海未「Secret Live」 (31)

ラブライブのssです。

人死にます。はい。
なので閲覧注意。

Paradise Live 聞いたら書きたくなった。
寝てないから文法とかたまにおかしいかも。
そしてなぜか書いてる途中涙止まらなかった。


同時
穂乃果「また私の周りには女の子がry」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1390940833

またね 。 またね。

きっとね、また会える日は近いよ。

その時まで、待っててね。

約束だ。

またね。 またね。

きっとね、また会う時までがんばるよ。

がんばるよ。

もっと元気を見せに来るよ。

「あぁ……これからいったいどうすれば……」

「どうすれば……」

『どうすればいいの?』

「……」

「だって、可能性感じたんだ。そうだ……進め。後悔したくない、目の前に僕らの道はある」

「レッツゴー!ドゥー!アイドゥー!アイライブ!イエスドゥー!アイ!ドゥー!アイドゥー!レッツゴー!レッツゴー!ハイ!」

そうして穂乃果はいきなり走り出しました。持っていたカバンを放り投げ、ブレザーも脱ぎ捨て、腕まくりをし駆けていきました。

そしてどこで練習してきたのか、階段の手摺を絶妙なバランスを保ちながら滑り降りていきます。


そこで事故、事件は起きました。


「ほげぇ、ほげぇ」

階段の下、しかも手摺の終わるすぐのところを今にも躓いて倒れそうなおじいさんがたまたま歩いていたのです。

「穂乃果! あぶない!」

「えっ?」

穂乃果の投げ捨てたカバンを拾い、ブレザーの匂いを嗅ぎながら後を追って走り出していた私は、穂乃果が手摺をすでに中間ほどまで滑り終えていた頃に階下に映ったその光景を捉えることができました。

「う、うそ……!」

やはり慣れてなどいなかったのでしょう。ただバランスを取ることに夢中になっていた穂乃果は階段の下に目を遣る余裕などなく、もちろんおじいさんがいるなんてことも私が声を張り上げるまでは気づいていませんでした。

「よっ! とっ、とっ、とっ、おおぅ!?」

ですがなんだかんだで運動センスのいい穂乃果は、私の声で階段の下を一瞥、コンマゼロ秒後には適当に状況を判断し手摺から飛び降りていました。ですがそのスピードを緩めることはできず、階段を跳ねるように下っていきます。

ここでも活かされたセンス。穂乃果は階段を1段も踏み外すことなく4,5段飛ばしでおりていき、残りはもう2段。

(……ふぅ。なんとか誰も怪我せずすみそうですね。)

心の中でそう安堵しかけたその時、右手側から勢い良く飛んできた黒い物体。

「あの石、家まで蹴って帰ろーぜ!」

「えー……危ないからやめた方がいいよー」

そうか。
小学生は高校生より授業の時間が短いんでしたよね。私たちは今日、職員会議の関係もあって4時限分の授業を終えて帰宅となりました。でもおそらく小学生はいつも通りの授業だったのでしょう。

私のいた高い位置からだとその兄妹と思われる子たちは小学校高学年の年子でないかと推定することができました。

つまり、小学生の5時間授業と私たちの4時限授業との帰宅時間がたまたま被った、ということです。

「……きゃっ!?」

穂乃果の着地するはずだった地面は、そのお兄ちゃんが蹴った石の存在によりすでに平面ではなくなっていました。

「……っツ! 」

私が次に目にしたのは、突然現れた高校生のお姉さんが自分の蹴った石を踏んだのを見て、驚きに眼と口を全開させている兄妹。
……そしておそらく苦痛という神経が脳に発する信号に顔を顰めていたであろう幼馴染の後ろ姿。

