える「経済学部も二限ありましたよね?」
奉太郎「うーん……」ゴロゴロ
える「もう……」プクーッ
奉太郎「先週はしっかり毎日行ったんだから、今週はちょっとくらい……」ゴロゴロ
える「ダメですよ! せっかくこれだけ大学に近いアパートに2人で引っ越して来たのですから」
奉太郎「俺は今日、余裕がある授業ばっかりなんだ」ムクッ
える「とは言いましても……」
奉太郎「えるはどうなんだ?」ギュッ
える「!」
奉太郎「今日は休んじゃまずい授業ばっかりなのか?」ギューッ
える「や、休んで良い授業なんて元々ありません!」
奉太郎「本当に真面目だな」ナデナデ
える「……」カァッ
バタンッ
奉太郎「……」ポケーッ
える「行きますよー」スタスタ
奉太郎「……あぁ」スタスタ
――山手グリーンロード――
奉太郎「ふぅー……」トコトコ
える「お父さんお母さんに授業料を払って頂いてるんですから、しっかり授業に出て、報いなければダメですよ」トコトコ
奉太郎「隣県の国立大っていう時点で充分親孝行だろう」トコトコ
える「ダメですよ!」プクーッ
奉太郎「ふぅー……」トコトコ
さん付けにするわ
――名古屋大学東山キャンパス――
える「では、私はこっちですので」
奉太郎「……」
える「奉太郎さん」
奉太郎「……ん?」
える「袖、離して下さい」テレッ
奉太郎「……あぁ」パッ
える「では」
奉太郎「えるは四限まであるんだよな?」
える「はい」
奉太郎「じゃあ……先に帰ってるな」ショボン
える「はい」
――経済学部講義室――
ガラッ
奉太郎「ふわぁっ……」トコトコ
友1「お。折木、おはよう」
奉太郎「ういっす」トコトコ
友2「折木、今日3限のあと暇?」
奉太郎「ん? まぁ、別になにもないが」
友1「あれ? 彼女さんは良いの?」ニヤニヤ
奉太郎「今日は4限終わりの日だ」
友2「んじゃあ、空いてるって言っても90分かよ~」
奉太郎「……いや別に、何時まででも構わないが」
友2「じゃあちょっと付き合って欲しい所があんだけどさ~」
奉太郎「……またあの文学部の人の事か」
友2「またとか言わないでくれよー」
奉太郎「俺に出来る事は特に無いんだが……」
友2「とりあえず一人じゃ心もとないから、一緒にいてくれれば良いんだ」
奉太郎「今日は文学部も3限終わりで、その人はいつもその後グリーンベルトのベンチで本を読んでるんだな?」
友2「そう! 毎週そうだから、もう習慣にしてるみたいなんだ」
奉太郎「……まるでストーカーだな」
友2「だから、俺もこのストーカーみたいな状態を脱するために、遂に今日、連絡先を聞こうと思ってさー」
奉太郎「……俺が行く意味あるのか」
友2「だから一人じゃ心もとないんだってば」
キーンコーンカーンコーン
友2「よーし、じゃあ行こう」
奉太郎「……あぁ」
――グリーンベルト――
友2「ほら、あそこ」
奉太郎「……あぁ」
友2「相変わらず可愛いな~」
奉太郎(本当にただのストーカーだな……)
友2「こんな風にキャンパスのベンチで本を読むのを習慣にしてるなんて、よっぽど本が好きな文学少女なんだろうな~」
奉太郎「……」
友2「……さて」
奉太郎「……」
友2「ど、どうやって話し掛けたら良いかな?」
奉太郎「……さぁな」
友2「さぁなって……折木は千反田さんとどうやって距離近づけたんだよ~?」
奉太郎「……成り行きだ」
友2「成り行きってなんだよ~? せっかく仲間内で唯一彼女がいるからって事で折木をつれてきてるのに~」
奉太郎「(……そういう理由だったのか) 成り行きとしか言いようがないんだから仕方ないだろ?」
友2「じゃあ……いきなり話し掛けるような事はやめた方が良いのかな……?」
奉太郎「うーん……」
友2「でもそれじゃあなにも始まらないよな~……」
友2「どうしたら良いんだー……」ガクッ
