仁美「来ましたわね、私の時代が」(150)

さやか「仁美、話って何?」

仁美「前からさやかさんに、秘密にしていた事がありますの。
   私、ずっと前から上条恭介君の事をお慕いしておりましたのよ」

さやか「……」

さやか「……そ、そーなんだぁ。アハハ、恭介のヤツも隅に置けないなぁ」

仁美「さやかさんは、上条君とは幼馴染でしたわよね?」

さやか「まぁ、腐れ縁っていうか、何ていうか」

仁美「本当にそれだけですか?」

さやか「……」

仁美「さやかさんが本当の気持ちを言えないなら、私が代弁いたしましょうか?
   『私、美樹さやかはずーっと恭介の事が好きだったんだからぁ!』とでも」

さやか「!?」

仁美「『私だって恭介の事好きだったのに。仁美に取られちゃうかもしれないなんてイヤー!』」

さやか「ちょ」

仁美「『でも仁美は大事な友達だし、素敵な子だし、恭介にはふさわしいのかもしれない』」

さやか「自分褒めかよ!」

仁美「『でもでもやっぱり、私だって恭介を好きな気持ちは負けないもん!』

さやか「あたしは語尾に『もん』とかつけない」

仁美「でも、声は似ていたでしょう?」

さやか「いや、あんまり」

仁美「……」

仁美「さやかさん、正直に仰って下さい」

さやか「いや、でも」

仁美「女同士、腹を割って話そうではありませんか」

さやか「それは普通男同士なんじゃない?」

仁美「この前まどかさんとは目と目で通じ合っていたのに、私にはここで嘘をつきますの?」

さやか「嘘って」

仁美「さやかさん自身の気持ちに嘘をつくんですか?」

さやか「……分かったよ。うん、認める。あたしはずっと、恭介の事が好きだった」

仁美「ですって。聞こえてましたわよね? 上条君?」

さやか「はいぃぃぃぃぃぃぃぃ?」

恭介「ごめん、さやか。でも、志筑さんから隣の席でテーブルの下に隠れてるよう言われてて」

さやか「け、計画的犯行? まさかのドッキリ!?」

仁美「まぁまぁさやかさん落ち着いて。
   上条君。聞いていただいた通りですわ。
   私は上条君をお慕いしております。そして、それはさやかさんも同じ。
   そして、2人とも譲る気はありません。
   ですから……後は分かりますわよね?」

さやか「いや、私は」

仁美「さやかさんはちょっと黙ってて下さい」

さやか(今日の仁美は強引だなぁ。まぁ、時折こうなる子だってのは知ってたけど。
    でも恭介がこんな状況を飲み込めるわけないよねー。退院直後だし)

恭介「うん……言いたい事は分かったよ、志筑さん」

さやか(うっわ受け入れてるよこの事態あーそっかきっと夢か夢だったのかー)

恭介「僕も、いつからかさやかの事を意識してた」

さやか(わーこりゃやっぱ夢だわ幸せな夢だわ)

恭介「でも、さっきの告白を聞いてから、志筑さんの事も気になってしまってる」

さやか(あちゃー悪夢だったよバッドエンドだよまぁ夢だしいっかー)

恭介「僕にはどちらかなんて選べない。だから、2人とも、僕と付き合ってほしい」

仁美「喜んで!」

さやか「くぁwせdrftgyふじこ」

仁美「どうしたんですの? さやかさん?」

さやか「いやいやいやいやいやいやいやいや。おかしいでしょ! まずいでしょ!」

仁美「ですが、これで2人とも振られずに済んだわけですし、円満解決ではありませんか」

さやか「だってこれって所謂二股なんだよ!?」

仁美「3人とも合意の上なのですから問題ないですわ。
   それに、昔は男性が何人もの女性と同時に恋をするなんてザラでしたし。
   一夫多妻制という制度が現実にありますし。妻妾同衾という言葉もありますし」

さやか「色々引き合いに出されても困るよ!」

恭介「ごめん……身勝手な事を言って。さやかが僕を軽蔑するのも無理ないよね」

さやか「え……そんな、恭介を軽蔑するなんてそんな事」

恭介「でも、ダメなんだ。僕にはさやかが必要だし、志筑さんの事ももっと知りたいと思ってる」

さやか「あたしが……必要……」///ポッ

恭介「そう……君が、君たちが、僕の大切な楽譜なんだ!」

仁美「ではひとまず今週の日曜日は3人でデートに参りましょうか♪」

恭介「そうだね。どこに行こうか。ねぇ、さやか?」

さやか「えー、あー」

~帰り道~

仁美「今週末が楽しみですわね、さやかさん」

さやか「イヤ、私は未だに展開についていけないっつーか」

仁美「あら。上条君とお付き合いできるのが嬉しくないんですの?」

さやか「嬉しくないってわけでもないんだけど……」

QB「大変だよ! すぐそこで魔女の卵が孵化しかかってる!」

さやか「本当!?」

仁美「これが初仕事ですのね。こんなに早く来るとは思いませんでしたわ」

さやか「……ん?仁美、アンタまさか魔法少女に?」

仁美「はい。きゅうべぇさんと契約させて頂きました。ほら」へんしーん

さやか「おー。仁美らしい、お嬢様っぽい衣装だなぁ」

仁美「さやかさんはどんな感じですの?」

さやか「あたしのはそんな可愛いもんじゃないよ」へんしーん

仁美「マントがカッコいいですわぁ。凛々しい印象ですのね。でもお臍がセクシーですわ」

さやか「ひゃ、やめてよくすぐったいなぁ」

QB「いや、だから魔女が孵化しかかってるんだってば」

Z武スレかと思ったのに誰だよ

~VS祈りの魔女~

仁美「これが結界ですか」

さやか「初心者かぁ。あたしもついに先輩なんだなぁ。ふふふ。
    とりあえず、武器は何? あたしは剣なんだけど」

仁美「私はコレなんですけど……どう使うんでしょう?」

QB「チャクラムだね。投げて使うんだよ」

さやか「ちょっと待ってて。まずは小手調べ」

仁美「すごいですわさやかさん! マントから武器がたくさん!」

さやか「これをこう……敵に投げつける!」

仁美「すごい……ですが、あの魔女は奥から一歩も動きませんのね」

さやか「剣は全部使い魔に止められちゃう、か。じゃあ、仁美の出番だね」

>>14
うん、すまない。
このスレはまどマギSSスレなんだ。

さやか「そう。仁美がチャクラムで使い魔を引き付けて、その隙にあたしが魔女本体を叩く」

仁美「それでは、さやかさんが危ないのでは?」

さやか「あたしは回復の早さが売りなんだ。じゃ、行くよ!」

仁美「ハイッ!」

仁美(えーと、さやかさんのようにチャクラムをたくさん出してみて……
よし、チャクラムさん、使い魔さんを蹴散らしちゃってくださいなー!
あ、さやかさんを襲おうとしてる影があります! あれも斬ってくださいなー!)

