勇者「さて、魔王を倒すか」(197)

魔王「勇者が旅に出たという情報が入ってから、もう三年か」

従者「はい、三年が経ちます」

魔王「ということは、お前を雇い入れて三年が経つのだな」

従者「ですね。もう三年、時の流れは早いです」

魔王「時は巡り、生きとし生けるものは移り変わっていく、か・・・」

従者「なんの事です?魔王さまはいつもとお変わりないようですが」

魔王「お前の事だ」

従者「変わった・・・、私って変わりました?」

魔王「どうだろうな」

従者「あっ、もしかして今からかってます?」

魔王「(三年か・・・)」

~三年前~

家来「魔王様!たった今、斥候から勇者が旅へと出発した、との情報が入りました」

魔王「・・・そうか」

魔王「御苦労、下がってよい」

従者「五年ぶり・・・ですかの」

魔王「爺、居たのか。腰痛で寝込んでいたと聞いていたが」

従者「ふぉっふぉっふぉ。勇者が旅に出たと聞いたのでな、老骨に鞭を打って出てきたのじゃよ」

魔王「自分で老骨と言うか」

従者「じゃが、事実その通りじゃ。わしの存命中には後任を決めていただかねばなりませぬぞ」

魔王「まだまだくたばりそうにないが。しかし、勇者が出たとなれば新たに家来を雇い入れぬとな」

従者「そうじゃのう、前勇者の時はかなり激しい戦いになったしの」

魔王「うむ、適当に募集を頼む。人選も任せた」

数日後

魔王「四人、四人か。少なくはないか?」

従者「量より質、将と成り得る人材じゃ。この爺の眼力、衰えてはおりませぬぞ」

従者「お前たち、魔王様の前に並びなさい」

魔王「ふむ。左から竜人族、魔剣士、魔獣族と・・・、お前は魔術師だな」

魔術師「は、はひ」

従者「端から順に自己紹介をせよ」

魔術師「は」竜人「はっ!私は竜人村の出、魔王様に使えるべくこの日の為に己を鍛え上げました」

魔剣士「拙者は魔界武道会を勝ち上がりここに至りまする。陛下のもとで武勲を立て、忠節を尽くす所存」

魔獣「我が一族は代々魔王様に仕えております。此度は我が一族から新たにお引き立て頂き、有難うございます」

魔術師「あ、えと。私は黒魔術や召喚が得意です。りょ、料理や掃除も好きです!魔王様のためにがんばります!」

魔王「なるほど。各自、下がってよい。分からぬ事は従者に尋ねろ」

魔王「おい従者、(なんかダメそうなのが混ざっているが)」ヒソヒソ

従者「(実力は確かじゃよ)」ヒソ

夕刻

竜人「ふう、今日の任務は終わりか。初日はこんなものかな」

魔剣士「しかし、この目で見ると凄まじい迫力でござるな。あれが魔を統べる王、禍々しい力を感じましたぞ」

魔獣「力だけじゃなく眉目秀麗だしねぇ、強いしカッコいいし憧れちゃうよ」

魔術師「それに・・・、優しそうでした」

一同「えっ」

竜人「これはこれは。あの魔王様を目にしておいて優しそうとは、驚天動地でござるな」

魔剣士「真似はやめるでござる。だが、魔術師殿には少々変わってるところがありますな」

魔術師「そうですか?」

魔獣「それよりさ、明日から本格的に警備だけど配属って聞いた?俺は東塔らしいんだよね」

竜人「俺は西塔だ、料理が旨いらしいんだよぉ。ヨダレずびっ!」

魔剣士「拙者は南塔、剣士が多いようなので楽しみでござる」

魔術師「(え、私なにも言われてないよ?)」

翌日

魔王「従者よ、なぜ人々は勇者を送り込むのだろうな」

従者「なぜ、とは異なことを。分かっておるじゃろう?魔王の覇気、その力を」

従者「脆弱な人間にとって、魔王は存在自体が害悪じゃ。魔王から溢れ出る呪いの瘴気により毎年幾多もの人間が死ぬ」

魔王「それは分かっておる、だが送りこまれる勇者を幾度となく屠ってきたのだ。いい加減学習するべきではないか?」

魔王「仮に、私を倒したところで人間どもは今の国境を維持するのが精一杯だ。魔族が内政を省みず攻め立てれば滅ぶ」

従者「ふむ、勇者を送り込む理由」

従者「人間は、希望・・・とでも仄めかすのであろうの」

魔王「希望、か。都合の良い言葉だ」

従者「そうじゃな。・・・む、魔術師が来たようじゃな」

魔王「何?魔術師を呼んだのか」

従者「うむ、本城に配置する。わしは北塔じゃ」

魔王「お前は何を考えている」

従者「なに、今に分かる」

魔術師「あの、従者様。私はどこに配置されたのでしょうか・・・」

―玉座の間―

魔王「・・・」

魔術師「・・・」チラッ

魔王「・・・」

魔術師「・・・」チラッ

魔王「・・・」ジッ

魔術師「っ!」サッ

魔王「聞きたいことでもあるのか」

魔術師「い、い、いえ。大丈夫です」

魔王「さっきから私の様子を伺っていただろう、申してみよ」

魔術師「え、その。魔王様は・・・なにがお好きなのかなぁと思っていただけで」

魔王「何とは。何がだ・・・」

魔術師「ごは・・・じゃなくて、お食事です。どういったお料理がお好きなのでしょうか」

―食堂―

魔王「なるほど、さっきのはこういう事か。この飯はお前が作ったのか?」

魔術師「はい。えと、お気に召しませんでした?」

魔王「いや、見た目は今までと遜色ない」

魔王「味は・・・。旨い」

魔術師「本当ですか魔王様!?嬉しいです!」

魔王「(・・・驚いたな、これほどまでに旨い飯は初めてだ)」

魔術師「~♪」

魔王「おい」

魔術師「ひゃい!?」

魔王「これからもお前が作るのか?」

魔術師「そ、そうみたいです」

魔王「そうか」

魔術師「~♪~♪」

一ヶ月後

魔術師「魔王様、お出かけですか?」

魔王「お前たちを雇い入れ、ひと月が経った」

魔王「今日は各塔を視察する、場合によっては采配を振る」

魔術師「さいはい??」

魔王「・・・。夜には戻る」

魔術師「分かりました」

―東塔―

魔王「よく統率されているな、美しい方陣だ」

魔獣「恐悦至極に存じます」

―西塔―

竜人「魔王様、ご足労頂き有難うございます」

魔王「屈強な兵が育っている、引き続き励行せよ」

―南塔―

魔王「剣技の鍛錬か。どれ、少し手ほどきしてやろう」

魔剣士「あ、有り難き幸せ。どうぞお手柔らかに願います」

―北塔―

従者「王手」

魔王「なるほど、そう来るか」

―本城―

魔王「(予定よりも随分と早く終わった)」

魔王「・・・やはり玉座は落ち着くな」

魔王「・・・?」

魔王「魔術師が居ないようだが」

家来「はっ!この時間帯ですと厨房かと思われます」

魔王「そうか」

魔王「(そう言えば、あの飯の旨さは一体どうなっているのだろうか)」

―厨房―

魔王「(ふむ、自分の城だが厨房に来るのは初めてだ)」ソッ

魔術師「~♪」

魔術師「今日はお疲れになっているかもしれないし、疲労回復の食材を多めにしましょう」ザクザク

魔王「(良く働いているようだな)」

魔術師「魔王様は毎日残さずお召し上がりになって、毎回美味しいと褒めて下さります」グツグツ

魔術師「魔術師はとても幸せですよ」

魔王「・・・」

魔術師「今日も美味しいって言ってくれるのかなぁ・・・」

魔術師「・・・お、おいしくな~れ」ビシッ

魔王「(何だあのポーズは)」

その日の晩

魔王「・・・旨い」

魔術師「ありがとうございますっ!」

魔術師「~♪」

深夜

魔王「(今日は少しばかり暑いな、目が冴えて眠れない)」

魔王「冷水でも汲みに行くか」

―井戸―

魔王「・・・」コクコク

魔王「・・・うむ」

魔王「・・・何だ?微かだが魔力を感じる。城内のようだが」

―修練場―

魔王「(修練場か、防護壁によって魔力は遮断されるはずだが)」ソッ

魔術師「・・・」

魔王「(魔術師が瞑想をしている。・・・しかし、これほどまでに凄まじい魔力を持っているとはな)」スッ

魔王「(近づいても気づかない、中々の集中力だ)」

魔王「おい」

魔術師「ひょいっ!!?!?」ガタタッ

魔王「こんな夜中に何をしている」

魔術師「ま、魔王様。魔力の修練をするために瞑想を」

魔王「見れば分かる。何故こんな夜中に瞑想をしている」

魔術師「あの、その。日中はお仕事や雑務で忙しい日が多くて」

魔術師「なかなかまとまった時間がとれなくて、あまり魔力の修練ができていなくて」

魔術師「でも、魔王様のお力添えになるためには日々の修練が欠かせません、だから夜はここに来て瞑想を」

魔王「そうか、では明日にでも仕事量の調整を行う」

魔術師「ダ、ダメですそんな!」

魔王「そのくらいの融通は利く」

魔術師「私が勝手にやっていたことなので、ご迷惑をかけるわけには」

魔王「魔術師」

魔術師「・・・はい」

魔王「仕事についてはお前が口出す事ではない」

魔王「だが、私の為を思って修練をしていた、と言ったな。その姿勢は評価する」

魔王「・・・あと一つ。夜はゆっくりと休んで良いのだ、分かったな」

魔術師「・・・っ!はい!!」

そして、幾ばくかの月日が経ち

魔術師「痛っ・・・」

魔王「どうした」

