勇者「魔王は一体どこにいる?�」 (243)
第1の時代
エルフが世界を支配していた
エルフは祈りの指輪を用いその時代を築け上げた
しかしその祈りの指輪を封印しようとする者が現れた・・・後に魔王と呼ばれる
第2の時代
魔王はエルフから指輪を取り上げ指輪の乱用を禁止した
ところが魔王が持つ祈りの指輪を人間が盗み
人間は祈りの指輪の製法を復活させ時代を支配しようとした・・ここまでは割りと平和な時代
第3の時代
魔王は怒り狂ったが祈りの指輪を持つ人間に対して苦戦していた
魔王は人間は水が無いと生きていけない性質を逆手に取り
命の泉から湧き出る水を汚染する事で人間達は徐々に弱体していった
その後人間は滅ぶ寸前まで行ったが
突如、勇者を名乗る者が現れ魔王は倒され命の泉の汚染も浄化された
第4の時代
魔王は滅び人間達は復興を遂げる
祈りの指輪の製法を知る者も居なくなり
人間達は武器を置き他種族との共存を果たす
しかしかつての闇の国・・現在の機械の国では軍備の増強が世界の懸念事項として残されている
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---中立国立大学---
ゴーン ゴーン ゴーン
教授「・・・では本日の講義はこれまで・・・明日からの課外授業に行く者は準備をしておくように」
(ふぅやっと終わったぜ〜)
(お前明日からの課外授業行くのか?)
(俺は行く為の金貨が無いんだ)
(ちょっと高すぎだよなぁ?)
(あんなもん優等生だけ行くもんだろ?)
(まぁ考古学なんか興味ねぇよ)
(じゃぁ明日からどうする?働くか?)
(そうだな!!酒場で客引きでもやろう)
教授「えーーーそこの車椅子の生徒・・・君は誰だったかな?」
生徒「ハハハ教授も人が悪いなぁ・・もう忘れた?僕は学者さ」
教授「あぁ・・そうだった学者だったな・・君は明日の課外授業に私の助手として同行しなさい」
学者「!!?え?・・・行きたいのは山々だけど・・僕は心臓が悪くて遠くには行けないんだ」
教授「君の車椅子を女医に押すよう伝えてある・・君ほど熱心な生徒を他に見ないもんだからね」
学者「それは大変だ・・早く準備しないと」
女医「教授?私は学者の面倒を見れば良いのですか?」
教授「そうだ・・といっても気球を使って移動するからどうという事は無いがね」
学者「・・・君が女医だね?よろしく!!僕は考古学専門の学者さ」
女医「あらあら生意気な口を聞く子ねフフ」
教授「学者君!君には期待しているからしっかり勉強するように」
学者「ハハハ分かってるさ・・僕も本当は行きたかったんだ・・金貨は無いけどね?」
---翌日---
教授「・・では生徒全員気球に乗ったら出発する」
女医「学者はこの気球よ?・・・よいしょっと」
学者「すまないね・・僕も少しなら歩けるんだよ」
女医「あら?早く言ってよ」
学者「なんかホラ・・面倒見てくれるって言うから言い辛くてね」
教授「私もこの気球だ・・出発するぞ?」
女医「お手伝いする事はありますか?」
教授「まぁしばらくは何もする事が無い・・ゆっくりして居たまえ」
ゴゴゴゴゴゴ フワフワ
---気球---
ヒョーーーーウ
女医「学者?あなたは心臓のどこが悪いの?」
学者「僕はね・・生まれつき心臓に穴が空いてるらしいんだ・・直せないんだってさ」
女医「私に心臓の音を聞かせてもらえる?一応医者だしね・・」ゴソゴソ
学者「ハハその聴診器ってやつは苦手なんだ・・くすぐったくてね・・ウハハこそばゆい」
女医「ガマンして!静かに・・・う〜んなるほどぉ」
学者「何か分かったかい?」
女医「確かに雑音が聞こえる・・大分肥大してる音かな」
学者「肥大?」
女医「心臓に負担が掛かると大きく肥大する物なの・・少し心配ね」
学者「一応将来手術が出切る様になった時の為に自分の血を抜いて保存する様に言われてるんだ」
女医「自己血保存ね?・・どれくらい溜まったの?」
学者「ん〜どれくらいかなぁ?・・氷結魔法で凍らせて大学に保存してあるよ」
女医「私は薬学専門だからひょっとしたら私の麻痺薬があなたに使われるかもね?」
学者「麻痺薬が僕に?」
女医「まだ人間への副作用がどれくらいあるか分かってないけど・・実用されれば心臓の手術も可能と言われてる」
学者「それは凄い!!僕で試して欲しい!!心臓の為なら何でもするよ!!」
教授「これこれ!!不確実な術はイカンぞ?」
---
学者「・・・でもそれは後から創作された叙事詩だよね?それは信用でてはいけない」
教授「ふむ・・では学者・・お前はどう思考える?」
学者「予言の書は2つある・・一つは予言者の物・・もう一つは魔王が書いたとされる物・・まずそれを基本とする」
教授「ふむ・・続けたまえ」
この2つはあくまで予言・・書いた人が異なるだけさ・・ただそのどちらも当たっている
希望に満ちた予言と、絶望に満ちた予言・・・それらの共通する事は
書かれた200年後・・つまり現在?それとももう少し未来?の記述が無い
・・・どうしてか?
それは事実を探求する必要がある・・創作された叙事詩で未来を求めるのはおかしい
教授「正論だ・・しかし我々人間はたった200年前の事すら後世に満足に事情を残せん」
学者「教授?・・僕はね・・その答えはエルフかドラゴンが知ってると思うんだ」
教授「学者君・・叙事詩を甘くみてはイカンぞ?200年後世に残すメッセージを含まれておる事がある」
学者「それは僕もわかってるさ」
教授「君は各地で吟遊詩人が語っている叙事詩を集める気は無いかね?」
学者「ハハ僕はまず遺跡の森を自分の目で調べて見たいんだ」
教授「気が向いたらで良い・・叙事詩にも共通の内容がある事に気づく筈だ」
学者「共通の?・・ハハ創作したものがたまたま同じなだけじゃ?」
教授「・・例えばキマイラの叙事詩だ」
学者「そんなの作り話だよ」
教授「キマイラがエルフの森に帰る叙事詩はどの国の吟遊詩人も同様の内容を歌にしている」
学者「・・・だから偶然だよ・・そんなの信用しないよ」
教授「学者君!君は古文書を全部読んだかね?」
学者「全部読んだよ」
教授「古文書にもキマイラの事は記されている・・1000年近く昔の生物だ」
学者「・・そうだね」
教授「古文書を解読しないと知り得ないキマイラの容姿をどうやって叙事詩にできたか興味は無いかね?」
学者「・・・・・」
教授「君にはこの謎を解く後継者になってもらいたい」
学者「僕が教授の後継者?」
教授「課外授業が終わったら私の研究成果を君に見せてあげよう・・きっと興味が出る」
学者「ハハハそれは楽しみだ」
---遺跡の森---
フワフワ ドッスン
学者「はぁぁぁぁ・・やっと付いた・・僕は高い所が苦手だよ」
女医「気圧が低い場所は心臓に負担が大きいものね」
学者「早く降ろしてよ・・遺跡を見たい」
女医「降りるのは自分の足で降りて・・車椅子重いんだから」
学者「ハハハ楽は出来ないねぇ・・よっこら」ヨロ
女医「ちゃんと歩けるじゃない?」
学者「僕は長生きしたいんだよ・・できるだけ心臓に負担が無い様にしてる」
女医「・・・そうね・・・その方が良いね」
学者「女医?君には感謝してるよ・・本当ありがとう」
女医「え?あ・・・フフかわいらしい所もあるのね」
---
教授「・・・ではこれより自由に遺跡の調査をしてもらって良い」
教授「遺跡の中央にある塔付近の花畑は荒らさない様に!!」
教授「それから今晩は近くの森の町の宿屋に泊まるから調査が終わったら各自町へ戻りなさい」
教授「では解散」
(うわ!すげぇ花畑だ・・)
(あの塔の名前って何だっけ?)
(光の塔だったかしら?)
(それは昔の呼び名だよ・・今は魔女の塔)
(魔女が住んでるのか?)
(さぁ?・・噂の話だよね?)
女医「学者?あなたは何処に行きたいの?」
学者「そうだな・・まず花畑を見てみたいかな」
女医「賛成!!」
学者「ハハハ君とは少し興味が違うよ・・僕はどうしてこの遺跡を再建しなかったかに興味がある」
女医「200年前魔王に壊滅されてしまったからでは?」
学者「魔王を倒した後にどうしてここを再建しなかったか?・・僕ならここを再建すると思うけどな」
女医「理由があるという事?」
学者「古文書には書いてないんだ・・叙事詩では『愛を待つ歌』のネタになってるけどね」
女医「女心が分かってないのね」
学者「僕は真実が知りたいだけさ・・この塔に住み着いていたという魔女にも少し興味がある」
女医「魔女?フフ噂話しでしょう?学者君は噂には興味が無いのでは?」
学者「うるさいなぁ・・」
---
女医「うわぁぁぁぁ・・・一面の花畑・・・すごい」
学者「・・・やっぱりおかしいな・・これだけ立派な塔の周辺をどうして再建しなかったんだろう・・」ブツブツ
女医「・・・・・本当女心が分からない子ね」
学者「でもまてよ・・・花畑にする理由は何だ?立地的にも相当良い条件なのに・・」ブツブツ
女医「はいはいブツブツ君!!次は何処にいくの?」
学者「塔までお願い」
---魔女の塔---
女医「塔の上階は崩れる危険があって立ち入り禁止になってる」
学者「まぁ良いよ・・これだけ大きい塔を支える基礎ってどうなってるんだろう?」ブツブツ
女医「・・・・・」
学者「かなり地下から基礎を入れないと倒れるよな・・まてよ?僕なら地下を作るな」
女医「あ!!そういえば・・教授は追憶の森という所に地下の入り口があると言ってた」
学者「やっぱりそうか!この塔の心臓部は多分地下だ・・・そっちに行って欲しい」
女医「えっと・・地図によると・・・」パサ
学者「良い物持ってるじゃないかぁ!!見せて!!」
女医「フフ心臓が悪いとは思えないくらい目が輝いてるのね・・無理しないようにね」
学者「いちいちうるさいなぁ・・ホラ!!きっとここだよ僕ならそこに入り口を作る」
女医「正解!さすが教授に見初められてる訳ね」
学者「早く行こう!!」
---追憶の森---
女医「・・・他の生徒達から離れてしまったけど・・良いのかな?」
学者「構わないよ・・もし危険な動物が出てきたら僕をエサにして逃げても良いよハハ」
女医「変な事言わないで欲しいなぁ・・迷ったらどうしよう」
学者「入り口らしい場所は・・あれ?なんかここら辺は夢で見た事がある気がする」
女医「夢?フフあなたも予知夢を信じたりするの?」
学者「いや信じないよ・・でもね色んな夢を見るんだ」
女医「例えば?」
学者「僕が魔王役をやってたりさ・・・闇商人で世界を牛耳ってたりさ・・・色々だよ」
女医「へぇ〜私は薬を作る夢ばっかりかな」
学者「ハハハ夢が無いね」
女医「そういえば夢の中であなたにそっくりな商人を見た事あるよ」
学者「え!?それは偶然だ!!僕が商人になって取引してる夢は良く見るんだ」
女医「フフあなた割りと話し通じるじゃない」
学者「なんだよ?僕の事を変人だとでも思っているのかい?」
女医「普通の人とは変わってると思うけどね?・・・あ!!教授!!」
---
教授「おぉお前達か・・良い所に来た・・今から地下に入ろうと思ったんだが照明を忘れてしまってな」
学者「え!?僕も照明なんか持って・・」
女医「消毒用のアルコールなら持っています・・ランプの変わりに」
教授「それで良い・・地下は一応採光も考えられて作られている」
学者「200年以上前の建造物にそんな工夫が?」
教授「君も見てみると良い・・いかに我々の文明の進歩が遅いか思い知る」
学者「早く見たいな」
教授「魔女の塔の地下に入るのは特定の人に限られている・・南にある始まりの国の許可を貰わなければならないが・・」
女医「私たちは入れないのですか?」
教授「中にある物に触らないのであれば私と一緒に入っても良いだろう」
学者「触ると何かマズイ事でも?」
教授「まぁ・・・中に入ってから話そう・・・物を持ち去ろうとはするなよ?」
---魔女の塔地下---
学者「・・・すごい・・・どうやって採光してるんだろう?」
教授「鏡を駆使して光を入れているのだ・・・かつての光の国の技術だよ」
学者「この場所はもしかして・・」
教授「君が察している通り・・ここで魔王が倒された」
学者「そんな事どの文献にも書いてないよ!?」
教授「・・それはこの場所が神聖な場所だから後世の王達が事実を隠蔽したのだ・・荒らされない様に」
学者「この鏡は!?」
教授「それは魔除けの鏡と言って魔物を寄せ付けない効果が有るそうだ・・その中にだけ精霊の像が存在する」
学者「え!?・・・どうなってる?鏡の中に無い筈の精霊の像が・・こっちを見てる」
教授「おどろいたかね?」
学者「ちょちょ・・精霊の像が動いてる!!指を指してる」
教授「・・・そんな筈は無い・・私には佇んでいる様に見えるが?」
学者「え?・・・どういう事だ?この石造を指差してるぞ?」
教授「精霊のいたずらかもしれんな・・その石造は君が良く知ってる預言者の墓だそうだ」
学者「驚く事ばかりだ・・教授!!物には触らないからもっとこの場所を調査したい!!」
教授「そう言うと思っていたよ・・夕暮れまではまだ時間がある・・気が済むまで探求しなさい」
”僕が知っている考古学の知識では
”かの勇者達は魔王を倒した後
”太陽のいずる国として始まりの国を建国した
”後に太陽の沈む国が終わりの国
”その真ん中に中立の国
”それぞれの国で叙事詩として伝説が語られている
”その基点となっている魔王が倒された地は
”魔王島では無く魔女の塔だったなんて
”そうか・・魔王島はこの場所を隠蔽する為に語られたんだ
”一体何を隠してるんだ?
---数時間後---
女医「ねぇそろそろ日が暮れるよ?」
学者「あぁ・・もう終わるよ・・教授は?」
女医「外で待ってる」
学者「先に帰ってても良いのに」
女医「鍵を掛けなきゃいけないんだって」
学者「・・・そうか・・・鍵を掛けるのか」
女医「ここに入る途中の通路に沢山扉があったでしょう?」
学者「あれ全部鍵掛けるのかな?10枚くらい扉が合ったよね」
女医「多分そうだと思う」
学者「わかったよ・・そろそろ切り上げるよ・・行こうか」
女医「うん」
学者「最後に・・預言者の墓にお祈りをして行く」
女医「お祈り?フフあなたもそういう心はあるのね」
学者「うるさいなぁ・・この墓には何か特別な物を感じるんだ」
女医「フフその感じた事が叙事詩の歌になってるって知ってる?」
学者「ちょっと黙っててよ・・・・・」
ボエーーーー
女医「え!!?何の音?」
学者「うぅぅぅ耳鳴りが・・何だ?急に?共鳴音みたいだな」
女医「あわわ恐くなってきた・・はやく出よう?」
学者「はいはい!付き合ってくれてありがとう」
---魔女の塔地下への入り口---
教授「気は済んだか?」
学者「ハハ時間を忘れてしまって・・もう日暮れだね」
教授「私は鍵を閉めてから森の町で行くから早く帰りなさい」
女医「遅くまですみませんでした」ペコリ
教授「良いんだよ・・大学に帰ったら論文を出してくれれば良い」
学者「・・・多くの人の目に触れる事になるのは良いのかな?」
教授「私の所で止めれば問題ない」
学者「論文かぁ・・苦手なんだよなぁ・・」
女医「授業料はしっかり払わないとね?」
学者「心臓が痛くなってきた・・・うぅぅぅ」
女医「・・・そっちは反対」
学者「あ!まちがったこっちだ・・・うぅぅぅ」
---森の町宿屋---
ガヤ ガヤ
店主「いらっしゃいませ森の町の宿屋へようこそ!学生さんですか?」
女医「あ、はい!!そうです」
店主「他の皆様は食事が済んでくつろいでいらっしゃいます」
女医「そうですか」
店主「お部屋の方へお食事を運びますので一番奥の部屋に入っていてください」
女医「わかりました」
(ガリ勉が帰ってきたぞ)
(美人の女医も一緒だぜ?)
(一緒の部屋に泊まるのかな?)
(そんな訳ないだろう)
女医「学者君・・噂になってるね」
学者「ハハ僕はそんな事どうでも良いよ・・早く今日の事を忘れないようにメモしたいんだ」
女医「何か発見はあったの?」
学者「すぐにはわからないけど・・もう一回古文書と予言の書を見直したい」
女医「熱心ね」
学者「あと大学の書庫にあった始まりの国の叙事詩・・気になる文言が沢山あってね」
女医「文言?」
学者「夢幻の世界の話さ・・魔王を倒した勇者が残したらしいけど・・夢幻の世界に返った仲間の事を書いてるんだ」
女医「へぇ〜」
学者「そんなの作り話だと思ってたけど・・鏡の中の精霊の像を見て少し考えが変わった」
女医「不思議な鏡だったね」
学者「もしかすると夢幻の世界というのはあの鏡の向こうに存在してるんじゃないかって・・」
女医「私には良く分からない事ね」
学者「もしもの話さ・・もし存在してるとするとすごい発見だと思う」
---
教授「私が寝る部屋は君達と同じ部屋だ・・さすがに面倒見役とはいえ2人きりにする訳にはいかん」
女医「フフ学者君は私になんか興味は無い様ですよ?」
学者「・・・現実と夢幻が同時に存在するとしたら共通してるのは時間か?まてよ・・・」ブツブツ
教授「学者君!そろそろ食事を食べたらどうかね?」
学者「今考え事をしてるんだ・・邪魔しないで欲しい」ブツブツ
女医「ほらね?あの調子フフ」
教授「何か発見は合ったのかね?」
学者「・・そうだ!教授!教えて欲しい事が・・」
教授「何だね?」
学者「あの場所は長期間保存されていたにしては状態が良すぎる・・誰か住んでたんじゃないかな?」
教授「・・・君は鋭いね・・あそこが解放されたのはつい数週間前の事だよ」
学者「え!?じゃぁ教授も始めて?」
教授「私は数年前に一度王国に許可を貰って調査をしに行った事がある・・その時はある女性が管理人をしていた」
学者「ある女性?」
教授「話によるとその女性は失踪した様だ・・それ以降王国が遺跡調査の為だけにあの場所を開放している」
学者「その女性は噂に聞く魔女?かな?」
教授「さぁ?王国はその辺の話は機密事項としている・・しかし噂の魔女であった可能性は高いな」
ガタン!!
学者「教授!!酒場で聞き込みがしたい」
教授「君は休まんのか?」
女医「教授?お酒は少しなら心臓病に良いとされています」
教授「んむ・・では一杯だけ飲みに行こうか・・・だが学者は食事を先に食べろ」
学者「わかった!!今すぐ食べる!!」パク パク
---酒場---
マスター「いらっしゃいませー」
娘「3名様ですね?こちらへどうぞ」
学者「マスター!!早速だけど・・魔女の塔に住んでいた魔女について話が・・」
教授「これこれ・・慌てるな」
マスター「はははは・・飲み物はいかがされますか?」
教授「ハチミツ酒が有名と聞くが?」
マスター「森の町の特産です。皆さん同じもので?」
教授「うむ・・ハチミツ酒はここで造っているのかな?」
マスター「はいそうです。すこし北にある遺跡の森に沢山花が咲くのでハチミツが良く取れるんですよ」
女医「どうして沢山花が咲くのかな?」
マスター「何でもその遺跡は200前はお城だったらしくて異世界から勇者が光臨したという伝説があるんです」
マスター「だから尋ねに来た旅人達が花を添えて行ったのが沢山花が咲く由縁と言われてるんです」
マスター「その後その遺跡には魔女が住み着いて・・」
学者「そうだよ!その話が聞きたい!魔女はどこに行ったのかな?」
マスター「随分前から居るようですが最近姿を消したとか?」
学者「どんな魔女だったのかな?」
マスター「愛しの人を待ってるとか・・悪い魔女では無かった様です・・花畑を良く世話していました」
学者「それだけ?」
マスター「はい・・私が知ってるのはそれくらいしか・・そうだ!!」
学者「!!?」
マスター「その魔女は常に若くて美人だったと聞いています・・それが魔女と呼ばれる由縁だとか」
学者「若い魔女かぁ・・随分前からっていう話と食い違うね」
マスター「まぁ噂話しですから・・・それと関係は無いですがこの森の町では昔から神隠しがありまして」
学者「神隠し・・関係の無い話は興味が無いなぁ・・それより異世界から勇者が光臨した話しの方が・・」
教授「・・まぁその話は古文書にある以上の話は出ないぞ?」
学者「異世界っていう所に引っかかる・・始まりの国の叙事詩では夢幻の世界となってる」
教授「学者君!君も夢幻の世界に興味があるか・・ますます私の研究を見せてあげたい」
学者「ハハ教授と趣味が一緒とはね・・」
マスター「さぁ!!ハチミツ酒だよ」
女医「乾杯しましょう!」チン
学者「教授!?もしも・・・ここに居た魔女は夢幻の世界に帰ったと考える・・・これは考えすぎかな?」
教授「学者君!!もうその話は今日は止めにしよう」
女医「そうよ!!たまには息を抜きなさいね?」
学者「ハハわかったよ・・明日ゆっくり話そう」
教授「では乾杯!」チン
学者「はいはい!」チン
---翌日---
教授「・・では生徒全員気球に乗ったら中立の国まで出発する」
女医「学者君はまたこの気球ね?・・・こんどは自分で乗ってね」
学者「わかってるよ・・よっこらせと」ヨロ
女医「フフ良い子ね」
学者「子ども扱いしないでくれるかな?体は小さいけど君とそんなに変わらないよ」
教授「私は別の気球で始まりの国へ寄ってから帰る・・女医君!学者君の面倒を頼むよ?」
女医「わかりました」
教授「まぁどうせ何もやる事はないがな・・学者君!私が帰ったら尋ねて来なさい」
学者「聞きたい事が沢山あったのになぁ・・」
教授「論文で纏めておけば良い」
学者「うわ・・・・・」
女医「フフ」ニヤ
ゴゴゴゴゴゴ フワフワ
---気球---
ヒョーーーーウ
女医「私が話を聞いてあげても良いよ?」
学者「はぁぁぁぁぁぁお腹がすいた」
女医「あなたらしくないね?」
学者「僕は肉が好きなんだ・・森の町の食事は野菜ばっかりじゃないか」
女医「その方が体には良いと思うけど?」
学者「バーベキューがしたいなぁ・・」
女医「あ!!そういえば気球でバーベキューする夢を見たことがあった!!」
学者「お!!?良いね!!」
女医「今日は気球に乗ってる皆でバーベキューでもしてみようか?」
学者「賛成!!」
---
ジュー ジュー
学者「んまい!!」モグモグ
女医「気球でバーベキューって最高ね・・風は気持ち良いし空気は美味しいし」
学者「こうやって話をしながら食べるんだよ」モグモグ
女医「何か話す気にはなったの?」
学者「僕はね・・長生きがしたい・・一回走ってみたいんだ」モグモグ
女医「え?走る?」
学者「そうさ・・僕は生まれつき心臓が悪くて走った事が無いんだ・・でも夢では走った事がある」
女医「夢の中で走る・・」
学者「お願いがある・・君の作った麻痺薬を使って僕の心臓の手術が出切る様に計らって欲しい」
女医「それは・・・」
学者「頼むよ・・こんなの君にしか頼めない・・なんなら君が僕の手術をしてくれても良い」
女医「私は自分が作った麻痺薬に自信はあるけど大学がそれを許すか・・」
学者「君の家でやれば良い・・大学に保管してある僕の血は僕の友達に盗ませる」
女医「失敗したら私に責任が・・それからあなた?死ぬのが恐くないの?」
学者「死ぬよりも目的を果たせないのが恐い」
女医「目的?」
学者「そうさ・・僕は大事な話をするよ?」
女医「うん」
学者「この世界はもうすぐ終焉してしまう・・僕はそれを止める」
女医「終焉?どうして?」
学者「勘だよ・・僕の勘は不思議と当たるんだ」
女医「勘だなんてあなたらしくない」
学者「実は・・教授には言ってないけど魔女の塔の地下で見つけた物があるんだ・・メモを取ってきた」
”やぁ・・元気にしてるかな?