奉太郎「……」
奉太郎「……お前、目は良いか?」
友2「目? 良い方だと思うけど……」
奉太郎「じゃああの人が読んでる本のタイトルは見えるか?」
友2「本のタイトル……?」
奉太郎「あぁ。もし話し掛けるなら、そういう切り口が良いかな、と」
友2「おぉ、なるほど! ちょっと待って……」ジーッ
奉太郎「……」
友2「うーん……」ジーッ
奉太郎「……」
友2「……見えない」
奉太郎「……そうか」
――1時間後――
奉太郎「……」
友2「……」
奉太郎「……」
友2「……折木!」
奉太郎「……なんだ」
友2「どうしたら良いんだ俺は!」
奉太郎「……話し掛けるなら話掛ければ良いじゃないか」
友2「だって成り行きだなんて言われちゃったら……なんかいきなり話し掛けるなんて軟派過ぎるなって思えて来ちゃって……」
奉太郎「……別に俺達は成り行きだったっていうだけの話だぞ」
友2「でもさぁ……」
奉太郎(まだ学校にいるってえるに連絡しておくか……)携帯ポチポチ
奉太郎「……」
友2「どうしたら……」
奉太郎「……なぁ」
友2「ん?」
奉太郎「あの人は毎週この時間にはあのベンチに座って本を読んでいるのか?」
友2「うん。他の日も時々見掛けるけど、月曜日のこの時間は確実にいるね」
奉太郎「いつまでいるんだ?」
友2「いつまでかはわからないな~」
奉太郎「最後まで見てた事はないのか? まぁ、そんな事してたらいよいよストーカーだが……」
友2「俺、いつもだったら月曜日はバイトあるからすぐ帰っちゃうんだよ。今日はバイトが休みになったから、チャンスだと思って折木をつれてこうして来たわけだよ」
奉太郎「……なるほど」
友2「まぁ、結局なにも出来ないでいるけど~……」
奉太郎「……」
なぜ普段バイトなのにその事を知っている
友2「あぁ~どうしたら~……」
奉太郎「……なぁ」
友2「ん?」
奉太郎「あの人は文学部なんだよな?」
友2「うん、そうだよ。それは確かめたから、確実な情報」
奉太郎「……」
奉太郎(文学部の棟は経済学部と同じ側、つまり俺達の後ろにあるはず……)
奉太郎「……あの向こうの棟ってどこの学部のだ?」
友2「向こうの?」
奉太郎「あぁ。あの人が座ってるベンチの後ろにある棟だ」
友2「あれは工学部じゃない?」
奉太郎「工学部か」
奉太郎(そう言えば、グリーンベルトの北には理系学部、南には文系学部の棟が並んでるんだよな)
奉太郎「……」
友2「あれ。なんか時計ちらちら見てる……」
奉太郎「……」
友2「そろそろ帰っちゃうのかな~……?」
奉太郎「うーん……」
友2「?」
奉太郎「……ちょっと残念な結果になっちゃうかもな」
友2「ど、どういう事だよ?」
奉太郎「いや……まだ確証があるわけではないんだが……」
友2「はっきり言ってくれよ」
奉太郎「……あのさ」
友2「うん」
奉太郎「まず、なんであの人はわざわざ外のベンチに座って本を読んでると思う? すぐそこに図書館があるのに」
友2「? 外で読むのが好きな人もいるだろ?」
奉太郎「んじゃあ、それはそうだったとして……ならなんでいつもあのベンチなんだ?」
友2「? そんなの適当に……」
奉太郎「適当なら……いつも違う、つまりランダムか、決まってたとしても文学部に近いこっち側のベンチじゃないと不自然じゃないか?」
友2「あぁ……そう言われてみれば……」
奉太郎「つまり、いつも決まって理系学部側のあのベンチとなると、あえて選んで座ってるって考えた方が自然だと思うんだ」
友2「で、でも……なんでまた? 本を読むのに適した日の向きとか?」
奉太郎「そんな事に拘るなら、それこそ室内で読むだろ……」
友2「そっか……じゃあ……なんで……」
奉太郎「……本を読む事自体が目的じゃないんだろ」