穂乃果の全体重を乗せた右足首が外側に足裏が向くように直角に捻られ、人体はその歪みを少しでも正すよう身体を左側へ傾けまず。

左側。

「ほげぇ、ほげぇ」

ぶつかる。
その時はそう確信しました。だからその時は必死で『どうか避けて……!』と私は祈っていました。


今思えばここがたまたまこの場に居合わせた2人の人間の生死を分かつターニングポイントになっていたんだと思います。

「……ぐっ!」

おじいさんに倒れかかるまで40cm,20cm,10……、そこで穂乃果は左足を強く踏み込み、身体を右側前方へと投げ出し、衝突を見事回避してみせます。

衝突は避けられないだろうと思っていた私はそれを見て鳥肌が立ち、兄妹はまるでサーカスでも見ているかのように瞳を輝かせます。

ドサッ

「いてててて……」

幸いこの時間は交通量が少ないらしいここの道路に倒れこんだ穂乃果は、足首を摩りながら倒れています。

よかった。あの様子だと見た目ほど深くはやってないみたいだ。

「穂乃果、大丈夫ですか!? 今行きますから!!」

そう叫んで、私もやっと動き出した体で階段をかけおりていきます

「あはは、心配かけちゃってごめんね!」

こんな時でも決して絶やさない笑顔。脂汗が滲み出て、本当は大声で泣き出してしまいたいのも必死に我慢しているような強がりな笑顔。

足首を摩っていた左手とは逆の右手を弱々しく顔の前に持ってきて、ピースを作ってみせます。

「まったくあなたという人は! 危ないことはするなと親や先生方からも今まで何度と言われ…………」

そこで私が言葉を途切らせたのは、穂乃果が私の説教を聞いて頬を膨らませたからではなく……

ブゥゥゥゥゥゥゥン

先もよく見えるはずのこの直線の道路で、人が蹲っているにも関わらずスピードを緩めずに接近してくるトラックが視界に入ったから。

私が顔をそちらに向けると、穂乃果とたまたまこちらを見ていた妹さんも私と同じ方向に首を傾けます。

「えっ……?」

穂乃果がそう漏らし、

「ねぇ、おにいちゃん」

妹さんがお兄ちゃんの半袖を引っ張り、

「なんだよ」

お兄ちゃんがうっとおしそうに妹さんの方に顔を向け、

「ん? あ、危ない!!」

たまたま反対側の車線を自転車で走っていた、巡回中らしいおまわりさんが叫び、

「はぁ……はぁ……。やっと追いついた……」

息を切らせながらことりが膝に手をつけ、

「穂乃果ぁぁ!!! 逃げ……っ!!」

私が今までに出したこともないような大声を出したのと同時に、

ドン

そんなちゃちな効果音とともに、

私の幼馴染は道路に鮮やかな水平線を引いていきました。

ピンク色の桜の咲き誇るこの通り不釣り合いな真っ赤なラインを。

剣道や武道を嗜んでいる私は動体視力が人一倍、いや、それ以上に優れていたため、トラックが穂乃果を車体の下に引き摺り込んでいく瞬間、穂乃果が頭をパイプでぶつけていたのも、ピースを作っていた右手だけタイヤの下敷きになっていたのも、

柄の悪そうなトラックの運転手がスマホをいじりながら前を見ずに運転しており、人を轢いた0.7秒後にやっと異変に気付きだしたことも全て見えていました。

さっきまで穂乃果の倒れていた場所に残されていたのは、穂乃果の履いていた片方の靴、だけ

100mほど進んで、自分は人を轢いたんだと気づいたのでしょうか。対向車線に車がいないのをいいことに、急にトラックは大きく左右に蛇行し、スピードに緩急もつけ始めました。すると当然穂乃果の身体は何トンもあるトラックの重みが集中するタイヤの下敷きとなり、そこでやっと穂乃果は引き摺りから解放されることとなりました。

しかしトラックはスピードを下げたりすることもせず、そのまま速度を上げて何処かへと消え去りました。

おまわりさんはこの時おそらくナンバープレートを紙にメモしてくれていたのでしょう。それだけこのような状況に慣れていたのでしょうか。

ですが私は生まれて初めて『事故』というものを眼下で目撃し、しかもその被害者は自分の幼馴染であるということから、そのような適切な行動を取ることもできず、恐怖と驚愕で固まる通行人を他所に、ことりとともに意識を放棄することを選んでいました。