”きっとこの手紙を読むのは君達からしたらすぐの事なんだろうね
”君達に大事なことを伝えたくて僕は長老に無理を言って
”僕1人で200年前よりもう少し昔に飛んだんだ
”君達が居なくなった後のことを先に書く
”君達が200年前に戻った後も元の世界は何の変化も無かったんだ
”世界中でゴーレムが暴れだし、魔王の予言どおり僕達は辺境の村で生き長らえた
”仲間が1人、又1人戦死していく中で僕は古文書の解読を進めてやっとすべて解読した
”結論:命の源の呪いを解くのが遅すぎた
”呪いを解いてもすべての浄化まで100年掛かるらしい
”だから君達にもう一度命の源に刺さってる魔槍を抜いて呪いを解いてほしいんだ
”実は200年前の世界にはまだ銀が発見されていない
”でも君達は持ってる・・勇者が持つ銀の剣と僧侶が持つ銀のロザリオ
”魔王を倒す為には勇者の銀の剣で心臓を貫けば良い
”命の泉の呪いを解くのには僧侶が持ってる銀のロザリオを使えば良い
”それで未来は変わる筈だ
”ドラゴンのオーブをここに残すから役に立てて欲しい
”今この世界に来て僕はやっと目が覚めた・・ここが現実の世界
”そして君達の事も良くわかる・・勇者と精霊と導く者・・それが君達だ
”僕達のすべてが君達の心の中にある・・それこそが勇気だ
”やっとすべてが揃った・・世界を頼む
”夢幻の住民より
学者「何だと思う?」
女医「何かしら?」
学者「僕はこの手紙の内容こそ預言者が勇者達残した物だと思ってる・・ここには夢幻の住民としっかり書いてる」
女医「それと終焉とどんな関係が?」
学者「予言の書さ・・もうすぐ予言の時間切れが来る・・僕はその時世界が終焉すると見てる」
女医「どうしてそうなるの?」
学者「きっと世界は現実と夢幻の2つ有る・・流れてる時間は一緒・・それが一つになるのが予言の時間切れの時」
女医「この手紙からはそんな事読み取れないわ?」
学者「なら何故それ以降の予言が無い?予言を残した人はそれほど馬鹿じゃない・・魔王ですら予言出来ないんだ」
女医「え・・・・つまり終焉?」
学者「それしか考えられない」
---中立国立大学---
ゴーン ゴーン ゴーン
(終わりの国の噂聞いたか?)
(なんだよ?)
(奇病が流行ってるらしい)
(へぇ〜恐いねぇ)
(中立の国まで来なければ良いな)
女医「あ!いたいた!学者君!!探したんだよ?」
学者「ん?あぁ女医か・・どうしたんだい?」
女医「どうしたのその顔?具合悪いの?」
学者「ハハハちょっと寝てないだけさ・・古文書と各地の伝承を漁っててね」
女医「睡眠不足は心臓に負担よ?」
学者「わかってるさ・・でもつい時間を忘れちゃってね・・それより僕の心臓の手術の件どうかな?」
女医「大学は良い反応してない・・教授に相談しないと・・」
学者「君がやってくれれば良い話さ・・成功したら一生君の犬になっても良いよ」
女医「犬!?フフ良いのかな〜?私のペットでも?」
学者「頼むよ・・僕は走ってみたいんだ」
女医「・・それより教授が帰って来たの・・あなたを迎えに来たのよ」
学者「おぉ!!待ってたんだ・・随分遅い帰りだね・・早く行かないと」
女医「ほら・・車椅子押してあげる」グイ
---教授の研究室---
女医「入ります・・」
教授「あぁ女医君か・・学者君も居るね?」
学者「教授!!聞きたい事が沢山・・」
教授「すまないが非常事態が起きてる・・終わりの国の噂を聞いたかね?」
学者「え!?奇病が流行ってる?」
教授「そうだ・・カラスを媒体とした伝染病だ・・感染するとゾンビの様に彷徨う様になるらしい」
学者「カラス?ゾンビ?・・終わりの国の叙事詩で読んだ事がある」
教授「まさか現実になるとは私も思っていなかった」
学者「作り話じゃないという事かな?・・・叙事詩も予言を秘めてる?」
教授「・・・私は調査の為に終わりの国へ行かなければならない・・・」
学者「いや・・聞きたい事が沢山・・」
教授「学者君・・君にこの研究室の鍵を預けよう・・書物を読み漁って構わない・・それで十分な筈だ」
学者「え?あ・・・それはありがたい」
教授「それから君の心臓の手術の件は・・女医君に一任しよう」
女医「え?私に?」
教授「手遅れになると手術事態出来ない体力になる・・その前に術を執行した方が良いという見方もある」
学者「ハハハなかなかに休めないね」
教授「君も気づいているだろうが・・各地の叙事詩も未来の事を歌った物は無いのだよ」
学者「え!?そうだったんだ・・教授!1つ質問が・・」
教授「1つだぞ?私はもう行かなければならない」
学者「世界は終焉に向かっていると思いますか?」
教授「・・・私の研究では世界は虚無へと向かっている・・そしてそれはもうすぐ起ころうとしている」
学者「どうしてそれをもっと早く発表しないの!?」
教授「質問は1つだけと言った筈だ・・学者君!君の成果を期待している」スタスタ
学者「教授!!」
女医「あ〜行っちゃった・・学者君?あんまり騒がない様にね?」
学者「はぁはぁ・・わかってるさ」
---
学者「女医!心臓の手術はどれくらいの時間が掛かる?」
女医「麻痺薬の効果が12時間・・心臓の穴の状態にも寄るけど多分10時間以上は掛からないと思う」
学者「その後はどれくらいで目が覚める?」
女医「麻痺薬の効果が切れたら目が覚める筈」
学者「痛いのかな?」
女医「術が成功すれば痛みは皮膚と骨の痛みが2〜3日」
学者「よし!教授の研究室で君に手術をお願いしたい・・道具は揃ってるだろ?」
女医「・・・私の言う通りに体を休めないと術はしてあげない」
学者「何でもいう事聞くよ」
女医「それから術には助手も必要だけど・・」
学者「良い友達が居るんだ・・盗賊っていう名前でね・・手先がすごく器用なんだ」
女医「あと自己血は何処にあるの?」
学者「盗賊に盗んで来てもらうさ・・盗みの腕は世界一だよ・・きっと」
女医「わかった・・5日後に術を執行するから5日間は私の言う通りにしてもらうわ」
学者「君にすべて預ける」
---5日後---
盗賊「学者!死ぬなよ?」
学者「ハハハ僕は新たに生まれるのさ」
女医「麻痺薬を打つよ?」
盗賊「女医!頼むぜ?」
女医「盗賊さん?あなたには最後の縫合をお願いするわ・・手先の器用さが命になるの」
盗賊「ぬはは器用さはまかせろ・・一瞬で縫い合わせてやる」
女医「学者君?麻痺薬を打ったら私の手を強く握ってね」
学者「ハハそんなに寂しがりやじゃないよ」
女医「良いから言う事を効いて・・いくよ?」チク
学者「イタタ・・そんな所に打つなんて聞いてないよ・・・」ぎゅぅぅぅぅ
女医「おやすみ・・ぐっすり寝ててね・・3・2・1・・・」
学者「良い夢見れ・・る・・か・・・・なぁ」スゥ
”ナイフ・・止血薬・・ハサミ
”こっちを持って
”氷でもっと冷やして
”出血した量はこっちに入れて管理
”一袋目の自己血液を用意して
”失敗しないように確実に進めるわ
”汗・・ハサミ・・その道具取って
”・・ここ摘まんで
---
---
---
---
---
---数ヶ月前---
店主「いらっしゃいませ夜分遅く港町の宿屋へようこそ」
旅人「部屋空いてるかな?」
店主「お客様・・申し訳ございません只今満室でございまして・・」
旅人「じゃぁ・・他の宿屋を紹介してもらえるかな?」
店主「・・相部屋でよろしければお泊まり出来るかもしれませんが・・」
旅人「相部屋かぁ・・それも良いかな・・お願いするよ」
店主「では少々お待ちください・・聞いてまいります」
---数分後---
店主「相部屋のお相手様に了解を得てまいりました・・・ただ・・・」
旅人「ただ?」
店主「酔っ払いで御座いまして・・お客様が介抱する事になりそうですが・・」
旅人「ははは良いよ・・屋根の下で寝れるだけで十分だよ」
店主「ではご案内いたします・・本日のお食事は終わっておりますので明日の朝までお待ちください」
旅人「あぁ無理言ってすまないね・・こっちの部屋で良いのかな?」
店主「かなりの酔っ払いですのでお気をつけ下さい・・それでは失礼します」
---
ガチャリ バタン
??「んががががすぴ〜〜んががががすぴ〜」
旅人「や、やぁ・・相部屋になったんだけど失礼するよ?」
??「むにゃ〜んん?」
旅人「大分酔っ払ってるみたいだね」
??「あならはられ〜〜?ウフフ」
旅人「僕は旅人さ」
??「たびひとさ〜んみずがほしいかも〜〜ひっく」
旅人「あぁ・・水かい?ちょっと待って・・」ゴソゴソ
??「わたひのみすぎたみたひ〜〜ウフフ・・シクシク」
旅人「はいはい・・ほら水だよ?」
??「ふぇ〜ん・・」グビグビ
旅人「水を飲んだら休んだ方が良いかな・・そんな所で寝てると風邪をひくよ」
??「グスグス・・・・ぐがががすぴ〜〜ぐがががすぴ〜」
旅人「・・・やれやれ・・よっこらせっと」グイ
(宿屋の店主も見知らぬ男女が同じ部屋に泊まる事になるって分かってるのかなぁ・・)
---翌朝---
チュン チュン
??「ふぁ〜〜あ〜んんんん・・・ん!?」キョロ
??(あれ?・・誰?)
??(もしかして・・)
??(夢かな?・・もう一回寝よう)
??(・・・・・)スヤ パチ
??「ふぁ〜〜あ〜んんんん」キョロ キョロ
??(おかしいなぁ・・又夢だ)
??(この人誰かなぁ?)
??(どうしてだっこして寝てるんだっけ?)
??(え〜っと・・お酒を飲んだ後・・)
??(覚えてないよぅ・・困ったなぁ・・)
??(動いたら気が付かれるかなぁ・・)
??(こういう時どうしたら良いのかなぁ?)
旅人「んんん〜・・・」ガバッ!!
旅人「うお!!なんでこっちのベットに!!」
??「・・・・・」パッチリ
旅人「起きてるじゃないか・・・いつの間にこっちのベットに?」
??「・・・・・」モジモジ
旅人「昨日は随分飲んだみたいだね・・相部屋になったの覚えてる?」
??「・・・・・」フリフリ
旅人「いや・・この状況はマズイな・・君いつの間に裸になってる?」
??「え?え?え?」バサ バサ
旅人「ぼ、僕はまだ何もしてないよ!?・・昨日の晩に相部屋になってここで寝てたら・・いつの間にか一緒に寝てる・・」
??「・・・・・」ジロリ
旅人「ほ、本当だよ・・早く服を着て・・目のやり場に困る」
??「・・・・・」スルスル シュルリ
旅人「と、とりあえず・・僕の名前は旅人さ・・世界を旅してる・・君は?」
??「僧侶・・・」
旅人「やぁ僧侶・・君は昨日の事何も覚えてないのかい?」
僧侶「・・・・・」コクリ
旅人「本当に僕は何もしてないよ・・信用して?」
僧侶「・・・・・」ジロリ
旅人「ちょちょっと宿屋の店主を呼んでくるよ・・昨日の説明を・・」
僧侶「あ!!だめぇ・・逃げないと」
旅人「逃げる?」
僧侶「お金無いの〜」
旅人「え!?お金無いのに宿屋に泊まってる?」
(なるほど・・それで相部屋にされた訳か)
僧侶「どうしよう・・どうして宿屋に泊まってるのかなぁ?」
旅人「さぁ?飲みすぎて運ばれたんじゃないかな?」
僧侶「ねぇねぇ旅人さん?私に仕事無いかなぁ?」
旅人「はは・・何か訳がありそうだね・・どうしたのかな?」
僧侶「教会の司祭様に『7つの大罪』を祓う修行をさせられるの〜・・逃げて来ちゃった」
旅人「そんなに厳しい修行なのかい?」
僧侶「怒り・羨み・大食い・淫乱・怠け・傲慢・貪欲が全部禁止なの〜」
旅人「それは聖職者としての・・」
僧侶「ダメダメダメダメ・・わたしには無理・・一緒に逃げようよ〜」
旅人「ま、まぁこういう出会いも有りかな?1人旅も寂しいしね」
僧侶「わ〜い!宿屋の代金もお願いね〜ウフフ」
(まぁかわいい子だし良いか・・)
---
店主「昨日は大変でしたねぇ・・」ニヤリ
旅人「はは・・よくある事ですよ・・お陰で宿代出す事になりました」
店主「これから御2人でどこか行かれるのですか?」
旅人「あちこち見ながら始まりの国の方へ行って見ようかと」
店主「道中はウルフが出ることがあるのでお気をつけ下さい」
旅人「ありがとう。よく覚えておくよ」
店主「・・ではお気をつけて行ってらっしゃいませ」
---街道---
テクテク トコトコ
僧侶「ねぇねぇ何処行くの〜?」
旅人「ちょっとお金を稼ぎにね」
僧侶「どうやって稼ぐのかなぁ?」
旅人「このリュートだよ・・僕は吟遊詩人でもあるんだ」
僧侶「すご〜い!!・・・でもね〜教会の方には行って欲しくないの〜」
旅人「わかったよ・・あ!そうだ君のその格好は見るからに僧侶だ・・少しお洒落しよう」
僧侶「え!?本当本当?ワクワクしてきた〜ウフフ」
旅人「この町の洋服屋さんは何処なのかな?」
僧侶「こっちこっちぃ〜」
---店---
店主「いらっしゃいませ」
旅人「女性用の派手じゃないお洒落な洋服を探してるんだ」
僧侶「わたしが着るの〜ウフフ」
店主「奥の部屋で気に入った洋服があったら持って来て」
旅人「・・・だってさ・・僧侶?選んでおいで」
僧侶「わ〜い!!」
---数分後---
僧侶「どう〜ウフフ」
旅人「まぁ良いんじゃないかな?似合ってるよ」
僧侶「これに決めた〜ウフフ」
旅人「今まで着てた聖職者の服は売ってしまって良いよね?」
僧侶「オッケ〜」
旅人「もしかしたら聖職者の服の方が高く売れるかもしれない」
僧侶「そうなの〜?」
旅人「そういう趣味の人が居るからね」
旅人「店主さんこの聖職者の服の買取もお願い」
店主「わかりました・・それなら新しい洋服の御代は結構です」
旅人「それは良かった・・ありがとう」
---広場---
旅人「じゃぁこの辺りで・・」
僧侶「私は見てるだけで良いの〜?」
旅人「君はおひねりを集めてくれれば良いよ」
僧侶「は〜い」
旅人「じゃぁいくよ?」
ポロロン〜♪
(あそこで吟遊詩人がリュート奏でてるぞ)
(あぁ晴れやかな音色)
(今度は体当たりする様な音色だ)
(歌声も良いわね)
観客「ヒューヒュー」
旅人「ありがとう御座いました」
僧侶「すご〜い!!金貨がいっぱ〜い!!」
旅人「君がかわいいからっていうのもあるよ」
僧侶「え!?わたしかわいい〜?ウフフもっと言って〜」
旅人「観客に囲まれる前に引き上げよう・・おいで!」グイ
僧侶「は〜い」アタフタ
---
旅人「これでしばらくは食事には困らないかな・・贅沢できないけど」
僧侶「ねぇねぇさっきの歌は何の歌〜?」
旅人「あれはねキマイラにされたエルフの歌なんだ」
僧侶「へぇ〜そんな話し聞いたこと無いなぁ」
旅人「ははは僕が作曲したんだよ」
僧侶「想像したの?」
旅人「夢でそういうのを見たことが合ってね・・それを歌にしたんだ・・他にも沢山あるよ」
僧侶「わたしも歌いたいな〜」
旅人「じゃぁ今日から教えてあげるよ・・君にもしっかり稼いで貰わないとね」
僧侶「わ〜い」
---町外れ---
ブルル〜 ヒヒ〜ン
僧侶「お馬さんも居たんだね〜」
旅人「もう港町を出てしまうけど・・本当に良いのかな?」
僧侶「どうして〜?」
旅人「君は港町を出てしまって良いのか?って事」
僧侶「良いの〜わたしは孤児だし行く所が無いの〜ウフフ」
旅人「君は変な子だね・・」
僧侶「そうかなぁ?」
旅人「まぁ良いか・・面倒を見てあげるよ・・帰りたくなったら言ってくれれば良い」
僧侶「は〜い」
旅人「始まりの国へ行くには1泊野営する事になるけど・・」
僧侶「もう行こうよ〜退屈〜」
旅人「・・・要らない心配だったか」
僧侶「お馬さん高いたか〜〜い!!ウフフ」
---林道---
僧侶「ねぇねぇ旅人さん?」
旅人「なんだい?疲れたかな?」
僧侶「違うの〜なんかね〜旅人さんって名前が格好悪いと思うの〜ウフフ」
旅人「はぁ?・・いきなり人の名前にケチを付けるのかい?」
僧侶「ホラもっとさぁ・・勇者とか剣士とか格好良い名前が良いと思うんだ〜」
旅人「・・・ま、まぁ名前なんかどうでも良いよ」
僧侶「吟遊詩人さん?・・長いなぁ・・」
旅人「・・・そろそろ野営する場所を探そう」
僧侶「ねぇねぇ騎士さんでどう?そしてわたしが姫」
旅人「あ、あのねぇ・・姫じゃないのに姫は無いじゃない?」
僧侶「え〜〜〜ずるい〜〜〜」
旅人「まぁ君は僧侶で良いよ・・その方が呼びやすい」
僧侶「雰囲気出ない〜〜ぶぅぅぅぅ」
旅人「君は本当に困ったちゃんだね・・まぁ好きなように呼んでもらって良いよ」
僧侶「じゃぁ騎士って呼ぶね〜♪わたしは姫ね〜ウフフ」
旅人「・・・だから君は僧侶で良いよ・・街中で姫って呼ぶのが恥ずかしいじゃないか」
僧侶「ず〜る〜い〜ず〜る〜い〜」
旅人「ホラ!!あの木陰で野営しよう!!手伝って」
---野営---
メラメラ パチ
騎士「僧侶!野営の準備はなかなか手馴れてるね・・びっくりしたよ」
僧侶「ウフフ〜なんとなくそうかな〜なんてね〜」
騎士「君は旅は初めてじゃないな?」
僧侶「始めてだよ〜」グゥ
騎士「お腹空いたかい?・・港町で肉を買って来てるんだ」
僧侶「すご〜い!!今日はご馳走かなぁ?」
騎士「・・今日は?・・・って始めてじゃないか」
僧侶「ウフフ〜わたし間違ったかなぁ?」
騎士「まぁ良いよ・・焼いて食べよう」
僧侶「は〜い」
ジュージュー
僧侶「おいひい〜」パクパク
騎士「・・・聖職者が聞いて呆れる・・君に大食いを禁止するのは無理だね」パクパク
僧侶「わたひもそうおもう〜」モグモグ
騎士「なんか今日始めての野営とは思えないな」
ガルルルル
騎士「!!?」ガバッ!!
僧侶「うわわわわ・・どうしたの〜?」
騎士「ウルフだ!!周りに何匹か居る!!僧侶僕の背後に!!」
僧侶「え?え?え?」アタフタ
騎士「焚き火の周りから離れないように」
僧侶「こわいよぅ・・」オロオロ
騎士「僧侶?君は何か魔法を使えるかい?」
僧侶「回復魔法と罠魔法」
騎士「よし!ウルフが見えたら罠魔法で捕まえて」
僧侶「出来るかなぁ?」
騎士「僕の武器は帯剣しか無い・・1匹倒すのが限度だ」
僧侶「あわわわ・・来たぁぁ・・罠魔法!」ザワザワ シュルリ
ウルフはツタに捕えられた
騎士「よし!!3匹居るから見つけ次第罠魔法を!!」ダダダ ザク!
ウルフを1匹倒した
僧侶「罠魔法!罠魔法!」ザワザワ シュルシュルリ
騎士「はぁ!!」ダダダ ザク! ザク!
