なにこれ…」
ヒッチ「なんでこんなに人間の死体があるの…」
中央憲兵「悪いなお嬢さん…君と仲間たちがなにやらこそこそしてるのは知っていたんだ」
ヒッチ「!!」
中央憲兵「だが…心配するな、無意味には殺さない。我々の役に立たせてやるから安心したまえ」
ヒッチ「はぁ!?」
ジャン「…」
中央憲兵「お前たちは我々の事を探ろうとしていたな?」
マルロ「!」
マルコ「いえ…そんな事は」
中央憲兵「嘘はつくな、全員捕らえろ」
中央憲兵2「はっ」ザッザッ
マルコ「くっ!」ジャキッ
中央憲兵「抵抗はするな!」ガシッ
マルコ「うあっ!?」
マルロ「くそっ…」
ジャン「この野郎、捕まるかよ!」
ビシュッ ドゴッ
中央憲兵「ぐあっ」
中央憲兵2「おうっ」
ドサッドサッ
マルコ「すまない、ジャン」
ジャン「あぁ…行くぞ」
ジャン(エレンに勝つために学んだ格闘術がここで役に立つとはな)
――建物の中 地下室
ヒッチ(この古臭い建物の中に、こんな広い地下室があったなんて…)
中央憲兵「この部屋だ入れ」ガチャン
ヒッチ「!!」
「う…ウゥ」ズルズル
「ア゛…ア゛」ピクピク
ヒッチ「ひっ!?」
中央憲兵「彼等は実験の失敗作だ、もうじき死ぬだろう…君にも協力してもらう」
ヒッチ「は!?い、いや…!」
中央憲兵「心配するな…薬を射って貰うだけだ」
ヒッチ「誰がそんなの…た、助けて!!」
中央憲兵「無駄だ、この建物は外に音が漏れないように出来ている」
ジャン「待て、ヒッチを離せ!」
中央憲兵「!」
ヒッチ「!」
マルコ「なんだ、ここは…」
中央憲兵「ちっ、外の奴等は何をしてるんだ」
ヒッチ「こんにゃろうっ!!」ガリッ
中央憲兵「いっ!?こいつ、噛むな…」
ジャン「余所見してんじゃねぇ!」ドフッ
中央憲兵「うっ」ドサッ
ヒッチ「みんな…助かったよ」
中央憲兵2「待て!」
中央憲兵3「奴等を逃がすな!」
ジャン「くそっ、ぞろぞろ来やがった」
マルコ「早く逃げよう!」
マルロ「…明日から、俺達はどうする」
ヒッチ「もう憲兵団には居れないよね…」
ジャン「…っ!」
カッ!!!
マルコ「うわ、なんだ!?」
マルロ「前から光が…」
ジャン「あれは…」
ズシン ズシン
ジャン「…は?」
ヒッチ「ちょっと…何あれ…」
マルコ「馬鹿な…なんでこんなところに」
巨人「…」ズシンズシン
巨人「…」ズシンズシン
巨人「…」ズシンズシン
マルコ「何で巨人がいるんだ!!」
ジャン「3メートル級が三体…やるしかねぇか」ジャキッ
マルロ「う…」ブルブル
ヒッチ「勝てるわけないよ…」ブルブル
ジャン(…!そうか、こいつらはまだ巨人を見たことが無いから…)
中央憲兵「…」ダダダダッ
ジャン(後ろからは中央憲兵…どうする!?そもそも、なんでこいつらが巨人を引き連れてんだ!!)
巨人「…」ブオン
マルコ「う、きた!」サッ
マルロ「う、うおおおっ!」ザンッ
ジャン「落ち着け、マルロ!そんなとこ攻撃しても意味ねぇ、うなじを狙え!」
ヒッチ「も…もうやだ…」ガクガク
ジャン「怖いのは分かるが、立て!座り込んでたら本当に死ぬだけだぞ!!」
巨人「ニタァ」┣¨┣¨┣¨┣¨ッ
ジャン「ちっ、来やがったか!」バシュッ
ジャン「この野郎っ!!」ザクッ
巨人「…」
ジャン(くそっ、斬撃が浅かったか!?)
ガシッ
ジャン「ぐっ!?」
マルコ「ジャンが捕まった!?くそっ!!」ザンッ
ジャン「うっ…」ドサッ
ジャン「…」
マルコ(僕がすぐに倒したから命に別状は無いが…気絶してしまってる)
マルロ「…っ!!」
ヒッチ「来るな、来るなぁっ!!」
マルコ(どうする…このままじゃ…)
巨人「…」ズシンズシン
マルコ「…マルロ、ジャンを連れて逃げてくれ。ヒッチも行くんだ」
マルロ「な!?」
マルコ「僕が残りの巨人の相手をする、みんなはその隙に逃げろ!!」
ヒッチ「馬鹿じゃないの、そんな事したら…あんたが」
マルコ「…全員死ぬよりはマシだよ。中央憲兵もいるし…まともに戦っても勝てない。早く行くんだ!」
マルロ「…すまない…」
ヒッチ「ぐっ…ちくしょう!」
マルコ(すまない…ジャン、みんな。はたぶんここまでだ…)
マルコ(いつか、殺された仲間達の仇を…討ってくれ)
マルコ「これ以上行かせないぞ!うおおおおっ!!」ギュンッ
ジャン「…」
マルコ(僕がすぐに倒したから命に別状は無いが…気絶してしまってる)
マルロ「…っ!!」
ヒッチ「来るな、来るなぁっ!!」
マルコ(どうする…このままじゃ…)
巨人「…」ズシンズシン
マルコ「…マルロ、ジャンを連れて逃げてくれ。ヒッチも行くんだ」
マルロ「な!?」
マルコ「僕が残りの巨人の相手をする、みんなはその隙に逃げろ!!」
ヒッチ「馬鹿じゃないの、そんな事したら…あんたが」
マルコ「…全員死ぬよりはマシだよ。中央憲兵もいるし…まともに戦っても勝てない。早く行くんだ!」
マルロ「…すまない…」
ヒッチ「ぐっ…ちくしょう!」
マルコ(すまない…ジャン、みんな。僕はたぶんここまでだ…)
マルコ(いつか、殺された仲間達の仇を…討ってくれ)
