猫「ニャ!ニャ!」
お婆ちゃん「はいよ。この缶詰好きだろう?今開けてあげるよ」
猫「カフカフ!」
お婆ちゃん「たーんとおあがり」
猫「カフカフ!ゲフッ」
お婆ちゃん「全部食べたねえ。偉いねえ」
猫「ニャア~」
お婆ちゃん「おやおや。食べたら甘えてきて。頭でもなでてやろうかねえ」
猫「ゴロゴロ」
お婆ちゃん「ごほごほ。最近咳が止まらないねぇ・・・」
猫「ゴロゴロ」
猫「ニャア」
お婆ちゃん「ご飯だね。ちょっと待ってておくれ」
猫「ニャ、ニャ」
お婆ちゃん「・・・うっ!」
猫「ニャア?」
お婆ちゃん「いたた・・・!急に胸が苦しく・・・!うぅぅ・・・!」
猫「ニャア」
お婆ちゃん「あ、ぐ、ぅ・・・・・・・・・・・・・・・」バタッ
猫「ニャーニャー」カリカリ
猫は落ちた缶詰にカリカリ爪をたてていた。
猫「ニャアニャア」カリカリ
猫は缶詰をカリカリするが当然開けられない。
猫「ニャア~」
猫はお婆ちゃんの側に寄ってスリスリ体を寄せる。
お婆ちゃんはピクリとも動かない。
猫「ニャウ~」
猫にはお婆ちゃんが死んだことが理解できなかった。
どれだけ体をすり寄せてもお婆ちゃんは動いてくれなかった。
猫「ニャア~・・・」カリカリ
猫はお腹が空いて缶詰をカリカリする。
ドアはきっちり閉まっており窓には鍵がかかっているため猫は外に出ることもできない。
食べる物といえば目の前の開けられない缶詰しかないのだ。
猫「ニャァ・・・」カリカリ
どれだけ時間が経っただろうか。
猫はあいも変わらず缶詰とお婆ちゃんの側を行ったり来たりするばかりだった。
猫「ニャア・・・」
猫は次第に衰弱していった。
今まで何の不自由もなくご飯を食べていたのに今は何も食べられない。
缶詰にご飯が入っていることは知っていた。
中にはとても美味しいご飯が詰まっているんだ。
でも今は缶詰をじっと見ることしかできない。
昼と夜が幾度か変わり、猫はみるみる痩せ細っていった。
猫「ニャア」
猫はお婆ちゃんの側にすり寄った。
お婆ちゃんが死んだことは理解できないが、
もう動かないんだということはなんとなくわかっていた。
猫「ニャ・・・」
そして、猫はお婆ちゃんの横に仲良さそうに寝そべると静かに目をつむった。
end
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