まどか「えっ!?458イタリア!?」 (176)

~マミホーム~



まどか「えっ?えっ、本当なんですかっ?マミさん!?」

さやか「嘘でしょ!?マミさんっ!」

杏子「おい、マミ、さすがにそれは冗談キツイぜ…」

ほむら「……」


ほむら(本当に何なのよ…この時間軸は…)

ほむら(どうして皆、さっきから車の話ばかりをしているの?)

ほむら(私は全くついていけないわ…)

ほむら(おまけにどうやら、まどかたちは皆、海外製の高級スポーツカーにしか興味がないようね…)

ほむら(インキュベーターではないけれど…わけがわからないわ…)

ほむら「まどかクンニッ!!!!」

ほむら「ぺろ・・・・・・」

ほむら「これで私はもう負けない・・・・・・」


 ほむらが復活!! 次号はほむらの大快進撃!!!



                           次号につづく

マミ「ふふっ~んっ…」

マミ「納車は先週だったんだけど、皆を驚かせようと思って…」



ほむら「ちょ、ちょっといいかしら…」

みんな「…ん?」

まどか「どうしたの、ほむらちゃん」

ほむら「…その…4なんとか、イタリアって…何?」

みんな「…は?」

マミ「えっ」

マミ「ちょっと!暁美さん!大丈夫!?」

まどか「ど、どうしちゃったの!?ほむらちゃん!」

杏子「どういうことだ、おい…大丈夫か!?」

さやか「んも~そういう冗談いいって、ほむら」

ほむら「」



ほむら(何なの、この、知ってるのが当たり前みたいな雰囲気は…!)

ほむら(どうして知らない私が変な人みたいになってるのよ…!!)

ほむら「ご、ごめんなさい…最近…ちょっと記憶が…」

まどか「でも、ダメだよ、458イタリア忘れちゃうなんて、ほむらちゃんっ!」

杏子「そうだぜ、ほむら」

さやか「ま、あたしはランボルギーニ派だけどねっ」

マミ「ふふふっ、持ってもないくせに…美樹さんったら…」

さやか「ま、乗るのにはSLSくらいで十分ですよ、そこまでハイスペックは…」

さやか「あたしのSLSなら、458には負けませんけどねえ~」

マミ「あらあら、いい度胸ね…美樹さん、今度ゼロヨンでもしてみる?」

さやか「いいでしょう!いいでしょう!」

さやか「でも、ゼロヨンなんてつまらないから、峠で勝負しませんか!?」

マミ「峠で私に勝てると思って?」

杏子「まあまあ、お前ら、落ち着けって」

杏子「ゼロヨンだろうが、峠だろうが、どうせアタシのMCストラダーレには勝てないって」

マミさや「はあ?」

マミ「フェラーリの三下のくせに、よくそんなこと言うわね…」

マミ「ゼロヨンなら私が負けるはずないわ!いえ峠でもよ!」

さやか「ふんっ、イタリア車なんて2台とも、私が潰してやりますよ!」

杏子「走りが全てじゃねーぞ!車は!」

まどか「うぇひひっ、みんないいなあ…スーパーカー…」


ほむら「……」

ほむら(…本当にわけがわからないわ)

まどか「私もはやくQBと契約して、スーパーカーほしいなあ…」

ほむら「!」

杏子「そうだぜ、まどかも早くなんか決めちまえよ」

さやか「そうそう、まどか、ドイツ車薦めるよ、あたしは!」

さやか「壊れにくいし、頑丈だし、カッコいいし!」

マミ「ドイツ車なんて機能美と壊れにくいだけよ、やめときなさい、鹿目さん」

マミ「ドライブを優雅かつエレガンスに楽しむなら、やっぱりイタリア車よ!」

杏子「それにはアタシも同意だな」

さやか「イタリア車なんてすぐに壊れるから、やめときなって!まどか」

さやか「日本で乗ると内装すぐにベトベトしてくるし、天井剥げるよ?」

マミ「天井はドイツ車も同じじゃない!」

マミ「…失礼ね、壊れやすいからこそ、大事にするの、それもイタリア車の味よ」

マミ「ドイツ車なんか、内装も地味だし」

マミ「それに、ここ最近のメルセデスなんてコスト削減が酷いわ!何が『最善か無か』よ!」

マミ「私が唯一認めるメルセデスはW124だけだわ」

杏子「あ~アタシもそれがあったから、メルセデスやめたんだよなあ」

さやか「そ、それは…!」

さやか「……」

さやか「くう~っ…言い返せないあたしがいる…」

さやか「でも、SLSだけは別格でしょ?」

マミ「走りだけは頑張ったほうね…」

マミ「まあ、F1の名門には敵わないけどね…」

マミ「ふふふっ、フェラーリに敵うわけないじゃない」

さやか「くうう~っ!」

さやか「さやかちゃん怒っちゃいましたからね!」

さやか「ドイツ車の意地にかけて今度の勝負負けれないからね!」

まどか「うぇひひっ、私は何に乗ろうかなあ~」

ほむら「……」



ほむら(QBと契約すればスーパーカー?)