魔術師「書類で、手を切ってしまいました」

魔王「そうか、手を貸せ」

魔術師「へっ?」

魔王「早くしろ」

魔術師「は、はいっ!」スッ

魔王「ふむ」ギュッ

魔術師「(て、手が・・・)」ドキッ///

魔術師「・・・。・・・これは、回復魔法?」

魔王「苦手ではあるが、これくらいの回復魔法なら使える」

魔術師「あ、あの。魔王様、どうして・・・私なんかに」

魔王「理由が必要なことなのか?」

魔術師「・・・っ!・・・ありがとうございます、魔王さま」

ある晩のこと

魔術師「魔王さま、ごはんの時間ですよ」

魔王「もうそんな時間か、ご苦労」

魔術師「今日はビーフシチューです」

魔王「久しく食べていなかったな、良い香りだ」

魔王「うむ、いつもながら旨い」

魔術師「ありがとうございます!」

魔王「・・・」

魔王「して、魔術師よ。お前はいつ飯を食べているのだ」

魔術師「・・・?魔王さまがお召し上がりになったあとです」

魔王「そうか、次からは同じ卓に着け。・・・せっかくの旨い飯だ、冷めた状態で食う必要もあるまい」

魔術師「そ、それは。あの、そういう訳にはまいらないでござる、ございます。わ、私なんかがそんな」

魔王「断るつもりか?」

魔術師「い、いえ!その、とっても嬉しいです・・・」

魔術師「(魔王さまと一緒にごはん!?)」ドキドキ

ある日の午前中

魔王「ふむ、雇用対策が必要だな。公共事業の拡大に重点を置く、と従者に伝えよ」

魔王「それと、王国の動向が気になる。南方の砦に兵を派遣し守りを固めよ、と南塔へ伝えよ」

家来「はっ」

魔王「以上だ、下がってよい」

魔術師「(魔王さまは内政も軍の指揮も全て一人でこなしてしまいます、いつ見てもすごい手腕です)」

魔術師「お疲れさまです、魔王さま。紅茶の用意ができましたよ」

魔王「うむ」

魔術師「(ふふっ、魔王さまは紅茶にお砂糖たくさん入れるのがお好きな事、魔術師はちゃんと知ってますからね)」

魔王「今日は・・・、パンジーか」

魔術師「え?」

魔王「月曜はいつもその花を挿しているだろう。好きなのか?」

魔術師「あ、す、好きですっ!」

魔王「そうか」

魔術師「(私、なんだか・・・、なんだかとっても嬉しいです)」ドキドキ///

雨の日のこと

魔王「・・・」ペラッ

魔術師「(今日の魔王さまは読書中)」

魔術師「(何を読まれているのでしょうか、気になります)」

魔術師「(・・・また)」

魔術師「(また魔王さまの事を考えてしまいました)」

魔術師「(最近、気がつけば魔王さまの事ばかり考えています・・・)」

魔術師「(・・・どうしてでしょう)」

魔術師「・・・」チラッ

魔王「・・・」ペラッ

魔術師「(ぱっと見には無愛想だけど、本当は表情豊かです)」

魔術師「(甘いものをお召し上がりになる時は、少しだけ顔がほころびます)」

魔術師「(私の用意したごはんをお召し上がりになる時は、もう少しだけ顔がほころびます)」

魔術師「(普段、私が一番目にしている魔王さまは、いつも優しい表情をしています)」

魔術師「(・・・気になります)」

魔王「魔術師」

魔術師「はい!」

魔王「この本を書庫に戻してきてくれ」

魔術師「はい、ただいま」

魔術師「・・・」チラッ

魔王「・・・?」ジッ

魔術師「・・・!」カァッ///

魔術師「(やっぱり、最近の私は変です)」

魔術師「(魔王さまと目が合うだけで・・・)」ドキドキ

魔術師「(もしかしてこれって・・・)」

魔術師「(・・・ふ、ふぅ。ダメです、少し落ち着きましょう)」

魔術師「(そういえば何を読まれていたのでしょうか)」

魔術師「・・・」

魔術師「(さよならププルン?)」

魔王「(・・・久々に良書と出会った)」

ある日の昼下がり

魔術師「えっと、この文書はこうで」カキカキ

魔術師「こっちの書類はこれと一緒に、っと」トントンッ

魔王「(・・・仕事にも大分慣れてきたようだな)」

魔術師「今日の分はこれでおしまいです」

魔王「ご苦労」スッスッ

魔術師「ありがとうございます」

魔術師「・・・。魔王さま、それは?」

魔王「見れば分かるだろう、トランプだ。ソリティアをしている」スッスッ

魔術師「・・・」ソワソワ

魔王「・・・」

魔王「・・・カードゲームの心得はあるのか?」

魔術師「はいっ!」

魔王「ふむ、ソリティアにも飽きたな」シャッシャ

魔術師「・・・そ、それでしたら魔王さま。私・・・あの・・・」

魔王「良かろう」トントンッ

魔術師「えっ?」

魔王「相手をしてくれるのだろう、違うのか?」シャッシャ

魔術師「は、はい!喜んで」

魔王「・・・二人となると、そうだな。ブラックジャックはできるか?」

―数十分後―

魔術師「あっ!21でブラックジャックです♪」ペラッ

魔王「・・・18だ」ペラッ

魔王「・・・。・・・ポーカーはできるか?」シャッシャ

―数十分後―

魔術師「ふふふっ!フルハウスで~す♪」ペラッ

魔王「・・・ツーペア。・・・負けだ」ペラッ

魔術師「もう一戦しますか?魔王さま♪」ニヤニヤ

魔王「・・・」

魔王「無論だ」シャッシャ

さらに、幾ばくかの時が流れ

魔王「・・・」

魔術師「今日は暇ですね」ソワソワ

魔王「(不思議な奴だ、私を前にすれば畏怖を感じるのが普通)」

魔王「(だが、こいつの自然な態度はまるで)」

魔術師「あ、魔王さま。従者様がいらしたようですよ」

魔王「(従者・・・か)」

従者「いやはや魔王陛下、数か月ぶりですかな」

魔王「それくらいになるな。どうだ、北塔の警備は」

従者「快適じゃのう。温泉は心地よいし、軍師が多いゆえ将棋の相手にも困らん」

魔王「そうか。今日はどうした?」

従者「まぁ、何となく分かっておるじゃろう?従者の事じゃ、これは魔王の仕事じゃからの」

魔王「・・・そうだな」

魔王「今、この時を以って現従者を解任、北塔の守備任務を任せる。後任の従者は魔術師、お前だ」

従者「えっ、ええぇっ!??」

年が暮れ

従者「んーと・・・、これとこれを」カキカキ

魔王「多忙だな」

従者「財源管理も従者の仕事ですからね!年末なのでいつもの数倍は仕事があるんです」

魔王「そうか」

従者「んー、んー・・・と」ウトウト

魔王「(眠そうだ)」

従者「むにゃ・・・」スゥスゥ

魔王「(魔王の前で居眠りとは良い度胸だな)」

魔王「さて、っと」

魔王「(軽いな、華奢な身体をしている)」

―従者の部屋―

従者「まお・・・さま・・・」ムニャムニャ

魔王「いい気なものだな。さ、ベッドだ」

従者「まおう・・・しゃま・・・」ガシッ

翌朝

従者「んっ・・・ふぁ~・・・あれ?」

魔王「・・・」スゥスゥ

従者「っ!!!(えっ、えええっ!!これは、えっ!?)」

従者「(えとっ、昨日は確か・・・、眠くなって・・・あっ!)」

従者「(ということは、魔王さまがここまで?ど、どうしよう)」

魔王「・・・」スゥスゥ

従者「っ!!(ま、魔王さまの寝顔っ!か、かわいい・・・!とっても・・・かわいい!)」キューン///

魔王「ん・・・。朝か」

従者「お、おはひょうございましゅ!(魔王さまが近いっ!いいにおいがするっ!)」キュンキュン///

魔王「あぁ、おはよう。よく眠れたか?」

従者「すみません魔王さま!あ、あの、ここまで運んでくださったのですか?」

魔王「そうだ。あまりにも気持ちよさそうに寝ていたのでな。・・・しかし」

魔王「寝相はどうにかした方が良いと思うぞ。お前、いつまで私の服を握っているつもりだ」

従者「えっ?あっ!!」パッ

日々は過ぎ

魔術師「ふっふっふ、魔王さまのシーツ交換の時間・・・!」プルプル

魔術師「魔王さまとのお食事の次に幸せな瞬間・・・!なぜなら・・・」ダッ

魔術師「えいっ」ボフッ

魔術師「(はふ~、いいにおい・・・)」モフモフ///

魔術師「(魔王さまパワー充電~!)」ギュッ///

魔術師「ふ、ふぅ、今日はこのくらいにしておいてあげますからね!」ビシッ

魔王「おい」

魔術師「ふょいっ!!!???」ガタタンッ

魔王「・・・喉が渇いたので冷水を用意してくれ」

魔術師「い、今すぐに!」

魔術師「(み、見られてない?見られてないよね??)」

魔王「・・・それと。・・・程々にな」

魔術師「は、はい」カァァ///

季節は移ろい

魔王「・・・そろそろ床に就く」

従者「あっ、あの!」

魔王「何だ」

―魔王の部屋―

魔王「・・・」

(従者「魔王さまに渡したい物が」モジモジ)

(従者「ガーベラです。私の一番好きなお花です」)

(従者「大切に育てました」)

(従者「もし・・・、もし良ければ、お部屋に飾ってください」)

(従者「いえ。その、大切に育てたのは、魔王さまにプレゼントするためですから、いいのです」)

(従者「は、はい。それでは、お、おやすみなさい!!」ババッ)