倒れ際に視界に写ったのは、事故現場を見せないように大柄な中年男性の通行人が力強く兄妹を抱きかかえているところでした。



「ん……ここは……?」

目を開けると真っ白な天井が映り込んできました。

「海未ちゃん……目が覚めたんだね」

隣からはよく聞き慣れた、小鳥が囀るような可愛らしい声が聞こえてきます。

「ことり。ここはどこですか?」

「うーん、多分病院じゃないかな?」

まあだいたい予想はついていたんですけどね。ですがそうじゃないと、そうでなければいいなと願っていたんです。


だって……それはつまり


「あなたたち、お友達の事故がショックで倒れちゃったのよ?覚えてる?」


穂乃果の事故が夢じゃなかったと認めなくちゃいけないことだから。

「あの……穂乃果は……」

「……」

目覚めてからナースコールをして駆けつけてくれた看護師さんにあらかた自分たちの状態を聞かされ(どうやら2人とも倒れた時に軽く頭を打ったらしい。どうりでクラクラするわけだ)、私は一番気になっていた質問を投げかけてみます。

私とことりは、正三角形の頂点を作るような位置に立つ看護師を、ジッと見つめています。

「……もう少ししたら、会わせてあげる。お2人の体調が万全になったら」

「会わせる……?今会わせるって言いましたか?」

「……」

「穂乃果ちゃんは生きてるんですか!?」

「……」

看護師は何も答えません。……いや、もう答えているようなものですか。2人ともそれがわかったので、これ以上追及することはやめにしました。


「それじゃあ急に頭が痛くなったり、他にも変なことがあったら呼んでね? ……それじゃあ」

それから看護師から聞いた話によると、
穂乃果を轢いた犯人はあれから1時間後無事に逮捕されたとのこと。罪を犯したという重圧からかハンドル操作を誤り、現場から20kmほど離れた廃屋に突っ込んだそうだ。それでもその運転手は傷一つなくただ気絶だけですんだらしい。
あのお兄ちゃんは、かけつけた警察官に『僕のせいで……僕のせいで……!』と泣きながら何度も叫んでいたこと、妹さんもその場でずっと泣き崩れていたということ。それから数分後に母親に引き取られていったこと。
あのおじいさんには何を聞いても何も答えてくれなかったらしい。私の予想では、事故が起こったことも気づいてなかったのではないかと思います。

そこまで聞いて看護師さんには別の仕事が入ってしまったらしく、この部屋には私とことりだけが残されました。

「穂乃果ちゃん……」

ことりが消え入りそうな声でポツリと呟きました。

「穂乃果ちゃん……穂乃果……ちゃん……」

何度も繰り返すうちにだんだんと嗚咽も混じってきて、

「ほ……のか……ちゃん……うっ、ひっく……」

泣き出してしまいました。

「ことり、泣かないでください。お願いです……」

「ひっく、ひっく……うぅぅ……あぅ……うっ」

「お願いです……。泣かないで、ことり……じゃないと……」

私も、

「穂乃果ぁ…………うぅぅぅ!」

泣いてしまいます……。泣いても穂乃果が帰ってこないのはわかってるのに、だからこんなのムダだってわかってるのに、

「うわぁぁぁん!ほのかぁぁ!」

涙は止めようと思って止められるものではないんだなって、ことりとお互いに体に跡がつくんじゃないかと思うくらい強く、強く抱きしめ合いながら泣きじゃくってる時、穂乃果と過ごした16年の日々を思い返してた片隅にそんなことも考えてました。


その日の夜は驚くほどよく眠れました。親友に大事があったというのに、でも泣いて泣いて疲れすぎてしまったんだと思います、2人とも。あと夢の中ならまた穂乃果と会えるかな、とか。そんな期待をしてたことも……。



