女騎士&オーク「はいどうもどうも~」イェシガンガンガンガンガンガン♪ (33)

女騎士「私が女騎士で~」

オーク「僕がオークで~」

女騎士「二人で漫才やらせてもらってます」

オーク「よろしくおねがいしまーす」

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女騎士「いやー、オーク君。新年一発目の舞台なんですけど」

オーク「そうですね、まあもう新年って感じじゃないですけども」

女騎士「でもねー、まあこれでまたひとつ年を取ったかと思うとね~」

オーク「あれ? あんまりおめでたくないですか?」

女騎士「うん、そりゃあね?」

オーク「初詣とか、獅子舞とか、えーっと、あと色々とあるじゃないですか」

女騎士「キミの新年のイメージ、初詣と獅子舞だけ? もっとあるでしょ!」

オーク「あとスイカ割り!」

女騎士「急に遠くなった! それおそらく新年と一番関係ないよね?!」

女騎士「とにかくですねー、まあ年を取っちゃうとね?」

女騎士「初詣でおみくじを引いてもね、やれ縁談とか病気とか」

女騎士「そういうのばっかりに目が行くようになってね~、ホント」

オーク「あー、はいはい」

オーク「僕も最近気になる項目増えましたねー」

女騎士「えー? オーク君、若いから学業とか?」

オーク「そうですねー、やっぱり自分の身体のことですから」

オーク「いちばん気になるのは出産とかですかねー」

女騎士「それ、君自身には一番関係ない項目だよね?」

オーク「『案ずるより産むが易し』とか100円の紙に言われても逆に不安で」

女騎士「おみくじの存在、全否定しちゃったよ!」

女騎士「ところでオーク君。今年の抱負とかは決まった?」

オーク「今年は田舎に帰ってじいちゃんのお墓参りにでも行こうかなと」

女騎士「それ抱負じゃなくて『オフ』だよね。オフの過ごし方じゃなくて抱・負!」

オーク「ああ、今年の黙祷みたいな」

女騎士「『目標』ね。ちょっとしんみりした感じから抜けよっか」

オーク「そうですねー、目標といえばキャリアアップですかねー」

女騎士「あ、なんか本格的でいいね~」

オーク「いや自分もいつまでもオークばっかりやってられませんから」

オーク「もう生まれたときからずっとオークしかやってなくて……」

オーク「で、最近こう、女騎士さんと漫才やってるわけじゃないですか」

オーク「そしたら思ったんですよ、自分も女騎士になりたいなーって」

女騎士「うん、それは無理だよね」

オーク「どうしてですか! なんで無理って決め付けるんですか!」

オーク「僕だってやればできるんです! やってみなくちゃ分からない!」

オーク「僕の好きな言葉は『案ずるより産むがやすじ』なんです!」

女騎士「えーっとねオーク君。さっきからボケ散らかしてるけど」

女騎士「一個一個ツッコんでいくね」

女騎士「まずオークって職業だったの?」

女騎士「で、仮にオークが職業だとしてもよ? 自分たち漫才やってるよね?」

女騎士「じゃあ生まれてからオークしかしてないっておかしいでしょ!」

女騎士「あと、案ずるなって言葉もさっき否定していたおみくじの話だよね?」

女騎士「しかも好きな言葉なのに間違えてたよね『やすじ』って」

女騎士「やすじ? 誰? キミのおじいちゃん?」

オーク「あ、じいちゃんはもう……」

女騎士「そうだった! ごめんね、またしんみりさせちゃって!」

オーク「まあとにかく女騎士になりたいんですよ」

女騎士「そこもツッコミ忘れてた! キミ、男でしょ!」

女騎士「なに? さっきからそういう発言多いけど。願望とかあるの?」

オーク「いやー、とにかく騎士になってみたいんですよ」

女騎士「いやいやいやいや、軽くなってみたいなんて言うけど」

女騎士「大変よ~? いろいろとこう、責任重大よ?」

オーク「たとえば?」

女騎士「城下の民衆を守ったりとか、悪さをするモンスターを退治したりとかね」

オーク「たしかにモンスター退治は凄いですよね」

オーク「オークの死因、第三位ですもん」

女騎士「あー、まあキミもモンスターだからねー。っていうか第三位なんだ」

女騎士「結構がんばって討伐してたんだけどなー」

オーク「ちなみに第二位は寿命で、第一位は、馬」

女騎士「馬?」

オーク「そう。『馬に乗ろうとして蹴り飛ばされ死』っていうんですか?」

オーク「オークはあんまり馬に乗るのが得意じゃないんですよねー」

女騎士「うん、得意じゃないって分かっていても乗ろうとするんだ」

オーク「まあロマンですよねー」

女騎士「死因第一位なのに乗ろうとするのは、ちょっとどうかと思うけど」

オーク「ともかく騎士になってみたいんですよ」

女騎士「えー? じゃあちょっとテストしてみる?」

オーク「乗馬の?」

女騎士「馬じゃなくて! 騎士になるためのテスト!」

女騎士「あれですからね、騎士になるにも面接とかありますから」