魔王「(これは従者がいつも日曜日に挿している花)」

魔王「(この香り・・・、まるで従者が傍にたたずんでいるかの様な)」

魔王「それにしても多いな・・・」ワサワサ

星は巡り

魔王「従者の姿が見えぬようだが」

家来「早朝から見かけておりません、呼びに行って参りましょうか」

魔王「寝坊だろう、まぁ良い。放っておけ」

魔王「(・・・。寝坊にしては遅い)」

―従者の部屋―

コンコン

魔王「従者、入るぞ」ガチャ

従者「ぅ・・・ゴホッ・・・」スースー

魔王「(やはりな、こういう事だろうと思っていた)」

従者「ゴホッゴホッ・・・う~んう~ん・・・」ムニャ

従者「(・・・体が・・・重い・・・熱くて寒い・・・)」

従者「(あれ・・・?・・・少し楽になった・・ような・・・)」

従者「・・・っ」

魔王「目が覚めたか」

従者「あ・・まおうさま、わたし」

魔王「ただの風邪だそうだ。あと二日は安静にしていろ」

従者「あれ・・寝衣が・・・」

魔王「侍女に変えさせた」

従者「すみません・・。でも、どうしてわたしの部屋に・・・?」

魔王「少し気になってな、様子を見に来た」

従者「・・・!」

従者「ありがとうございます」

従者「・・・魔王さまが傍にいると、いつもみたいで落ちつきます」

魔王「そうか、では暫くここに居よう。もう少し眠った方が良い」

従者「・・・はい」

魔王「(私は・・・)」

魔王「(・・・私は従者の事を親しく思っても良いのだろうか)」

従者「(やっぱり魔王さまは優しいです。そういうところ、ずるいです)」

従者「(もう、すっかり好きになってしまったじゃないですか・・・)」カァァ///

~そして今~

魔王「・・・」

従者「魔王さま~?」

魔王「何だ」

従者「いきなり静かになったので」

魔王「・・・少しだけ、昔のことを思い出していた」

従者「昔のこと?」

魔王「あぁ、お前の寝相の悪さとかな」

従者「そ、そ、そんなこと思い出さないでください~!」///

魔王「冗談だ」

従者「う~、魔王さまはいじわるです」

魔王「ふっ」

―食堂―

従者「じゃーん!今日はカニクリームコロッケですよ~」

魔王「うむ、旨いな」

従者「ありがとうございます。自分で言うのもなんですが、おいしくできました!」モグ

魔王「・・・」

魔王「しかし、お前は朝昼晩と私が食べたいものを食べたいときに持ってくるが、一体どうなっているのだ」

従者「んー、なんとなくですね」

魔王「なんとなく?」

従者「なんとなくです!魔王さまのことを考えると、ぽわーんって思い浮かぶんです」

魔王「変な奴だ」

従者「変じゃないですー」

魔王「そうだな」

従者「そうだな」キッ

魔王「おい」

従者「てへっ♪」

食後

魔王「ふむ、満足だ」

従者「お粗末さまでした」

従者「それでは私はお片付けをしてきますね」

魔王「・・・待て、その前に」

魔王「確か、今日献上された品物の中に食後酒があっただろう。出してくれ」

従者「あ、それなら冷やしておきましたよ。すぐお持ちしますね」

魔王「それと、グラスを二つ」

従者「・・・!」

従者「はい!」

魔王「・・・」

従者「お待たせしました」

魔王「晩酌に付き合うか?」

従者「はい、よろこんで」

魔王「(・・・そういえば、従者が酒を口にする姿を見るのは初めてかもしれない)」

―数十分後―

従者「おいしーですね~♪」ニコニコ

従者「えへへっ♪まおうさまのお手て握っちゃった!」ギュッ

魔王「(・・・ここまで酒に弱いとは)」

従者「まおうさまの下で働けて~♪毎日がとってもたのしいです」ニギニギ

魔王「そうか、それは良かった」

従者「・・・はい。私はとても・・・、とっても幸せです」ジッ

従者「・・・魔王さま」ソッ

魔王「・・・っ!」タジッ

従者「・・・」

魔王「・・・従者?」

従者「・・・。スー・・・スー・・・」スヤッ

魔王「(・・・眠った、・・・のか)」

魔王「・・・さて、っと」

魔王「(相変わらず、華奢な身体をしている)」

―従者の部屋―

魔王「・・・お前を部屋に運ぶのは何度目だろうな」

魔王「(あのまま・・・、あのまま従者が眠らなかったら、どうなっていたのだろうか・・・)」

魔王「・・・おやすみ、従者」

バタン

従者「・・・」

従者「(・・・魔王さま。・・・魔王さまは、優れたる指導者にして支配者)」

従者「(そして、魔を統べる王)」

従者「(でも、魔王だけど。魔王なのに。魔王さまはとっても優しいってこと、従者はきちんと知ってますからね)」

従者「(私は、そんな魔王さまが・・・、好き)」

従者「(私は魔王さまと過ごす日々が好き。できる事なら、叶うことなら、ずっと一緒に居られたら、と夢に見ます)」

従者「(・・・でも。そんなことより、そんな夢よりも)」

従者「(私は、魔王さまが幸せなら。魔王さまが幸せでいられたら、何もいらない)」

従者「(・・・魔王さまのお力になれるでしょうか)」

従者「・・・おやすみなさい、魔王さま」

翌日

魔王「・・・」チラッ

従者「・・・?」ジッ

魔王「(・・・従者)」

魔王「(・・・この感覚は何なのだろうか、変な気分だ)」

魔王「(だが、悪くはない)」

魔王「(私は従者を大切にしたいと思っている、これは主従関係を越えた気持ちだ)」

魔王「(・・・今は、従者を失うことが恐ろしい)」

魔王「(恐ろしい・・・か。魔を統べる王に恐ろしいものができるとはな)」

魔王「(魔王堕ちたり、とでも言うべきか)」

魔王「(だが、恐ろしいとのたまうだけでは何も変わらない)」

魔王「(克服する、それが魔を統べる王がすべき事)」

魔王「(簡単なことだ。・・・私が守ればいい)」

魔王「(次に来る勇者が片付いたら思いを伝えよう。守りたい、と)」

従者「(魔王さま・・・なんかカッコいい感じの顔してる・・・かわいい・・・)」キューン///

そして、ある日

魔王「・・・」

魔王「・・・来たか」

従者「魔王さま?」

ガチャッ

家来「魔王様ッ!」

家来「魔王様、勇者が現れました。攻撃により東塔、南塔陥落!」

家来「西塔が落ちるのも時間の問題との情報がッ!」

従者「そ、そんなっ!」

魔王「早い・・・。今までとは違う、という訳か」

魔王「して、勇者一行の構成は」

家来「魔法使い、戦士、僧侶でございますっ」

家来「戦士と僧侶は、東塔と南塔の将が命と引きかえに倒したと・・・」

魔王「そうか、御苦労。お前は傷の回復に努めよ」

従者「魔王さま!私を前線に!」

魔王「ならぬ」

従者「何故ですっ!」

魔王「お前は従者だろう」

従者「それが何か!」

魔王「お前は誰を守るのが務めだ?」

従者「・・・っ!」

従者「私は・・・、私は魔王さまの盾です!」

従者「命に代えても、魔王さまは私が守りますっ!」

従者「それが私の務めですっ!!」

魔王「・・・そうだ」

魔王「私の傍でその職務を全うしろ」

そこから数刻が経ち

家来「魔王、様。北塔陥落。魔法使いは、死にました、が、勇者がすぐそこま・・・で・・・」ドッ

魔王「・・・大義であった」

従者「(血、血が・・・)」ガクガク

魔王「・・・」

魔王「・・・従者よ、手を借りるぞ」グッ

従者「まっ魔王さま、何をっ」ワタワタ

魔王「今から私が話す言葉を良く聞け」ギュッ

魔王「・・・私はお前を失うことが恐ろしい」

魔王「目前に迫る勇者など比に及ばぬほどにな」

魔王「・・・玉座の後ろに身を隠せ。勇者の狙いはただ一つ、私の命だけだ」

従者「そんなっ!私は」魔王「黙れ」

魔王「勇者を一戦を交えるのだ、貴様が居ると全力を出せぬ」

魔王「それに、死ぬ気など微塵もない」

魔王「・・・もう一度言う、私はお前を失うことが恐ろしい」

魔王「その言葉の続きを紡がせてくれ」

魔王「そして、聞かせてくれ。その返事を」

魔王「私を信じろ、お前を絶対に死なせはしない」

従者「・・・」

従者「わかりました」

従者「その言葉、信じます」

従者「私は魔王さまを信じます」

魔王「・・・」

魔王「・・・そうか」

―玉座の間―

ガチャリ

魔王「・・・来たか、勇者よ」

勇者「・・・お前を倒すために先の勇者達の魂は全て俺が受け継いだ」

勇者「俺は最後にして最強の勇者だ」

魔王「くだらん。その魂も今日で終わりだ。塵ほども残さず消し飛ばしてやろう」

勇者「黙れ。俺は人々の希望だ。お前の存在により死んでいった者たちが願った最後の光だ」

魔王「お前は死ぬ、その希望とやらは意味を成さなくなる」

勇者「死など恐れん。俺は死んでもお前を倒す」

魔王「・・・戯言を」

勇者「ここから先は我が聖剣にて語る、人々の思いをその身に受け止めろ」

魔王「よかろう、私も魔剣を以ってして恐怖と絶望の旋律をお前の体に刻んでやろう」

勇者「行くぞっっ!!!」

魔王「来いっっ!!!」

従者「(魔王さま・・・どうか・・・どうか・・・)」

従者「(あれから半刻は打ちあっている・・・魔王さま・・・)」

魔王「(なかなかどうして、楽しませてくれるな。勇者よ)」キーンッ

勇者「(この日の為にここまで来たんだ!魔王を倒すこの日の為に!!)」カーンッ

魔王「(私を倒してどうなる、私一人が死んだところで魔族は退かぬ)」ズバッ

勇者「(人々を無差別に蝕むその瘴気が無ければ、まだ人は戦える、抗える。それが希望になる)」シュッ

魔王「(甘い考えだな。お前の命が潰えたとき、人間は底なしの絶望と向き合うことになるのだぞ)」サッ

勇者「(勇者は死なない)」グッ

魔王「(それはどうかな)」ギリッ

魔王「魔力開放」ゴォォォッッッッ!!!!!

勇者「グッッ!!!」ビリビリッ

勇者「(何だこれは!?呪い、凄まじい呪いっ!まるで深淵の底に墜ちたかのようなっ!)」ドロッ

勇者「(時が、時間が見える)」ズッ

勇者「(魔王の剣が、魔剣が俺の胸を捉える・・・俺の心臓に魔剣が突き立てられ・・・る)」ズブッ

勇者「(ここで死ぬ・・・のか?)」ズズズズズッ

魔王「何が見えた、勇者よ」

日付変わる間だけトリップ付けます

勇者「なっ!?」

魔王「そう、殺気だ」

勇者「私は・・・」

魔王「そう。お前の絶望の姿だ、数秒先の未来」

魔王「さらばだ勇者、滅せよ」バシュッ

勇者「・・・人を、人間を見くびるな」バシュッ

ガキンッ!!

「・・・」

「(これは・・・一体・・・)」

「(魔剣と聖剣が弾きあった瞬間、勇者の胸に飾られた宝石が輝き、そして砕けた)」

「(その瞬間、周囲は爆煙に包まれた)」

「(だが、私は動じず、弾かれた剣を振り直し勇者の心臓を貫いた。手ごたえがあった。そして煙が晴れ)」

勇者「どういう・・・ことだ・・・?」

魔王「」

勇者「なにが起こった・・・?」

従者「っっ!!!」バッ

従者「魔王さまっ!魔王さまっ!!!!」ダキッ

勇者「従」従者「魔王さま・・・。魔王さま・・・大丈夫ですよ」

勇者「おいっ!!」従者「魔王さまには私がついてます。私が一緒ですからね」ズッ

勇者「(そこから先は、よく覚えていない)」

勇者「(従者は自らの胸に小剣を沈めた)」

従者「大好きで・・すよ・・魔王・・・さま・・・。愛して・・・いま・・・す・・・」

勇者「従者っっっーーーー!!!!!」

勇者「(そして、従者と魔王の亡骸は、魔法陣に包まれた)」

―辺境の町―

勇者「(私は気付くと人の街に居た)」

勇者「(転移魔法?わからない、仲間の魔法使いが魔王城の崩壊を予想し、予め発動しておいたのだろうか)」

勇者「(どうでもいい)」

勇者「(私は、私には・・・何がどうなったのかすぐには理解できなかった)

