クド「リキの様子がおかしいのですっ」(256)
昼休み・教室――
小毬「ふぇ? 理樹君がどうかしたの、クーちゃん」
クド「あ、小毬さん。何か、ここ数日でリキがしょっくを受けたとか……」
クド「そのようなことはありましたか?」
小毬「う~ん……特にないと思うけど」
クド「ですよねー……わふー」
小毬「理樹君はいつも通りじゃないのかな」
クド「それは違うと思うのです」
クド「私が話しかけようとしたら突然席を立たれてしまったり……」
小毬「う~ん? 特にヘンだと思わなかったけど……」
小毬「元気がなかったってこと?」
クド「そんな感じでしょうか……」
小毬「うん。クーちゃんが言うんだからそうかもしれない」
小毬「よおーし、理樹君に聞いてみよー」
クド「わわっ、小毬さん私も行くですっ」
小毬「だいじょーぶ。私に任せてー」
クド「わふっ……」
小毬「理樹君っ!」
理樹「うわ、どうしたの小毬さん。そんな気合い十分に……」
小毬「元気ですかーっ!」
理樹「えっ」
小毬「元気ですかーっ!!」
理樹「い、いーち?」
小毬「にーい!」
理樹「さーん?」
理樹&小毬「ダーーーーーーッ!!!」
理樹「っていきなり何なのさ!?
小毬「ほわぁっ!? こうじゃなかったぁ!」
小毬「理樹君、えーと……」
小毬「……元気ですか―っ!」
理樹「いやそれはもう分かったから……」
小毬「あぅ~。こうじゃなくて……」
小毬「理樹君、落ち込んでる?」
理樹「え……いや、別に落ち込んでないけど」
小毬「う~ん……。私もそう見えるよ~……」
理樹「? ごめん、話がよく見えない。何かあったの?」
小毬「クーちゃんが言うには、理樹君の元気がないって……」
理樹「!」
クド「リ……リキ、ぐっどあふたぬーんなのです」
理樹「グググッグッアフトゥヌーン!?」
クド「ひゃあ!?」
小毬「ひょええっ!?」
理樹「あっ……う……」
理樹「ご、ごめん、ちょっと用がっ」
クド「リ、リキー!?」
小毬「は~……。ビックリしたよ~」
クド「小毬さんっ、これは絶対おかしいですよねっ」
小毬「うん……これは何かあるよ……」
小毬「みんなに相談しよう、クーちゃん」
クド「了解しました!」
放課後・理樹と真人の部屋――
※本日のゲーム、ポーカー
真人「よっしゃ、4枚捨てるぜ。ドローっと」
真人「……チッ、またブタかよ」
真人「いや、ブタでもブリーフだかで相手を困惑させられるんだったな……」
真人「うおっ、それなら最初からやっておけば良かったじゃねえか!」
恭介「お前はいい加減自ら手役をさらけ出すのを止めろ。あとブリーフじゃなくてブラフな」
真人「おっと、そうだったな。わりいわりい」
真人「へへ、お前ら俺のカードに勝てるかよ」
鈴「お前アホだろ」
謙吾「ふ……このままでも十分ではあるが……」
謙吾「……あと一回」
真人「ああ?」
謙吾「あと一回……俺はお前よりも多くカードを引ける」
真人「何っ……!?」
謙吾「光栄に思うがいい。俺の究極の手役を見られるのは……」
謙吾「……お前が最初で最後だァ!!」
鈴「お前らうっさいから黙れっ!」
謙吾「おっと、興奮しすぎたな。それでは、2枚交換だ」
恭介「……」
鈴「……」
真人「いいの出たかよ、謙吾」
謙吾「ふっ」
謙吾「はーっはっはっは!! 来やがったぜっ!! ヒャッホウ!!」
恭介「チッ、このお子ちゃまはイマイチ読めねえ」
恭介「鈴、いいぞ」
鈴「言われんでも分かるわっ」
鈴「……これ1枚」
鈴「ん」
恭介「俺はこのままでいいや」
恭介「つーか、理樹はまだかよ……繋ぎでやってんのにもう終わっちまうぞ」
真人「おっしゃ! んじゃ賭けるか。とりあえず3枚バットだ」
恭介「ベットな」
謙吾(真人はブタ、恭介はストレート……いやフラッシュ辺りか?)