友2「? じゃあ、あの人はあそこでなにを……?」
奉太郎「……人待ちだよ。読書はその間のただの暇つぶしだ」
友2「人待ち……!?」
奉太郎「あぁ」
友2「そ、それって……」
奉太郎「俺もこの間まではよく同じ境遇になってたからわかる」
友2「……」
奉太郎「帰りが一限分、つまり90分間ずれる相手の所を待つのって、結構困るんだ」
友2「……」
奉太郎「ただただ待つには長いが、どこかに行って来るには短過ぎる」
友2「……」
奉太郎「だから、大学に留まって適当に時間を潰すしかないんだ」
友2「……」
奉太郎「俺は基本的に農学部の方のベンチで寝てたが……本が好きなら、読書なんかもってこいだな」
友2「……」
奉太郎「今は、大学の近くで同棲してるから、そのまま帰るようになったけどな」
キーンコーンカーンコーン
奉太郎「お」
奉太郎「……帰るか? このままここにいると、あんまり見たくない光景を目の当たりにする羽目になるぞ」
友2「……いや」
奉太郎「……?」
友2「……同性の友達かも知れない」
奉太郎「……可能性としては否定しないが。……いつもあそこでああやって待ってるんだろ? ただの友人って感じじゃ……」
友2「いや、きっと性格も良いだろうから、すごく仲の良い女友達が…」
工学部男「お待たせ」
文学部女「うん!」
友2「」
奉太郎「……」
友2「爆ぜろリアル!!」
奉太郎「……それは別作品だ」
友2「……」ドヨーン
奉太郎「……」時計チラチラ
友2「折木……俺はどうしたら……」
奉太郎「……」
奉太郎「こんな事言うのも心苦しいが……」
友2「……?」
奉太郎「……すぐに帰った方が良いと思うぞ」
友2「え……?」
奉太郎「このままここにいると、更に追い打ちをかける結果になってしまう可能性が……」
「奉太郎さん!」
奉太郎「(遅かったか……)おぉ。大学にまだいるとは言ったが、よくここがわかったな」
える「奉太郎さんの事は、遠くからでも見つけられますから」イチャイチャ
奉太郎「そうか」イチャイチャ
友2「……」
>>40
「いつも授業終わってからバイトに向かうまでの間に見掛けてた」とでも解釈してくれ
奉太郎「じゃあ帰るか」スッ
える「はい」ニコッ
友2「爆ぜろ! 爆ぜろぉぉぉ!!」
奉太郎「……」トコトコ
える「奉太郎さん、あの方は良いのですか? お悩みがあるようなら、私達が乗ってさしあげた方が……」トコトコ
奉太郎「いや、多分それは逆効果だ。今は一人にしてやるのが一番だな」トコトコ
える「そうなんですか……」トコトコ
――山手グリーンロード――
奉太郎「今日はどうする? このまま真っ直ぐ帰るか?」トコトコ
える「お夕飯のものを買ってから帰りましょう」トコトコ
「みんな爆ぜろぉぉぉ!!」
奉太郎(……ここまで聞こえる……)トコトコ
――スーパー――
える「なにが食べたいですか?」
奉太郎「うーん……別になんでも良いが……」
える「それが一番困るんですよ」プクッ
奉太郎「じゃあ……寒くなってきたから鍋だな」
える「では……お肉と……お野菜と……」スッ スッ
奉太郎「後、豆乳鍋の素だな」スッ
――アパート――
バタンッ
奉太郎「ふぅー……」ドサッ
える「2コマ受けて来ただけで、そんなに疲れてたらダメですよ」
奉太郎(確かに……省エネ省エネ言ってた高校時代より更に省エネ生活になってるな)
える「お夕飯の準備は……まだ早いですね」
奉太郎「そうだな」
える「ふぅ」ストン
奉太郎「……ちょっと寒いな」ポンポン
える「そうですね」
える「……」スッ
奉太郎「……」ギュッ
える「んっ……」
ほ
氷菓ssは久しぶり
ほうたる「上で動け」
える「……はぃ」ンッ
的な
ほっしゅーと
すいません寝落ちしてました
える「……」
奉太郎「……」ギューッ
える「奉太郎さん」