ウルフを2匹倒した
僧侶「も、もう良いかなぁ?」
騎士「僧侶!凄いじゃないか!!君のお陰で助かったよ」
僧侶「え?えへへ〜わたしって凄い〜?ウフフもっと言って欲しいなぁ」
騎士「君が居ると旅も安心だよ・・驚いたよ」
僧侶「ウフフ〜」
---
騎士「罠魔法で周りを囲ってしまうなんて考えたね?」
僧侶「これで安心して寝れるね〜」
騎士「・・でも狭いな」
僧侶「ふぁ〜あもう眠いから先に寝るね〜」
騎士「え!?そんなにくっついて寝て良いのかい?」
僧侶「すやすや・・ぐぅ」
騎士「はは・・本当に困ったちゃんだ」
---翌日---
ブルル〜 ヒヒ〜ン
騎士「もうすぐ始まりの国に付く筈・・夕暮れまでには到着するかな?」
僧侶「ぐぅすぴ〜ぐぅすぴ〜」
騎士「のん気だなぁ・・」
僧侶「むにゃむにゃ」
騎士「まぁでも居てくれて良かった・・色々とホッとする」
僧侶「んん〜??何か言った〜?むにゃ」
騎士「何でも無いよ」
僧侶「お腹空いて来たよぅ〜」
騎士「今晩は宿屋でお泊りさ・・ごちそうが出るかもね」
僧侶「ごちそう!!」ガバッ
騎士「うわわっと・・急に動かないでよ馬がビックリするよ」
僧侶「あぁぁぁヨダレが騎士の背中にべっとり〜ウフフまぁいっか〜」
騎士「え!?ちょ・・拭いてよ」
僧侶「乾くから良いと思う〜」
騎士「・・・怠け者の聖職者かぁ・・はは」
僧侶「何〜?」
騎士「なんでもないよ」
---始まりの国---
騎士「到着!!まだ夕暮れまで時間がある・・少し散策しよう」
僧侶「は〜い」
騎士「ここは坂道が多いね・・疲れちゃうかな?」
僧侶「お城から町が見渡せる様になってるんだね〜」
騎士「始まりの国のお城は塔が2つ突き出してる・・あそこに姫とかが居るのかな?」
僧侶「姫!?良いな良いな〜ウフフわたしも住んでみたいなぁ〜」
騎士「あっちの建物は何だろう?」
僧侶「新しい建物みた〜い」
騎士「噂に聞く始まりの国魔法学校・・かな?」
僧侶「そうカモ〜」グゥ
騎士「お腹減ったかい?」
僧侶「大丈夫〜ウフフこの国にはどれくらい居る予定なの〜?」
騎士「決まってないけど・・2〜3週間ここで流してみようかなと・・」
僧侶「流す?歌うという事かな〜?」
騎士「そうだよ・・この国の噂を聞いて歌を作るんだ」
僧侶「へぇ〜広場でやるの〜?」
騎士「広場とか酒場とか・・もしかしたらお城に呼ばれるかもね」
僧侶「わたしも歌の練習する〜」
騎士「良いね・・最初は鼻歌からで良いよ」
フン フン フ〜ン♪
---広場---
騎士「それではおとぎ話の歌を聴いてください『武闘会』」ポロロン〜♪
騎士「次は『時の旅人』」ジャララン♪
騎士「続いて『200年の恋』
『正義の闇商人』
『ドラゴンを乗せた海賊船』
『空翔る女海賊』
『キマイラの心』
『ゴーレムの叫び』
『魔王との対決』
『巡り合えたら』
(はぁぁぁステキ〜)
(心に響く歌だ)
(爽やかな声の中になにか感じるわぁ)
(すごい吟遊詩人が来たな)
僧侶「はぃはぃありがとうございま〜すウフフ」
観客「ネーチャンにもおひねり入れとくぜ!!」ジャラリ
僧侶「うふふのふ〜投げチュ投げチュっと」
騎士「僧侶!そろそろ引き上げるよ?」
僧侶「は〜い」
---宿屋---
僧侶「ねぇねぇ騎士の歌ってさぁ?全部自分で作ったの〜?」
騎士「んん?そうだよ」
僧侶「おとぎ話の歌なのにね〜不思議と聞き入っちゃうんだ〜」
騎士「ははは・・ありがとね」
僧侶「いつ歌を作るの?」
騎士「ん〜急に思い出したみたいに10分くらいで出来る事もあるよ」
僧侶「へぇ・・すごいね」
騎士「後は夢かな・・よく不思議な夢を見るんだ」
僧侶「わたしはいつもぐっすり眠れる〜」
騎士「良いじゃない・・健康的で・・僕なんかいつもうなされるよ」
僧侶「どんな夢?」
騎士「僕が声を出せなくなる夢さ・・ホラ歌えなくなると困るしね」
僧侶「そうだね」
騎士「あと牢屋で捕まえられてたり・・良い夢はあまり見ないんだ・・」
僧侶「どうしたら夢見れるかなぁ?」
騎士「ん〜何かを考えながら寝る?・・・あれ?・・・こんな会話をした事ある気が・・」
僧侶「ほえ?」
騎士「おかしいな君とはまだ会ったばかりなのにね・・うあ!!」
僧侶「なななな・・」
騎士「まだ会ってそんなに経ってないのに宿屋で同じ部屋なんだけど・・」
僧侶「そういえばそうだね〜オオカミさんになるの〜?」
騎士「いや・・そんなつもりは無いけど・・良いのかい?」
僧侶「1人部屋で寝るのは寂しいカモ〜」
騎士「はは・・まぁ良いなら良いんだ・・」
(なんだろう?この子とははじめてじゃない気がする)
騎士「じゃぁ今日はそろそろ寝よう・・明日からしばらく歌を流そう」
僧侶「は〜い・・おやすみ〜」
---1週間後---
ポロロン〜♪ ジャララ〜ン♪
(うおぉぉぉみなぎってきたぁ!!)
(俺も勇者になる!!)
(魔王は一体どこにいる?)
(居る訳無いだろ?それより感傷に浸れよ)
(はぁぁ涙が止まらないのぉ・・)
僧侶「まいどあり〜ウフフ投げチュ投げチュっと」
騎士「引き上げるよ?」
僧侶「は〜い」
騎士「僧侶?君の歌も中々だよ・・いつもの倍以上稼げてるよ」
僧侶「わ・た・し・の・お・か・げ?」
騎士「ははは半分以上は君の稼ぎだね」
僧侶「ねぇねぇこの稼いだ金貨でさぁ〜カジノで億万長者にさぁヌフフフフ」
騎士「・・・あのねぇ・・・君は聖職者なんだからもっとね・・」
僧侶「退屈退屈退屈退屈退屈退屈・・・」
騎士「まいったね・・貪欲な聖職者かぁ・・君はやっぱり7つの大罪を祓う修行を・・」
僧侶「え〜〜〜〜ぶすぅぅぅ」
伝令「そこの者!!お前達2人はさすらいの吟遊詩人であるな!?」
騎士「え!?あ・・僕達?」
僧侶「は〜い」
伝令「始まりの国女王陛下様と謁見の名誉を伝えに参った」
騎士「僕達が女王様に?」
伝令「女王陛下様はお前達の叙事詩を聴きたいと申されておる」
騎士「いや・・それは光栄ですが・・僕達にそんな・・」
僧侶「ウフフ〜お城に入ってみたいな〜♪」
伝令「これが祝賀会の書状である・・3日後に予定している故遅れぬように参れ」パサ
騎士「・・・あの僕たちは礼席の衣装とか無いので・・」
伝令「女王陛下直々に謁見できるチャンスは二度と無いと思え」
騎士「はぁ・・・」
---3日後---
僧侶「騎士〜わたしはこの衣装で良い?」
騎士「ははは・・君の衣装代で稼ぎがパーだよ」
僧侶「うふふのふ〜こんな衣装着たの始めて〜」
騎士「僕は地味だなぁ・・」
僧侶「早くお城に入りたいな〜ワクワク」
騎士「・・・外歩くのが恥ずかしいよ」
僧侶「わたしは騎士のどっち側に居れば良いのかなぁ?」
騎士「僕の左側・・かな?」
僧侶「ワクワクするよぅ」
騎士「あまりはしゃがない様にね・・」
---城門---
門番「止まれ!ここは始まりの国王様の城である」
門番「身分の無い物を通す事は出来ん」
門番「何か身分を示す物はあるか?」
騎士「祝賀会に呼ばれました・・これが招待状です」
門番「お前達・・噂の吟遊詩人か?・・・しばし待たれよ」
門番「衛兵!見張っておけ!」
衛兵「ハッ!!」
---数分後---
門番「お待たせした・・衛兵!門を開けよ!!」
衛兵「ハッ!」
ガラリゴロリガラリゴロリ
門番「祝賀会はもう時期始まる予定である・・城門を抜け真っ直ぐ本城へ入るが良い」
騎士「はい・・ありがとう御座います」
僧侶「門番さんありがと〜う」
門番「女王陛下様も列席する故失礼の無いようにな」
僧侶「は〜い」
騎士「・・・・・」
---祝賀会---
僧侶「うわぁ〜〜すごぉ〜い」
騎士「ははは・・僕達には場違いだよ」
僧侶「飲み物と食べ物自由に取って良いのかなぁ?」
騎士「自由みたいだね・・お酒はまだ飲んだらダメだよ?」
僧侶「うぅぅ・・後で飲んでも良いかなぁ?」
騎士「歌が終わった後なら良いよ・・飲み過ぎないようにね」
僧侶「は〜い」
---
僧侶「おいひい〜」パクパク
騎士「・・食べるのも控えめに・・」ヒソ
僧侶「なんれ〜?」パクパク
騎士「お腹が張ると声が出にくくなるよ・・君も歌ってもらわないと」
僧侶「だいじょ〜ぶぅぅぅ」モグモグ
執政「失礼ですが噂の吟遊詩人様ですね?」
騎士「あ・・はい」
執政「私は始まりの国の執政をしている者です・・まもなく女王陛下様が来席なされます」
騎士「どうすれば?」
執政「本日の祝賀会は女王陛下様の誕生記念となっております」
騎士「はい」
執政「式辞が済んだ後に案内します故、会場の中央にて叙事詩の披露をお願いします」
騎士「分かりました」
執政「平素の通りの演奏で構いません・・よろしくお願いします」
---式辞---
執政「・・・女王陛下様御成ります」
パチパチパチパチ
執政「それでは・・・」
僧侶(カーテンの向こう側で良く見えないなぁ)ヒソ
騎士(そうだね顔が見えないね)ヒソ
僧侶(目の所に何か付けてるよ〜)
騎士(仮面・・かな?)
僧侶(女王陛下様ってお婆ちゃんなのかなぁ?)
騎士(たたずまいからしてそう見えるね)
僧侶(なんかドキドキしてきたよぅ・・)
騎士(いつもどおり歌えば良いさ・・自信を持って良いよ)
執政「女王陛下様の計らいにより本日は吟遊詩人による叙事詩の披露があります」
騎士(僧侶!行くよ!)
僧侶(は〜い)
執政「来場の皆様におかれましては叙事詩を聴きながら御歓談をお勧め下さい」
---
騎士「これは夢の世界の物語〜♪」ポロロン〜♪
僧侶「フンフン〜フン〜♪」
騎士「題して『魔王は一体どこにいる』〜♪」ジャララ〜ン♪
『大剣の黒騎士の歌』
『正義の闇商人の歌』
『世界一の泥棒の歌』
『不死身の戦士の歌』
『カラス使いの歌』
『愛の魔女の歌』
『空翔る女海賊の歌』
『聖なる勇者の歌』
『捕われし精霊の歌』
女王「・・・・・」パチパチ パチパチ
執政「!!?」パチパチ パチパチ
パチパチ パチパチ パチパチ パチパチ
女王「そこの吟遊詩人よ・・わらわに近こう寄れ」
執政「女王陛下様・・かの者は一般人に御座います」
女王「構わぬ・・わらわは別室でもっとよく叙事詩を聴きたいのじゃ」
執政「はぁ・・如何されましょう?」
女王「わらわの居室へ連れて参れ・・他の者は呼ばんで良い」
執政「承りました・・」
執政「これ吟遊詩人・・褒美をとらす故この執政に付いて参れ」
騎士「は、はい・・」
僧侶(女王様は喜んでくれたのかなぁ?)ヒソ
騎士(・・どうかな?もっと聴きたいと言ってるみたいだし気に入ってくれてるんじゃないかな?)
---女王の居室---
執政「・・では女王陛下様・・私共は居室の外でお待ちします」
女王「よい・・下がれ」
執政「何か有りましたらお声を願います」
女王「・・・吟遊詩人達よ・・・わらわにもう一度叙事詩を聴かせるのじゃ」
女王「知っている叙事詩をすべて演奏せよ」
騎士「は、はい・・」
ポロロン〜♪
ジャララン〜♪
---
---
---
---
---
---
女王「・・・素晴らしい演奏じゃ・・・涙が出てきよる」
騎士「あ、ありがたき幸せに御座います」
女王「じゃが問題が有る・・・何故叙事詩の中に我が王国の秘密が歌われておるのじゃ?」
騎士「え!?」
女王「鏡の中の精霊の詩は王国の重要機密じゃ・・一般人では知り得ない事なのじゃ」
騎士「いや・・何故と言われても・・」
女王「それから聖なる勇者の眼が青い事を何故知っているのじゃ?」
騎士「・・・これはおとぎ話でありまして・・」
女王「わらわの眼を見よ・・」ガチャン
僧侶「鉄仮面が外れた・・」
騎士「眼が・・・青と赤?」
女王「わらわがこうして眼を隠さねばならぬのは勇者の末裔である事を隠すためじゃ」
騎士「なぜ隠す必要が?」
女王「世間では勇者の眼は黒色となっておる・・しかしそなた達の詩では青いと言って居るのう?」
騎士「それは想像した詩なので・・」
女王「勇者の末裔は常に命を狙われる宿命・・故に眼の色は黒色であるとしてきたが・・」
騎士「・・・」ゴクリ
女王「そなた達の詩で事実が表に出てしまうじゃろう・・そなた達は何者じゃ?」
騎士「世界を旅する吟遊詩人・・」
女王「嘘を申すでない!!他にも王国の秘密がいくつも歌われておる」
僧侶「え?え?え?」
女王「後ろの壁画を見よ・・魔王を滅ぼした3人の勇者達じゃ」
騎士「・・・あれは・・・僕か?」
僧侶「アレ〜??わたしも居る〜」
女王「そなた達は3人の勇者のうち大剣の騎士と精霊の如き僧侶に良く似ておる・・なぜこうも一致するのじゃ?」
騎士「え?・・あの・・分からない・・です」
女王「わざわざ叙事詩の披露を願ったのはわらわじゃが・・」
騎士「・・・」ゴクリ
女王「尋問せねばならぬ」
騎士「それはどういう事でしょうか?」
女王「素晴らしい演奏を聴かせてもらい・・・感涙の限りじゃが・・・機密を外に出す訳にはゆかぬ」
騎士「・・・そんな」
僧侶「え?どうしてそうなるの?」
女王「衛兵!!」
ガタン!!
衛兵「女王陛下様!!何事で御座いますか!?」
女王「この両名を捕えよ!!手厚く監禁するのじゃ!!王族用の塔を使用して構わぬ」
騎士「え!?ちょちょ・・」
僧侶「え〜〜〜騎士ぃ〜〜」
衛兵「ハッ!!吟遊詩人の両名!!女王陛下様より監禁の命令が出た・・これより王族用の塔へ連行する」
騎士「あの・・僕達本当に何も知らずに・・」
僧侶「ふぇ〜ん・・騎士ぃ〜」
衛兵「案ずるな・・牢獄では無い・・命に関わるような事は無いのでおとなしく付いて来い」
騎士「・・・・・」
---王族の塔「最上階」---
僧侶「うわぁぁぁいフカフカのベット〜♪」ボヨン ボヨン
騎士「・・・君の夢が叶って良かったじゃないか・・」
僧侶「お姫様みた〜いウフフ」
騎士「んん〜・・でも監禁されてしまった」
僧侶「おいしい食事も食べ放題〜」
騎士「良いのか・・悪いのか・・」
僧侶「わたし達ずっと監禁されるかなぁ?」
騎士「どうかな?疑いが晴れるまでは出れそうに無いね・・」
僧侶「見て見て〜町が良く見えるよ〜ウフフ」
騎士「ははは・・ここはすごく安全な場所だね・・誰もこんな所には来れないよ」
僧侶「すごく高〜い」
騎士「遠くまで一望出来るね・・景色は最高か・・・」
僧侶「ねぇねぇしばらく満喫したいカモ〜ウフフ」
騎士「君は気楽で良いねぇ・・」
僧侶「騎士は考えすぎだと思う〜」
騎士「・・・はは・・そうかも知れないね・・君の言うとおりだ」
僧侶「ねぇねぇもっと歌教えて〜」
騎士「わかったよ・・・まず鼻歌から始めよう」
フンフン〜フン〜♪
---数日後---
ポロロン〜♪
ジャララン〜♪
騎士「良いね!!」
僧侶「本当に〜?ウフフ〜うれしいカモ〜」
騎士「ちょっと休憩しようか」
僧侶「は〜い」
騎士「それにしても・・何度知らないと言っても出して貰えないね」
僧侶「そろそろココも飽きてきたなぁ〜」
騎士「君は尋問の時に辱めは受けてないかい?」
僧侶「辱めってなぁに〜?」
騎士「裸にされるとかさ・・」
僧侶「服は脱がされたけど相手はお婆ちゃんだったよ?」
騎士「はは・・なら良いんだ」
僧侶「アレレ〜?心配してくれたのかなぁ?」
騎士「そりゃ心配さ」
僧侶「うふふのふ〜良い気分カモ〜」
ガタガタガタ
騎士「ん!?」
僧侶「あわわわ・・あそこの石が動いてるぅぅ」
騎士「何だろう?」
ゴトリ
??「シーーーーーッ!!」
騎士「え!!?・・・君は?」
??「夜まで待って」
騎士「・・・ココから出してくれるのかい?」
??「又来る」
僧侶「なんかワクワクしてきたぁ!!」
騎士「・・・こんな所に隠し通路が有ったのか」
僧侶「さっきの子誰かなぁ?仮面してたね」
騎士「きっと王族の1人だね・・ひょっとしたら姫かもね」
僧侶「姫!!?良いな良いな〜〜」
騎士「怪しまれないように歌を続けようか」
僧侶「は〜い」
---夜---
騎士「今日は満月だ・・夜なのに明るい」
僧侶「はぁぁぁぁ捕われの姫・・」ウットリ
騎士「・・浸ってる場合じゃないよ?」
僧侶「満喫してるの〜ウフフ夜風が心地良い〜」
騎士「・・・・・」
??「シーーーーーッ!!・・・ここから出るよ」
騎士「!!?君は?」
??「その話は後だ・・付いて来て」
騎士「僧侶!!浸ってないでもう行くよ」
僧侶「わたしを何処かに連れて行くのね〜〜ウフフ」
??「良いから黙って付いて来て!!」
騎士「この通路は?」
??「王族の避難用通路だ・・北の林まで続いてる」
騎士「抜け出してしまって良いのかな?」
??「ボクが母上に叱られれば済む事だよ」
僧侶「ボク?・・・あれ?ボク?」
??「何かおかしい?」
騎士「君は姫だね?」
姫「そうだよボクは始まりの国の姫だよ」
僧侶「え?え?え?・・・ボク?」
姫「よし!!衛兵に気付かれてない・・ここから走るよ」
騎士「わかった」タッタッタ
姫「照明魔法!」ピカー
僧侶「わお〜明る〜い」
---林の中の洞窟---
騎士「はぁ・・はぁ・・」
僧侶「ひぃ・・ひぃ・・」
姫「ふぅ・・ここまで来れば・・」
僧侶「へほ」
ブルル〜 ヒヒ〜ン
騎士「馬が・・」
姫「馬を用意して置いた・・このまま北へ行けば森の街に行ける」
騎士「ありがとう・・姫?どうしてこんな事を?」
姫「母上は王国の言い伝えを勘違いしてるのさ」
騎士「言い伝え?」
北の森に魔女の塔がある・・始まりの国はそこの魔女を200年守り続けてるんだ
初代国王・・魔王を倒した勇者の遺言でね
その魔女は言い伝えの3人の勇者の内の1人らしい
後に発見された魔王の予言では「勇者が裏切り世界を滅ぼす」と書いてある
それを信じてる人達に殺されてしまわないように・・ボクもこうやって仮面を付けてるのさ
母上はその秘密を守ろうとしてるだけ・・でもボクは君達の歌を聴いて悪い人じゃないと感じた
騎士「そんな秘密を僕たちに言っても良いのかな?」
姫「あ!!誰にも言うなって言われてたんだ・・でも言ってしまったものは仕方ない」
騎士「君は魔女に会ったことは有るのかい?」
姫「ボクは城から一歩も出れないんだ」
僧侶「なんか可哀想〜」
姫「君達の歌を聴いてボクは外の世界に触れた気がしたよ・・」ガチャリ
僧侶「あ!!仮面がぁ・・」
騎士「青い瞳・・君は女勇者だね?」
女勇者「秘密だよ?」
騎士「分かった・・約束する」
女勇者「これは歌を聴かせてくれたお礼だよ・・」ドサリ
騎士「金貨1袋・・」
女勇者「これで森の町から気球に乗って遠く離れた終わりの国に向かえば良い・・あとはボクが何とかするよ」
騎士「ありがとう」
女勇者「君達の歌は一生忘れないよ・・全部聴かせて貰った・・世界中の人に聴いて欲しい」
騎士「君はこれからどうする?」
女勇者「もと来た道を帰って母上に事情を説明する・・叱られるかなぁ」
騎士「本当にありがとう・・握手しよう」
女勇者「フフなんか照れるな・・」ぎゅぅ
僧侶「わたしもまぜて〜ウフフ」ぎゅぅ
女勇者「じゃぁ達者で」ノシ
---林道---
パカラッ パカラッ
僧侶「満月で良かったね〜」
騎士「そうだね・・夜通し走れそうだ」
僧侶「始まりの国のお姫様は男の子みたいだったね〜ウフフ」
騎士「ははは想像してた姫とは違ったかい?」
僧侶「わたしの方が姫っぽいと思う〜」
騎士「ならあんまり大食いしない方が良いかな・・」
僧侶「え〜〜〜」
騎士「カジノも禁止・・お酒も禁止・・耐えられるかい?」
僧侶「ムリムリムリムリ〜」
騎士「君はやっぱり僧侶のままで良いよ」
僧侶「ねぇねぇ〜これからの予定はどうするの〜?」
騎士「そうだな・・森の町へ行って・・一回魔女の塔も見てみたいね・・それから・・」
---終わりの国へ向かおう---
---夢---
自分「だめだ!!行っちゃだめだ!!」
??「これしか方法は無い」
自分「夜明けまでもうすぐだよ・・」
??「これが出来るのは死ぬ事のない俺だけだ」
??「あぁぁぁお姉ぇの近くまでゴーレムがぁぁ誰か助けてぇぇぇ」
??「俺が直接心臓を爆破してやる・・心配するな・・俺は死なない」
自分「くぅ・・・まだ僕は罪を償い切れて無いんだ!!誰が最後まで見届ける!?」
??「お前のせいだけでは無い・・俺も片棒を担いでいた」カチッ チリチリ