謙吾(……鈴は1枚チェンジ。ツーペアからのフルハウス狙いといったところだろう)
謙吾(ふ、分は悪かったが2枚を捨てて正解だったな。例え揃ったにせよ、そんな役では俺には勝てんぞ)
鈴「お前は……死ぬ」
謙吾(ピク)
謙吾「……ムカつく野郎だァ!!」
謙吾「お前にこの俺を倒すことなど、無理なんだァ!!」
謙吾「全チップ、レイズ!!」
恭介「あぁ!? 正気かよ……!!」
鈴「受けて立とう。こーる」
真人「何だ、面白そうじゃねえか! んじゃ俺も全部出すぜ、コーラ!」
恭介「ったく、お前ら熱くなりやがって。こうなったら俺も」
恭介「……ドロップだ」
真人「勝負しねーのかよ!」
謙吾「公開ッ……!」
鈴「……!」
鈴:ロイヤルストレートフラッシュ
謙吾:フォー・オブ・ア・カインド
真人:ブタ
恭介:ドロップ(フルハウス)
謙吾「なっ……馬鹿な!? こんなことが……」
恭介「しかもスペードでかよ……どんな確率だ」
鈴「ふん……」
鈴「謙吾もまだまだ……甘いっ」
謙吾「甘かったのは……! ぐわああぁあああぁあっ……!!」
真人「はっはっは、謙吾っち自信満々で負けてやがる」
謙吾「勝算はあったんだが……手の内を読み切れなかったか……」
恭介「真人、お前チップ0枚でドンケツだ。罰ゲームな」
真人「なにっ!? 謙吾だって全部突っ込んで爆死したじゃねーか!」
恭介「最後の役を見てみろ、謙吾はフォーカード、お前はブタ」
真人「……」
鈴「というかお前、ブタなのに全部賭けるとか馬鹿なんじゃないか?」
真人「うおおぉおおおぉおおおおぉっ!!? 降りればよかったああぁああああぁあぁっ!!!」
恭介「んじゃ本日の罰ゲームはっと……」
小毬「理樹君っ!」
クド「リキーっ!」
鈴「こまりちゃん! クド!」
恭介「ん? お前らか。どうした、勢揃いじゃないか」
来ヶ谷「うむ。少年が危機的状況に陥っていると聞いてな」
謙吾「危機的状況?」
美魚「……直枝さんはいらっしゃらないようですが」
恭介「ああ、俺たちも理樹を待ちがてらゲームをしてたんだが……」
恭介「……どうやら、穏やかじゃなさそうだな。話を訊かせてくれ」
恭介「……なるほど。理樹の奴が意識朦朧、心神耗弱、情緒不安定の重体か……」
真人「おいおい……マジでヤベーんじゃねーのか」
クド「そ……そこまでは言ってないのですっ……」
葉留佳「とにかくっ、理樹くんがいつもと違うっていうのはホントみたいだよ」
恭介「それは、全員確認済みなのか?」
来ヶ谷「いや、直接見たのは小毬君とクドリャフカ君のみだ」
美魚「わたしも含め、その他の方は異変には気付いていませんでした」
葉留佳「宮沢くんと鈴ちゃんは?」
鈴「あたしも知らなかったぞ」
謙吾「俺も初耳だな。今日も特段変わらず過ごしていたと思うが……」
恭介「小毬、能美。その時の状況を詳しく教えてくれないか」
小毬「はいっ。今日のお昼休みのことだったんだけど」
小毬「まず、クーちゃんから理樹君に元気がないって相談されました」
クド「相談しましたっ」
小毬「私も言われるまで全然分からなかったんだけど……」
恭介「へえ……小毬もその時点では気づいてなかったのか」
小毬「うん。でもクーちゃんが冗談でそんなこと言うはずないし、それじゃ確かめてみようって」
恭介「ふむ。それで?」
小毬「すぐに理樹君に声をかけに行きました」
小毬「けど、いつもと変わらない理樹君でした……」
恭介「ありゃ……?」
真人「どういうこったよ」
小毬「でも、その後! その後に理樹君の挙動がおかしくなったんだよ~」
謙吾「その後……何があったんだ?」
小毬「え~と……クーちゃんも遅れて理樹君に挨拶しに来たの」
クド「そうしたら、急にリキが焦ったようにどこかへ行かれて……」
一同「…………」
来ヶ谷「……元を辿れば、この事態に気付いていたのはクドリャフカ君一人だけだな」
クド「そう言われればそうですね……」
クド「どうしてリキは、他の方にはそのような素振りを見せないのでしょうか……」
一同「…………………………」
クド「……? あの、みなさん? 何で急に静かに……」
葉留佳「さあーて、解散解散っと」
美魚「お疲れさまでした」
来ヶ谷「諸君、また明日学校で会おう」
クド「わふっ!? ど、どうされたのですかっ!? なぜ帰るのですかっ!?」
葉留佳「だーってさー。それってどう考えたって……」
クド「?」
小毬「私も今気づいたよ……。そっか、だからクーちゃんのときだけ……」
美魚「わたしたちが分からなかったわけですね」
クド「す、すみません……要領がつかめないのですが……」
鈴「あたしも分からん」
クド「どなたか、お願いしますっ、教えて下さいっ」
葉留佳「真人くんにでも聞けば?」
クド「い、井ノ原さん、どういうことなのでしょうかっ!?」
真人「理樹の奴がクー公を好きってこったろ?」
クド「わふーーーーーーっ!!?」
葉留佳(ニブチンのくせに何で分かるんだこのきんにくダルマはっ!!)
