勇者「僕がサトラレだって……?」(139)

―――王城

戦士「サトラレの少年を勇者にするですって?」

王様「ああ、魔族による人間への被害は増すばかりじゃ……ここで何とかせねばならぬ」

戦士「しかしどうしてサトラレを……」

王様「サトラレ……周りに自分の心の声が漏れてしまう人間のことじゃが……彼らはそれだけではない」

王様「彼らの特徴としてもう一つ、特殊能力に秀でていることがある……特に今回、勇者にする少年は戦闘技術がずば抜けておる」

王様「勇者として魔王を討伐してもらうことに決まった。そこでお主に頼みたいのじゃが……」

戦士「頼みですって?」

王様「ああ……知ってのとおりサトラレはめったにいない希少な人間だ。だから国を挙げて保護し、絶対に本人にサトラレであることを告げてはならんことになっておる」

戦士「ええ、知っています」

王様「この国におる間はそれでもよかったが、魔王の城までの旅の間……周りに声が漏れ、バレてしまう危険があるやもしれぬ」

王様「そのようなことがあっては勇者の精神は事実に耐えられんだろう……」

戦士「ですね……自分の心が全て漏れていたなど深い心の傷となりましょう」

王様「だから戦士、お前がフォローしてやってくれ、勇者が魔王を倒すその時までな」

戦士「はっ!お任せください」

王様「ともに旅をする仲間にもその旨は伝えてある。では行くがよい、戦士よ」

戦士「はっ!」

ザッ

大臣「大丈夫でしょうか?」

王様「何がだ?」

大臣「いえ、サトラレは希少な存在です。もしものことがあれば……」

王様「ふふっ、心配はいらん……もしバレたらその時はその時……」

大臣「え……」

王様「いや、もしバレなくても……な。考えはある」

大臣「それならよろしいのですが……」

―――酒場

戦士♂「っと言うわけだ。頼むぞ、みんな」

魔法使い♀「おっけー。大丈夫!絶対バレないように協力するから」

僧侶♀「最初から教えてあげたほうが本人のためなんじゃないですか?」

戦士「いや、僧侶。考えてみろ、食事の時もトイレの時も風呂に入ってる時も心の中が全部聞こえてしまうんだぞ?つらいと思わないか?」

僧侶「それはそうですが……知らない人から突然言われることもあるでしょう?その時のほうがショックじゃないかと……」

魔法使い「あはは、大丈夫だって!その時のためにあたしたちがフォローするでしょ?」

戦士「魔法使いの言う通りだ、俺は絶対に勇者から目を離さないように気を付ける。頼んだぞ」

僧侶「わかりました……」

勇者(どきどきするなぁ……一緒に冒険する人ってどんな人たちかなぁ)

魔法使い「あ、何か聞こえてきたわね」

戦士「来たみたいだな」

僧侶「不思議ですね……しゃべってないのに声が聞こえます……」

ギィ

勇者♂「あの……王様から紹介されてきた勇者だけど……」

戦士「おい!こっちだこっち!」

勇者(うわっ大きい人だな……それにちょっと怖そう……大丈夫かな……)

勇者「あ……あの……僕……」

戦士「そんな緊張するなよ!お前が勇者だな、なっ」ニッ

勇者「は、はい!」

戦士「俺は戦士、よろしくな」

勇者「は、はい。戦士さん、よろしくおねがいします」

戦士「敬語なんて使わなくていい、戦士でいいから、なっ」

勇者(よかった……いい人そうだ……仲良くなれたらいいな……)

戦士「それからこっちが僧侶と魔法使い、一緒に旅をする仲間だ」

僧侶「僧侶です……」ペコッ

勇者「よろしく」ペコッ

勇者(女の人だ……美人だなぁ……それにおっぱい大きい……柔らかそう……)

僧侶「なっ……!」キッ

勇者(あ、あれ?なんで睨むんだろ……こわっ……)

僧侶「……」ビキッ

戦士「そ、それから最後に魔法使いだ!」

魔法使い「魔法使いよ、攻撃魔法は任せて!困ったことがあったらお姉さんに任せなさいよ」

勇者「う、うん。よろしく」

勇者(可愛いけど……おっぱいちっさ!まるで地平線のようだ……)

魔法使い「誰のおっぱいが地平線よ!」パーン

勇者「いたっ!?え……え……なんで考えてることが……」

魔法使い「はっ……しまった……つい……え、えっと……そう!あたしは超能力者でもあるの!」

勇者「超能力?」

魔法使い「ええ、相手の考えてることがわかるテレパスの力があるのよ。だから考えてることが分かったの」

僧侶「あっ!ずるい!」

戦士「その手があったか!?でも……二人目は……ないな……」

僧侶「ずるいですよ!魔法使いさんだけ楽して!」

勇者「すごい!超能力まで使えるんだ!」

魔法使い「まぁね!あたし万能だし?あはははは」

勇者「じゃあ魔物が次どう動くとかも分かるんだね!」

魔法使い「え……」

勇者(すごい人だ!この人がいて指示してくれれば魔物も怖くないぞ)