勇者「(今はただ、その後を再認識することしかできない。)」

勇者「(忌まわしき記憶を、悪夢を思い出すことしか)」

勇者「・・・」

勇者「(人間どもは、放心状態の私になんの興味も示さなかった)」

勇者「(街は混乱状態だった)」

勇者「(どうやら、あの時発動した魔法陣は従者の召喚魔法だったようだ)」

勇者「(・・・私でも見たことの無い魔法陣)」

勇者「(全ての力と、絶望と、憎悪と、命を以って発動する究極の召喚。といったところだろうか)」

勇者「(人の街はことごとく破壊され、王国は滅びたらしい)」

勇者「(どうでもいい)」

勇者「(今では人の街が数か所残るのみ、それも小さな集落だけという)」

勇者「(この街のことだ)」

勇者「(どうでもいい)」

勇者「(召喚された魔物は女神の姿をしているという)」

勇者「(漆黒の衣を纏い、血の涙を流し、全てを焦土に還す、女神と)」

勇者「・・・」

勇者「(あれからどれだけの時間が経ったのかは分からない)」

勇者「(街の人間の数も随分と減ったようだ)」

勇者「(どうでもいい)」

勇者「(私は、どうやら勇者のようだ)」

勇者「(理解していたが認めたくなかった)」

勇者「(私は、負けた)」

勇者「(勇者は、勝ったのだ)」

勇者「(死んでも倒す、と言っていたか)」

勇者「(最初から知っていたのだろう)」

勇者「(先の勇者達の魂から受け継いで、分かっていたのだろう)」

勇者「(魔王の、真の力を事を)」

勇者「(・・・あの輝き)」

勇者「(あれは恐らく、魂を転移させる秘宝)」

勇者「(その身から、魂を転移させ)」

勇者「(魔王の身体を持つ勇者は、その身を切らせた)」

勇者「(最初から狙っていたのだろう)」

勇者「(最後の勇者は魔王を確実に倒すこと方法を考えた)」

勇者「(殺す為に死ぬ。・・・狂気の沙汰だ)」

勇者「(しかし、勇者は死ななかった)」

勇者「(魔王は死に、勇者は生きている)」

勇者「(私は、勝ってしまった)」

勇者「・・・」

(従者「魔王さま、ごはんですよ」)

勇者「・・・」

(従者「魔王さま、今日は暇ですね!」)

勇者「・・・」

(従者「あ、あの。私、もしかして、また寝ちゃいました?」)

勇者「・・・」

(従者「魔王さま、私はとても嬉しいです」)

勇者「・・・」

(従者「魔王さま、私は幸せですよ」)

勇者「・・・」

(従者「魔王さま・・・。魔王さま・・・。魔王さま・・・。」)

勇者「・・・」

(従者「大好きで・・すよ・・魔王・・・さま・・・。愛して・・・いま・・・す・・・」)