「さ、退院の許可が出たわよ。今日までお疲れ様」

この部屋にきてから3日後、あの看護師さんが朝やってきて私たちにそう告げました。

「あの……」

「……わかってる。着替えたら個室前のイスに座って待ってて」

私が例の件について聞こうとしたら、看護師さんは皆まで言わずとも察してくれました。なんとなく、この人も多くの修羅場を超えてきた人なんだろうな、って、悲しそうな目の奥に光る力強い何かを見てそう思いました。

看護師さんに言われたとおり、2人とも親が昨日持ってきてくれた服に着替えて待っていました。

「ねぇ海未ちゃん……」

ことりが私の手を握ってきます。
……すごく、冷たい。それに小刻みに震えているのがわかります。

「ことり、大丈夫ですよ」

なにを根拠にそんなことを言うのか。

「穂乃果のことだからきっと私たちが迎えに行くとすぐに目を覚ましますよ。あっ、もしかしたら今から私たちを迎えに来る人というのが実は穂乃果本人だったりして」

そんなことはありえない。わかってる。あんなじょうたいで、あの出血量じゃ普通に考えて人はまず助からない。

でも……

「……うん。そうだと……いいね」

震えが止まったことりの手から感じる温もりを思うと、こんなデマでも少しは自分も信じてみたいって、そう感じて。


「おまたせ。待たせちゃったかしら」

「あ、いえ。そんなには」

どうやら穂乃果ではないらしい。人が来たからこの手を離そうかと考えましたが、

「……」

この手を離すとことりは多分消えてなくなってしまうんじゃないかと錯覚してしまうくらい熱が感じられなくて、弱々しくて。

「それじゃあ行きましょうか。あっ、私は西木野っていうの。田辺さんとは高校時代からの友人なの」

田辺さんっていうのは私たちがずっとお世話になってきた看護師さんのことです。……この人もまた、あの看護師さんみたいに目から力強いものを感じます。

「……」

「ことり、行きますよ」

「……うん」

先を歩き始めた西木野さんに私たちも続きました。西木野さんもおさらく、穂乃果の状態をすでに知っている。

……ことり。ごめんなさい。
やはり穂乃果のこと、無責任すぎましたね……。


エレベーターに乗って、西木野さんはB2Fのボタンを押します。

地下……。

今はもう、泣くのを必死に我慢してることりの手を……ただ強く握ってあげること、だけでした。

ピンポーン

そんな軽快なチャイムとともに扉が開きます。

「穂乃果ちゃんは、この部屋にいるわ」

エレベーターをおりてすぐ右手にある部屋、ここに穂乃果が……。

「……ん?」

中から何か声が……。

『…………そ……ね?……った……でさ!……ごく、……よ!』

この声、聞き覚えがあるような……。

「この声は……穂乃果ちゃんの妹さんね」

……ああ、やっぱり雪穂でしたか。本当に姉妹よく似た声ですね。……本当に。

「……また、朝早くから来てたのね」

「?」

西木野さんは心配そうな顔をします。

「別に家族なんですし、問題ないなでは?」

そう言いかけながらドアを開けると、そこには……

「あっ、海未さん。ことりさん」

高坂雪穂。穂乃果の妹ということもあり、今でも一緒に遊ぶことが多々あります。……ううん、ありました、ですかね。穂乃果がいなくなった今では。

そんな目の周りを真っ赤に腫らした雪穂が、ただ穂乃果の手を握っていました。

……もう決して握り返されることのないその掌を。


穂乃果の顔には、白い布がかかっていました。

「……ひっ、く……っ、ぅ」

ことりはもう我慢の限界にきていたみたいです。それに、もう大声で泣くこともできないみたいで、ただ咽び泣くことしかできません。

私も今まで堪えていたものが溢れていくのを感じますが、涙は出てきません。どうやら私は亡くなった親友を前にして涙も流すことのできない女だったんですね。

穂乃果、すいません。涙はもう昨晩に全部出尽くしてしまったみたいです。あのグショグショに濡れた枕を今度見せにきますので、それで許してくれませんか?