魔法使い「いや、あの……魔物は人間と精神パターンが違うからわからないのよ……あはっ……あはははは」

勇者「そうなんだ……」

勇者(あまり役に立たない能力だなぁ……おっぱいは地平線だし)

魔法使い「だから誰が地平線か!」バシーン

―――草原

勇者(あー、お腹すいたなぁ)ズバッ

勇者(今日の晩御飯なにかなー、携帯食はもう飽きたよ)ゴゥ

勇者(あ、僧侶のパンツ見えそう……)ドガッ

僧侶「ちょっと勇者!もうちょっと真面目に戦ったらどうなんですか!?」

勇者「え?もう全部倒したけど……」

僧侶「……」

戦士「おー、さすが強いな、勇者」ナデナデ

勇者「ちょっと、撫でないでよ」

戦士「ガキによくやったって撫でてやるのは大人の役目なんだよ」ガシガシ

魔法使い「ちなみに今日の僧侶のパンツの色は黒よ」

勇者「本当!?」

勇者(なんということでしょう……魔法使いは神様です……)

僧侶「何いってるんですか!魔法使いさん!」

魔法使い「あはは、いいじゃない減るもんじゃないし。でも仲間をそんな目で見るのは感心しないなぁ」

勇者「ご、ごめんなさい……」

勇者(怒られちゃった……そうだよね……不謹慎だったよね……)

魔法使い「ちなみにお姉さんの今日のパンツは……」

勇者(別に魔法使いのは知りたくないし……あの胸でブラとか必要なのかな……)

魔法使い「火炎魔法!」ゴゥ

勇者「ぎゃああああ!」

―――港町

戦士「おい、勇者。ちょっとお前の剣見せてみろ」

勇者「ん?どうしたの?」スッ

戦士「お前……こんなボロボロの剣で戦ってたのか?」

勇者「まだ斬れるよ」

戦士「いや、買い換えろよ。ほらっ、あそこの武器屋で買ってやるから」

勇者「本当!?やった」

勇者(わーい、やったー!新品だ!)

僧侶「ただの子供ですね……」

魔法使い「そうよ、だから僧侶もそんな目くじら立てないでさ、ねっ」

武器屋「いらっしゃい」

戦士「勇者、どれにする?」

勇者「どれでもいいの!?えっと……どうしようかなぁ……」

勇者(棍棒……銅の剣……ろくなものが置いてないなぁ……これならうちの田舎の村のほうがいいもの売ってるよ……)

武器屋「なんだと、てめぇ!うちの店に馬鹿にしてんのは誰だ!」ガタッ

勇者「え……」

魔法使い「まずいわ!」

戦士「俺だ!こんな棍棒や銅の剣くらいしか売ってないボロっちい店田舎でも見かけないってな!」

僧侶「戦士!」

戦士「あー、こんな店誰も寄り付かないだろうなー!」

武器屋「てめぇ表に出やがれ!おらぁ!」ドガッ

戦士「……」

武器屋「うらぁ!おらおらぁ!」バキッ ガッ

戦士「……」

武器屋「二度とうちの店くんなよ!この野郎!」ペッ

戦士「悪い、勇者。武器はまた今度になりそうだ」

勇者「戦士、いくら本当のことでもあんなこと直接言っちゃいけないよ」

僧侶「ちょっと!勇者、あなたねぇ!誰のせいで戦士が……」

戦士「待て、僧侶。ははは、悪かったな、俺はつい口がすべっちまうからな、許してくれ」

僧侶「……戦士」

魔法使い「まぁまぁ、剣はあたしが後で買っておいてあげるからさ、もう今日は休みましょ」

―――宿屋

勇者「ここに今日泊まるの?」

勇者(ボロっちい宿だな……)

戦士「ボロっちい宿だな!なぁ主人!だがなかなか趣がある!」

魔法使い「戦士ナイスフォロー!」

宿屋「ボロくて悪かったね」ニコッ

戦士「こういう宿は飯がうまいって相場が決まってるんだ。頼むよ、主人」

宿屋「ええ、お任せ下さい」

魔法使い「勇者、あんたも同じこと思ってたでしょ」

勇者「えっ、いや、ははは」

魔法使い「あまり失礼なこと考えちゃだめよ、あたしが許さん!」クワッ

勇者「ご、ごめん!火炎魔法は勘弁して!」

僧侶「……」

―――僧侶の部屋

コンコンッ

戦士「いるか?」

僧侶「どうぞ」

戦士「ちょっと話したいことがあってな」

僧侶「それより、戦士、ひどい傷……こんなに殴られて……」

戦士「いや、大丈夫だ」

僧侶「大丈夫じゃありません!今治療しますから……」パァァ

僧侶「それもこれも……あの子のせいです……なんで戦士がこんなに殴られないといけないんですか!」

戦士「そういうな、あいつだって好きでサトラレになったわけじゃないだろ?」

僧侶「でも……このままじゃ戦士が見てられなくて……」

戦士「それにあいつの心の声……俺にはただ純粋なだけに思えるがな……」

僧侶「そうですか?」

戦士「俺だって心に暗いことを思い浮かべるようなこともある……でもあいつは思ったことを素直に出してるだけだ」

僧侶「ちょっとスケベなのは嫌なんですけど……」

戦士「そんなことを言えば俺だってお前の……」

僧侶「え?」

僧侶「な、なんでもない」ゲフンゲフンッ

僧侶「ちょっ、ちょっと今のは聞き捨てなりませんよっ///」カーッ

―――魔法使いの部屋

魔法使い「今日の夕食が物足りなかった」ビシッ

勇者「当たり!」

魔法使い「超能力が使いたい」

勇者「また当たり!」

勇者「すごいなぁ、よく僕の考えてることが分かるなぁ、いいなぁ、魔法使い」

勇者(僕も超能力使いたいなぁ)