勇者「・・・っ」

勇者「・・・私は・・・」

勇者「私は・・・あの時・・・私は・・・」ブツブツ

勇者「従・・・私は・・・何故・・・あの時」ブツブツ

男「なぁ、アンタ」

勇者「あの時・・・どうして・・・何故・・・・」ブツブツ

男「後悔してる事があるんだろう」

勇者「私は・・・してれば・・・どうして」ブツブツ

情報屋「俺は情報屋だ。アンタ、後悔してる事があるんだろう?」

勇者「私は・・・あの時・・・」ブツブツ

情報屋「過去を改変できる宝玉のことを知っているかい?」

勇者「私は・・・」

情報屋「変えてみればどうだ?」

勇者「・・・」

情報屋「変えたい過去を。あるんだろう?」

勇者「・・・。話を・・・、話を聞こう」

情報屋「そうこなくちゃね」

超展開わかる

情報屋「時を過去に戻す宝玉の話だ」

情報屋「お代はいらないよ。どうせみんな死ぬんだろうし」

情報屋「あんたは普通の人間と違う。その装備、身体を見れば分かる」

情報屋「この世界を変えられる・・・、かは分からないけどさ」

情報屋「変えることができそうな奴から片っ端に声をかけてる」

情報屋「この街を西に二日も歩けば洞窟がある、野蛮でどう猛な魔族のなわばりらしい」

情報屋「そこは問題じゃないんだ、その洞窟の中にある祠が。どうやっても開かないらしい」

情報屋「どうやら呪いで封じられているとか。しかし、聖水やらの解呪魔法が一切効かないのだと」

情報屋「で、これは眉唾な情報だが」

情報屋「中身の宝玉は、聖なる力がないと発動すらしないただの綺麗な石ころ、とかなんとか」

情報屋「呪いで封じられた聖なる宝玉ってのも、なんだか変な話だよな」

情報屋「あんたなら過去を変えられるか?この今を変えることができるか?」

情報屋「・・・この世に人が残ってて、生きている限り、俺は色んな奴にこの話を伝え続けるつもりなんだ」

情報屋「終わろうとする世界で情報屋の俺に出来ることは、せいぜいこれくらいの事だからな」

情報屋「・・・希望は生れたかい?」

―洞窟―

勇者「・・・」

勇者「・・・希望か。都合の良い言葉だ」

勇者「私の国のこんな辺ぴな場所にある洞窟に、時を過去に戻す宝玉だと?」

勇者「だが、立ち止まって考えている暇は。もう無い」

勇者「・・・ここか。これが祠だな」

勇者「これは・・・」

勇者「魔族が発動した宝物用の保護印」

勇者「・・・口術で解ける類の簡易なものだ」

勇者「▼▼▼■■▲■」

勇者「開いた」

勇者「人間はこれを呪いと勘違いしていた訳か?」

勇者「聖水など効くはずがない、そもそも呪いとは仕組みが違う」

勇者「これが宝玉・・・か」

勇者「どこかの下級魔族が発動しない宝玉を見つけ、価値も分からずしまい込んでいた、というのが真相か」

勇者「しかし、これは・・・。この宝玉は・・・凄まじい力を持っている」

勇者「感じる。これは本物だ」

勇者「聖なる力。つまり、勇者の血か」

勇者「本当に、本当だったのか・・・」

勇者「だとすれば、だとするなら。私は、いつを願う?いつに戻る?」

勇者「・・・」

勇者「・・・勇者と戦う前に」

勇者「勇者の狙いが分かっていれば、回避する方法などいくらでも有る」

勇者「・・・従者」

勇者「少しだけ待っていてくれ。お前を絶対に死なせはしない」

勇者「宝玉よ、私の願いを聞け」

勇者「時よ、時間よ、戻れ」

勇者「私の・・・希望を・・・」

勇者「(光が・・・これが・・・時を・・・)」

~時は遡る~

「・・・」

「ここは・・・、ここは・・・」

「祠の・・・何も・・・変わっていない?」

「しかし、祠の戸が閉じている。時は過去に戻った・・・のか?」

勇者「では・・・、なぜ・・・!何故私は勇者のままなのだっ!!!」

勇者「何故だっ!!」

勇者「何故なんだ・・・っ」

勇者「・・・」

時は過ぎる

勇者「(結果は失敗だった)」

勇者「(時間を戻す宝玉・・・、正確には時間を遡る宝玉)」

勇者「(私は時間を超えた)」

勇者「(そして辿り着いた、魔王と勇者が存在する時間に)」

勇者「(・・・辿りついた時間には私と、勇者と、私が存在していた)」

勇者「・・・」

勇者「(それでも)」

勇者「(それでも私は勇者を止めようとした)」

勇者「(勇者に剣を突き立てようとした・・・)」

勇者「(だが、できなかった)」

勇者「(魔王を倒す為の歩みを阻止することはできなかった)」

勇者「(勇者は自らの身に剣を突き立てることができない、勇者の血がさせない)」

勇者「(勇者自身が、魔王を倒すという使命を止める事ができない、邪魔をすることすら・・・できない)」

勇者「(なんと忌まわしい体だろうか)」

勇者「(魔王と勇者が戦う運命は変えられない)」

勇者「(魔王は勇者と戦い、勇者は魔王と戦う)」

勇者「(宿命付けられている)」

勇者「(その事を理解した私は、また祠へと戻った)」

勇者「(また、魔王と勇者が戦い始める前に)」

勇者「(また、従者が命を断つ前に)」

勇者「(祠へと急いだ)」

勇者「(そして、時を遡る宝玉に願った)」

勇者「時よ、時間よ、遡れ」

勇者「あの日、あの時」

勇者「勇者が旅に出る前に」

~時は遡る~

勇者が旅に出る前のこと

勇者「・・やっと玉座の扉か」

勇者「ふむ、自分の城とは言え、完全に気配を消して忍び込むのは骨が折れるな」

勇者「・・・」

勇者「・・・魔王と勇者が戦う運命は変えられない」

勇者「勇者が魔王を倒せば、勇者の宿命は終わる」

勇者「魔王が死ねば、魔王の瘴気が消える」

勇者「勇者は旅に出ない」

勇者「出る必要が無いからだ」

勇者「そして」

勇者「魔王は家来を雇わない」

勇者「私が魔王を倒せば、恐らく私の存在は消える」

勇者「だが」

勇者「従者は死なない」

勇者「お前を絶対に死なせはしない」

勇者「お前の返事はしっかりと受け取った」

勇者「私も、お前を愛している」

勇者「ありがとう」

勇者「私も、お前と一緒だよ」





―その勇者の胸には、一輪のガーベラが飾られていた





勇者「さて、魔王を倒すか」

END

ありがとうございました
ふと、魔王が魔王自身を倒す話って面白いんじゃないかと思い
初めてで拙い文章ですが投下させて頂きました

所々小ネタを挟んでいたり、それなりに創意工夫を凝らしたつもりです
ちなみに、ガーベラの花言葉は希望です

あと、バタフライエフェクトやシュタゲは大好きなので、かなり影響受けてるかと思います

ちなみに自分自身としてはバットエンドは全然好きじゃなくて
前半のいちゃラブしてる辺りを書いてる時が一番楽しかったです

で、この終わり方だとあまりにも悲しいので、蛇足ではありますがグッドエンドバージョンを続けます
のろけ話が中心になり、本当に蛇足って感じなので、そこのところは了承願います

ある日

(従者「・・・・・ま」)

(従者「・・・魔・・・さま」)

(従者「・・・魔王さま・・」)