マルコ「これ以上行かせないぞ!うおおおおっ!!」ギュンッ
―――外
ジャン「……う、ここは…」
マルロ「…」
ヒッチ「…」
ジャン「お前ら……あの巨人たちは…マルコは?」
マルロ「…すまない、ジャン。マルコは…俺達を逃がすために…」
ヒッチ「私…怯えてるだけで何も出来なかった…くそぉ!」
ジャン「………っ!!」
マルロ「すまない…」
ヒッチ「自分が情けない」
ジャン「……お前らは巨人と会ったのも初めてだし…そもそも、あんな状況じゃまともに脱出するのは不可能だった。二人は悪くねぇよ」
ジャン「それに、奴等が何をしてるのかも少しはわかった。全てが無駄じゃない…無駄じゃないはずだ」
マルロ「…」
ヒッチ「…」
ジャン「……ちくしょう、マルコ…!!」
ジャン(また1人、犠牲になっちまった…もうこんなのは嫌だ……)
―――――――
「…調子はどうだ?もう行くのか」
「体も元気になりましたので。そろそろみんなの所に向かいます」
「気を付けるんだぞ」
「はい、ありがとうございます。それでは…」
―――調査兵団 隠れ家
オルオ「…ったく、勝手に抜け出すとは兵士としての自覚があるのか?新兵」
クリスタ「はい…すみませんでした…」
オルオ「お前がどうなろうと知った事では無いがな、俺らのいる場所までバレたら大変なんだぞ。まぁ、無事に帰って来れたならいい。さっさと飯食って寝ろ」
ペトラ「…ずっと心配そうにしてた癖に偉そうにしちゃって」
オルオ「な…!心配なんかしてねぇんだが!?叱るのは先輩として当然だし!?」
クリスタ「…ふふっ」クスッ
オルオ「わ、笑ってんじゃねぇよ!」
クリスタ「ご、ごめんなさい…」
ペトラ「大丈夫よ、オルオは恥ずかしいだけだから」
オルオ「んなっ!?」
―――
クリスタ「…」ガチャッ
コニー「よう、クリスタ。やっぱオルオさんに説教されたか」
クリスタ「うん、私が悪いしね。でも、オルオさんはいい人だよ」
アルミン「面白い人だしね」
クリスタ「うん」クスッ
コニー「…俺が殴ったとこは大丈夫か?ちょっと力入れちまったから」
クリスタ「大丈夫だよ、心配しないで」
コニー「なら良かった…」
クリスタ「……みんな、ごめんね。迷惑かけて」
コニー「だからもういいっての!」
アルミン「まぁ…あんな目にあえば仕方ない事だと思うよ。僕達はクリスタが無事だっただけで嬉しいよ」
クリスタ「うん…ありがとう」
クリスタ(ユミル…やっぱりまだ凄く悲しいけど。私は、あなたに言われたように胸を張って…前向きに生きようと思う)
クリスタ(私にはまだ…大事な仲間がたくさんいるから)
コニー「ベルトルト…お前もよ、辛いのはわかるけど。そろそろ何か喋ろうぜ。ずっとだんまりじゃないか」
ベルトルト「…ごめん、まだ心の整理がつかないんだ」
アルミン「…コニー、そっとしておいてあげよう」
コニー「おぉ…」
アルミン「でも、ベルトルト…あまり1人で抱え込むのも良くない…辛ければ僕らに何でも話してくれたらいい」
ベルトルト「うん…」
アルミン(…なんだろう……ベルトルトも落ち込んでいるのだろうけど、何か…嫌な感じがするような…)
アルミン(いや、気のせいだ、きっと…)
モブリット「大変だ、君たち!」ガチャッ
アルミン「!」
モブリット「中央憲兵に見つかった!!」
クリスタ「え!?」
アルミン「そんな…もう見つかったのか!?」
モブリット「今、ハンネスさんが対応しているが…ダメかも知れない…」
アルミン「…!」
―――
ハンネス「だから…ここは駐屯兵団の施設ですから。そんなのは知りません」
中央憲兵「ならば中を確かめさせて貰おうか、どけ」
ハンネス「中は今工事中なので、勝手に入られるのは困ります」
中央憲兵「…もういい。ここにいるのはわかっている、そいつを抑えとけ」
中央憲兵「はっ」グイッ
ハンネス「うおっ!?」ドサッ
中央憲兵「調査兵団は全員殺せ…クリスタは捕らえろ」
ハンネス「待ちやがれ、てめぇら!!」
ミケ「侵入されたか…ペトラ、オルオ、エルド、グンタ、戦闘準備だ」
「はっ!!」
モブリット「…君たちはここにいてくれ」
アルミン「え!」
コニー「俺達も戦います!」
モブリット「君たちはクリスタの護衛を頼む。奴等の目的は彼女だからね」
クリスタ「!!」
コニー「でも…大丈夫なんですか?」
モブリット「心配するな、中央憲兵などよりも我々の方が戦闘経験は遥かに上だ…クリスタを頼む!」ダダダッ
クリスタ「…」
ミケ「舐めるなっ!!」ビシュッ
中央憲兵「ぐあぁっ!」ドサッ
ペトラ「やっぱり…普通に戦えば大した事は無い!」
オルオ「所詮は壁の中でぬくぬくと暮らしてた連中だ!」
グンタ「だが、問題は…」
エルド「あぁ、また巨人を連れてくるかも知れん」
中央憲兵「よし、あれを出せっ!」
カッ!!!
モブリット「この光は…」
ミケ「くっ、やはり来たか」
巨人「…」シュウウゥゥ
巨人「…」ズシンズシン
巨人「…」ズシンズシン
エルド「数が多いな」
ミケ「巨人を速やかに駆逐しろ!」バシュッ
オルオ「おらぁっ!!」
ペトラ「はあぁっ!!」
ザクザクッ!!