奉太郎「なんだ」ギューッ
える「その……身動きが取れません」テレッ
奉太郎「別に夕飯の準備までする事もないだろ」ギューッ
える「そ、そうですが……」
奉太郎「寒いんだ」
える「では、エアコンを……」
奉太郎「いや」
える「?」
奉太郎「今週末に里志達に会いに東京まで行くんだから、節約した方が良いだろ。これは節約術だ」ギューッ
える「もう……」テレテレッ
ほ
はようP
落ちる
える「今日はどういうお勉強をなさったんですか?」
奉太郎「ん? 限界効用がどうたらとか言ってたな……」
える「限界……効用ですか。それはどういったものなのですか?」
奉太郎「んー……例えば、からっからに喉が渇いてる人間がいたとする。もう干からびる寸前くらいだ」
える「それは……とても可哀想です! お水を差し上げるべきです」
奉太郎「そうだな。だからコップに水を汲んで、そいつにやるとする」
える「良かったです」ホッ
奉太郎「きっと、神からのお恵みのように飲むだろうな」
える「そうですね。多少がっつくような形になってしまっても仕方がないほど、美味しく感じるでしょう」
奉太郎「では、2杯、3杯とどんどん与えていったらどうなるか」
える「? たくさん飲めるのであれば、きっとお喜びになるのではないでしょうか?」
奉太郎「そうだな」
奉太郎「でもその有り難さはどんどん下がっていくよな? 1杯目をピークとして」
える「それは……きっとそうですね。喉の渇きが癒されれば、お水を飲むペースも落ちるはずです。仕方のない事です」
奉太郎「それが限界効用だ」
える「な、なるほど……! 面白いですね」ワクテカ
奉太郎「これは、あらゆるものに当て余るんだ」
える「水だけでなく……食べ物や嗜好品その他諸々にもって事ですね」
奉太郎「あぁ。経済活動ってのは、言い換えればこの限界効用との戦いなんだ」
える「おぉ……」ワクテカ
奉太郎「でも……」
ギュッ
える「んっ……」テレッ
奉太郎(これは真逆なのか……? 日に日に効用が増してるような……)ギューッ
える「奉太郎さん、少し苦しいです」テレテレッ
奉太郎「悪い悪い」
える「奉太郎さん」ナデナデ
奉太郎「……」
える「……」ナデナデ
奉太郎「……」ギューッ
える「……」
奉太郎「えるたそ~」
える「!?」
奉太郎「あ、いや……(我ながらなにを言ってるんだ……)」
える「奉太郎さん」ポンポン
奉太郎「ん?」
える「そろそろお夕飯の準備を始めますよ」スッ
奉太郎「あぁ (またこの状態で二時間くらい過ごしてしまったか……)」
奉太郎「鍋だから準備って言っても、野菜を切るだけだな」
える「そうですね」スッ
奉太郎「白菜とネギとエリンギ……」袋ガサガサ
える「はい」カシッ トコトコ
える「……」まな板スッ 包丁スッ
える「大きめが良いですか? 小さめが良いですか?」クルッ
奉太郎「えるの好みで良いぞ」
える「では、大きめにしますね」
奉太郎「あぁ」
える「……」包丁トントン
奉太郎「……」
える「……奉太郎さん」ピタッ
奉太郎「ん?」
える「さすがに……包丁を使ってる時は危険ですので、離れていて下さい」テレッ
奉太郎「……あぁ」パッ
える「大きめが良いですか? 小さめが良いですか?」クルッ
奉太郎「えるの好みで良いぞ」
える「では、大きめにしますね」
↑なぜだかチンコ勃った
える「……」包丁トントン
奉太郎「えるはさ」
える「はい?」包丁トントン
奉太郎「留学とかは……考えた事無いのか?」
える「留学……ですか?」包丁トントン
奉太郎「いや……学科の友人が行くとか言っててな」
える「おぉ……! すごいですね!」包丁トントン
奉太郎「だからえるももしかして、農業大国アメリカ辺りに留学するのを少し考えてたりするんじゃないかってな(実家には金があるわけだし……)」