「それじゃあ私、今日は帰りますね」

雪穂はそう言って名残惜しそうに穂乃果の手を離し、

「明日も来るね」

と穂乃果の耳元に囁くと早々とこの部屋を後にしました。

「……雪穂ちゃん、昨日は1日中穂乃果ちゃんのそばにいてずっと話を聞かせてたの」

西木野さんによると、雪穂は昨日までの2日間ずっと穂乃果と一緒にいたらしいです。一応病院の決まりで寝泊まりすることはできないことになっているらしいですが、それでも会うことが可能な時間には学校も行かずにずっと穂乃果のそばにいて、話しては泣いて、話しては泣いてを繰り返し、毎日夜にやってくる穂乃果の父母からは一食も取ろうとしない雪穂が心配で仕方ないらしくて……。

「ねぇ穂乃果ちゃん……。ひっく……、ことり、これからどうすればいい……?穂乃果ちゃんがいなくてもアイドル続けた方がいいのかな?……うっく、教えてよ、穂乃果ちゃん……。穂乃果ちゃんが始めたことなんだから、ちゃんと最後まで導いて欲しいよ……うぅぅ」

「ことり……」

穂乃果、私も教えて欲しいです……。私はずっとあなたの味方でいる、あなたを守ると誓いました。ですが同時にそれは私の生きる意味でもあったんですよ。でも……そんなあなたが、いなくなってしまったら、私はどうやって生きていけばいいんですか……?

「穂乃果……」


「これより、葬儀をおこないます」

あれからもう数週間が経ちました。

「うぅ、穂乃果……なんであんたが死んじゃうのよ……」

「嘘だろ高坂……。お前あんなに俺のコッパパン横取りしまくってたくせに……。許さないんだからなぁ……」

「穂乃果……あぁ、鬱だ」

見えてますか穂乃果。あなたのお葬式にはこんなにたくさんの人がきているんですよ?ほら、小学校から一緒だった人も、中学で急に転校した子も、高校の同級生も、こんなにたくさん。

あなたは本当にみんなに愛されてきたんですね。

「ーーーーー。ーーーーーー南無阿弥陀仏」

あっ、あの写真は高校入学のときに撮った写真ですね。思い出しますね、高校受験のこと。

・・・・・・

『あれ!? ない!ないよぉ!? 受験票家に置いてきちゃったかも!!』

『ええっ!?今から家に戻るの!?』

『もうそんな時間はありませんよ!? もぉ!あれほど寝る前に確認するようにと言いましたのに!!』

『し、したもん!!あのときは確かに……』

『……穂乃果ちゃん?』

『……ありました。制服の胸ポケットに』

『……ほーのーかー?』

『ご、ごめんってー!!』

・・・・・・

ふふっ、あのときの穂乃果の慌てぶりと言ったら。本当はそこに入ってること知っていたんですけどね。だって昨晩メールしてくれたじゃないですか。『受験票!胸ポケット!よーし!』って。ふふふ。もし最後まで気づかなかった時は教えてあげようと思いましたけど、ちゃんと自分で気づけてよかったですよね。

