P「名作ゲームをやってみよう」(172)
P「と思い立ったが即行動」
春香「は、はい?」
P「オフの二人を集めてみました」
真「名作をやる……って事はゲームですか?」
P「うん、ちょっと昔のゲームをやってみようかと思ってな」
春香「でも、私あんまり詳しくないですよ?」
真「ボクもあんまり。遊ぶなら外で遊べって言われてたんで」
P「だからこそだ。普段そこまでゲームしなさそうな二人だからこそ名作に触れてもらいたい」
真「アイドル活動に何の関係があるんですか、それ」
P「無いけど」
春香「で、でも楽しいゲームなんですよね?」
P「うん。アイドル活動には全然関係無いけど」
真「……事務所でゲームはマズイんじゃないですか?」
P「何言ってんだ。俺の部屋行くぞ」
春香・真「!?」
P部屋
P「まぁ狭い部屋だけど」
春香「おぉー」
真「結構綺麗ですね」
P「一応片付けたんだよ。普段はもうちょっと散らかってる」
真「ちょっと家探ししていいですか!?」
P「何でいいと思ったのか聞かせてくれ」
春香「えっダメなんですか!?」
P「やめろ」
真「ちぇー。じゃあゲームやります?」
春香「あ、この棚ですか?うわ、見たことないゲーム機が……」
P「触るな!」
真「ひっ!?」
春香「ご、ごめんなさいっ」
P「いや、大きい声出して悪かった。ただ古いハードはちょっと動かすと起動しなくなったりするからな」
春香「そうなんですか……私、大丈夫かな、壊しちゃったりしたら……」
真「ボ、ボクも不安になってきた……」
P「セッティングは俺がやるよ。かなりレアなのもあるからなるべく気をつけたいんだ」ゴソゴソ
春香「プロデューサーさん、ゲーマだったんですね。ゲーマー」
P「それなりにな」
真「なんか意外かも。ゲーマーってもっとこう、オタク~って感じの人なイメージありました」
P「社会人にもなると上手く隠れてる人の方が多いぞ。っしょっと、出来た」
春香「あ、これは知ってます。プレステ2ですよね!」
真「ボクもこれくらいは知ってます。それで、結局何やるんですか?」
P「そうだなぁ、お前達は知ってるかどうか……RPGなんだけどな」
春香「RPGですかー。ドラゴンクエストくらいなら知ってますけど」
真「あとファイナルファンタジーも知ってますよ」
P「そんなもんかもな。今日やるのはファイナルファンタジーのスクウェアから出てる……」
P「SaGaシリーズの一作だ」
春香「さがしりーず?」
P「ああ。さっき行ってたドラクエとかFFとかは実際にプレイしたのか?」
春香「一応クリアはしました!エイトだけですけど」
真「ボクはファイナルファンタジーのⅩを……リュックが可愛くって」
P「ならわかると思うけど、RPGっていうのはキャラになってストーリーを進むゲームだ」
P「FF、ドラクエは主軸となるストーリーに一人のキャラクターが当たっていくゲームなわけだが……」
P「SaGaシリーズ、特にロマンシングサガシリーズはそれとはちょっと趣が違う」
春香「えっと……どういうことですか?」
P「簡単に言えば群像劇だ。ストーリーは一本じゃなく、主人公も複数いたりする」
真「ええ?それじゃ進めるの、面倒じゃないですか?」
P「ところがだ。その何本ものストーリーが、気付けば一本に集約されていく」
P「それぞれの視点から、好きな順番でシナリオを進めていく。それがSaGaシリーズだ」
春香「なるほど、思ってたのとは違う感じかも……」
P「それができるのも世界観やシステムに重きを置いた作りのおかげなんだが、まぁ概ねイメージは掴めたか?」
春香・真「はーい」
P「よし。それじゃタイトルを発表する」
春香「どきどき」
真「ワクワク……」
P「今日プレイするのは、その中でも有名な一本」
春香「期待できるって事ですか?」
P「……ウン、ソウダネ」
真「なんか含みがあるんですけど」
P「いや、期待はしてもらっていい。なにせ俺が隣にいるからな」
春香「プロデューサーさんがいるから……?」
真「なんかちょっと不安になってきたんですけど」
P「……実は、有名な理由はだな。このゲームが一時期『クソゲー』として名高かったからなんだ」
真「ええ!?」
P「勿論その評価を覆すだけの自信があるから名作としてお前達に紹介するんだ。心配するな」
春香「ならいいんですけど……で、タイトルは?」
P「アンリミテッド:サガだ」
真「あ、画面ついた」
春香「綺麗な絵ですねー。BGMも壮大」
P「だろう。この空気が良いんだよな」
真「……ところで、クソゲーって言われてた理由が知りたいんですけど」
春香「私も気になります。プロデューサーさんは面白いと思ってるんですよね?」
P「勿論。クソゲーどころかシリーズ屈指の名作だとも思ってる」
春香「じゃあどうして評価が悪かったんですか?」
P「うーん、何と言おうか」
真「あ、バグってるとか?」
P「いや、そういうわけじゃ……無いとも言えない。割りと重大なバグあるし」
春香「けどそこじゃないんですよね?」
P「うん。そうだ、じゃあ俺から何の説明も受けずにプレイしてみてくれ。まず真から」
真「え?えっと……操作はわかるから大丈夫です、やってみます」
春香「じゃあ私は見てますね」