巨人「」シュウウゥゥ
中央憲兵「…」ダダダッ
オルオ「ええい、中央憲兵も多い!」
ペトラ「巨人を相手しながらだと鬱陶しい!」
モブリット「…!くっ、何人か新兵の部屋まで向かってしまった!」
ミケ「助けに行く暇は無い、あの程度の数なら彼らに任せろ!」
中央憲兵「この部屋が怪しいな」
中央憲兵「出てこい!」バタン
クリスタ「…」
中央憲兵「見つけたぞ、クリスタ。周りに護衛も付けず1人で部屋に置いてくとは調査兵団もバカだな」
中央憲兵「さぁ、おとなしくついてこい」ザッ
グインッ
中央憲兵「あっ?」グラッ
中央憲兵「ぐはぁ!?」ドサッ
中央憲兵「な…ワイヤーが仕掛けてあった!?」
ガチャッ
コニー「おらぁっ!!」バキィッ
中央憲兵「ぐはぁ!?」
中央憲兵「タンスから出てきやがった!」
アルミン「動くな!!」グッ
中央憲兵「くそっ…捕まった」
クリスタ「…本当だ、中央憲兵って思ったより大した事ないね」グイッ
中央憲兵「いででっ」
コニー「クリスタばっかり見てて仕掛けてあるワイヤーに気づかねぇとはな」
アルミン「もう少し周りをよく見なきゃね」
中央憲兵「こいつら…」
中央憲兵「調子に乗るな!!」
カッ!!!
アルミン「!!」
クリスタ「あの光は…」
巨人「シュウウゥゥ」
アルミン「巨人…!」
中央憲兵「くくく…巨人に食い殺されるがいい!」
ギュンッ
ベルトルト「…」ザクッ
巨人「」シュウウゥゥ
中央憲兵「な!?」
中央憲兵「屋根裏にもう1人隠れていたのか!?」
アルミン(巨人が現れた時の為にベルトルトには屋根裏で待機してもらっていた。この後なにも無ければ…なんとか勝てるかも知れない)
コニー「すげぇな、ベルトルト。一撃でやっちまった」
ベルトルト「うん…」
バキッ バキッ
コニー「…!アルミン、危ねぇ後ろ!!」
アルミン「え?」
パリイィィィン!!
クリスタ「きゃっ、窓から巨人の腕が!?」
コニー「伏せろ!!」ドンッ
アルミン「うあっ!?」ドサッ
ガシッ
コニー「うああっ!!」ギリギリ
アルミン「しまった、外にも……コニー!!!」
ベルトルト「…っ!」
アルミン(くそっ、僕がノロマなせいでコニーが捕まってしまった)ジャキッ
クリスタ「コニーを離せ!!」ダダダッ
中央憲兵「おとなしくしていろ」バシンッ
クリスタ「いっ!」ドサッ
中央憲兵「こいつは強い、全力で押さえ付けろ!」
中央憲兵「はっ!」
ベルトルト「うっ…」ドンッ
中央憲兵「お前もここまでだ」グンッ
アルミン「うああっ!」ドンッ
中央憲兵「仲間が巨人に捕えられたくらいで動揺するとは…所詮ガキ共か」
アルミン「くそっ離せ、コニー!!」
コニー「ち…くしょう…」
巨人「…」アーン
コニー「っ!!」
コニー(このまま…食われるのか?死んじまうのか?)
クリスタ「いやあぁぁぁっ!!!」
コニー(すまねぇ…みんな、もうここまで…だ…)
ザシュッ!!!
アルミン「……え」
クリスタ「あ…」
ベルトルト「…」
コニー「………」
コニー「あれ?」
ドサアッ!!
巨人「」シュウウゥゥ
中央憲兵「な…誰だ!」
ビシュッ ビシュッ ビシュッ
中央憲兵「うあっ!」ザクッ
中央憲兵「がはっ…弓矢!?」ザクッ
中央憲兵「いてぇっ!!」ザクッ
バシュンッ…スタッ
コニー「お前…生きてたのかよ…!」
サシャ「遅れてすみません!!もう大丈夫ですよ皆さん!!」
アルミン「サシャ!!」
クリスタ「良かった…」
コニー「バカ野郎、何してたんだよ!てっきり死んだかと思ってたんだぞ!!」
クリスタ「生きてて良かった…本当に」
ベルトルト「…」
サシャ「えへへ。話は後です、今は残りの奴等を退治しましょう!」
アルミン「そうだね…今はここを何とかしないと」
中央憲兵「小娘が1人増えただけだ!殺せ!」ダダダッ
サシャ「舐められたものですね…」
サシャ「豊かな土地で平和に暮らしてたような者が、狩猟民族に勝てると思っとんのかい!!」バシュッ
バシンッ! バシンッ!