ほむら(どういうことかしら…調べてみる価値がありそうね)

~帰り道~


スタスタ…
ほむら「QB、いるの?」

ヒョコッ
QB「どうしたんだい?暁美ほむら」

ほむら「魔法少女について説明して」

QB「いきなりどうしたんだい」

ほむら「いいから、説明しなさい」

QB「魔法少女は契約によって生み出され…」

ほむら「そんなことはわかっているの…!」

ほむら「契約に何か特典みたいなのは、ついてるのかしら…」

QB「ああ、そのことかい」

QB「そうだよ、今僕と契約して魔法少女になると、願いを叶えられることと他にもう一つ」


QB「スーパーカーがもらえるんだ!」

ほむら「…スーパーカー?」

ほむら「でも、私たちはまだ子どもよ?」

ほむら「免許なんて持ってないし、というか持てないし、車なんていらないでしょ…」


QB「何を言っているんだ」

QB「去年の法改正で、この国の普通自動車第一種運転免許取得の年齢は14歳以上になったじゃないか!」

QB「それに中学校という義務教育期間中ということで、誕生日の早い順に満14歳になった子たちから」

QB「授業の一環として、免許の取得が義務付けられているよ」

ほむら「!」


ほむら「そ、そんな…!」

QB「だからこそ、君たち中学生の間でも、今、何の車に乗ってるかがステータスになっているんだよ」

QB「それで僕たちはそれに目をつけた」

QB「そして、契約の特典としてスーパーカーをつけることで、契約が去年の倍に…」

QB「おっと、これ以上は…」

…パーン!
QB「きゅぷっ!」

グチャッ


ほむら「……」

翌日 
~教室~


ガヤガヤ…
ワイワイ…
女子A「えーっ!女子Bちゃんってセルシオに乗ってるの?」

女子B「しーっ!静かに!」

女子B「まだみんなには内緒だよ!」

女子A「何リッターのやつ?」


ワイワイ…
男子A「だからな、ロータリーエンジンってのはだなあ~」

男子B「何言ってんだ、こんな時代だからこそ、キャブ車に乗るんだろ!」

男子C「プリウス?は?お前そんなに乗ってんの!?」

男子D「そんなことより、俺のシトロエンの話をだなあ~」


ほむら「……」

ワイワイ…
中沢「上条、腕はもういいのかよ」

恭介「ああ、今度のイベントまで時間もあんまりないからね」

恭介「最近はLSD非搭載車で練習してるんだ…」

恭介「片腕でもできるかと思ったんだけど、やっぱり逆ハン片手は辛くてね…」

中沢「相変わらずだな、さすがは中学一のドリキンだよ…お前は」

中沢「でも、最初は事故で腕動かなかったんだろ?」

恭介「まあね、でもドリフトだけはやめられないからね…」

…ガララー

スタスタ…

和子「……」

和子「今日はみなさんに大事なお話があります、心して聞くように」

和子「スポーツカーとはMTですか?それともセミATですか?」

和子「はい、中沢君!」

中沢「えっ、えっと…そ、そうですね…」

中沢「確かにスポーツカーとして速いのはクラッチレスの、所謂F1マチックのセミATなんでしょうけど…」

中沢「クラッチ操作しつつの、ヒールアンドトゥでの走りもたまりませんね…」

中沢「好みでそれぞれですから、まあ、僕はどっちでもいいんじゃないかと…」

和子「その通り!どっちでもよろしい!」


和子「たかがトランスミッションの違いで女の魅力が決まると思ったら大間違いですっ!」

和子「女子のみなさんはくれぐれも、MT車しかスポーツカーとして認めない、とかぬかす男とは交際しないように!」

さやか「ダメだったか…」

まどか「ダメだったんだね…」

和子「そして、男子のみなさんは、MT車に乗ってるからっていい気にならないこと!」


和子「はい、それでは、朝のHRを始めます」

ほむら「……」



ほむら(本当に、この時間軸での中学生は車がステータスになってるの!?)

ほむら(みんな車のことしか話してないじゃない…!)

