魔王「もう疲れた! 引きこもってゲームする!」(17)


魔王「闇のちからー!」シュゴー

勇者「光のぱわー!」ペカー

ゴリゴリゴリ…

魔王「ほげぇ!」パキューン

勇者「参ったか! 分かったら、村の人を解放しろ!」

魔王「」ピヨピヨ





側近「魔王様……潜在能力はあるのに、なんでいっつも頭悪いんだろう……」



側近「魔王様!魔王様!お気を確かに!」

魔王「ちくしょー!魔王なんかやめてやる!殴られっぱなしで、俺は疲れたんだ!ゲームして隠居する!」

側近「どうか考え直してください! 毎日のゲーム時間を3分にまで削ってきた修行の日々を無駄にする気ですか!?」

魔王「それだよ!それがおかしいんだよこの英才教育!雑魚敵にエンカウントしたらまた明日なんだよ!」

側近「ありがとうございます!これからも精進致します!」

魔王「そういうならセーブさせろ! もう俺は落ちこぼれでたくさんだ!修行の成果で隠居してやるー!」バシューン

側近「今まで使えなかったワープ魔法使って逃げた! 魔王様ー! 魔王様ー!?」

……。


ホイミ編

魔王「はぁはぁ、まったく……」

魔王「まだスライム2回としか戦った事のないドラクエのデータが哀れだとは思わないのか……」

魔王「ああ、今日からはこのコントローラーを目一杯握れる……」ウットリ

ガチャ

側近「やっぱり自室にいらっしゃいましたか……」

魔王「う!? な、なんで分かった」

側近「そもそも、魔王様の部屋にしかファミコンないじゃないですか……」

魔王「くっ、て、撤退する!」

側近「ま、待ってください魔王様! ゲームは1日1時間までやって良いですから!」

魔王「……」

魔王「今、なんと……?」


魔王「あなた様は、1日にい・ち・時間もゲームをやって良いと仰られたのでありますか……?」

側近「何度も逃げられては困ります。その代わり、1時間を過ぎたら雷魔法で魔王城が停電しますからね」

魔王「君が勇者と戦ったら良いのに……」

側近「……」バチバチバチ

魔王「待って待って待って!やめて!後生だから俺のセーターに撃って!それで許して!」

側近「私は女です。矢面に立つなんて出来ません」バリィ

魔王「はい……(本当に撃った……)」


魔王「では……早速」ピコピコ

側近「私もそばで見ていましょう」

魔王「まさか俺に気があるとか?」

側近「監視です」

……。

>スライム をやっつけた!

魔王「おお……スライム倒し放題……!」キラキラキラ

側近(小さな幸せで喜ぶ魔王様かわいい)

魔王「あれ? なんか画面が黄色く……まあ良いや」

側近「あの、魔王様? どうぐに薬草が……」

>ゆうしゃ はちからつきた・・・

魔王「あれ? 画面赤くなった……なんで力尽きてんのコイツ?」

側近「……」


側近「そもそも画面上に見えるヒットポイントが見えないんですかっ!」ガミガミターイム

魔王「ひ、ひっとぽいんと……?」

……。

側近「ヒットポイント無くなると死んでどうちゃらこうちゃら!」ガミガミ

魔王「なんと……」

…………。

側近「薬草を使うとHPが回復してほにゃらら!!」ガミガミガミ

魔王「反則技じゃないか……!」

………………。


リーセット

>スライム をやっつけた!

魔王「よし……これでもはや敵なし……!」

側近「寝ぼけないでください。薬草は使い捨て。無限に回復できるわけではないんです」

魔王「そんな……酷い」

側近「酷いのは魔王様の頭です。無くなったら、町に買いに行きましょう」

魔王「! 薬草の買い方は散々練習したから知ってるぞ! この町の左上に行ってボタンを押せば良いんだよな!」ザッザッザッ

側近「は、はい(移動に無駄がなく、素早い……なんだか物悲しい……)」


魔王「戦う。稼ぐ。薬草買う。戦う。稼ぐ。薬草買う。一生これで暮らせるな!」

側近「薬草では回復が追い付かない程強い敵も居ます。世の中そう甘くありません」

魔王「もう勝ち目がないじゃないか……」

側近「悲観する事ばかりでも御座いません。ほら」

チャラララッ チャッチャッチャー♪

魔王「!?」

側近「度重なるスライムとの戦いに慣れ、彼はひとまわり強くなったのです。これをレベルアップといいます」

>ゆうしゃ は ホイミ をおぼえた!

