妹友「で、何怒ってんの?」
妹「聞いてくれる?」
妹友「私の気持ちなんて、どっちにしろ言うでしょ、あんたは。面倒だから早くしてよ」
妹「飼ってた犬が死んでさ、この一ヶ月ずっと兄さんが落ち込んでたわけだけど」
妹友「うん。あんたの兄の様子は逐一聞かされてるから知ってる」
妹「わたし、兄さんのことずーっと励ましてたんだけど。もちろんわたしも辛かったけどね?」
妹友「あんたのあんたんちの犬に対する感情は、嫉妬と情が入り交じってて辛かったの一言で言い表せるものじゃないと思うけどね」
妹「辛かったの!そりゃあ確かに飼った当初は兄さんのことを取るライバルとも思ってたけど」
妹友「まあその辺はいいや。散々聞いたから。で、あんたはそのライバルがいなくなってせいせいするわ、とか涙ぐみながらツンデレってたけど、なんか怒るような事態になったわけ?」
妹「……兄さんはわたしとあの子(犬)のものなのに、横から掠め取ろうとする泥棒が現れたのよ!」
妹友「ペットロスのあんたの兄を慰める彼女でも来たの?」
妹「もっと最悪よ……!兄さんのクラスメイトとかいう女が、自分の家で子犬生まれたから見に来なよ、とか図々しくも誘いやがったらしいのよ!!」
妹友「へぇー」
妹「犬好きの兄さんの弱味につけ込んで!連れ込もうとするなんて!!」
妹「だいたいまだあの子が死んで一ヶ月なのに!きっとどう?良かったらあげるよ?なんて言うに決まってる!犬飼ってる癖によくそんなこと言えるわよ!デリカシーないの!?死ねばいいのに!」
妹友「見に行くだけじゃないの?」
妹「いいえ!きっとその魔女は、兄さんの心の隙間に巧みに入り込む話術で自分の使い魔をわたしの家に送り込もうとするに決まってるわ!」
妹友「うーん」
妹友(ここでどうにかしないと、最悪、こいつはてんぱって警察沙汰にでもしそうだな)
妹友「で、どうするつもりなの?兄を止める?」
妹「……止めようともしたけど、兄さん、子犬見るの楽しみにしてるみたいだから」
妹「でも、貰うとかの話は断固反対よ!そんな話になったら、泣きわめいてやめさせてやる!!」
妹友「ああ、あんたも行くんだ」
妹「ええ!着いていきたいって言っておいたわ!」
妹友「反対するのはいいけど、兄が欲しそうにしてたらあんた、ほんとに嫌って言い続けられんの?」
妹「う……」
妹友「あんたの兄はあんたのこと大切にしてるから、嫌だってあんたが言えば、そりゃ諦めるだろうけどね」
妹友「あんた、その時に寂しそうな感じの顔を兄がしても、混乱しないって言える?」
妹「うう……」
妹友「あんたは混乱したら、何するかわかんないんだから、飼うのが嫌なら今のうちに兄に言っておきなよ?」
妹「で、でも、楽しみにしてる兄さんに、そんな水をさすようなこと……」
妹友「今でも後でも、あんたはその人から犬貰って飼うのは反対なんでしょ?」
妹友「それなら早く言っておいたほうがいいでしょ」
妹「そうだけど……」
妹「……」
妹友「じゃあさ、新しい犬飼うこと自体はどうなの?それも反対?」
妹「兄さんがそうしたいなら、反対はしないけど……とにかくその女の犬だけは嫌!」
妹友「じゃあ別の犬を先に用意しちゃいなよ。その兄のクラスメイトは、まだ見に行くって約束だけでしょ」
妹「そっか……そうよね!でも……犬なんて……知り合いで子犬生まれてるなんて、聞いたことある?」
妹友「ないね」
妹「わたしのお小遣いじゃ子犬用意するなんてできないし……」
妹友「いっそあんたが犬にでもなればいいんじゃない?」
妹「え」
妹友「なーんて、冗談」
妹「そうよ!わたしが犬になればいいんだわ!」
妹友「は?」
妹「アドバイスありがと!いいアイディアが浮かんだわ!!」サササッ
妹友「……すまん、兄」
妹友「たぶん地雷踏んだわ」
────邦画初登場第1位!!
兄『……はぁっ……はぁっ……はぁっ』
────パンツ脱ぎたくなる映画連続3週TOP!!(したらべキネマ 調べ)
ID:0eB5C/K6「劇場に男友達と見に来て、俺だけパンツ脱いでんの恥ずかしー……とか思ってたら、友達皆脱いでましたw」
────日本中で『パンツ脱いだ』旋風が!!
兄『ごめん……ごめんな……妹……こんな所に放置して……寒かったよな……寂しかったよな……』
ID:3jLJpX.w「いやほんと……パンツ脱ぐしかできないっていうか……はい、感動しました」
────相次ぐトラブル、避けられない撤退、そして……
ID:81UEGWf.「最高です。予備のパンツ持ってきて正解でした」
────最愛の人との、別れ
兄『いもぉぉぉとぉぉぉぉっ!!』
【 南極物語 ~私が犬になればいいんだわ~ 】
妹『おにぃぃぃちゃぁぁぁぁんっ!!!』
兄『!!』
────SS深夜VIPにて、絶賛公開中
ついカッとなってやった。本当にすまん
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