「……っ、……っ……っ」

「ことり……。我慢するの辛かったら泣いてきてもいいんですよ?」

「……っ……だ……ぅ、だいじょぶ……っぐ、だ、だっで、……海未ぢゃん……ぅ、だって、……我慢して、るんだ……ぅ、もん」

「私が、ですか……?」

そこでことりに言われて初めて気づきました。

自分の頬に手を触れてみると、目から次々と涙が流れてきているということに。

「あれ……私……泣いてるんですね。亡くなったあなたを初めて見た時に流せなかった涙が……今になって出るなんて……」

「……?なに、いっでるの?海未ちゃん……」

「え……?」

「ぅ、海未ぢゃん、あのとき泣いでたよ?……っ、今より、すごく」

……ははは。そうだったんですか。
あのときは『泣けなかった』んではなくて『泣いてることに気づけなかった』んですね。今になってそれに気づくとは。


しばらくするとことりは泣き止んでいました。

「もぅ……泣かない。やっぱり穂乃果ちゃんには泣いた顔でお別れしたくないもん」

ことり、あなたは強いですね。もうあなたは穂乃果の『死』と向き合うことができたんですね。

でも私はまだ……見つけられないんです。穂乃果を失ったらどうやって生きていけばいいのか今日までにずっと考えてきました。でも答えなんてみつからない。まだきっと心のどこかであなたがヒョコッと現れるのではないかと期待してるんです。

あなたの『死』を客観視していましたけど、でも一番あなたを諦め切れてないのは……私なんです……!


「海未ちゃん、もう棺桶閉じちゃうよ。最後に顔見に行こう」

「……はい」

きれいな顔、してますね相変わらず。とても死んでるなんて思えませんよ。やっぱり、本当は生きてるんじゃないんですか?ねぇ、そうなんでしょう?今ならまだ許しますから、目を開けていいんですよ?

「……っ、くぅ、うぅぅ……うっ」

「う、海未ちゃん……?」

どうして、起きてくれないんですか……。いつもみたいに私を驚かせるための演技じゃないんですか……?なんで……なんでなの……。穂乃果……。

………………

『ねぇ海未ちゃん』

『……え……?……穂乃果?穂乃果なんですか!?』

『うん、そうだよ』

『……はは、ほら、言ったじゃないですか。やっぱり全部あなたの仕込みだったんですね!それにしても今回は随分と大それた……』

『……ううん、違うよ海未ちゃん。私は本当にもうこの世界にいないんだ』

『……なに言ってるんですか?そんなわけないでしょう。だって現にこうやって話してるじゃないですか』

『じゃあ、ちょっと周りを見てみてよ』

『周り?…………えっ?誰も、動いてない?』

『これは……そう夢。今の私は夢だと思って』

『夢……じゃあやっぱりあなたは……』

『ごめんね海未ちゃん。お別れ言えなかったのが心残りで。でも、今なら言えるかな?』

『……!?い、いやです!!聞きたくありません!あなたと一緒にいられるなら、私は夢だろうとずっとここにいて構いません!』

『……!?い、いやです!!聞きたくありません!私はあなたと一緒にいられるなら、たとえ夢だろうとずっとここにいても構いません!』

『それは、私が許さない』

『……っ!?……どうして、私を拒むんです……?』

『……』

『私なにかあなたに嫌われるようなことしました……?もしかしてパンばかりじゃダメだって言ったことですか……?それとも勉強勉強ってうるさく行ったことですか?それとも……』