魔王「!? 面妖な単語が!」

側近「良かったですね。彼はさらに新しい能力を使えるようになったのです」


魔王「このホイミってのは何なんだ?」

側近「案ずるより何とやら。次の戦闘で試しましょう」

>スライムベス があらわれた!

魔王「赤い! 危険! にげる!」

側近「まあまあ。今の魔王様には新しい力が芽生えています」

魔王「だって!殴られると痛いし殴っても倒れないし!」

側近「では、じゅもんの欄からホイミを選択してみてください」

魔王「役に立つのか……?」テレレレッ

>ゆうしゃ のキズがかいふくした!

魔王「! なんともはや!」

側近「お見事です。そのまま押し切ってしまいましょう」

>スライムベス をたおした!

魔王「イェス!」ガッツポーズ


側近「じゅもんというものはHPの下、MPというものを別途に消費しますが」

側近「今のように、普通では得られない力を得る事が出来ます」

魔王「これでもう薬草も要らないな!」

側近「しかし、MPが尽きてしまうと使えないので薬草も持ち歩いておくと盤石ですね」

魔王「なる程、手堅いな!」

側近「さぁ、もう50分になります。宿に止まる事でMPも全快しますし、セーブして終わりにしましょう」

魔王「ああ、あのセーブポイントか!」ザッザッザッ

側近(やはり動きに一切の無駄がない……)シンミリ


プチッ

魔王「あああ~、楽しかった……!」

側近「良かったですね。さあ、修行です」

魔王「おう! 側近が横で色々教えてくれたおかげで楽しかった! ありがとな!」ニカッ

側近「……!(かわいい)」

魔王「あー、俺にもあんな力があったら、勇者に一泡……」



魔王「あんな力が……あったら……?」



魔王「ふおおおおおーっ!」シュゴー
側近「魔王様ー!?」



>魔王 は ホイミ をおぼえた!


魔王「覚えたー!」ブイ

側近「嘘ーッ!?」

魔王「ホントだああああ!」ゴンゴンゴン

側近「魔王様お気を確かに! 頭を壁に打ち付けないでください! 血が!血が!」

魔王「なめるなああああ!」テレレレッ

>魔王 のキズがかいふくした!

側近「ええええーッ!?」

魔王「これで勇者、恐るに足らーず!」ガッツポーズ


…………。

勇者「また会ったな、返り討ちにしてやる!」

魔王「今日の俺は今までの俺とはち・がーう! 食らえ闇のちからー!」シュゴー

勇者「違わないじゃないか! 光のぱわー!」ペカー

魔王「ぐふっ! しかしこれでは終わらん! ホイミイイイ!」テレレレッ

>魔王 のキズがかいふくした!

勇者「何だってー!?」

魔王「行くぞ、闇のちからああああ!」シュゴー

勇者「そんなああああああ!!」ドカーン


勇者「」ピヨピヨ

魔王「勇者、討ち取ったり!」ババン!

側近「魔王様、ああ、ご立派になられて……素敵っ!」ギュー

魔王「はーっはっは、お前のおかげだ! ありがとう!」

側近「あああ、光栄です!」

……。


次回予告

側近「めでたく初白星を上げ、はしゃぎ回る我らのかわいい魔王様。」

側近「しかし翌日に現れたのは、魔王様と同じ力を持つ女の子!?」



側近「次回! 『僧侶登場!打ち破れ鉄壁の布陣!』」

魔王「全体攻撃編だ!待ってろよ勇者!」ビシッ!

側近「魔王様の雄姿!お見逃しなーく!」ビシッ!

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