クド「リ、リキ、リキがっ、私のことを、す、すっ……!?」
クド「……わふぅ~」
鈴「あ、倒れた」
恭介「介抱してやれ。丁度いい、理樹のベッドを使わせてもらおう」
鈴「うん」
小毬「鈴ちゃん、手伝うよ~」
鈴「ありがとう、こまりちゃん」
恭介「……さて、予想だにしない展開となったが」
恭介「これもある種の巡り合わせと言えよう。ただ今より、リトルバスターズ本会議を執り行う」
恭介「作戦名・オペレーショ………」
恭介「…………ッ!」
謙吾「……何故、こちらを注視しているんだ?」
恭介「お前らがまた根も葉もない与太話を始めやしないんじゃないかってな……」
謙吾「それなら、そのわけの分からん前置きを止めれば良かろう……」
恭介「バガヤロ! これがないと締まらんだろが!」
来ヶ谷「どうでもいいが、始めるなら早くしてくれ」
恭介「ま、この一騒動は要するに理樹と能美のラヴ・ロマンスだったというわけだ」
謙吾「まあ、理樹が一方的に意識していただけだがな」
真人「つってもクー公もまんざらじゃないぜ」
鈴「うぶなやつらめ」
恭介「お前が言えた義理かよ……」
来ヶ谷「恭介氏。簡潔に言って、私たちは二人の媒酌人になれという話か」
恭介「そう言いたいのは山々だがな。人の恋路を邪魔する奴は……という言葉もある」
恭介「だが、可愛いあいつらを傍観するに止まる、というのも憚られる」
真人「……」
恭介「……何だ、真人。その冷たい目は」
謙吾「可愛い、とな」
恭介「含蓄なんてねえっ!!」
葉留佳「それじゃ、どーするんですか?」
恭介「一つ、シチュエーションを作ってやりたい」
恭介「別に、ロマンティックな雰囲気を醸し出すような、大層なモンでもない」
恭介「ただ、妨害が入らず二人が可能な限り普段と変わらない心境でいられるような場をセットする」
恭介「現状じゃ、両者が邂逅したところで平常心なんか保ってられないだろうからな」
真人「恋路、邪魔してね?」
恭介「……見解の相違だな」
恭介「ま、俺らがくっつくように強く働くことは金輪際しない、ということは徹底したい」
恭介「あくまでも、選択権はあいつらにある」
クド「ん……ここは……ほぇあいずひやー……?」
鈴「お、気がついた」
小毬「クーちゃん大丈夫? あと、正しくはWhere am I? だよ~」
クド「あ……鈴さん、小毬さん」
小毬「さっき、急に倒れちゃってビックリだよ」
美魚「念のため、もう少し安静にされていた方がよろしいですよ」
クド「気絶していたのですかー……迷惑をおかけしてすみません」
クド「……! このお布団……!」
クド「……とてもいいニオイがするのですっ……わふー」
小毬「!? ク、クーちゃんっ……それはちょっと……!」
クド「くんくん……くんかくんか……」
クド「わふぅ……」
クド「……くんくん。くんくん……くんかくんか
くんくん、くんくん、くんくん、くんかくんか。くんかくんか
くんくん、くんかくんかくんか、くんかくんかくんかくんかくんか
くんかくんかくんかくんかくんかくんかくんかくんかくんかくんかくんか
くんかくんかくんかくんかくんかくんかくんかくんかくんかくんかくんかくんか」
鈴「クドが理樹のふとんのにおいを嗅ぎまくってる」
来ヶ谷「なに? おい、私にも嗅がせろ」
クド「わふーーーーーーーっ!!? こ、こ、これは、リキのっ、リキのお布団っ……!?」
クド「……わふっ」
鈴「あ、気絶した」
恭介「寝かせてやれ」
美魚「……三枝さん。ひっそりと直枝さんの布団に潜り込もうとしているのはバレバレですよ」
葉留佳「なにーーっ!? はるちんの匍匐前進を見破るとはっ!」
美魚「そのようなうらや……」
美魚「……人道上、否定されるべき行動は以後、慎んで下さい」
葉留佳「なになに? 今、なんかアヤシイ言葉が聞こえたぞー?」
美魚「……っ!」
謙吾「理樹は相変わらず大人気だなぁ」
真人「理樹の布団もいいが、俺の布団も中々いいもんだぜ?」
来ヶ谷「いらん」
真人「なんでだよっ! 俺が筋トレで流した大量の汗が結晶となってこびりついてんのによ!」
鈴「……昔の話だが、理樹のふとんのにおいは確かによかった気が……」
一同「話を訊かせてくれっ!!」
鈴「なにぃ!?」
寮長室――
あーちゃん(~♪)
あーちゃん(高く飛べ、高く空へっ)
あーちゃん(高く蹴れ、高く声を……)