さやか「せりゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

仁美「やりましたわね! さやかさん!」

~さやかの部屋~

さやか「で、何で仁美は魔法少女になったの?」

仁美「それは……どうしても話さなければいけませんか?」

さやか「無理にとは言えないけどさ。友達として気になるじゃん」

仁美「そうですわね」

仁美(本当は、隠しておきたかったのですが)

仁美「それでは、話します。ですが、覚悟してください」

さやか「覚悟?」

仁美「ええ。そして、何を聞いても気をしっかりとお持ちください」

~仁美の回想~

まどか「行っちゃったね……霊柩車」

仁美「えぇ。これでさやかさんとお別れだなんて……信じられませんわ。
   こうしてさやかさんの葬儀に参列してるっていうのも、悪い夢を見ているようで」

まどか「その……仁美ちゃん、途中まで一緒に帰ろうよ」

仁美「いえ、ちょっと寄るところがありますので、私はこれで」

まどか「そっか」

仁美(まどかさんのお気遣いはありがたいのですが、今は1人でいたい)

仁美(だってきっと、さやかさんがお亡くなりになった原因は私ですもの)

仁美(私がたった1日しかさやかさんに猶予を与えずに、上条君に告白などしたから)

仁美(きっと、私も焦っていたんですのね。もしさやかさんに上条君を取られたら、って)

仁美(あの時の私は馬鹿でしたわ)

仁美(さやかさんと上条君。どちらも大切に決まっていますのに)

仁美(その片方にばかり目を向けて、さやかさんの気持ちを汲めなかった……)

QB「どうやら君にも、魔法少女の素質があるようだね」

仁美「ね、ネコ? いえ、ウサギ?」

QB「そのどちらでもないよ。僕の名前はきゅうべぇ。
   僕なら、どんな願いも1つだけ叶えてあげられる。
   その代わり、君には僕と契約して魔法少女になってほしんだ!」

チャクラムってなんだっけ

~回想終了~

さやか「そっか。私、この先死んじゃうのか。えーと、自殺だったの?」

仁美「……いいえ。変死でしたわ」

さやか「だったらきっと、恭介に告白出来なかった事で、自棄になって無茶な戦いしたんだろうね。
    うん、そういう展開なら想像つくや」

仁美「私が経験してきた未来はどうであれ、これからはそうはさせません。
   その為に、私はきゅうべぇと契約をして、上条君に告白する前の時間まで戻ってきたんです」

さやか「それで、あたしにああやって強引な形で告白させたってわけか。
    私の為に、命を賭けてくれるなんて……。
    ここまでしてくれて、仁美には感謝しないといけないんだろうけれど。
    ごめん。あたしやっぱり、恭介とは付き合えない」

仁美「どうしてですの?」

>>22
金属製の円盤
真ん中に穴が空いていて、外側が刃になってる
投擲して使うみたい

さやか「仁美はまだ知らないよね。
    魔法少女っていうのは、魂を抜かれたただの魔女殺しの道具なんだよ。化物なんだよ!?
    この身体は単なる器で、あたしたちの正体はこのソウルジェムなんだ」

仁美「いいえ、知っています。きゅうべぇさんから聞きましたから」

さやか「その事を知っていながら、どうして契約なんてしたの!?告白したの!?
    あたし達、もう死んでるんだよ? 恭介に「死人と付き合え」って言ったも同然なんだよ!?」

仁美「どうして私たちがもう死んでいる、とお思いになるのですか?」

さやか「だって……ソウルジェムがないと、この身体は死体になるんだよ?」

仁美「あら。そんなの、他の皆様と大差ないですわ。普通の人間は、心臓を抜き取られれば死ぬ。
   私たちの場合は、ソウルジェムが砕かれたら死ぬ。ただそれだけの違いではありませんか」

さやか「それって随分違うと思うんだけど?」

仁美「さやかさんは、私より早く魔法少女になっているのでしょう?」

さやか「あ、うん」

仁美「でも、その数日間。私は、さやかさんを化物だなんて思った事はありませんでしたわ。
   触れれば温かいし。一緒にお食事もしました。これまでと何一つ変わることなく」

さやか「それは、ソウルジェムをちゃんと持っていたから」

仁美「ソウルジェムさえあれば、私達は他の人間と全く変わらない、という事でしょう?」

さやか「そりゃあ、あたしだって最近まで気づかなかったけどさ……」

仁美「確かに、急に魂がどうのこうのと言われれば、動揺してしまうのも分かります。
   ですが、何より私達が大事にしなければいけないのは、その心ではないでしょうか」

仁美「かつてさやかさんは、魂の在処を重視して、告白を避け、結果命を落としてしまいました。
   ですが、魂なんて、普段は目に見えないし、触れることもできません。
   こうしてソウルジェムになるまで実在すら分からないようなものですのよ?
   そんな曖昧なものよりもずっと、この心を、気持ちを、大事にしませんか?」

さやか「あたしの気持ち?」

仁美「そうです。上条君を想う、さやかさんの気持ちです。
   さやかさんが数年間、心の中で大事に育ててきたその気持ちは、決して軽いものではないのでしょう?」

さやか(そうだ……私はずっと恭介が好きだった。でも、この身体を理由に諦めたけど。
    でも、ずっとずっと好きだったこの気持ちは、そんなに簡単に諦められるものじゃない
    だからこそ、仁美が経験してきた未来の私も、無茶な戦いで死んだんだろうし)

仁美「だったら、たかだか魂が身体と分離したくらいで、諦めないでください。
   好きだという気持ちを、どうか大切にしてあげてください。ね?」

さやか「う……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」

~翌朝~

まどか「え、仁美ちゃんも魔法少女に!? それに、上条君と同時に付き合うって、え?」

仁美「はい。今日からはお稽古事は控えめにして、パトロールを行いますの」

さやか「んでもって、週末は恭介とデート、と」

まどか「え? えええええ?」

さやか「ま、まどかが混乱するのも無理はないよね。
    私もびっくりしたよ。仁美ってば、何も言わずにセッティングしててさ」

仁美「思い立ったが吉日、と言いますでしょう?」

まどか「それで、仁美ちゃんは何をお願いしたの?」

仁美 チラッ

さやか チラッ

仁美「うふふ。それは内緒ですわ」

まどか「えぇ?」

仁美「お二人だって、これまで私に魔法少女の事を黙っていらしたんですもの。
   私だって、秘密の1つや2つないと、不公平でしょう?」

まどか「それは……ごめん」

仁美「謝らなくてもいいんですのよ。
   とにかくこれで、私とさやかさんの魔法少女コンビ結成ですわ!」

まどか「うん!」

~ある魔女との戦いの後~

仁美(塾の帰りに出くわすなんて、驚きですわ。
   でも、何とか1人でも戦えそうですわね)