中央憲兵「うおっ!?」
ドサッ ドサッ
コニー「もうこれ以上好き勝手はやらせねぇぞ!!」ダンッ
中央憲兵「ぐはっ!!」
アルミン「よし、全員動けないように縛るんだ。情報を聞き出す」
コニー「おう!動くんじゃねぇぞお前ら!」
中央憲兵「くっ…」
クリスタ「ありがとう、サシャ…」
サシャ「当然の事ですよ、仲間ですから!」
ミケ「お前たち、無事か!?」
アルミン「ミケ分隊長、こちらは無事に片付きました。そっちの状況は!?」
ミケ「こっちも終わった。逃げられてしまったが、何人か捕らえる事はできた」
オルオ「あの程度の巨人共、大した事はなかったぜ」
ペトラ「あれ、そこの子は…」
サシャ「調査兵団の皆さん、ただいま戻りました!!」
―――――
ミケ「いい加減に喋ったらどうだ、お前達の目的は何だ」
中央憲兵「…」
中央憲兵「…」
モブリット「ダメです、全く喋ろうとしません。どうします」
ミケ「…いざとなれば拷問しかあるまい」
ハンネス「あんたら…中央憲兵に何人か逃げられたんだろ?ここも早く出た方がいいんじゃないか」
ミケ「ええ、そのつもりです。明日にでも移動するべきか…」
―――
サシャ「そうですか…みんな、死んでしまったんですね……」
アルミン「うん……エレンとミカサは、どうなってるのかわからないけど…」
ベルトルト「…」
クリスタ「…サシャは、今までどうしてたの?」
サシャ「私は…自分の故郷の村に行ってたんですが、その時に子供を巨人から守るために戦っていたんです」
サシャ「そして何とか倒す事が出来たんですが…ぼろぼろで、なかなか皆さんと合流しに行けなかったんです」
サシャ「そして何とか歩けるようになって…壁内に戻ったんですが……体がまた痛みだして動くのが限界になってしまったんです。そして更に、何日かなにも食べていなかったので…その、食欲に勝てなくて……」
コニー「ん?」
サシャ「ちょうど道の途中に訓練所を見つけて、休憩がてらに食糧庫に入り込んでしまいました…」
コニー「お前……アホか」
アルミン「はは…、サシャらしいね」
クリスタ「もう…こっちは本当にサシャが死んだんじゃないかと不安だったんだよ…」
サシャ「す、すみません…」
クリスタ「いいよ、こうしてサシャが戻って来てくれただけで嬉しいから」
サシャ「ありがとうございます」
サシャ「………残った私達で、必ず…みんなの無念を晴らしましょう」
コニー「あぁ、そうだな…このまま追われるだけなんて嫌だ」
アルミン「壁内でいつまでも争ってる場合じゃないんだ……この馬鹿げた状況を変えてみせる…」
クリスタ「みんな…全てが終わるまで生き抜こうね」
ベルトルト「…」
ペトラ「みんなー、ご飯だよ!」
アルミン「…よし、行こうか」
コニー「サシャ、また勝手に人の食べ物取ったりするなよ?」
サシャ「失礼な、こんな状況でする訳ないじゃないですか!!」
クリスタ「はははっ」
サシャ「……」
クリスタ「…どうしたの?サシャ」
サシャ「いや、なんかクリスタ…笑顔の雰囲気が変わったなぁと思いまして」
クリスタ「え…?」
サシャ「ユミルと接してる時以外はあまりそういう笑顔してなかったんですけどね。でも私は、その笑顔の方がいいと思いますよ!」
クリスタ「うん!」
―――
ハンネス「…エレン…ミカサ…」
エレン「…」
ミカサ「…」
ハンネス「アルミンと…仲間達は、なんとか少しずつ立ち直ってきている。やっぱ少し無理してるようなとこもあるだろうが」
ハンネス「…なぁ、お前らは、結晶の中で何をしてんだ?」
エレン「…」
ミカサ「…」
…ホロボス…ベキ…
ハンネス「え?」
エレン「…」
ハンネス(…なんだ?今…頭の中に何か聞こえたような…)
ハンネス(いや、そんな馬鹿げた事が…気のせいだ)
―――翌日
オルオ「お前ら、今日の午後にはまた隠れ家を変えるために移動するからな。荷物は準備しとけよ」
アルミン「はい、わかりました」
コニー「また移動か…いつまでこんなのが続くんだろうな」
サシャ「…あの、まさか一生こんな生活なんて事は…」
アルミン「…うん、だいぶ僕も落ち着いて来たから…冷静に考えれるようになって来たけど。最悪死ぬまで逃げ続けなきゃ駄目かもね」
コニー「な、中央憲兵を片っ端からやっつけりゃいいじゃねぇか!!」
アルミン「…それでどうするのさ?」
コニー「え?」
クリスタ「中央憲兵は…王政直属の兵団だから。下手に戦えばいいって訳でも無いよね」
アルミン「そうだよ、だからといって王政そのものを叩くなんてしたら、僕らは反逆者で悪者扱いになるだろう。その後をどうするかが重要な問題だし…そもそもそれが正しい事なのかもわからない」
コニー「…ど、どうするんだよ?」
アルミン「それがわからないから悩んでるんだよ…」
アルミン「そもそも中央の有力者達の事すらよくわかって無いんだ…だからまずは捕らえた中央憲兵から情報を聞き出す必要があるんだけど…彼等は何も喋らない」
ベルトルト「…」
サシャ「はぁ…気が遠くなりますね…」
ハンネス「おい、お前ら!」
アルミン「ハンネスさん」
ハンネス「ジャンが来てるぞ。重要な話があるらしい」
―――――
ミケ「………なんだと」
モブリット「シーナにそんなものがあったのか?」
ジャン「はい…そこではたぶん、人間で巨人を造る実験を行っていたんだと思います」
エルド「そんなものが存在しているとはな…」
グンタ「だが、何で巨人を造るなんて…」
コニー「外にいる巨人と同じなのか?」
アルミン「いや……たぶん別物だろう」
サシャ「え?」
ジャン「俺もそう思う。あの巨人共は中央憲兵を狙わなかった。外にいる奴等と同じなら見境無しに襲うはずだ」
オルオ「何の為に作ってんだろうな…」
ペトラ「理由がわからないわね」
ベルトルト「…」
ベルトルト(いよいよ始まるのか…僕らの故郷と、この壁内人類との戦争が)
―――
ジャン「…という訳だ。俺達はもう憲兵に戻れない、今日から一緒に行動させてもらう」