魔法使い「そんなに使いたいの?なんで?」

勇者「だって人の心が読めるなんてすごいよ!想いを伝えられるんでしょ?」

魔法使い「想いって……自分の心が読まれて嫌とかないわけ?勇者?」

勇者「だって、僕の心を知ってるのは魔法使いだけでしょ?魔法使いならいいよ。僕の全部を知られても」

魔法使い「そう……でも超能力なんて覚えて何をする気?」

勇者「世界平和に使う!」

勇者(可愛いあの子の気持ちが分かっちゃうなんて最高だよね!)

魔法使い「全部聞こえてるっての!」パンッ

勇者「あいたっ!でも、女の子の気持ちじゃなくても人の気持ちが知りたいよ」

魔法使い「人の気持ち?」

勇者「うん……なんか今日みんな変だったし……僧侶は僕になんか怒ってるみたいだったし……」

勇者「僕何か悪いことしたのかな……」

勇者(だったら謝らないと……)

魔法使い「……じゃああたしが聞いてあげよっか?」

勇者「え?」

魔法使い「あたしに任せなさい!このテレパシーでビビビっとね!あはは」

勇者「……いや、いいよ」

魔法使い「え?なんで?」

勇者「よく考えたら……僧侶は知られたくないことかもしれないし……」

勇者「あっ、魔法使いはいいよ!僕の心読んでくれても。全部知っててもらいたいし」

魔法使い「勇者!」ギュッ

勇者「ちょっ、ど、どうしたの?」

魔法使い「あなたはほんっといい子ね……」

勇者(魔法使い暖かい……それにいい匂い……)

魔法使い「よしっ!じゃあこうしましょう!とりあえず僧侶に謝ること!」

勇者「え?なにそれ?」

魔法使い「いいから、やってみなさい。きっと僧侶もあなたのこと睨んだりしなくなるわ」

勇者「う、うん……」

―――翌朝

僧侶「あ、おはようございます」スタスタッ

勇者「ちょ、ちょっと僧侶待って……」

僧侶「なんですか?もう朝ごはん食べて出発しますよ」

勇者「あの……あの……ごめんなさい!」ペコッ

僧侶「はぁ?なんのごめんなさいですか?」

勇者「いや、あの……よくわからないけど……きっと僕が悪いんだと思うから……」

僧侶「……」

勇者「あの……」

僧侶「はぁーもういいですよ……何の事だかわかりませんが……」

勇者「許してくれるの?」

僧侶「でも勇者がちゃんと周りのことを見てるってことは分かりました」ニコッ

勇者(あ……笑顔可愛い……)

僧侶「……」

勇者(それにやっぱりおっぱい大きいなぁ……触りたい……)

僧侶「……」バシーンッ

勇者「あたっ!なんで叩くの!?」

僧侶「こ、これは仲直りの握手のかわりです!」

勇者「なにそれ!?」

僧侶「ほらっ!朝食が冷めてしまいますよ!行きましょう!」グイッ

勇者「あっ……うん」

―――山里の町

戦士「魔王の城までもうすこしか……」

勇者「でね、でねっ、僧侶……」

僧侶「へぇーそうなんですか」

戦士「あいつらもすっかり仲良くなったな」

魔法使い「あははは!でもたまに僧侶のビンタが飛んでるみたいだけど」

戦士「勇者のやつ最近それも喜んじゃってるからなぁ……」

魔法使い「それは将来心配かも……」

戦士「でも、まぁ勇者もうれしそうだからいいか、ん?なんだ?勇者たちが止まってるぞ」

浮浪者「お恵みを……」

勇者「お恵み?」

勇者(汚い人だなぁ……顔が真っ黒だよ……)

僧侶「ちょっ、ちょっと勇者!」

勇者「え?」

浮浪者「……」

勇者(見たところ若いし体も悪くなさそうなのに、なんでこんなことしてるんだろう……)

勇者(働けばいいのに……恥ずかしくないのかな……)

戦士「は、恥ずかしくないのか!ほれっ!お恵みやるからさっさと消えろ!浮浪者!」チャリンッ

浮浪者(いらねぇよ……)

戦士「なっ……こいつ……心の声が……」

浮浪者(……そこまで言われてこんなものいるかよ!くそっ!くそくそくそおおおおおおおお!)

浮浪者(……誰が好き好んでこんなことを……うううう)

浮浪者(しかも俺と同じサト……)

僧侶「ゆ、勇者!今日は早めに宿に行きましょう!早く!」

戦士「お、おう!勇者!俺と競争だ!先についたほうが夕飯おごりな!行くぞ!」ダッ

勇者「あ……ま、待ってよ」タタッ

浮浪者「……」

魔法使い「あなた……サトラレなの?」

浮浪者(ああ……そうだ……あのガキも……だろう?)