ほむら「志筑仁美。ちょっといいかしら?」

仁美「あら、暁美さん。その服……暁美さんも魔法少女だったんですね」

ほむら「ええ。貴女に用があったから、待たせてもらっていたの。
    端的に聞くわ。貴女、未来で魔法少女になって、戻ってきたのね?」

仁美「あら。どうして分かったんですの?」

ほむら「私は時間操作の魔法を使うから。時間の流れの変化が分かってしまうの。
    よかったら、教えてくれないかしら。貴女の経験した未来を」
   
仁美「教えるのは吝かではないのですが。その前に、聞いてもよろしいですか?」

ほむら「どうぞ」

仁美「暁美さんは、魔法少女システムの行き着く先をご存知ですか?」

ほむら「……ええ」

仁美「そうですか。それではどこかでお話を……とは言いましても。
   私の家にお招きするには、両親の目もありますし」

ほむら「そうね。なら私の家でどうかしら。
    一人暮らしだから、何も気にする事はないわ」

仁美「それでは、お言葉に甘えて」

~ほむらの部屋~

ほむら「じゃあ、教えてもらえるかしら。あなたの経験した未来を」

仁美「……私が、さやかさんを追い詰めてしまったんですの。
   私は、魔法少女の事も何も知りませんでした。
   ただ、上条君が退院なさったので、さやかさんにご相談したんです。
   自分も上条君が好きだと。だから、1日の猶予の間に告白をなさるならどうぞ、と」

ほむら「ごく普通の人間なら、それもアリだったんでしょうね」

仁美「ですが、さやかさんは違いました。さやかさんは魔法少女になっていたんです。
   自分がゾンビのようなものだと知ったさやかさんは、それを理由に身を引いたんです。
   そうして私と上条君は付き合う事になったのですが」

ほむら「その経緯が、美樹さやかを消耗させてしまった」

仁美「そうです。そして、さやかさんのソウルジェムは濁りきり、グリーフシードへ……」

~再び仁美の回想~

仁美「どんな願い事も、1度だけ、ですか。あの、もしかしてさやかさんも、魔法少女だったのでは?」

QB「そうか。君はさやかの友達だったね。
   その通り。美樹さやかもまた、魔法少女だったんだよ」

仁美「やっぱり……そして、その願いは上条君の腕を治す事、だったのですね」

QB「そうだよ」

仁美(さやかさんは、命を懸けて上条君の夢を取り戻した。
   それだけ上条君の事をお好きでいらっしゃったのに。
   どうして、上条君への告白を見送ったのでしょう?)

仁美「契約の前に、詳しく聞かせて下さい。さやかさんがどうしてお亡くなりになったのかを」

~回想終了~


仁美「まどかさんと、それに佐倉杏子さんという方が、魔女となったさやかさんと対峙したそうです。
   戦うためではなく、さやかさんを魔法少女に戻すために。ですが、魔法少女から魔女へと至るシステムは不可逆なものだそうで。
   結果、佐倉杏子さんと魔女化したさやかさんが相討ちになった……と」

ほむら「そう。美樹さやかだけでなく、佐倉杏子も命を落としたのね」

仁美「その未来を変えるために、私はきゅうべぇと契約したのです。
   あの告白の日の朝に戻って、妻妾同衾ルートに入りたい、と」

ほむら(サイショウドウキン……何かしら?)

仁美「私の願いは叶いました。
   今、私とさやかさん、上条君は3人同時にお付き合いしております。
   これなら、さやかさんも自分を追い込むような戦い方はしない筈です」

ほむら(それって二股……よね。いいのかしら。私の知らない間に、現代女子中学生の恋愛事情が凄いことに)

>>38
ほむほむババアみたいなこと言うなよ(笑)

ほむら「事情は分かったわ。貴女には感謝しないといけないわね。
    けれど、魔法少女システムの全てを知っていながら、よく契約したわね?」

仁美「ソウルジェムに穢れが溜まらなければ良いのでしょう?
   でしたら、2度とさやかさんが魔女化しないよう、一緒に戦い見守りますわ。
   もし、私のソウルジェムが濁りきってしまったら……。
   その時は、かつての佐倉杏子さんのように、魔女との戦いで特攻でもしましょうか」

ほむら「……美樹さやかの為に、命をかけ続けるつもりなの?」

仁美「そんな言い方をしないでくださいな。単なる罪滅ぼしですわ」

ほむら「命をかけた一度きりの奇跡を、他人の為に使う。それだけでも珍しいというのに。
    戦いの業以上のものを背負おうという……強いのね、貴女は」

仁美「あら、さやかさんだって、上条君の為に奇跡を起こしたではありませんか。
   それに、私には、暁美さんも同類だと思うのですが?」

ほむら「私が?」

>>39
ほむほむは長い間療養生活だったから、恋愛事情に疎いんだよ……多分

仁美「暁美さんは時間操作の魔法を使うんですのよね。
   それはもしかして、自分ではない誰か、例えばまどかさんの為に願った結果なのでは?」

ほむら(そんな……見透かされた!? どうして!?)

仁美「図星ですか?
   だって、暁美さんは時折、まどかさんを見つめていらっしゃいましたから。
   それに、クラスで1人でいる事の多い貴女が、言葉を交わした数少ない相手も、まどかさんだけ。
   それに、きゅうべぇに聞いたんですの。
   先ほどお話した、魔女化したさやかさんの結界からまどかさんを助けたのが、暁美さんだと。
   半分以上、妄想で言ったのですけれど。当たったみたいで嬉しいですわ」

ほむら「……見事ね」

仁美「きっと、暁美さんにとってまどかさんはとても大事な方ですのね」

ほむら「な」

仁美「まどかさんは素敵な方ですもの。
   特に、あの柔らかな笑顔。暁美さんも、あの優しさに惹かれたのでは?」

ほむら「……妙な言い方しないで」ぽぽん

仁美(あら? 暁美さんの頭上に急に花が……何かの魔法でしょうか?)

