男「妹、こいつ誰?」妹「女の子です」(99)

男「それはわかる。紫の髪にツインテール、まさにオレの好みド直球だ」

妹「おまけに可愛いですし」

男「そうだよな。って、そんな話してる場合じゃねーだろ。目が覚めたら俺のベッドで寝てたって、他人から見たら俺が連れてきた感じじゃん」

妹「さすがお兄さん、見知らぬ女の子を連れてくるとは、ものすごくアグレッシブですね。犯罪の臭いがプンプンしますが」

男「ち、ちげーよ!」アセアセ

男「さて、どうしたものかな」

妹「さて、警察に電話でも」

男「落ち着こうか妹。ただでさえ疑われやすい状況なのに、警察まで呼ばれたら社会的に抹消されるのは火を見るより明らかじゃないか」

妹「ありきたりな表現ばかり使うんですね。本当にいつものお兄さんです」

男「これ以外にどのような表現をしろと」

妹「それより」

男「話戻しやがった」

妹「彼女がまだ寝ているうちに、身元確認に使えそうな物品を漁ってみましょう」

妹は少女がつけていたウエストポーチに手を伸ばし、中を拝見していく。

妹「身元を証明できるものは発見できませんでしたが、財布はありました。中に五万円入っています」

男「それがどうした。金は身元確認には使えないぞ」

妹「いえ、ホテル代として頂いておきます」

男「・・・ホテル?」

少女「うん・・・?」

男「あ、気がついたぞ」

少女「うん・・・ここどこよ?」

男「お目覚めか。おはよう。そして初めまして」

少女「おはよう、今日はあんたたちが私の奴隷なのね?」

男「えっちょ話が読めないんですけど」

少女「うるさい」

ドスの効いた声で少女は怒鳴り、スカートの中から拳銃を取り出す。

男「・・・っ! って、モデルガンか」

妹「あ、デザートイーグル50AEだ」

男「・・・ガンオタ乙」

少女「私語は慎む!」

バン、と巨大な砲声が部屋中に響く。男が座っているところのすぐそばの床に小さな穴が開いていた。

妹「うわぁ、本物だ」

男「あばばばばばばばばb」

少女「第一命令、二人で酢昆布買ってきなさい」

二人は銃を持つ少女に脅され、酢昆布を買いに行く途中だった。

男「もう家に帰りたくない」

妹「思考停止はいけませんよ。というわけで、まずは女の子を押さえて拳銃を奪い取り、性奴隷に調教しましょう」

男「お前は違う意味で危険人物じゃねーか」

妹「別にいいじゃないですか。私は純粋に拳銃を奪い取ってコレクションしたい。ついでに、お兄さん専用の性奴隷が手に入る。一石二鳥じゃないですか」

男「いや、別にいらん」

妹「そうですか。では、あくまで女の子は捕まえて素っ裸にして監禁するか、洗脳してメイドにしましょう」

男「なぜお前は危ない方向に行くんだよ。普通に追い出せよ」

妹「わかってませんね、物語はキバツな方がウケがいいんです」

男「お前は売れっ子脚本家かよ」

妹「とにかく、彼女を制圧するしか家を奪還する方法は無いってことですよ。それとも、いっそのこと家を捨てて夜逃げしましょうか」

男「わかった、とりあえず考えてみるから家では無しな」

男「酢昆布を買ってきたのはいい。とりあえず、お前は何でここにいるんだ」

少女「何でって、ここはあたしが今日一日暮らす寝床よ。あんたたちがいる方がおかしいのよ」

男「それは理不尽だ。ここの住人は今のところ俺と妹、たまに帰ってくる母さんだけであって、たとえ一日でも泊めるには許可がいる」

少女「うるさいわね、あたしがここに決めたんだから、文句言わずに働いてよ」

妹「うん、わかった」

男「!?」

男「お前、何考えてんだよ」ヒソヒソ

妹「いいじゃんいいじゃん。ここは従ったフリをして、ゆっくり性奴隷に調教するチャンスを待とうよ」ヒソヒソ

男「取ってつけたような変態だな、お前って」ヒソヒソ

妹「そうですか?私は純粋に実銃と、一緒にイチャイチャできる性奴隷が欲しいだけです」ヒソヒソ

男「お前は銃と性には正直だな」ヒソヒソ

妹「えっへん」

少女「ちょっと、何であんたが偉そうにふんぞり返ってるのよ」

妹「ちょっと、アナタにお願いしたいことがあるんです」

少女「奴隷のくせに、あたしに指図するわけ?」

妹「単に願望を聞き入れてほしいというだけです」

男(妹の右手に手錠が・・・そういえば、親父が趣味で作ってたな)

少女「・・・わかったわ。話だけでも聞きましょう。何?」

妹「そうですね、お兄さんを本物の奴隷にしてください。一日経っても彼は奴隷のままです」

男「はァ?何言ってやがる!」

妹「あの後、少し考えました。お兄さんの部屋を占領してしまえば、更にモデルガンやボトルシップが置けるのではないかと。そうなれば、私はこれほど嬉しいことはありません」

男「あくまで兄<モデルガンなのね」

少女「それはいいわね。ねぐらを変える度に奴隷と喧嘩なんてやってられないし」

妹「それといっては何ですが、少し条件を提示しましょう」

男(さっきは願望とか何とか言ってたのに、条件を提示するのか。・・・そうか、あれは話を聞いてもらうための方便か。そして、こっちのいい方に話を持っていけば!)

少女「いいわ」

妹「アナタの所持品を全て拝見させてください。よければ、あなたの身につけている武器なども、全て」

少女「何で?」

妹「今日一日、あなたの宿泊生活をサポートするためです。銃弾をお望みなら補給しますし、その他にメンテナンスが必要な物があれば、最大限努力して手入れします」

少女「なかなかいいこと言うじゃない。そこまでしてくれるなら文句は言わないわ。ほら、これ」

少女はウエストポーチを妹に投げる。それをキャッチした妹は、中身を全てテーブルに出した。

男(さっきのも合わせて拳銃が二挺と携帯食料、水が四日分、後は太いミリタリーナイフ程度か。着替えはどうしてんだ?)