P「……多分、すぐにわかるよ」
真「あれ、これ……」
春香「あ、これが主人公が複数ってやつですか?」
P「その通り。このゲームは最初に7人のうちから一人を選んで始めるんだ」
真「7人もいるんですか。すごいなぁ……ええと」
春香「男の人、女の人、おじさんもいるし小さい子もいますね。あと……変な生き物」
真「これがみんなストーリーに絡んでくるんですか?」
P「その通り。それぞれがそれぞれの理由で旅に出て、出会い、いつしか世界の謎へと……」
真「遠大な感じですね。うーん、悩むなぁ」
春香「あ、このおじ……お兄さん?とか初心者向けなんじゃないかな?」
真「本当だ。僕と一緒に冒険をしよう!だって。良い人っぽいね」
P「……」
春香「……真、その人はやめよう。なんか不穏な空気だし」
真「そ、そうだね。じゃあボクの趣味で選んじゃおう」
P「そうだな、それがいいよ」
真「よーしそれじゃこの可愛い……なんだろう、リスみたいな子で進めるぞ!」
P「あっ」
真「えっ」
P「……」
春香「と、とにかくやってみようよ!」
真「そ、そうだね!ストーリーがはじ……」
春香・真「黒井社長に声そっくりだなぁ……」
P「そのキャラはアーミック。雨乞いの儀式の準備をするために世界を回るストーリーだな」
真「ど、どうしよう。喋り方も見た目も可愛いけど声が黒井社長にそっくりなせいで……」
春香「すごいシュール……」
P「とにかくアイテムを集めるんだ。このリストにあるアイテムを全部集めないといけないぞ」
真「うわ、すっごいいっぱいある!これが個数ですか」
春香「アイテム集めってなると、やっぱりお店かな?」
真「お店……これかな?あ、合ってるみたい。えっと、それで。あ、あれ?」
真「値段が書いてない……」
春香「何か書いてあるよ?えっと、物々交換」
真「アイテムを渡せばいいんだ。でも今は渡せそうな物もないし」
春香「買い物出来ないんだね……」
真「だね……じゃあ冒険に出よう!そうしよう!」
春香「街から出ればいいのかな」
真「あ、街から出る。あったあった」
春香「……地図にさっきの町しか載ってない?」
真「これ、どうしたらいいんだろう?」
春香「これ、これじゃない?視点を引いて……」
真「わぁ、広いや……」
春香「何も無いね……」
P(せやな)
真「10分いじってようやくわかりましたよ、プロデューサー」
P「そうだな。このゲームの冒険は街から直で出るんだ」
春香「予想外だったね……ワールドマップが一切動けないとは」
真「でもようやく冒険に出られるよ!薬草を摘めばいいんだよね!」
春香「お使いみたいで最初の冒険っぽいね!いいね!」
真「よーし、いざ広大なマップへ!」
P(せやな)
春香「……?」
真「あ、あれ?これ、あれ?」
春香「街じゃないから、これがマップなん……だよ、ね?」
真「移動出来ない……ていうかキャラクターもいない。なんだろう、これ」
春香「とにかく色々試してみようよ!」
真「え、えっと、このスティックも移動に使うんだよね」
春香「あ!動いた!動いたよ!」
真「すごろくみたいになってるなぁ……」
真「こうやって、一歩一歩、マップを切り替えて、進めばいいんだ」
春香「移動した先でたまにモンスターがいるけど襲ってこないね」
真「戦闘とか無いのかな。さすがにそれは……って、あ!」
春香「わ、モンスターが襲いかかってきた!戦闘だよ戦闘!」
真「よーし、やるぞぉ!黒井社ちょ……アーミックは斬って」
春香「この子は魔法型っぽいよ?魔法使ってみようよ」
真「どうやって?」
春香「……斬ろう」
真「あれ?一回ずつ選んだのにターンが始まらない」
春香「もう一回やってみたら?」
真「うん。まだだ……うーん?」
春香「もう一回……」
真「あ、始まった」
真「謎のルーレットが」
春香「回ってるね」
真「回ってるね」
春香「□ボタンでホールドだって」
真「へぇ」ポチッ
春香「……増えたね」
真「うん」
春香「ホールドしたら増えるのかな」
真「みたい」ポチポチ
真「あっ!?」
春香「敵が攻撃してきた!と思ったらこっちも攻撃してる!」
真「技名が合体してる!なんで相手とチームワークいいんだよ!」
春香「HP全然無いのに結構大きいのもらっちゃったよ!?」
真「うわぁ!これ、もしかして死ん……?」
春香「……赤字で1って出たね」
真「1って……」
真「ホールドしてたら勝ったよ」
春香「HP0なのにゲームオーバーにはならなかったね」
真「うん……とりあえず進んでみよう」
春香「あ、宝箱だって」
真「やった、アイテム手に入ったのかな」
春香「中身見せてくれないの?」
真「今までの流れからしてそうでもおかしくは……」
春香「確かに」
真「あ、薬草もあった!」
春香「こんな感じで集めてけばいいんだね。じゃあどんどん行こう!」
真「なんか疲れてきたよ」
P(……)
~一時間後~
真「……」
春香「……」
真「薬草が……」
春香「集まらない……」
真「どうしてだよ!?ちゃんと見つけたのに!」
春香「でも戻ったらまた薬草あったから、取れてないって事じゃ……」
真「どうやって取れば……あ、宝箱もある」
春香「……取れてないって事じゃ」
真「うわああああああああ!こんなのクソゲーじゃんかぁ!」