魔法使い「それは……言えないわ」

浮浪者(ふふふっ、それでいい……あのガキのためにも絶対に誰にも知らせるな……)

魔法使い「あの……さっきはごめんなさい……」

浮浪者(謝らなくていい……さっきみたいなことは慣れている……)

魔法使い「あなたはどうして……」

浮浪者(こんなことをしてるのか?こうするしかないからさ)

浮浪者(サトラレみたいな気味の悪い奴を雇ってくれるところなんてありはしないよ……)

魔法使い「そんなことは……」

浮浪者(いや、そんなことあるさ……考えてもみろ。雇い主や客への不満、秘密……全部だだ漏れだ……)

浮浪者(サトラレは絵がうまいとか……頭がいいとか……力が強いとか……能力に秀でてるところはある……)

浮浪者(だが、才能があろうとそんなやつを誰が雇いたいと思う……)

魔法使い「でもきっとわかってくれる人がいるわ……」

浮浪者(ああ……中にはいる……だけど、自分がサトラレと分かったやつはな……ほとんど気が狂っちまうんだ)

浮浪者(俺なんてまだいいほうさ……みんな自分が恥ずかしくて……心が痛くて……死んじまう……)

浮浪者(だから……あのガキには絶対そんなこと教えるんじゃねーぞ)

浮浪者(あのガキが勇者っていうならお前ら魔王討伐に行くんだろ?魔王を倒した後があのガキの本当の闘いかもしれねえ……)

浮浪者(守ってやれよ)

魔法使い「うん……ありがとう……」

浮浪者(ありがとう……か……久しぶりに聞いたぜ……その言葉)

魔法使い「あなた……名前は?」

浮浪者(俺の名は……)

―――魔王城

勇者「おーい!みんな早くいこうよ」

魔法使い「……」

戦士「どうした魔法使い……いつになく無口だな……」

僧侶「何かあったの?」

魔法使い「いえ、ここで魔王を倒したらもう最後だなって……ね」

戦士「ああ、ここが正念場だ。気合い入れよ!」

魔法使い「もし……もしこの戦いが終わったら……」

戦士「なんだ、まだこの間のこと引きずってるのか、魔法使い」

僧侶「今そんなこと考えても仕方ないでしょう?」

戦士「安心しろ。国のやつらはみんな事情を知っている。勇者が帰ってもこれまで通りさ」

魔法使い「うん……そうね。あははははは、なーんかあたしらしくなかったわ」

魔法使い「勇者!最後の闘いの最中にエッチなこと考えたりするんじゃないわよ!」

勇者「か、考えてないよ!大丈夫!みんなは僕が守るから!」

魔法使い「あはは、かっこつけちゃって」

勇者(……怖い……怖いよ……でも……守らなきゃ……)

戦士「無理すんな、勇者。俺たちがついてるからな」バシッ

僧侶「怖いのはみんな同じですから、ねっ」

勇者「みんな……なんで……」

戦士「仲間なんだからな、お前の考えそうなことなんてお見通しだよ」

魔法使い「あら、あたしのテレパシーが形無しね」

勇者「行こう!」

バタンッ

―――魔王の間

魔王「人間がこんなところまで入り込むとは……どういうことだ?」

勇者「お前を……倒しに来た!」ザッ

勇者(怖いけど……逃げない!)

魔王「ふっ、人間の刺客か、愚かなことだ。わざわざやられに来るとはな」ゴゴゴゴゴッ

戦士「くっ……こいつ……強いな……」

僧侶「すごい魔力を感じます……」

魔法使い「ちょっと!戦う前からビビってんじゃないわよ!火炎魔法!」ゴゥ

魔王「ふん、こんなもの……」サッ

勇者(そこだ!右脇ががら空きだ!)