妹「色々ありますね。では、部屋に置いておきます」スタスタ

少女「ありがと。じゃ、次はあんたね」

男「お、オレ?」

少女「他に誰がいるってのよ」

男「誰もいないな」

少女「あたしはコントしてんじゃないわよ」

男「それはさておき、オレは何をすればいいんだ?」

少女「あたしの身の回りの世話よ。とりあえず、今は朝食が食べたいわね」

男「わかった。何か作る」

男(ここは従ったフリだな。妹の奴も何か考えているだろうし、自分一人で動くのは危ない)

それから三十分後、台所から卵を焼く香ばしい香りが漂ってくる。妹も少女がいる居間に下りる。

男「できたぞ」

少女「目玉焼きね。なかなかじゃない」

男「家事全般はオレの担当だ」

少女「じゃ、食べましょ」

妹「そうですね」

三人「いただきまーす!」

少女「あら、すごく美味しいじゃないの!」

妹「自慢のお兄さんです」

男(その自慢の兄貴を売ったんだぞ、お前)

少女「さすが、あたしの一生の奴隷に相応しい男ね。気に入ったわ!」

男「そりゃどーも」

妹「さて、ちょっとお兄さんに用があるので、少し退室してよろしいでしょうか」

少女「いいわよ」

妹「では、しばしの間失礼します」

男と妹は妹の部屋に入り、鍵を閉める。

妹「さて、色々と報告したいことがあります」

男「あれ以外にも何か見つかったか?」

妹「はい。ポーチの底にデザートイーグル用の銃弾が一発、同じく脇にカミソリの刃がありました」

男「それだけか?」

妹「それだけです。財布は前述の通りありましたが、着替えや野宿用の寝袋、医薬品等、女性なので生理用品なども見つかると踏んでいましたが、それらは発見できませんでした」

男「まさか、外泊先で手に入ると思ってるのか?」

妹「そうだとしたら笑止千万ですが、さすがにそれはあり得ませんよ。考えられることは、一つしかありません」

男「何だよ?」

妹「他にも、荷物はあります。ウエストポーチの数倍ほどの大きさの、例えばミリタリーバッグやボストンバッグなどの大型バッグです」

男「間違いないのか?」

妹「ええ、本命の食料なども詰め込まれているはずです。ちなみに、本命の武器は彼女が肌身離さず身につけていると見て間違いはありません。銃を二挺とも調べたところ、銃弾は入っていませんでした」

男「それって・・・」

妹「私たちの動きを警戒しているんです。いえ、彼女の言動からして、今までずっと、本物の荷物をどこかに隠して、出て行く時に着替えなどを済ませるのでしょう」

妹「だから、誰かの家に押しかけるのは一日が限度、といったところです。女はデリケートな生き物ですからね」

男「何でお前が知ってんだよ」

妹「私も女ですよ、アナタ完全に忘れてましたね」

男「~♪」

妹(もういいや、後で女の子と一緒に調教しちゃお)

男「それはさておき、一つ確認することを忘れていた」

妹「何ですか?」

男「処女かな」

妹「そうだったら私が貰います」

男「断じてならん」ズイ

妹「そうですか・・・ひとまず、彼女は何者かということは傍に置いておきましょう。問題は、あのような可愛らしい女の子をいかにして性奴隷にするかということです」

男(妹って流されやすいタイプだな)

妹「さて、まずは彼女の荷物を探し出す必要があります。巨大な物なのですぐに見つかるとは思いますが、私が想定している場所の通りだとすると、かなり厄介です」

男「何で?」

妹「私だったら、居間のソファの裏に隠します。あそこは埃がたまっている上、ミリタリーバッグを置くにはちょうどいいスペースだからです。おまけに、常時目に届く範囲ですし」

男「それもそうか・・・じゃ、妹は別のところを探してくれ。俺が居間を当たる」

妹「お任せください」

二人は互いに頷き合い、部屋を出た。妹は二階の全ての部屋をチェックしに、男は居間に向かった。

しかし、居間には誰もいない。それを確認した男は、妹が指定した場所を見る。

男「・・・!(やっぱりあった。デカいミリタリーバッグだ)

男(どこに隠せばいいか・・・そうだ、台所か洗面所を当たってみるか)

男は巨大なミリタリーバッグを隠せる場所、キッチンに向かった。少女は料理を男に任せるつもりなので、近づくことはあるまい。洗面所の洗濯機の中も調べられそうにない場所だ。

しかし、生憎シンクの中はギリギリ入らない程度の大きさしかなかった。排水管が邪魔なのだ。

男「洗面台に置いてある洗濯機なら丁度入りそうだ。まさか、自分の荷物が洗濯機の中にあるなんて思わないだろ」ガチャ

少女「」

男「あ」

洗面所の扉を開けると、着替えをしている最中の少女がいた。風呂に入っていたのだろう。

少女「・・・この変態っっ!!!」ブン!

男「あがっ!?」

男(ああ、この女の子は正常だ。妹のように見られても平気な顔するような奴じゃない)

少女「一生の奴隷だからって他人の裸見てんじゃないわよ!」

男「風呂、入ってたのかよ・・・」

少女「悪い?」

男「オレん家の風呂・・・」

理不尽=道理に合ってない、ってことだから理不尽は通じるぞ

少女「ったく、あんたデリカシーって言葉知ってる?」

男「悪かったよ・・・お前も風呂に入る時くらい何か言えよ」

少女「わかったわよ」

男(なんだかんだ言って、他人の家に押しかけてくること以外は普通の女の子なんだな)

少女「そんなにジロジロ見て、まだ何かあるわけ?」

男「もう無いさ。とにかく、他に何かあるなら言えよ」

少女「そうね、ちょっと出かけましょ」

男「どこに?」

少女「あんたと二人で話せる場所。これから一緒に行動するんだし、ちょっと言っておきたいことがあるの」

男「・・・わかったよ」

男(はぁ、こいつ何考えてるのか全くわからん)

男(まさか、近くの児童公園だとは思わなかった。確かに人はいないけどさ)