アルミン「うん、一緒に頑張ろう…ジャン。マルロとヒッチも」
マルロ「あぁ」
ヒッチ「よろしく」
アルミン「………マルコまで犠牲になってしまったんだね…」
ジャン「ああ……」
「…ジャン、話は聞かせてもらった。我々は重大な秘密をつかむ事ができた」
ジャン「!!」
アルミン「あ…目が、覚めたんですか!?」
エルヴィン「ああ…。後は中央憲兵から情報を聞き出す」
―――
ミケ「エルヴィン…体は大丈夫なのか?」
エルヴィン「あぁ、もう大丈夫だ。始めるぞ」
モブリット「…」
中央憲兵「…」ガタガタ
エルヴィン「私も人間だ。本来は拷問などは趣味ではないが…人類の為だ。悪く思うな」
――別の部屋
ジャン「…」
アルミン「…」
コニー「なぁ…。エルヴィン団長、王政にクーデターを起こすみたいな事言ってたけど…大丈夫なのか?」
ジャン「さぁな。だが…ただ争って血を流すだけじゃ上手く行かないと思う。むしろ、かえって壁内の状況が悪化するかもな」
アルミン「うん…」
ジャン「だが、だからといって中央の奴等をほったらかしにする訳にはいかねぇ…」
「ギャアアアアアアアッ!!!」
サシャ「ひっ!?」ビクッ
クリスタ「…っ!!」ブルブル
ジャン「ああ…くそ、ついに拷問が始まったか…」
コニー「俺達の仲間は中央憲兵に殺された……だから、あいつらが憎い…けど……」
サシャ「こういうのはやっぱり…嫌な気分ですよね…」
アルミン「…人類の為、王政の情報を聞き出すって目的は分かるし、拷問しなきゃ吐かないだろうから…仕方ないよ…」
クリスタ「………仕方ないで割りきれたら、苦労しない…」
アルミン「だよね…僕も気分が悪い…」
エルヴィン「答えろ、なぜ王はエレンとクリスタを拐おうとした。なぜ巨人を作っている。レイス家とはなんだ?」
中央憲兵「ひっ……ひっ」ガタガタ
ミケ「…次は足の爪だ…」
中央憲兵「ま、待て…待て…はぁ、はぁ…」
エルヴィン「!」
中央憲兵「レイス家が本当の…王家だ。そして……」
―――
エルヴィン「………今、終わった」
ジャン「!エルヴィン団長」
エルヴィン「やり方は決まった………ヒストリア・レイス」
クリスタ「!」
エルヴィン「君に新たな王になってもらう」
アルミン「エルヴィン団長…どういう事ですか?」
エルヴィン「レイス家こそが本当の王家だったらしい……」
クリスタ「…」
サシャ「クリスタ…」
コニー「ところで、エルヴィン団長…あの中央憲兵は…」
エルヴィン「処分した。生かしておいても邪魔になるだけだ」
ジャン(……中央憲兵は憎いが、なんだか…胸糞悪いな…)
エルヴィン「ヒストリア…君にかかっている。協力してくれ」
クリスタ「………い…やだ…」
アルミン「!」
エルヴィン「…なぜだ?王政をこのままにしておいて良いと思うのか?」
クリスタ「…今の王政を変えなきゃいけないのは分かります…みんなの仇も討ちたい…でも、王になるなんて…嫌です…」
エルヴィン「ヒストリア、確かに君はまだ若いから荷が重いのはわかっている。だから私も君を全力でサポートする…」
クリスタ「私はクリスタです!!!」
エルヴィン「!!」
クリスタ「レイスの名前は捨てました…私はヒストリア・レイスじゃありません」
エルヴィン「……まぁいい、今すぐ決めろとは言わない。ゆっくり考えてくれ」
クリスタ「…」
―夜
クリスタ(…)
アルミン「クリスタ…今日は君も見張りの当番?」
クリスタ「!アルミンも?」
アルミン「うん」ザッ
クリスタ「…」
アルミン「…」
アルミン「何だか大変な事になっちゃったね…」
クリスタ「本当に…エルヴィン団長の言ってたやり方でいいの?無駄に血も流れないって言ってたけど…」
アルミン「いや、やっぱり流れると思うよ。簡単に王政を変えるなんて出来る訳ない」
クリスタ「…」
クリスタ「私は、やっぱり…王になんかなりたくないし、レイスも名乗りたくない…」
アルミン「…」
クリスタ「昔の私は…臆病者で流されてばかりだった。自分の意志が無くて…クリスタを名乗れと言われたから、クリスタを名乗ってるだけだった。周りに嫌われたくなくていつもビクビクして生きてた」
アルミン「…」
クリスタ「でも……ユミルと出会って……アルミンやコニーや皆に大事な仲間だって言って貰えて…私はやっと自分に自信が持てるようになった…」
クリスタ「だから、流されてただけの前とは違う。今は、過去の自分を捨ててこれからを前向きに生きようと思って…ヒストリア・レイスを捨てて、クリスタとして生きていこうとしてたのに…」
クリスタ「またヒストリアを名乗れだなんて……。私は、自分の為に生きたい…自分がやりたい事をやって生きたい…」
アルミン「…」
クリスタ「…自分勝手でしょ?私…」
コニー「んな事ぁねぇよ!」
クリスタ「わっ!?」
アルミン「いつからいたのコニー!?」
サシャ「えへへ、クリスタが心配だったので初めから聞いてましたよ」
ジャン「…それが普通の人間だよ、クリスタ。誰だって自分の事で精一杯なんだ」
クリスタ「…」
ジャン「特にお前は……今までずっと何かに縛られて生きてきた。なのにまた何かに縛られて生きるなんて苦痛でしか無いだろ」
クリスタ「……でも、私が…やるしか無いんだよね?」
コニー「いいんだよ、やりたくない事なんかやらなくて!」
アルミン「僕は…他にいい方法が無いか考えておくよ、クリスタ」
クリスタ「…ありがとう、みんな…」
アルミン「それにクリスタも言ってた通り…本当にエルヴィン団長のやり方でいいのか…」
ベルトルト「もう何をしても無駄だよ」
アルミン「…え?」
ジャン「ベルトルト?」
ベルトルト「王政を変えたところでどうにもならない。もうすぐ戦争が始まる…もう誰にも止められない」
アルミン「ベルトルト?何を…」
ベルトルト「みんな…僕と一緒に故郷まで来るんだ。ここにいたって未来は無い…もう疲れただろう、これ以上無益な争いに巻き込まれる必要は無い」
コニー「…は?」
ジャン「おいおい…何を言ってんだベルトルト…意味がわからねぇぞ」