仁美「契約内容まで伺おうとは思っておりません。
   暁美さんがまどかさんの為に動いていらっしゃるなら、邪魔する理由はありませんし。
   ……それでは、私はこれで失礼させて頂きます」

ほむら「待って」

仁美「まだ何か?」

ほむら「貴女に伝えておきたいことがある。ワルプルギスの夜について」

~週末~


恭介「せっかくの初デートで公園なんて。良かったのかな?」

さやか「いいんだって。仁美と話し合って決めたんだから」

仁美「そうですわ。ええと……この辺りでよろしいでしょうか。
   上条君、早速バイオリンの演奏を聴かせて下さいな」

恭介「うん。大切な、君たちの為に……」

♪~♪~♪~♪♪~

さやか「やっぱり、恭介のバイオリンは良いよね」

仁美「はい」

さやか「私、恭介の腕を治せてよかった」

仁美「私も……こうしてさやかさんと2人で、上条君の演奏を聴けてよかったですわ」

支援

さやか「たとえ私達の本体があんな石だとしても」

仁美「この音楽があれば、私達はこの気持ちを見失わずにいられます。そうでしょう?」

さやか「うん。だから……後悔なんてあるわけない」


恭介「2人とも、何を話してるんだい?」

さやか「恭介の演奏を褒めてたんだよ」

仁美「本当に、素敵でしたわ。さて、昼食にいたしましょうか」

さやか「早起きして、私の家で仁美と一緒に作ったんだ」

恭介「ありがとう……ねぇ。さやか、志筑さん
    その、キスをしたいんだけど……どちらに先にしたらいいかなって」

さやか「」

仁美「では、公平にじゃんけんといきましょうか」

さやか「だから順応性高すぎ!」

>>45‐46 支援thx

~ある放課後~

さやか「今日は魔女も使い魔もいなかったね」

仁美「平和でなによりですわ」

杏子「魔女がいないからって平和とは限らねーだろ、新入り?」

さやか「アンタ、また!」

仁美(あのポニーテール、それに食べ物……あれが、佐倉杏子さん?)

杏子「懲りずに魔女だけじゃなく使い魔も潰す気かい?
   これだから、奇跡を他人の為に使うような馬鹿はダメなんだよなぁ」

さやか「そういやアンタ、言ってたっけ。食物連鎖だとか、色々とさ。
    そんで、他人の為に魔法を使うなんてくだらないって言ったよね」

杏子「あぁ、言ったよ」

さやか「その言葉、取り消してもらうよ。……仁美!」ヘンシーン

仁美「はいっ!」ヘンシーン

仁美(どうやら、この時点ではさやかさんと佐倉さんは仲がよろしくないようですわね)

杏子「新入りが2人まとめてかかってきたところで、負けるかっての」

さやか「大口叩けるのも今のうちだよ!」

仁美(チャクラムさん、出番ですわ! あの佐倉さんの多節槍を封じるんですの!)

杏子「飛び道具!?」

さやか「もらったぁぁぁ!」ガキンッ

杏子「ち……相手が新入りだから、油断しちまったかな」

さやか「だったら、今度はもっと気を引き締めて来なよ。それでも負ける気はしないけどね」

杏子「随分強気に出るじゃないか」

さやか「アンタが言ってた、他人の為に願うのなんてくだらないっての、取り消してもらいたいからさ」

杏子「はぁ? 何言ってんのさ。あんたが勝てたのは、そこのもう1人の新入りのおかげだろ」

さやか「そうだよ。私の為に奇跡をくれた、仁美のおかげだよ」

杏子「あんたの、為?」

仁美「さやかさんの仰るとおりですわ。さやかさんは上条君の為に奇跡を願い、魔法少女になった。
   それを知った私は、さやかさんの為に奇跡を起こしたくて、魔法少女への道を選んだんですの」

さやか「そして、今はこうして2人で助け合って魔法少女として頑張ってる。
    1人きり、自分の為にしか魔法を使わないアンタをこうして負かせられる程度には、ね。
    だから訂正してくれる? 誰かの為に願うことは、決してくだらない事なんかじゃないって」

杏子「……男の為に祈った馬鹿の為に、祈る馬鹿がいたってのかよ……」

杏子「なんだよ、それ……」フラッ

さやか「ちょっと、何処へ行くんだよ、話はまだ」

ほむら「今はそっとしておきなさい」

さやか「転校生! いつの間に」

仁美(時間操作の魔法とは聞いていましたけど、驚きですわ)

ほむら「きっとこれで、佐倉杏子も手出しはしてこなくなる」

さやか「何でそんな事言い切れるのさ。それに、あんただってアイツと同じ穴の狢でしょ?
    使い魔は見逃して、魔女だけ狩って、グリーフシードさえ手に入れれば良いって!」

ほむら「違うわ。根本から違うのよ、美樹さやか」

さやか「根本?」

ほむら「私ははなから魔女も使い魔も眼中にない。ワルプルギスの夜……そいつを倒すのが、私の目的。
    貴女にも手伝って欲しい。美樹さやか、それに、志筑仁美」

~週末~

さやか「ワルプルギスの夜、ねぇ。
    美滝原市の平和は私が守るーって言った事はあったけど。
    まさかこんな大規模な危険が迫ってるなんて想像もしなかったや」

仁美「あらさやかさん。デートの途中に魔女の話なんて無粋ですわよ」

さやか(くぅ。なんで仁美はこの三角関係にこんなに順応してるんだよー!
    私なんて真面目な話でもしてなきゃ居た堪れない気持ちになっちゃいそうなのに)

恭介「2人ともお待たせ。ドリンク買ってきたよ」

仁美「ありがとうございます」

さやか「あれ、恭介の分は?」

恭介「あぁ。僕はいらないんだ。邪魔になるから」

さやか「ふーん」

恭介「ほら、映画が始まるよ。僕が真ん中でいいんだよね?」

仁美「勿論ですわ」

アナウンス「映画の撮影・録音は禁止されております云々」

恭介「……」ギュ

さやか(あわわわわわわ。恭介が私の手を握ってるるるるるるる)

さやか(反対側で、仁美の手も握ってるんだろうな。
    あ、だからドリンクが邪魔だって言ってたのか)

さやか(恭介の手、あったかい……。
    二股なんていけないって考えるのに、そんなのどうでも良くなっちゃう)

さやか(仁美が言うように、想いを閉じ込めてどこかで魔女に返り討ちに合うよりは。
    今の方が、ずっとずっと幸せだよ……)

さやか(ありがとう、仁美)