少女「ここでいいわね」

男「ああ。ところで、話って何だよ」

少女「何から話せばいいかしら。そうね・・・まずは、一日ごとに他人の家に押しかける理由ね」

男「・・・」

少女「色々あったわ。警察を呼ばれそうになったこともあったし、殺されそうになったこともあった」

少女「でも、あたしはこの生活を続けないといけないの」

男「何で?」

少女「理由はとっても簡単。より多くの人間の血液サンプルを採取するためよ」

男「血液・・・!?」

少女「DNAを回収できればそれでいいけど、血液の方が色々と便利なのよ」

男「何でまた、そんなことしてんだ」

少女「生物本来の力を取り戻すため、といったらわかるかしら」

男「全くわからん。理解できない」

少女「そうよね。色々問題が出てくるし」

少女「でも、これは重要なことなの。子供に特殊能力をつけて、傭兵として戦わせるの」

男「ますますわからん。特殊能力って、魔法の類か?」

少女「違うわ。生物本来が持ってる力を人間に発現させるの。例えば、北の方角を探知できたり、回復力が異常に高かったり、水の中を透視したり、ね」

男「お前、妹以上に危ない奴だな。悪いことは言わん、とっとと普通の生活に戻れ」

少女「嫌よ」

少女「これは、あたしの人生と引き換えにした計画なの」

男「何バカなことやってんだ、お前本当に大丈夫か?」

少女「あたしは正常よ!」バッ

男「急に怒鳴るなよ」

少女「悪かったわよ。でも、絶対に成功させないといけないの。アメリカ軍が計画の成功を心から望んでいることなのよ」

男「アメリカ軍まで関わってるってのか。もうオレには対処できねえ」

少女「何とでも言えばいいわ。あんたが信用しないっていうならね」

男「アニメのようなアホらしい設定を鵜呑みにする奴がいるか?」

少女「いないわね。でも、あたしの力は本物。それは認めてちょうだい」

男「力、あるのか?」

少女「ええ、見せてあげましょうか」

少女「そうねぇ・・・あんた、ここに妹さん呼べる?」

男「呼べるけど、どうせ呼ぶんだったらここに来る必要なかったよな?」

少女「彼女に何も知らせないように、あえて外に出ることを選んだのよ」

男「無駄じゃねえか」ピポパ

男「ああ、妹か。今すぐ公園に来てくれ」

妹『ええ、了解しました』

男「すぐ来る。ちょっと待ってろ」

~~~~~~~~~~~~~~

少女「さて、妹ちゃん。あたしの前に立って」

妹「こうですか?」

少女「そうそう。それで、目を瞑って」

妹「は、はい・・・///」

男(妹の奴、何で顔赤くしてんだ)

少女「可愛いおでこしてるわね」チョン

妹「あぅ・・・///」

少女「あんた、あたしのミリタリーバッグの中身、全部ひっくり返したわね?」

妹「えっ、何でわかったんですか?」

少女「ちょっとした超能力よ。あんたの態度から色々なことを読み取るの」

妹「そんなことができるなんて・・・すごいです」

少女「おまけに、妹ちゃんがあたしにヤらしいことしようとしてることもお見通し」

男「・・・」

妹「バレちゃいましたか。顔に出ちゃうからでしょうか」

少女「そうね。次から気をつけなさい」

妹「じゃ、私は先に戻ってますね」

男「わかった」


男「説明してもらおうか」

少女「言ったでしょ?超能力みたいなものだって。他人のおでこに触れただけで、相手が何を考えているのか分かる。あたしに与えられた『能力』のカタチ」

男「頭痛くなってきた。もう帰りたい」

少女「そう?超能力なんて世界のどこでもあるわよ」

男「ほとんどトリックがあるもんだけどな」

少女「ま、あたしの力は本物だけどね。それの類を探す、または覚醒の可能性がある個体を見つけるのがあたしの仕事ってわけ」

男「わけのわからん話に片足突っ込んだらしいな」

少女「そうらしいわね。ま、考えても詮無いことだし、これから仲良くやっていきましょ」

男「あ、ああ・・・」

男(はぁ、結局何が何だかわからん。血液サンプルどうこうで特殊能力が何だって?)

男(妹の奴、今何してるのかな)


妹「あ、お帰りなさい」

男「ただいいま」

妹「・・・」

男「・・・」

少女「水臭いわね。どうしたの?」

男「だってさ、あんな話聞かされたらわけもわからなくなるし」

少女「あまりにも突飛すぎたかしら。悪かったわね」

男「別にいい。それより、今日は疲れた。寝る」スタスタ

妹「おやすみなさい」

少女「さて、男はいなくなったわね」

妹「お兄さん、かなり疲れてましたよ。ひょっとして、あのミリタリーバッグの中身のせいですか」

少女「そうよ」

妹「怪しげなノートに人の名前がビッシリ並んでましたよ。バツ印までつけてあるなんて、まるで『処理』した人たちを数えているみたいです」

少女「さすがに物騒なことはしないわよ」

妹「そうですか。しかし、穏やかなことではありませんね」ピッ

少女「ぐッ!?」ギュッ

妹「もう、お兄さんに変なことを吹きこまないでください。あの人は、最後まで『能力』のことを知らずに人生を全うしてもらいます」

少女「あなたも、能力者・・・」

妹「そうですよ。周囲の空気を自在に操る能力です。使いようによっては、陸自の機甲師団でも数分で制圧できます」

少女「そん、な・・・」

妹「あーあ、気絶しちゃいましたね」

男(ったく、何だッてんだよ!)

男(変な女が押しかけてきてヘンなこと話し出すし、妹はさらに暴走してるときた)

男(何がどうなってんだ?)

コンコン

男「誰だ」

妹「私です。お邪魔していいですか?」

男「入れ」

妹「では、失礼します」ガチャ

男「さっき、何してたんだ?」

妹「ちょっと、少女さんが寝たようなので、毛布をかけてきたところです」

男「そうか。ありがとう」

妹「ええ。それより、ちょっとお話があるのですが」

妹「本当について行くつもりですか?」

男「誰が行くかよ。確かにあいつは何らかの読心術で人の心を読めるらしい。ただし、それが能力とやらの証明にはならないってこと」

妹「それでよかったです。お兄さんはまだ結婚できませんし」

男「一体お前は何を言っているんだ」

妹「別に。では、今日であの人が出て行くので、普通の生活に戻れますね」

男「そうだといいな。後であいつがグダグダ言ってくることもあるだろうが、それは無視すればいいし」

妹「それでいいです。何より、普通の生活が一番ですから」