ベルトルト「みんな、聞いてくれ…」
ベルトルト「僕は…」
ベルトルト「超大型巨人だ」
コニー「は!?お前……!?」
ジャン「…久しぶりにマトモに話し出したと思ったら…冗談でも笑えねぇな」
アルミン「…」
ベルトルト「……アルミンは、薄々勘づいてた様子だね」
アルミン「うん、ベルトルトとライナーは…アニと同じ故郷だと聞いていたからね。調査兵団の一部の人間に伝えられていて、君たちも警戒していたんだ」
ベルトルト「…」
アルミン「信じたくなかったけど……」
サシャ「う…嘘……嘘ですよね?ベルトルト…」
ベルトルト「…本当だ」
ジャン「どうやら嘘ついてる様子じゃねぇな……。だとしたらベルトルト、なぜ今、急にそんな事を話し出した」
ベルトルト「…僕は壁を破壊し壁内の人類を絶滅させる事を目的とする戦士だった」
ジャン「!」
ベルトルト「でも、僕は…君たちと過ごしていく内に、自分のしている事が正しいのかわからなくなった」
クリスタ「…」
ベルトルト「今では、アニも捕まりライナーも死んでしまった…もう僕は戦士として任務を実行出来ない」
アルミン「…」
ベルトルト「そして僕は知ってる。この壁内に…いや、この世界に、未来は無い事を」
ベルトルト「だから今、僕ができる事は…せめて仲間だった君たちだけでも安全な場所に逃がす事だけだ」
コニー「何だよそれ…中央の奴等をほったらかして逃げろってかよ!?」
ベルトルト「例え王政を変えたところで、この壁の中にいる続く限り人類に本当の自由なんか来ないよ」
クリスタ「…でも、みんながあんな目に会ったのに……逃げるなんて…」
アルミン「…」
アルミン「わかった、君についていくよ、ベルトルト」
サシャ「アルミン!?」
クリスタ「本当にいいの!?」
ジャン「…俺もそうした方がいいと思うな。実際俺達は…この世界そのものの実態を何も知らないんだ」
アルミン「うん、だからベルトルトについていき…この世界の事を少しでも知り、何をするのが正しいのかを決断しようと思う」
ベルトルト「…わかった。他のみんなはどうする?」
コニー「…わかった、いや、よくわかってねぇけど。俺も行くぜ」
クリスタ「私もついていく」
サシャ「な、なら私も行きます!」
アルミン「みんな…」
ジャン「でもよ、他の人達には何て言うんだ?」
アルミン「置き手紙だけ置いて黙って出ていこう。ベルトルトについていくの拒否されるかも知れないから」
クリスタ「でも、迷惑かからないかな…」
コニー「いいっていいって、黙って出ていこうぜ!もう拷問の声も聞きたくねぇし!」
ベルトルト「……すまない、突然こんな事を言い出して」
ジャン「ああ、後でじっくり詳しい話聞いてやるからな」
ベルトルト「……あと、1つ頼みたい事がある」
ジャン「なんだ?」
ベルトルト「アニも連れていくのを手伝って欲しい。彼女も一緒に行かせたい」
アルミン「……わかった、ただし、取り返す際、誰も殺したらいけないよ」
ベルトルト「わかってるよ」
ジャン「…じゃあ、行くか」
―――
エルヴィン「…新兵達がいないだと?」
ペトラ「はい、それに…こんな紙が置いてありました!」
エルヴィン「…」
エルヴィン「今すぐに追うぞ。ヒストリアがいなければ我々の作戦も先に進まない」
モブリット「エルヴィン団長!!た…大変です…!」ダダッ
エルヴィン「どうした?」
モブリット「捕獲していたアニ・レオンハートを…超大型巨人に奪われました!!」
エルヴィン「…どういう事だ」
――時は少し戻り
兵士「くそっ、あいつら…何考えてやがる!」
兵士「捕獲したスパイをどうする気だ!?」
アルミン「…近くには誰もいないね?」
ジャン「ああ、見張りの兵士達も違う場所にいるはずだ」
ベルトルト「…アニ…」
アニ「…」
アルミン「さぁ、ベルトルト。作戦通りに」
ベルトルト「ああ、みんな、僕の周りに集まれ…行くぞ!!」ガリッ
カアッ!!!
超大型巨人「…」ゴオオオオオ
――超大型巨人の上
コニー「す…すげえ…」
サシャ「本当に巨人だったんですね…」
ベルトルト(アニの捕まっていた施設が壁のすぐ側で良かった。結晶化したアニをいったん壁の上に乗せ、巨人化を解き外に出てまた巨人化する。そしてアニを外に運ぶ…)
クリスタ「…!もう兵士が集まってきたよ!」
アルミン「交戦になる前に早く逃げよう」
アルミン「あとは、あらかじめ用意しておいた馬で…!!」バッ
パカラッパカラッパカラッ
クリスタ「馬まで持ち出していいのかな…」
コニー「こいつらは元々俺達の使ってた馬だ、これくらいなら何も悪くないだろ!!」
ベルトルト「さぁ、行くよ…ついてきて」パカラッパカラッ
サシャ「あ、食べ物どうしましょう!?」
アルミン「一応ちょっとなら持ってきてあるよ…食べ過ぎ無いでね」
ベルトルト「…」
ジャン「…」
ジャン(何だかベルトルトの様子がまだおかしいような…気のせいか…?)
巨人「…」ズシンズシンズシン
ジャン「…!さっそく巨人が来たか!?」
ベルトルト「いちいち戦ってたらキリが無い。無視して…」
サシャ「わっ!逆方向からも来ました!!」
ベルトルト「!!」
ジャン「おい…よく考えたら今は夜だぞ…何で巨人が動けるんだ」
アルミン「…!まさか…中央の奴等が作った巨人か!!」
ジャン「なんだと!?」
???「悪いな、お前らはつけられてたんだよ」
アルミン「!!」
???「クリスタを渡すなら見逃してやってもいいがな…」
クリスタ「!!中央憲兵!?」
ジャン「誰だ!!」
アッカーマン「アッカーマンとだけ言っておこう」
アルミン「アッカーマン!?」
アッカーマン「まさか仲間に超大型巨人がいるとは驚いたがな…」
クリスタ「あ…あなたは…」
アッカーマン「ああ、覚えてるか?お前の母を殺した…俺だ」
クリスタ「…!!」
巨人「…」ズシンズシンズシン!!
ジャン「きたっ、全員走れ!!」
アッカーマン「逃がさん」ビュンッ
アルミン「速い!?」
ベルトルト「くっ…!」スッ
ザクッ!!
