少女「マッチが売れないのなら、マッチョを売ればいいじゃない!」(95)

<町>

マッチを売る少女とマッチョ。

少女「マッチはいかがですか~!」

少女「マッチいりませんか~!」

マッチョ「マッチ、いかがですかぁ」

少女「アンタ、もっと大きい声出しなさいよ! そんなんじゃ、売れないわよ!」

少女「まったく図体は大きいのに、声は小さいんだから!」

少女「ホントにあたしと同い年なのかしら!」

マッチョ「ゴメン」

<小屋>

少女「……ふう、今日もほとんど売れなかったわ」

少女「あたしのマッチは、そこらのマッチよりよくできてるハズなのになぁ……」

少女「あ~……もう! これじゃまた、パンの耳暮らしじゃない!」

少女「ったく、それもこれもアンタがだらしないからよ!」

少女「あたしより何倍も大きいんだから、あたしの何倍も売らなきゃダメじゃない!」

マッチョ「体の大きさは、関係ないだろ」

少女「あるわよ!」

少女「アンタぐらいでかけりゃ、いくらでも売る方法あるでしょうに!」

マッチョ「たとえば?」

少女「ほら……買わないと殴るぞ、とか……」

マッチョ「そりゃ脅迫だよ」

少女「とにかく、このままじゃ生活できなくなるわ!」

少女「あたしらみたいなみなしごに、世間は世知辛いし……」

少女「アンタもなにかアイディア出しなさいよ!」

マッチョ「……っていってもなぁ」

少女「あ~まったく……アンタの筋肉でも切って売り飛ばしちゃおうかしら」

少女「100グラム銀貨一枚、とかで」

マッチョ「牛肉や豚肉じゃないんだから……」

少女「──そうだわ! それよ!」

マッチョ「え?」

少女「マッチが売れないのなら、マッチョを売ればいいじゃない!」

マッチョ「ど、どういうことだよ?」

少女「つまりね──」ゴニョゴニョ…

少女はマッチョにアイディアを話し始めた。

翌日──

<町>

少女「マッチョはいかがですか~!」

少女「マッチョはいりませんか~!」

少女「一時間につき銅貨一枚、なんでもやりますよ~!」

マッチョ「なんでも、はできないよ。誇大宣伝だよ」

少女「うるっさいわね! なんでもやるぐらいの気概です、ってことでいいのよ!」

少女「マッチョはいかがですか~! なんでもやりまぁ~す!」

マッチョ「マッチョはいかがですかぁ」

少女「ったく、声小さいっての!」ゲシッ

マッチョ「あだぁっ! スネは卑怯だよ!」

すると──

町民「え~と……」

少女「いらっしゃいませ~!」

町民「実は家の物置を整理したいんだけど、重たいものが多くて……」

町民「彼を二時間ほど、貸してもらえないかな?」

少女「はい、いいですよ!」

町民「じゃあ、銅貨二枚ね」チャラッ…

少女「毎度あり~!」

少女「さあ行くのよ、マッチョ! 初仕事、初仕事!」

マッチョ「う、うん……」

<町民の家>

町民「いやぁ~本当に助かったよ!」

町民「君は力持ちだねえ、おかげで物置が片付けられたよ!」

マッチョ「いえ、そんな……」

マッチョ「でも一時間しか経ってないので、あとで銅貨一枚返しにきます」

町民「いいって、いいって! そんなケチなこといわないよ」

町民「君は俺の何時間分もの働きをしてくれたんだ、とっておいてくれ」

マッチョ「はい……ありがとうございます!」

その夜──

<小屋>

少女「あれからすぐ、横転した馬車を元に戻す仕事も入って、銅貨三枚!」

少女「初日から幸先いいわね~」

少女「明日からもガンガン稼ぐのよ、マッチョ!」

少女「あたしも頑張って、マッチ売るからさ!」

マッチョ「う、うん」

マッチョ(よぉ~し、頑張るぞ!)