あーちゃん「上ぁげえええええええっ!!!」
佳奈多「いつか挫けーたー」
あーちゃん「うっひゃあああ!!?」
佳奈多「その歌好きですね、あーちゃん先輩。一人でノり過ぎです」
あーちゃん「かか、かなちゃーんっ、ノックくらいしてよもー!」
佳奈多「腱鞘炎になるくらいしましたから。気づかないあーちゃん先輩に非があるのでは?」
あーちゃん「うっ……夢中になり過ぎたかしら。油断大敵とは正にこのことね……」
佳奈多「それで、本日の仕事は?」
あーちゃん「あ、今日の分はもう片付けちゃった。書類整理だけだったし」
佳奈多「そうですか。それなら私が来た意味もなかったですね。それでは」
あーちゃん「その代わり」
佳奈多「?」
あーちゃん「今日はかなちゃんにお願いしたいことがあるわ」
あーちゃん「棗くん風に言うと『ミッション』ね」
佳奈多「……一体、何ですか。あとかなちゃんは止めて下さい」
あーちゃん「実は昨日、能美さんに相談されたのよ」
あーちゃん「まあ相談されたというか、能美さんがちょっとブルーになってたから訊いてみたんだけど」
佳奈多「……!? クドリャフカが……?」
あーちゃん「因みに内容はあの子のお友達……なのかしら? 直枝くんのことね」
佳奈多「直枝……!?」
あーちゃん「もう、ダメじゃないかなちゃん」
あーちゃん「多分、かなちゃんが直枝くんとあまり仲良くないからって理由で話さなかったんでしょうけど……」
あーちゃん「こういうことはまず身近なルームメイトに相談されるべきなのに」
佳奈多「う……」
あーちゃん「それに、直枝くんを遠ざけるような言動もなあ」
あーちゃん「たまに棗くんが助っ人として寄越すけど、中々有能なのは知ってるでしょ」
あーちゃん「彼の功績を認めてあげなくちゃだめよ?」
佳奈多「……」
あーちゃん「それに彼、可愛いし」
佳奈多「最後の一言は意味不明です」
佳奈多「ミッションというのは……まさか、私が」
あーちゃん「ご明察♪ 能美さんのアンニュ~イ感を取り除け! ってね」
佳奈多「そうなるんですね……やっぱり」
あーちゃん「気が進まないのは分かるけど、能美さんのことも気になる……でしょ?」
佳奈多「そ、それは……」
佳奈多「……分かりました。今から行ってきます」
あーちゃん「うんうん。いい子ね、かなちゃんは」
佳奈多「断っておきますけど、私はクドリャフカのためだけに動きますので」
佳奈多「それと、かなちゃんは止めて下さいっ! 失礼しましたっ!」
あーちゃん「おーこわ」
あーちゃん「……あ。相談の概要は言ってなかった」
あーちゃん「ま、いっか」
理樹と真人の部屋――
鈴「だから、理樹のふとんのニオイは何というか……森林浴をしているような」
佳奈多「直枝えええええええっっ!!」
真人「うおっ!? なんだ、敵襲かっ!?」
恭介「まずい、お前ら伏せろおっ!」
佳奈多「あなた、クドリャフカに一体どんな不埒をっ!」
佳奈多「……って、あなた達……一体なんの遊び?」
小毬「てきしゅー」
来ヶ谷「うむ」
美魚「これは非常に危険ですね」
佳奈多「はぁ?」
恭介「何の用かは知らないが、今ここに理樹はいない」
佳奈多「……そのようですね。この大所帯の割には顔が見えません」
佳奈多「あといい加減顔を上げてください」
佳奈多「それにしても、あなた達。男子の部屋に入り浸るのは感心しないけど?」
美魚「返す言葉もありません」
来ヶ谷「まあ君の妄想しているような事実は起こっておらんよ。安心するといい」
佳奈多「なっ……!」
小毬「ふぇ? もーそー?」
佳奈多「く、来ヶ谷さんっ」
来ヶ谷「はっはっは。君は実に面白い」
葉留佳「お姉ちゃんは理樹くんに何の用だったの?」
佳奈多「あーちゃん先輩の頼まれごとよ。まあ依頼を受けているつもりではないけど」
佳奈多「……そういえば、クドリャフカは……」
鈴「ベッドだ」
佳奈多「……?」
佳奈多「! クドリャフカ……!」
恭介「グッスリ眠っている。大声出して起こすような真似は止めてくれよ」
佳奈多「こんな……男の寝床でっ……!」
佳奈多「……随分安らかな表情ね……」
謙吾「きれいな顔してるだろ」
佳奈多「……続きは絶対言わないわよ」
恭介「二木も二人に所用か」
佳奈多「ええ。何でも、クドリャフカが直枝のことで悩んでいるとか」
佳奈多「……『も』ということは、あなた達も同じなのね……」