~ある放課後~

まどか「あれ。今日は仁美ちゃん1人?」

仁美「ええ。上条君が病院で検査があるらしいんですの。さやかさんが付き添いますから、その分私がパトロールを頑張ろうかと」

まどか「じゃ、じゃあ、一緒にいってもいいかな」

仁美「勿論ですわ」

まどか「私、まだ仁美ちゃんの魔法少女姿って見たことないんだよね」

仁美「そうでしたわね。では、人気のないところでお見せしましょうか。
   あの横道なんてよさそうですわね。では……」ヘンシーン

まどか「わぁ。何だか優雅な服なんだね。何を使って戦うの?」

仁美「これですわ。チャクラム、というそうなのですが」

まどか「魔法は?」

仁美「それが、まだ……ところで、まどかさん。
   違っていたら申し訳ないのですが。魔法少女になろうと思っていませんか?」

まどか「ウェヒヒヒ。仁美ちゃんは鋭いなぁ。
    だってね。さやかちゃんだけでなく、仁美ちゃんまで魔法少女になって。
    それで、魔女と戦っているのに、私だけこうして付いていくだけの足手纏いでしょう?
    そんなの嫌なんだ。私だって、皆のために何かしたいの」

まどか「それに、私本当はマミさんに魔法少女になるって約束してたの。
    マミさんが死んじゃって、つい逃げ出しちゃったけど。
    さやかちゃんと仁美ちゃんがいるなら、戦いの中でも怖くないかなって」

仁美(マミさん? 一体誰でしょう? 後で暁美さんに聞いておこうかしら)

仁美「まどかさんには悪いのですが、私は反対です」

まどか「それは、魔法少女が魂を抜き取られているから?
    それとも、私が魔法少女になっても、役には立てないかな?」

仁美「魔法少女の正体が、ソウルジェムだから、というのも理由の1つです。
   ですが、それだけではありません。
   まどかさんはご自分の事を足手纏いとか、役に立てないとおっしゃいますが。
   それは、とんでもない勘違いですわよ」

まどか「え?」

仁美「魔法少女であるという事は、基本、誰にも話せない秘密です。
   魔女と戦う辛さも、苦労も、簡単に分かち合えるものではありません。
   苦戦した後でも、家に帰れば家族の前では何もなかったように振舞わなければならないんです」

まどか「そう言えば、マミさんも言ってた。独りになれば泣いてばかりだったって」

仁美「ですが、私とさやかさんには、まどかさんがいます」

まどか「私……? でも、私なんて戦いの邪魔になっちゃうだろうし」

仁美「そんなに自分を卑下しないでくださいな。
   まどかさんは、私達が本当は小さな石でしかないと知って尚、友達として接して下さいます。
   危険を顧みずに私達の戦いを見届け、終われば「やったね!」と迎え入れてくれる。
   それがどんなに私達の救いになっているか、分かりますか?」

まどか「そんなの当たり前だよ! 友達が頑張ってるんだから!」

仁美「その当たり前こそ、とても貴重で、大切にしなければいけない巡り合わせだと思うんです。
   まどかさんにどうしても譲れない願いがあって、魔法少女になるというなら止めません。
   ですが、私やさやかさんの為だと仰るなら、どうか、思い止まってください。
   魔法少女となってしまった私達の、拠り所がまどかさんなんですから。
   どうかそれを忘れないで下さい」

まどか「私……このままで、仁美ちゃん達の役に立ててるの?」

仁美「そうですわ。それにきっと、暁美さんも」

まどか「ほむらちゃんも?」

仁美「無口な暁美さんが、まどかさんには話しかけていらっしゃったでしょう?
   きっとずっと、まどかさんの事を気にかけてらっしゃったと思うんです」

まどか(最初からずっと、ほむらちゃんはそうだった。
    きゅうべぇと契約するのに反対していて、マミさんともその事で対立してて。
    私が魔法少女にならないって言ったとき、ホッとしたような顔をしてた)

まどか「ほむらちゃん……」ポポン

仁美(あら。まどかさんの頭の上に、蕾が……アレは一体?)

~風見野市 某所~

ほむら「もう美滝原市は狙わないの? 佐倉杏子」

杏子「あぁ、そういう話もあったっけねぇ」ボー

ほむら「いつまでも新入り2人の事で悩んでいては、先輩として情けないわよ?」

杏子「別に、あの2人の事で悩んじゃいねーよ。
   あいつらは、きっと大丈夫さ。昔のあたしみたいになったりはしねー」

杏子「そうだな。1人語りじゃつまんないし、聞いていくかい?」

ほむら「構わないわ」

杏子「あたしもね、最初は自分以外の誰かの為に祈ったんだ。
   その誰かの幸せこそが、自分の幸せなんだって、信じて疑わなかった」

杏子「あたしが手に入れた奇跡と、魔女と戦うための力は、皆を幸せにするんだって」

杏子「でもな。そのあたしの祈りがきっかけで、大切なモンを壊しちまった」

杏子「あん時は……荒れてたんだろうな。そして決めた。この力は、自分自身の為だけに使うんだって。
   そうしたら、何が起こっても因果応報、自業自得だろ?」

杏子(そう。全て自業自得だと思えばいいんだ。
   そうすれば、私の話を聞いてくれなかった親父の事も。
   私を置いていった母さんやモモの事も。
   恨まなくて済むんだから)

杏子「それなのに、あの新入りバカときたら。
   聞いたかよ。1人は好きな男の為にたった1度の奇跡を使って。
   もう1人は、その1人の為に祈ったんだとさ」

ほむら「ええ。聞いているわ」

杏子「しかも、魔法少女じゃないフツーの人間連れて歩いてるんだ。
   あんな姿見せつけられたら……揺れちまうんだ。どうしても。
   だから悪い。ワルプルギスの夜には、アイツらと対応してくんねーかな」

ほむら「そう……。事情があるなら、無理にとは言わないわ」

杏子「悪いね。約束破っちまって」

ほむら「いいえ。こちらこそ、邪魔をしたわね」

杏子「引き止めたのはあたしさ。気にすんな」

ほむら「それじゃあ……」

杏子(もし、少しでも何かが違っていたら。
   あたしも、あの2人みたいになれてたのかな。
   誰かの為に祈った事を後悔しないで、平和の為に戦って。
   そんな魔法少女になれてたのかな、なぁ。マミ……)

~別の日・放課後~

まどか「さやかちゃん、仁美ちゃん、今日もパトロールに行くんでしょう?私も一緒に行っていいかな?」

さやか「それが、さ」

仁美「今回からは、特別講師が来て下さいますの」

ほむら「……妙な紹介は辞めてくれるかしら、志筑仁美」

まどか「ほむらちゃん!
    そっか、いつの間にか仲良しになってたんだね。良かったぁ」

さやか「仲良しってわけじゃないよ。
    ただ、ワルプルギスの夜を倒す為には、特訓が必要ってだけ」

まどか「ワルプルギスの夜?」

仁美「なんでも、超ド級の魔女らしいですわ。とても魔法少女1人では立ち向かえないとかで。
   それで、私達新人2人が強くなる為に、先輩にご指導頂こうかと」

まどか「そんなに凄い魔女がいるんだ……」

さやか「まどか。魔法少女になろうなんて考えてないよね?」

まどか「えぇ!? どうしてすぐ分かっちゃったの?」

さやか「何年一緒にいると思ってるんだよ。まどかの考えそうな事はお見通し。
    でもねまどか。あたしはまどかには普通の友達として応援して欲しいんだ」

まどか「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど。大物の魔女なんでしょう?
    私だって、力になりたいよ!」