??「あ!!どうするつもり!?」
??「飛び降りる」
自分「無茶だ!!足が折れる・・回復出来る人が居ない」
??「俺は足が折れても動ける・・問題無い・・どうする事もできない場合は最後に銀で俺の心臓を貫け」
自分「待って・・ゲホゲホ」
??「後は上手くやれ」ダダダ
自分「あぁぁぁぁ・・飛行船を寄せてくれぇ!!」
??「まだ・・まだ夜が明けない・・はやくはやくはやく・・・はやくううううう!!!」
自分「くそう!!はぁ・・はぁ・・僕はなんて弱い心臓なんだ!!」
??「あぁぁぁぁぁダメーーーー・・ゴーレムに捕まっちゃう・・」
チュドーーーーーン
自分「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!・・・くそぅくそぅくそぅ・・」
??「ゴーレムが止まった!!お姉ぇは?」
自分「飛行船を降ろしてくれぇ!!」
??「居た!!お姉ぇは助かった!!」
自分「・・・銀の槍を・・・」
??「がががぐぐぎぎ・・・」
自分「うぅぅぅ・・いま・・楽にしてあげる」
ブスリ
---中立国立大学---
ゴーン ゴーン ゴーン
女医「・・・もうすぐ12時間・・そろそろ目が覚める筈」
盗賊「覚めないって事は無いだろうな?」
女医「手術は成功したわ・・後は麻痺薬の副作用が無い事を祈るだけ」
盗賊「・・それにしても自己血液全部使っちまうとはな・・」
女医「あんなに大きな穴が空いてるとは思ってなかった・・よく今まで生きてたと思う」
盗賊「心臓の薄皮を切り取ったのは問題無いのか?」
女医「それは大丈夫・・穴を塞ぐ為にはそれしか方法は無いの」
盗賊「俺が縫い合わせて良かったのか?」
女医「私がやってたら自己血液が足りなかったと思う」
盗賊「器用さが必要なんだな」
女医「そうね・・だから私は薬学専門なの」
盗賊「目が覚めたらすぐに話が出来るのか?」
女医「胸が痛いはずだから2〜3日は絶対安静・・笑わせたらダメよ?」
学者「・・・」パチ
盗賊「!!目を覚ました!!」
女医「学者君?手術は成功したわ・・安心して・・私の手を握ってみて?」
学者「・・・」
女医「ダメね・・力が入らないみたい・・どうしても痛い時は目で合図して?」
学者「・・・」パチ
女医「麻痺薬が解けるまで睡眠薬は投薬出来ないの・・ガマンしてね」
学者「・・・」パチ
---夢---
自分「皆・・聞いてほしい・・僕の心臓はもう限界だと思う」
自分「最後に一つ作戦があるんだ・・僕は残りの命を掛けて3人の後を追って200年前に行く」
??「どうやって?」
自分「長老さ・・祈りの指輪は長老に返した・・長老なら僕1人を200年前に送れる筈さ」
??「あなたの心臓は薬は1週間しかもたない」
自分「知ってるさ」
??「それで未来が変わると思ってるのか?」
自分「やっと古文書を解読したんだ・・どうやら命の泉の呪いが解けるのは100年近くかかるらしい」
??「呪いを解くのが遅すぎたという事か?」
自分「100年後にはすべての呪いが解けると思う・・でもそれまで僕達は持ちそうに無い」
??「海の上ならゴーレムからは逃れられるぞ?」
自分「大地を燃やされてしまっては僕達は営みを続ける事は出来ないよ・・それは海を良く知る君も知ってるだろう?」
??「・・なら他の島に移り住もう」
自分「そうだね・・それも有りだね・・憎悪の呪いが解かれていれば・・」
??「え!?どういう事?」
自分「避難した住民の中に機械の国と繋がってる人が居るのさ・・何人もね」
??「本当か?誰だ!?」
??「執政の息子が住民を纏め始めてるわ・・薬漬けの王子を利用してね」
??「ちぃ・・あのやろう・・」
自分「僕の最後の作戦だ・・エルフの森へ戻る」
??「あなた・・200年前に戻って預言者になるつもりね?」
自分「ハハハその通り・・まさか僕が預言者だったなんて思いもしなかったよ・・今度こそしっかり予言を残す」
---教授の研究室---
ゴーン ゴーン ゴーン
学者「女医?寝てるのかい?」
女医「ハッ・・話せるの?」
学者「心臓を刺されるのがこんなに痛いとは思わなかったよ」
女医「痛む?」
学者「死にそうなくらい痛い・・・でもすごく体が楽なんだ」
女医「手足は動かせる?」
学者「少しならね」ググ
女医「無理しなくて良いの・・少しずつで良いから・・麻痺薬の副作用だと思う」
学者「走れる様になるかな?」
女医「それは・・・」
学者「ハッキリ言って欲しいな」
女医「分からないの・・でも心臓で心配する事は無くなったと思う」
学者「面倒なペットかもしれないけどもう少し頼むよ」
女医「何かして欲しい事は有る?」
学者「そうだな・・君とキスがしたい」
女医「え!?・・それはダメ」
学者「僕は動けないからさ・・ほら・・あぁ喉が渇いたなぁ」
女医「・・・元気そうね」
学者「ペットにエサをあげないと死んじゃうよ?」
女医「もう!!」
---数日後---
盗賊「おう!!気分はどうだ?」
学者「最高さぁ・・皆こんなに楽な体してたなんてズルイよ」
盗賊「ぬははそりゃ悪かったなぁ」
学者「空気がこんなに美味しいとはね・・食事の変わりに空気を食べてるよ」
盗賊「まだ食事はダメなのか?」
学者「おかゆだけさ」
盗賊「手は動くのか?」
学者「まだ動かせない・・女医に口移しで食べさせてもらってる・・良いだろう?」
盗賊「お前!やるなぁ!ぬはは」
学者「早く教授の書物を読みたいけど・・」
盗賊「口は動くんだな?・・・俺が書物めくり機を作ってやる」
学者「おお!!・・・イタタタタ」
盗賊「待ってろ・・作り物は得意だ・・紐を口で引っ張ってめくる機械を作ってやる」
学者「良いね・・頼むよ」
---
女医「フフ勉強熱心ね」
学者「女医!次の書物を取ってくれないか?」
女医「まだ手は動かせないの?」
学者「手は少し動かせるよ・・でも自分で起き上がるのはまだ無理」
女医「麻痺がなかなか抜けないのね・・食事は自分で食べれそう?」
学者「いや・・いつもので頼むよ」
女医「今日からお肉を食べても良いのだけど?」
学者「ええ!?・・・」ゴクリ
女医「自分で食べれそうね?」
学者「わかったよ自分で食べるよ・・そのかわり自分で出来たら褒美もらえるかな?」
女医「フフ良いわ」
学者「やった!!バーベキューだ」
---
盗賊「おっとっと・・まだ足に力が入らんか?」
学者「力を入れてるつもりだけど感覚が無いんだ」ヨロ
盗賊「まぁしばらくは車椅子だな・・無理に歩こうとすると怪我をする」
学者「もうこのコルセットは外して欲しいな・・苦しいんだよ」
盗賊「胸の方はもう良いのか?」
学者「ぶつけたりしなければ痛みはそうでも無いよ」
盗賊「女医を呼んできてやる・・待ってろ」
学者「いや・・もうすぐ食事を持ってくる時間だから良いよ」
盗賊「そうか・・まだ食わして貰ってるのか?」
学者「もう自分で食べれる様になったよ・・でももう少し甘えても良いかなと・・」
女医「・・・聞きましたよ?」
学者「あ!!来てたのかハハハ」
女医「自分で食事するのも訓練の内よ?もう甘えさせないから・・」
学者「ハハまいったな・・ところで女医?・・このコルセット外して貰えないかい?」
女医「んん〜そろそろ良いかな〜上薬草も貼り換えたいし・・」
グイ グイ ドサリ
学者「すぅぅぅぅはぁぁぁぁ・・・楽だ」
女医「傷は痛まない?」
学者「痛いよ?でもガマン出来る」
盗賊「・・・胸部の形が随分変わってしまったな・・本当に大丈夫か?」
女医「これは直るまで何年も掛かると思うの・・傷の方は問題ない見たいね」
学者「よし!これで書物を読むのがはかどりそうだ」
女医「まず食事してからね?あなたの好きなお肉も有るよ」
学者「・・もう褒美は貰えないかな?」
女医「それはペットの飼い主が決める事」
学者「・・まいったな」
---
女医「あら?・・このメモ書きは学者君が書いたの?」
学者「え?あぁ・・それは僕が手術の間に見た夢をメモしたものだよ」
女医「夢?・・・術中に夢を見るんだ・・・興味のある話ね」
学者「ハッキリとした夢でさ・・忘れない内にメモしたんだよ」
女医「どんな夢だったの?」
学者「僕が仲間を見殺しにしてしまう夢さ・・心臓を突いて殺してしまった」
女医「・・・メモにはゴーレムと書いてるけど・・ゴーレムって?」
学者「巨人のバケモノだよハハハ・・でも只の夢さ」
女医「こっちのメモ書きは?」
学者「それも他の夢のメモさ・・僕が預言者になる夢だよ」
女医「夢の中まで預言者を追ってるのね?」
学者「そうだね・・夢の中でも心臓が悪いんだ・・君も出てきたよ」
女医「私が?」
学者「夢の中でも君が僕の世話をしてくれてたよ」
女医「200年前に行くと書いてあるけどこれは?」
学者「僕が預言者になる為に200年前に行く作戦・・・まったくバカバカしい」
女医「夢ねぇ・・」
---
・・・すごい・・・教授はこんな事も考えて居たのか
断片的な叙事詩を繋ぎ合わせると一つの物語になるなんて
教授はこれを夢幻の歴史と考えてる
・・夢幻の起源は精霊が封印されてから始まってるのか
ただこれは仮説だな
古文書に書かれてる歴史とは確かに異なる
ただ共通する所が多い・・・まてよ共通するのは魔王の予言が共通する
銀の発見、ドワーフの滅亡、機械の国の滅亡・・これは闇の国の事か?
でも証拠が一つも無い・・だから発表出来ないんだ
・・・これは・・・虚無についての論文
そういえば教授は世界は虚無へ向かってると言ってたな・・
虚無とは無限の空間?万物の根源?難しいな・・
---
ドタドタドタ ガチャリ
女医「大変!!・・・はぁはぁ」
盗賊「うお!!どうした!?」
学者「女医らしくないじゃないか・・そんなに慌てて」
女医「教授が亡くなったの・・」
学者「ええ!!?」
女医「終わりの国で例の奇病の薬を研究していて・・教授本人が血清の実験台に・・」
学者「教授が死んだ・・・」
女医「私は教授の代わりに終わりの国へ行かないといけないの」
盗賊「おいおい・・学者はどうするんだ!?」
女医「学者君は・・・」
学者「もちろん僕も連れて行ってくれるよね?君のペットだ」
盗賊「俺も行くぜ・・学者の車椅子は俺が押してやる」
女医「私は忙しくなるけど・・学者君の事も心配」
学者「僕には君が必要さ・・どこでも付いていくよ」
女医「ごめんね面倒見切れなくて」
学者「良いんだ君には感謝してる・・出来るだけ手間は掛けないから僕を置いていかないで」
女医「うん・・わかった・・明日の朝の船に乗るから必要なもの準備しておいて」
盗賊「俺が準備してやる」
学者「僕は教授が残した書物と古文書があれば十分さ」
---翌日---
盗賊「よし!荷物は全部積んだぞ」
学者「何から何まで済まないね・・」
女医「本当はもう少し安静にしていて欲しかったんだけど・・」
学者「僕は大丈夫さ・・すごく気分が良いんだ」
盗賊「船は揺れるがな」
学者「潮風が美味しいよ・・こんなに海がきらめくなんて今まで気が付かなかったよ」
盗賊「やっぱり心臓の病気が良くなると違うか?」
学者「体が動けばおもいっきり走ってみたいね」
女医「きっと走れる様になる・・」
学者「その言葉信じても良いかな?」
女医「・・・・・」
学者「ハハ・・良いんだ・・それでも僕は生きてる感じがする」
盗賊「さぁ!!乗るぞ」
学者「あ!!渡り鳥の群れだ・・南から来るのかぁ」
女医「ほら・・行きましょう」
---船---
学者「この船だと終わりの国までどれくらいかかる?」
盗賊「7〜10日だな・・割と早い民間船だ」
学者「僕は甲板が好きだな」
盗賊「そんなに潮風に当たって良いのか?」
学者「客室に篭っているよりは全然良いよ・・ここで寝ても良いくらいさ」
女医「嵐にならなければ良いけど・・」
盗賊「う〜む少し雲行きがあやしいな・・」
学者「クラーケンが出たりして?」
盗賊「そんなもの居ねぇぞ」
学者「証明できるかい?」
盗賊「もし居たら1匹で100年分のイカ焼きが出来るかもな」
学者「おぉぅ・・食べてみたいね・・バーベキューにも良さそうだハハ」
---嵐---
ザブ〜ン ザブ〜ン
盗賊「・・いや大したことは無い・・これくらいの嵐は良くある」
女医「学者君の体を縛っておいた方が良くない?」
学者「ハハ僕は平気さ・・こうやって踏ん張るのも訓練さ」
女医「怪我はしないようにね?」
学者「急に立てるようになるかもよ?」
女医「フフそうだと良いね」
学者「もし立てたらさぁご褒美欲しいな・・・」
ドタドタ バタン
航海士「大変だ大変だ!!今すぐ明かりを消せ!!」
盗賊「ど、どうした!!?」
航海士「遠くで他の船がでかいタコに襲われてる!!」
盗賊「タコだと!?」
学者「クラーケンか・・本当に居たとはね・・見たいな」
航海士「明かりを消すのが先だ!!こっちに気付かれるとまずい!!」
盗賊「・・消したぞ・・何も見えん」
航海士「左舷方向だ!!」
学者「盗賊?肩を貸してくれないか?窓際まで行きたい」
盗賊「おう!つかまれ・・よっこらせと」
女医「気をつけて」
学者「・・・見えるかい?」
盗賊「・・・あそこだ!!航海士!!望遠鏡はあるか?」
航海士「これを使え・・後で返しに来い・・帆の操作を手伝ってもらいたい」
盗賊「わかった・・少ししたら甲板に上がる」
学者「・・・見えた!船から大砲を撃ってる」
ドコン ドコン
盗賊「遠いな・・このまま気付かれずに通り過ぎれそうだな」
学者「触手の長さが船と同じくらいある・・あんなの倒せるのかな?」
盗賊「俺にも見せてくれ・・あの船は帆が無いな・・折られたか?」
学者「機械の国の船は帆無しで進むと聞いたことがある」
盗賊「俺は甲板に行って帆の操作を手伝ってくる」
学者「僕はおとなしくしてるよ」
盗賊「女医!学者を頼む」
---翌日---
ザザー ザザー
学者「やぁ!昨晩は大変だったね・・寝てないんだろう?」
盗賊「ぬははえらくこき使われたわ」
学者「昨日とは違って今日は気持ちの良い晴れだ・・読書日和だよ」
盗賊「何を読んでるんだ?」
学者「教授が残した叙事詩のまとめだよ・・クラーケンの事も詩になってる」
盗賊「誰の叙事詩か分かってるのか?」
学者「さぁね?でも面白い詩なんだ・・クラーケンは調和を求める生き物と書いてる」
盗賊「船を襲うクラーケンに調和も何も無いだろ」
学者「もしもあの船が大量に海を汚してたとしよう・・クラーケンに襲われる理由はありそうだね?」
盗賊「・・なるほど・・知恵が有るという事か」
学者「教授の言うとおり・・叙事詩はバカに出来ないかもしれない」
女医「あら?あれほど教授に反対してたのに・・叙事詩を集める気になったの?」
学者「興味は出たよ・・」
女医「少し遅かったわね・・惜しい人を亡くした」
学者「そうだね・・もっと早く教えて欲しかった」
---
盗賊「見えて来たぞ・・あれが終わりの国の城だ」
学者「どれどれ・・噂に聞くとおり6つの塔が突き出してる」
盗賊「あの塔の天辺にドラゴンが留まるそうだ」
学者「今居るかな?」
盗賊「まだ見えねぇな」
学者「確か終わりの国のシンボルはドラゴンだったね」
盗賊「竜騎士団だな」
学者「まぁ僕には関係ない事か」
盗賊「竜騎士団長の噂は聞いたこと無いか?」
学者「どうだったかな?・・興味の無い話は忘れてしまうたちだから」
盗賊「剣術と槍術の腕は世界一だそうだ」
学者「ハハハやっぱり僕とは無縁だね」
盗賊「世界一で言えばお前の考古学も世界一かもしれんぞ?」
学者「教授には敵わないよ」
盗賊「俺の盗みの腕は世界一だがなヌハハ」
---終わりの国---
学者「ここは買い物が楽しそうな街だね・・露天が沢山出てる」
女医「なにか欲しいものが有るの?」
学者「銀細工にちょっと興味があってね」
女医「見て行く?」
学者「銀の万年筆とか欲しいな・・それから水銀も研究用に欲しい」
女医「水銀なんて露天では売って無いと思う」
学者「なら万年筆だけで良いよ」
女医「そうね・・わたしもアクセサリーを買って行こうかな」
盗賊「おう!俺も銀のダガーが欲しい」
学者「沢山あるね・・」
女医「このアクセサリーなんかどう?」
学者「良いよ・・似合ってるよ」
ポロロン〜♪
ジャララン〜♪
学者「広場の方には吟遊詩人が来てるようだね」
盗賊「聴いて行くか?」
女医「私はお城の方へ行かなければならないの」
学者「・・そうか・・じゃぁ僕達は宿屋でゆっくりしてるよ」
女医「夜には帰るから安静にしててね」
盗賊「俺が見ていてやる・・心配しないで行って来い」
---宿屋---
学者「ふぅ・・やっと落ち着いて書物が読める」
盗賊「腹減って無いか?」
学者「心臓が良くなるとお腹が空くねぇ・・おいしい物を食べたいな」
盗賊「よし!!俺が買出しに行ってきてやる・・少し待ってろ」
学者「ありがとう」
盗賊「すぐ戻るから何処にも行くなよ?」ダダダ
(この部屋は城が良く見える・・あ!!ドラゴンが塔の天辺に留ってる)
(羽を休めるのかな?・・もっと近くで見てみたいなぁ)
(・・まてよ・・なんかこの光景見たことあるな)
(本で読んだんだっけ?・・夢だったかなぁ・・)
(既視感は確か記憶の混乱で起きるんだったな・・気のせいだな)
盗賊「・・おい!何ボケっとしてんだ?戻ったぞ!!」
学者「あ、あぁ・・早かったね」
盗賊「すげぇご馳走が沢山だ!しかも安い!!」
学者「それは楽しみだ」
盗賊「これは串料理と言うらしい・・鶏肉、豚肉、牛肉」
学者「おぉ・・これは食べやすいね」モグモグ
盗賊「ビールも買って来た・・少し飲む位なら問題ないだろう!・・お前も飲め」グビビ
学者「これバーベキューより美味しいよ?」パクパク
盗賊「だろ!?」
学者「最高だね」
---夜---
ガチャリ バタン
盗賊「遅かったじゃねぇか?やっぱり大変な事になってるのか?」
女医「・・・・・」
学者「その顔は深刻だね」
女医「このまま行くと時期に大流行するわ・・この辺りのカラスを全滅させないと」
学者「カラス?」
女医「奇病の媒体になってるのはカラスだけだけど・・心配だから鶏肉は食べたらダメ」
盗賊「なぬ!?」
学者「盗賊・・・」ゴクリ
盗賊「今日串料理で鶏肉を食っちまったぞ」
女医「・・もう食べないようにしてね」
学者「感染するとゾンビになってしまうのかい?」
女医「発病すると10日程で脳の一部が壊死・・ゾンビの様に彷徨う・・本能的に動くだけのゾンビになる」
学者「薬は作れないのかい?」
女医「カラスが持ってる免疫は人間には効果が無いの・・教授が実証した」
学者「人間で免疫を持った人が現れるまで待つしか無い?」
女医「・・そう・・ネズミや豚を使って免疫テストしてるけど全滅」
学者「手が無いね」
女医「それからもっと不可解なのが・・死体もこの奇病に感染して動き出すの」
学者「僕に何か出来る事はあるかい?」
女医「ううん・・話を聞いてくれただけでスッキリした」
学者「カラスは渡り鳥じゃないのが幸いだね」
女医「早くカラスを処分しないと・・」
---翌日---
学者「カラスが多いのは露店が沢山出てるからだろうね・・」
盗賊「昼間はあまり見ないな・・活動してるのは早朝だな」
学者「今のところ街ではあまり騒いでないね」
盗賊「んむ・・嵐の前の静けさかもしれんな・・何事もなければ良いが」
ポロロン〜♪
ジャララン〜♪
盗賊「お!?又広場の方で人が集まってる・・行くか?」
学者「一回聴いてみたいかな」
盗賊「今始まったばかりだ・・正面で見れそうだぞ?」
学者「行こう」
---広場---
ポロロン〜♪
ジャララン〜♪
騎士「それでは夢の国の歌を聴いてください『武闘会』」ポロロン〜♪
騎士「次は『時の旅人』」ジャララン♪
騎士「続いて『愛の歌』」♪ラーーララーー♪ラー
『正義の闇商人』
『ドラゴンを乗せた海賊船』
『空翔る女海賊』
『キマイラの心』
『ゴーレムの叫び』
『魔王との対決』
『巡り合えたら』
(はぁぁぁ涙が出るぅぅ)
(爽やかな声と透き通る声のハーモニー)
(愛の歌がもう一回聴きたい)
(今日から俺も旅に出る!!)