葉留佳「お姉ちゃんはクド公に相談されなかったの?」
佳奈多「えっ」
美魚「……相部屋であるのに、ですか」
来ヶ谷「うーむ、それは信頼されていないということか」
葉留佳「お姉ちゃん……クド公だって女の子なんだからさ、もう少し柔らかく……」
佳奈多「さっきも聞いたわよ、悪かったわね!」
佳奈多「で、クドリャフカが何か直枝に破廉恥なことをされてるんじゃないかって思ったわけ」
真人「理樹がんなことするかよ」
佳奈多「あら、男なんて大抵送り狼でしょ」
来ヶ谷「佳奈多君、破廉恥の内容について原稿用紙5枚程、提出してもらうと助かるのだが」
佳奈多「何が助かるんですか、何が」
恭介「こうなった以上、止むを得ないな。二木、協力してくれるな?」
佳奈多「……まあ、仕方ないですね。遺憾ではありますが、利害は一致しているんでしょうし」
佳奈多「但し、あくまでも私はクドリャフカのために行動しますので」
恭介「ああ、それで構わない。助かるぜ」
謙吾「恭介。そのシチュエーションとやらの具体的な方針は決まったのか?」
佳奈多(シチュエーション……?)
恭介「いーや、サッパリだな。理樹はテンパってダメなようだし能美もさっきの一件でダウンときてる」
恭介「まずは二人を落ち着かせることから始めるか……」
鈴「まったく、理樹はだらしないな」
恭介「そこが可愛いんだろ。……ここは鈴を送ってみるか」
鈴「なにっ!? なんであたしがっ」
恭介「俺ら野郎じゃ下心丸出しで対応しちまうからな」
来ヶ谷「鈴君を放っても恭介氏の、その下心が透けて見られるんじゃないか?」
恭介「ん、そうだな……」
恭介「それじゃ……二木か」
佳奈多「え?」
美魚「なるほど。常に直枝さんに対し辛辣な態度で臨む二木さんなら」
真人「何かあっても逆ギレして誤魔化せるな」
小毬「理樹君がかなちゃんから逃げちゃうんじゃないか心配だけど……」
謙吾「その点は問題ない。二木はこう見えても礼節は弁えてる」
葉留佳「万事解決ってわけですネ! お姉ちゃん、やるぅ~」
佳奈多「ちょっと、何勝手に話を進めてんのよ。しかも逆ギレして礼節弁えるって何なのよ」
恭介「んーーー……まとまらねえな」
佳奈多「それよりあなた達、一体何を企んで……」
理樹「真人、ただいま」
一同「!!?」
理樹「うわっ、全員集合? 二木さんもいるし……」
小毬「お、お邪魔してま~す」
葉留佳「コ、コンニチハー」
理樹「恭介、今度は一体何思いついたの?」
恭介「い、いや、まだ何も考えてないさ。それより遅かったな」
理樹「あーうん……。何というか、今日は町をぶらつきたかったから……」
理樹「そのせいで歩き疲れちゃったよ」
理樹「ごめん、行儀が悪いけどちょっとベッドで休ませて……」
一同「!!?」
恭介「ま、待て理樹っ! そこには……!」
理樹「よいしょ」
理樹「……? 何か入ってる……?」
理樹「もう、真人。筋トレグッズは自分のベッドにおいてよ……ふわぁ」
理樹「うぅ……眠い」
クド「わふっ」
理樹「………」
クド「きもちいいのですー」
理樹「………………………」
クド「くんかくんか」
理樹「……………………………………………」
理樹「……ハハ、夢か……」
理樹「落ちていく……どこまでも続く闇を……」
クド「…………ふぁぁ」
クド「……あれ? リキが目の前にいるのです」
クド「……夢なのでしょうか……?」
クド「…………え?」
理樹「う……」
理樹&クド「うわあああぁあああぁあっっ!!?」
理樹&クド「………………」
理樹&クド「うわあああぁあああぁああぁああぁあっっ!!?」
理樹「なっ、なんでっ!? なんでクドが僕のベッドに!?」
恭介「落ち着け理樹っ! まずは深呼吸だっ!」
理樹「できないよっ!!」
クド「ごめんなさいですっ、ごめんなさいですっ! 私が勝手に使ってしまって!」
理樹「うわああぁああぁ、もう僕はおしまいだっ、おしまいだぁっ!」
理樹「うわあああぁあああぁあああっ……!!」
鈴「すごいな。こんなに取り乱す理樹は初めて見るぞ」
小毬「ふ、二人ともとにかく落ち着いて~っ」
理樹「みんなごめーーんっ!!」
恭介「! まずい、誰か止めっ……!」
葉留佳「ひゃうっ!」
謙吾「くそっ、逃げられたかっ!」
恭介「仕方ない、能美はいるか!?」
美魚「……! いませんっ」
真人「理樹を追いかけに行っちまったのか!」