ほむら(何よ、これ…)

~休み時間~

スタタタッ
まどか「ほむらちゃん、ほむらちゃんっ!」

まどか「これ、見てっ」
ペラッ

ほむら「…?」

まどか「ランボルギーニの新型、ウラカンだよっ」

まどか「かっこいいよねっ!!」

ほむら「…そ、そうね…」

さやか「でしょ~!ほら、やっぱりガヤルドよりも見た目いいって!」

さやか「あたし、ガヤルドも好きだったけどさ、どうしてもあのリアだけは無理だったんだよねっ」

さやか「な~んか、後ろもっと長かったのを途中で切断しました~みたいなリアだったじゃんっ」

さやか「アヴェンタドールのリアは超カッコいいのになあ」

さやか「でも、ウラカンはガヤルドの後継車の割にはカッコ良すぎっ!」

まどか「ゼロヒャクも3.2秒だって!すごくないっ!?」

さやか「相変わらず化けもんだよね~ランボルギーニは」

ほむら「……」

ほむら(このままじゃ、私は会話にすらついていけない…)

ほむら(どうにかしないと…)



まどか「私、QBにウラカン頼もうかなあ~」

ほむら「!」

さやか「イタリア車は維持が大変だって~」

まどか「う~ん、悩むなあ~」


ほむら「だ、ダメよ…まどか」

まどか「え?」

まどか「どうして、ほむらちゃん…ほむらちゃんもイタリア車嫌いなの…?」

ほむら「そ、そうじゃなくて…魔法少女なんかになってはダメってことよ…」

まどか「でもスーパーカーだよ~っ、私すごく憧れちゃうよっ」

さやか「そりゃあね~今は男子が車であたしたちを馬鹿にしてくる時代だからね」

さやか「女の子だからって、今どき軽なんかに乗ってたら笑いものだよ」

まどか「さやかちゃんはもうSLS持ってるんだから、笑われないよっ」

さやか「まあね~」

ほむら「…そ、そんなことで、魔法少女になんてならないで…!まどか!」

まどか「そ、そんなことって…大事なことだよ?ほむらちゃん」

さやか「そうだよ、ほむら、何言ってんの、車は文化だよ」

ほむら「……」

さやか「あ、そういえば、あんたも魔法少女なんだし、QBから車もらったんじゃないの?」

ほむら「!」

まどか「そう言えばそうだよっ」

まどか「ほむらちゃんは、何に乗ってるの?」

ほむら「…わ、私は…」

ほむら(私が車なんて持ってるはずがない…)

ほむら(でも、ここで知らないとか、持ってないとか答えたら、また会話から疎外されてしまう…)

ほむら(ここは…)


ほむら「あ、あるわよ、とっておきのがね…」

まどか「ええ!ホントに!?」

さやか「マジでっ!?」

まどか「なになに!?何に乗ってるの!?」

ほむら「…そ、それは…」


ほむら「秘密よ…」


まどか「ええ~ひどいよ~ほむらちゃんっ」

さやか「ここまでもったいぶって、それはないぞ、ほむら!」

ほむら「…あなたたち、今度の休みに勝負するんでしょ、その…ゼロヨン…?とかなんとか」

ほむら「そのときに乗ってきてあげるわ…」

まどか「わあ!ほんとに!ほむらちゃん!」

さやか「おお~ほむらも参戦ですかなあ、これは楽しみっ!」

~帰り道~


ほむら「…はあ」

ほむら(あんな嘘をついてしまったわ…どうすれば…)

ほむら(そうだわ…!どこかから、そのスーパーカーってやつを盗んで、皆の前に現れればいいのよ!)

ほむら(我ながらに名案ね…!)

ほむら(でも、どんな車を用意すれば…)


スタタッ…
まどか「あっ、ほむらちゃん!」

ほむら「!」

ほむら「まどか…」

まどか「ほむらちゃんも今帰り?」

ほむら「ええ」

まどか「一緒に帰ろっ」

スタスタ…


ほむら「ねえ…まどか、一つ聞いてもいいかしら」

まどか「ん?」

ほむら「あなたは、スーパーカーに乗りたいから、魔法少女になるの?」

まどか「えっ」

まどか「う、う~ん…否定はできないかなあ…」

まどか「魔法少女になるのも怖いし…やめようかなって思ったりもするけれど」

まどか「それでも、こんな私が何かの役に立てるならっても…思うの」

まどか「それに…私たちの中で、私だけ免許はあるのに車持ってないから…」

まどか「せっかくなら、その両方、いっぺんに叶ったら、私はとっても嬉しいなって…」

ほむら「……」


ほむら(どれだけ車バカなのよ…この子は…)