翌日──

少女「マッチはいかがですか~!」

少女「マッチョはいかがですか~!」

マッチョ「力だけなら、自信あります」

少女「そんな小さい声じゃ、説得力ないっての!」グリッ

マッチョ「あいたっ! ヒジのビリッとするところはやめてくれよぉ」

商人「えぇ~と」

商人「君たちのことを、知り合いから聞いたんだけど」

商人「商品倉庫の整理を一時間ほど手伝ってくれないかな?」

少女「わっかりましたぁ!」

マッチョ(ノリノリだなぁ……)

その後も、二人は順調に商売を続けた。

大工「あんちゃん、力持ちなんだって?」

大工「今日一日、オイラのために一肌脱いでくれねえか?」

少女「はいは~い!」

少女「さあ行くのよ、マッチョ!」

マッチョ「でもボク大工なんてやったことないし──」

大工「ハハハ、心配すんなって! 雑用をやってもらうだけだから」

若者「引っ越ししたいんだけど、専門の業者ってけっこう金かかってさあ!」

若者「手伝ってもらってもいいかな?」

少女「もちろん!」

少女「荷物運びはマッチョにお任せ!」

マッチョ「よろしくお願いします……」

若者(こりゃまたすごいデコボココンビだ)

画家「いやはや……すごい肉体美だ」

画家「どうだろう、絵のモデルになってくれないか?」

画家「巨人の絵を描きたいんだが、どうしても筋肉が上手く描けなくて困ってたんだ」

画家「できれば色々ポージングしてもらいたいし……」

マッチョ「ボ、ボク、そういうのはちょっと……」

画家「そうか、残念だ……。モデルになってくれたら、銀貨一枚出すんだが……」

少女「やります、やらせます!」

マッチョ「ちょ、ちょっと……」

町民「やあ」

マッチョ「あ、どうも……宣伝してもらったみたいで、ありがとうございます」

町民「いやいや」

少女「もしかして、またマッチョに依頼かしら?」

町民「いや、今日はマッチを買おうと思ってね」

少女「え、ホント!? ありがとうございまぁ~す!」

少女「やった、やったぁ!」

マッチョ「よ、よかったね……」

少女「うん! これもマッチョのおかげよ!」ギュッ

マッチョ「ア、アハハ……」

時にはトラブルに巻き込まれもしたが──

少女「マッチはいかがですか~!」

チンピラ「おう、小娘」ザッ

チンピラ「ずいぶん景気がいいみてえだが、だれに断って商売してんだ? あ?」

少女「なによアンタ」

チンピラ「俺はまぁ、この町の……いわゆる影の支配者だ」

チンピラ「俺ァ、いずれこの下らねえ世の中をひっくり返すつもりだ」

チンピラ「てめえの稼ぎも俺様の覇道の礎にしてやる」

少女「なにいってんの、アンタ」

チンピラ「…………」ブチッ

チンピラ「痛い目にあいたくなきゃ、売上よこせっていってんだよ!」

少女「はぁ……」

少女「支配者とかいっといて、わざわざマッチョがいない時を狙って来るなんて」

少女「セコイ奴……」

チンピラ「んだとコラ!?」

チンピラ「女だからって殴られねえと思ったら──」

ヒュッ!

少女が投げたマッチが、チンピラの頬をかすめた。

少女「あ~あ、一本無駄にしちゃった」

少女「目ェ潰されたくなきゃ、帰ってくれる?」

チンピラ「う、ぐぐ……覚えてやがれ!」ダダッ

<小屋>

少女「うわははぁ~い! 儲かった、儲かった!」

少女「まさか金貨やお札を持てる日が来るなんて……」

少女「これも全てあたしのおかげよね~!」

マッチョ「うん、そうだね」

少女「……なに全肯定してんのよ!」

少女「たしかにあたしのマッチも前より売れるようになったけど」

少女「ほとんどアンタの稼ぎじゃない!」

マッチョ「いや、本音だよ」

マッチョ「ボクじゃこんなアイディアは思いつかなかったしね」

マッチョ「ありがとう」

少女「……ふんだ」

そんなある日──

<町>

女「あのう……」

少女「はい!」

少女「マッチとマッチョ、どちらをご希望ですか?」

マッチョ(すっかり商売人だなぁ)