従者「魔王さまっ!」

魔王「・・・っ」

従者「魔王さま?」

魔王「・・・従者?」

従者「魔王さま、大丈夫ですかっ!」

魔王「ここは・・・、何が・・・」

従者「魔王さま・・・?」

魔王「俺は一体・・・」

従者「・・・?」

魔王「・・・従者っ!」ギュッ

従者「ひぁっっ!?ま、魔王さま!??」ワタワタ

×魔王「俺は一体・・・」→魔王「私は一体・・・」

従者は事のあらましを説明した

従者「魔王さまはあの後、倒れ込んでしまって」

従者「ぐったりとした様子で意識を失ってしまいました」

従者「それからすぐに、魔王さまがうなされ始めて・・・、私は居ても立っても居られなくなって」

従者「おでこにおしぼり乗せたり、あおいだりしていたのですが、なかなか起きなくて」

従者「・・・うーんうーんとうなされる魔王さまを見ていたら」

従者「・・・なんだか。・・・なんだかとっても嫌だったので、叩いて起こしちゃいました」

魔王「・・・そうか、頬が痛いのはそのせいか」

魔王「すまない、ありがとう」

従者「いえいえ!」

魔王「(夢・・・?)」

魔王「(だが、それにしては・・・あまりにも・・・)」

従者「ところで、それは?」

魔王「・・・それ、とは?」

従者「その胸に挿しているガーベラです」

魔王「こ、れは・・・」

従者「ふふっ、とってもお似合いですよ?」

魔王「(これはあの時・・・)」

魔王「(確かに、私が挿したガーベラと・・・同じ)」

魔王「(・・・)」

勇者の胸には魔王の剣が突き立てられ

胸に飾られた宝石は静かに煌めき

魔王はその様子を少しだけ眺めた後

従者の体をそっと抱擁した

従者はその抱擁に答えるようにして魔王の体に身を寄せ

二人は

どちらからともなく口付けを交わした

―玉座の間―

魔王「皆、ご苦労」

魔王「まず、礼を言う。良く生き残った」

竜人「いえ・・・。私は・・・。私は・・・」ググッ

魔剣士「拙者に、もっと力があれば・・・仲間を・・・」ボロボロ

魔獣「私が不甲斐ないばかりに・・・くっ・・・」ダンッ

魔王「・・・」

魔王「いいか、よく聞け」

魔王「お前たちが生きてることには意味がある」

魔王「死んでいった者たちが、生きて欲しいと願った結果がお前たちだ」

魔王「私には・・・、分かる」

魔王「私たちは、誰かを守る為に死ぬことだってできる」

魔王「私たちは、生きる為に守られたのだ」

魔王「その意味を、胸に刻むんだ」

魔王「みんな、・・・生きていてくれて、ありがとう」

その日の内から城の復興が行われた

倒れた者は弔われ、傷ついた者は介抱され、動ける者は城の修復を始めた

誰が言い始めた訳でもなく、命令した訳でもなく

それからひと月が経つ頃には、城は普段の風を取り戻しつつあった

魔王は全ての兵に暇と褒賞を与え、魔王の下に残りたいと申し出た者はそのまま召し抱えた

魔王「爺・・・、お前との将棋は負け続けだったな」

魔王「城の皆はどうやら大丈夫そうだ、私が思ってたよりも遥かに強い心を持っている」

魔王「死んでいった者たちの為に、死んでいった者たちの分まで生きてくれるだろう」

魔王「爺・・・。お前の眼力は衰えて居なかったな」

魔王「従者は良くやってくれている。もう・・・従者が居なくては・・・私は」

魔王「・・・お前が居なかったら従者とも出会う事も無かった」

魔王「本当にありがとう」

従者「魔王さまー?どこですかー?」

魔王「ああ!聞こえている!!今向かう!!」

魔王「・・・では、また」

―玉座の間―

従者「今日でひと月ですね」

魔王「あぁ・・・」

従者「暇を取らせる~って言ったのに、皆残ってますね」

魔王「そうだな」

従者「みんな、何だかんだ言って魔王さまのことが大好きなんですね」

魔王「そうだな」

従者「ところで、私はお暇取らせるなんて一言も言われて無いんですが~?」

魔王「当たり前だろう、従者なのだ。お前に取らせる暇は無い」

従者「ふふっ」

従者「まったく~。しょうがないですね!」モジモジ///

従者「魔王さまは私がついていなきゃ、ですからね!」テレテレ///

従者「いいですよ、私が一緒にいてあげますっ!」キャッ///

魔王「ああ、私もお前と一緒に居たい」

従者「め、珍しく素直でござる、ござ、ですね」ドキーンッ///

魔王「・・・従者」

従者「は、はい」///

魔王「手を借りるぞ」グイッ

従者「は、はい!」ドキッ///

従者「(こ、これは・・・あの・・・噂に聞くアレですか!?)」///

魔王「従者、私はとても幸せだ」

魔王「お前と過ごす日々が好きだ」

魔王「私は、従者を幸せにしたい」

魔王「私は、従者を大切にしたい」

魔王「私は、従者を守りたい」

魔王「これから先、ずっと一緒に居たい」

従者「・・・私も」

従者「・・・私も魔王さまと、・・・ずっと一緒に居たいです」

従者「魔王さまは私が一番望んでいた事を、一番最初にプレゼントしてくださいました」

従者「従者はとても幸せですよ」///

その夜

従者「(夜に魔王さまの部屋へ入るのは初めてです)」ドキドキ///

魔王「・・・その、従者」

魔王「こ、これを」

従者「ふぇっ!!」ドキッ

従者「・・・これは、リングケース」

従者「・・・開けて、良いのですか?」

魔王「ああ」

従者「・・・わあ」

魔王「ガーベラの花を模して造らせた、婚約指輪だ」

従者「綺麗・・・」

従者「・・・っ」ハッ!///

従者「ありがとうございますっ、とっても嬉しいです」

従者「・・・すごいです、サイズもピッタリです」

魔王「ああ、サイズはお前が居眠りしてる時に測った」

あの、言い忘れてたんですが・・・エロでも大丈夫ですかね

従者「なっ!」カァァ///

従者「もーっ!やっぱり魔王さまはいじわるです!せっかくロマンチックだったのにー」///

魔王「ふっ」

従者「うーっ」///

魔王「・・・」

魔王「・・・従者」

従者「なんですかー」

魔王「その・・・、抱きしめても良いか?」

従者「・・・」

従者「ギュッてしても良いか?」

魔王「・・・?」

従者「・・・ギュッてしても良いか?」フリフリ

従者「ギュッてしてもいいか~!」バタバタ

魔王「ぎ、ギュッてしても良いか?」///

従者「はい、どうぞ!」ニコニコ

魔王「・・・」ギュッ

従者「っ!」ドキーンッ///

魔王「(・・・っ!従者の香りが傍に)」ドキッ

従者「(ま、魔王さまの匂いが近いっ!)」ドキッ///