ほむら「…じゃ、じゃあ、その…まどかがほしがってる車が手に入れば、魔法少女になるのをやめてくれる…?」

まどか「えっ…う、うん…ま、まあ…」

まどか「で、でも…そんなの無理だよっ」

まどか「ほむらちゃんだって、マミさんやさやかちゃん、杏子ちゃんたちが乗ってる車の値段知ってるでしょ?」

まどか「そりゃあマミさんたちは契約でQBから車もらってるからいいけど…」

まどか「普通はあんなの中学生じゃ買えないよ…」

ほむら「…私がどうにかしてあげる」

ほむら「だから、魔法少女になるのはやめて…」

まどか「…う、うん…でも、無理しなくてもいいよ、ほむらちゃん」

ほむら「別に私は無理なんてしてないわ…」

ほむら「…それで、まどかはどんな車がほしいの…?」

まどか「え、そうだなあ~」

まどか「たっくさん、あるから迷っちゃうなあ~」

まどか「やっぱり、マミさんのフェラーリもいいけど…」

まどか「あっ、でも、フェラーリよりもランボルギーニの方が男の子にもバカにされないよねっ」

ほむら「……」

ほむら(それでも十分すごそうだけども…)

ほむら(だいたい、それをバカにする男子って、何に乗ってるのよ…)

ほむら(車の知識がない私でも知ってるようなすごい車でしょ…)


まどか「でも、あえて誰も持ってないような車もいいなあ…」

まどか「アストンとかっ、イギリス車はクラスでも乗ってる人少ないから、いいかもっ」

ほむら「…アストン…?」

まどか「アストンマーチンだよ、ボンドカーだよ、ほむらちゃん、知らないの?」

ほむら「あ、ああ…」


ほむら(イマイチわからないけど、とりあえず納得しとかないと…)

まどか「カッコいいんだよ~っ」

まどか「そういえば身近に乗ってる人見たことないなあ…」

まどか「うぇひひっ、私、あんなのに乗った人と結婚したいなあ…」

ほむら「!!」


ほむら「…そ、それじゃ、まどか…その、アストンなんたらって車でいいのかしら…?」

まどか「う~ん、そうだなあ…うんっ、いいよっ」

まどか「この辺りじゃ見ないし、乗ってみたいかもっ」


ほむら「わかったわ!」

ダダダーッ


まどか「あ、ほむらちゃんっ」

~ほむホーム~


ほむら「…アストンね」
カチカチ…

ほむら「とりあえず…ネットで…」
カチ…カチ…


ほむら「カーセンサー?」

ほむら「中古車のサイトかしら…?」
カチカチ…


ほむら「どうして、アストン出てこないのよ…!」


ほむら「あ、そういえばイギリス車だから……」
カチ…

ほむら「輸入車って…外車のことよね…」
カチカチ…
カチ…

ほむら「あ、あったわ…」


ほむら「!!」

ほむら「な…何よ、この価格…!」

ほむら「馬鹿にしてるの…?」

ほむら「こんなの買えるわけないじゃない…!!」


ほむら「…どうしましょう」


ほむら(さすがにまどかにプレゼントするとなると、盗んでくるわけにはいかないし…)

ほむら(それに、まずこんな車、私も生まれてこのかた見たことないわ…)

ほむら(どこに行けばあるのよ…!)

ほむら(でも、私もすごい車あるって嘘ついてしまったし…)

ほむら(今更嘘でしたなんて言えないわ…)

ほむら(このアストンなんとかを私のすごい車ということにして…)

ほむら(まどかにプレゼントすれば…まどかの契約は防げるうえに)


ほむら(まどかと結婚までできるかも知れないわ…!)

ほむら(絶対にどうにかしないと…!!)

ほむら「う~ん…」
ウロウロ…


ほむら「あらっ?」

ほむら「こんなところに、ドアなんてあったかしら…」
キョロキョロ

ほむら「いや…私の家よね…?」

ほむら「こんなところに今までドアなんてなかったはず…」

ほむら「……」
…ガチャ


ほむら「!!」


ほむら「こ、これは!」

QB「やあ、久しぶりに乗るのかい?」

ほむら「インキュベーター…!」

ほむら「こ、この車は…」


QB「どうしたんだい、この車は君が契約したときに僕からもらった車じゃないか」

QB「だから君の家にもこうして、わざわざ車庫を設置したんだよ」

ほむら「え…」


ほむら(そ、そうか…!)

ほむら(私も一応魔法少女なんだから、この時間軸の契約のルールに則ってちゃんと車があるんだわ…!)