女「えぇと……大きな荷物を運びたいのですが」

少女「はいは~い! マッチョ、出番よ!」

マッチョ「任せといて」

マッチョと女に連れられるまま、歩いた。

<公園>

マッチョ「あ、あのぉ~……ここ、公園ですけど」キョロキョロ

マッチョ「荷物はどこですか?」

女「あのね」

女「ホントは荷物なんかないの」

女「私、あなたと二人きりでお話ししたかったの」

マッチョ「え……?」

女「そこのベンチでお話ししましょ?」

マッチョ「は、はい……?」

マッチョ(き、緊張するなぁ……)

女「私、前からずっとあなたに興味があったの」

女「あなたってとても強そうなのに、とても優しそうだから……」

マッチョ「ど、どうも……」

女「あなたの腕、ちょっと触らせてもらっていい?」スッ…

マッチョ「え、いや、それは──」

女「ごめんなさい、ちょっとからかっただけ」ウフッ

マッチョ「そ、そうですか」

一時間後──

女「今日は楽しかったわ」

マッチョ「は、はい……」

女「あと、今日のことは相方の女の子には、ナイショね」

マッチョ「え、どうしてですか?」

女「だって……嫉妬されちゃうかもしれないじゃない」

マッチョ(嫉妬? なんでだろう?)

マッチョ(ああそっか、自分が頑張ってマッチ売ってる時に)

マッチョ(公園でのんきにしゃべってるなんてずるい!)

マッチョ(──って怒られかねないもんな)

マッチョ「分かりました。ナイショの方がいいというなら、そうします」

<小屋>

少女「今日も儲かった、儲かったぁ~!」

少女「アンタだけじゃなく、あたしのマッチも結構売れたのよ!」

マッチョ「このところ絶好調だね」

少女「絶好調じゃなく、これがフツーなの!」

少女「……ところでさ、アンタ、さっきの女の人となんにもなかったでしょうね」

マッチョ「なんにもって?」

少女「例えばほら、荷物を運ぶ以上のことを要求されたとか、さ」

マッチョ「なにもないよ」

少女「ふうん……ならいいけど」

マッチョ(正直に話したら、絶対怒られるもんな)

それから数日間──

<町>

女「ごめんなさい、また重い荷物があって……」

マッチョ「はい」

少女「毎度あり~!」



女「こんにちは、またマッチョ君を貸して欲しいの」

少女「毎日ありがとうございま~す!」

マッチョ「じゃあ行ってくるよ」



女「マッチョ君をお願いね、はい銅貨一枚」チャリッ…

マッチョ「いつもありがとうございます」

少女「…………」

マッチョは女に借りられて、一時間を会話で過ごした。

町民「やあ」

少女「あ、こんにちは」

町民「今はマッチョ君はレンタル中かい?」

少女「うん、最近よく女の人に借りられていくのよ」

町民「……それってもしかして、髪が長くて、ちょっとおしゃれな感じの?」

少女「うん」

町民「俺も住んでいる区域がちがうからよく知らないし」

町民「あまり他人のことを悪くいいたくはないが──」

町民「あの女は盛り場のチンピラと、しょっちゅうつるんでいるんだ」

少女「チンピラ……!」

町民「盛り場の酒場で」

町民「まあ、マッチョ君に限って、悪いことしてるってことはないと思うけど」

少女「…………」

一方、その頃──

<公園>

マッチョ「──弟さんが病気?」

女「ええ……そうなの」

女「それで治療費に金貨が5枚必要だっていわれて……」

女「私、どうしたら……!」

マッチョ(金貨が5枚……大金だ)

マッチョ(でも……今のボクたちに出せない金額じゃない……)