男「お前は自らヘンなことしでかすだろうが」

それから時間が過ぎて夕方になった。しかし、少女はまだ目を覚まさなかった。

男「ただの昼寝なのに、昼飯も食わずに夕方まで寝るなんてな。昨日は全然寝てなかったのか?」

妹「さあ。でも、そろそろ起きる頃合いだとは思いますけど」

男「そうか。じゃ、俺は夕飯の準備するから、起きたらよろしく」

妹「はーい」

~~数分後~~

少女「こ、ここは・・・」

妹「気づきましたか?」

少女「あんた、何した・・・」グッ

妹「黙ってください」

少女「はぁ、はぁ・・・わかったわよ」

妹「詳しく聞きましょうか、あなたの計画とやらを」

少女「協力してもらえなさそうだけど、いいわ」

少女「あたしは、ママのお腹にいる時から『能力』の存在がわかってたの」

少女「だから、あたしは周りから隔離された。ある計画の部品に使われるために」

妹「その計画にアメリカ軍が絡んでいるってわけですね」

少女「そう。『能力』を組み合わせれば、強力なレーダーや兵器が作れるって」

少女「だから、それを捜すためにあたしの能力が使われることになったの。記憶感知の能力を使えば、たとえ相手が嘘をついても『能力』の存在がわかるから」

妹「そういうことですか。よく考えたものです」

少女「今度はこっちから質問いい?」

妹「いいですよ」

少女「まず、あんたに記憶感知を使っても、能力の存在を見抜けなかった。何で?」

妹「ちょっとした自己暗示をかけておきました。私はこれから辱めを受けるのだ、と。そう考えれば大抵の考えは紛れます。消せたのは能力の記憶だけでしたが」

少女「なるほどね。あんたってホント、油断ならないわ」

妹「いやぁ、それほどでも」テレテレ

少女「あんたの兄貴がやたらとスルーしてくる理由がわかる気がする」

男「さて、夕飯もできたし、あいつらを呼びに行くか」

男「おーい、飯できたぞー」

妹『今行きまーす』トテトテ

男「あれ、少女は?」

妹「荷物の整理をするらしいです」

男「そうか。じゃ、ちょっとだけ待ってやるか」

妹「そうですね」

男「あいつ、妙な奴だったな」

妹「全く、そうですよね」

少女「あの妹っていう女の子、只者じゃないわね」

少女「あんなのがまだ小学生だなんて、本ッ当にあり得ない。可愛げの欠片もないじゃない」

少女「でも、あの子の力があれば、色んな国を相手に戦える・・・」

少女「はぁ、どうすればいいのかしら」

少女「・・・」

少女「お腹、空いたな」

少女「ママ、やっぱり寂しいよ」

男「あいつ、遅いな」

妹「もう5日ほど待っていますよ」

男「リアルな時間で計算するな。オレらからしたら三十分しか経ってないぞ」

妹「それもそうですね」

男「それはさておき、あいつを呼びに行くから箸を準備してくれ」

妹「わかりました。お兄さんの水に面白いものを入れておきます」

男「堂々と毒を盛ることを公言する妹は信用できないとここに言っておこう」

妹「かれこれ11年の仲じゃないですか。少しは私のことを信用してください」

男「今までオレの信用を率先して砕いてきた女の言葉とは思えないな。とりあえず、行ってくる」

男「いるかー?」コンコン

男(反応が無いな。どうしたんだ?)

男「入るぞー」ガチャ

男「電気くらいつけろよ・・・おい、どうした!?」

男は部屋の中央で膝を抱えながら倒れる少女に駆け寄った。

少女「ん・・・」スヤスヤ

男「何だ、寝てるだけか。おい、起きろ」ユサユサ

少女「んぅ・・・何よ」

男「飯」

少女「単語一つで全てを理解できると思ったら大間違いだってことは知っておいた方がいいわよ」

少女「全く、女の子が寝てる部屋に無断で入ってくるなんて、デリカシーの無さは一級品ね」

男「確かにここは妹の部屋だが、生憎オレはいつ如何なる時でも入っていいと妹に言われているものでね」

少女「あんたの頭をひっくり返したら、多分「性別」って言葉は見当たらないわね」

男「いやいや、オレは常時女に飢えているのだよ少女君」

少女「・・・」カチャ

男「さも当然という風な顔をしてデザートイーグルを向けるのはおやめになってください女王陛下」

少女「よろしい。朕は腹が減っておる、早う飯の支度をせよ」

男「できたから呼びに来たって言ってんだよ理解しやがれこのメス豚」

妹「・・・と、そんなことを言ったせいでお兄さんの顔がジャガイモ仕様になったのですか」

男「うん」

少女「全く、失礼しちゃうわ」

妹「よかったです、お兄さんは本来の目的をまだお忘れになっていたなかったようで」

男「誰かこの妹貰ってくれ」

少女「もう、そんな話よりご飯にしましょ。冷めちゃうわ」

男「うっせえ、わかってらぁ」

少女「ぁあ?」ギュゥゥ

男「ごめんなさいごめんなさい謝るから耳は引っ張らないで」

三人「いっただきまーす」

男「しっかし、三人で夕飯を食べるなんて、いつ以来だろうな」

妹「2週間ぶりなのです」

男「そうか、母さんがアメリカに単身赴任してからか」

妹「そうです」

男「ところで、母さんってどんな仕事してんだろうな」

妹「・・・さ、さあ。私は聞いたことが無いのでわからないです」アセアセ

少女「あんた、親の仕事も知らないわけ?」

男「なぜか母さんは全然教えてくれないんだよ」

少女「ふーん、そう」

妹「テレビつけますね」ピッ

女子アナ『アメリカ政府がシリアに侵攻した理由としては・・・』

妹「・・・」ブチッ

男「あ、テレビ消すなよ」

妹「戦争の話は嫌いです。それより、ゲームしませんか?」

男「食事中だ。行儀が悪いぞ」

妹「そ、そうですけど」

男「じゃ、食事続行だな」

少女「・・・」

男「どうした少女?顔色悪いぞ」

少女「何でもないわよ」

食事終了後、風呂場

少女「妹ちゃん」

妹「はい」

少女「ちょっと話、いいかしら」

妹「はい」

少女「『能力』は、遺伝するものなの」

少女「一度発現した『能力』は、遺伝子に刻まれて子の代に受け継がれるわ」

少女「けど、それがどんな能力なのかなんてわからない。現に、私のママは声で人を失神させる能力を持っていたわ」

妹「早く本題に入ってください」

少女「あ、そうね。本題だけど・・・あんたのママも能力者なのよね」

妹「・・・」

少女「露骨すぎるのよ。あたしを騙した時とは大違い。米軍の話が出た途端、ニュースを切るなんて」