ほむら「ふふっ、これで十分だわ…」

ほむら「なんだかよくわからないけれど、この車ならきっとまどかも喜ぶはず…!」

ほむら「ちゃんとスポーツカーみたいだし、見た感じもイカツイから大丈夫よね…」

ほむら「でも、どこかでこのロゴ見たことあるような…」

ほむら「もう小さなことは気にしてられないわ…」

ほむら「これが私の愛車よ!」

ほむら「いえ…まどかへの『愛』よっ!」


ほむら「今度の休みはこれで私も…!」

次の休み
~見滝原市内広場~



スタスタ…
まどか「私だけ、徒歩なんて辛いよ…」

まどか「私も早くスーパーカーほしいなあ…」



まどか「そろそろ時間だけど…」

まどか「まだ誰も来ないなあ…」

ブウウウン…

ブウウオォォォンッ!
ウウオォォォンッ!
ウウオォォォンッ!

まどか「この高回転域の音は…!!」


キイイッ!

ガチャ…
マミ「あら、私が一番乗りかしら」


まどか「マミさんっ!」

マミ「鹿目さん」

まどか「こ、これ…」

マミ「ふふっ、どうかしら?色は私のソウルジェムと同じ黄色にしてみたの」

まどか「こ、これが458イタリアですか…!!」

マミ「ええ、これが私の愛車」

マミ「フェラーリ 458イタリアよ」

マミ「4.5リッターのV8エンジン搭載」

マミ「最高出力は578馬力、最高速度は325km/h」

マミ「ゼロヒャクは僅か3.35秒よ」

まどか「す、すごいですっ」

まどか「かっ、カッコいい~っ!!」

まどか「やっぱ、ミッドシップですよね」

まどか「わあ~っ、フェラーリと言えば赤だけど黄色のフェラーリもいいですよねっ!」

マミ「ええ、もちろんよっ」


マミ「…それにしても、他のみんなはまだかしら…」

ブウウウン…
ゴゴゴゴ…

マミ「相変わらず回転低いと図太いエンジン音ね…」

ブブウン!
ブブウウウォォォン!!

まどか「でも高回転のときはシビれますっ!」


…キイイッ!
ガチャ…
杏子「遅れてわりい、都市高混んでてさあ」


まどか「うぇひひっ、杏子ちゃんったら相変わらず赤好きだよねっ」

杏子「当たり前だろっ、赤はアタシのソウルジェムの色だし」

杏子「アタシの大好きなりんごの色でもあるからなっ」

マミ「さすがはマセラティ最速だけはあるわね、エンジン音だけは一丁前だわ」

杏子「はっ、エンジンだけじゃないぜ、マミ…」

杏子「さあ、これがアタシの愛車」

杏子「マセラティ グラントゥーリズモ MCストラダーレさ」

杏子「4.7リッターのV8エンジン搭載」

杏子「最高出力460馬力、最高速度は303km/h」

杏子「ゼロヒャクは4.5秒と少しおせーけど」

杏子「コイツの魅力はスピードだけじゃねえ、やっぱ豪快な見た目と内装の高級さにあるのさ」

まどか「乗り心地なら、絶対負けないよねっ」

杏子「ああ!アタシのはボディだけじゃなくて、内装のレザーまでロッソコルサにしてるからなっ」

まどか「後ろ、乗ってもいい?」

杏子「おう、いいぜ」

まどか「うわ~後席でも広々だよ~私なら足まで伸ばせちゃうっ」

マミ「ま、まあ…確かに居住性では勝てないわね…」

杏子「こっちは4人乗りで、このスペックだからな」

マミ「最新型でしょ、すこし酷いわ…」

杏子「いや、それ言い出したらキリないぞ、さやかはどうなるのさ」

ブウウン…

ブウオオオンッ!
ブウオオンッ!


まどか「あ、この音は…!」


…キイイッ!