P「せやろ」
真「はっ!?」
春香「ま、まさか……」
P「そういう事だ。このゲーム、一見しただけでシステムがわかるように作られていない」
P「つまり、発売当初に買って普通にやった人からしたら最高にクソゲーだったんだよ!!」
真「えぇ~……」
春香「でも説明書を読めば大丈夫なんじゃないですか?」
P「ところがどっこい、説明書を読んでもわからない部分が多かったりする」
P「そもそも直感操作と真逆を行くスタイルだからな。ウケが悪かったんだ」
真「よくわかりますよ……何したらいいのか全然わかんないんですもん」
P「このゲームを例えて曰く『説明書が別売りのゲーム』……別売りの攻略本ありきでプレイするゲームだそうだ」
P「まず主人公選択の時点で罠がいっぱいだ。真が選んだアーミックは、やってみてわかったと思うが難しい」
P「アイテムの流通システムから特異なこのゲームで、アイテム集めがメイン……要するにゲームをわかってる人用主人公なんだな」
真「まさか買い物出来ないとは思いませんでしたよ。何なんですか物々交換って」
P「田舎だから仕方ない。普通の街に行けばお金で買い物もできるぞ」
春香「でも街がマップにありませんでしたよ?」
P「イベントをこなすか冒険をクリアする事で新たな街が出現する。それもわかりにくいな」
真「怖いよぉ……サガ怖いよぉ……」
春香「真……こんなに怯えて……」
P「どれ、じゃあ春香もやってみるか。今度は俺が随時説明しよう」
春香「は、はい!えっと、まず主人公は……」
P「このジュディって女の子がおすすめだ。ストーリーが一本道だし仲間も強い」
春香「わかりました、じゃあこの子で」
真「ちなみに一緒に冒険をしよう!の人はどうなんですか?」
P「ストーリーがだな、サブシナリオっていう脇道メインになるから進め方に迷いがちなんだ。強制戦闘もあるしゲームを覚えてきた人向けだな」
真「これも罠ですか」
P「まぁ罠だ。一番の罠はローラなんだが……まぁそれは今はいい」
春香「この子は家族を探すのが目的なんですね」
P「そうだ。メインシナリオを進めていけばどんどん仲間が増えるし、みんな強い」
春香「なるほど。それじゃ冒険に行きましょう!」
真「うわ、一緒に冒険の人出た」
春香「主人公同士が共演するパターンもあるんですね」
P「勿論だ。さて、それじゃ疑問その一を解く為にだな……左上に進んでくれ」
春香「わかりましたけど……?」
真「宝箱だ!因縁の!」
P「落ち着け。春香、このボタンを押してくれ」
春香「はい。あ、ウィンドウが出ましたね」
P「まず左右で対象に宝箱を選ぶ」
春香「選ぶ……」
P「次にアクションを選ぶんだ」
春香「あ、開けるんですね」
P「パンチだ」
春香「はい?」
P「パンチ」
春香「……」
P「はやく」
春香「は、はい」
P「そしてルーレットの○で止めるっ!」
春香「えいっ!」
真「あっ!お金だ!」
春香「た、宝箱って壊す物なんですか!?」
P「いや違う。今やったのでわかったと思うがだな、宝箱を開けるのにも手順が必要なんだ」
真「見つけたら前に立ってAとかじゃダメなんですね」
P「そうだな。見つけたらオブジェクトを選ぶ、アクションを選ぶ、今回はパンチを使ったが、本来は鍵を開けるスキルや罠を外すスキルを選ぶんだ」
真「宝箱を……ボクは宝箱を開けたかっただけなのに……そんな手順が……」
春香「今は鍵開けとか無いからパンチで壊したんですね」
P「高確率で中身が壊れたりする代わりに攻撃すれば開くようになってるんだ」
春香「なるほど。でもこの二人は鍵開けとか持ってませんよね?そういう仲間が出てくるんですか?」
P「いい所に目を付けたな。当然、鍵開けや罠外しを持ったキャラも出てくるが……その辺りは後で説明しよう」
春香「わかりました。それじゃ進めますね」
真「うわぁ、やり方がわかると微妙にやりたくなってきた」
春香「あんなに怖がってたのに……」
真「だって悔しいじゃないか」
P「オブジェクトに対して何かしたい時は宝箱と同じような手順だぞ。覚えておくといい」
春香「この穴もアクションっと」
真「あ、木が落ちてきた」
春香「あいたたた……」
P「さて、そろそろだな」
春香「あっ、敵が襲って来ましたよ!」
P「疑問その二だな。まぁ戦闘してみようじゃないか」
春香「はいっ!」ポチポチ
P「そうそう、そうやって行動予約を入れていくんだ」
真「予約してるんですか、これ」
P「このゲームは1ターンに五回行動出来てな。それを最初に纏めて決めるんだ」
真「ああ、それで決定しても進まなかったんですね」
P「それでここからが重要なんだ。まず決定した後……」
真「ルーレットですね……」
春香「これ、どうしたらいいんですか?」
P「まずは落ち着いて○を押すんだ」
春香「あっ、攻撃した!」
真「これで良かったんだ。あれ?じゃあホールドって?」
P「そうだな、それを説明しようか。□を押してみてくれ」
春香「ルーレットが二本になりましたね」
P「これが大事なんだ。こうやってホールドすると、ホールドした技同士が連携する」
真「技名が合体するヤツですか?」
P「それだ。そして連携すると色んな部分で技が強化される。細かい話はカットだ」