少女「あたしと似たような境遇にあるとしか思えないじゃない。あたしも、あんたの立場にいたらそうするわ」

妹「・・・本当に、お兄さんの前だとうまく行かないですね」

妹「そうです。私のお母さんは『電子操作能力』を持っています。電気を自由に操れるんです」

少女「戦闘向きの能力ね」

妹「元々、お母さんは自衛隊に所属していました。能力は子供の時から発現していて、周りにかなり迷惑をかけたそうです」

妹「大人になって、私が生まれる五年前に米軍からスカウトされたそうです。お兄さんや私も、元々はアメリカ生まれでした」

妹「お兄さんに『能力』の発現は見られませんでしたが、私は昼間見せたように、空気操作能力を持っています」

妹「しかし、お母さんは私やお兄さんに『能力』と関わってほしくないと考えていました。しかし、私はこの通り能力者です。だから、せめてお兄さんだけでも『能力』とは無縁でいてもらいたい」

妹「私は、そんなお母さんの願いを叶えたいだけです。そして、お兄さんも大事です。だから、能力のことは私とお母さんの間ではタブーとなっていたのです」

妹「それなのに、あなたは・・・」

少女「・・・世の中には、知らない方が幸せっていうこともあるわね」

妹「そうです。お兄さんにとっての『知らない方が幸せなこと』とは、他でもない『能力』のことです」

少女「ま、一般人から見ればそうかもしれないわね。でも、いつまで隠し通せるかしら?ひょんなことで秘密はバレるものよ」

妹「・・・それが怖いんです」

少女「怖がってもしょうがないじゃない。何をしても、運命には逆らえないのよ」

妹「運命・・・ですか」

少女「そう。運命の神様はイタズラ好きでね、フラグもなしに人を殺したり、死亡フラグが出てるひとを人生の勝ち組にしたり、色々なことをするの」

少女「あたしは運命の神様にイジめられてるけどね」

妹「そんな・・・運命なんて」

少女「何も、そんなに落ち込むことないじゃない。運命は自分で決めることもできるのよ」

少女「男に『能力』のことが知れるのは仕方ないけど、それをどう使っていくかによっては、今より幸せに暮らせるんじゃない?」

妹「『能力』を使って、ですか?」

少女「そうよ」

少女「あんた、男が好きなんでしょ?だったら、その『能力』を使って彼を幸せにしてみたらどう?」

少女「あんたに与えられた『能力』は、決して邪魔な存在じゃないわ。これも、誰かを幸せにするためのツールなのよ」

妹「・・・少女さん」

少女「何?」

妹「そこまで考えたこと、ありませんでした。やっぱり、少女さんは凄いです」ギュッ

少女「ふふっ、あたしもちょっとはやるでsy」

妹「ま、ココは全然ですけどね」モミモミ

少女「全部台無しじゃない!やめなさいよ変態!」バシッ

妹「あうぅ・・・頭が痛いです」

男「どうだった?」

妹「Aカップでした」

少女「こらっ!」バシッ

妹「うう・・・いい湯加減でした」

男「それはよかった。俺はひんぬー派なんだ」

少女「カエルの兄はカエルなのね・・・」

男「欲望のままに生きろ、ってのがウチの信条だからな」

少女「あたしも欲望のままにあんたたちをぶん殴っていいかしら」

男「ご遠慮いただくぜ」

少女「あっそ。さすがにM属性までは備えてなかったみたいね」

男「どっちかといえばSだけどな」

少女「わけがわからないよ」

男「ところで、これからどうするんだ?」

少女「そっか、もう1日過ぎたのね」

男「そうだ。オレと妹は一般人だから何もなかった。だから、お前がここにいる理由は無いはずだ」

少女「ここにいる理由・・・ね」チラッ

妹「・・・」

少女「やっぱり、この家が気に入っちゃった。だから、ここに住ませて」

男「・・・えっ?」

少女「ここに住ませろって言ってるのよ。わかる?」

妹「・・・」

男「やっぱり居座る気だったんだな」

少女「最初に来た時はもちろん一日だけのつもりだったわ。でも、ここは居心地がいいから」

男「居心地ねぇ・・・確かに大人がいないってところは自由だけどよ」

少女「それだけじゃないわ。あんたたち、面白いのよ」

男「面白い?」

少女「そ。退屈しないっていうか、そういう感じ」チラッ

妹「・・・」

男「そう、か・・・わかった。もう1日だけ泊めてやる。だが、それ以上はダメだからな」

少女「いじわる」

男「元々お前が押しかけてきたんだろうが。文句言うな」

男の部屋

男「何でお前がいるんだよ」

少女「あんたの部屋で寝たいからよ」

男「応接室に布団敷いただろ。そっちで寝ろよ」

少女「風呂場で妹ちゃんの考えを探ってみたら、物凄くえっちな考えが無数に浮かんでたからやだ。絶対襲われるわよ」

男「女と寝るのが嫌で男と寝る女の図、か・・・」

少女「さーて、デザートイーグルの弾は何発あったかしらねー」ガサガサ

男「ベッドをお貸ししましょう、女王陛下」

少女「それでよい」

男「なぁ少女」

少女「何?」

男「何でお前がオレの布団に入ってきてんだよ」

少女「あんたの思考をリアルタイムで読み取るためよ。だから、考えなくても心の中で思うだけであたしと会話できるわ」

男(よからぬことを読まれそうで怖い)

少女「よからぬことって何よ?」

男(考えてみようか?映像も読み取れるか?)

少女「遠慮。っていうか、既に見えてるわよ///」

男「それはそれは。じゃ、脱げ」

少女「」バキッドカッベキッ

男「」

少女「全くもう。次ヘンなこと考えたら殺すわよ」

男(その考えを誘発させたのは自分だってのがわかってないんだな、こいつは)

少女「聞こえてるわよ」

男「」

少女「そうね、男ってのはそんな生き物なんだから」

男(すっげーバカにされたよな、今)

少女「事実を述べただけよ。じゃ、また明日」

男「ああ、おやすみ」

チチチ・・・

男「・・・」


男(ここは、氷山・・・?)

男(何だよ、一体どうなってやがんだ・・・)

男(おーい!誰かー・・・)

男「・・・!?」ガバッ

男「あれ、ここ廊下じゃん。通りで寒いわけだ」

男「廊下?昨日はオレの部屋で寝たはずじゃ・・・」

男「ったく、何だよ・・・って、あれ?」ガチャガチャ

男「オレの部屋、中からロックされてやんの」

妹「ふぁ・・・」

妹「あぁ、今日もいい天気!」

男「そうだな」

妹「お、お兄さん!?あぁ、とうとうお兄さんは私の気持ちに気づいてくれたんですね!」