える「今の所は……考えた事はないですね。アメリカには素敵な大学がたくさんあると思いますが……」包丁トントン
奉太郎「イェールたそ~」
える「!?」ピタッ
奉太郎「あ、いや……(さっきから俺はなにを言ってるんだ……)」
える「……」包丁トントン
奉太郎(なにはともあれ……留学とかは考えてないようで良かった。一緒には行けないだろうからな)ホッ
-=彡`¨¨¨¨ ヾ
/: : : : /: : : : : :ハ
イ: : : : : : : : : /: : ::「「l、
リ: : : : : : : : : : :j:.:} ‘, エネルギー消費の多いSS制作に敬礼
乂:.:.:.:.:.:.:.:〈リjイ圦 __}
):.:.:.:イ _/ フニニ\
_/ニ==‐ュ ー′ ∨ニニ∧
/二二二二}__ │ニニニハ
/ ̄`ヽ , ィ/ニニニニニニ/ニ/ニニ=「\二ニ}
....:.:´ィ:.:.:.:.:.:.:.}/ イニニニニニニニニニニニニニニニニヽニ|
{:::{:.:.:.:.:.:.:.:.//:.:?Yニ二二三三三三厂 ̄ ̄ ̄ ̄
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?Yi:// :.:.:.::::::/|ニニニニニニニ/ニニニ′
∨ハ:.:.:.:.:.:.:::://|二二ニニニ/ニニニ/
Vハ::::.:.://::::::|二ニニ/ニニニ′
}::::}二 ィ:::::::::::/ニニ/ニニニニニ{
`¨¨¨¨´ } =彳ニニニニニニ/ニ.|
∧ニニニニニニニニ/ニニ|
える「出来ましたよ~」鍋グツグツ
える「お米は、昨日実家から届いた新米ですよ」ホカホカ
奉太郎「久し振りの千反田米か」
える「……では」
奉太郎「あぁ」
奉太郎・える「いただきます」
奉太郎(……よし)箸スッ
奉太郎(ここで、すぐに肉を……)カシッ
奉太郎(明らかに熱過ぎる肉を……とりあえず自分の唇に……)ピタッ
奉太郎「あつっ!!」
える「!!」
奉太郎「あつつ……」
える「ダメですよ! コンロから降ろしたばかりですから~!」
える「もう……」肉カシッ
える「ふぅふぅ」息フーフー
奉太郎(……よし)グッ
える「はい、奉太郎さん」ニコッ
奉太郎「あぁ」パクッ
奉太郎「……」モグモグ
奉太郎(……美味い)
なんで策士
奉太郎・える「ごちそうさま」
奉太郎・える「ふぅー……」
える「お鍋はお腹がいっぱいになりますし、体も温まって良いですね」
奉太郎「そうだな」
える「では」カチャカチャ
奉太郎「待て待て。月曜日の皿洗いは俺だぞ」スッ
える「あっ……」
奉太郎「……」トコトコ ガシャン キュッ
える「……」
奉太郎「……」シャーッ カチャカチャ
える「……」キュンッ
える(では私は、レポートの作成に取り掛かるとしますか)PCパカッ
奉太郎「……」シャーッ カチャカチャ
える「……」カタカタカタカタ
奉太郎「……ふぅ」キュッ
える「……」カタカタカタカタ
奉太郎「……」パッ パッ
える「あ、ありがとうございました」
奉太郎「いつも言ってるが、交代でやってる家事に礼はおかしいだろ。役割なんだからな」トコトコ
える「あっ……そ、そうですね」アセアセ
奉太郎「……ただ」
える「……?」
奉太郎「手がすっかり冷えてしまった」手スッ
える「……」
奉太郎「このままでは壊死してしまいそうだ」
える「……」手ギュッ
奉太郎「……」ヌクヌク
える「……」手ギューッ
おちr おちr おちんちーん
奉太郎(……暇だ)
える「……」カタカタカタカタ
奉太郎(えるがレポートやってる時はどうしようもないんだよな……)
える「……」カタカタカタカタ
奉太郎(色々遊んでみよう)
える「……」カタカタカタカタ