春香「つまり連携をいっぱい続けた方が強いんですね。でもさっきは敵が……」
P「それが面白い所でな。ホールド中に敵の行動順が来てしまうと、敵の技まで連携に組み込まれるんだ」
真「敵の攻撃までパワーアップしちゃうんですか」
P「そういうこと。相手の行動速度と自分の行動速度を読んで長い連携を組む。これが勝利の秘訣だ」
春香「じゃあ、あんまり博打しないでこの辺りで……えいっ」
真「おお、かっこいい。代わる代わる攻撃してる」
春香「でもジュディちゃんが反撃もらっちゃいました……あ、1だ」
P「その1っていうのはLPダメージだ」
春香「LPダメージ?」
P「HPっていうのは体力、LPっていうのは生命力。LPが無くなるとキャラクターが倒れてしまう」
真「そっか、だからHPが無くなってもゲームが続いたんですね」
P「主人公のLPが無くなるとゲームオーバーだ。イメージとしては体力が多い時は生命に危機を及ぼすようなダメージは受けにくいと思っていい」
春香「HPが防御力みたいな扱いなんですね」
P「そうだな。サガシリーズは大体そんな感じなんだ。さ、戦闘を続けて倒してみよう」
春香「わかりました!ホールドホールド……」
真「ほほう……」
P(最初の印象がひどかったせいか、ふたりとも興味深そうだな。よしよし)
春香「やった!倒した!」
真「さっきも気になったけど、経験値とかは無いんですか?」
P「成長システムも特殊なんだ。シナリオクリア時に纏めて決算される」
真「はぁ~、なるほど……」
春香「プロデューサーさん!ボスですよ、ボス!」
P「そうだな。こいつを倒したらシナリオクリアだ」
春香「よーし、全力で!でも慎重に!」ポチポチッ
真「まだいけるって!もう一連携!」
春香「えぇ~?でも怖いよ?」
真「大丈夫大丈夫!」
春香「うーん、えいっ!」ポチッ
真「うわっ!敵と連携しちゃった!」
春香「もー!だから言ったのに!」
真「ごめんって!それよりほら、次次!」
春香「う、うん!よーし、今度は魔法で……」
P(楽しそうでなによりだ)
春香「これでっ……どうだぁ!」シュゥン
真「やっりぃ!やるじゃん春香!」
春香「勝ちました!勝ちましたよ!」
P「おめでとう。さ、シナリオクリアだな」
春香「まだ最初のステージなのにすごい達成感……」
真「ボクの時から考えたら、かなりの時間やってたからね」
春香「あ、それで成長があるんでしたっけ」
P「そうだ。見てみろ」
真「……パネル?」
春香「7マスのパネルに……手に入れたパネル」
P「成長はパネルを配置する事で行う。このパネルがそれぞれステータスを持ってるんだ」
真「要するにそれを装備すると能力が上がるって事ですかね?」
P「大体そうだな。それで……都合良くあるな。これを見てみろ」
春香「あっ、鍵開け。そっか、成長次第で持ってる技能も変わるんですね」
P「これが奥深い所なんだ。良いパネルがあればキャラが強くなる。けどパネルはシナリオクリアでしか手に入らない」
春香「パネルを手に入れるのにも限りがあるんですね」
P「更に言えば1枚は絶対入れ替えなければいけない。今はいいけど……」
真「ああ、7マス埋まっちゃうと必要なパネルを捨てないといけなくなるんですね」
P「そういうことだな。弱いパネルを捨ててどんどんいいパネルに変えながらも、交換スペースは残さなきゃならない」
春香「いろいろ考えるゲームですねぇ……」
真「でも、面白いよね。なんか今までのRPG像をひっくり返された感じ」
P「お前達は知らないかもしれないが、テーブルトークRPGっていうジャンルがある。本来は非電源で行うんだが」
P「それを電源ゲームでやろうとしたのがこのゲームなんだ。だから慣れてる人なら結構さくさく進む」
春香「へぇー……あの、これで大体プレイできるんでしょうか?」
P「そうだな、オブジェクトに対する行動の仕方とパネルの仕組みさえ覚えれば普通にプレイはできるだろう」
真「今度はボクにやらせてよ、春香。続きでいいからさ」
春香「私ももう一個くらいシナリオやってみたいなぁ」
P「ところがですね。そろそろお時間です」
春香・真「えぇ~」
P「夕方だからな。帰った帰った」
真「あ、じゃあこのソフト貸してくださいよ!」
P「ん?」
春香「あっ!ずるい!私もやりたいです!」
P「ハードはあるんだったか」
真「はい、このくらいならありますよー」
春香「ウチもです」
P「よし、なら二人の熱意に感服した!このアンサガをプレゼントだ!」
真「ええ!?」
春香「でも一本しか無いんじゃないですか?」
P「在庫こちらになります」
真「うわっ!4、5、6……8本?」
春香「なんでこんな……」
P「中古屋でこっちを見てたもんだからつい……」
真「いっぱい売られてたんですね……」
P「8本買っても1000円で足りた」
真「とにかく、とりあえずクリアできるまでやってみますよ」
春香「私もです。あ、あの……」
P「ん?どうした春香」
春香「あの、わからない所あったらプロデューサーさんに聞いてもいいですか?」
P「おうおう構わんぞ。電話でもいいし仕事が無ければ家に来てもいい」
真「あっ……ボ、ボクもいいですか!?」
