来ヶ谷「?」(118)
教室――
来ヶ谷(理樹君が何やらコソコソしている)
来ヶ谷(気になるな)
来ヶ谷「……少年」
理樹「ひゃあ!?」
理樹「くくく……来ヶ谷さんっ!?」
来ヶ谷「何だ……私が君に声をかけることは、よほど驚かせることなのか」
来ヶ谷「おねーさん、少し……いや、かなりショックだぞ」
理樹「突然背後からだもん……誰だって驚くよ……」
来ヶ谷「理樹君。先ほどから君の行動を見物していたが、何か後ろめたいことでもあるのか?」
理樹「え……?」
来ヶ谷「私に呼びかけられた刹那……」
来ヶ谷「君は、何かを隠したな?」
理樹「!?」
来ヶ谷「ふっふっふ。おねーさんの眼力を甘く見てもらっては困る」
理樹「いや、来ヶ谷さんは常人とは違うってことは重々承知だよ……」
来ヶ谷「何だ、人を怪人みたいに」
理樹「いやいや……」
理樹(……「何か」と言ってたし見られてないよね……?)
理樹(こんなの見られちゃ、僕はおしまいだよ……)
来ヶ谷「むう。気になるな」
理樹「っ!」
理樹「だっ……だめーっ!!」
来ヶ谷「はっはっは。よいではないか」
理樹「どこの悪代官だよっ!」
キーンコーン……
理樹「あ、ほらっ予鈴が鳴ったよ! 席につかなきゃ!」
来ヶ谷「……仕方ない。遊びはここまでか」
理樹(ホッ……)
来ヶ谷(なーんてな)
来ヶ谷(確実に、何かがあるな。とことんまで追求してやろう)
放課後――
小毬「あ、ゆいちゃーん。一緒に帰ろ~」
来ヶ谷「すまんな。私は今、国家的大事業に従事している」
来ヶ谷「それと、ゆいちゃんは止めるんだコマリマックス」
小毬「ふぇ?」
来ヶ谷(さて、理樹君の動向を監視しなければ)
クド「小毬さん、来ヶ谷さん、今からお帰りですか? 私もご一緒させて下さいっ」
葉留佳「姉御ー! お待たせしましたー!」
来ヶ谷「む……」
来ヶ谷(集まってしまったな……ここで私一人、抜けるのも不自然か)
来ヶ谷(ならば、皆を巻き込むもまた一興)
来ヶ谷「よし。今日はバスターズ女性陣によるお茶会と洒落込もうか」
クド「わふーっ! 楽しそうですっ」
来ヶ谷「鈴君と美魚君も引き入れよう」
美魚「わたしがどうかしましたか」
来ヶ谷「うむ。手際がいいな、西園女史」
美魚「はい?」
鈴「うわ、こまりちゃんやめろー!」
小毬「一緒にあそぼ~」
家庭科部・部室――
クド「粗茶ですがどうぞ召し上がり下さい」
来ヶ谷「ずず……。うむ、うまいな」
美魚「女性限定で集まるというのは意外と珍しいですね」
葉留佳「お泊り会以来?」
クド「い、一応リキは男性なのです……」
鈴「くるがや、今日は何をしでかすんだ」
来ヶ谷「いや、しでかすつもりは毛頭ないが……」
葉留佳「そりゃーもちろん、女だけのガールズトークっしょ」
美魚「好きな異性の告白大会ですか」
小毬「ふ、ふえぇっ!?」
美魚「……同性でも構いませんが」
来ヶ谷「ふむ。それはそれで面白いな」
来ヶ谷「では鈴君。君の好きな男は誰だ?」
鈴「理樹」
クド「即答ですかっ!?」
葉留佳「うわー……すごいなァ、鈴ちゃん」
美魚「流石ですね。幼馴染の絆は伊達ではありません」
鈴「なんだ? お前ら理樹嫌いなのか?」
ガールズ「!?」
鈴「こまりちゃんはどうなんだ?」
小毬「わわわ、わたしっ!?」
小毬「もっもちろん、その、嫌いじゃないけどっ」
鈴「? みおは?」
美魚「えっ!? ……あ、あの……」
美魚「そっ……その……」
美魚「……すっ」
鈴「くるがやは?」
美魚「……ダコはおいしいですね」
葉留佳「……」
美魚「……何ですか」
来ヶ谷「無論、理樹君は好きだよ」
来ヶ谷「というか、これは我ながら愚問であったな」
来ヶ谷「この場にいる者は皆、理樹君が好きなのだから」
クド「わふーーーっ!?」
来ヶ谷「さて、そろそろ本題に入ろうか」
鈴「ん……やっぱり何かあるのか」
来ヶ谷「まあ、君達がいるのは少々想定外ではあるが」
来ヶ谷「話は、今日の休憩時間のことだ……」
葉留佳「へーっ、理樹くんが隠し事デスカ」
来ヶ谷「確証はないが、まず間違いはないだろう」