僧侶「ありがと〜投げチュ投げチュっと・・」
騎士「引き上げようか?」
僧侶「ねぇねぇあそこの車椅子の人こっち見てる〜」
騎士「あ・・体が不自由なのかな?」
僧侶「車椅子の後ろに居る人が人相悪いよぅ」
---
学者「・・・・・」
盗賊「どうした?学者?おい!!もう終わったぞ」
学者「・・どうして」
盗賊「んん?もう行くか?」
学者「・・どうして僕の夢の内容が叙事詩になってるんだ?」
盗賊「んあ!?」
学者「君達2人!!」
僧侶「あ!!話しかけて来た〜」
騎士「は、はい!!何か?」
学者「君達の叙事詩は誰が創作したのかな?」
騎士「え?僕達が創作した詩だよ・・」
学者「どうして僕の夢の内容を知ってるんだ?・・君達は一体誰だ?」
騎士「!!!!!」
僧侶(あぁぁ又捕まえられるカモ〜)ヒソ
学者「何故そんなに驚く?」
盗賊「すまんが答えてやってくれんか」
僧侶「あわわわわ何も悪い事してないですぅぅぅ」
学者「どうしたんだい?そんなに慌てて」
騎士「僧侶・・逃げよう!!」グイ タッタッタ
僧侶「おたすけ〜〜」タッタッタ
学者「あ!!逃げた・・・お〜い!!」
盗賊「追うか?」
学者「・・・・・帰ろう」
---宿屋---
盗賊「おい・・どうしたんだ急に?」
学者「今日聴いた叙事詩の内容を書き残しておく」サラサラ
盗賊「お前の考古学と何か関係ありそうなのか?」
学者「・・それは分からない・・驚いたのは僕が見たことのある夢をそのまま叙事詩にしていた」
盗賊「夢?・・・ヌハハお前らしく無いじゃないか」
学者「忘れていた夢だったけど叙事詩を聴いて思い出した」
盗賊「夢は俺も見るがな・・もう覚えてない」
学者「盗賊はあの叙事詩を聴いて何か感じなかったか?」
盗賊「う〜む・・・そう言われて見るといつの間にか聞き入ってたな」
学者「それだけかい?」
盗賊「なんでだ?」
学者「あの叙事詩の内容は空想の詩ばかりだ・・でもなぜか自然に聴いてる」
盗賊「・・そういえばゴーレムの叫び声・・見たことも聞いた事も無いのにそういうもんだと納得してたな」
学者「不思議だろ?」
---翌日---
盗賊「・・・だめだ今日は吟遊詩人は来てねぇ」
学者「もう一度聴きたかった」
盗賊「逃げちまったからなぁ・・他の国へ行ってしまうかも知れんな」
学者「・・・僕を港まで連れて行ってくれないか?港で待ちながら本でも読む」
盗賊「お前は興味の有る事には努力を惜しまんな」
学者「気になるんだ・・あの吟遊詩人」
盗賊「よし!じゃぁ行くか!!」
学者「すまないね」
盗賊「お!?街道の方が騒がしいな・・なんだ?」
学者「見に行ってみようか?」
盗賊「・・そうだな」
(きゃぁぁぁぁ!!)
(ゾンビが出たぞぉぉ)
(兵隊を呼んでくれぇ)
(このゾンビ!倒せねぇ!)
盗賊「何!!ゾンビだと!?」
学者「見たい!!」
盗賊「危なくなったら逃げるからな?」
学者「分かってるよ・・あ!!あの吟遊詩人が戦ってる!!」
---
騎士「みんな下がって!!」
僧侶「誰か兵隊さんを呼んでぇぇぇ」
騎士「僧侶!!罠魔法でゾンビの動きを封じて!!」
僧侶「は〜い!罠魔法!」ザワザワ シュルリ
ゾンビはツタで動きを封じられた
騎士「だめだ・・すぐに解かれる・・罠魔法続けて!!」
僧侶「罠魔法!罠魔法!罠魔法!」ザワザワ シュルシュルリ
ゾンビは動けない
騎士「くそぅ・・倒せるか!?」ダダダ ザク!
盗賊「そんな弱腰じゃダメだ!!」
騎士「え!?昨日の・・」
盗賊「手伝ってやる!!お前は右!俺は左!」
騎士「分かった・・僧侶!罠魔法を切らさないで」
僧侶「は〜い!罠魔法!」ザワザワ シュルリ
ゾンビは動けない
ザク! グサ! ズン!
盗賊「くそぅ・・どうなってる!このゾンビ」
騎士「倒せない・・」
学者「吟遊詩人!!君はゾンビに関係する詩は歌えないのか!?」
騎士「え!!こ、こんな時に詩なんか・・」
学者「ゾンビはツタに絡まれて動けない・・歌ってみてくれ」
盗賊「おいおい!学者!!何考えてる!!」
騎士「ゾンビ・・ゾンビ・・ハッ『不死身の戦士の歌』」
ジャララ〜ン♪
盗賊「何やってんだ!こんな時に!!」
学者「良いんだ叙事詩を良く聞くんだ・・」
盗賊「・・・・・」
学者「・・・・・」
盗賊「・・・・・!!?銀で心臓を貫く?」
学者「ソレだ!!銀のダガーでやってみてくれ」
盗賊「いくぞ!!」ダダダ ズン!
ゾンビ「ヴヴヴ・・・・・」ドタリ
盗賊「おぉ・・倒れた・・」
騎士「え!?・・」
学者「どうやら僕の勘が当たりそうだ」
僧侶「騎士ぃ〜大丈夫だった〜?」
騎士「あぁ怪我は無いよ・・助けてもらってありが・・」
盗賊「凄いじゃねぇかお前!!」バシン
騎士「あだっ!!」
学者「やぁ・・又会ったね・・君達を探してたんだよ」
騎士「やっぱり捕まえる為に?」
学者「いや違うんだ・・少し話がしたいだけさ」
騎士「・・・・・」
学者「こんな不自由な体なのに捕まえれる訳無いじゃないかハハ」
騎士「僕たちをどうするつもり?」
学者「どうもしやしないよ・・バーベキューでもしながら話をしないかい?」
僧侶「バーべキュ〜♪いくいくいくいく」
騎士「僧侶・・・」
学者「宿屋に泊まってるんだ一緒に来てもらって良いかな?」
僧侶「ねぇねぇ騎士〜バーベキューだけでも行こうよ〜ウフフ」
騎士「あぁ分かったよ・・」
---宿屋---
ジュー ジュー
盗賊「ヌハハじゃぁ昨晩は俺達が宿屋に泊まってるから野宿した訳か!?」
学者「ハハハ別に取って食うつもりじゃないんだよ」
僧侶「だってさぁ〜盗賊さんの人相が悪くてさぁ〜」モグモグ
盗賊「俺はそんなに人相悪いか?」
学者「悪いね・・普通の人なら避けて通るね」
盗賊「そりゃまずいな・・どう直せば良い?」
学者「盗賊はそのままで良いんだよ」
騎士「君達の事は信用して良いのかな?」
学者「まぁ見ての通りだよ・・体が不自由な僕と面倒見の良い人相の悪い人だ」
僧侶「ウフフ〜面倒見の良い人相の悪い人ってめんどくさいね〜」モグモグ
騎士「良かった・・始まりの国では大変な目にあったから・・」
学者「随分遠くから旅をしてきたんだね」
騎士「色々あってね」
学者「僕達にはもう1人女医っていう友達が居るんだ・・夜に帰ってくる」
騎士「夜までどこへ?」
学者「今終わりの国で流行ってる奇病の調査らしい・・こっちにも色々事情があってね」
騎士「じゃぁしばらくはこの宿屋で顔を会わしそうだ」
学者「終わりの国へはまだ来たばかりかな?」
騎士「まだ3日目だよ・・2〜3週間はココに居ようかと」
学者「今日はもう叙事詩の演奏はしないのかい?」
騎士「バーベキューを食べ終わったら広場か酒場に行くよ」
学者「君達の歌をもっと聴きたいんだ・・付いて行っても良いかな?」
僧侶「良いけどおひねりはちゃんと頂戴ね〜ウフフ」
盗賊「ヌハハ強欲な僧侶だな」
---酒場---
ポロロン〜♪ ジャララ〜ン♪
(にぃちゃんもっと聞かせてくれぇ)
(おれぁよ〜死に別れた兄弟が・・)
(しめっぽくなっちまったなぁ)
(次は盛り上がるやつたのむわぁ)
マスター「お代わりはよろしいですか?」
学者「・・・・・」サラサラ カキカキ
マスター「いらっしゃいませ・・御2人様ですか?」
盗賊「おう!あそこだ・・待ち合わせしてるんだ・・美味い酒適当に頼む」
女医「いたいた・・フフ酒場でも書き物してるのね」
盗賊「学者!連れてきたぜ」
学者「・・・・・」サラサラ カキカキ
盗賊「ぬはは・・まぁ良い・・女医!あの吟遊詩人だ・・良く歌を聴いておけ」
女医「うん・・・学者君は真剣ね?」
盗賊「放っておけ・・今は声を掛けない方が良い」
マスター「ホップ酒になります・・一気にグッとお召し上がり下さい」
盗賊「ありがとよ」グビ
女医「今日お城の方で聞いた話だけど街にゾンビが出たって本当?」
盗賊「あぁ俺が倒した」
女医「あなただったのね・・どうやって倒したの?」
盗賊「銀のダガーで心臓を一突きだ・・それがどうかしたか?」
女医「銀!?・・・どうして銀を?」
盗賊「あの吟遊詩人が倒し方を知ってた・・というより叙事詩の内容がそうなってた」
女医「今お城では大騒ぎよ?どうやって倒せたのか?って」
盗賊「銀が何故効果があるか知らんが倒せたのは事実だ」
女医「・・・という事は奇病の薬に水銀が効果あるのかもしれない・・でも副作用が・・」ブツブツ
盗賊「なんだお前も酒飲む気無ぇのか・・学者と仲良くやってろ」
女医「・・あ・・ごめんね」グビ
盗賊「奇病の調査は大変なのか?」
女医「お城の方ではゾンビの処置に困ってる・・今は地下監獄に入れてるみたいだけど数が多くて困ってる」
盗賊「まぁ銀の武器で心臓突けば良いのが分かったから良いだろう?」
女医「カラスを処分しない事にはまだ数が増えると思う」
盗賊「ん〜む・・」
騎士「それでは次は『カラス使いの歌』」ジャララ〜ン♪
盗賊「お!?良い所で歌が聴けるな・・よく聞いておけ」
女医「うん・・・・」
---
---
---
---
女医「本当・・不思議な叙事詩ね?」
盗賊「何か感じたか?」
女医「カラスを餌付けするのは無理ね・・街にはエサが溢れてるもの・・でも」
盗賊「んん?」」
女医「ドラゴンの心臓を持つ者を〜♪というフレーズ・・・ドラゴンの涙の効果の事」
盗賊「万病に効く薬ってやつか?」
女医「ドラゴンの涙から血清を作るなんて考えもしなかった・・免疫だけ取り出せるのかもしれない」
盗賊「収穫有りか?」
女医「明日早速試してみる」
---数日後---
ドンドンドン
盗賊「騎士!居るか?」
騎士「・・・何かな?」
盗賊「終わりの国の竜騎士団からゾンビ討伐隊の募集が掛かってるんだ・・回復手が欲しい」
騎士「僧侶の事かい?」
盗賊「お前も一緒に行かないか?」
騎士「え?僕が役に立てるかな・・」
盗賊「僧侶だけだと来ないだろ?討伐が終われば褒美が出る・・ちょっとした金稼ぎだ」
騎士「僧侶!?君は大丈夫かな?」
僧侶「待って〜今服着るからぁ〜」
盗賊「・・・お前等こんな昼間から取り込みか?」
騎士「あ・・いや・・」
盗賊「行けそうだな?」
騎士「わ、わかったよ」
僧侶「おまたせ〜」ヨロヨロ
盗賊「・・・ヨロヨロじゃねぇか!!」
僧侶「えとね〜これはね〜ちがうの〜」モジモジ
盗賊「うるせぇバレバレだよ!!」
騎士「もう行くの?」
盗賊「10分で仕度出来るか?武器は銀の武器の配給があるそうだ」
騎士「わかった・・10分で用意する」
---
盗賊「学者!ちょいと金を稼いでくる」
学者「何処に行くんだい?」
盗賊「ゾンビ討伐隊だ・・騎士と僧侶も誘った」
学者「そうか・・」
盗賊「銀の武器の配給もあるんだ・・こんなに美味い仕事は中々無い」
学者「金貨が底を突き始めてるんだね?」
盗賊「・・・まぁ・・そういう事だ」
学者「女医にばかり宛てにする訳にも行かないね」
盗賊「んむ・・お前は車椅子で少しは動けるな?」
学者「僕は宿屋で過ごすさ」
盗賊「心配するな・・上手くやって来る」
学者「僕の為に本当に済まない」
盗賊「気にしなくて良い・・俺は少し運動がしたかった」
学者「ハハそう言って貰えると気が楽だ」
盗賊「じゃぁ行って来るな!」
---
よし・・大分まとまって来た
やっぱり教授が集めた叙事詩と共通点が多い
作者が異なるのに本筋は似た内容だ
表現が少し違うだけだな・・・
時系列で並べると通しで物語になる
地図の分布で並べると魔王の予言に近いな
解読が困難な予言の書を彼等が先に解読したとは思えない
どうしてこうも一致するんだろう・・・偶然にしてはおかしい
・・まてよ?僕が見た夢の内容もここに足せるかもしれないな
でも場所や時期が特定出来ないな・・・ん〜思い出せない・・
夢の中に出てくる人物は誰なんだろう?
顔もボンヤリしてて思い出せない・・
夢の世界・・それが夢幻の正体かな?
そうだ!古文書に夢幻の起源が確か書いてあった筈だ・・
・・魔王が滅びたもっと昔・・これだ!この項だ!
魔王が精霊を夢幻に封印したとある・・これが起源だ
時期と場所は特定して無いな・・ん?
・・この翻訳は・・精霊は石となり魂は夢幻となったとも読める
どっちが正解なんだろう?
そういえば魔女の塔の地下に精霊の像が有ったな・・
あれは何だったんだろう・・
---夜---
女医「盗賊達・・遅いね」
学者「上手くやってるさ・・きっと褒美を貰って帰って来るよ」
女医「お金の事は気にしなくて良かったのに・・」
学者「君に任せっきりだったからさ盗賊も気を使ってるんだよ」
女医「心臓の手術が成功して王国から沢山金貨を頂いたの」
学者「それは君の成果だよ」
女医「それから麻痺薬の副作用の事も・・」
学者「・・・・・」
女医「学者君?隠さないで言っておくね・・あなたはもう歩けないと思う」
学者「・・ハハ・・そんな気はしてたよ・・もう良いんだ」
女医「麻痺薬の効果は12時間・・今歩けないと言う事は麻痺薬の副作用」
学者「良いんだ!!僕は生まれ変わった」
女医「脳か神経が一部萎縮してると思う・・」
学者「もうその話はやめよう・・これからの事をさ」
女医「・・うん・・ごめんね?」
---翌朝---
女医「結局帰って来なかった・・私そろそろお城へ行かないと」
学者「行って来て言いよ・・僕は1人で大丈夫さ」
女医「宿屋の店主さんに良く言っておくね」
学者「良いから早く行きなよ・・君が居ないと奇病の薬が出来ないよね?」
女医「・・じゃぁ行ってくるね?」
学者「宿屋で待ってるよ」
---
ドタン!!
盗賊「おう!!今帰ったぞ!!遅くなって・・おい!!なにやってんだ!?」
学者「ててて・・遅かったね」
盗賊「お前傷だらけじゃねぇか!!」
学者「歩く練習してたのさ・・見て!!少し立てるんだ!!」ヨロ
盗賊「危ねぇから座ってろ!僧侶!回復魔法頼む!」
僧侶「むにゃ〜ねも〜い」
盗賊「学者!何もこんなにアザ作る程歩く練習せんでも良いだろ」
学者「平気さ・・心臓突かれる痛みに比べたらどうって事無い」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワ〜
学者「ありがとう僧侶!眠そうだね?」
僧侶「もう寝る〜むにゃむにゃ」
騎士「僕達は向こうの部屋で休んで来るよ」
盗賊「そうだな・・起きたらこっちの部屋に来い」
騎士「じゃぁ・・」
---
学者「ゾンビ討伐は上手く行ったのかい?」
盗賊「あぁ全部討伐して来た・・時間掛かったがな」
学者「何人くらいで討伐を?」
盗賊「それがだな・・人数集まらなくて結局俺達だけで行った」
学者「3人だけで全部討伐!?」
盗賊「いや・・竜騎士団長のおっさんと一緒に行ったんだ」
学者「世界一の戦士だったっけ?」
盗賊「そうだ・・団長のおっさんと騎士が前衛・・俺は僧侶の護衛」
学者「4人で討伐出来たなんてスゴイね」
盗賊「団長のおっさんが僧侶をベタ褒めだった・・竜騎士団に来いとか言ってたな」
学者「ハハハ気に入られたんだ・・それで反応は?」
盗賊「僧侶は騎士と離れる気は無えな・・即答で断わった」
学者「やっぱりか」
盗賊「褒美は後で宿屋まで持ってきてくれるそうだ・・お!そうだ!!」
学者「??」
盗賊「銀のボウガンを貰った・・これは力が無くても撃てる・・お前にピッタリだ」
学者「僕は武器なんか要らないよ」
盗賊「まぁ護身用で車椅子に載せておけ・・お前でも2発だけ撃てる」
学者「そうかい・・まぁもらっておくよ」
盗賊「騎士はえらく長い銀の両手剣を貰ってた」
学者「さっき背負ってたやつだね?」
盗賊「あいつ見かけに寄らず筋力は有る・・まぁ戦士向きだな」
学者「盗賊は寝なくて良いのかい?」
盗賊「あぁ俺も少し休む・・歩く練習は良いが怪我するなよ?」
学者「ハハ僕のことは気にするな」
盗賊「悪いが寝るな・・」
---
ドタン!
学者「つつつ・・掴まる物が無いと3歩までか・・」
学者「後で僧侶に回復してもらわないと女医に叱られるな」
学者「よいしょっ・・うわ!!」
団長「俺は竜騎士団長だ・・盗賊達の部屋はここだな?」
学者「!!!!!」
"だめだ!!行っちゃだめだ!!
"これしか方法は無い
"夜明けまでもうすぐだよ・・
"これが出来るのは死ぬ事のない俺だけだ
"あぁぁぁお姉ぇの近くまでゴーレムがぁぁ誰か助けてぇぇぇ
"俺が直接心臓を爆破してやる・・心配するな・・俺は死なない
"くぅ・・・まだ僕は罪を償い切れて無いんだ!!誰が最後まで見届ける!?
"お前のせいだけでは無い・・俺も片棒を担いでいた
"カチッ チリチリ
"あ!!どうするつもり!?
"飛び降りる
"無茶だ!!足が折れる・・回復出来る人が居ない
"俺は足が折れても動ける・・問題無い・・どうする事もできない場合は最後に銀で俺の心臓を貫け
"待って・・ゲホゲホ
"後は上手くやれ」ダダダ
"あぁぁぁぁ・・飛行船を寄せてくれぇ!!
"まだ・・まだ夜が明けない・・はやくはやくはやく・・・はやくううううう!!!
"くそう!!はぁ・・はぁ・・僕はなんて弱い心臓なんだ!!
"あぁぁぁぁぁダメーーーー・・ゴーレムに捕まっちゃう・・
"チュドーーーーーン
"うおぉぉぉぉぉぉぉ!!・・・くそぅくそぅくそぅ・・
"ゴーレムが止まった!!お姉ぇは?
"飛行船を降ろしてくれぇ!!
"居た!!お姉ぇは助かった!!