ほむら「なら、これからの特訓に付き合ってくれるかしら。特訓と言っても、これまでと同じ魔女狩りだけれど」

まどか「特訓に付き合うなんて。それで私、役に立てるの?」

仁美「ええ。守りたい方が側にいると、力が湧いてきますし」

さやか「まどかの事は、魔法少女さやかちゃんがバシっと守っちゃいますからね!」

まどか「でも、私がいたら特訓の足手纏いになるんじゃ」

ほむら「そうは思わないわ。鹿目まどか。
    客観的に見て、あの2人に足りない所を教えてあげて欲しい。
    きっと2人とも、私のアドバイスより貴女の言葉に耳を貸すだろうから」

まどか「そ、そんな事ないよ。ほむらちゃんの方が的確なアドバイスできそうなのに」

ほむら「本来、教えるような役目は苦手なのよ」

さやか「とにかく行こうよ。もう時間もあんまりないんだからさ」

ほむら「そうね。行くわよ、3人とも」

~週末~

恭介「今日も楽しかったね。動物園なんて、小学生以来だけど」

仁美「たまに行くと、とても愛嬌があって可愛く思えますわね」

さやか「あたしはカピバラが良かったかなぁ」

恭介「さやか、カピバラを熱心に見てたよね。そう言うと思って……これ」

さやか「携帯のストラップ……カピバラのだ!」

恭介「志筑さんにはコレ。」

仁美「あら。可愛らしい羊さんですわ」

さやか「いつの間に買ってたの? 気が付かなかったよ」

恭介「2人が売店でどのジュースを買うか悩んでいる間に、ちょっとね」

さやか「恭介……ありがとう」

仁美「本当に、ありがとうございます。大事にいたしますわ」

恭介「お礼を言うのは僕の方だよ。
   2人と同時に付き合いたいなんて、僕の我儘を受け入れてくれて。
   すっごく感謝してるんだ」

さやか(恭介、本当に嬉しそう。変な三角関係だけど、こうなって良かったのかも。
    大丈夫だよ、恭介。この幸せを魔女になんて潰させやしない。
    ワルプルギスの夜は、私と仁美、それに転校生で倒してみせる!)

~ワルプルギスの夜、襲来~

ほむら「いよいよ来たわね」

さやか「何だよあれ……大きさからして違う!」

仁美「まさに規格外ですわね」

ほむら「それでも、行くしかないわ。美滝原市を守れるのは、私達3人だけなのだから。
    鹿目まどかからのアドバイスを無駄にしないことね」

さやか「分かってるって! 回復魔法にばかり頼りすぎるなってんでしょう? 
    じゃ、まずは仁美、お願い!」

仁美「はい!」

仁美(まどかさんが教えてくださった私の欠点は、チャクラムの数に頼りすぎなところ。
   数は絞って、その分着実に当たるよう、精密に操作しないと!)

仁美(私がチャクラムで援護をして、その隙をついてさやかさんが剣を投げる。
   暁美さんは色々と仕掛けをしているそうですが……)

仁美(あの川から出てきた大きな武器はなんですの!? まさか自衛隊から拝借とか?)

仁美「って驚いている場合ではありませんわ! さやかさん、危ない!」

さやか「うわぁぁぁっ!」

仁美「大丈夫ですか、さやかさん!?」

さやか「平気だよ、ちゃんと少しは避けたから。この位の傷はすぐ治る」スゥッ

仁美(けれど、回復の魔法にだって魔力を使うはず。ソウルジェムが保つかどうか)

ほむら「2人とも、攻撃の手を緩めないで!」

さやか「りょーかい、先輩!」

仁美「……はい!」

仁美(予備のグリーフシードはありません。早く決着をつけないと!)

~その頃、避難所~

まどか(今頃3人とも戦ってるんだろうな)

まどか(私のアドバイス、少しは役に立ってるといいんだけど)

まどか(3人とも、私には応援してくれるだけで十分だって言ってくれたけど)

まどか(それだけじゃきっと足りない。私はもっと、皆の力になりたい!)

詢子「ん? どうした、まどか」

まどか「ちょっと、トイレ」

~ワルプルギスの夜との戦闘継続中~

仁美「はぁ……はぁ……」

さやか「仁美、大丈夫?」

仁美「えぇ。さやかさんが魔法で治してくれましたから。平気ですわ。
   それより、早くワルプルギスの夜を!」

仁美(このままでは、ワルプルギスの夜が避難所まで迫ってしまいます。
   でも、私達の力では足止めすら叶わない……。
   それに、ソウルジェムが徐々に濁りつつありますわ。一体どうすれば!)

♪~♪~♪~♪♪~

さやか「この音楽……恭介のバイオリンだ!」

仁美「本当に……でも、どうして?」

ほむら「きっと鹿目まどかね。
    鹿目まどかが上条恭介をどうにか説得して、避難所で演奏させているのよ。
    そしてそれを、スピーカーを使って外にも流しているんだわ。
    まどか……ありがとう」

さやか「不思議だな。こうして音楽を聴いてる場合じゃ無いはずなのに。
    恭介のバイオリン聴いてたら、大丈夫だって思えてきたよ。
    あのバイオリンの音を守る為にも、頑張ってくれたまどかの為にも、負けるわけにはいかないしね!」

仁美「さやかさんと同意見ですわ。
   それにひょっとしたら、あの魔女さんだって、この曲に惚れ惚れしてしまったりして」フフッ

仁美(あら? ワルプルギスの夜の頭部らしきところに、花が……どうして?)