奉太郎(まずは足の裏を……)コチョコチョ
える「ひゃっ!」
える「……」
奉太郎「……」
える「……」カタカタカタカタ
奉太郎(慣れたもんだな……)
奉太郎(次はわき腹を……)コチョコチョ
える「いやっ!」
奉太郎(ふふ)
える「……」クルッ
奉太郎「……」
える「……」プクーッ
奉太郎「……」
える「……」プイッ
える「……」カタカタカタカタ
奉太郎「……」キュンキュン
――三時間後くらい――
奉太郎(結局ずっとほっとかれた……)ショボン
える「ふぅー……やっと終わりました」PCパタン
奉太郎「……」ムスッ
える「……」
える「もう……」ギュッ
奉太郎「!」
える「レポートの時は仕方ないんですよー」ギューッ
奉太郎(……それはもちろんわかってるが)イジケッ
える「ずーっと一緒にいるんですから、良いじゃないですか」ナデナデ
奉太郎「……」
奉太郎(……これが依存というやつか)
パンツAmazonで売った
時計カチカチ
える「あ……もう結構なお時間ですね」スッ
奉太郎「ねるたそ~?」
える「!?」
奉太郎「あ、いや、なんでもない……(本当になにを言ってるんだ……)」
奉太郎「もう寝るのか?」
える「火曜日は一限からあるんですよ」
奉太郎「そうか……」
える「奉太郎さんは二限からでしたよね」
奉太郎「あぁ(よく人の時間割まで覚えてるな)」
える「では、お風呂入って来ますね」
奉太郎「あぁ」
える「♪」
シャーッ
奉太郎「ふぅ」
prrrrrrr
奉太郎「!」
奉太郎(友1から電話か)
奉太郎「……」ピッ
奉太郎「もしもし?」
友1「もしもし折木? 今平気?」
奉太郎「あぁ。どうした?」
友1「ちょっと困った事になったんだよー」
奉太郎「なんだ?」
友1「友2が振られたとか言って、家に来て、めちゃくちゃ酒飲んでてさー」
奉太郎「……(振られる以前の問題だったろ……)」
奉太郎「それで俺にどうしろと言うんだ」
友1「それだけだったら良かったんだけど、へべれけになった状態で、さっき泣き叫びならが家を飛び出してっちゃったんだよー」
奉太郎「なっ……」
友1「ちょっと心配だから、一緒に探してくれないか?」
奉太郎「……」
友1「頼むよー」
奉太郎「……仕方ないな(俺にも責任があるかもしれんしな……)」
友1「お! じゃあ大学駅の1番出口で待ってるなー」
奉太郎「あぁ」プツッ
奉太郎「……はぁ」
奉太郎「……行ってくるか」トコトコ
奉太郎「えるー」
奉太郎「……」脱衣所ガチャッ
える「きゃっ!」
奉太郎「あっ……」
える「あ……あ……」カァッ
奉太郎(もうあがってたのか……)ジーッ
える「み、見過ぎです! ハプニングであれば、すぐに閉めるなりしてください!」カァッ ////
奉太郎(もう散々見てるんだから良いだろ……)ジーッ
える「もう!」ドア バタンッ
奉太郎「あっ……」
奉太郎「まぁ良いや。ちょっと、外出てくるな」
える「は、はい……」テレテレッ
奉太郎(親公認で、後は大学卒業後に籍を入れるだけの相手に恥じらってどうするんだか……)トコトコ
ガチャッ バタンッ
奉太郎「寒っ……」ブルッ
奉太郎「……めんどくさ過ぎる」
奉太郎「でも……仕方ないな。酔ってどっかで寝て凍死されても困る」
奉太郎「……」トコトコ
何これ…………NTR路線が濃厚になってきたぞ……………………
ま まさか な……………………
――名古屋大学駅1番出口――
奉太郎「ふぅ」
友1「悪い、悪い」タッタッタッタ
奉太郎「んじゃあ探しに行くとするか」
友1「あ、あぁ」
奉太郎「……」
友1「……」
「爆ぜろぉぉぉぉ! 爆ぜろぉぉぉぉぉぉ!」
奉太郎「探しに行くというより、迎えに行くだな(……やっぱりあのベンチか)」
友1(まさか大学に来てたとは……)