クド「何を隠しているのでしょう……」
来ヶ谷「今のところは、皆目見当がつかん」
来ヶ谷「だが、この話を聞いて君達は興味を抱いた。これも間違いないな?」
美魚「前々から思っていましたが、来ヶ谷さんは恭介さんにそっくりですね」
来ヶ谷「まあ、愉快なことに目がない点においては似ているかもな」
小毬「ゆいちゃん、それは理樹君に悪いと思うよ?」
来ヶ谷「まずはゆいちゃんと呼ぶのを止めてもらおうか」
来ヶ谷「小毬君。確かに人の秘密を無理矢理暴くのは倫理に反する行為だろう」
来ヶ谷「だがしかし。仮に理樹君が現在、重大な危機に直面していたとしたら?」
小毬「?」
来ヶ谷「禿げ上がる程、大きな難題を独り抱えて苦悶する理樹君……」
来ヶ谷「誰に相談すら敵わないほど、事態は切迫し追い詰められているとしたら……」
小毬「……!」
来ヶ谷「他ならぬ、私達が助けてやらねばなるまい」
小毬「それは……確かに!」
来ヶ谷「理解してくれたか。そうだ、私達には時間がないのだ」
来ヶ谷「一刻も早く、理樹君の安否を確認しなければ」
小毬「よーし、そうと決まれば早く行かなくちゃ!」
鈴「こまりちゃんが洗脳された」
来ヶ谷「それではまず、理樹君の所在を確かめよう」
クド「自室にいらっしゃるのではないでしょーか?」
来ヶ谷(……)
来ヶ谷「普通から考えるとそうなるな」
来ヶ谷「だが私は今日、理樹君を問い詰めたばかりだ。警戒されたと考えていい」
美魚「成程。直枝さんが機先を制し既に部屋はもぬけの殻。そういうことですね」
来ヶ谷「その通りだ、西園女史」
葉留佳「そうなると、別に場所にいるってことデスネ。んー、どこだろ」
小毬「人通りが少ない場所……?」
美魚「木の葉を隠すなら森の中……。人混みかもしれません」
来ヶ谷「うむ。情報がない以上、ここは散り散りになるべきだな」
来ヶ谷「各自、別の場所を探索する方が効率がいい」
来ヶ谷「発見次第、即メールを。人海戦術だ、洗いざらい吐かせる」
クド「く、来ヶ谷さんが怖いのです……わふっ」
鈴「それはいつものことだろ」
来ヶ谷「もう暫くすれば日も沈む。総員、速やかに行動せよ」
来ヶ谷「ミッション、スタートだ!」
理樹と真人の部屋――
理樹「……」
理樹(ふぅ……。今日は危なかったな)
理樹(来ヶ谷さんにバレたらもう登校拒否も辞さないよ……)
理樹(全く、恭介はいつも僕にこんな無理突きつけるんだから……)
理樹(……さて、それじゃ真人もいないしこの隙に早く隠し……)
???「フッフッフ。会いたかったよ、ヤマトの諸君」
理樹「うひゃあああっ!?」
理樹「くっ……来ヶ谷さんっ!? なんでっ!?」
来ヶ谷「この部屋に来られるとは予想外か?」
理樹「……!」
来ヶ谷「真人少年を外に追い出したようだな。先刻、泣きじゃくる彼の姿を見たぞ」
理樹(真人……ゴメン)
来ヶ谷「確かにな、教室の一件で君の警戒心は強まった」
来ヶ谷「授業が終わり次第、私は直にここへ向かうはずだが……」
来ヶ谷「しかし小賢しい理樹君のことだ。きっと逆を衝いてこの部屋を脱出、別の場所に移動して身を潜めている……」
来ヶ谷「そのように、『来ヶ谷さんは考える』」
理樹(うわぁ……)
来ヶ谷「君は念のための確認、という可能性も考慮に入れるべきだった」
理樹「どう見ても、確認じゃなく確信を持ってここに来たとしか思えないんだけど……」
来ヶ谷「ああ。他には、君が隠したがっているモノを態々外に持ち出すべきか」
来ヶ谷「または、モノを部屋に隠し自分は別の場所に姿を晦ませたところで」
来ヶ谷「ルームメイトである真人君に、何かの拍子で秘匿物を発見されやしないか」
来ヶ谷「まあ、こういった諸々のパターンを勘案し、最適解はこの部屋に留まることだと判断したわけだ」
理樹「……」
来ヶ谷「例え誰が来たところで、他人に部屋まで物色などはされるわけがないからな」
来ヶ谷「それならば、来訪者が現れるまでにゆっくりと隠し場所を定めて……」
来ヶ谷「その後、部屋に堂々と居座っていた方が余程安全だな。誰が来ようと、空嘯けばいいのだから」