『海未ちゃん』

『アイドルは絶対反対とか行ったことですか?それとも、それとも……』

『海未ちゃん!!』

『……っ!』

『海未ちゃん、もういいんだよ』

『いや……いやです……!絶対にいやです!!あなたと別れるなんてありえません!!あなたがいなくなったら、私はどうやって生きていけば……!』

『自分のために生きてよ』

『自分のためだけに生きてもしょうがないでしょう!?』

『じゃあ……ことりちゃんを守ってあげて?……私の代わりなんかじゃなく、ことりちゃんっていう1人の女の子を』

『ことりを……?』

『ほら、ことりちゃんって私が言うのもなんだけどなんだかふわふわしてて悪い人に騙されたりしないか心配でしょ?だから海未ちゃんに守ってあげて欲しいなって』

『で、でも……』

『お願い』

『……』



『…………はい。わかりました。あなたの「最後」の望み、絶対果たしてみせます』



『あはは。やっと言うこと聞いてくれた』

『ふふっ、頑固なのが性分なもので』

『これで私ももう安心かな。それじゃあもういこうかな』

『……どこへ?』

『天国……かな?』

『私たちのこと、ずっと見守っていてくれますよね?』

『当たり前。だって私たちは3人でひとつなんだから!』

『それもそうですね』

『うん♪ ……じゃ、ことりちゃんによろしくね』

『はい。……さようなら、穂乃果。


私の大切な親友』

………………

「……ちゃん、海未ちゃん!」

「……はっ!?い、いったいここは……」

「お花あげてないのもう海未ちゃんだけだよ。ほら、みんな待ってる」

「……」

「ことり、今歌いませんか?」

「……えっ?でも……」

「今、歌いたいんです」

「ふふっ、うん♪ わかったよ!」


ザワザワ

「歌うって何?」

「さあ?」


「あなたのために最っ高の歌詞を作って、最っ高の人に作曲してもらったんですから!途中で寝たりしたら承知しませんからね!」


「ふ、ふん。なにが最高の人よ。イミワカンナイ」


「ごめんね穂乃果ちゃん!悪いけど穂乃果ちゃんには内緒で先にアイドルになっちゃうから!」

『それでは聞いてください!私たちはの親友、高坂穂乃果に贈る一曲!曲名は……』

「……! ……♪」

「…………。 ……♪」
…… …… ……

私とParadise Live

Three,Two,Three,Two,One,Live!

フフッ

「ん?誰だ今笑ったの?」

「いや、私じゃないよ?」

「もしかして今の笑い声、お姉ちゃん!?」

(穂乃果、ちゃんと聞いてくれてるんですね)

…… ……

つぎは、つぎの、夢を叶える旅へと。

がんばるよ。がんばるよ。もっと世界へ。

「あれ、おかしいな」

「なにがだ?」

「2人しか歌ってないのに、3人分声が聞こえないか?」

「……あ。あぁ」

…… …… ……

またね 。 またね。

きっとね、また会える日は近いよ。

その時まで、待っててね。

約束だ。

またね。 またね。

きっとね、また会う時までがんばるよ。

がんばるよ。

もっと元気を見せに来るよ。

…… …… ……

もっと元気に

「I love you!」

…… …… ……


穂乃果、あなたと過ごした時間は私にとって本当にかけがえのない、宝物でした。
でももうあなたに縋って逃げ続けるのはやめにします。これからはあなたを思い出にして、新しい園田海未として生きていきます!そしてあなたも超えてみせます!あなたが果たせなかったアイドルの夢も私が引継いで、必ずあなたの愛した音ノ木坂学院も守ってみせます!

数ヶ月後

「ハラショー……。とうとうこの舞台までくることができたわね」

「みんなキンチョーしちゃだめにこ♪ リラックス、リラックスー」

「そう言ってるにこっちが一番緊張してるんとちゃう?ふふ」

「もう、みんなカチカチになりすぎね。少しは私を見習ったらどうなの?」

「よし、凛はいつも通りだにゃ!」

「あぅぅ……。私は緊張出てがぁ」

「みんな、せっかくラブライブのステージまで来たんだもん!精一杯楽しまなくちゃ!」

「そうですよ。ムダに力んでしまったらいつもの力の半分も出せませんから」

「それより、結局今日まで9人揃わなかったわね……」

「μ'sは9人で道開けるーって感じで名前つけられたのに、結局成功しちゃったにこね」

「しかもセンターがいない……こんなのスクールアイドルで私たちくらいよ」

「? 何言ってるのみんな。μ'sは前から9人だよ?」

「それにセンターもしっかりいますよ。ふふっ」

「えっ?それってどういう意味にゃ?」

「まさかオバケェ!?」

「おっ、スピリチュアルやん!」

「ふふっ♪ それはこの大会が終わったらお話ししてあげるね」

「それじゃあいきますよ!せーの、」



「「「「「「「「「
μ's、ミュージックスタート!!
」」」」」」」」」

ありがとうございました。

おはようございます。
おやすみなさい。

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