来ヶ谷「チィ……油断していたッ」
葉留佳「これはかなりマズイですネ……!」
佳奈多「…………」
鈴「なんだ? なんでお前らそんな必死になってるんだ?」
佳奈多「直枝が逃げてクドリャフカが追っていっただけでしょうに」
恭介「……雰囲気作りだよっ! とにかく俺たちも追うぞっ!」
中庭――
理樹「はぁっ、はぁっ」
クド「リ……リキー! はぁ、はぁっ……!」
理樹「……!」
クド「わふっ!? 急に止まっ……!」
クド「むぎゅ!」
理樹「わっ」
理樹「ク……クド、ごめんっ……」
クド「へ……ヘイチャラなのですっ……!」
クド「それよりリキっ……お尋ねしたいことがあるのです」
理樹「……な、何でしょうか、ハイ」
クド「なんで逃げるですかーっ!」
理樹「えっ……そ、それは……反射的というか」
理樹「ほら、パブロフ、パブロフの犬」
クド「わふーっ!? いつの間に条件付けなんてされたのですかっ!?」
理樹「うっ……ゴメン」
クド「リキから避けられるということは……」
クド「私が気づかない内に何かご迷惑をお掛けしたのでしょうか……」
理樹「そ、それは違うっ、違うんだ」
クド「それなら、なぜですかっ」
理樹「……っ」
クド(本当にリキは、私のことが好きなのでしょうか……)
クド(どきどき)
理樹「じ、自分に……嫌気が差したんだよ」
クド「え?」
理樹「僕は……僕は、ある女の子と出会った」
理樹「その子は妙に外国っぽさに憧れててさ……」
理樹「初対面のときも、日本語が通じないように振る舞うほどだった」
理樹「本当は僕よりずっと日本語が堪能だったのにね」
クド「リキ……それは……」
理樹「……何となく、気になってた」
理樹「あるとき、その子が僕たちの仲間に加わった」
理樹「リトルバスターズだ」
理樹「初めは野球中心だった。その子は小さい体で一所懸命ボールを追った」
理樹「時間が経つにつれ、僕の中でその小さな女の子はどんどん大きくなっていった……」
クド(……)
鈴「なにポエムってるんだあいつ」
恭介「シッ! 勘付かれるだろ」
理樹「最近になって……時間がかかったけど」
理樹「ようやくそれが恋だったんだって、自覚できた」
クド「!」
クド「リ……リキっ……!」
クド「う……嬉しいのですっ! 私、私も本当はっ」
理樹「けど、ダメなんだっ!!」
クド「わふっ!?」
謙吾「おお、告白か? 理樹、やるなあ」
美魚「ダメ……とは」
来ヶ谷「何か理由があるのか。気になるところだ」
小毬「二人とも、頑張れっ」
クド「リ、リキ……? だめ、というのは……」
理樹「ああ! もう言っちゃうけどさっ!」
理樹「僕はクドが好きだ、大好きなんだっ!!」
クド「わふーーーっ!? 大胆にこくはくされましたーーーっ!?」
理樹「けど、考えてもみてよっ……!」
理樹「クドはっ……僕の好きなクドはっ……!」
理樹「こんなにちっこいじゃないかっ!!」
クド「…………」
クド「わふ?」
一同「…………?」
理樹「僕の気持ちは本当だっ、真実だっ、まごころだっ!」
理樹「もう四六時中クドのことばっかり考えてるっ! 妄想の中でキスも済ませたっ!」
クド「わふーーーーっ!? リ、リキがまたおかしくなりましたっ!?」
理樹「クドを狂おしいほど愛してる、もう今すぐ挙式したいっ!」
理樹「でもっ……! それでもっ……!」
理樹「クドはちっこいんだっ!!」
理樹「この事実は……覆りようがないっ……!!」
理樹「なんて……なんて残酷なんだ、世界はっ!!」
理樹「僕は……僕は神を怨むっ!!!」
鈴「何だあいつ」
葉留佳「と、突然人が変わりましたネ……」
佳奈多「なるほど……あれがクドリャフカの悩みの種だったのね」
美魚「それは違うのでは……」
恭介(……)
クド「あのー……リキ?」
理樹「ふぅ……。何、クド?」
クド「た、確かに私は……からだは大きくありません」
クド「けれどっ、それがどうしてだめになるんですか……?」
クド「来ヶ谷さんのような……すたいるの良い立派なからだではありませんがっ」
クド「私の、リキへの気持ちは、誰にも負けませんっ!」
理樹「……」
理樹「クド、よくお聞き」
理樹「僕が君と付き合ってしまったら」
理樹「僕は、ロリ好きのド変態になってしまうんだよ……」
クド「!?」
来ヶ谷「いや確かにクドリャフカ君はミニマムサイズだが……」
鈴「理樹ってあんなに馬鹿だったのか?」