ベルトルト「うあああっ!!?」
ジャン「ベルトルト!!!」
アッカーマン「巨人化されると厄介だ…先に始末する」
サシャ「どうするんですか!?ベルトルトがマトモに戦えないのに…私達じゃあんなの勝てないですよ!!」
コニー「くそっ!!」
アッカーマン「次に強そうなのはお前だな」ビュンッ
ジャン「うあっ!!」ガキーンッ
クリスタ「やめろっ!!!」シュバッ
アルミン「クリスタ、むやみに突っ込むな!!」
ベルトルト「はあ…はあ…」ガクガク
コニー「おい、ベルトルト!大丈夫かよ!?」
ベルトルト(今のダメージが大きくて巨人になれない………死ぬのか…?ここで……嫌だ、死にたくない……)
アニ「…」
ベルトルト「…ア……ニ…」
巨人「…」グオっ
サシャ「ひっ!?」ザザッ
アッカーマン「なかなか腕が立つが、ここまでだな」ジャキンッ
ジャン「くそっ!!」
クリスタ(どうしよう…太刀打ちできない…)
アルミン(壁内にあんな戦闘能力を持つ人間がまだいたなんて……)
巨人「…」ズシンズシン
コニー「ベルトルト、しっかりしろ!!」
ベルトルト「はあ……はあ……まだ…死にたくない、アニ!!目を…目を覚ましてくれっ!!!」
アニ「…」
ピシッ
コニー「…え?」
ピシッ ピシピシッ
アルミン「!!」
ジャン「なっ………」
カアアッ!!!
アッカーマン「…っ!!」
ドゴオオオォォッ!!!
女型の巨人「…」
サシャ「め…女型の巨人…」
ベルトルト「……アニ……」
アルミン「…」
アッカーマン「せっかく拘束していた巨人のスパイを勝手に持ち出した挙げ句、また覚醒させちまうとは……ここでトドメを…」バシュッ
女型「…っ!!」ギュンッ
ブオンッ!!
アッカーマン「ぐうっ!?危ねぇ、なんて蹴りだ!!」
ベルトルト「アニ、僕らを連れて…遠くまで走ってくれ!!!」
女型「…」
アッカーマン「こいつ!!」バシュッ
女型「…」パシンッ
アッカーマン(ワイヤーをつかまれた!!)
グンッッ
アッカーマン「…っ!!!」バシイィィィンッ
ベルトルト「みんな、早く女型の巨人の手に乗れ!!ここから離れる!!!」
コニー「おう!!」
ジャン「突然出てくるからビックリしたじゃねぇか……」
女型「…」
―――――
―――
壁内人類どもは悪魔の末裔だ……奴等はこの世界全てを滅ぼす
コロセ、コロセ、コロセ………
ベルトルト「…うっ…」
ジャン「…目は覚めたか?」
ベルトルト「あれ、ここは?」
アルミン「巨大樹の森だ。ベルトルトは出血が酷くて途中から気を失っていた」
アニ「…ベルトルト…」
ベルトルト「!!すまない、いきなりこんな状況に放り込んで…」
アニ「…別にいいよ」
アニ「………アルミン、ジャン、コニー、クリスタ、サシャ……ごめん。あんた達を騙していて」
ジャン「今さら謝っても遅いだろ……同期とは言え、お前らが今までした事を許すなんて出来ないぞ」
アニ「…だよね…」
コニー「それにしても、何でアニの結晶が急に解けたんだ?」
アニ「わからない…ずっと意識がなかったから…でも、何か…助けなくちゃって思ったんだ」
ベルトルト「…」
アルミン「…今はそれより重要な話がある」
ジャン「ああ…ベルトルト、お前…何が目的なんだ?故郷に連れていってどうする気だ」
ベルトルト「…初めに言ったろう…」
クリスタ「この世界に未来が無いから私達だけでも逃がすって言ってたね」
ジャン「本当にそれだけか?何かずっと様子がおかしいように見えるが…」
アルミン「そもそも、逃がすと言っても君の故郷は僕達を受け入れてくれるのか?」
ベルトルト「…」
アニ「え?どういう事?」
サシャ「ベルトルトが、私達を故郷に連れていくって言ってるんですよ。壁にいても危険だからって…」
アニ「は?ベルトルト…故郷にどうやって帰るつもりなの?」
ベルトルト「…」
アニ「故郷には、あの猿と合流しなきゃ帰れないんだろ?」
アルミン「さる?」
ベルトルト「…」
アニ「そもそも…何か手柄を立てなきゃ故郷に帰れないんだろ、あんた…故郷に行くって嘘じゃないの?」
ベルトルト「…」
ジャン「…ベルトルト?」
コニー「お前、泣いてんのか?」
ベルトルト「…ああ…そうだよ…故郷に連れていくのは…嘘だ」
ジャン「はあ?どういう事だよ!」
ベルトルト「…壁の中に…いや、この世界そのものに先が無いのは本当の事だ……」
アルミン「…」
アニ「…」
ベルトルト「そして、皆を巻き込みたくないのも本当だ…」
コニー「…」
クリスタ「…」
サシャ「…」
ベルトルト「このまま、故郷にいても壁にいても、地獄しか無いんだよ、この世界には!!だから皆で逃げたかったんだ…どこか遠くへ…誰にも干渉されない自由な地に…」
アニ「…」
ベルトルト「とにかく、このまま遠くまで逃げよう!!どこかに…静かに平和に暮らせる場所があるかも知れないだろ!!僕はもう嫌なんだ…これ以上は…」
アニ「…あんたの気持ちは、わかるよ…逃げたくなるのも仕方ない…」
ベルトルト「…」
アルミン「…」
ジャン「……お前の気持ちはわかった。だがな…やっぱり、このまま引き下がれないんだよ…」
コニー「ああ…壁内はやっぱり俺達の故郷なんだ…」
クリスタ「…逃げるなんて…できない」
サシャ「確かにこの世界は地獄かも知れないけど…諦めたら、それこそ本当に終わりじゃないですか」
アルミン「僕達は仲間をたくさん殺されたんだ…ベルトルトの言う通り何をしても無駄かも知れない。でも、それでも…このまま無視はできない」
ベルトルト「…そう言うと思ったから…故郷に行くって嘘をついたんだ…」
アニ「…」
ジャン「悪いがな、ベルトルト…俺は最後まで自分のやりたいようにやるつもりだ。例え無駄に終わろうとな…」