ガチャ…
さやか「あれ、もしかして、あたし最後?」

まどか「うぇひひっ、ガルウィングすごいねっ」

さやか「でしょでしょ!」

さやか「あ、出たなあ~イタリア車二人組みめ!」

さやか「このさやかちゃんのSLS AMGが成敗いたすっ!」

さやか「これがあたしの愛車」

さやか「メルセデス・ベンツ SLS AMGだよ」

さやか「6.2リッターのV8エンジン搭載」

さやか「最高出力571馬力、最高速度317km/h」

さやか「ゼロヒャクは3.8秒だあ~っ!」

さやか「性能だけじゃないよ、安全哲学の詰ったメルセデスさあ~」

杏子「エンジン音はおとなしいけど、走りはホントに馬鹿にできんからなあ」

マミ「何が安全哲学よ、どうせ峠で突っ込めば、死ぬのは同じだわ…」

さやか「いえいえ、多分助かるのはあたしだけですねっ」

まどか「うぇひっ、安全性はもちろんだけど」

まどか「あの300SLをモチーフにしただけあって、カッコいいよねっ!」

さやか「当たり前でしょ、機能美だけじゃないんだからっ、メルセデスは」

さやか「なんてったって、すべての車の生みの親ですからなあ~」ニヤニヤ

杏子「まあ、それだけは否定しようがねーからなあ…」

マミ「ふんっ…なによ、ただ最初ってだけじゃない…」

まどか「あれ?そういえば、ほむらちゃんは?」

さやか「あ、そういえば!」

マミ「あら、暁美さんも来る予定なの?」

杏子「アイツも何か持ってたのか?」


ブウウン…
ウウウウンンッ!
ウウウウウン!!
ウウウウウウン!


マミ「なんか無理してるような高回転ね…」

杏子「なんだ、このエンジン音は…!」

さやか「こ、これって、まさか…!」

まどか「ほ、ほむらちゃんなの…!?」


キイイ!

ガチャ…
ほむら「こ、これで…ど、どうかしら…みんな」

まさ杏マ「……」


さやか「こ、これって…」

杏子「あ、ああ…」

マミ「もしかして…」



まどか「LFA…?」




ほむら「どうかしら?これが私の愛よ!間違えた、愛車よ!」ドヤアア



まさ杏マ「」

ほむら「え、ええっと…メモ、メモ…」ゴソゴソ

ほむら「え、えっと…名前はレクサス LFA」

ほむら「えっと、4.8リットルのV10エンジン搭載…」

ほむら「最高出力560馬力…最高速度325km/h以上で…あ、ただ…リミッター作動時は180ね」

ほむら「ゼロヒャクは3.7秒以下……」


ほむら「ど、どうかしら…まどか…」

ほむら「アストンなんとかじゃないけど…これをあなたに…!」


まどか「え…い、いや…いいよ、ほむらちゃん……」

ほむら「えっ」


ほむら(どうしてまどかは哀れんでるような目をしているの…!?)

ほむら(明らかに他の3台と反応が違うじゃない…!!)

さやか「ぷっ、あはははっ」

杏子「お、おい、さやか!さすがに笑うのは失礼だろ…」

さやか「ご、ごめんごめんっ」

さやか「で、でもさ…なんかこれってスーパーカーのイメージないんだよねっ」

さやか「確かに値段も高くて、性能いいのはわかるんだけど…なーんか受けつけないんだよね~」

さやか「うわっ、リアカッコ悪っ!!」

さやか「フロントもBRZとほとんど変わんないじゃんっ」

マミ「ま、まあ…でも、さすがに笑うのは失礼よ、美樹さん」


ほむら「!!」

ほむら(何、何なの…この敗北感は…!)

ほむら(この車だって、すごいんじゃないの…!?)

ほむら(スーパーカーじゃないの…!?)

さやか「だって、レクサスって、欧州車マネして糸巻きグリルでブランドイメージ化しました~」

さやか「とかやってたとこでしょ!そんなとこの車持ってこられてもねえ~」

杏子「あれはさすがにアタシも引いたけどな…」

マミ「あのとき私は、このメーカーもう無理って…思っちゃったわ…」

ほむら「……」

ほむら(どうして私だけこんなに不遇なの…!!)


まどか「うぇひひっ」

まどか「でも、すごいよ!ほむらちゃんも車持ってたんだねっ!」


ほむら「まどか…!」


ほむら(そうよ、別にあなたたちにいくら馬鹿にされようと構わないわ…)

ほむら(まどかにさえ喜んでもらえれば…!!)

マミ「まあまあ、いいじゃない、暁美さんも揃ったことだし、皆でツーリングにでも行きましょうよ」

さやか「んじゃ、まどかはどれに乗ってく?」

ほむら「まどかっ、一緒に…!」

まどか「ご、ごめん…ほむらちゃん…」

まどか「確かにほむらちゃんのLFAもすごいけど…私…私ね…」

ほむら「え」




まどか「日本車には興味ないの…」



ほむら「!!」


まどか「ごめんねっ…ほむらちゃんっ…」

さやか「残念だったね~ほむら~」ニヤニヤ

まどか「ほんとにゴメンね…ほむらちゃん…」

さやか「じゃあ改めて、まどかは何に乗る~?」

まどか「え、う~ん、そうだなあ~」

まどか「じゃあ行きは458かなっ!!」

マミ「!!」

さやか「イタリア車は事故したら死ぬぞ~」

マミ「何よ、失礼ね、私が事故すると思って?」

さやか「じゃあ約束通り勝負しましょ!マミさん」

マミ「ええ、望むところよっ!」

さやか「あ、でも、まどかを乗せるってことはそれだけ重くなりますよ~」ニヤニヤ

まどか「わ、私、そんな重くないよ……」シュン…

マミ「ふふっ、大丈夫よ!鹿目さんくらい乗せたって勝負は見えているわ…」

まどか「マミさん…!」

さやか「強気ですなあ~」

マミ「あら、あなたにはちょうどいいハンデだと思うけど…?美樹さん」

さやか「ふんっ、負けたときの言い訳に、まどかは使わないでくださいねっ」

杏子「面白そうだなっ、じゃあアタシは審判な」
キャイキャイ…



ほむら「」


ほむら(もういいわ…この時間軸…)