魔王「右だと!?」ガキンッ

勇者「なっ……防がれた!?」

魔王「素早い……な……だがなぜ攻撃する場所を言う……?」

勇者「このぉ!」

勇者(じゃあこれでどうだ!左右同時の速攻!)バババッ

魔王「ふんっ」ギギン

勇者「効かない!?」

魔王「なんだ?もしかして心の声……サトラ……」

戦士「うおりゃああああああああ!」ズバッ

魔王「おおっと!」ギリギリッ

戦士「勇者!いいからやれ!」

勇者「う、うん!」

勇者(よし!左から……)ザッ

魔王「わざわざ攻撃する場所を教えてくれるとは馬鹿が!食らうがいい!カウンター!」ドゴォ

勇者「がっ……はぁ……」ドガ

魔王「次は貴様だ!戦士といったか!」ブンッ

戦士「うっ……逃げ場が……」

僧侶「戦士!危ない!」ドンッ

ドガッ

戦士「ぐあっ……」

僧侶「きゃあ!」

戦士「こいつ……強い……それに速い……」

魔王「ふははははははは!とんだ足手まといな勇者がいたものだな。片腹痛いわ」

僧侶「いままでの魔物は……勇者の速さについていけなかったのに……」

戦士「勇者なみの速さのやつなら……声に反応できるのか……まずいな……」

魔法使い「ど、どうしよう……先手を取られちゃう……こっちのほうが速ければ読まれないのに……こっちのほうが速ければ……」

魔法使い「そ、そうだわ……」

勇者「いつつつ……」ムクッ

魔法使い「勇者!聞いて!」

勇者「魔法使い?」

魔法使い「ついに……ついに私の超能力が進化する時がきたわ!」

勇者「何いってんの?」

魔法使い「は、恥ずかしいけどちゃんと聞いてよ!///」カー

魔法使い「私のテレパスが進化したわ!心の目が……見える……見えるわ……そして伝わる!」

魔法使い「ねぇ、戦士!私の心の声、聞こえるでしょ!」パチパチッ

戦士(ウィンク?そうか……)

戦士「ああ、聞こえるぞ!お前の心の声が!」

魔法使い「僧侶にも聞こえるでしょ?私、テレパスの受信だけじゃなく発信もできるようになったみたい」

僧侶「アア、ワタシニモキコエテキマシター」

戦士「僧侶……お前下手すぎだろ……」

僧侶「し、仕方ないでしょ!」

魔法使い「勇者、あなたが指示して!心で!あたしがみんなにそれを伝えてあげる!」

勇者「そんなこと……できるの?」

戦士「勇者、いいから魔法使いを信じろ!」

魔王「おしゃべりはそこまでだ!」バッ

勇者(戦士後ろ!)

戦士「後ろだな!うらぁ!」ズバッ

魔王「ぐあっ!」

勇者「本当だ……」

魔法使い「勇者、次々!」

勇者「う、うん!行くぞ!」

勇者(右から攻撃だ!)ズバッ

魔王「食らうか!」ギィン

勇者(魔法使い!魔王の後ろががら空きだ!)

魔法使い「火炎魔法!」ゴゴゥ

魔王「ぐおっ……目が……この……」

勇者(僧侶!魔法使いにに防御魔法を!)

僧侶「はい!」パァァ

勇者(魔法使い!右へ!)

魔法使い「おっけー!」ザザザッ

魔王「なっ……こいつら急に動きがよくなって……」

勇者(戦士、右!)

魔王「ぐぁ!」

勇者(魔法使い左!僧侶は離れて!)

魔王「ぐぐぐっ……間に合わん……」

勇者(魔法使い、う……)

魔法使い「後ろでしょ!わかってるわよ!」バリバリッ

勇者(戦士……)

戦士「わかってる!右だろ」ズバンッ

魔王「な、なんだ……なんだんだお前らはああああああああ!声よりなぜ早く動ける!」

僧侶「声なんて聞こえなくなってわかりますよ」バッ

戦士「ああ、わかる……わかるさ!」ババッ

魔法使い「心がつながってればね!」バババッ

魔王「こ、このお!このガキさえ殺してしまえば……」ドドドドッ

勇者(戦士!とどめだ!右ががら空き!)

戦士「よっしゃあ!」

魔王「こ、今度はちゃんと聞こえたぞ!右だろ!返り討ちにしてくれるわぁ!」クルッ

魔王「……なっ……いない……」

戦士「ばーか、何正直に信じてるんだよ魔王!俺は左だ」ドスッ

魔王「ぐっ……がはぁ……ば、馬鹿な……私がやぶれる……など……」ドサッ

魔王「」

戦士「よっしゃあ!」

魔法使い「倒した!倒したわよ!魔王をあたしたちで!」

僧侶「……はぁ、死ぬかと思いました」

勇者(あれ?最後、僕右って言ったよね……あれ?)

魔法使い「あ、あはははは。勇者、それあたしが間違えちゃったの。ごめんごめん」

勇者「そうなんだ」

魔法使い(ドジっ子だなぁ……魔法使い)

魔法使い「誰がドジっ子よ」

勇者「あ、ごめん」

戦士「よし!じゃあ帰るか!凱旋だ!」

―――王城

王様「よくやった!あっぱれじゃ!戦士!魔法使い!そして僧侶よ!」

戦士「あの……」

王様「ああ、わかっておるわかっておる。褒美は望みのものを言うがいい」

戦士「いや、そうじゃなくてですね……」

王様「魔王を倒せるとはまさか思っておらな……いや、信じておったよ?お主らをな!わーっはっは」

戦士「いや、褒美の話じゃなくてですね……」

王様「違うのか?じゃあ職か!そうだそうだ。どうだ?お主なら兵士長にしてやるぞ?国のためい働いてみんか?」

戦士「それはありがたいですけど、そうじゃなくて……」

魔法使い「なんで勇者がここにいないのよ!」

僧侶「そうです……勇者が一番活躍したって言ってもいいのに」

王様「あ……ああ。勇者か……勇者ねぇ……アレはな……知っておるじゃろう。特殊な体質じゃからおおっぴらに人前で凱旋というわけにもいくまい」

戦士「それは……まぁ……」

王様「だから別にあやつを労う場は別に用意してある。安心せい」

戦士「頼みますよ。王様」

王様「お任せおけ……ふっ……ふふっ……」

魔法使い「……」

―――王城

勇者(ここが王城かぁ……でっか……初めて入るよ)