"・・・銀の槍を・・・
"がががぐぐぎぎ・・・
"うぅぅぅ・・いま・・楽にしてあげる
"ブスリ
団長「どうした驚いた顔をして」
学者「・・・すまなかった」
団長「何だ・・盗賊達の部屋ではないのだな?」
学者「あ・・いや・・」
盗賊「んん?団長のおっさんの声か!?」
団長「おっさんは余計だ・・報酬を持って来た」
盗賊「あぁちょっと待ってくれ・・騎士達も呼んでくる」
---
盗賊「・・お前等いつもあんな風に寝てるのか!?」
騎士「それは僧侶が・・」
盗賊「せめて鍵を閉めておけ!」
僧侶「盗賊さんがノックしてから入ってくるのが早いの〜」プン
盗賊「あのなぁ・・中々起きねぇから仕方なくだな・・」
盗賊「悪りぃ!遅くなった・・連れてきたぜ」
団長「昨晩はご苦労だった」
僧侶「あ〜団長おじさん〜ウフフ」
団長「おじさんは余計だ・・報酬を持ってきた3人で山分けしろ」ドサ ドサ
学者「!!?金貨2袋?」
団長「そうだ・・討伐隊はもっと大人数の予定だったが少人数で済んだから分け前が多い」
学者「ハハ凄いじゃないか・・一晩で金貨2袋なんて」
団長「終わりの国の危機を救ったのだ・・城に来てる女医にはもっと報酬が出る」
学者「え!?女医の奇病の薬は完成したのかな?」
団長「効果が確認され今は大量生産の準備に掛かっている」
学者「さすが僕の飼い主」
団長「お前は学者か?」
学者「そうだよ・・なにか?」
団長「昨晩討伐したゾンビの中に教授の遺体も含まれていた・・今日埋葬したのだが持ち物に学者宛の手紙があった」
学者「僕に?・・今有るのかな?」
団長「女医に渡してある・・ここに学者が居るとは知らなかった」
学者「そうか・・何だろう?」
団長「僧侶!竜騎士団への誘いの件は考えたか?」
僧侶「ダメ〜わたしは吟遊詩人になるの〜ウフフ」
団長「そうか・・今回のゾンビ討伐での働きは素晴らしかったんだがな」
僧侶「うふふのふ〜もっと言ってぇ〜」
団長「お前ほど罠魔法と回復魔法を回せる者は見たことが無い・・実に惜しい人材だ」
学者「ベタ褒めだねぇ」
団長「また誘いに来る・・考えておけ」
僧侶「は〜い」
団長「では・・又来る」
学者「ちょ・・ちょっと団長?」
団長「なんだ?」
学者「団長は・・その・・僕に心臓を突かれた事は無いよね?」
団長「何を言っている・・ある訳が無いだろう」
学者「ハハ・・そうだよね?ハハハ僕の勘違いさ・・ただの夢だよ」
団長「・・夢か・・そういえば心臓を突かれる夢は良く見る・・相手が学者かどうかは知らん」
学者「・・・・・」
団長「もう良いか?俺は忙しい」
学者「あぁ引き止めてすまなかった」
団長「では・・」
---
僧侶「うふふふふふふ・・私たちお金持ちぃぃぃ〜」ジャラジャラジャラ
騎士「・・盗賊が1袋、僕と僧侶で1袋・・それで良いかな?」
盗賊「おい!それだとお前等の分け前が少ねぇ・・均等に分けよう」
騎士「僕達は良いんだ・・始まりの国でも金貨1袋貰ってる」
盗賊「なぬ!?金には困って無かったのか?」
騎士「街で歌うだけでやっていけるんだよ」
僧侶「ねぇねぇカジノ行こうよ〜億万長者になりたいよ〜」
騎士「だ〜め!!」
僧侶「ぶすぅ・・」
騎士「・・というか2袋とも盗賊達が使っても良いよ」
盗賊「それはいくらなんでも貰いすぎだ・・俺なんかゾンビ2体しか倒してねぇ」
学者「こうしないかい?」
騎士「ん?」
学者「船でも買って皆の物にしよう・・そして世界を自由に旅をする・・どうだい?」
騎士「え!?」
学者「君達の吟遊詩人の旅に僕も一緒に行きたいな・・気ままにね」
僧侶「わお〜面白そ〜うウフフ」
学者「大海原で歌う叙事詩も良いと思わないかい?風が聴いてくれる」
騎士「・・それも良いかな?」
盗賊「おお!!みなぎってきたぞ!!売ってる船が無いか見てくる!!」
騎士「ははは・・じゃぁ船は盗賊に任せるという事で」
---夜---
ガチャリ バタン
学者「あ!女医!!おかえり」
女医「ただいま・・ゾンビ討伐の話聞いたよ・・すごいじゃない!!」
盗賊「ぬははえらい儲けた」
学者「金貨2袋も貰ったんだ」
女医「良かったね・・あと竜騎士団長から手紙を預かってきたよ・・教授から学者君宛だとか」パサ
学者「何が書いてるんだろう?」
女医「わたしにも見せてくれる?」
学者「一緒に見ようか・・」
”学者へ
”私が死んだ時の為にこの手紙を残す
”考古学の研究を続け私の後を継げ
”私の研究成果は学者に託す
”叙事詩を収集し夢幻の謎を解け
”その為には機械の国の歴史が不可欠だ
”機械の国の古文書を探せ
学者「・・・機械の国の古文書」
女医「前から教授が探してたのはこれだったんだ」
学者「知っていたんだ?」
女医「探してる書物があると言ってたの」
盗賊「機械の国は海を挟んだ向こう側の大陸だ・・こっちの大陸と違って治安は良くない」
学者「丁度船を買うんだし行ってみたいな」
女医「え!!?船を買うの?」
学者「ゾンビ討伐の報酬で皆の船を買うという事になったんだ」
女医「騎士達2人と一緒に旅に出るつもり?」
学者「ダメかい?」
女医「ダメとは言えないけど・・最低あと2週間は安静にしていて欲しい」
学者「そんなにすぐ船が買えるとは思ってないさハハ」
女医「もう!勝手に決めるなんて・・」
学者「もちろん君にも来てもらうつもりなんだけどさ・・もうすぐ奇病の薬も完成だよね?」
女医「私も一緒に?・・・」
学者「そうだよペットの面倒を見るのは飼い主じゃないか」
女医「世話の掛かるペットね・・」
学者「ハハ今の答えは一緒に来る・・って事だ」
女医「もう!!」
---街道---
ポロロン〜♪ ジャララ〜ン♪
盗賊「学者!!こんな所に居たのか・・はぁはぁ」
学者「ハハ少し外に出てみたくなってね」
盗賊「お前車椅子はどうした?」
学者「宿屋に置いて来た・・掴まる物が有れば少しは歩けるんだ」
盗賊「膝が血だらけじゃないか」
学者「これくらいどうって事無いさ」
盗賊「女医は歩いて良いと言ってるのか?」
学者「僕が歩く練習してる事は秘密さ・・うるさいから・・言うなよ?」
盗賊「その傷じゃすぐバレるだろう」
学者「這った後の傷と言えば良い・・ここまでは殆ど這って来てるし」
盗賊「・・そうか・・膝宛を買って来てやる」
学者「その手が有ったね」
盗賊「・・ところで船の件だが譲って貰えそうなんだ」
学者「どんな船だい?」
盗賊「貨物船なんだがマストが折れた中古船だ・・直せば乗れるらしい」
学者「君に直せるのかい?」
盗賊「俺1人じゃ無理だな・・騎士に手伝って貰おうかと」
学者「貨物船は遅いよね?高速船に改造出来るかい?」
盗賊「ん〜む・・俺は造船の知識は無い」
学者「じゃぁ僕が設計するよ・・力学の知識はあるんだ」
盗賊「そうか!じゃぁ船のスケッチを描いて後で宿屋に持って行く」
学者「待ってるよ・・じゃぁ戻ろうかな」
盗賊「背負ってやるか?」
学者「良い・・自分の事は自分でやりたいんだ」
盗賊「じゃぁちょっと待て!膝宛だけすぐ買って来てやる」
学者「ハハすまないね・・頼むよ」
---宿屋---
学者「・・・・・」カキカキ
女医「学者君?何書いてるの?」
学者「船の設計図さ・・貨物船を高速船に改造するんだ」
女医「見せて貰える?」
学者「ほら・・マスト1本で出来るだけ早い船にしたいんだ」
女医「マストが凄く長いんじゃないの?」
学者「ソコは考えてるよ・・貨物船で船底が割りと安定してるから長いマストでも力学的に問題無い」
女医「船の大きさの割りに大きな帆になるのね」
学者「大きな横帆の他に縦帆が沢山付くから帆だらけの船になるね」
女医「フフあなたは考古学以外でも活躍できそうね」
学者「興味があればねハハ」
女医「元気が出てよかった・・」
学者「明日から昼間は船で過ごすんだ・・楽しみだよ」
---船---
盗賊「・・・よし!マスト立てちまえば後は楽だ」
騎士「ぜぇぜぇ・・」
盗賊「良い運動になっただろ?」
騎士「こんな長いマスト良く手に入ったね・・大型船並みだね」
盗賊「団長のおっさんに無理行って軍船用のマスト売ってもらったんだ」
騎士「船のバランス悪くないかな?」
盗賊「それは知らん!学者の設計だ・・・にしてもなげぇな」
学者「大丈夫だよ・・貨物はカラ同然だから」
盗賊「次は帆を掛ける!騎士!!休んでる暇無えぞ!?」
騎士「人使いが荒いなぁ・・」
僧侶「元気が出る歌を歌ってあげようか〜?ウフフ」
盗賊「おう!頼むわ!!」
ララララ〜♪ララ〜♪
---宿屋---
女医「お城の方へは挨拶を済ませてきた・・」
学者「もう奇病の薬の件は良いんだね?」
女医「後はカラス退治が残ってる様だけど私達には関係ないって」
学者「じゃぁ明日予定通りに出発できるね」
女医「みんな準備は終わったの?」
学者「今盗賊達が船に荷物を積みに行ってる」
女医「じゃぁ私も薬の買い付けに言って来るね」
学者「薬?」
女医「私のペットに投薬実験するの」
学者「え!!?まさか・・僕?」
女医「正解!良い子になる薬と世話が掛からなくなる薬」
学者「ハハ・・まぁ好きなように・・」
---翌日---
盗賊「さぁ!!乗った乗ったぁ!!」
僧侶「わお〜変なお船〜ウフフ」
騎士「帆を広げると本当にバランス悪そうな船だね」
学者「それが早さの秘密さ」
女医「フフ楽しみね・・どれくらい早いか」
盗賊「全員乗ったなぁ!!騎士!!碇を上げるの手伝え!!」
騎士「あぁ分かった〜!!」
僧侶「しゅっぱ〜つ!!」
---南の大陸へ---
---船---
ザザー ザザー
僧侶「ねぇねぇどうして学者君は紐で繋がれてるの〜犬みた〜い」
盗賊「学者は足が不自由だから海に落ちないようにしてる」
学者「ハハ犬とは上手い事言うね・・僕は女医の犬さ・・ロープで繋いだのも女医だよ」
盗賊「まぁ仕方無いな・・この船は速度は速いが船の傾きがキツイ」
学者「寝るときはハンモックを使わないと体をあちこちぶつけるよ」
盗賊「僧侶も落ちないようにな」
騎士「これは船の淵にロープを張っておいた方が良いね」
盗賊「騎士!!やっといてくれ」
騎士「わかった!!」
僧侶「ロープだらけになっちゃうね〜ウフフ」
---
盗賊「これが世界地図・・こっちが海図だ」
学者「真っ直ぐ機械の国に向かうと岩礁地帯を通る事になるんだね」
盗賊「あぁ・・そこは迂回した方が良い」
学者「それなら一旦中立の国を経由した方が良さそうだね」
盗賊「そうだな・・水食料の補給はして置いた方が無難だ」
学者「じゃぁ一旦寄って行こう・・教授の部屋に戻って資料を取って来たいんだ」
盗賊「中立の国まで1週間・・そこから機械の国まで20日程・・まる1ヶ月掛かるな」
僧侶「ねぇねぇ見て〜」
盗賊「なんだ?」
僧侶「後ろからドラゴンさんが追いかけて来るの〜」
盗賊「んん?・・・ありゃ団長のおっさんだな」
学者「見送りかい?」
盗賊「そうかもしれん」
学者「あれが竜騎士の本来の姿か・・すごいね」
ギャオース バッサ バッサ
盗賊「うお!!あぶねぇ!!・・・もうあんな所に」
学者「ハハあんなのにやられたらたまらないねぇ」
盗賊「良い大人が危ねぇ事しやがる」
僧侶「みたみた〜!?投げチュしてきたよ〜ウフフ」
盗賊「おっさんの投げチュなんかいらねぇよ!!」
---
ポロロン〜♪ ジャララ〜ン♪
学者「海の上で聴く叙事詩も良いもんだね」
僧侶「おひねりもお忘れなく〜♪」
盗賊「おい!!焼けたぜ!!食い時逃すと硬くなんぞ!!」
学者「バーベキューかな?・・あれ?串焼きなんだ」
盗賊「ヌハハ終わりの国の露店をマネてみたんだ・・食ってみろ」
僧侶「パクッ・・」モグモグ
学者「おいしいよ」パクパク
女医「鶏肉は無いでしょうね?」
盗賊「それはカエルの肉だ安心して食え」
僧侶「!!?乙女にカエルの肉を?・・・」おぇぇぇ
盗賊「美味そうに食ってたじゃねえか!・・それからお前は乙女じゃねぇ・・どっちかというと痴女だ」
僧侶「痴女ってなぁに〜?ウフフ」
盗賊「良いから食え!!」
---中立の国---
盗賊「・・・1日だけ中立の国に寄って行く騎士と僧侶は街の方へ出ても良いが明日には戻れ」
僧侶「は〜い」
騎士「わかったよ・・夜は宿屋でゆっくりして良いのかな?」
盗賊「好きにしろ」
学者「僕は一回教授の研究室へ行くよ・・女医?車椅子押してもらって良いかな?」
女医「わたしも大学に挨拶しに行かないと」
盗賊「学者と女医は一緒に行動してくれ・・俺は物資の補給をしておく」
女医「あ!盗賊?お願いがあるの」
盗賊「なんだ?」
女医「金貨5袋あるからこれで油を買っておいて」
盗賊「うお!!金貨5袋って・・大金じゃねぇか」
女医「機械の国で油を売れば倍になるの・・・そうでしょ?学者君?」
学者「中立の国は油の産地だから物価が安いのさ・・他のどの国で売っても儲けが出るよ」
盗賊「それにして金貨5袋は買い過ぎじゃないか?」
学者「油は水に浮くんだ・・他に使い道はいくらでもあるよ」
盗賊「まぁよく分からんが・・油を買っておけば良いんだな?」
女医「船に積めるかな?」
学者「元は貨物船さ・・何でも入るよ」
---
女医「学者君は何を探してるの?」
学者「機械の国に関する調べがあった筈なんだ」ガサゴソ
女医「あまり交易の無い国よね」
学者「うん・・どんな国なのか事前に知っておきたいよね・・あったこれだ!」
女医「噂では便利な機械が沢山あるらしいけど」
学者「あの国の資料は極端に少ないんだ・・まぁ海の向こうっていうのもあると思うけど」
女医「えーと・・確か辺境の国もあったよね」
学者「そうだね・・王の居ない蛮族だとか・・騎士がそこの出身らしい」
女医「じゃぁ騎士に話を聞くのが早そうね」
学者「そうだね・・明日聞いてみるかな」
女医「探し物はこれで終わりかな?」
学者「うん・・次は君の用事を終わらせて今日は宿屋で休もう」
女医「そうね」
---船---
盗賊「待ってたぜ〜ちいと紹介したい奴が居るんだ」
学者「ん?誰かな?」
盗賊「・・・こいつだ・・女盗賊だ」
女盗賊「どうも・・」
盗賊「船の操作が俺と騎士の2人だけだと厳しいんでな・・女盗賊にも手伝ってもらおうと思ってな」
学者「やぁ女盗賊・・行き先は機械の国だけど良かったのかな?」
女盗賊「私は事情が合って少し中立の国から離れたいんだ」
学者「ハハヘマしたのかな?」
盗賊「まぁそんな所だ・・1人増えるだけで大分楽になる」
学者「まぁ旅は仲間が多い方が楽しいね」
盗賊「女盗賊の本業は情報屋だ・・向こうでも役に立つぞ」
学者「それは強力な助っ人だね・・よろしく女盗賊」
女盗賊「こちらこそよろしく」
学者「騎士と僧侶はまだ来てないかい?」
盗賊「もう船に乗ってる・・昨日は遅くまで酒場で歌ってたそうだ」
学者「じゃぁ僕たちが乗ったら出発かな?」
盗賊「おう!出航する」
---
ザザー ザザー
盗賊「・・よし・・これでしばらくゆっくり出来る」
女盗賊「ハァハァ・・この作業を2人でやってたの?」
盗賊「そうだ・・大変だろう?」
騎士「ロープの巻き取りは僕がやるよ・・力が要るからね」
盗賊「まぁ3人になって随分楽にはなったな」
騎士「そうだね・・帆の出し入れは2人じゃヘトヘトになるね」
商人「さぁ・・みんなおいで!これからの事をちょっと説明したいんだ」
騎士「あ!ちょっと待って僧侶を起こしてくる」
盗賊「なんだまだ寝てたのか」
騎士「昨晩はちょっと遅くまで起きててね」
---
学者「・・機械の国まで大体20日掛かる見込みだよ・・途中で漁師村という所に一回寄っていこうと思う」
盗賊「地図でいうとココだ・・船旅を快適にするために出来るだけ新鮮な食材を仕入れたい」
僧侶「漁師村まではどれくらい〜?」
盗賊「まぁ7〜10日だな・・保存食だけで良いなら寄らんでも良い」
学者「それから・・中立の国の領域は漁師村までなんだ・・そこから先の安全の保証は無いんだよ」
女盗賊「情報も仕入れたい訳ね?」
学者「女盗賊は何か知っている事は無いのかい?」
女盗賊「機械の国へ向かう船は殆んどが大型船よ・・海流が激しくて流されてしまうらしいの」
盗賊「そもそもこの船で行けるのか?」
学者「さぁね?・・もし行けない様なら辺境の国へ行ってみよう」
騎士「!!?」
学者「騎士は出身が辺境の国だったね?」
騎士「辺境の国ははるか南の遊牧民達に占拠されてしまったんだ・・安全かどうか分からない」
学者「遊牧民?」
騎士「テントを張って移動しながら生活する民族だよ」
学者「危ない事でもあったのかな?」
騎士「辺境の国・・というか辺境の村だった頃に遊牧民達が村に来たんだ」
学者「争い事が起きてしまった?」
騎士「争い事を起こしたのは辺境の村の方で・・結果的に占拠された形になった」
学者「じゃぁ帰りにくい訳だ」
騎士「でも少し気になってた」
学者「まぁ機械の国へ行けなかった場合の話だしね」
盗賊「そうだ・・こんだけ大きな帆を付けてりゃ海流に流される事も無いだろう」
学者「行ってみないとわからないね・・その時はその時さ」
---
学者「・・あと僕達の・・と言っても僕だけかな?・・の目的も話しておく」
僕は考古学を研究する学者さ
古文書、預言者の予言、魔王の予言・・それから各国の歴史
そういうのを読み解いて行くと近い将来の予言が急に途絶えるんだ
それを教授や僕は世界の終焉の時ではないかと研究を続けてる
そんな中世界には叙事詩として語られている詩があちこちにあってね
それを纏めると魔王の予言に近い内容になるんだ
教授は叙事詩で語られている内容は夢幻とういう世界の事を詩にした物ではないかと見てる
僕はその夢幻の世界とは何かという事を調べようとしてる
騎士「夢幻の世界?」
学者「君が歌う叙事詩も・・もしかしたら夢幻の世界の出来事かもしれない」
騎士「僕は思いつきや夢で見た事を詩にしてるだけなんだけど・・」
学者「それが夢幻かもしれない・・おかしいのは世界中のどこの叙事詩も似た内容なんだ」
騎士「その世界の事が夢で現れる?」
学者「さぁね?・・僕はある時を境に現実と夢幻の2つの世界が出来たと考えてる」
騎士「ある時とは?」
学者「精霊が魔王によって封印された時さ・・その記録が僕の持ってる古文書には詳しく書いてない」
騎士「それで機械の国の古文書を探してるんだ」
学者「そう・・もしかしたら書いているかもしれない・・なぜなら・・」
騎士「??」
学者「機械の国はかつて闇の国と言って約600年前〜200年前までは魔王が統治していた」
騎士「魔王が統治していたのは魔王島では?」
学者「それは後世の人が作り上げた嘘だよ」
騎士「・・・・・」
学者「僕は君が歌う叙事詩がすごく気になっててね・・もっと聴きたいんだ」
騎士「謎を解く助けになるかな?」
学者「ゾンビの弱点だって君の叙事詩から得た知識さ・・君の詩は予言とも言える内容なんだよ」
騎士「僕の詩が予言・・」
学者「ただ君の詩も近い将来以降の詩が無い・・なぜかな?・・不思議だよね」
---
騎士「あれ?僧侶?・・・君らしくないな・・黄昏てるのかい?」
僧侶「はぁぁぁ私はカモメ・・」
騎士「どうしたの?」
僧侶「何でもないの〜ウフフ」
騎士「君は何でもない時に急に泣くんだね・・涙の後が残ってるよ?」
僧侶「ねぇねぇ叙事詩の練習しようよ〜」
騎士「・・そうだね全部2人で歌える様にしないとね」
僧侶「私ね〜何か楽器も使いたいな〜」
騎士「そうだなぁ・・君に出来そうなのは・・小さな太鼓かな?」
僧侶「それで良い〜ウフフ」
騎士「確かなめし皮があった筈・・一緒に作ろう!」
僧侶「は〜い」
---漁師村---
盗賊「なんか様子がおかしくねぇか?」
騎士「漁船が一隻も無い」
僧侶「ねぇねぇあの人影は何かなぁ〜?
騎士「・・・あれはゾンビだ」
盗賊「なんだと!?」
女医「え!?ちょっと見せて・・・そんな・・こんな所にも奇病が伝染してる」
盗賊「どうする?降りるか?」
女医「調べないと」
盗賊「学者!お前と女盗賊は船に残れ・・騎士と僧侶の2人でゾンビ退治行けるか?」
騎士「わかった!やってみる!」
僧侶「は〜い」
盗賊「女医と俺はその間漁師村を調査してくる・・港に接岸するぞ」
---
盗賊「じゃぁ騎士!無理すんなよ?きつかったら船に戻れ」
騎士「わかった」
女医「待って!その前に皆この目薬をしていって・・奇病の薬よ」
盗賊「そうか・・俺達に感染するかも知れんな」
女医「本当は免疫が出来るまで1週間掛かるのだけど・・」
盗賊「まぁ無いよりは安心だ・・目薬を入れてくれ」
女医「並んで・・順番に薬を入れるわ」ポタ
騎士「これだけで奇病に感染しない?」
女医「感染はするかもしれないけど発病は抑えられる」
盗賊「感染しないに越した事は無い・・カラスには手を出すな」
女医「・・それから鳥も気をつけて」
盗賊「よし!じゃぁ行くぞ!!」
---
女医「村に生きてる人が居ないか調査しましょう」
盗賊「おう!女医は俺から離れるな」
女医「うん・・あ!ゾンビが・・」
ゾンビ「ヴヴヴヴヴ・・」
盗賊「大丈夫だ!おれの銀のダガーで心臓を一突きだ」ダダダ ザク!
女医「そのゾンビは衣服を着てるわね・・」
盗賊「だな・・村人だろうな」
女医「子供のゾンビは?」
盗賊「見当たらねぇな・・」
女医「漁船で逃げた可能性が高そうね・・鶏肉を持って行って無ければ良いけど・・」
盗賊「感染源は鶏肉か?」
女医「多分ね・・渡り鳥が病気を運んでる」
盗賊「厄介だな」
女医「普通の鳥はのこ病気に掛かると1週間程で発病して死ぬの・・その肉をカラスが食べる」
盗賊「鳥はゾンビにならねぇのか?」
女医「ゾンビになるけど飛べなくなる・・飛べない鳥は他の生物の良いエサになってしまう」
盗賊「それはまずいな・・拡大しそうだ」
女医「砂漠地帯ではゾンビはすぐにカラカラに干上がって動けなくなるの・・それが進行を遅らせてる」
盗賊「この村も放っておけばゾンビは干上がるのか?」
女医「時間が掛かると思う・・その間渡り鳥に感染してしまう」
盗賊「全部焼却したほうが良いな」
女医「うん」
---
盗賊「お!?ゾンビ討伐はもう良いのか?」
騎士「全部で6体だったよ・・もう居ないと思う」
盗賊「そうか・・後で燃やすから集めておいてくれ・・それから船に積んでる油も少し持って来てくれ」
騎士「分かった」
女医「騎士?船に行ったら学者君も呼んできてもらえるかな?」
騎士「呼んでくるよ・・何か見つかったのかな?」
女医「ううん・・この状況をどう見るか相談したくて」
騎士「・・・村が全滅だね」
盗賊「あぁ1人も生き残りは居ねぇ」
騎士「でもゾンビは6体しか居なかった」
女医「それが問題・・子供のゾンビは居なかったでしょう?」
騎士「居なかった」
女医「子供を連れて漁船で逃げたと思う・・行き先は何処だと思う?」
騎士「一番近いのは中立の国?」
女医「もしその中の誰かが感染していたとしたら?」
騎士「・・・まずいね・・・学者を呼んでくる」
---
学者「・・・なるほどね」
女医「どうしよう・・・」
学者「漁船で中立の国を目指すと・・20日くらい掛かるかな?」
盗賊「そうだな・・遭難する確率は高いがな」
学者「女医は奇病の薬のサンプルを大学に置いて来たんだよね?」
女医「うん・・」
学者「じゃぁ僕たちが中立の国に戻ってもあまりやる事は無いね」
女医「渡り鳥が病気を運んでる件は?・・」
学者「渡り鳥の行き先は主にエルフの森さ・・エルフは肉を食べない」
女医「鳥を捕食する他の動物達は?」
学者「エルフは賢いよ・・異変に気が付いたら対処するさ」
盗賊「じゃぁ予定通り機械の国へ向かう・・で良いんだな?」
学者「そうしよう・・どうして漁師村に奇病が発生したかも気になるしね」
---
メラメラ パチ
学者「大量に買った油がこんな所で役に立つとはねハハ」
盗賊「これだけ燃えてりゃ明日まで燃えてるな」
学者「村に残ってた食材も保存食以外は全部燃やしてしまおう」
盗賊「新鮮な食材が欲しかったが収穫ゼロだな・・」
学者「収穫はあったさ・・漁する為の網を貰って行こう」
盗賊「んん?自分で漁をするのか?・・それも良いな」
僧侶「ねぇねぇお酒が有ったんだけどさぁ〜ウフフ」
学者「・・・略奪は良くないけど・・それも貰って行こうか」
僧侶「わ〜い」
盗賊「・・・お前はどうしようもない僧侶だな」
僧侶「亡くなった方にお祈りしてあげる〜」
学者「よし!その木材入れたら僕達は出航しよう」
盗賊「すげぇ火柱だ」
学者「遠くからでも見えそうだね」
盗賊「じゃぁ行くか!皆船に乗れぇ!!」
僧侶「は〜い」
---船---
盗賊「こんなに遠く離れても見えるもんだな・・空が赤い」
学者「もう日が落ちたからね・・明かりは見えやすい」
騎士「赤い空・・」
学者「ん?どうかしたかな?」
騎士「いや・・詩が思い付いたんだ『赤い空』エルフの森が赤く染まる詩だよ」
学者「出来たら後で聴かせてくれないか?」
騎士「分かったよ」
学者「君はいつもこんな風に叙事詩を創るのかい?」
騎士「突然湧き出したように思いつく事があるんだ」
学者「出来たてホヤホヤの叙事詩か・・楽しみだ」
騎士「じゃぁ・・歌うよ」
学者「ハハもう良いのか・・じっくり聴くよ」
ポロロン〜♪ ジャララ〜ン♪
学者「・・・・・」
騎士「どうだったかな?」
学者「驚きだ・・君は魔王の予言を知っているのか?」
騎士「知らないよ?」
学者「魔王の予言はエルフの森での戦争を予言している・・今の詩はまさにソレだ」
騎士「今思い付いた詩だよ」
学者「ちょっと今の詩も僕の叙事詩のまとめに入れておく・・悪いけど僕はちょっと部屋にこもる」ブツブツ
盗賊「ぬはは熱心なファンが出来た様だな」
騎士「ははは」
---
ガコン! ガガガガ!