マッチョ「あ、あの」

マッチョ「もしかしたら……ボク、用意できるかもしれません」

女「えっ!?」

マッチョ「とりあえず明日、もう一度来ていただけませんか?」

女「あ、ありがとうございます……!」

その夜──

<小屋>

マッチョ「あのさ……」

少女「なぁに? アンタから話しかけてくるなんて、珍しいじゃない」

マッチョ「金貨を5枚ほど……使いたいんだけど」

少女「?」

少女「……ごめん、もう一回いってくれる?」

マッチョ「金貨が5枚、必要なんだ」

少女「ハァ!?」

少女「金貨5枚って……なんに使うのよ、そんな大金!」

マッチョ「じ、実は──……」

少女「なによそれ……弟が病気って」

少女「アンタ絶対騙されてんのよ!」

マッチョ「な、なんでそんなこというんだよ……」

少女「だって……いきなり金貨5枚だなんて、絶対おかしいわよ!」

マッチョ「でも……もし本当だったらと思うと……」

マッチョ「万が一、本当だったら……ボクは絶対後悔する」

マッチョ「頼むよ……」

マッチョ「ボク、もっと働くから! 当分食事減らすから!」

少女「…………!」

少女「──んもう、分かったわよ!」

少女「ったくお人好しなんだから……」

マッチョ「ありがとう、ありがとう、ありがとう……!」

少女(いいわ、あの女が悪者で、アンタの目が節穴だって証明できるなら)

少女(金貨5枚くらいどうってことないわ!)

翌日──

<公園>

マッチョが女に金貨袋を手渡す。

マッチョ「どうぞ、金貨5枚です」ジャラッ

女「!」

女「あ……ありがとう……!」

マッチョ「これで弟さんを助けてあげて下さい……」

女「はい……」グスッ



少女「さ、後をつけるわよ!」

マッチョ「え、でも」

少女「当たり前でしょ!? 金貨5枚も渡してんだから、これぐらい当然よ!」

少女「体でかいのに、甘すぎんのよアンタ!」

マッチョ「う~ん、まぁしょうがないか」

女は盛り場にある、酒場に入っていった。

<酒場>

チンピラ「へっへっへ」

女「…………」

チンピラ「ちゃんと金は持ってきたか?」

女「ここにあるわ」ジャラッ…

チンピラ「俺のいったとおりだったろ? あのデカイのはチョロイって」

女「ええ、チョロイもんだったわ」

チンピラ「へへへ、やっぱり俺様の灰色の脳細胞は冴えてるぜ!」

チンピラ「小娘じゃなく、デカイのをマトにして正解だった」

酒場の外では──

少女(ふん、やっぱりね)

マッチョ「…………」

チンピラ「さ、早く金くれよ」

女「イヤ」

チンピラ「あ?」

女「なんか……こんな大金、ろくに相手を疑いもせずに渡す彼を見てたら」

女「アンタなんかを助けてやるのがバカバカしくなっちゃった」

女「これ、返してくるわ」

チンピラ「んだとォ……!?」

チンピラ「ざけんな、俺の覇道はどうなる!?」

女「知らないわよ、そんなの」

チンピラ「金よこせよォ!」バッ

グイッ!

女から金貨袋を奪い取るチンピラ。

女「きゃっ!」

少女「やめなさいっ!」バッ

マッチョ「ひどいことはやめろ!」バッ

チンピラ「!? て、てめえらは──」

女「あ、あなたたち……!」

少女「ふん、実力で敵わないから、女の人を使うなんてサイテー!」

マッチョ「許せない……!」ムキッ

チンピラ「ぐっ……! つけてやがったのか……!」

チンピラ「だが、この酒場は俺のテリトリーみたいなもんなんだぜ!」パチンッ

チンピラが合図すると、十数名の手下が現れた。

「へっへっへ……」 「やっちゃっていいんすか?」 「多勢に無勢ってね」

チンピラ「やっちまえぇっ!」

少女「あたしのマッチ、今日は無料出血大サービスよ!」サッ

シュパパァッ! グサササッ!

少女の投げたマッチが手下たちの手足に突き刺さる。

「うぎゃあっ!」 「いでえっ!」 「ひいいっ!」

マッチョ「殴るの好きじゃないけど……うわああああっ!」ブンッ

ドゴォンッ!

ラリアット一発で、数人が吹っ飛ぶ。

「ぐえっ!」 「あがぁっ!」 「げぶぁっ!」

女「す、すっごぉ~い……」

チンピラ「く、ぐ、くそ……っ!」

マッチョ「やりすぎちゃったかな……」

少女「さあ残るはアンタだけね」

チンピラ「クソッ……この金は渡さねえぞ! 俺の覇道のために!」ジャラッ

少女「覇道覇道うっさいわねえ」

少女「あら、こんなところにいいお酒があるじゃない。度が高そうなのが」

バシャッ!