P「そりゃ勿論。いやー、しかし二人がこんなにハマってくれるとは思わなかったよ」
真「うーん、最初はイライラしましたけどね」
春香「わかってみると面白いよね。まだまだ触った程度ですけど」
真「複雑に見えて結構シンプルだよね。説明があれば普通におもしろいゲームだと思います」
P「そうだな。やり込みたいプレイヤーにはめちゃくちゃおすすめできるゲームだと思ってるよ」
P「先々の事を考えてパーティーを考えたり、良いパネルを狙って粘ったり。やれる要素が多くていつまでも遊べるよ」
真「ハマっちゃったらどうしよう……」
春香「仕事に響かないくらいにしようね」
P「うん、節度を持ってな。それじゃ、今日は解散。おつかれー」
~数日後~
律子「おはようございまー……」
P「いや、だからだな。軽体術と槍があれば」
春香「斧ですよ斧。資質無視してもナブラがあれば」
真「性能はともかくやっぱり剣でしょ!」
律子「何の騒ぎですか?」
P「おお律子。いや、アンサガを二人に布教したんだが大好評でな」
律子「アンサガぁ?」
真「あれ、律子は知らないの?」
律子「……ちょっとわかんないわね」
春香「面白いのにー」
真「ねー」
春香「私、術合成狙ってずーっと粘ってたら……」
律子「やめときなさい。都市伝説よ」
真「……え?」
P「……レベル4魔道板が出たんだけどさー」
律子「どうせガダニーニですよ」
P「アイテム欄が圧迫されちゃってさー」
律子「ダマと精霊銀さっさと売ればいいじゃないですか」
P「いやーお金が余って宝箱開けられないんだよなー」
律子「マハラジャを……はっ!?」
春香「ちょっと二人が何言ってるかわからない」
真「こわい」
P「お前めちゃくちゃやってるだろ」
律子「……いいじゃないですか!別に!ゲームくらい!」
P「今度は律子のおすすめ教えてもらおうな、二人共」
真「そうですね!また面白いゲームに会えるかもしれないし!」
春香「わー楽しみだなー」
律子「わかったから仕事しなさい!ほら散った散った!」
実際本当に仕組み理解すれば面白いゲームなの?
P「はっはっは。なんだかんだで律子もゲーマーだな」
律子「趣味くらいいいじゃないですか、全く……ところであの二人にいつそんな話したんですか?」
P「ああ、この前二人がオフだった時に家に呼んでな」
律子「家……って、プロデューサー殿のですか?」
P「そらそうよ。そんでひと通り遊んでもらった」
律子「そう、ですか」
P「まさかここまでハマると思わなかったけどな。さ、仕事だ仕事……?」キュ
P「まだ何かあるのか?袖つままれてると仕事出来ないぞ?」
律子「……も、行きます」
P「んぁ?」
律子「私も行きます!プロデューサーの家!」
P「な、なんで!?」
律子「あの二人は良くて私はダメなんですか?おすすめのゲーム、教えてくださいよ」
P「そういう事か。わかったわかった、じゃあ今度誰かと一緒にな」
律子「……まぁ、それでいいです。それじゃ、また予定調整しますね」
P「おうおう。じゃあまた今度な」
律子「面白く無いと許しませんからね!」
P「そりゃ責任重大だなぁ。しっかり選んどくよ」
律子「……もーっ!」
小鳥(律子さんが楽しそうでなによりです)
おわり
はい。りっちゃんが可愛いです。
今はネタが無いからまた何か立てるよ。今度はレゲーにするね。
>>75
仕組みがわかればこれが実に面白い。
やり方次第でアイテムやキャラが序盤からどんどん強くなるからそういうの好きな人にはたまらんと思うよ。
ただ操作テンポは悪いからゆっくり腰据えてプレイするのが苦手な人には向かないかも。
とにかくやり込み系プレイヤーならハマれると思う。サガシリーズは全般そうだけど。
P「というわけでだ」
律子「……おじゃまします」
P「邪魔するなら帰って」
律子「……」
千早「あの、お招きいただいたと思っていたのですが、ご迷惑だったでしょうか?」
律子「いいのよ千早。ただの悪ふざけだから」
P「新喜劇嫌いか?」
律子「正直あまり」
千早「見たことがありません」
P「あ、そ……まぁ、適当に座ってくれよ。セッティングするから」
律子「それじゃ、失礼して……」
千早「ねぇ律子、そこにあるのが全てゲームなの?」
律子「そうね。うわ、メガドラとかある……」
P「いろいろ取り揃えてあります」
千早「律子はわかります、詳しいみたいだから。でも、どうして私が呼ばれたのかがわからないのですが」
P「んー、そうだなぁ。まぁオフだったのもあるし」
律子「あるし?」
P「ウチ一番の表現者……アーティストだと思うからな。ゲームとしての感想を律子に、世界観なんかの表現に関してを千早に聞きたくて」
千早「世界観、ですか。つまりは独特な世界観をもったゲームという事ですね?勉強させてもらいます」
律子「そこまでしっかりした意見は持ってませんけど、それなりに数やってますから」
P「というわけでこの二人なんだ。さ、セッティング終わったぞ」
律子「PSですか?」
千早「ソフトを挿す部分が見当たらないわね……」
P「ここ、開く。ディスク、入れる」
千早「あ、そうなっているんですか」
律子「で、タイトルは何を?自慢じゃないですが、メジャータイトルは大抵プレイ済みですよ」