来ヶ谷「もちろん、私も物色などと理樹君のプライバシーを侵すつもりはない」
来ヶ谷「この部屋のどこかに隠されれば、私とてそれ以上何も出来はしない」
来ヶ谷「……ところで、だ。理樹君」
来ヶ谷「君はその手に、何を持っているのだろうな?」
理樹「……っ! そ、そのタイミングを狙ってっ……!?」
来ヶ谷「さて、何のことやら分からんな」
来ヶ谷「時間だ、理樹君」
理樹「こ、これは絶対だめっ!」
来ヶ谷「大丈夫だ。決して他言はしない。私を信じろ」
理樹「そ、そんなの信じられないよっ!」
理樹「来ヶ谷さん、みんなと一緒に下校してたし、その時に……!」
来ヶ谷「ああ、確かに言ったな」
理樹「じゃあ、みんな今すぐにでもこの部屋にやって来るじゃないか!」
来ヶ谷「が、今頃あの子猫達は君を捜して見当外れの場所にいるさ」
理樹「!?」
来ヶ谷「私としても、そもそも彼女達の介入はあまり好ましい状況ではなかったからな」
来ヶ谷「暫く退場してもらうことにした」
理樹(……こ、この人は……)
来ヶ谷「というわけだ、さっさと私の餌食になるがいい」
理樹「あっ!?」
来ヶ谷「……これは、携帯ゲーム機」
理樹「ーーーっ!」
来ヶ谷「……美少女キャラクター……」
来ヶ谷「ギャルゲーか」
理樹「うわああぁああああぁあああぁあああっっ!!!」
来ヶ谷「ふむ。理樹君が二次元の美少女に興味をそそられているとは」
理樹「死にたい……よりにもよって来ヶ谷さんにバレた……」
来ヶ谷「安心しろ。人の趣味にケチをつけるほどおねーさんの度量は狭くないよ」
来ヶ谷「しかし意外や意外だな。いつ頃から嗜むようになったのだ?」
理樹「……一週間前だよ。恭介から、これでもして恋愛を学べ……」
理樹「いつ何時も、決して手放すなって……。お蔭でこの通り、見つかっちゃったよ……」
来ヶ谷「成程。恭介氏の差し金か。そして当の理樹君も」
来ヶ谷「何だよ恭介俺の要望ってもんが分かってやがるじゃねえかヘッヘッんじゃ早速薔薇のハーレム生活おっぱじめるかシャーコラと血沸き肉躍ったというわけか」
来ヶ谷「可愛いではないか」
理樹「あああぁあああぁああぁあああっ!!!」
来ヶ谷「別にゲームに頼らずとも理樹君はリアルハーレム生活を享受していると思うがな」
来ヶ谷「……さて、このゲームは一体どういった内容なのかな」
理樹「ちょっ、もういいでしょ!」
来ヶ谷「理樹君の嗜好を把握しておきたい」
理樹「しなくていいよっ!」
来ヶ谷「登場人物は……」
来ヶ谷「幼馴染、妹、同級生、転校生、先輩、そして先生が攻略対象キャラか」
来ヶ谷「定番の学園モノだな」
理樹「解説はいいからっ!」
来ヶ谷「さてさて、理樹君が一番惚れ込む女の子は誰かな」
理樹「もう返してよっ!」
来ヶ谷「人間、諦めが肝心だぞ」
理樹「うわあああぁああぁ、うわああああぁぁあああぁ!」
来ヶ谷「……む?」
来ヶ谷「……一人だけか?」
来ヶ谷「セーブデータはいくつかあるが……全て同一キャラのシナリオか」
来ヶ谷「……ポチッとな」
先輩『はっはっは、理樹君は可愛いな』
先輩『むう、そんなことを言われると照れるな……』
先輩『理樹君……私は君が好きだ』
来ヶ谷「自分の名前を入力しているのか……相当熱心にやり込んでいたようだな」
来ヶ谷「ところでこのキャラクター……」
来ヶ谷「どことなく、私に似ている気がするのだが」
理樹(……終わった。何もかも……)
来ヶ谷「うむ。推測するに、理樹君は現実の私に恋をしたが告白は出来ず……」
来ヶ谷「已む無く私の面影がある二次元のキャラクターと四六時中イチャイチャしていたと」
理樹「……」
来ヶ谷「はっはっは。可愛いな理樹君は」
理樹「し、仕方ないじゃないかっ」
来ヶ谷「……? 何がだ?」
理樹「だ、だから、来ヶ谷さんに告白できなくて、ゲームで我慢してたって……」
来ヶ谷「…………」
来ヶ谷「何ぃっ!?」
理樹「えっ」
来ヶ谷「今のは当てずっぽうどころか私の妄想を垂れ流しただけだぞ……」
理樹「……えっ」
理樹「……ていうか、妄想……?」
来ヶ谷(し、しまった!! 私としたことが、つい口を滑らせ……!)