恭介「……分かるぞ、理樹」
理樹「確かに、僕はクドが好きなんだ」
理樹「そして今……クドが僕のことを想ってくれてると言った」
理樹「嬉しいよ……僕の全てを君に捧げたいくらいだ」
理樹「……でも。現実は」
理樹「……非情だ」
クド「リキ……」
理樹「この広大無辺な世界にとって、僕という存在なんて無力でちっぽけなものなんだ」
理樹「哀れな子羊を……許してやってほしい」
クド「……」
葉留佳「よく分からないけど……クド公ピンチ?」
佳奈多「本当に訳が分からないわね……頭が痛くなる」
恭介「分かるぞ理樹。ああ、年下……幼子……」
真人「さっきからぶつぶつ何言ってんだてめーは」
クド「……リキ」
理樹「なに、クド?」
クド「私は、それでも良いと思うのです」
理樹「……!」
クド「本当に好きなら……大切だと思うのであれば」
クド「私は、例え世界が許さなくとも、平気なのです」
クド「……ロリでいいじゃないですか」
理樹「ク……クド……!」
理樹「い、いや……! クドはそう言っても……」
小毬「クーちゃんが受け入れたっ!?」
美魚「素晴らしい精神力……適応力です」
謙吾「やるじゃないか、能美」
恭介「い、いいのかっ……? 能美、お前は許してくれるのかっ……!?」
来ヶ谷「……何やら先ほどから、不穏な呟きが漏れているのだが……」
クド「リキ」
理樹「あ……」
クド「私は、ずっとあなたの傍にいたいです」
クド「後ろ指を指されようとも……リキを恋い慕う気持ちは変わらないでしょう」
クド「大好きですよ、リキ……」
理樹「クドっ……僕は、僕はっ……!」
理樹「……うわああぁああぁん……」
クド「よしよし。リキはいい子なのです」
佳奈多「せ、説得した……」
真人「はー。すげーなクー公」
小毬「やったね、クーちゃん!」
恭介「小学生は最高、これは世界の常識だろ」
恭介「これを排除する動きがあるということはつまり……ぶつぶつ」
理樹「クド……」
クド「なんですか、リキ……っ!?」
クド「んーっ!?」
理樹「ちゅっ……ちゅぷっ」
クド「んー!」
小毬「ひえええっ! ききき、きっすしちゃってるよ!」
謙吾「さっきまでの臆病風はどこへやらじゃないか」
佳奈多「ふっ……風紀を乱しているッ! 直枝理樹、今行くわッ……!」
葉留佳「ちょっ、お姉ちゃんダメ! 今イイトコなんだから!」
恭介「そうだよ、とどのつまり『幼女は可愛い』、この本質を見失う奴が多いことが問題なんだよな」
来ヶ谷「……」
クド「ちゅぱっ……リ、リキ! いきなり過ぎですっ」
理樹「ご、ごめん……余りにも神々しい天使がそこにいたからつい……」
クド「ぷんぷんですっ。……き、きすの前に」
クド「リキの方から返事はないのですかっ」
理樹「あ……」
理樹「……クド。僕と……付き合ってほしい」
クド「……リキ。喜んで……ちゅっ」
理樹「ちゅぱっ……」
美魚「……またキスですか」
葉留佳「しょうがないよ、夢中になっちゃうのは。……それよりさ」
恭介「ランドセルによっ、キーホルダーじゃなくてブザーってのは何なんだよ畜生!」
来ヶ谷「何なのだ一体……」
真人「まーた始まったか恭介の発作が」
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\ lニ二ソ / ト、
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| / o/ / / /`ー '´/ /
理樹「幸せだ……この世に、こんな幸せがあったなんて」
クド「私も、まだ人生を語るのに早すぎますが」
クド「今まで生きてきた中で、一番幸せな時間ですっ……わふー」
理樹「クド……もう一回……」
クド「あ、はいっ……ちゅっ、ちゅぷっ」
恭介「俺たちは極力、欲望を抑えつけてるってのに、制動が効かない一部の馬鹿のせいでよっ……!」
恭介「俺ら全体が槍玉に挙げられ苦痛を強いられているんじゃないかっ……!」
佳奈多「宮沢。これはどういうことよ」
謙吾「つまり、恭介はいわゆる『真性ロリ』という病気なんだ」
葉留佳「うわぁ……」
理樹「はあっ……こんな世界が広がっていたなんて」
理樹「なんて素晴らしい……なんて美しいんだろう」
クド「私も嬉しいのですっ」
理樹「あ、クド、もう一回ね」
クド「ま、またですかっ。もう、リキったら……ちゅっ」