P「うーん、メジャー……かなぁ。PS発売当時の事を知ってる人なら知ってると思うんだけど」
律子「それなら知らないかもしれません。世代的に微妙ですし」
P「そっか。今日やるタイトルは……KOWLOON'S GATE -九龍風水傳-だ」
律子「クーロンズゲート……知りませんね」
P「ならこれでいいか。万が一プレイ済みならやめておこうかと思ったんだ」
千早「すごい装丁ですね。ゲームというのは全てこんな装丁なんですか?」
P「そんなわけないだろ。これは初回限定版だ」
律子「レアなんですか?」
P「一回なくしたけど某中古屋行ったら普通に安く売ってた」
千早「冊子が付いてるから分厚いのかしら……読んでもいいですか?」
P「どうぞどうぞ」
律子「嘘、これ四枚組ですか?確かFFⅦが三枚だったのに」
P「そのくらい気合いの入った作品なんだ。千早はしばらくそれを読んでいてくれ」
千早「はい、画面も見ますが……とても、興味深い内容なので」
P「だろうな。賛否はおいといてすごいだろ」
律子「じゃあ私がプレイ担当でいいんですね」
P「おう。それじゃいってみよう」
律子「ホラーですか?」
P「んーってわけでもないぞ」
律子「かなりおどろおどろしい雰囲気で始まりましたけど」
P「そういうもんなんだよ。そうだなぁ、お前達世代じゃ知らないかな?九龍城」
律子「聞いたことくらいは。スラムを凝縮したような場所だったんですよね?」
P「その通りだ。世の中の色んな物をぐちゃぐちゃに混ぜてぎゅっと縮めたような、すごい場所があった」
P「テレビの特集なんかでカメラが入ったりするとワクワクとドキドキで、妙に背徳的な興奮があったもんだ。その九龍城が舞台になってる」
律子「それでこんな空気なんですね。じゃあやっていきますよ」
P「どうぞどうぞ」
律子「……自分視点なんですね」
P「ああ。ゲームはずっと自分から見た視点で進む。3D酔いは?」
律子「平気です。FPSなんかもやりますから」
P「あら意外。ああいうの苦手だと思ってたよ」
律子「Coopだけですけどね。撃ち合いは苦手です」
P「ちなみに誰と?」
律子「小鳥さんです。ただあの人VCだと言葉がその……」
P「なんとなく想像ついた。今度音無さんも誘ってみるか」
律子「ええと、主人公は風水師で、乱れた気を正すのが仕事なわけですね」
P「そうだ。その為に異世界……陰界にあったはずの九龍城に潜入するんだ」
律子「ストーリーはなんというか、淡白ですね」
P「今のところはな。いや、ストーリー自体は淡白か……ただ……」
律子「ただ、なんです?」
P「……見てたらわかるよ」
律子「……なんですか、もったいぶりますね。よほど面白い物があるんですね?」
P「まぁそういう事だ。その辺は付属の冊子に書いてたりするんだが」
千早「……」ゴクリ
P「ああなる程度の物が出てくる」
律子「読みふけってる……一体何があるのよ……」
P「さぁ九龍城だ」
律子「気味が悪いですね。暗いし……」
P「これがいいんだよ、これが。振り向いてみ」
律子「あ、さっきの人の声が……」
P「なんか企んでるだろ」
律子「仲間じゃないんですか?」
P「最初に言っておくよ。このゲーム、まともな人間は一人だっていない」
律子「えぇ……」
P「むしろまともそうに見える人ほど……まぁいいか。進んでみてくれ」
律子「はい。……自由に移動できないんですね」
P「いよいよ城内に入るぞ」
律子「はい……っ!」
P「いい演出だろ。歪んでる感じがよく出てる」
律子「確かに、これは……」
千早「読み終わりました」
P「おう、終わったか。どうよ?」
千早「……私には、理解出来ません。けれど、恐ろしく、怪しく、何故か心惹かれる物があります」
P「なるほど。千早は素質があるな」
千早「素質?何のでしょうか?」
P「妄人のだよ」
千早「や、やめてください!それはどちらかというと音無さんの……」
P「まぁ、妄想はな」
律子(ワンニン……?なんの話かしら。あ、最初の人見つけた)
律子「び、びん屋……」
P「九龍城の中では大抵の人が商売をやってる。この人はひたすら瓶を売ってる人だな」
律子「商売になるのかしら。鏡屋というのがいなくなってしまったんですね」
P「そう。最初はそれを探しに行く所からだな」
千早「音がつくとまた一層深みが出るわね」
律子「あの、住民が誰も歓迎してくれないんですけど」
P「まぁよそ者は歓迎されないよな、こういう場合」
千早「あっ、この人」
律子「ひっ!な、なによこの男の人……これ、縄?ホースみたいな物で……」
P「名物キャラクター、水銀屋だな」
千早「怖がらないであげて。彼は昔、妹の病気を治す為に水銀を使って、誤って亡くしてしまった過去があるの」
律子「そ、そうなの?」
千早「ええ。だから、あの管はきっとそれに縛られている彼を象徴しているのよ」
律子「ただのモブじゃないのね……」
P「九龍城内のキャラクターには大抵そういう裏話がある。住人もちゃんと生きてるんだ」
律子「拘ってるんですね。……確かに、そう見ると可哀想な人ね」
P「そんで、あれだ。ワンニンの話」
律子「物になってしまう……?よく、わからないわね」
P「まぁ素直に好きな家電選んどけよ」
律子「なら、電子レンジで」