男「何の話かは知らんが、重大事件発生だ」

妹「どうしたんですか?」

男「オレの部屋が占拠された」

妹「・・・そうですか。想定の範囲内ですけどね」

男「昨日のオレの気持ちを返せチクショウ」

少女「ふあぁぁ・・・よく寝たわ」

少女「全く、あいつはやっぱり追い出すのが正解だったわね。胸を何も考えずにペタペタ触ってくるなんて、明らかな変態じゃない!」

少女「さて、今日はどうしましょうかねぇ」ガチャ

男「おはよう」

少女「おはよ。昨日はよく眠れた?」

男「朝方に氷山の上で寝てる夢を見たよ」

少女「それは災難だったわね。お疲れさん」

男(こんな奴、妹の部屋に投げ込んでやればよかった)

少女「さーて、今日は何しようかしら」

男「出て行けよ」

少女「もう一晩泊めてくれるって約束したじゃない。別にいいでしょ?」

男「ったく・・・」ブツブツ

少女「何か言った?」

男「何も」

少女「じゃ、早く準備してね。今日は卵焼きがいいわ」

男「オレは専業主夫か。それより、妹を起こして来い」

少女「ええ。降りる頃には準備しててね?」

男(できるかよ。さて、妹は既に罠を張っている。今日は奴に恥をかかせてやるぜ)

妹(さて、お兄さんの命令通り少女さんをキャプチャしてprprしましょう。早く来てください少女さん)

少女「あーお腹空いた。早く何か食べたいわ」

妹(カモがネギしょってやってきましたね。ドアを開ければ、目の前にグローブをはめた私がいるのです)

少女「妹ー?」ガチャ

妹「隙あr・・・」バン!

少女「やっぱりね。何かあるって思ってたら本当にあるなんて」

妹「あ・・・あ・・・(部屋の中で所構わず銃をぶっ放すなんて、この人は本当に危険人物ですね・・・)

少女「変態妹、朝食の支度ができたわよ」

妹「あ、はい・・・」ブルブル

少女「全くもう、イリオモテヤマネコの子はイリオモテヤマネコね」

男「イモトア●コに見えたから長い動物の名前を使うのはやめてくれ」

少女「ニューギニアヒメテングフルーツコウモリの子はニューギニアヒメテングフルーツコウモリね」

男「もう何が何だかわからん」

妹「ニューギニアヒメテングフルーツコウモリ。小さめのコウモリで、天狗のような長い鼻と果物を食べるという特徴から、この名がついたと言われています」

男「お前も博識だな」

妹「ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲より短いので覚えやすいですよ」

少女「よく覚えていられるわね・・・」

男「それより、飯できたぞー」

少女「ぃよっ!待ってましたっ!」

男「そう言ってくれると嬉しいよ」

妹「卵焼きですか。最近は見ませんでしたね」

男「少女からのリクエストだ。ちょうど卵が余ってたから使った」

妹「いいと思います。では、いただきます」パク

少女「ん、おいしーじゃない!」

男「有難きお言葉に存じます」

少女「朕は腹が減っておる、もっと持ってまいれ」

男「ははー」

妹(こんな普通の日常が続いてくれれば、本当に嬉しいんですけどね・・・)

少女「ちん、ちん・・・?」

男「・・・・・・・・」

妹「一皮むけましたね。ちょっと恥ずかしがってるのがアレですけど」

少女「ちょっと、それどういう意味よ?」

妹「何でもありません。それより、今日は何して遊びましょうか」

男「最近は何もすることがないからなー。ここ最近つまんないんだよ」

少女「友達と遊んだりとかしないの?」

男「友達?」チラッ

少女「な、何よその目」

男「この辺に人なんて住んでないぞ。気がつかなかったか?」

少女「・・・え?」

男「何でだろうな。この辺は誰も住んでないんだ」

少女「で、でも、店も家もあるじゃない」

妹「全部ニセモノです」

少女「そ、そんな・・・何よこれ、わけわかんないわよ!」

男「それが真実だ。なぜか、この辺りは人が住んでない。完全にゴーストタウンなんだよ。店は機械に注文すれば出てくるし、あまり不便じゃないけどな」

少女「不便じゃないって、何で?毎日毎日、妹ちゃんと二人きりなのよ?寂しくないの?」

妹「寂しくないです。私はお兄さんが大好きですから」

男「妹に同じく」

少女「そう・・・妹ちゃん、ちょっと話があるの。男はここで待ってて」

男「また一人かよ。まぁいいけど」

妹の部屋

妹「それで、話というのは」

少女「あんたたち、一体何でこんなところに二人っきりでいるの?」

妹「色々な理由があります。それもお兄さんにはお話していません」

少女「まさか、あたしたちはもう死んでる、だなんて言わないわよね?」

妹「さすがにそれはないですよ。本当にそうだったら、ここにはもっと人がいます。私たちは間違いなく生きてますよ」

少女「そう・・・ちょっと安心したわ」

妹「さて、何から話をすればいいですか」

少女「何でもいいわ。とにかく、わかりやすく詳細に」

妹「わかりました」

妹「まず、あなたはどうやってこの街に入ったか覚えていますか?」

少女「・・・そういえば、全然覚えてないわ」

妹「ええ、そのはずです。この街には限られた人しか入ることを許されていません」

少女「その限られた人って?」

妹「能力を持った人です」

少女「何で?もしかして、政府関係の施設だったりするわけ?」

妹「ご名答。でも、少し違います。ここは民間の施設です」

少女「民間の何よ?」

妹「私立大学が保有しているんです。地図には載っていない、秘密の場所ですよ」

少女「私立大学?何でそんなのが街なんて持ってるわけ?」

妹「もちろん、『能力』の研究です。大学の人たちはお兄さんに能力を持ってほしいみたいですけど、私が全力で邪魔しているんです」

少女「こんなところに放り込まれるまで能力に関わってるなら、男に言ってもいいじゃない。何で無理に隠そうとするの?」

妹「何度言えばわかるんですか。私は、お兄さんに『能力』のことは関わってほしくないと思っています」

少女「頑固ねぇ。ま、あんたがそうしたいって言うなら、それもありかもね」

妹「そうします。絶対に能力のことは関わらせません。ここにはずっといたいですけど」

少女「何で?ここにいても寂しいだけじゃない」

妹「お兄さんと二人っきりじゃないですか。いつでも襲い放題です」

少女「あんたにその手の質問をするあたしが馬鹿に思えてきた」