オーク「面接とか余裕ですよ、ええ」

女騎士「ホント~? じゃあ試してみるよ?」

オーク「どんとこいですよ」

女騎士「ならえーっと、こんにちは!」

オーク「オッス!」

女騎士「いきなり駄目だよねー。面接のあいさつにオッスはないよね~」

オーク「じゃあメッス!」

女騎士「じゃあ、じゃないよ! それ挨拶じゃなくて性別でしょ!」

女騎士「じゃあ、まあ、そこに座ってください」

オーク「もう座ってますが」

女騎士「あー、それもダメだよねー。言われてから座らないと」

オーク「そういうもんなんですか?」

女騎士「そういうもんなんです」

オーク「なんだか難しいですね、大丈夫かな~」

女騎士「うん、まだ2分も経ってないのにさっそく余裕じゃなくなってるね」

オーク「なんとかなります! 馬に乗ったつもりでがんばります!」

女騎士「それ死因第一位! むしろ、ぜんぜん大丈夫じゃないよ?!」

女騎士「じゃあ、面接を始めます」

オーク「え、何の?」

女騎士「もう、はじめっから説明する元気もないから始めるね~」

女騎士「じゃあ、えーっと、あなたのお名前は?」

オーク「オークです!」

女騎士「では、あなたの種族は?」

オーク「オークです!」

女騎士「騎士に応募する前は何をされてましたか?」

オーク「オークです!」

女騎士「あー……まあそうなるよねー」

女騎士「えー、ではオークさんはなぜ騎士になりたいと?」

オーク「はい! それは私が騎士になってみたいからです!」

女騎士「うーん、それじゃあ幼稚園のお受験にも通らないよねー」

女騎士「面接にくるぐらいだから、騎士になりたくない人は来ないよね~」

女騎士「せめて『国のために』とか『困ってる人を助けたい』とか」

オーク「あっ、じゃあ前職のスキルを活かせると思ったからです!」

女騎士「いいねー! さっきよりもいいよ! で、具体的にはどんなスキル?」

オーク「えーっと略奪とか、強盗とか、あとは家畜泥棒とかです!」

女騎士「ストーップ!! 一切活かせないスキルばっかりなんだけど!?」

女騎士「何? 前の会社、超ブラック企業なんじゃないの?!」

オーク「いいえ! 残業ゼロで週6日は休んでました! なのでホワイト……」

オーク「あ、でも返り血とかで汚れちゃうから……レッド企業、かな?」ドヤァ

女騎士「何で今ちょっとうまいこと言ったみたいな顔したの?」

女騎士「っていうか、そんなこといったら100%落ちちゃうよね?!」

オーク「ダメですか?」

女騎士「ダメです。そこはちょっと嘘というか誤魔化すというか」

オーク「そんな! 嘘つきはドロボウの始まりじゃないですか!」

女騎士「……うん、まあ略奪とか立派なドロボウなんだけどね!」

女騎士「とにかく、そういう悪いイメージのことは触れないで」

女騎士「もっとこう、いいイメージを膨らませて言わないと~」

オーク「そうですかー」

女騎士「じゃあ、えーっと面接のテストの続きをやるね?」

オーク「お願いします」

女騎士「オークさん、特技は何でしょうか?」

オーク「えーっと……」

女騎士「」(膨らませて膨らませて!)

オーク「乗馬です!」

女騎士「あー、一番最悪なところいっちゃったー」

オーク「オークの中では蹴られるのが上手いほうだと言われました!」

女騎士「それ乗馬っていうか、乗る前に蹴られてるだけだよね?!」

女騎士「あーもう、全部ダメだよー。ぜんぜんダメダメだよー」

オーク「そんなにひどかったですか?」

女騎士「むしろあの内容で、なんでそんなやりきった感出せてるの~?」

女騎士「そのポジティブさは長所だけどさー。別の職業とか、ないの?」

オーク「うーんじゃあ、漫才師とか!」

女騎士「それはもうやってるって! いい加減にしなさい!」

女騎士&オーク「どうも、ありがとうございましたー!」イェシガンガンガンガンガン♪

漫才にしては寒い…日常系のSSだったのかな

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オーク「おつかれさまっしたー!」

女騎士「オークくん、お疲れ様! 初舞台、どうだった?」

オーク「いやもう……何がなんだか……ハハ……」

女騎士「でもぜんぜん大丈夫だったよ! 練習の成果だよね!」

オーク「あ、ありがとうございます!」

オーク「でも先輩が一緒に練習してくれたおかげですから!」

女騎士「いやぁ~。そこはオークくんの実力だよ!」

オーク「そ、そうっすか? ハハハ……」

エルフ「ハハハじゃないわよ」

女騎士「!」

オーク「!」

オーク「え、エルフ先輩……」

エルフ「おはようございます、女騎士先輩」

女騎士「エルフちゃん! 舞台、見に来てくれたんだ~」

エルフ「ま、まあ女騎士先輩の復帰一発目ですから……」

オーク「エルフ先輩! どうでしたか俺たちの舞台は?!」

エルフ「……」ギロッ

オーク(うわぁ、なんかめちゃくちゃ睨まれてる……こえぇ)