理樹「ちゅうっ……」
美魚「……あの二人はいつになったらキスを終えるのでしょうか」
小毬「さ、さっきからずっとだね……」
恭介「理樹……俺の遺志は受け取ったか」
恭介「それでいい……自分で選びとった道を進め……!」
理樹「ああ……頭が蕩けそう……」
クド「も、もうっ。リキ、そんなにされたら息が続かないのですっ」
理樹「き、気持ち良すぎてつい……」
クド「……わ、私も気持ち良かったですけど……ごにょごにょ」
理樹「クド……」
クド「あ……リキ……」
佳奈多「あなた達っ、いつまでやってるのっ!」
理樹「うわぁっ!」
クド「わふーっ!?」
クド「かか、佳奈多さんっ!? い、いつからここにっ」
佳奈多「う……な、直枝理樹が自作のポエムを吟じている辺りからよ」
クド「ほとんど最初からですっ!?」
美魚「全く、お二人とも熱過ぎます」
来ヶ谷「見ていてこっちが恥ずかしくなったぞ」
理樹「うわぁ……恥ずかしいな……」
真人「へへ、でも良かったじゃねえか。これで晴れて恋人同士ってか」
謙吾「うむ。お似合いのアベックだと思うぞ」
葉留佳「今時アベックって……」
小毬「おめでとう、理樹君、クーちゃん」
クド「小毬さん……ありがとうございますっ!」
理樹「何ていうか……色々、迷惑かけちゃったかな」
鈴「……理樹」
理樹「鈴?」
鈴「……幸せになれっ、ぼけーっ」
理樹「……! ありがとう……」
鈴「ふんっ……」
寝かさない
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寝る
こまりまっくす~に後は頼む
佳奈多「……さて、一件落着といったところかしら」
佳奈多「あーちゃん先輩へ報告に参りますか」
クド「わふっ! そうでした、佳奈多さん! 実は寮長さんに……」
佳奈多「分かってるわ。あなたに相談されなかったことで咎められたんだから」
クド「わふー……申し訳ないのです」
佳奈多「気にすることないわ。葉留佳たちにも同じように言われたし」
葉留佳「だいじょーぶだよ。お姉ちゃんが優しいのはみんな知ってるから」
佳奈多「ーっ!? は、葉留佳……何を言って……」
来ヶ谷「ああ、知っているぞ」
小毬「知ってますっ」
クド「知っているのですっ」
佳奈多「あ、あなた達っ……!」
理樹「あははっ」
理樹「……あ、そういえばさ」
理樹「恭介はどこに――」
鈴「知らん」
小毬「知らない」
葉留佳「知らない」
佳奈多「知らない」
来ヶ谷「知らんな」
美魚「知りません」
真人「知らねえな」
謙吾「知らないな」
理樹「……えっ」
謙吾「さーて、ここは新カップルを祝福だな!」
真人「学食の一角借りようぜ! 食べ放題だ、ひゃっほーーーうっ!!」
小毬「うん、そうと決まれば善は急げ! だよ~」
葉留佳「ほらほらクド公に理樹くん! 置いてっちゃうよー!」
理樹「あ……待ってよみんな!」
クド「リキ、行くのですっ」
クド「……いっしょに、ですっ!」
理樹「……うんっ!」
理樹(これから毎日、もっと楽しいことが続いていくんだ)
理樹(僕は、その一つ一つの幸せを噛みしめて生きていかなくちゃ)
理樹「僕たちの未来は……これから始まるんだっ!!」
直枝理樹、能美クドリャフカ。
初々しいカップルの誕生は本人達は勿論、その周囲も幸せにさせた……。
――しかし。
しかし、決して忘れてはならない。幸福が存在する一方で、その裏では巨大な闇がうねり拡がっていることを。
それは、全ての幸福に付き纏う犠牲なのだということを。
犠牲の上に成り立つ幸福……。この小さな幸福もまた、何かの犠牲による産物なのである。
完
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// ヽ
| | ヽ |
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Ⅵ | | | |/リ じゃ、解散
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ヽ ノ/:::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ_
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