魔王・従者「(・・・落ち着く)」キュン

従者「魔王さま」

従者「ちゅーしたいです」テレテレ///

魔王「あ、ああ」

魔王「ちゅ、・・・キスしよう」

従者「…んっ」///

魔王「…っ」

従者「…ぺろっ」

魔王「…っ!?」ドキッ

従者「…っ…んちゅ」

魔王「ちゅっ…っ…」

従者「ぷはっ・・・」

魔王「ふー・・・」

従者「ま、まずはこのくらいにしておいてあげますからね!」ドキドキ

魔王「そうか、まだ夜は長いからな」

従者「・・・っ!」///

魔王「・・・従者」バサッ

従者「ま、魔王さま」///

従者「その、優しく・・・ですよ?」///

魔王「・・・つまり、いつも通りで良いんだろう?」

従者「そ、それはそうですけどっ!」

魔王「従者、もう一度キスを」

従者「・・・はいっ」

従者「んっ…っちゅ…」///

従者「(ま、魔王さまの舌が・・・、とってもエッチで・・・、ダメです)」カァァ

従者「はむっ…ひゃっ!ま、魔王さま」

従者「(胸に・・・手が・・・魔王さまの大きな手が・・・)」ドキンッ

従者「はずかしいです…、そこはっ…っ…!」

魔王「そうか・・・。脱がすぞ」

従者「え、えっ、だめ、恥ずかしっ・・くてっ」ジタバタ

魔王「そうだな」グイッ

従者「(ーっ!-っ!だめーっ!おっぱいーっ!)」カァァ///

魔王「・・・綺麗だ」

従者「・・・うぅ」///

魔王「…っちゅ」

従者「(なっ!舐めっ・・・ダメっ!本当にダメーッ!)」ビクンッ///

従者「ま、魔王さま・・・だめです・・・っ!わ、私・・・」

従者「(おっぱい舐められて嬉しいだなんて、・・従者はエッチな子です・・・っ)」ビクッ///

魔王「・・・」ゴソッ

従者「はぁっ・・・っ・・・ま、魔王さま?」

…クチッ

従者「(っ!!!!!)」ビクンッ///

…チッ…ペチャッ…

従者「ひゃぁぅ・・・、うぅ・・っ!っ・・・!」///

従者「(ま、魔王さまの手が・・・わたしの・・・そこに・・・っ!)」

…クチッ…チュッ…チャッ…

従者「あぅ・・・!っっ!ふゃっ・・・!」

従者「(だめ、ダメっ!恥ずかしいです!っ!でも・・・でも・・・とってもきもち・・い・・・)」///

…クチュッ…チッ…クチャッ…

従者「やっ・・・!あぁっ・・・!まおう・・・さま・・・っ!んっ・・・!」

従者「(魔王さまの手が!あそこを何度もなぞって・・・ダメ、頭が、わかんなくなっちゃいますっ)」///

従者「あっ!っっ!ひゃっっ!・・っ!・・・っ!!」ビクビクビクッ///

従者「ぁぅ・・・はぁ・・・はぁ・・・っ・・・はぁ・・・」///

魔王「ふふっ」

魔王「従者、・・・可愛かったぞ」

従者「なっ!!」カァァァァ!!////

従者「ま、魔王さまーーっ!!!ひどいっ!いじわるーー!!!」ポカポカ////

従者「ど、どれだけ恥ずかしかったことかっ!」ボカッ///

魔王「痛ッ」

魔王「悪い、そんなつもりじゃ」

従者「し、知ってますー!わかってますー!!」///

従者「言わなくても分かるから言わないでくださいっ!恥ずかしいですっ!!」カァッ///

魔王「あ、ああ」

従者「私もっ!」

従者「私も魔王さまにエッチなことしますからねっ!!」////

魔王「・・・なっ」

魔王「それとこれでは話が違」従者「だーめっ!」

魔王「流石にそれは、その・・・」

従者「だっ!めっ!でっ!すっ!」

従者「脱がしますっ!」

魔王「や、止め」

従者「~♪」グイグイーッ

従者「・・・っ!」

従者「(こ、これが・・!なんと言うか・・・禍々しいような・・)」

従者「(・・・でも、魔王さまのだと思うと、ちょっと可愛い・・・かもです)」///

魔王「お、おい」

従者「はむっ!」

魔王「・・・っ」

従者「はむっはむっ・・・」

従者「んー?」

従者「…れろっ」

魔王「・・・っ!」

従者「(ふふっ・・・これですか・・・!)」

従者「ぺろっ…れっ…れろっ…っ…」

魔王「・・・っく」

従者「(魔王さま・・・かわいい・・・!)」キュン///

従者「っ…ちゅっ…ぺちゃっ…れろっ…」

従者「んっ…はみゅっ…っ…じゅっ…」

従者「ちゅっ…ちゅっ…じゅっ…っ…」

従者「(魔王さまがお口のなかで・・・なんだかしあわせな気分です)」///

従者「れろっ…じゅるっ…じゅっ…」

魔王「はっ・・・っ・・・」

従者「んちゅっ…ぺちゃっ…れろっ…っ…」

従者「(魔王さまっ!魔王さまっ!)」

従者「(もっともっと、気持ち良くなってくださいねっ!)」

従者「はむっ…っ…ちゅっ…っ…」

従者「ちゅっ……じゅっ……れろ…れろ…」

従者「ぺろっ…っ…じゅりゅっ……はむっ」

魔王「じ、従者。そろそろ・・・っ・・・出る・・・」

従者「ふぁ…ぃ……っちゅ…」

魔王「ぐっ…っ…」ビュルッビュルッビュクッ

従者「ん…ぅ…っふ…」コクコク

従者「っ……ごくっ…ぷはっ」ゴクリ

従者「はふー・・・」

魔王「はぁ・・・、はぁ・・、従者、無理に飲まなくても、良いのだぞ。どうして・・・」

従者「・・・だって、魔王さまの精液だと思うと」

従者「なんだか・・・とっても愛おしくなって、味わわずにはいられなくなっちゃいました・・・」

魔王「・・・」

魔王「・・・」ギュッ

従者「ま、魔王さまっ?」///

魔王「従者・・・」

従者「は、はい・・・」ドキッ///

魔王「従者・・・好きだ・・・私はお前が好きだ・・・愛しくてたまらない・・・」

従者「・・・はいっ!私も魔王さまのことが大好きです、魔王さまっ!好きです、大好きですっ」

魔王「従者、舐めるぞ」

従者「えっ?」

魔王「・・・」グイッ

従者「ひゃっ!ちょ、ちょっと魔王さまっ!ダメダメダメだめ~っ!」

魔王「・・・綺麗だ」ガシッ

従者「ぅ・・・っ・・・見ちゃだめ・・・だめです・・・」

従者「(魔王さまの頭が・・・足のあいだに・・・こんな・・・こんなこと・・・)」///

…レロ

従者「うぅ~~・・・・ぐっ・・・っ・・・っ!」ビクッ///

…チュッ…チュップッ…

従者「っ!はっ!・・・ぅ・・・やっ・・・あっ・・・」ビク///

魔王「はぁ・・・、従者・・・可愛いぞ・・・」

従者「(なっ、何をっ!なんでこんな・・ときに・・もうっ・・・!)」カァ///


従者「ふゃっ!まっ・・・まおっ・・・っ!さまぁっ!!」///

…クチョッ…チュッ…ッ…ジュッ…

従者「ぁっ!ひゃめっ!っ!もうっ!」ビクッ///