エルフ「最低ですね」

エルフ「テンポもダメ、ネタもコンパクトすぎて、落ちも弱い」

エルフ「女騎士先輩の舞台とは思えませんね」

女騎士「あ、あはは……相変わらず辛口だなぁエルフちゃんは」

エルフ「この台本、作ったのは誰ですか? 女騎士先輩なんですか?」

オーク「……あ、それは……」

女騎士「そうよ、それを作ったのは私」

オーク「!」

女騎士「だったら、どうなのかしら?」

エルフ「……最低ですね」

エルフ「女騎士先輩なら、もっといい舞台ができるはずです」

エルフ「そもそもネタの台本作りなら、私だってやれます」

エルフ「何で……なんで先輩のパートナーがこんなやつなんですか!?」

>>16
面白くないのは半分意図的、半分才能なんだ。ごめんね(:3)

女騎士「それはね、オークくんに可能性があったからよ」

エルフ「可能性?」

エルフ「可能性があれば、自分のミスを先輩に押し付けてもいいんですか?!」

女騎士「あ……もしかしてバレてる?」

エルフ「分かってますよ。あんな台本、女騎士先輩が書くわけないじゃないですか」

オーク「……そうっす。あれを書いたのは俺です」

エルフ「指摘されないと名乗り出れないの? まったく、とんだ可能性ですね!」

オーク「……」ギリッ

女騎士「エルフちゃん、ちょっと言いすぎ」

エルフ「……そうですね。すみませんでした」

エルフ「とにかく女騎士先輩にふさわしいのは私なんです」

エルフ「女騎士先輩のとなりに居るべきなのは、この私です」

エルフ「どうして分かってもらえないんですか?」

エルフ「私なら……私だけが女騎士先輩を……」

エルフ「……」

エルフ「とにかく、こいつはコンビとして無能です」

エルフ「役に立ちません」

エルフ「捨ててください」

エルフ「そうじゃないと私、女騎士先輩のこと許せないです!」

エルフ「絶対に」

女騎士「捨てるってねぇ、モノじゃないんだから」

エルフ「言い方がきつかったですか? それだけ怒ってるんです」

エルフ「覚えておいてください、これからは私たちライバルですから」

女騎士「それはどっちに言ってるの? 私? それともオークくん?」

エルフ「両方です。お二人はコンビなんでしょう?」

女騎士「ごもっとも」

エルフ「では、失礼します」カツカツ

……

女騎士「やれやれ……エルフちゃんもあいかわらずね」

オーク「……」

女騎士「気にしてるの? エルフちゃんに言われたこと」

オーク「俺、くやしいです……何もできなくて……」

女騎士「何もできないなんて、二度と言っちゃダメ!」

オーク「……!」

女騎士「どれだけ練習しても結果が出ない時だってある」

女騎士「どれだけ努力してもうまくいかないときだってある」

女騎士「そんなとき、自分が自分を信じてあげなくてどうするのよ!」

女騎士「……」

女騎士「ま、そんなこと私が言えた身分じゃないんだけどね」アハハ

オーク「……いえ、そんなことは……」

女騎士「そーかしら?」アハハ

オーク(先輩……)

女騎士「エルフちゃんもねー……いいコなんだけど」

女騎士「ほら、エルフって見た目よりも成熟してるじゃない?」

女騎士「でさ、けっこう世間知らずなところもあるからさー」

女騎士「アレで結構、オークくんの事、目にかけてるのよ?」

オーク「そうですかね……」

オーク(エルフ先輩の、あの目……)

オーク(あれは、出来の悪い後輩を叱責する目なのか……?)

オーク(……)

女騎士「とにかく! せっかく初舞台をなんとか乗り切ったんだから」

女騎士「お祝いよ!」

オーク「先輩……ありがとうございます!」

女騎士「じゃあ行きましょ、早くしないとお酒が逃げちゃう!」

オーク「逃げませんよ!」

女騎士「あはは、じゃあしゅっぱぁーっつ!!」

オーク「はい!」

オーク(先輩……俺、もっと面白くなってみせます!)

オーク(いえ……必ず面白くなります!)

オーク(俺を信じてくれた、先輩のためにも!)

女騎士(エール♪ 焼ッ肉♪)

おわり

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