男「よし、今日は何しようか。妹、何かアイデアを出せ」

妹「少女さんを縛って・・・」

少女「却下。どうせなら妹ちゃんを縛りましょ」

男「それも却下だ。仕方ない、映画でも見に行くか」

妹「いいですね」ニヤニヤ

少女「妹ちゃんの顔がエサを前にした犬みたいになってるけど、気にしなくていいわよね」

妹「何も考えてませんよ。間違っても映画館中に催眠ガスを満たそうだなんて微塵も考えてませんから!」

少女「能力を使わなくても考えが鮮明に読み取れるわよ」

男「放っておけ。どうせ何もできやしないさ」

『オレは金持ちのリア充を破壊し尽くすだけだぁ・・・!』

『もうダメだぁ、おしまいだぁ・・・(絶望)』

『ふおぉ!?』キィィン ドーン

妹「さすがにゴンドラボウズは見飽きましたね」

男「5回目だからな、仕方ないだろ」

少女「・・・(お願い、誰か突っ込んで)」

妹「では、次は『コマンドーナツ』を見ましょう」

男「よし、見よう」

『何が始まるんです?』

少女「・・・(それはあたしが聞きたいわよ。こんなところに連れてきて、古い映画を見させるなんて」

『オレは金持ちのリア充を破壊し尽くすだけだぁ・・・!』

少女「何で重ね録りしてんのよ!」

妹「ちょっと、手伝ってもらえますか?」

少女「いも・・・」ガバッ

妹「喋らないでください。お兄さんに面白いことをするので、ついて来てください」

少女「い、いいけど・・・」


少女「映写室じゃない。結構埃かぶってるわね」

妹「ちょっと古い映画館ですから」

少女「ところで、面白いことって何よ?」

妹「では、そこのヒモを引っ張ってください」

妹は天井から垂れているヒモを指差した。少女は少し疑いながらも、それを引っ張ってみる。

男「ぶふぉ!?」バサァァ

天井が開き、男の頭に大量の小麦粉が降ってきた。妹曰く、「罰ゲームのようで罰ゲームでない、要するに単なるイタズラです」とのことだ。

少女「うわ、悪趣味ね」

妹「この街にいると色々と暇なので、かなりトラップとか仕掛けてあるんですよ。気づきませんでした?」

少女「・・・・・・・」

男「くそっ、やられた!」バタン

妹「あ、お兄さん」

男「次はさせんぞ・・・!」ゴゴゴゴ

少女「楽しそうで何よりだけど、シアターもあんたも粉だらけよ」

数時間後、男の部屋

少女「本当に誰もいないのね」

男「ああ。本当に哀れだぜ」

少女「哀れってほどでもないんじゃない?妹ちゃんもいるし」

男「確かに妹はいるけどさ、他にもヘンな連中も一杯いるんだよ」

少女「ヘンな連中?」

男「この近辺に出入りしている連中のことさ。どっかの大学で何かを研究しているんだと」

少女「へぇ、そうなの。(男も知ってるじゃない・・・)」

男「それに加えて、妹や母さんも何かを隠してるときた。本当に歯がゆいんだよ。何か知ってたら教えてくれないか?」

少女(男も異変に気づいてるのね。でも、それが何なのか分からなくて、参ってきてるってところかしら)

少女「そうね・・・ごめんなさい、あたしには全然わからないわ」

屋上

少女(この家だけじゃなかった。この街全部がおかしいのよ)

少女(わけもわからずに二人きりで生活させられる男、その男の幸せを願って精神をすり減らす妹)

少女(こんな状況を創り出してるのは、全部あの『能力』のせい)

少女(だったら・・・)


男「あれ、どこ行ってたんだ?」

少女「この家の屋上。すごくいい眺めね」

男「ま、この地区で3階建てはここだけだからな」

少女「あ、そうそう。あたし、今日の夕方ぐらいにここから出て行くわ」

男「急だな。どうしたんだ?」

少女「ちょっと、用事を思い出したのよ」

男「そうか、ちょっと残念だな」

少女「あら、早く出て行ってほしいんじゃなかったの?」

男「いや、まぁ、何ていうか、その・・・そうかもな」

少女「案外、素直ね」

男「うっせぇ!」

少女「そうだ、最後に言っておきたいことがあるの」

男「何だよ」

少女「妹ちゃんのこと、だけどね」

男「もったいぶらないで早く言ったらどうだ?」

少女「そうね・・・彼女には口止めされてたけど、あの子、能力者だったわ」

男「なぁんだ、そんなことか・・・」

少女「驚かないの?」

男「あいつが隠し事をしてるのは、ずっと前から気づいてた。それが何なのか、全くわからなかった。でも、あんたに会えたお陰でわかったよ」

少女「・・・」

男「結局、あいつは無理に変態キャラ演じて、オレのこと守ろうとしてくれてたんだな」

少女「たまに本気でやらしいこと考えてたけどね」

男「はは、やっぱりあいつはあいつだな・・・」

少女「それと、最後にもう一つだけ」

男「何だよ」

少女「この大学、潰さない?」

男「・・・何でまた急に」

少女「こんな場所にいたって、何も始まらないわ。街にイタズラ仕掛けても、誰もいない学校に行って勉強しても、何も面白いことなんてないわ」

少女「だから、あたしと一緒に外に行かない?もちろん、妹ちゃんも連れて」

男「・・・」

妹「そうですね、それもいいかもしれません」

少女「妹・・・ちゃん」

妹「言いましたね。私のこと。あれだけ秘密にしておけって言ったのに」チャ

男「妹っ・・・何で銃なんて持ってやがる」

妹「少女さん、あなたには死んでもらいます」

少女「何で?あたしはただ・・・」

妹「何度も言わせないでください。能力のことは秘密だと。あなたの荷物を漁ったら、大学からの指令が入っていましたよ。お兄さんに『能力』の秘密を教えろ、とね」

少女「・・・!」

男「どういうこったよ、少女・・・!」

少女「何もかもお見通し、ってわけね。あーあ、せっかく騙されたフリしてたのに」

妹「バレバレです。銃を解体して内部を調べようとしたら、マガジンに隠してあるのを偶然見つけましてね」

少女「さすが銃器マニアってところね。あーあ、肌身離さず吊っておくべきだったわ、デザートイーグル」

男「・・・何もわからねえ。大学って何だ?能力ってそもそも何だよ!?」

妹「お兄さんは黙っていてください」

男「オレは蚊帳の外かよ!妹、オレはお前を守らないといけない立場だぞ」

妹「違います。お兄さんは私が・・・」ガシッ

妹「お兄、さん・・・?何で首をつかんで、っ・・・」

男「これ以上、何も言うな。オレはもう無知な子供じゃない」

少女「男・・・」