ほむら「敵の動きが鈍くなった。チャンスよ!」

杏子「これから最終局面って奴かい? だったらあたしも混ぜろよ」

ぽぽプルギス

ほむら「佐倉杏子……でも貴女、この前は」

杏子「理由なんて話してる場合じゃないだろ。ほら、これ使え」ヒュッ

仁美「これは、グリーフシード。よろしいのですか?」

杏子「いいのさ。これでこの前の借りは返したからな! 先に行くよ!」

ほむら「行っちゃったわね。こちらもソウルジェムを浄化したら、すぐ合流しましょう。
    佐倉杏子は近接戦闘型。こちらの援護が必ず必要になる」

さやか「よし!んじゃひと足お先に!」

仁美(さすがにベテランというだけあって、佐倉さんの攻撃力は強いですわ。
   さやかさんの剣の扱いも、特訓のおかげで慣れてきていらっしゃいますし)
   暁美さんの、もう名称が分からない武器の数々もすごいです)

仁美「私も負けてはいられませんわ。チャクラムさん、ゴー!」

>>90
ぽぽプルギス噴いたwwwww

杏子「よし、大分ダメージを与えられたみたいだな」

ほむら「凄い……ワルプルギスの夜が体勢を崩していく……」

ほむら(あと少し……あと少しで私の宿願が叶う。待ってて、まどか!)

さやか「よーっし! みんな、一斉に行くよ!」

仁美「はい! チャクラムさん、行ってくださいなー!」

杏子「へっ。これでとどめだ!」

ほむら「これが最後の重火器」

さやか「いっけぇぇぇぇぇぇ!」

ワルプル「キャハハハハハハ アアアアアアアアア」

杏子「ワルプルギスの夜が……消えた」

さやか「これって、勝った、って事でいいんだよね」

仁美「ええ、雲も晴れてきましたし。あ、あれはまどかさん!」

まどか「さやかちゃん、仁美ちゃん、ほむらちゃん!
    すごいよ! 本当に奇跡だよ! あんな巨大な魔女に勝っちゃうなんて!」

さやか「奇跡じゃなくて魔法だよ。それに、私達が勝てたのはまどかのおかげだよ」ギュ

仁美「上条君のバイオリンを聴かせて下さって、本当にありがとうございます」ギュ

まどか「えへへ。頑張ってる2人の為に、私に何か出来る事がないかなって考えてて、思いついたんだ。
    避難所の中で上条君を見つけて、ちょっぴり嘘をついて、放送室で演奏してもらったの」

杏子「おーい。話するより先に、ソウルジェムを浄化するの忘れるなよな」

さやか「あ、いけない。ワルプルギスの夜が落としたグリーフシード探してくる!」テテテ

まどか「あ、あの。ほむらちゃん、本当に凄かったよ。私達を守ってくれて、ありがとう。
    それに、ずっと私が魔法少女にならなくて済むように、頑張ってくれたんだよね。
    マミさんやさやかちゃんと仲違いしてまで、私の為に……」

ほむら「まどか」

まどか「私ね、ようやく自信が持てたんだ。
    こんな私だけど、ちゃんとさやかちゃんや仁美ちゃんの役に立てた。
    私は私のままでいいんだって、分かったの。だから魔法少女にはならない。
    こんな風に考えられるようになったの、ほむらちゃんのおかげだよ」

ほむら「まどかぁぁぁぁ!」ギュ

まどか「ほむらちゃん!? どうしたの!?」

ほむら「私、ようやく約束を守れたよ! 貴女を運命から救い出せた!
    本当に……本当に良かった……」ポロポロ

まどか「苦しいよ、ほむらちゃん」

ほむら「ごめんね、訳分からないよね。気持ち悪いよね……」

まどか「ううん。気持ち悪くなんかないよ」

ほむら「え……」

まどか「ほむらちゃんがずっと私の事を守ってくれてたんだよね。
    仁美ちゃんに言われて気が付いたんだ。
    ほむらちゃんが止めてくれなかったら、私はきっと中途半端なままで魔法少女になってたと思う。
    そうならずに済んだのは、ほむらちゃんのおかげだもん。
    気持ち悪くなんかないよ。私の為に泣いてくれて、嬉しいよ」

ほむら「まどか……まどかぁぁぁぁ」

まどか「ようやく名前で呼んでくれたね。嬉しいな。
     大好きだよ、ほむらちゃん」

仁美「佐倉さん、来てくれてありがとうございました」

杏子「そうやって改まって言われると、気恥ずかしいな。
   別に、アンタ達の為に来たんじゃない。
   あたしがこうしたかったのさ」

仁美「こうしたかった、とは?」

杏子「志を同じくした仲間が力を合わせて敵から街を守る。
   まるで正義のヒーローものの王道じゃねーか。
   あたしは元々、そういうのが好きだったんだよ」

仁美「正義のヒーロー……ですか。そうですわね。
   そう言えば、さやかさんや暁美さんに聞いたのですが。
   巴マミさんと仰る方も、正義の味方、というようなスタンスの持ち主だったそうで」

杏子「……あー、うん、まぁ、そうだったな。
   でも、あたしはグリーフシード目当ての戦いにしか興味がなかったからさ。
   アイツとは面識はあるけど、反りは合わなかったよ」

仁美「ですが、本当は正義のヒーローみたいな魔法少女になりたかったんでしょう?
   きっと、佐倉さんにとって巴マミさんは理想であり、憧れの対象だったんでしょうね。
   巴さんが亡くなった後、すぐ美滝原に佐倉さんがいらっしゃったのは、そういう気持ちの表れでは?」

杏子「あたしが、巴マミに憧れてたって?
   冗談言うなよ。あたしは基本的には自分第一なんだ。今回はイレギュラーさ。
   でも、もしこの場に巴マミがいたら、きっと喜んだんだろうな。
   皆でこの街の平和を守れて良かったわ、とか言ってさ……」ポポン

仁美(佐倉さんの頭にも蕾が……)

杏子「じゃ、あたしは自分の縄張りに帰るよ。今まで通り、グリーフシード集めないと」

仁美「もう帰ってしまわれるのですか?
    ……あぁ、もう行ってしまいましたわ。素早い方ですのね」

仁美(あの蕾やお花は、一体なんなんでしょう。私以外には見えないようですが)

凄い特徴的な描き方してんな

QB「まさか、あのワルプルギスの夜を撃退するなんてね。驚いたよ」

仁美「あの、きゅうべぇさん。お伺いしたいのですが、私の固有魔法は何ですの?」

QB「これまで気付かなかったのかい?
   魔法の属性は、祈りによって決まる。回復力の強い美樹さやかなんていい例だろうね。
   さて、君はどんな祈りで魔法少女になったんだっけ?」

仁美「告白の日の朝に戻って、妻妾同衾ルートに入りたい、と」

QB「本来なら、過去に戻る願いなんだから、時間操作系の魔法になるところだったんだ。
   けれど、時間遡行者なら他にいるからね。キャラが被ると人間は困るんだろう?
   だから、君の魔法は『妻妾同衾ルートに入りたい』の部分によって決まった」