勇者(王様の勅令も手紙だったからなぁ……)

勇者(おおー中もすっごい綺麗だなぁ……あ、あのメイドさん可愛い……あ、なんか顔赤くして逃げちゃった……)

大臣「勇者殿、あまりきょろきょろしないように」

勇者「あ、はい」キョロキョロ

勇者(呼ばれたってことはご褒美かなぁ……お金もらえるのかな……何買おうかなぁ……」

勇者(そうだ、魔法使いに豊胸パットでも買ってあげようかな。ぷすすっ……いや、こんなこと考えてたら魔法使いに怒られちゃう……)

大臣「つきました。こちらが謁見の間です」ギィ

勇者(おおー赤じゅうたんだ!レッドカーペットだ!)

王様「よくきたな、勇者よ」

勇者「は、はい!」

勇者(お、王様だ……国で一番偉い人だ……わくわく)

王様「お主に言うことがある。前までくるがいい」

勇者(魔王を倒したことかな……やった!王様に褒められる……褒めて褒めて!)

王様「お主はサレラレじゃ!」

勇者(やった!サトラレだ!……って……え?)

勇者「あの……え?え?サトラレ……?」

王様「ああ、お主はサトラレなんじゃ」

勇者「僕がサトラレだって……?」

勇者「サトラレって……心が全部漏れちゃうっていう……」

王様「知っておるのか。ならば話は早い、お主の心の声は漏れ出ておるのじゃ」

勇者「あ……は……冗談ですよね?」

王様「魔法使いに豊胸パットでも買ってあげようかな」

勇者「え……」

王様「王様に褒められる……褒めて褒めて」

勇者「な、なんで僕の思ってたことが……ほ、本当……なの?そんな……」ガクッ

王様「わはははははは、大臣、見た?見たか?こいつのこの顔……はーっはっはっは」

王様「そう、お前はサトラレ。化け物で人の嫌われ者だ」

勇者「そ、そんな……僕は……そんなこと……」

王様「お前のその心の声のせいでどれだけの人を傷つけて、不幸にしてきたかお前には分かるの?」

勇者「……え」

王様「お前の旅の仲間たちもさぞ迷惑であったろうなぁ……」

勇者「戦士たちはそんなこと言わないよ!」

王様「そうか?やつらからの報告書には色々書いてあるぞ……例えば……お前が貶した人々から代わりに暴行を受けたとかな!」

勇者「あ……そ、そんな……じゃあ戦士が僕の代わりに……」

王様「お前にいやらしい言葉をかけ続けられて気持ち悪かったとか」

勇者「……僧侶」

王様「お前の心ない心の声で傷つけられた女もいたなぁ……身体的特徴を馬鹿にされて」

勇者「……魔法使い」

王様「町の人々についてもそうだ……お前が傷つけた人間がどれだけいる?100か?1000か?」

勇者「ううっ……」

王様「ああ、そうそう。魔法使いが超能力を使えるとか本気で信じていたそうじゃな」

王様「お前、馬鹿だろ?わははははは」

勇者「……うっ」

王様「お前が考えてることは町の誰もが知っている……恥ずかしくはないのか?」

勇者「な、なんで……なんでそんな僕に魔王を倒せなんて言ったの……」

王様「それはお前が力だけは強い化け物だからだ。わははははは、少しは罪滅ぼしができたと思わないか?わしに感謝してもよいぞ?勇者よ」

勇者「そんな……そんなぁああああああ!」

勇者(なんで……なんで僕がそんなことに……みんな喜んでくれると思ったのに……魔王を倒せば……)

王様「わははははははは!いつ見てもサトラレの心が壊れていくのは面白いわい、わしはこの日がくるのが楽しみで楽しみでなぁ、大臣」

大臣「……は」

王様「はっきり言ってやろう。お前の仲間も町の人もお前のことをやっかいものだと思っているぞ?」

勇者(僕がいると……迷惑?)

王様「そうだ!お前の存在が悪なのだ。だから見ろ、魔王を倒したというのに誰もお前を褒めてなどおらん」

勇者(僕は……いらない……)

王様「その通り!お前のような化け物をこれ以上この国におらせるのは害悪としか言いようがない。魔王討伐はしたのじゃ、もうお前は用済みよ」

勇者(僕なんて……僕なんて……)

王様「おい、兵士よ」

兵士「……え?」

王様「楽にしてやれ」

兵士「え……で、でも……まだ子供で……」

王様「やれ」

―――酒場

魔法使い「勇者……大丈夫かしら」

戦士「さっきからお前そればっかだな」

僧侶「まるでお母さんか恋人みたいですね」

魔法使い「ち、ちがっ!何言ってんのよ!もう!」プイッ

戦士「でも確かにちょっと心配だな……城から全然戻ってこないしな」

僧侶「何かあったんでしょうか?」

魔法使い「ねぇ……なにか聞こえない?