理樹「く、来ヶ谷さん……?」
来ヶ谷「ーッ! わ、私のことなどどうでもいいっ!!」
来ヶ谷「理樹君! 何故、告白しないのだっ!!」
理樹「そ、それは……だって……」
理樹「ぼ、僕と来ヶ谷さんじゃ、どう見ても釣り合わないよ……」
理樹「それに、来ヶ谷さんだって僕のことはそういう目で見てないと思ってるし……」
来ヶ谷「そっ、そんなことがあるかっ!!」
理樹「え……」
来ヶ谷「だっ……だから、私はだなっ……!」
来ヶ谷「理樹君にとって、私はいつでもっ……!」
来ヶ谷「攻略対象なんだ……!」
理樹「!!?」
来ヶ谷「もう出逢った当初から好感度はマックスマックス、コマリマックスだっ!」
来ヶ谷「イベントシーンは未読は無論、既読すらスキップ不可だっ!」
来ヶ谷「しかも、選択肢をミスっても強制ルート突入してしまうバグ仕様だっ!!」
理樹(それはただのクソゲーだよ……)
来ヶ谷「はあっ、はあっ……」
理樹「く、来ヶ谷さん落ち着いて……」
来ヶ谷「うむ……。少々、熱くなりすぎたな……」
理樹「えーと、話を戻すと……」
来ヶ谷「も、戻さんでいいっ!!」
理樹「うわっ」
来ヶ谷「じゃ、邪魔をした……。すまなかった、理樹君……」
理樹「く、来ヶ谷さんっ!」
来ヶ谷「っ……」
理樹「……ごめん、僕は逃げてた……」
理樹「来ヶ谷さんの気持ち云々じゃなく、僕自身が伝えなきゃダメだったんだ」
来ヶ谷「……理樹君?」
理樹「ずっと言いたかったんだ……」
理樹「ぼ、僕は……!」
理樹「来ヶ谷さんを、攻略したいんだっ!!」
来ヶ谷「!!?」
来ヶ谷「り、理樹君……」
理樹「来ヶ谷さんの気持ちを知った上で、こんなこと言うのは卑怯だ」
理樹「……けど!」
理樹「僕は来ヶ谷さんに憧れてて……」
理樹「ずっと好きだったんだ!!」
来ヶ谷「ーーーっ!!」
理樹「く、来ヶ谷さんの返事を、訊きたい……」
来ヶ谷「……そ、そんなもの……」
来ヶ谷「……言ったはずだぞ、私は……」
来ヶ谷「君にとって、いつでも攻略対象だと……!」
理樹「!!」
来ヶ谷「ルートは確定した……。リセットは出来んぞ……?」
理樹「く、来ヶ谷さんっ……!」
来ヶ谷「理樹君……私も、その……」
来ヶ谷「……好きだったんだ!」
理樹「うん……うんっ!」
理樹「ありがとうっ……!」
…………
………
……
来ヶ谷「……ふむ」
来ヶ谷「しかし、このゲームは中々面白いな」
理樹「僕も最初は乗り気じゃなかったけど、次第にのめり込んじゃって……」
来ヶ谷「……ゲームもいいが、これからは……」
理樹「あ、うん……」
来ヶ谷「ふふ……」
来ヶ谷「……ん?」
来ヶ谷「何だ……このセーブデータは」
理樹「どうかしたの?」
来ヶ谷「見てみろ……最後のページの、端っこだ」
理樹「あれ……? こんなところにセーブした覚えはないけど」
来ヶ谷「……ロードしてみよう」
幼女『えへへ♪ 恭介おにーたん大好き!』
理樹&来ヶ谷「!?」
幼女『恭介おにーたん、だっこして、だっこぉ♪』
理樹「な……!」
理樹「何だ……これはッ……!?」
来ヶ谷「タイトルにこんな人物はいなかった……」
来ヶ谷「……隠れキャラか!?」
幼女『恭介おにーたん、おふろにはいろー!』
幼女『恭介おにーたん、いっしょのおふとんでねよ……?』
理樹&来ヶ谷「…………」
来ヶ谷「……り」
来ヶ谷「理樹君が恭介氏の名を入力して……」
理樹「そっ、そんなわけないよっ!! 僕にそんな趣味ないよっ!!」