仁美「まさか、三角関係を誘発する魔法、とかではありませんわよね?」

>>107
まだSS初心者なんだ
変なところあったらアドバイス下さい

>>111
面白いので続けて下さい

QB「そんな訳ないよ。君の魔法は、『恋愛フラグの成立を誘発する』事さ。
   もう既に何回か発動しているんじゃないかな。フラグ代わりの花を見てはいないかい?」

仁美「あ!」

仁美(暁美さんやまどかさん、佐倉さんにも、頭に花や蕾がありましたわ。あれがフラグ成立の証?
   だとしたら、ワルプルギスの夜に生えたあの花も、また……。
   あの時はほんの軽口で言ったのですが、本当に上条君の演奏に心奪われたのかもしれませんわ)

仁美「この街を救ったのは、魔法少女だけではなかった、という事ですわね。
   本当に素晴らしいですわ。まどかさんも、上条君も」

さやか「仁美ー! ソウルジェム浄化しとかないとー!」

仁美「さやかさん、今参りますわー!」

>>111
悪いわけじゃなくて、次書いたらきっと分かる特徴ある書き方だなって思ったんだ
続けて

~避難所

さやか「もうそろそろ、避難命令も解除される頃かな」

仁美「そうですわね」

さやか「あれ、まどかは?」

仁美「ご家族の方に心配かけるといけないから、先に戻ると仰ってましたわ」

恭介「いたいた! さやか! 志筑さん!」

さやか「あ……恭介」

恭介「無事で良かった……」ギュ

さやか「うわっ! こんな所で抱きしめないでよ! 皆に見られちゃう……」

仁美「それに、私達ずぶ濡れなんですよ? これでは上条君まで濡れてしまいますわ」

恭介「そんなのどうってことない。それより鹿目さんから聞いたよ。
   2人とも、僕の為に育ててた花を守ろうとして、避難せずに残ってたんだって?」

>>112
>>115
ありがとう。
でも規制に巻き込まれた……投稿しすぎだって。
こんな途中ですまない。

>>119
保守するからあわてるな。

さやか(あー、それがまどかのついたちょっとした嘘、か)

さやか「うん、そうなんだ。残念なことに、守りきれなかったんだけど」

恭介「いいんだ。2人が僕の為にプレゼントを用意しようとしてくれてたのは嬉しいけど。
   こうして無事に生きてる事が、何より嬉しい。
   2人の事を思ってバイオリンを弾いたんだけど、聞こえたかな?」

仁美「えぇ。聞こえましたわ。あの演奏があったから、私達はこうして戻ってこられたんですの」

さやか「そうそう。恭介にはホント、感謝してるよ」

恭介「そんな、大袈裟だよ」

仁美「いいえ。決して大袈裟ではないんですのよ。
   ……本当に、またこうして3人で会えて良かったですわ」

仁美(ワルプルギスの夜は撃退しましたが、戦いが終わったわけではありません。
   これからも、さやかさんと一緒に、魔女退治を続けていかないと。
   今のように、上条君と、さやかさんと、私。3人で、笑っていられるように……)

>>121
本当だ。時間置いたら投稿できた。
ありがとう。慌てずタイミングを見計らうよ。

~後日

まどか「おはよう、ほむらちゃん」

ほむら「お、おはよう、鹿目まどか」

まどか「もー、名前で呼んでって言ってるのに」

ほむら「ごめんなさい。習慣がなかなか抜けなくて」

さやか「全く。ちょっとほむら。まどかはあたしの嫁になる予定だったんだから!
    いくら魔法少女としては先輩だからって、目の前でいちゃいちゃするの禁止!」

まどか「そんな、いちゃいちゃなんかしてないよ」

ほむら「いいがかりは止してちょうだい」///

仁美(そう言えば、このお2人の頭にもお花や蕾がありましたっけ。
   まどかさんの蕾は、もう咲いているようですが……。
   という事は、この2人!)

仁美「キマシタワー!!」

さやか「仁美!? 何だよ急に叫んで! 何が来たんだよ!?」

仁美「ごめんなさい。つい心の叫びが声に……。
   まどかさん、ほむらさん、頑張ってくださいね!」

まどか「え? 何を?」

~放課後

恭介「こうして3人で帰るなんて、初めてだね」

さやか(これまではパトロールばっかりだったからね。でも今日くらいは……)

さやか「たまにはこういうのもいいかなって思ってさ。
    放課後デートっていう響きに憧れてたんだよね」

仁美「その気持ち、分かりますわ。
   それでは、どこへ参りましょう? カフェにでも行きますか?」

恭介「ちょっと、寄りたい場所があるんだ。付いてきてくれるかな?」

さやか「うん、恭介がそう言うなら」

仁美「どこへ連れて行って頂けるのか、楽しみですわ」

さやか「ここは……コンサートとかに使われるホール、だよね」

恭介「うん。実は今度ここで、バイオリンのコンテストの予選があるんだ」

仁美「勿論、上条君も参加されるんですよね?」

恭介「それはそうだよ。この腕が治った奇跡を。大事にしたいんだ」

さやか(恭介……あたし、その言葉がすっごく嬉しいよ)

恭介「それで、お願いがあるんだけど。コンテストには2人まで付き添いが許可されてるんだ。
   だから、2人にぜひ来て欲しくて」

仁美「私達でよろしいんですの? その、ご両親とか」

恭介「うん。親にはもう話してあるんだ。とっても大事な人達を呼びたいんだ、って」

さやか(うわぁ、まるで両親公認みたいじゃん!
    まぁご両親も、二股状態だとは思ってもいないだろうけどさ)

仁美「大事な人達だなんて……それはこちらも、ですわよ」

さやか「そうだよ、恭介。私達の思いを受け取ってくれて……ううん。
    私達2人共を選んでくれて、ありがとう」

恭介「こちらこそ。3人で付き合うなんて我儘を、受け入れてくれてありがとう。
   ところで、さ」

さやか「ん?」

恭介「キスしたいんだけど、どっちからしたらいいかな?」

仁美「それでは、今度も公平にあっち向いてホイで決めましょうか」

さやか「またこのパターンなの!?」



おわり。

これにて終わりです
支援してくれた皆、どうもありがとう。

>>141
いや仁美のぶっとびぶりがなかなか良かった。
おもしろくて初心者というのが以外だったのだが
他に書いたものはありますでしょうか。

>>145
まだ1作しかこのスレに投稿してない正真正銘の初心者
前にスレ立てしたのも同じまどマギネタで、
タイトルは確かマミ「マミられちゃった……」というやつだったかと思う。

>>146
ああマミさんが紅茶30杯ほむほむに飲ませるSSか(笑)
あれも発想がユニークでキャラ立てがしっかりしてましたね。

また新しいSSの投稿を楽しみにしてます
それでは乙でした。

>>148
まさかあのスレを覚えている奇特な人がいようとは!
ありがとうございます。

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