戦士「ん?そうか?ああ、何か聞こえるな……」

僧侶「勇者の声?」

勇者(ごめん……なさい……ごめんなさい……)

勇者(王様の言う通りだ……僕みたいなサトラレのせいで……みんな傷ついてた……)

勇者(魔王を倒したっていっても……僕が化け物だったんじゃないか……)

勇者(いやだ……いやだよお……もう……何もかもいやだ……みんなに……迷惑かけたくない)

勇者(僕なんて……死んだほうがいい……王様……僕を殺してください……)

勇者(王様の言う通り……僕は……人に迷惑をかけるだけの化け物だ)

魔法使い「!!」バッ

戦士「おい!魔法使い!」

僧侶「私たちも行きますよ!」

―――城門

戦士「なんだ?城の前に人だかりが……」

女将「門番!城門を開けなさい!」

道具屋「そうだそうだ!てめぇ!勇者が死んじまうじゃねーか!」

防具屋「あんな子供に何てこと言ってんだ!てめぇら!人の心がねえのかよ!」

女将「あの子はね!正直なだけなのよ!この町の誰も傷つけちゃいないわ!それでがんばって、魔王倒して帰ってたっていうのに!」

防具屋「あいつはなぁ!良いものは良い、悪いものは悪いって何でもいってくれんだよ!俺の丹精込めた防具を心で褒めてくれたぜ!」

道具屋「さっさと門をあけねぇか!こらぁ!」

門番「……開いてる」

道具屋「なんだと?」

門番「門は開いてるからさっさと開けていけってんだよ!おまえら!」

僧侶「町中の人が……いるんじゃないですか……これ」

戦士「なんだよ……心配しなくてもみんなあいつこと……分かってたんじゃないかよ」

―――謁見の間

王様「どうした、早くやらんか!勇者もそれを望んでおる」

兵士「で……できません……」

王様「何?わしの命令がきけんと言うのか!」

兵士「だ、だって……この子は……魔王を倒してくれたです!」

兵士「私の家族は魔族に殺されました……その仇をこの子は……」

王様「ええい!情けない!こいつはこの国にとって害になるだけだ、大臣、お前でよい。やれ」

大臣「お断りします」

王様「なんだと?」

大臣「私にもサトラレの子がいました……しかし……やはり迫害され……今はどこにいるのやら……」

大臣「もっと……あの時助けてあげていれば……力になっていれば……」

バターン

王様「今度はなんだ!?なっ……なんだお前らは……」

勇者「……」ブルブル

女将「いた!王様!あんたね!この子をこんなにいじめてるのは!」

防具屋「ゆるさねぇぞ……例え王様でもな……」

道具屋「覚悟は……できてんだろうな!俺たちの勇者を殺そうとしたんだからよ!」

王様「な、なんだお前たちは!勝手に城に入るとは!兵士!こいつらをつまみ出せ!」

兵士「……」

王様「どうした!命令を聞かんか!」

兵士「あ、家に財布忘れた。取りにいかないと」タタッ

大臣「私もそういえば家のコタツつけっぱなしだったな」タタッ

王様「おまえらああああああああああ!」

「やっちまええええええええええええええ!」

ドガッバキッドスッ

魔法使い「勇者……勇者……大丈夫?」ユサユサ

勇者「ごめんなさい……ごめんなさい……」ポロポロ

勇者(ごめんなさい……)

勇者「早く……早く……」

勇者(……死にたい)

魔法使い「このままじゃ勇者の心が……壊れてしまうわ!どうすれば……」

魔法使い「勇者!ちょっと目つぶりなさい!」ギュッ

勇者「……?」

チュッ

勇者「んぅ!?」

勇者(……口に何か柔らかいん物が)

勇者(……それに……鼓動が……暖かい……)

魔法使い「ぷぁっ」

勇者「魔法使い!?」

魔法使い「よかった……正気に……」

勇者「あ……ああ……ご、ごめん……ごめんなさい!」ブルブルッ

魔法使い「え?」

勇者「ぼ、僕……魔法使いに酷いこといっぱい言った……それに町のみんなにも……」

魔法使い「酷いこと……ね、えー確かにいっぱい言われたわねぇ!地平線とか貧乳とか!」

勇者「うっ……」

魔法使い「でも……あたしはちゃんとやり返したでしょ!それでおあいこよ、ねっ」

勇者「そういえば……いっぱい叩かれた///」ポッ

魔法使い「なんでそこで頬赤くなるのよ……」

魔法使い「まぁいいわ……みて……この町のみんながあなたのために集まってくれたのよ」

勇者「え?」

女将「あ、気づいた!大丈夫!勇者ちゃん!」

防具屋「おい!勇者!てめぇ勝手に死ぬとか言ってんじゃねえぞ……死ぬとかよ……ううっ……お前が死んだら悲しいじゃねーか、ばろーちくしょう!」

道具屋「王様のやつ逃げやがったぞ!おい」

女将「追いかけるのよ!絶対あんなのは許しちゃだめ!じゃあね、勇者ちゃん、ありがとう」

防具屋「ありがとな!勇者」

道具屋「ありがとう!っていうか王様まちがやれー!」

勇者「なんで……ありがとう……って……」

魔法使い「分からないの?勇者」

勇者「魔王を……倒したから?」

魔法使い「それだけじゃないわよ……あんたが……みんなのことを想ってたからよ」

勇者「それ……褒められてるの?」

魔法使い「あったりまえでしょ!あははっ、自信持ちなさい」バンッ

勇者「あいたっ!そっか……」

勇者(うれしい……うれしい……すごくうれしいな!)