盗賊「うお!!座礁したか!?」
騎士「いや・・船は動いてる」
盗賊「騎士!!船底見て来い!!」
騎士「わ、わかった」
盗賊「女盗賊!!海の下に何か見えるか!?」
女盗賊「・・・暗くて見えない」
盗賊「くそぅ下手に動けねぇな・・こんな海の真ん中で座礁したら死ぬぞ」
騎士「船底は無事だったよ」
盗賊「騎士!船を止める!!帆を畳め!!女盗賊は碇降ろすの手伝ってくれ!!」
騎士「僕1人で帆を畳む?」
盗賊「お前しかいねぇ!!急いでやってくれぇ!!後で手伝いに行く」
学者「これは明るくなるまで動かない方が良いね」
盗賊「学者!!星の位置から今の場所を割り出してくれ・・流されてるかもしれん」
学者「分かってるよ・・もうやってる」
---翌朝---
僧侶「すご〜い!!綺麗〜〜ウフフ」
盗賊「・・サンゴ礁か・・海図には描いてねぇな」
学者「良い物を見つけたじゃないか・・サンゴは高く売れるよ」
盗賊「ここら辺一体は浅瀬だ・・航海は昼間だけにした方が無難だが」
学者「今日はこの辺を少し見回って夜になる様だったら泊まろう」
盗賊「海図で現在地は分かるか?」
学者「ここだよ・・大分流されてるね」
盗賊「無人島でもあれば目印になるんだがな」
僧侶「ねぇねぇ〜小さな島が見えるよ〜」
盗賊「お!?どこだ?」
僧侶「あっちの方角〜」
盗賊「おぉ!!・・んん?家が建ってるじゃねぇか!!」
学者「え?こんな所に人が住んでるんだ」
盗賊「行ってみるか?」
学者「面白そうだね・・ちょっと寄って行こう」
---無人島---
盗賊「家というか・・小屋だな」
学者「誰か住んでないのかな?」
盗賊「こんな所に1人では住めんだろう」
学者「中に入ってみようよ」
盗賊「騎士!先頭行ってくれ」
騎士「わかった」
盗賊「誰かいるか?」
騎士「・・・誰も居ないけど・・すごく古いベットがある」
学者「見せて見せて?」
盗賊「うお!・・・骨だ」
学者「・・・やっぱり誰か住んでたんだね・・女医?この亡骸はどれくらい経ってるか分かるかい?」
女医「死後10年程、高齢の男性、片足の欠損・・それ位しか分からない」
学者「10年かぁ・・」
盗賊「おい!!何か来るぞ!!」
ウィーン ガシャン ウィーン ガシャン
学者「機械だ・・」
僧侶「小さい〜ウフフ」
学者「お手伝い用の機械・・かな?」
機械「ゴシュジンサマ・・オショクジヲオモチシマシタ・・」
盗賊「・・貝を乗せてるぜ?」
機械「キョウモオメシアガリニナラナイノデスカ・・」
学者「この機械はご主人様が亡くなった事を知らない様だね」
機械「コレデ7965ニチトナリマス・・」
女医「!!?20年以上前だわ」
機械「ドウリョクキカンオンゾンノタメ12ジカン・・キノウヲテイシシマス」
学者「・・・・・この亡骸が誰か分かる物はないかな?」
---
盗賊「・・書物類はもうボロボロで読めねぇ・・というか原型をとどめてない」
学者「手掛かり無しかぁ・・」
女医「ねぇ・・この亡骸は片足が欠損してるのだけれどもしかすると・・」
学者「何か分かるのかい?」
女医「関節を残して切り取られてる・・」
学者「噂に聞く体の一部を機械にするってやつかな?」
女医「・・でも20年以上も前にそんな技術があったなんて・・」
学者「他に何か分からないかな?」
女医「頭部に手術痕がある」
学者「驚きだね・・そんな昔に頭部の手術が出来なんて」
女医「かなり身分の高い人だったのかと・・」
学者「手術痕には何か入ってないのかな?」
女医「頭蓋の内側を見るのは道具を使わないと・・」
ウィーン ガシャン
機械「キンキュウキドウ・・」
盗賊「おい!!ちっこい機械が動き出した!!」
機械「シンニュウシャハイジョ・・」
盗賊「危ねぇぞ!!学者と女医は離れろ!!」
機械「レベル3カエンホウシャ・・」ボボボボボー
盗賊「うお!!機械が魔法使いやがる!!・・・騎士!!来い!!」
騎士「どうしたんだい・・・あ!!機械が動いてる?」
盗賊「あの機械が暴れだした!俺が機械の正面に立つからお前は後ろからぶっ壊せ」
機械「シンニュウシャゾウイン・・レベル5カエンホウシャ・・」ゴゥ ゴーン
盗賊「うはぁ!!危ねぇ!!」
騎士「このぉ!!」ガキーン
盗賊「ぶっ壊せねぇか!?」
騎士「硬い!!」
盗賊「後ろから捕まえて海に投げ込んじまえ!!」
騎士「えええええ!!?」
機械「ケイホウケイホウ・・」ゴゥ ゴーン
騎士「あわわわ」グイ ダダダ
盗賊「そうだ!!そのまま投げ捨てろ!!」
騎士「だぁぁぁぁ!!」ポイ バシャーン
---
学者「どうだい?外れそうかい?」
女医「・・・よし!外れた」
学者「それは何だと思う?」
女医「何だろう?記憶を補助する機械・・かな?」
学者「内容をどうやって読み取るのかな?」
女医「それは専門家に聞かないと分からない」
学者「身分の高い機械の国の人がこの島まで逃げてきた・・情報が詰まってそうだね」
女医「そうね・・」
学者「後はこの亡骸は埋葬しておこう・・それからあの小さい機械はどうなったかな?」
盗賊「海に投げ込んだら動かなくなった」
学者「分解してみたいんだ・・引き上げれるかい?」
盗賊「分かった・・また動き出すかも知れんが」
学者「動き出す前にバラバラにしよう」
---
僧侶「すご〜い!!ウフフ真珠がいっぱ〜い」
騎士「ここら辺の貝はみんな真珠を持ってる」
僧侶「もっと採って〜」
盗賊「サンゴもすげえぞ!!」
学者「あ!!生きてるサンゴは手を出さない様に・・毒がある」
盗賊「なぬ!!?」
学者「日が暮れるまで真珠とサンゴを採って明日の朝出発するようにしよう」
盗賊「女盗賊も一緒に手伝え!海の中すげえ綺麗だぞ」
僧侶「貝のバーベキューも楽しみ〜」
盗賊「僧侶!!俺達が海から上がったら回復魔法を頼む!!効率上がるぞ?」
僧侶「は〜い!回復魔法!回復魔法!」ボワー
学者「ハハ僕は機械を分解して遊んでるさ」
女医「私はバーベキューの準備しておく」
---
ジュージュー
僧侶「んま〜〜い!!」モグモグ
盗賊「こりゃうめぇ!!」モグモグ
騎士「貝は焼くだけで美味しいね」モグモグ
学者「夕日とサンゴとバーベキュー・・詩もあると最高だね」
騎士「よし!ちょっと軽くリュートでも弾くよ」
ポロロン〜♪ ジャララ〜ン♪
盗賊「・・機械をバラして何か分かったか?」
学者「魔石が動力源さ・・沢山入っていたよ・・あとはあの亡骸と同じ様な機械が入ってた」
盗賊「それにしてもよく出来た機械だったな」
学者「そうだね・・これを20年以上前に造ってたなんて信じられないよ」
盗賊「機械が魔法を使うのは魔石のせいか?」
学者「魔石の魔力を直接解放するだけだと思う」
盗賊「それをコントロールするのがすげえな」
学者「うん・・多分この小さな機械がコントロールしてるんだよ・・」
盗賊「20年以上もよく魔石の魔力が持つな」
学者「取り出した魔石はほとんど魔力が残ってなかった・・時期に動かなくなる筈だったよ」
盗賊「そうか・・ところで真珠とサンゴなんだが・・」
学者「ハハ沢山採れたかい?」
盗賊「しばらくは遊んで暮らせるぞ」
学者「お金が無かったから丁度良かったじゃないか」
盗賊「それよりもだ・・この場所の情報が高く売れる」
学者「良いカードを拾ったね」
盗賊「まったくだ」
---
盗賊「よし出発する!」
学者「大分進路からずれてるから修正しながら行かないと」
盗賊「分かってる!海流の方向を見越して行くから次からは迷わん」
学者「目標物が無いと恐いねぇ・・羅針盤だけじゃ宛てにならないね」
盗賊「まぁ日の出と日の入りで1日2回現在地の観測しながら進めるしか無い」
学者「あと10日くらいかな?」
盗賊「順調に行けばな」
学者「まずは陸地まで行かないとね」
盗賊「んむ」
僧侶「はぁぁぁぁもっと真珠が採りたかったよぅ」
盗賊「お前は見てるだけだったろうが!」
騎士「十分採ったよね・・酒樽一杯分の真珠なんて見たこと無いよ」
盗賊「この船は宝船だな・・油満載・・真珠にサンゴだ」
学者「ハハ難破しないことを祈ろう」
---南の大陸---
騎士「陸地が見えて来た〜!!」
盗賊「何か特徴のある地形は無いか!?」
騎士「絶壁が続いてる・・東の方に岬が有る」
学者「・・・とすると・・この辺りかな?」
盗賊「ドンピシャだ!!岬を越えたら機械の国が見える」
学者「商船の航路から大きく外れてたんだね」
盗賊「その分面倒が起きなかったという言い方もある」
学者「あと1時間くらいで着きそうかな?」
盗賊「身分証を用意しておけ!下船に手間取りたくねぇ」
---機械の国---
僧侶「大きなお船がいっぱ〜いウフフ」
騎士「帆船が少ないね」
学者「機械の国の船は帆を持たないんだ・・魔石でスクリューという物を回して進むらしい」
女医「中立の国でたまに見るね」
盗賊「よ〜し!下船許可が出たぞ!!降りて良い!!」
僧侶「わ〜い!!」
学者「僕達はひとまず宿屋に向かうよ」
盗賊「おう!俺と女盗賊で積荷を裁いとく」
騎士「僕は町並みでも見ながら軽く流して宿屋に向かうよ」
学者「みんな疲れてるだろうから今日は早めに宿屋で休もう」
---宿屋---
盗賊「・・・すげえぞ!油が飛ぶように売れて金貨が倍に増えた」
学者「ハハハ思った通りだね・・真珠とサンゴは?」
盗賊「相場が分からんが全部売っちまって良いか?」
学者「どうせ拾った物さ・・適当に売って良いよ」
盗賊「分かった!明日売り払う」
学者「それからもう一つ・・機械の国周辺の地図も買っておいてくれないか?」
盗賊「まかせとけ!!」
学者「ふぅぅぅ一段落・・船旅が長いと陸に上がると目が回るね」
盗賊「慣れるしかねぇな」
学者「僧侶は歩けなくてもう向こうの部屋で休んでる」
盗賊「ぬはは今日はベットでゆっくり休もう」
学者「そうだね」
---広場---
ポロロン〜♪ ジャララ〜ン♪
盗賊「・・・買って来たぜ・・機械の国周辺の地図だ」
学者「ここは変な国だねぇ・・義手や義足がすごく多い」
盗賊「あぁ・・手足全部機械の奴も居たぞ」
女医「この国は体の一部を機械に換える事が富の象徴らしいわ」
学者「へぇ・・不便じゃ無いのかな?」
女医「機械に魔石が組み込まれているそうよ・・魔石を変える事で特殊効果を変えれるとか・・」
学者「便利だねぇ・・僕の足も・・」
女医「変な事考えてはダメ!そんな事したら元に戻れない」
学者「ハハ冗談さ」
盗賊「頭を換える奴は居ねぇのかな?」
女医「過去に試された事が有るらしいわ・・噂で聞いたこと有る」
学者「頭を換えるって・・そんな事出来るのかな?」
女医「脳と神経だけ残してその他は換える事出来るかもしれない・・でも食事が不便そうね」
盗賊「そんな奴居たら気持ちが悪いな」
女医「成功したかどうかは聞いてない」
---
学者「そういえばさ・・この国の衛兵は奇妙だね?・・あれ機械なのかな?」
盗賊「さぁな?・・悪い事してなければ捕まる事はないだろう」
学者「そういう意味じゃなくてさ・・微動だにしないというか・・」
盗賊「石でも投げてみるか?ぬはは」
学者「面倒は起こしたくないけど・・気になるな」
盗賊「ちょっと車椅子押してやるから目の前通ってみるか」
学者「いいね・・そうして」
ゴロゴロゴロゴロ
衛兵「・・・・・」
盗賊「あぁ!!すまねぇ・・ちょっと前通るぜ」
衛兵「・・・・・」
学者「す、すいません・・道を聞きたいのですが・・」
衛兵「・・・・・」
学者「あの〜・・」
衛兵「・・・・・」
盗賊「まぁ行くぞ!!」スッ
---
盗賊「間違いねぇアレは機械だ・・スっても何も持ってねぇ」
学者「それじゃ機械だと言い切れないじゃないか」
盗賊「いや・・体温を感じなかった」
学者「ハハ興味が出てきたぞ・・分解してみたいな」
盗賊「まさかアレを盗めって言うんじゃないだろうな?」
学者「君なら出来るだろう?」
盗賊「おいおい無茶言うなよ・・衛兵だぞ?」
学者「面白そうだ・・少し動きを観察してみよう」
盗賊「お前そんな事より機械の国の古文書は探さんのか?」
学者「探してるさ・・ねぇ女医?」
女医「街の図書館には無かったよ」
学者「きっとあるのは城の中さ」
盗賊「手が出せんな」
学者「そうだね・・困ったね」
---数日後---
盗賊「・・聞き込みしてきたんだが機械の国では衛兵が機械なのは常識だそうだ」
学者「本当に変な国だねぇ・・」
盗賊「あと城の門は物資を運び入れる以外は開く事は無いらしい」
学者「ますます何やってるか気になるね」
盗賊「お前の方は何か分かったのか?」
学者「衛兵は決まったルートを定期的に巡回してるみたいだよ」
盗賊「ほう・・」
学者「それから面白い物を見たんだ・・つまづいて転んでも自分で起き上がる」
盗賊「普通じゃねぇか」
学者「それもすぐに起き上がる」
盗賊「それのどこがおかしい?」
学者「どうやって自律で動かしてるのか興味があるんだ・・中身は本当に機械なのかな?」
盗賊「まさか人間が入ってるのか?」
学者「さぁね?・・ただ動きが機械らしくない」
盗賊「ん〜む・・無人島の小さな機械が20年前だったとすると衛兵も機械で出来てて不思議は無いと思うが」
学者「そうだ!!海に突き落としたら停止しないかな?」
盗賊「・・・良いアイデアだが引き上げるのが大変だぞ?」
---
女盗賊「・・機械に詳しそうな人の情報を掴んだわ」
学者「どこに居るんだい?」
女盗賊「この国から東の辺境の国・・そこの族長が機械のコレクターらしいの」
学者「辺境の国かぁ・・安全の保証は無いって騎士が言ってたな」
盗賊「どうする?」
学者「フフフ・・良い事を思いついた」
盗賊「おいおい早く言えよ」
学者「確か船に網があったね?」
盗賊「網なんかどうするんだ?」
学者「機械の衛兵を海に突き落として網で拾う・・そして辺境の国に行く」
盗賊「衛兵を土産にするってのか?」
学者「コレクターなら機械の衛兵丸ごと欲しいんじゃないかな?」
盗賊「面白そうな作戦だな・・いつやる?」
学者「まず騎士と僧侶にも話しておこう」
---
学者「・・・というわけで騎士達が良ければ早速今夜作戦を実施したい」
騎士「辺境の国か・・今どうなってるか気にはなるけど・・変わった所を見るのは少し恐いかな」
学者「じゃぁ協力してくれるね?」
騎士「・・わかったよ・・機械の国では叙事詩を歌っても儲けが少なくてね」
僧侶「おひねり貰えないの〜」
学者「本当・・変な国だよね?」
騎士「うん」
学者「じゃぁ騎士は僕と一緒に来て!海辺に居る衛兵を海に突き落とすだけで良い」
騎士「わかった」
学者「盗賊と女盗賊は船から網を出しておいて」
盗賊「機械の衛兵を網で拾ったら船を出航させる準備をしておけば良いんだな?」
学者「それで良い」
僧侶「ねぇねぇわたしは〜?」
学者「君は船に食材を運んで欲しい・・おいしい物食べたいだろう?」
僧侶「は〜い」
---夜---
学者(来た・・あの衛兵は港を一回りして戻るんだ・・僕達の船の前に来たら突き落として)ヒソ
騎士(大丈夫かな?)ヒソ
学者(もし失敗しても衛兵はすぐに立ち上がる・・足を狙えば簡単に突き落とせるさ)
騎士(わかったよ)
学者(僕は女医と先に船の方に向かう・・騎士・・頼むよ?)
騎士(やってみる・・)
---数分後---
衛兵「!!?」
騎士「だぁ!!」ドン
衛兵「ヒジョウジタイハッセイ・・」バチャーン ブクブク
騎士「落ちた・・」
学者「騎士!!早く船に!!」
騎士「あ・・・」ダダダ
学者「盗賊!!船を出して!!」
盗賊「もう碇は上げてある・・騎士!!早く乗れぇ!!」
学者「女盗賊!?他の衛兵には気付かれて無いかい?」
女盗賊「遠くの衛兵が動き出したわ・・早く離岸しないと」
騎士「飛べるか!?・・トゥ!!」ドサ
盗賊「よし!乗ったな?離岸する!」
僧侶「あわわわわ衛兵さんがこっちに来るよ〜ぅ」
シュン シュン ドス ドス
騎士「僧侶!弓だ!隠れて!」
僧侶「え?え?え?」アタフタ
盗賊「騎士も帆の操作手伝え!!」
騎士「今行く!!」
シュン シュン ドス ドス
騎士「ぐぁ!!」
僧侶「あぁぁ騎士ぃ〜」
騎士「顔を出さないで・・僕は平気」
盗賊「衛兵の動きが早えぇ・・全力で逃げんとまずいぞこれ」
バシュン! バシュン!