来ヶ谷「う、うむ……。私も理樹君は、そんな趣味はないと思うが……」
来ヶ谷「……ということは……」
恭介「おーっす、遅くなっちまったな」
理樹&来ヶ谷「!!?」
恭介「お、来ヶ谷だけか、珍しいな。他の連中は?」
来ヶ谷「か……課題に追われ、自室で修養を積んでいるはずだ……」
恭介「何だよ、つまんねーな……」
恭介「……? 二人とも、どうかしたか?」
恭介「まるで、世界の終わりを目の当たりにしてるような顔してさ」
理樹&来ヶ谷「……」
数日後――
理樹「みんな、おはよう」
来ヶ谷「お早う諸君」
小毬「おはよ~」
鈴「……む」
鈴「また一緒に登校か……」
来ヶ谷「すまんな鈴君。大事な彼を掠め取ってしまって」
鈴「なっ!?」
理樹「来ヶ谷さん、あまり刺激しないであげて」
鈴「理樹なんて嫌いだーーーーっ!!」
葉留佳「おはよーッス……あ、理樹くんに唯ねえ。また一緒デスカ」
美魚「お二人に何かあったのですね。恐らくは数日前の捜索騒動に……」
来ヶ谷「ほらほら、理樹君。またタイが曲がっているぞ」
理樹「あ、ありがとう来ヶ谷さん……」
小毬「ふぇ~……。何か新婚さんみたい……」
クド(羨ましいのです……わふぅ……)
葉留佳「ところでさ、今日は何すんの?」
美魚「そういえば、最近はあまり野球をしていませんね」
葉留佳「野球……。はるちん何だか燃えてきましたヨ!」
理樹&来ヶ谷「……!」
小毬「それじゃ、恭介さんに……」
理樹「それよりさっ!!」
鈴「ふにゃっ!?」
理樹「今日は別のことしようよっ!!」
鈴「な、何だ急に大声出して……」
理樹「か、缶蹴り! 缶蹴りしようっ!!」
美魚「以前やった……あれですか」
葉留佳「缶蹴りかー。んー……野球熱がムンムン滾ってたけどナー……」
来ヶ谷「理樹君に賛成だっ!!」
クド「わふーーーっ!?」
小毬「ゆ、ゆいちゃん……?」
来ヶ谷「私も缶蹴りだ、缶蹴りを猛烈にしたい気分だなっ!!」
葉留佳「ゆ、唯ねえがそこまで言うんなら……」
謙吾「お、どうしたどうした。皆集まって密談か? 俺も交ぜろ」
真人「おっす、理樹! 相変わらず筋肉がギシギシ暴れてるな!」
理樹「真人、謙吾! 二人も缶蹴りしたいよねっ!?」
真人「缶蹴り……?」
謙吾「おっ、あの時の続きか! うわあああ燃えてきたぜーっ!」
来ヶ谷「決まりだな!」
美魚「……それではこの旨を恭介さんに……」
理樹「よーし、みんな! 昼休みに集合だよっ!!」
一同「……?」
恭介(……何か最近、理樹と来ヶ谷に避けられてる気がするな)
恭介(……ま、気のせいだよな)
恭介(避けられる理由なんてないしな。……ないよな?)
恭介「よっしゃ、今日も遊んで遊んで遊びまくりだぜっ!」
恭介「リトルバスターズ最高! いやっほーーーーうっ!!」
後日――
彼の世界は終焉を告げた。
完
/ \
// ヽ
| | ヽ |
| | | | | |
Ⅵ | | | |/リ じゃ、解散
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r.| | | | ┌∨ |y'┐
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ヽ ノ/:::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ_
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