~ワルプルギスの夜襲来~

ゴゴゴ!

まどか「ほむらちゃん、ごめんね、私、魔法少女になる」

ほむら「まどか…そんな…!」

まどか「私、やっと見つけたの、本当に乗りたい車見つけたの、だからそのために、この命を使うね」

ほむら「やめて!!」

ほむら「それじゃ…それじゃ私は、何のために…」


ほむら(お願いだから、車なんかで魔法少女にならないで…!!)


まどか「ごめん、ホントにごめん、これまでずっと、ずっとずっと、みんなに自慢されて、たくさんのスーパーカーに触れてきたから」

まどか「今の私があると思う…」

まどか「ホントにごめん」

まどか「そんな私が、やっと見つけ出した車なの、信じて」

まどか「絶対に、今日までの車たちを無駄にしたりしないから」

ほむら「まどか…」





QB「数多の世界の運命を束ね、因果の特異点となった君なら、どんな途方もない車だろうと、手に入るだろう」

まどか「本当だね?」

QB「さあ、鹿目まどか、その魂を代価にして、君は何に乗る?」


まどか「私…」

まどか「はぁ…ふぅ…」

まどか「私の乗りたい車は…ブガッティ…ヴェイロン…!!」
まどか「あ、ちなみにスーパースポーツだよっ?」



QB「!」

QB「その車!そんな車に乗れるとすれば、それはスーパーカーなんてレベルじゃない!」

QB「市販車の最高速度そのものに対する反逆だ!」

QB「はっ」

QB「君は、本当に400km/hを超えるつもりかい?」

まどか「400km/hでも何km/hでもいい」

まどか「今日まで触れてきた、たくさんのスポーツカーたちの速度の壁を超えたい」

まどか「市販車の最高速度の壁なんて壊してみせる、変えてみせる」

まどか「これが私の乗りたい車」

まどか「さあ!叶えてよ、インキュベーター!!」

数日後
~ほむホーム~


ほむら(結局まどかは契約してしまって、ワルプルギスの夜は一撃で倒したし)

ほむら(私たちも全員無事に生き延びることができたけど)


ほむら(まどかの契約を阻止できなかった…)



ほむら「さあ、こんな車好きばかりの世界とはお別れよ…」



ピンポーン


ほむら「ん?」

…ガチャ

ほむら「まどか…!」

まどか「ほむらちゃん、うぇひひっ…その、良かったら」

まどか「良かったらでいいんだけど…あのね…」

まどか「ふ、二人で、ドライブでも…どうかなって…」

ほむら「!!」

ほむら「行くわ!もちろんっ」

まどか「うぇひっ、本当にっ!?」

ほむら「もちろんよ!それよりも、本当に二人で…!?」

まどか「うんっ、だって二人しか乗れないもんっ」

ほむら「本当の本当にっ!?」

まどか「うんっ、もう~ほむらちゃんったら、疑り深いよ」

まどか「だって、マミさんもさやかちゃんも杏子ちゃんも私の車でドライブいこ?って」

まどか「誘ったときは、断られちゃうんだもんっ」

まどか「だから、もうほむらちゃんしか誘わないことにしたのっ」

ほむら「そ、そうなの…?」


ほむら(どうしてなのかしら、あの子たち…)

ほむら(まあ、今はそんなことはどうでもいいわ…!)

ほむら(だって念願のまどかとのデートですもの!)

ほむら(まさかこんなわけのわからない時間軸で叶うなんて…!)

ほむら(本当に嬉しい…!!)


ほむら「ちょっと待ってて、支度してくるわ」

まどか「うんっ、じゃあ私は車で待ってるねっ」

______


ガチャ
ほむら「お待たせっ、まどかっ」


ほむら「!!」

ほむら「こ、これが…まどかの車…?」

まどか「うんっ、カッコいいでしょっ!?」

ほむら「…ええ、とっても…」

ほむら(ワルプルギスの時に契約してもらった車ね…)

ほむら(ブガッティ…なんとかだったかしら…まあ名前はどうでもいいわ…)

ほむら(まどかのイメージカラーのピンクで)

ほむら(ちょっと大きいけど、丸っこくて、てんとう虫みたいで可愛いわ)

ほむら(まどかが乗っていれば、なんでも可愛くみえてしまうわね…)

ほむら(こんな可愛い車でまどかとデートできるなんて…ふふっ…最高だわ!)