盗賊「・・・ボウガン?学者か?」
学者「命中!・・・これでしばらく大丈夫かな?」
女盗賊「衛兵が隠れたわ」
盗賊「今のうちに逃げるぞぉ!!」
---船---
盗賊「よし!速度乗った・・ここまで来れば追って来れん」
学者「危なかったね・・思ったより衛兵の対応が早かった」
盗賊「んむ・・ありえん早さだったな」
学者「網を引き上げるのは日の出を待ってからにしよう」
盗賊「そうだな・・また動き出すと厄介だしな」
ドタリ
僧侶「あぁぁぁ騎士が倒れたぁぁ」
盗賊「なぬ!!矢を受けたな?」
女医「出血してる!手当てしないと!」
盗賊「僧侶!回復魔法を!」
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
---翌朝---
盗賊「・・・動かねぇな?」
学者「一応ロープ縛っておこう」
盗賊「どうなってんだ?こいつ?」
学者「鎧の中身に機械が詰まってると思ったけど意外とスカスカだね」
盗賊「バラすか?」
学者「いや・・このまま持っていこう」
盗賊「錆びはどうする?」
学者「まだ油が残ってたよね?」
盗賊「油の樽の中に入れておくか?」
学者「そうだね・・出来るだけ完全な形で持って行きたいかな」
---
盗賊「騎士はまだ目ぇ覚まさんか?」
騎士「すぅ・・すぅ・・」
僧侶「んがががすぴ〜〜」
女医「出血が多かったけど大丈夫みたいね」
盗賊「だな・・・朝になって気付いたが甲板が血だらけだった」
女医「僧侶の回復魔法のおかげね」
盗賊「お前も休め・・またしばらく船での移動になる」
女医「うん・・興奮して寝れなかったけど少し安心した」
盗賊「ぬはは盗賊家業はこれくらい余裕だ」
女医「私まで盗賊の仲間入りね」
盗賊「どうって事無い・・気にするな」
---
学者「・・・・・」カキカキ
盗賊「何やってんだ?」
学者「機械の事について纏めてるのさ」
盗賊「そのちっこい機械で何か分かるのか?」
学者「どうも可動部の仕組みが良くわからなくてね・・構造が単純なのに動く理由が分からない」
盗賊「紐で引っ張ってるとかじゃないのか?」
学者「ん〜紐ではなくて金属の棒引っ張ってる感じかな?金属が伸び縮みしないと動かない筈なのに・・」
盗賊「火であぶると伸びるんじゃねぇか?」
学者「やってみたよ・・動かない」
盗賊「見せてみろ・・なるほど・・その棒が伸びんと動きそうに無いな」
学者「人間でいう筋肉の役割だと思うんだけどなぁ・・」
盗賊「なら女医の方が詳しいかも知れんな」
学者「女医は今何処に?」
盗賊「寝たばかりだ」
学者「そうか・・あとで相談してみる」
---
女医「・・人間の筋肉は微弱な雷の力で動いてるの・・もしかすると雷の魔石で動くかも」
学者「雷ねぇ・・僧侶は雷魔法使えないのかな?」
女医「呼んでくる?」
学者「うん・・ちょっと試してみたいかな」
僧侶「なになに〜?」
学者「やぁ僧侶・・君は雷魔法とか使えないかな?」
僧侶「使った事な〜いウフフ・・でもやってみようか〜?」
学者「頼むよ」
僧侶「雷魔法!」チ
学者「お!?」
僧侶「小さ〜い・・ダメかも〜」
学者「十分だよ!この金属の棒に雷魔法を当ててみてくれるかな?」
僧侶「は〜い!雷魔法」チ ニョキッ
学者「おお!!伸びた・・やっぱりこの金属が筋肉の代わりなんだ」
女医「すごいわね」
学者「・・という事は微弱な雷であの機械の衛兵も動いてるのか・・どうりでスカスカな訳だ」
女医「機械の弱点は雷ね」
学者「そういう事になるね」
---数日後---
学者「・・じゃぁ辺境の国?村?・・は他の国とは独立してると見て良いんだね?」
騎士「そうなると思う」
学者「でもどうしてもとの辺境の村は争いごとを起こしたのかな?」
騎士「その族長には2人の娘が居て辺境の村に住まう変わりに娘2人をよこせという要求を・・」
学者「なるほど・・族長を怒らせてしまった訳だ」
騎士「族長は辺境の村に住まうのを諦めようとしたけど娘2人の嫁ぎ先を村長が勝手に決めてしまったんだ」
学者「その相手は知ってるかい?」
騎士「1人は村長の息子・・もう1人は僕」
学者「ハハハそこで君が出てくるか」
騎士「それを嫌がった娘達は村長の息子を逆に拉致してしまって・・自分達の奴隷にして結果的に村が占拠された形に」
学者「君は戻って平気なのかな?」
騎士「さぁ?・・」
学者「今どうなってるか少しでも分かるかな?」
騎士「族長が村を支配するようになってから他国との繋がりが無くなって貧しくなった・・くらいかな?」
学者「独立してるのは族長の意向なんだ」
騎士「・・それで村を出る人が多いんだよ・・僕みたいに」
学者「まぁ聞いた感じではそれほど危険でもなさそうだ」
騎士「・・・それが」
学者「??」
騎士「遊牧民達はもともと山賊なんだ・・遊牧民というのは表向きの表現」
学者「・・なるほどねぇ」
---とある海岸---
盗賊「おい!騎士!船は何処に着けれるんだ?」
騎士「昔は定期船が着船できる小さな港があったんだ・・もう少し先だと思う」
盗賊「下手なところに船置いとくと盗まれちまうな・・」
騎士「・・なら近くの無人島に船を隠して小船で行った方が良いかな」
盗賊「無人島の場所とか知らねぇか?」
騎士「知らない・・探さないと」
盗賊「ん〜む・・まぁ探すしかねぇな・・」
学者「地図には沢山無人島の様な物が書いてあるけどね」
騎士「隠れれそうな無人島は沢山有ると思うよ」
---無人島---
盗賊「よし!ここなら見つかるまい・・」
騎士「小船2隻出しておくよ」
盗賊「機械の衛兵を運ぶのが難儀だな」
学者「僕の車椅子に乗せて押そう・・僕の方が軽いからおぶってもらえば・・」
盗賊「そうか!車輪があるな・・心配しなくて良い!車椅子を少し改造すればお前も乗せれる」
学者「そうかい?」
盗賊「まぁ空の樽とロープがありゃ何とかなる」
学者「じゃぁそれで行こうか」
盗賊「ヌハハ任せろ」
---林道---
盗賊「・・・本当にこっちで良いのか?日が暮れちまうぞ?」
騎士「林を抜けたら直ぐそこだよ」
僧侶「歩き疲れたよぅ・・」
騎士「日が落ちる前には着くと思う」
盗賊「宿屋はあるのか?」
騎士「僕が居たときは宿屋は無かった・・今は分からない」
盗賊「・・最悪だな」
騎士「旅人が宿泊するのはもっぱら教会だったんだ」
盗賊「食い物はあるんだろうな?」
騎士「それは大丈夫・・だと思う」
学者「ハハハ宛に出来ないねぇ」
盗賊「飢え死にだけは簡便してくれ」
---辺境の国---
盗賊「・・・なんじゃこりゃ・・木の柵で作った要塞じゃねぇか」
学者「聞いた話と随分違うね」
騎士「僕が居た時と随分変わってる」
学者「なにかの襲撃に備えてる様だね?・・入り口があっちに有る」
盗賊「門番らしいのがこっち見てるぞ?」
騎士「僕が行ってみる」タッタッタ
門番「止まれ!!辺境の国に何の様だ?」
騎士「・・あの・・僕はここの出身で久しぶりに戻って来たんだけど」
門番「もと居た住民は全員出て行った・・ここには遊牧民しか残っていない」
騎士「中には入れないのかな?」
門番「よそ者は入れるなと言われている・・面倒が起きる前に戻った方が良い」
騎士「・・困ったなぁ今晩だけでも休ませてくれないかな?」
門番「だめだ!族長に厳しく言われているんだ」
学者「族長に土産を持ってきたんだけどさぁ・・機械の衛兵を丸ごと」
門番「んん!?族長の仲間なのか?」
学者「仲間になりたいだけさ・・族長に伝えてくれないかな?」
門番「機械の衛兵を見せてみろ!」
学者「これだよ・・」バサッ
門番「うお!!・・これは本物だな」
学者「族長に機械の事で相談に来たんだ・・そう伝えて欲しい」
門番「すこし待ってろ!!」
女の声「門番!!入れてやれ!・・そのまま族長の所へ連れて行け!」
門番「姉貴!・・掟を破る事になるけど・・」
女の声「良い!!族長は私の言う事は良く聞く」
門番「分かった・・旅の者・・6人か?付いて来い」
---
ゾロゾロ
盗賊(やぐらとテントだらけだ・・戦争やってるみたいな光景だな)ヒソ
騎士(・・でもほら・・あっちの広場の方では住民らしい人が賑わってる)ヒソ
学者(完全な鎖国状態だね)
盗賊(家畜は一通り揃ってる様だな)
騎士(どうも行き先は元村長の家かな?)
学者(あそこの立派な建屋かな?)
騎士(それは元教会・・村長の家はもう少し先だよ)
盗賊(遊牧民達は皆ここに来てる様だな・・意外と人が多い)
騎士(・・そうだね・・僕が居た頃よりずっと人が多い)
学者(だからテントを貼ってるんだね)
盗賊(テントばかりの町並みもなかなか風情があるな)
---族長の家---
ドンドン ガチャリ
族長「誰やぁ!!」
門番「族長!姉貴が旅人6人を族長の所へ連れて行けと・・」
族長「なんやとぅ!!よそ者を入れるからには何かあるんやろうな?」
門番「旅人6人!!族長に顔を見せろ」
族長「誰や?こいつらは?」
学者「僕達は族長に機械の事で相談に来たのさ・・土産も持って来てるよ」
族長「ほー良い心がけしとるやないか?・・土産とは何や?」
学者「これさ・・」バサ
族長「うお!!機械の衛兵やないか・・丸ごと・・どうやって手に入れたんじゃ?」
学者「機械の国で盗んできたんだ・・興味あるかな?」
族長「すごいやないかぁ!!うわっはっはぁ〜」
学者「族長が機械のコレクターだと聞いてね・・この機械の衛兵を土産に相談事に来たんだ」
族長「そうか〜・・まぁ6人とも部屋に入れや」
門番「族長!あっしは戻って良いですか?」
族長「おう!ご苦労やった!」
---
族長「・・・なるほどな?無人島で手に入れた謎の機械をわいに解析して欲しいんやな?」
学者「機械の原理は大体分かったんだ・・この小さな機械がどういう役割をするのかが分からない」
族長「その小さな機械はな・・人間で言う脳みそなんだがな?遠隔操作も出来るようになっとる」
学者「遠隔操作?」
族長「多分無人島にいた亡骸は遠隔操作から逃れるために逃げたんや」
学者「・・という事は機械の衛兵も遠隔操作で動いてる?」
族長「高度な機械は大体遠隔操作やな・・単純な機械は自律で動くが行動が単純や」
学者「どこから遠隔操作を?」
族長「分かりきった事聞くなや・・機械の国の城や・・機械の国の船からも遠隔操作できるちゅう話や」
学者「ふむ・・無人島の亡骸に付いてた小さな機械は情報を記憶するような物では無いんだ」
族長「そうやな・・ただわいが思うにその無人島の亡骸が逃げた理由は・・」
学者「理由は?」
族長「情報を記憶する部分は機械の国の城のどこかにあってな・・そこに遠隔で保存されるのから逃げたんやと思うわ」
学者「・・・機械の国の城のどこかに集中して遠隔操作や情報を記憶する部分があるんだね?」
族長「まさかお前等それを盗むんか?」
学者「・・今考えてる・・多分僕たちじゃ無理だと思う」
族長「当たり前やろ!機械の衛兵1体だけでもすごい事や」
学者「ちょっと考えないとなぁ・・」
---
族長「・・なんや見たこと有る顔や思うたら・・娘と結婚する予定やったもんが居るな・・」
騎士「・・・・・」
僧侶「え?え?え?・・・どういう事!?」
族長「娘には会うたか?」
騎士「会ってない・・というか結婚の話は村長が勝手に決めた事だし」
族長「まぁ上の娘は結婚の話は悪い顔しとらんかったがな・・村長の息子は最悪やったわ」
騎士「なんか会いづらいな」
族長「しばらくゆっくりしていったらええ」
騎士「それは助かるけど・・」
学者「ハハ追い出されなくて良かったじゃないか・・僕も少しココで考えを整理したいよ」
僧侶「ねぇねぇ騎士?・・族長の娘さんと何か有ったの〜?」
騎士「いや・・何も無いよ・・昔、村長に勝手に結婚をさせられそうになっただけだよ」
僧侶「うぅぅぅぅお腹がムズムズしてきた〜」
学者「族長!僕達はどこで休めば良いかな?」
族長「昔の教会を使えや・・今は物置になっとる」
学者「町の中は自由に歩いて良いのかな?」
族長「構わんが・・贅沢に物を食べるのはイカン」
学者「ハハ質素にしてるよ」
僧侶「うぅぅぅぅ・・」
---教会---
学者「・・ちょっと僕は族長がコレクション見せてくれるって言うから行って来るよ」
女医「私も見てみたいな〜」
学者「じゃぁ車椅子押してくれるかな?」
女医「うん」
学者「他の皆はどうする?」
盗賊「俺は女盗賊と一緒に町の方見に行く」
騎士「僕は広場で叙事詩を歌いに行くよ・・僧侶も一緒に行こう」
僧侶「ムキーーーー」プン
騎士「・・だから族長の娘とは何も無いって・・」
女盗賊「フフやきもち妬いてるのよ・・やさしくしてあげなさい?」
騎士「詩でも歌って気を晴らそう」
僧侶「・・シクシク」
騎士「やれやれ・・早く行くよ!?」グイ
---広場---
ガヤガヤ
騎士「あれ?広場に人が集まってる・・どうしたんだろう?」
僧侶「踊り子さんが踊ってる〜」
騎士「まさか・・」
僧侶「見に行く〜?」
騎士「ん〜先客だなぁ・・踊ってるのは族長の娘姉妹だよ」
僧侶「見る!!」
ラッタッタ チャチャチャ♪
(姉貴〜ヒュー)
(妹娘〜良いぞぉぉぉ!!)
騎士「ははは大人気だな・・」
僧侶「あうあう・・綺麗・・」
騎士「これじゃ僕達の出番は無いかな」
僧侶「ねぇねぇわたしもおしゃれな格好がしたいよぅ」
騎士「そんなに張り合わなくても僧侶は可愛いよ」
僧侶「本当に〜?ウフフ」
妹「あ!!オネエ!!あいつが見に来てる!!」
姉「ん?・・構うな」
妹「あいつリュート持ってるよ?弾かせてみようよ」
姉「私は興味無い」
妹「アタシは興味ある!!呼んで来るよ?・・お〜い!!あんたぁぁ!!」
姉「・・・・・」
騎士「あ、あんた??・・僕か?」
妹「そーだよ!あんただよ・・リュート持ってんならちょっと弾いてよ」
騎士「いや・・僕は踊りに合わせれるか自信が無いよ」
妹「合わせんのはアタシ達!!いーから何か弾いて!!」
騎士「んん〜合わなかったらゴメンよ・・」
ポロロン〜♪ ジャカジャ〜ン♪
騎士「『孤高なる女戦士』」
(おい!!踊りに音が入ったぞ!!)
(すげぇノリノリじゃねぇか)
(あのネーチャンの小太鼓も良いね)
(ヒューヒュー良いぞぉ!!)
---族長の家---
学者「・・これは?」
族長「これはなぁ滅びたドワーフの遺跡から発掘したもんや・・時計と言う機械の一部や」
学者「ドワーフは100年ほど前に機械の国に滅ぼされたんだよね?」
族長「少し違うなぁ・・滅ぼされた訳じゃのうて機械が暴走して滅んでしもうたんや」
学者「暴走?」
族長「ドワーフは製鉄技術が高かったんじゃが機械に頼り過ぎててな、ある日機械が暴走したんや」
学者「今で言う機械の衛兵みたいなのが暴走したのかな?」
族長「いや・・機械の炉や・・暴走して爆発したんや」
学者「へぇ〜・・そういう話は北の大陸にはあんまり伝わってないな」
族長「そうやろうなぁ・・機械の国は跡形も無く吹っ飛んだからなぁ」
学者「ドワーフの遺跡に行けばまだ何か残ってるのかな?」
族長「興味あるんか?わいはなぁ・・ドワーフの遺跡の地下に完全な時計がまだ眠ってると思うとるんや」
学者「時計ねぇ・・」
族長「馬鹿にしたらアカンで?オモリとバネで魔力の様な力を起こすらしいわ」
学者「へぇ・・」
---翌日---
学者「・・やぁ皆起きたね?昨日はみんな楽しんだみたいだね」
僧侶「族長の娘さんの踊りがすごいの〜」
盗賊「俺も見てたぞ」
学者「ハハ僕も見たかったな」
盗賊「お前は族長のコレクションを見に行ってたんだろ?良い物あったか?」
学者「色んな機械を集めてたよ・・中でもドワーフの遺跡から発掘した時計という機械が面白かった」
盗賊「ほう・・なんだそれ?」
学者「正確な時間を知る事のできる機械らしい・・僕も欲しいよ」
盗賊「時間が正確に分かれば航海が楽になるな」
学者「あとドワーフの国が滅んだ理由も少し聞いたんだ・・機械が暴走して滅んだらしい」
盗賊「暴走で?」
学者「うん・・機械の炉が暴走して爆発したんだってさ・・跡形も無いらしい」
騎士「・・その話は昔聞いたことがるよ・・機械の国もいつか爆発するんじゃないかという噂もあった」
学者「それなんだよ・・族長は機械の国にも同じ様な炉があると言ってた」
盗賊「その機械の炉は何をする物なんだ?」
学者「族長もそれが知りたいってさ」
---
盗賊「・・これからどうするんだ?いつまでも辺境の国に居るわけにもいくまい」
学者「うん・・正直行き詰ったかな・・サンゴの無人島で見つけた小さな機械が手掛かりになると思ったんだけどねぇ」
女医「謎の奇病の手掛かりも無しね」
騎士「そういえば今の辺境の国は何の襲撃に備えて木の柵を作ってるのかな?」
学者「あ!そういえばそうだね・・まてよ?族長のコレクションは機械の部品ばっかりだったな・・」
盗賊「まさか機械が襲ってくるのか?」
学者「・・なんか怪しいな・・何か隠してるんじゃないかな」
女医「そういえば族長は機械の国の事が詳しいね・・何か知ってるのかも」
学者「もういちど族長に尋ねて見るよ」
---族長の家---
ドンドン ドンドン
学者「・・・・・留守かな?」
盗賊「裏に回って見るか?」
学者「ん〜どこに行ったのかなぁ・・」
盗賊「窓から家の中が見えるぞ?」
学者「居ないねぇ・・アレ?機械の衛兵が無い・・どこかに持って行ったのかな?」
盗賊「怪しいな・・」
カーン キーン
盗賊「!!?どこかで戦闘音がするぞ?」
学者「・・・どこだろう?車椅子押してくれるかな?」
盗賊「こっちだ!!」
---
盗賊「あそこだ!柵の外の裏山だ・・柵の隙間から見える」
学者「機械の衛兵が動いてる・・相手は・・族長の娘だ!!襲われてるのか?」
盗賊「よく見ろ!・・族長もあそこに居る」
学者「・・・あ・・機械の衛兵の動きが止まった」
盗賊「ハハーン・・どうやら動かすテストをやっているな?」
学者「ちょっと見ていようか」
盗賊「望遠鏡がある!これを使え!」
---裏山---
族長「・・もう一回いくぞ?」
姉「次は2人掛りで行くよ!」
妹「わーってるって!」
族長「キラーマシーン!目の前の2人を攻撃しろ!」
キラーマシーン「サクテキ・・ホソク・・ハイジョカイシ」ウィーン ガシャン
姉「来るよ!!」
妹「アタシは後ろに回る!!」
キラーマシーン「ウィーン・・」ブン!カキーン
姉はキラーマシーンの攻撃を防いだ
姉「つつつ・・」
妹「えーい!!」カーン カーン
妹の攻撃はキラーマシーンに効かない
妹「硬〜い!!」
キラーマシーン「ウィーン・・ウィーン・・ウィーン・・ウィーン」
族長「あかんわーアホやわ」
姉「フフ機械のくせに迷ってる」
族長「1対1やないとアカンなぁ・・」
姉「命令の仕方が悪い・・目標を私だけにしてみて!」
族長「キラーマシーン!姉を倒せ!」
キラーマシーン「モクヒョウ・・ホソク・・ハイジョカイシ」ウィーン ガシャン
姉「逃げるよ!!」ダダダ
キラーマシーン「モクヒョウ・・トウソウ・・ツイビカイシ」ウィーン ウィーン
妹「速いいぃぃ!!」
族長「キラーマシーン!止まれぇ!!」
キラーマシーン「キンキュウテイシ・・」ピタ
族長「がっはっは・・命令次第な訳やな?」
姉「強力な戦力になる!!」
族長「これで敵襲もなんぼか防げるなぁ」
---
学者「ハハさすが族長だ・・機械の衛兵を上手い事使ってるよ」
盗賊「お!?族長達が戻ってくるぞ?」
学者「族長の家の前で待ってよう」
盗賊「・・にしてもどうやって機械の衛兵を使ってるんだ?」
学者「きっと単純なお手伝い様の機械の部品を入れたんだよ」
盗賊「そういや衛兵の様な滑らかさは無いな」
学者「動き方が機械その物だね」
盗賊「暴走しなきゃ良いがな」
学者「・・暴走ねぇ・・」
---族長の家---
族長「なんやお前等・・来とったんか?えーもん見れたのに惜しかったなぁ?」
学者「ハハ裏山で機械の衛兵を動かしてるのを見たよ」
族長「おお!!それや!!お前らのお陰で良い戦力が出来たわ」
学者「機械の衛兵を上手い事操るなんて凄いね」
族長「そやろそやろ?・・・で何か様があったんか?」
学者「聞きたい事がいくつか合ってね・・」
族長「まぁ外で話もなんやし・・家の中に入ろうか・・」
学者「じゃぁ失礼するよ」
---
族長「・・・そしたらお前は機械の国の古文書を探しとるちゅーんか?」
学者「そうなんだ・・族長は知らないかな?」
族長「残念だが・・機械の国には書物は一切無いと思うで?」
学者「族長はどうしてそんなに機械の国に詳しい?」
族長「わいはもともと機械の国の山賊や・・今の高性能な衛兵が出回る前は何度か機械の国の城に入ったんや」
学者「それは凄い!!どうなってるのか知りたい」
族長「城の奥の方はどうなってるか知らんが見取り図くらいは描けるで?」
学者「ふむ・・でも書物類が無いとなると意味が無いなぁ・・」
族長「そうや!!ドワーフは書物を残しとる筈や・・ドワーフの遺跡に行けば古文書が出てくるかもわからんなぁ」
学者「ドワーフの遺跡の地下かな?」
族長「機械の国の技術はもともとドワーフの物や・・魔王が居った時代に魔王がドワーフに機械を作らせたんや」
学者「なるほど・・ドワーフの遺跡は何処にあるのかな?」
族長「普通の世界地図には乗っとらん・・地図から消された島や」
盗賊「聞いた事があるぞ!!」
族長「わいに任せておけ・・魔王島へ行く途中にあるんや」
学者「魔王島へは普通の船では行けないと聞いた事が・・」
族長「それは大丈夫や・・わいは昔行った事がある」
学者「・・決まったね・・ドワーフの遺跡に行こう」
族長「そういやお前らは船持っとるんか?・・持ってるんやったら娘2人も連れて行け・・経験させて置きたいんや」
学者「良いのかな?辺境の国のアイドルを2人も連れて行って?」
族長「それは構わん!ドワーフの遺跡はそれほど危険やないしな」
学者「じゃぁしばらく一緒に行動させてもらうよ」
族長「土産も忘れるな?・・ドワーフの遺跡に行ったら時計も探して来い」
学者「ハハハ分かってるさ」
---教会---
盗賊「戻ったぞ〜」
僧侶「おかえりぃ〜ウフフ」
騎士「何か分かったかい?」
学者「色々とね・・族長は僕たちが持ってきた機械の衛兵を上手い事操って動かしてたよ」
騎士「へぇ〜すごいね」
学者「キラーマシーンって名前付けてたよ・・センス疑っちゃうね」
騎士「ははは族長はお茶目なんだね」
僧侶「ねぇねぇこれからどうするか決まったの〜?」
学者「あぁ・・その事なんだけどさ・・100年前に滅びたドワーフの遺跡・・そこに珍しいものが沢山あるんだってさ」
僧侶「おもしろそ〜う」
学者「僕が探してる古文書もあるかもしれない」
騎士「行き方は分かってるのかな?」
学者「族長は一度行った事があるらしい・・族長の娘2人が案内してくれるってさ」
騎士「うは・・・」
学者「ん?なにかまずいかな?」
騎士「いや・・あの2人はちょっと問題があってね・・姉はキツイ性格・・妹はすごいワガママ」
学者「ハハ良いじゃないか楽しくなるよ」
盗賊「船が女だらけになるな・・働くのが俺と騎士だけだぞ・・」
女医「ちょうど族長の娘2人の踊りも見たかったし・・良いんじゃない?」
学者「今日早速出かけよう・・もうお腹ペコペコだよ」
盗賊「ヌハハここに居たら贅沢出来んしな」
僧侶「わたしもペコペコ〜」
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