…ペチョッ…ジュルッ…ジュッ…ッ…

従者「~~~~!っ!!っくぅ!!はっ・・ぅ・・!!」ビクビクッ////

…ジュッ…レロッ…レロッ…チュパッ…

従者「ひゃ、ひゃめ・・・もっ!・・・あっ!」///

…ペチョッ…チョッ…ジュッ…クチュッ…

従者「もぉっ!ひゃ、りゃっめっ・・・!ぇ・・・っ・・・!」ビクッ///

従者「ふゃっ!あっ!あぁぁっ!~~~っっ!!やっ、ぁ!!」ビクビクビクッ////

…チュプ…ジュプッ…クチョッ…ジュ…ジュッ…

従者「っ!?まっ!も、もうっ!!もうだめっ!だめっ!っ!ぇっ!もうっ!!」///

従者「(まおうっ!しゃまっぁ!わたしっもうっ!だめですっ!だめっ!きもちすぎて・・・っ)」///

数十分後

従者「・・・っ・・・・っ・・・っは・・・っ・・・ぁ・・・」ビクッビクッ

魔王「す、すまん」

従者「・・・っ・・・っ・・・ぁ・・・ぅ・・・っく・・・うぅ・・・」ビクッ

従者「・・・うぅぅー・・・っ・・・もぉ・・・っ・・・」///

魔王「・・・すまない、つい」

従者「魔王さまぁ・・・っ!」///

魔王「悪い、あまりにも可愛くて・・・」

従者「んぅー・・・」///

従者「・・・。・・・んっ」スッ

クパッ…

魔王「じゅ、従者・・・」

従者「魔王さま・・っ」///

魔王「あ、あぁ・・・」

魔王「挿れる・・・ぞ」

従者「はいっ・・・一緒に・・・っ・・・ひとつに・・・」

従者「魔王さまっ・・・従者はとっても幸せです・・・っ」///

従者「(魔王さまのが当たってる・・・、これが今から私の中に・・・)」ドキドキ///

魔王「従者・・・、私も幸せだ・・・愛しているぞ・・・っ」

…クチョ…

魔王「(くっ・・・従者の中が・・・蕩けて・・・)」

…グッ

従者「っくぅ・・・」

魔王「(・・・。これが、処女膜か・・・)」

魔王「すまない、少しだけ我慢してくれ」

…グッ、ググッ…プツッ…

従者「んっ!っ!」

魔王「っ!大丈夫か?」

従者「・・・っ・・・はぁ」

従者「魔王さまっ・・・っ・・・わ、私・・・なんだかっ・・・」

従者「少しだけ痛っ・・・ったです・・・けどっ・・・でも・・・それより・・・っ!」///

従者「魔王さまのっ・・・熱いのが・・・っ・・・中で・・・私を満たしてて・・・」///

従者「魔王さまっ・・・お願いですっ・・・っ・・・はぁ・・・」///

魔王「っ!分かった、動くぞ」

…クチュッ…チュッ…クチュ…

従者「っ!っ!っ!ぅあっ!ぁっ!あっ!」///

…プチュッ…クチュッ…チュッ…チュッ…

従者「わたしっ!っく!はじめてっ!なのにっ!っ!ひゃっ!!こんなっ!」///

…クチュッ…パチュッ…ズッ…ズッ…ズッ…

魔王「(従者の膣内が・・・纏わり付いて・・・っ)」

…チュッ…パチュッ…パチュッ…チュッ…パチュッ…

従者「あっ!あぅっ!まっおっ!!しゃまの!!っ!!なかにっ!んっ!!」

…チュプッ…クチュッ…チュッ…チュッ…ズッ…ズッ…

従者「う~っ!ぅ!ぅっ!っくぅ!ぅうっ!んっ!なかにっ!んっ!かんじっ!」

…チャッ…チャッ…チャッ…チュッ…クチョッ…

魔王「従者っ、従者、私も従者を感じるっ!膣内がっ!ひとつにっ!」

…パチュッ…クチュッ…ズッ…ズリュッ…ジュッ…

従者「んっ!んっ!ぅ!まおっ!しゃまっ!!あぁっ!しゅきっ!しゅきっ!しゅきぃっ!!」

…チュクッ…パチュッ…パチュッ…パチュッ…クチョッ…クチョッ…

従者「しゅきっ!っ!りゃいっ!しゅきっ!まっ!しゃまぁっ!っ!あっ!」

…ズチュッ…ズチュッ…ズチュッ…プチュッ…チュッ…クチュッ…

魔王「従者っ、従者っ、従者っっ!お前のっ!膣内にっ!」

…チュッ…チュッ…チュッ…チュッ…チュクッ…プチュッ…チュクッ…プチュッ

従者「ひゃいっ!まおっ!しゃっ!のっ!せーしっ!んぅっ!いっぱいっ!」

…チュプッ…パチュッ…チュッ…チュッ…チュッ…チュッ…チュッ…チュッ…チュッ

従者「たくしゃんっ!っく!なかっ!くらしゃっ!っ!くらしゃいっ!!」

…チュッ…チュッ…チュッ…チュッ…チュッ…チュッ

魔王「ぐっ・・・っ・・・うっ・・・」ビュルッビュルッビュクッドクッ

従者「~~~っっっ!!!!~~~っっ!!っ!・・・で・・・てる・・・っ・・・なか・・・ぁ」

従者「はっ・・・っ・・・はっ・・・っ・・・っ・・・」

魔王「はぁ・・・っ・・・はぁ・・・」

従者「はっ・・・っ・・・魔王さま・・・っ・・・」

魔王「はぁ・・・あぁ・・・ふーっ・・・」

従者「中に・・・っ・・・中に魔王さまのが・・・っ・・・たくさん感じますよ」

魔王「・・・ああ・・・っ・・・」

従者「魔王さま・・・っ・・・」

魔王「ああっ・・・っちゅ」

従者「んっ・・・むちゅっ・・・」

魔王「はぁ・・・じゅっ・・・」

従者「ごくっ・・・んっ・・・ちゅっ・・・」

魔王「従者・・・好きだ・・・」

従者「魔王さま・・・愛してます・・・」

魔王「ああ・・・従者・・・愛してる」



従者「魔王さま~?」

魔王「・・・どうした?」

従者「あっ、やっぱり起きてましたねっ!へへっ!」

魔王「ああ」

従者「もう、まったく何回私の中に出すんですかっ、もう腰が抜けちゃって・・・」

魔王「す、すまない」

従者「もしも赤ちゃんできたらどうするんですか~・・・」

魔王「・・・そうだな」

魔王「川の字で寝てみるか」

従者「も、もぉーっ!!」カァァ////

従者「・・・はぁ。・・・もうダメです、降参です」

従者「好きすぎます。魔王さまはやっぱり、ずるいです」///

魔王「・・・そうか。だが、気にしなくても良いだろう」

魔王「私もすっかり、お前に落ちてしまっているからな、お互い様だ」

従者「・・・。えいっ」ダキッ

従者「魔王さまパワー充電~!」ギュッ///

魔王「またそれか・・・」

魔王「従者パワー充電だ」ギュウッ///

従者「な、なにいっ!」カァッ///

魔王「・・・ふっ」

従者「・・・ふふっ」

魔王「ははははっ」

従者「あははははっ」

従者「魔王さま、魔王さま」

従者「いま、幸せですか?」

魔王「ああ、幸せだな」

従者「えへへ、知ってますよ。従者はちゃんと知ってますよ!」

END

終わりです。こんな朝になるとは思ってもみませんでした
お付き合い頂いた方々、ありがとうございます

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom