華琳「一刀がいなくなって」(74)

華琳(もう随分と経った気がするけれど、実際にはまだ満月が二度きた程度)

華琳(・・・つくづく一刀の存在がわたしの、そして魏の中でいかに大きかったか痛感する)

華琳(一刀が天に帰ったと皆に伝えた時の光景は・・・見ていられなかった)

華琳(秋蘭の泣き顔なんて見たのはいつ以来だろうか)

華琳(桂花も普段通りを装ってはいたけれど、わたしの声すら届いていなかった)

華琳(春蘭も、真桜も凪も沙和も泣き崩れて立つことも出来なかった)

華琳(あの風も稟も、抱き合って泣いていた)

華琳(そして兵や民達も・・・)

華琳(戦が終わったというのに、喜びよりも悲しみが勝るというのは・・・まったく、いつか戻ってきたらどんな仕返しをしてやろうか)

華琳(戻ってきたら・・・か)

華琳(さて、と)

華琳(三国統一が成った今、やることはそれこそ黄河の流れのように果てしなくあることだし)

華琳(早く執務室にいかなくちゃ桂花が大騒ぎするわね)ガタッ

華琳「っ!?」フラッ

華琳「っ、うぅ、うぷっ・・・~~っ!」




コンコン

桂花「華琳さま~?もう政務のお時間ですが、いかがされました?」

『ぅっ・・・け、桂花?少しおくれっ・・・』

桂花「華琳さま?ご気分でも優れないのですか?」

『も、問題ないから先にいってい、おぇぇっ、げほっげほっ』

桂花「華琳さま!?」

バタン!

華琳「うっ・・・」

桂花「華琳さま!だ、誰かある!?医者を呼んで!!」

桂花「医者はまだなの!?」

華琳「大したことではないわ。少し気分が悪かっただけよ」ムクッ

桂花「だ、ダメです!華琳さまは寝ていて下さい!今医者が来ますので」グイッ

華琳「わたしに命令するのかしら?」

桂花「っ・・・ふ、不敬とおっしゃるのであればこの首を差し上げます。ですが今はどうかご自愛下さいませ」

華琳「冗談よ。まったくそこまで心配することではないでしょう?」

桂花「・・・華琳さままでいなくなられては・・・生きる意味がなくなります」

華琳「っ・・・そう。あなたがそこまで言うのなら大人しくしていま」

バターーーーン!!

春蘭「華琳さまあああああああああああああああああああ!!!」

桂花「うるさい馬鹿!!」

春蘭「なんだとう!?」

桂花「あなたの馬鹿みたいな大声で華琳さまの体調が悪化したらどうするつもりなのよこの馬鹿春蘭!」

春蘭「か、華琳さま!!お加減はいかがですか!?」

桂花「人の話をききなさいよ!」

華琳「春蘭」

春蘭「はいっ!」

華琳「あとで扉を直しておきなさい」

春蘭「はいっ!・・・?」



秋蘭「華琳さま、医者を連れて来ました」

華佗「患者はきみか?曹操」

華琳「久しいわね華佗。来ていたの?」

華佗「あぁ、薬草を仕入れに寄らせてもらった。倒れたと聞いたが?」

華琳「大したことではないの。少し気分が優れなかっただけよ」

華佗「素人判断はよくないな。見てみよう」

華佗「はああああああああああああああああああ!!」

華佗「俺の両目が光って唸る!病魔を倒せと轟き叫ぶ!」ピカァーッ

華琳「わ、わかってはいても攻撃されるようで慣れないわね」

華佗「むっ!こ、これは!?」

桂花「ど、どうなの?

華佗「なるほどな・・・」

春蘭「どうなんだ!?華琳さまは大丈夫なんだろうな!!」ガクガク

華佗「うぐっ、んんんーー!!」

秋蘭「落ち着け姉者。華佗が死ぬぞ」

春蘭「おぉ」パッ

華佗「げほっげほっ!は、はぁぁ・・・今は亡き師匠が見えた」

桂花「それでどうなの!?」

華佗「曹操・・・」

華佗「懐妊おめでとう」


桂花「へ?」
春蘭「ん?」
秋蘭「なっ」

華琳「かいにん・・・?」

華佗「あぁ。ふた月前後というところか。気分が優れなかったのは悪阻だろう」

華琳「・・・・・・」
桂花「・・・・・・」
春蘭「・・・・・・」
秋蘭「・・・・・・」

華佗「お、おいどうした?めでたいことじゃないか」

桂花「華琳さまに・・・御子が宿った・・・?」

秋蘭「なんと・・・」

桂花「ということはつまり・・・」

華琳「一刀の・・・子」


春蘭「なんとぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」

春蘭「華琳さまがああああああああああああああああああ………」ドタドタ

秋蘭「姉者!」

桂花「あれじゃ華琳さまになにかあったと皆が勘違いするじゃない!」

秋蘭「姉者もどう喜びを表したらいいのかわからんのだろう」

華琳「一刀の子・・・」



稟「華琳さま!?体調がすぐれないと聞きましたがこの騒ぎは」

風「春蘭ちゃんの雄叫びが聞こえたのですよ」

桂花「あの馬鹿春蘭・・・」

秋蘭「体調が優れないのは確かだが悪いことではない」

稟「どういうことです?」
風「おぉ!もしかしてもしかすると」

秋蘭「華琳さまがお世継ぎをご懐妊なされた」

稟「・・・・・・ぷはっ!!」ブーッ

風「これはこれは・・・おめでとうございますです」

華琳「えぇ、ありがとう」ニコッ

桂花「くっ・・・華琳さまにお世継ぎが出来たのは喜ばしいのにあの忌ま忌ましい男のでもこれで我が魏に天の血がでも・・・」ブツブツ

風「これは国をあげて祝うしかないですねー桂花ちゃん」

桂花「うぐっ」

秋蘭「呉や蜀にも知らせねばならんな」

桂花「うぐぐっ」

稟「・・・・・・」

風「稟ちゃん朝ですよー」ペチペチ

稟「うーん・・・はっ!?」ガバッ

稟「かかかかか華琳さま!ご懐妊おめでとうございますっ!」

華琳「ありがとう稟」

華佗「祝うのは大いに結構だがあまり無理は駄目だぞ。大事な身体だ」

桂花「無理なんかさせるわけないじゃない!」

風「おーおー華琳さまの仕事はわたしに全部まかせろ、と」

桂花「えっ」

稟「さすが筆頭軍司殿。華琳さまの右腕です」

宝けい「頼りになるぜ姉ちゃんよう」

桂花「と、とうぜんよ!いくらでもこなしてやるわよ!」

秋蘭「ふっ」


季衣「華琳さまーーっ!!」
流琉「華琳さま!!」

お腹空いたわ

季衣「春蘭さまがっ!華琳さまが大変だって!」

流琉「ご、ご病気なんですか!?」

華琳「はぁ・・・秋蘭」

秋蘭「はっ。街に出る前に止めてきましょう」

季衣「あのっ・・・華琳さま?」

華琳「心配してくれてありがとう。でも病気ではないわ」

流琉「怪我ですか!?」

華琳「妊娠したの」

季衣「にんしん・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

流琉「に、兄様のですか!?」

華琳「えぇ。他に心当たりはないわ」

季衣「兄ちゃんの子供!?やったあああああああああああ」
流琉「やったね季衣!!」

秋蘭「その前におめでとうございますだろう?」

流琉「おめでとうございます華琳さま!」
季衣「おめでとうございます!」

華琳「ありがとう二人とも」

流琉「わ、わたしお祝いのお料理たくさん作ります!」

季衣「ボク山で猪取って来る!」

桂花「悪阻があるのに猪なんて食べられるわけないでしょ!?」

季衣「じゃ、じゃあ熊?」

桂花「もっとダメよ!」

華琳「その気持ちだけで十分よ」

風「ではでは、風は同盟国への報告の手配をしてくるのですよ」

稟「わたしも手伝いましょう」

流琉「わたしは悪阻に効く料理を作ってきます!」

華佗「薬膳料理なら心得がある。手伝おう」

季衣「ボクも!」

桂花「わたしは華琳さまがお休みの間、政務を全て滞りなくおこなってみせます!」

華琳「えぇ、頼りにしているわ」

華琳(久しぶりね・・・こんなに生き生きとした皆の顔を見るのは)