ベルトルト「…君たちは…本当に強いね…」
アニ「…じゃあ…結局、どうするの?」
アルミン「…このまま壁内に戻っても何も変わらないだろう、僕達は無力で何も知らないから」
アルミン「だから…ベルトルト、アニ。まずは知ってる限りの…この世界の事を教えてくれ」
ベルトルト「…それは…」
アニ「いいよ、話してあげる」
ベルトルト「アニ!?」
アニ「あんたの言う通り…どこにいようと地獄なのは変わらないさ。なら私は、自分の本当にやりたいようにやる…」
ベルトルト「…わかった」
アニ「何でも答えてやるよ、好きに質問しな」
アルミン「…巨人とはなんだ?何でこの世界にたくさんいて…人を食う。そして、君たちのように巨人になれる人間もいるし…中央も巨人を作っていた…」
アニ「…そこまで言ったらだいたい想像つくだろ?」
アルミン「まぁね…」
アニ「巨人は人工的に作られた生物兵器…人間を元にしてね」
アルミン「…やっぱりか…」
ジャン「待てよ、おかしいだろ…何で人工的に作られたもんに人類が追い込まれてるんだよ!?昔の世界の人間の多くは巨人に食われたってあるし…」
アニ「それは嘘だよ」
ジャン「!!」
アニ「人類の数が少ないのは巨人に食い尽くされたからじゃない……大半の人間が巨人にさせられたからだよ。あの壁の中の人類以外は全て巨人にさせられたのさ」
アルミン「…それなら外に巨人が大量にいるのも…納得できるね」
ジャン「だとしても色々とまだおかしい点はあるぞ。何で昔の人類はそんな物を作った…何の為に?」
アニ「私もそこまでは知らない…全てを教えられた訳じゃないからね。でも、私が思うには人類を管理する為に作られた存在じゃないのかな…たぶん」
サシャ「人類を管理?」
アニ「昔の世界では…人類は世界中に数多く繁殖し、自然を破壊し戦争してどんどん世界を壊していったみたいだからね」
アルミン「…王政が外の世界に興味を持たせようとしないのは…やはり巨人の秘密が関係あるのか」
アニ「中央が作っていた巨人ってのも…私達の故郷と戦争するためのものだろうね」
アルミン「え?」
コニー「…なぁ、巨人の中身は…人間なんだよな…」
ジャン「ああ…みたいだな」
コニー「じゃあ、俺の村にいたあの巨人は…」
クリスタ「!」
ベルトルト「…そうだ、コニー…あれは君の母親だ。そして、あの巨人達はラガコ村の住民だよ」
コニー「…っ!!!」
クリスタ「そんな…」
アルミン「コニー…」
コニー「ベルトルト、てめぇ、何で黙ってやがったんだよ!!」バキッ
ベルトルト「うっ!」
コニー「知ってた癖に知らないフリしてやがったんだな!!この野郎!!」
サシャ「コニー、落ち着いてください…いや、落ち着くのは無理でしょうけど、殴るのはやめましょうよ!!」
コニー「うるせえ、何で黙ってたんだ!!」
ベルトルト「…知ったら、辛いだろうと思ったからだ…」
コニー「ふざけんな、教えてくれたら…まだ何とかなったかも知れないだろうが!!!」
アニ「やめな、コニー……言いにくいけど…巨人にさせられたらもう、どうする事もできないんだよ」
コニー「!!!」
アニ「だから…ベルトルトも黙ってる事しかできなかったんだ」
ベルトルト「いや…黙ってたのも悪い。ごめん…コニー」
ベルトルト「…村人を巨人にしたのは多分、獣の巨人だ。コニーも少し見ただろう」
コニー「…あいつか。あいつが…俺の村を…皆を…」
サシャ「…コニー…」
クリスタ「…許せない…」
アルミン「…壁の中にも巨人がいた…あれはいったい…」
アニ「壁の中に?いや…それは知らない…」
ベルトルト「…ああ…そんなのは、初めて聞いたよ」
ジャン「お前らもやっぱり全て知ってる訳じゃないんだな」
ベルトルト「うん。壁の中の人類の事も…悪魔の末裔だ、としか教えられてなかったから」
ジャン「はあ?なんだそりゃ」
クリスタ「…ねぇ、レイス家ってなに?」
アニ「…私も詳しくは知らないけど…今の世界を作り出した一族だとは聞いてる」
クリスタ「!」
アルミン「そういえばレイス家が本当の王家らしいね…」
クリスタ「…わたし、レイス家の子供なんだけど…エルヴィン団長は今の王家を打倒して、私を女王にするつもりみたいなの」
アニ「…」
クリスタ「それで…本当にいいと思う?」
アニ「あんたは女王やりたいの?」
クリスタ「やりたくないけど…」
アニ「ならそれでいいんじゃないの」
アニ「そもそも…王を変えたところでどうにもならないよ。レイス家が存在してる限りね、あいつらは壁の中の支配者なんだから」
クリスタ「…うん」
アルミン「…じゃあもう1つ聞かせてくれ。君たちの故郷ってなんだ?」
ベルトルト「…先に話した通り、昔の人類の大半は巨人にされ、他の人類は壁の中に住むようになった」
アルミン「うん」
ベルトルト「僕も詳しくは知らないけど……ある知性を持った女性の巨人がいた」
ベルトルト「…最初に話しておくとね、巨人は知性を持った巨人を食べると人間に戻れるんだ」
クリスタ「…」
ベルトルト「…知性巨人である彼女は、無理やり巨人にさせられ外にほったらかしにされた巨人達を可哀想に思ったんだ。そして…」
ベルトルト「壁外で自分の身体を巨人達に食わせたんだ」
ジャン「………」
ベルトルト「その時、人間に戻った一部が作り上げたのが、僕らの故郷らしい」
アニ「それから故郷の人間達は壁内の人類をずっと憎んでいる。自分達は巨人にさせられて…一方の壁内人類は平和な場所で呑気に暮らしてるんだから」
アルミン「…そうだったのか…」
このSSまとめへのコメント
ヤバイ、超期待。
胸が詰まるとはこののことか