戦士「なんか大丈夫そうだな、勇者のやつ」

僧侶「ええ……よかったです……本当に」

勇者「魔法使い!僕……」パァァ

魔法使い「あー、もううれしいのは分かったから」

勇者「あ、そういえば魔法使いさっきのって……」

勇者(魔法使いとキスしちゃった……?あ……な、なんかドキドキしてきた……)

魔法使い「うわあああああ!な、何言ってんのよ!こいつは!聞かれてるでしょ!」

勇者(どうしよう……僕なんか魔法使いのこと好きかも……胸が絶壁だけど)

魔法使い「誰が絶壁だ!」ボゴォ

―――エピローグ

勇者「おはよう!女将さん!」タタッ

女将「勇者ちゃん、お出かけかい?ほらっ、これもっていきなっ」シュッ

パシッ

勇者「りんこだ!ありがとう!」

勇者(女将さんいい人だなぁ、好きだなぁ)

女将「あたしもあんたが大好きだよ」

道具屋「よう!勇者、なんだ買い物か?」

勇者「うん、えっと……」

道具屋「わぁってるよ、言わなくても、ほれっ、これだろ?ほしいものは」

勇者「うんっ、あ……でも多いよ?」

道具屋「サービスだ!てめぇこんちくしょう!」

勇者(うれしいなぁ……これみんな喜んでくれるかな)

道具屋「さっさと行け!あいつら待ってんだろ!」

勇者「う、うん!ありがとう!」

―――酒場

勇者「お待たせ、みんな」

魔法使い「遅いわよ!どんだけ待たせる気?」

僧侶「寝坊したんですか……まったく」

勇者「あはは……バレバレだね。そうなんだけど」

戦士「あれからなかなか会えなかったが、四人そろったな」

勇者「うん、それで……あの……」

戦士「なんだ?その荷物は?」

勇者「これ!みんなに!」

戦士「おっ、これは俺の欲しかった剣術書……よくわかったな」

僧侶「あっ、これ探してたんですよ!このブランドのロザリオ……なんでこれが欲しいって?」

勇者「僕にもみんなの心の声が聞こえたのかもね……なーんて周りの人にきいただけなんだけど」

魔法使い「勇者……なにこれ……?」ブルブルッ

勇者「え?欲しくなかった?」

戦士「なんだそりゃ?ブラジャー?」

勇者「豊胸ブラだよ、必要でしょ?」

魔法使い「このクソガキがああああああ!」ギリギリッ

勇者「く、くるし……じょ、冗談だよ……首が……」

勇者(それ道具屋さんがおまけでくれただけで……)

勇者「魔法使いには、はいこれ」スッ

魔法使い「指輪?ふーん、ま、いいんじゃない?」

戦士「でもなんでこれを俺たちに?」

勇者「えっと……お礼というかなんと言うか……」

勇者(みんなに何かしたかったんだけど……恥ずかしいな……)

勇者「それに戦士とか僕のせいで殴られたりして……ごめん」

戦士「そんなこと気にするなよ!ま、ありがたくいただくけどな!」

戦士「それとな、俺たちもさっき話してたんだけどさ、お前の前じゃ全部思ったこと口に出そうかって」

勇者「え?」

戦士「お前だけサトラレじゃ不公平だろ?俺も心のうちを全部はなしてやるよ、お前の前じゃな」

僧侶「そういうことに決めたんですよ」

魔法使い「じゃあ、まず戦士からね、戦士、今日、僧侶が私服できてるんだけど感想を一言!」

戦士「ちょっ、お前そういうの卑怯じゃないか!?」

僧侶「ど、どうですか……?///」

戦士「そ、それは……」

魔法使い「ほらっ!どうしたのよ!戦士が言いだしっぺでしょ!」

戦士「あー、もう!分かったよ!私服すごい似合ってるよ!超好みだ」

僧侶「戦士……///」

魔法使い「では僧侶さん、今の心のうちを!」

僧侶「うれしい……です///」

魔法使い「じゃ、じゃあ次の質問!戦士のこと好き?ねぇねぇ、僧侶」

戦士「おい、魔法使い!いい加減にしておかないとぶっとばすぞ!?」

勇者「ぷっ……」

魔法使い「ぷっ……あはははははは」

僧侶「ふっ……ふふふっ……」

戦士「はーははははははは」

ゲラゲラ

勇者「もういいよ、みんな普通で」

戦士「だな」

僧侶「まったくです」

魔法使い「あはははは、わらったわぁ……」

勇者(でも……魔法使いにちょっと質問したかったかも……指輪の意味わかったかなって……)

勇者(左手の薬指につけてくれたらうれしいな……)

魔法使い「ねぇねぇ、勇者」

勇者「え?」

魔法使い「どう?勇者?似合う?///」

キラッ



おしまい

猿規制もらってました
すみません

最後まで見ていただいた方いましたらありがとうございました。

それでは!

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