律子「えび剥き屋……これこそ商売になるのかしら」
千早「何にでも需要があるのよ、きっと」
P「さぁダンジョンだ。その前に武器だな」
律子「邪気は吸えない……?鬼律(グイリー)……?」
千早「九龍城には邪気が充満していて、時にはそれが人や物に取り憑くの」
P「読み込んでるな、千早……。そして人に取り憑くと妄人に、物に取り憑くと鬼律になる。いわゆるモンスターは鬼律だな」
律子「それに、邪気をぶつければいいんですね」
P「ああ。陰陽五行を知っているか?」
律子「ええ、ゲームにも良く出てきますし。木火土金水ですよね」
P「それぞれの相克しあう属性もわかるな?」
律子「はぁ、まぁ」
P「なら、鬼律の属性を見抜いてそれと相克する属性の邪気をぶつけるんだ。そうする事で鬼律はただの物に戻る」
律子「なるほど……とにかくダンジョンを探さないといけないんですね」
P「そこ、えび剥き屋の横からいけるぞ」
律子「では……」
律子「ダンジョンは自由に移動できるんですね」
P「ああ。探索パートとダンジョンパートにはっきりわかれてる」
律子「画面が歪んでいますけど」
P「鬼律の出す邪気が歪めてるんだ。つまり近くに鬼律がいる」
律子「いよいよ戦闘ですね」
P「くるぞ」
律子「ひっ!」
千早「このBGMがまた、世界観を象徴しているような……」
P「だな。戦闘だからって盛り上がるというより、むしろ逃げ出したくなるような雰囲気を出してる」
千早「そして鬼律ですか」
P「奇妙だろ?」
千早「ええ。正直言って不快です」
P「けど……」
千早「何故か、食い入るように見てしまう。これがプロデューサーが見せたかった物ですか」
P「そういう事。千早はこれをどう思うかが知りたくてな」
律子「あのっ!のんびり話してるのはいいんですけど、これ、これどうするんですか!?」
P「ああ、さっき言っただろ。相克する属性の邪気を選んでぶつけるんだ」
律子「ええ?えっと、こいつの属性は……」
千早「鬼律は元となった物の姿を濃く残しているのね」
律子「じゃあ属性も関係あるのかしら。とにかく何かぶつけてみよう」
P「残念、火じゃなかったな」
律子「じゃあ、えっと……水!」
千早「三択で二回外すなんて……」
律子「し、仕方ないでしょこの場合。じゃあこれね」
P「物に戻ったな。こうやって進めていくんだ」
律子「うぅ~……気持ち悪くなってきました」
P「酔ったか?」
律子「いえ、世界観が……」
P「近くにもう一体いるぞ。気をつけろよ」
律子「えっ、えっ?」
P「あー、うろうろしてるからほら」
千早「体力がどんどん減っているわね」
律子「どこに……あ、ここ?」
P「また戦闘だな」
律子「慣れないわ、この戦闘突入音」
P「気をつけろ、体力が少ないぞ」
律子「わかってますって。こいつは……これ?」
千早「見た目的に機械みたいだから、火では無いかしら」
律子「あっ」
P「水撃っちゃったな」
律子「これ、反撃で体力無くなるんじゃないですか?」
P「そうだな。まぁ見てろよ」
千早「少し期待してしまいますね」
律子「何がどうなるのよ……」
チーン☆
律子「……」
P「とまぁこうなるわけだ」
千早「プレイ画面で見るとまた趣が違うわね……」
律子「なんですか、このシュールな絵は」
P「言ったろ?邪気が人に取り憑くと妄人になる」
千早「妄人は、自分が執心していた物そのものになってしまった人の事。人の意識はあるものの、徐々に物になっていくの」
千早「人の意識を保つ方法はひとつ。妄想し続ける事。ずっとそれだけを続けていく……」
律子「何で電子レンジなんですか」
P「さっき自分で好きな家電を決めただろ。だから律子は電子レンジになったんだ」
律子「主人公を私みたいに言わないでください!なりたくありませんよ電子レンジなんて!」
P「なっちゃったものは仕方がない。やり直すか」
律子「プレイ、変わってくださいよ……」
P「仕方ないな、じゃあちょっとやるか」
~半時間後~
P「鏡屋救出完了と」
律子「本当に見た目がキーになってるんですね」
P「ああ。鬼律の見た目は元のアイテムが残ってるから、そこから推察するんだ」
律子「サメが金なのは?」
P「あれはサメじゃなくてそれにくっついてるように見えた方が本体。アンテナかなんかだろ」
律子「わかるわけないじゃない……」
P「普通に調査コマンドあるけどな」
律子「教えてくださいよ!」
P「とりあえず、今日はあそこまで行って終わりにするか」
律子「あそこ?」
P「このゲーム一番の名物までだよ」
千早「冊子にはありませんでしたけど」
P「まぁ、見ればわかる。すごいインパクトだから」
P「これだ」
千早「妙にぴかぴかした台ですね。ゲームセンターで以前似たような物を見かけましたが」
律子「何があるんですか……」
P「見てろよ」
ガランガランガランガラン
ソンジイサンウラナイウラナイウラナイ
ソンジイサンウラナイウラナイウラナイ
律子「ひぃっ!?」
千早「……っ!?」
P「……という、全く意味のない場所だ」
律子「びっくりさせないでくださいよ!」
千早「無意味な場所なのに……声付き……一体何なの……」
P「これ見たら、まあいいだろ。一旦終わりっ」