まどか「じゃあ、乗って、ほむらちゃんっ」

ほむら「ええ…」
…バタン


ほむら「中は意外と広くないのね…でもこっちがいいわ…」

まどか「でしょ?うぇひひ」

ほむら「ねえ…まどか、一つ聞いてもいいかしら?」

まどか「えっ、な、何…!?」ドキッ

ほむら「こ、これって…まどかと私の初デートってことで…い、いいのかしら…?」

まどか「えっ、あ、そそうだね…言われてみたら…」

まどか「うぇひひっ、ほむらちゃんったら、デートなんて…」

ほむら「私は嬉しいわ…あなたとデートができて…」

まどか「うんっ、私も嬉しいよっ」

ほむら「ほ、本当に…!?」

まどか「当然だよ、ほむらちゃんっ」

まどか「だから、これからもほむらちゃんと一緒にドライブ行きたいなあ…」

ほむら「もちろんよ、これからずっと一緒にデート行きましょ、まどか」

まどか「うんっ!」

まどか「じゃあ出発するね」


ほむら「ええ」


ほむら(ああ、幸せだわ…こんなにもまどかが近くに…それに二人だけの空間…)

ほむら(しかも、こんな時間がこれからもずっと続くなんて…この時間軸も悪くないかも…)

ガチャ…
ブオオォンッ!

ゴゴゴゴゴ!


ほむら「すごい音ね…」

ほむら「それより、まどかに運転させて悪いわね…」

まどか「ううんっ、いいんだよ、私の車だからねっ」

ほむら「今度は私が運転してあげるわ」

まどか「うんっ」

まどか「えっと…確か…これを…」
ガチャ…


ほむら「ん?まどか、これは?」

まどか「えっ」ドキッ

まどか「えっ、こ、これって…?な、何かな…ほむらちゃん」

ほむら「これよ、この鍵は何?」

まどか「え、あっ、こ、これは…」アタフタ

ほむら「この車は鍵は二つあるの?」

まどか「う、うんっ、そうなんだよっ」

ほむら「珍しいわね…」

まどか「う、うんっ、じゃ、じゃあどこにいこっか、ほむらちゃん」

ほむら「そうね…まどかとなら、どこでもいいわ…」

まどか「じゃあ、ちょっと遠くにいってみよっか」

ほむら「ええ、どこへでも…あなたとなら」



ゴゴゴゴゴ…
ブオオオオオン!

__________


ほむら「…ん、あ、つい寝ていたわ…こ、ここは…?」

まどか「うぇひひっ、首都高湾岸線だよ?」

ほむら「えっ?」

ほむら「…ど、どうしてこんなとこに…?」

まどか「うぇひっ、それはね…」

ブオオオオン!
ブオオオオオオン!
ブオオオオオン!


ほむら「ま、まどか、ちょっちょっとスピード出しすぎじゃ…!」

まどか「うぇひひっ、大丈夫だよ、このくらいへーきだよっ」

まどか「このためにここに来たんだからっ」

まどか「まだまだ、ヴェイロンはこんなもんじゃないよ~」

ほむら「こ、これ以上は…」

ブオオオオオン!
ブオオオオオオオン!!
ブオオオオオオオオオオオオン!!


ほむら「ひっ、ひいいっ!」

まどか「ほむらちゃん!ほむらちゃん!ほら!」

まどか「400km/hオーバーだよっ!!」

ほむら「ひいいいいっ!!ムリムリムリ…!」

まどか「うぇひひっ、ほむらちゃんったら、子どもみたいで可愛いっ」

まどか「じゃあ、今日は限界に挑戦してみるねっ」


ブオオオオオオオオオオオオン!!
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!



ほむら「いやあああああああ~っ!!!」


ほむら(やっぱりこんな時間軸なんてもういや!!)


ブウウウウウオオオンッ!!

以上で終わりです。
車の知識に関してはレスされた通りのにわかです。
ただ、これを読んで少しでも車やスーパーカーに興味を持つ人が増えてくれたらと切に願います。


こんなSSを読んでいただきありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年01月12日 (月) 19:00:23   ID: cAFASIyB

僕も日本車に興味は無いけどLFAはすごい車だと思う。
ヴェイロンも良いけどキャパロT1とかランドシャークも乗ってみたい。

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