(´∀`)b
なにも友1に限らな
>>274
や やめろ………………やめてくれ………………
――ベンチ――
奉太郎「……」
友2「グスン……グスン……俺を笑うが良いさ」
奉太郎「いや笑いはしないが……(まさかここまで本気だったとはな……)」
友2「お前らにはこの気持ちがわかるまい……」
友1「まぁ入学当時からずっと憧れてた人だったわけだからなー」
友2「そうだよ……グスン……グスン……」
奉太郎「つ、辛いだろうな……(こんな言葉くらいしか掛けられないが……)」
友2「……」ギロッ
奉太郎「うっ……」
友2「折木、イメージしてみてくれ」
奉太郎「……?」
友2「お前が、千反田さんと付き合ったのは高校時代だよな?」
折木「あぁ」
友2「その直前には、どんどんどん思いが募ってる時期があったわけだ」
折木「まぁ……そうだな」
友2「そして……そのあふれ出る思いが止められなくなって……」
折木「止められなくなって……?」
友2「さぁ一歩を踏み出そうとしたら……」
折木「踏み出そうとしたら……?」
友2「千反田さんには既に彼氏がいた! さぁどうだ!」
折木「!!!!」
折木「……」オロオロ
友1・2(露骨に戸惑ってる……)
だが時既に遅し
家ではえるたそが酔っぱらったおっさんの餌食に!
友2「俺の気持ちが少しはわかったか?」
奉太郎「あ、あぁ……」オロオロ
友1(ただのイメージでここまで……)
奉太郎「それは……辛かったな」オロオロ
友2「そうだよ!」グスングスン
奉太郎「……って言っても」
友2「……」
奉太郎「……どうしようもないんだがな」
友1「そうだな」
友2「……」スッ
奉太郎「……?」
友2「もう折木で良いや! キスー!」
奉太郎「うわっ! やめろ!」アセアセ
友2「折木ー!」グイグイ
友1(今日も名古屋は平和だな)
――アパート――
奉太郎「ふぅ」
奉太郎「……」ガチャガチャ
奉太郎(ん、鍵閉まってるか)
奉太郎(えるはもう寝てるだろうから……)鍵ゴソゴソ
ガチャッ
奉太郎「!」
える「おかえりなさい」
奉太郎「先に寝てれば良かったのに」
える「だって、行き先も告げずに行ってしまうんですもん」プンッ
安堵
奉太郎「今日大学から帰る時、叫んでた奴がいたろ?」
える「はい。奉太郎さんの学科のお友達ですね」
奉太郎「あいつが酒飲んで自暴自棄になって行方不明になったっていうから探してたんだ」
える「え……? 大丈夫だったのですか?」
奉太郎「同じベンチにいたよ」
える「あ、そうですか……」
奉太郎「多分、もう大丈夫だ」
える「それは良かったです」
奉太郎(まぁ、あのまま友人1と2がどうなったのかは知らんがな)ニヤッ
える「では、奉太郎さんもお風呂に入って、今日は早く寝ましょう」
奉太郎「あぁ」
あ、同じベンチではないか
訂正
同じベンチ→昼間俺達が座ってたのと対面のベンチ
奉太郎「先に寝てて良いからな」
える「はい」
ガチャッ
シャーッ
奉太郎「……ふぅ」ワシャワシャ
奉太郎「……」ワシャワシャ
奉太郎「……」
奉太郎(もしえると……付き合えてなかったら……か)
奉太郎「……」ワシャワシャ
奉太郎(……考えた事もなかったな)
ほじほじ
奉太郎(もし付き合ってなかったら……)ワシャワシャ
奉太郎(あの時のあの思い出も……)ワシャワシャ
奉太郎(あの時の思い出も……)ワシャワシャ
奉太郎(……全部ないわけだ)キュッ
奉太郎(そして……こうやって……)ガチャッ
奉太郎(風呂からあがっても……)フキフキ ガチャッ
奉太郎(……誰もいないわけだ)スタスタ
える「……」スースー
奉太郎「……」
える「……」スースー
奉太郎「……」
奉太郎「えるたそ~!!!!」ピョーン!!
える「!?」
終
このSSまとめへのコメント
ただのラブコメだが、まあ良し!