律子「なんというか、酔ったのとは違う不快感が……」
千早「私も見ていただけなのに、かなり……」
P「うーん、ダメだったか」
律子「いや、ダメでしょうこれは」
千早「嫌いでは無いのですけれど……なんというか不条理をあからさまに突きつけられているようで」
P「……それじゃ、詳しく感想を聞いていくか。まず律子。ゲームとしてはどうだった?」
律子「ええと、素直に言っていいですか?」
P「それが欲しいんだ」
律子「でしたら。駄作、所謂クソゲーの部類だと思います」
P「それはなぜ?」
律子「はっきり言ってシステムが不快です。プロデューサー殿の戦闘を見るに、慣れると持っている邪気をぶつけるだけの単純な物になるでしょう」
P「ついでに言うと吸収ってのもあってな。それだと無条件で一撃だ」
律子「戦闘があれしか無いなら戦闘部分はダメだと思います。アドベンチャーパートについても正直理解に苦しみました」
律子「乱雑なマップ、見えてこない話の流れ。誰に話しかけたらいいのか、どこに行けばいいのか。全くわかりません」
律子「そのくせ突然背後にキーキャラクターが立っていたり、嫌がらせのような不条理なイベントがこれだけ短い間にもいくつかありました」
律子「……総合して見て、面白いとは思えませんでした。でも」
P「おっと、そこから先はまた後でな」
P「ゲーム的には素人の千早はどうだ?」
千早「アドベンチャーゲームというのが全てこういう物だったなら、きっと私は遊ぶことはないと思います」
P「十分だ。さて、それじゃ世界観について。千早、どうだった」
千早「……付属の小冊子、あれだけでも興味が尽きません」
P「そりゃまたどうして」
千早「理解に苦しむ内容です。律子も使っていたけど、不条理という言葉がこれほど似合う物もないでしょう」
千早「しかし、何故でしょう。住人達の小さなドラマや、どうでもいい世界設定が気になって仕方がない」
千早「さっき言った、不快感があるという言葉は嘘ではありません。しかし、その……」
千早「正直に言って、あの世界に住んでみたいとすら思ってしまったんです。言葉には出来ないのですが」
P「……律子は?」
律子「私はそこまで惹きつけられはしませんでした。けど……錯覚なんでしょうけど」
律子「プレイ中、あの世界に取り込まれたような感覚は何度もありました。そして、それは不快ではなかった」
P「どうやら、わかってるみたいだな。さすがの感受性だ」
P「律子が言ったみたいに、これはゲームとしては凡百どころか駄ゲーと言っても良い」
P「だが、それを補って余りある魅力を持ってるんだ。ハマった人は何百時間と九龍城をうろついてても、むしろ気持ちよく感じるらしい」
P「何がそうさせるのかはわからん。けどこの独特すぎる世界観が、プレイヤーを魅了してやまない」
P「それがこのクーロンズゲートってゲームなんだ」
律子「ですね。ただ私は無理です……何時間もやってたらきっとどこかおかしくなりますよ」
千早「私もそう思います」
P「まぁ、ずっとやってるプレイヤーなんてのは本当に九龍城に取り込まれてるんだろうな」
千早「ただのゲームですが、そうなってもおかしくないと思わせますね」
律子「それが魅力、ですか」
P「アンサガと違って、ゲームとしての面白さじゃなく、世界観としての面白さを持ったゲームを紹介してみた」
P「律子は普通に面白いゲームはやってそうだからな。変化球投げてみた」
律子「なんていうか、やられました。まさかこんなの出されるとは……」
千早「面白い作品でした。役に立つかはわかりませんが、少し考え方が広がった気がします」
P「それなら良かった。この企画、どうしようかな……」
律子「続けてみたらいいじゃないですか。面白かったですよ」
千早「ええ。他の皆にも経験して欲しいわね」
P「そうか。二人がそう言うならやってみるかな。ゲームと縁遠そうなやつらもいるし、色々やってみるよ」
千早「次回があったならぜひ私も誘ってくださいね」
律子「私もぜひ。プロデューサー殿の引き出しがどのくらいあるのかも気になりますし」
P「そっかそっか。そんなに言ってくれると嬉しいな。じゃあ次もまた俺の家に呼んで」
律子「待った!それは待ってください!」
P「ど、どうした律子」
律子「事務所使えるようにします。レッスンって事でちゃんと企画通しますんで、次は事務所でやりましょう」
P「まぁ、それは構わんが……」
千早「……そうね、あまりみんなにプロデューサーのお家がバレても困るし」
P「え?なんでだよ」
律子「別に私は困りませんけど!一応、一応ですよ!」
千早「ふふっ、そうね。それじゃ、今日は帰りましょうか」
P「おう。そんじゃまたなー」
P「……さって!次はどうするかなー。眠れる名作は山とあるからなーえーと、これとか……ん?」カタン
P「……たけしの挑戦状、か」
おわり
調子乗って二本やったけどたけしの挑戦状は・・・名作・・・なんだろうか・・・。
とりあえず今度こそ終わり。アンサガもクーロンズゲートも大好きだからみんなやろうぜ!
朝から付き合ってくれてありがとう。眠いんで寝ます。
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