華琳(皆から笑顔を奪ったと思えばこんなに簡単に戻してしまうんだから・・・)

華琳(早く帰ってきなさい一刀。あまり遅くなると子に父と呼んでもらえなくなるわよ?)


華琳懐妊のニュースはまたたく間に三国をかけめぐった


10日後

凪「よ、ようこそおいでくだ・・・孫策様!?」

雪蓮「出迎えありがとう凪。雪蓮でいいって言ったでしょ?」

凪「い、いえ、あの・・・なぜ孫策様が?」

雪蓮「華琳が妊娠なんてそんなおも、げふんげふん、めでたいこと祝いにこないわけにいかないじゃない」

凪(今絶対面白いって・・・)

小蓮「本当なら蓮華お姉ちゃんとシャオが来るはずだったんだけど、出発の時に雪蓮お姉ちゃんが縛って部屋に閉じ込めてきちゃったの」

凪「・・・」

雪蓮「人聞きの悪いことを言わないで欲しいわね~。ちゃんと頼んで代わってもらったわよ」

祭「戻ったら公謹になにを言われることやら。いや、言われるだけで済めばよいが」

雪蓮「うっ・・・ま、まあとりあえず今は華琳に祝いの言葉を送るのが第一!案内お願いね凪」

凪「はっ!」



雪蓮「あら?あんまり変わってないじゃない」

華琳「同盟国の王に会った第一声とは思えない挨拶ね孫策殿?」

雪蓮「あ、あぁー・・・おほん。この度のご懐妊、心より祝福致します」

華琳「祝いの言葉、ありがたく頂戴します。遠いところをよく」

雪蓮「いやーでも本当に変わってないわね。もっとお腹出て母の顔でもしてたら面白いのに」

華琳「・・・はぁ。それで?どうしてあなたが。来るのは妹二人と聞いていたけど」

雪蓮「同盟国の王を祝うため」

華琳「政務ばかりで退屈で仕方なかったから抜け出す良い機会だった、と」

雪蓮「あらよくわかったわね。さっすが華琳」

華琳「・・・せっかく手に入れた平和をなんだと思っているのかしら」

雪蓮「冗談に決まってるじゃない。半分は」

華琳「冥琳にもそう伝えておきましょう。稟」

稟「はっ、ただちに」

雪蓮「ちょっ、冗談だってば!」


雪蓮「体調は?」

華琳「たまに悪阻があるくらいで至って健康よ」

雪蓮「へぇ~・・・」

華琳「なにかしら」

雪蓮「変わらない、って言ったけどあれは間違いね」

華琳「どういうこと?」

雪蓮「あなたも周りもみんな良い顔してるわ。あの戦いが終わって、いえ正確には天の御遣いがいなくなってからのあなた達、はっきり言って暗かったもの」

順調にお腹大きくなる

陣痛くる

華琳の病魔(持病の頭痛のやつ)が暴れて難産になる

華琳死にかける

華琳と子の声が聞こえたと光りとともに現れた男が病室に飛び込む

華琳頑張る

産まれる

幸せな日々

他の皆も子を授かる

大団円


ってルートがあっても良かったと思ってスレ立てたけど恋姫のキャラの多さ舐めてた
すまぬ・・・すまぬ・・・


終わり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年06月15日 (日) 20:19:46   ID: lwLlbKP5

頑張れよ…

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