男「少女、一緒に行こう。この街を棄てて、三人で外の世界とやらに行こう。それが今のオレの望みだ」

チャッ チャッ チャッ

男「本命のお出ましか」

二階建ての家の屋上に、銃で武装した黒服の男たちの姿があった。一人や二人ではない。二十人は優にいる。

少女「なっ・・・!」

妹「この大学はやたらと物騒なおじさんたちをかくまってるのですね」

少女「どうする気!?」

妹「私が空気の能力で無力化します。こうなった以上は、もうここから逃げる以外にはあり得ませんね。残念です」

男「妹、わかってくれたか」

妹「本当なら、ここでいつまでも大学の命令をはねのけながら二人で暮らしたかったです。でも、何もかもが台無しになっちゃいました」

妹「舞え、空気の・・・」バァン

少女「・・・妹ちゃん!」

男「妹!」

妹「うぅ・・・大丈夫です、お兄さん。急所は、外れましたから・・・」

少女「・・・ひどい」

男「妹!しっかりしろ!」

妹「大丈夫です。自分で止血、できますから・・・」

男「・・・オイ黒服」

黒服「・・・」

男「何のつもりだ!オレの妹に手出ししやがって、絶対に許さねえ!」

少女「やめなさい!丸腰のあんたじゃ勝てない!」

男「お前は、オレを怒らせた!絶対にぶっ殺してやる!」

男「うおおおおおおおっ!!」ゴォォォ

少女「うそ・・・男の身体が白く光ってる・・・!」

妹「能力の、覚醒時に起こる、光です・・・」

少女「え?」

妹「色々、お母さんから、聞きましたから・・・」

男「うおおおおおお!うらぁぁぁぁ!!」バシュッ

黒服「・・・!」

少女「黒服群団が一瞬で全員倒れちゃったわよ!」

妹「圧力の、能力です。圧力を自在に操ることが、できるんです・・・目標の周りの空気圧だって、変えてしまえば、一瞬で敵を無力化、できます」

男「・・・逃げるぞ」

妹「はい」

少女「あっ、待ってよ!」

男に手を引かれるまま、少女と妹は家の外に連れ出された。妹は腹を撃ち抜かれ、未だに血が流れ続けている。

男「大丈夫か?」

妹「は、はい。何とか立てます」

男「いや、ダメだ」スッ

妹「い、いいですよ、おんぶなんてしてもらわなくても・・・」

男「ダメだ。お前はじっとしてろ。今すぐ出口を探す。少女、黒服共の記憶を探ってきてくれ」

少女「わかったわ」ダッ

少女は家に戻り、黒服の一人の頭に触れて記憶を探り出す。すると、ある一つのシーンが彼女の脳裏に浮かんだ。

黒服の脳内

??「やはりダメだったか・・・」

黒服「はい。彼女は拒絶反応を起こし死亡。残る生身の人間は三人だけとなりました」

??「もう、それだけになったか。かつて栄えた人類も、今は彼女ら三人だけを、残り全ては脳以外の身体全部が機械になった」

黒服「米軍は血液サンプルを集めてどうするつもりですか?少女には『能力を持つ人間の血液を集めてクローンを作り、兵器開発に役立てる』と伝えてありますが・・・」

??「確かにクローンは作る。ただし、残った脳を移植する媒体として、という意味だが」

黒服「しかし、実際に『生きている』人類は見つからず。彼女が今まで採取してきたサンプルは、ただの油圧系に使う油だった、というオチですね」

??「そうだ。少し辛いが、そうするしかなかった。彼女には本当のことを知ってもらいたくない」

黒服「親心、ですか」

??「よくわかったな。少女が本当のことを知れば、どれだけ悲しむことか・・・」

少女「生身の人間は、あたしとあの二人だけ・・・」

少女「ってことは、二人を管理してる施設は、大学じゃなくて保護施設ってこと?」

少女「そんな・・・今まで会ってきた人のほとんど全員が人間じゃないなんて」

少女「妹ちゃんも、このこと知らないのよね・・・」

少女「人間は、あと三人しかいない」

少女「じゃ、やることは一つじゃないの!」

何かを決心したように少女は立ち上がり、黒服から拳銃を奪い取った。

男「出口はどこだ?」

少女「・・・無いわよ」

男「何言ってんだ?出口はあるはずだ!」

少女「別に、出なくてもいいじゃない。ここだけが人間の住む街なんだから」

妹「人間の住む、街・・・?」

少女「そう。ここには何でも揃ってる。あたしたちの知識だけでも病気を治すシステムは整ってるらしいし、何一つ不自由なく暮らせるわよ」

男「何がどうなってんだ?お前までわけわからんことを・・・」

少女「あたしだって、さっきまではわけわからなかったわよ。でも、ようやくわかったの。この世界の全てが。でも、その全てはもう終わり。これからは、あたしたちが未来を創る番よ」

少女「さ、病院に行きましょ。妹ちゃんの治療をしなくちゃ。終わったら、夕飯作ってよね」

男「・・・わかった。妹、ちょっと我慢してろよ」

妹「はい。大丈夫です」

少女「わけは後で説明するから。だから、今は何も聞かないで」

妹「何も聞きません。今の少女さん、ちょっと大人に見えます」

少女「どういう意味よ?」

男「それより、早く行くぞ。病院はこの近くだ」

少女「わかったわ。じゃ、行きましょ」

三人は歩いていく。撃たれた妹を治療すべく、病院に向かって。

一万年後

教師「では、今日は歴史を勉強しまーす」

男子生徒「ちぇ、歴史か。面白くねーな」

女子生徒「あたしは結構好きだけどな。だって、第二創世記のあたりってロマンチックじゃない?」

男子生徒「何だそりゃ?」

女子生徒「知らないの?あたしたちの祖先を辿っていったら、二人の女の人と一人の男の人につながっているって」

男子生徒「嘘くせー」

女子生徒「嘘じゃないよ。その三人の遺体はジェネシス・メモリアルっていう博物館にあるし、少女っていう人の脳は復活して機械体に移されたんだって。現に今でも生きてるし」

男子生徒「ジェネシス・メモリアルのことは知ってるけどさー、ただの伝説だろ?」

教師「伝説じゃないわ。本当のことよ。何なら、今から当時の話を詳細にしてもいいわよ?」

おわり

だったっけか?
まぁいいや

やっつけすぎたかなぁ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年12月30日 (月) 22:21:44   ID: SGMiaGpY

いいですね!

続き待ってます^_^

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