チンピラ「!?」

チンピラ「ぺっ、ぺっ! なっ……なにしやがる!」

少女「ねえ、マッチはいかが?」

チンピラ「あ?」

少女「今なら金貨5枚で売ってあげるわ」

チンピラ「なにいってやがる、マッチなんかいらねえよ!」

少女「あ~……アンタがマッチ買ってくれないから、なんかマッチすりたくなってきた」

少女「だれか買ってくれないかな~……」シュッシュッ

チンピラ「!?」ギョッ

チンピラ(今この状態で、火をつけられたら……!)

チンピラ「はぁ~……! はぅぅぅ~っ……!」

少女「分かった? 今あたしはマッチじゃなく、命を売ってんのよ」

チンピラ「はうっ……!」

チンピラ「う、うぐぐ……分かった……金は返す……」

少女「返すだけじゃないでしょ?」

チンピラ「わ、悪かったよ」

少女「マッチ」スッ

チンピラ「もっ……申し訳ございませんでしたぁっ!!!」ガバッ

その後──

女「……ごめんなさいね」

女「私と弟が……とんだ迷惑かけちゃったわ」

少女&マッチョ「弟!?」

女「えぇ、アイツは私の弟よ」

女「病気っていうのも、本当」

マッチョ「え、なんていうご病気なんですか……!?」

女「金欠病」

少女「……マジメに働かなきゃ今度こそ燃やすっていっといて!」

女「アハハ、分かったわ」

女「マッチョ君、また会いましょ。騙したことの埋め合わせをしたいから」ウフン

女「今度はちゃんと……相手したげる」

女「体は大きいけど、まだそういう方面は知らないんでしょ?」

マッチョ「え、あの、あ……!」

少女「絶対ダメ!」

女「あら、どうして? マッチョ君はなんでもやってくれるんでしょ?」

少女「今この時間から、できなくなったのよ!」

女「あ、あとお詫びといってはなんだけど」

少女「ふん、生半可なプレゼントじゃ喜ばないわよ」

女「はい、ケーキ」

少女「わぁ~い、ありがとう!」

マッチョ(あっさり喜んだなぁ)

マッチョ「ありがとうございます」

女「ウチ、実家が米屋なのよ」

<小屋>

少女「──なによこれ! ケーキはケーキでもライスケーキ、お餅じゃない!」

少女「あ~……もう! 今日は戦って疲れたから、ご飯はお餅でいいや」

少女「マッチで火をつけてと」シュッ

少女(──にしても、マッチョってもしかしてあの女の人好きだったのかなぁ)

少女(でなきゃ、金貨5枚も貸そうとかいわないでしょ)

少女(あ~……イライラする)

マッチョ「ただいま」ガチャッ

マッチョ「あ、この匂い……もしかして焼き餅かい?」

少女「な、なにいってんのよ、アンタ!」

少女「なんであたしがアンタにヤキモチ妬かなきゃいけないのよ!」

マッチョ「なにいってんのさ、餅を焼いてるじゃないか」

少女「あ……っ」

マッチョ「……あ!」

マッチョ「もしかして、あっちのヤキモチ?」

マッチョ「だったら心配ないよ。ボクが好きなのは君だけだもの」ナデナデ

少女「…………」カァァ…

少女「んもう、なんなのよ、アンタは~~~~~!」ポカポカッ

マッチョ「な、なんで殴るのさ?」

少女「バカバカバカバカバカ!」ポカポカッ

<町>

少女「マッチはいかがですか~!」

少女「マッチョもいかがですか~!」

マッチョ「いかがですかぁ!」

少女「ふん、アンタ少しは声大きくなったじゃない」

マッチョ「そうかなぁ?」

町民「お、やってるね。じゃあマッチ一箱と、マッチョ君を一時間貸してくれ」

少女&マッチョ「毎度あり~!」



今日もマッチョ売りの少女は、町で元気に暮らしている。



<おわり>

ありがとうございました!

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