モバP「鷹富士茄子のいる日常」 (23)

※作者からの注意書き

このSSは地の文を含みます。台本形式ではありません。

アイドルマスター シンデレラガールズの鷹富士茄子さんのSSです。
今回はイチャラブコメディを目指して執筆

五日続けての茄子さんSS

自分でもここまでできるなんて驚きさ


ネタ切れと言ったな?なんか補充できたよ。


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~~♪
仕事場でパソコンのキーボードを叩いていると、後ろの方から鼻歌が聞こえてくる。
後ろを見るまでもない。茄子が上機嫌に鼻歌を鳴らしているのだろう。

鷹富士茄子をプロデュースしてから早2年近くたった。
茄子の笑顔以外の表情を見た記憶がほとんどないというくらい、彼女は何時もニコニコしている。

幸せをもたらす幸福の女神。
今や彼女の代名詞だ。

俺自身彼女と出会ってからというもの仕事や私生活がかなり上手くいくようになった。
運のような超常的なものはあまり信じていないたちだったが、茄子を見ていると実際に存在するのだなと思えてしまう。

P「茄子」

後ろで上機嫌に雑誌を読む茄子に話しかける。
茄子との会話は仕事のリフレッシュには丁度良い。彼女の笑顔は普段の仕事の疲れやストレスだとかを簡単に吹き飛ばしてくれる。
贔屓目とかなしに、本当に女神だと思う。

茄子「なんですかPさん?」

P「何かいいことでもあったのか?」

茄子「あ、わかっちゃいました?」

彼女と仕事をしていて約2年。彼女はいつも機嫌が良さそうに見えるが、それにはいくつかの種類がある。

他の社員さんや、事務員のちひろさんには中々見分けがつかないらしいが、そこそこ密度高く接している俺はその見分けができるようになってきている。

茄子「ふふふー、じゃん!これ、応募したら偶然当たっちゃったんです♪」

差し出されたものを見ると、それは某温泉旅行地の旅行券だった。
茄子は天性の運の良さを持つ女性だ。こういった福引などで良くこういうものを当ててくる。

P「へぇ。ここ一回言ったことあるけどすごいいいところだったぞ?良かったな、茄子」

羨望や嫉妬とかはなく、素直に茄子と一緒に喜ぶ。茄子が嬉しいことは自然と俺も嬉しく思えてくる。
不思議なものだった。もし別の友人が同じこと言ってきたらぶん殴る自信があるのに、茄子にだけはそんな感情は一切湧いてこない。

P「ん?良く見たらペアの券なんだな。誰かと行くのか?」

こう見えて茄子の交友関係は広い。18歳の時に上京してきて通っていた短大で友達も多いらしい。
余談だが良く合コンとか誘われるらしく、プロデューサーを務める俺も戦々恐々としている。もし茄子に彼氏などできたらと考えると、嫌な汗が湧き出てきてしまいそうになる。

茄子「んー、あの、その、ですねー?」

茄子にしては珍しく歯切れが悪い。気のせいかどことなく頬も赤い。
いや、待て、この反応はまさか?
最も嫌な予感が脳裏をよぎる。

P「茄子、駄目だ!それだけは駄目だ!」

茄子「へ?」

がっしりと肩を掴み、血相変えて詰め寄る。

P「確かに茄子は20歳で、今こそ遊びたい時期だってわかる。でも、その、な?男と温泉旅行に行くってのだけは駄目だ!」

茄子「あ、あのー?」

くそう。茄子が短大時代に良くモテていたのは知っている。短大の傍ら仕事の励んでいてくれていた茄子は、良く学校の話はしてくれた。
アイドル兼ということで男子から良く告白もされていたらしい。

すぐに売れ出したこともあり、スキャンダルを避けるために茄子には申し訳ないと思いながらもそういう付き合いはなるべくないようにしてくれと言ってあった。

だが、くそ。俺の落ち度だ。まさか茄子にすでに彼氏がいたなんて。いや。くそ。駄目だなんか思考がまとまらない。
どうする?どう説得する?

~~~

私の肩を掴んだまま何やら迷走状態に入ったPさんを見て、私はまたですかぁとため息を吐きました。
アイドルとしてPさんと一緒にいて早2年近く経ちました。
これだけ長くいるとPさんの性格もわかります。
洞察力があり、小さいことでも気づいてくれて色々助けてくれる大好きな人ですが、少し短所があります。
そう、Pさんは勘違いすると向こう見ずで突っ走ってしまう癖があるのです。
ちひろさんや他のアイドルさんたちはあまり気づいていないようですが。

きっと『男』って言ったということは、私に彼氏か何かができたとか何とかと勘違いをして、私をどうにか説得しようと考えていることでしょう。

アイドルを始めるにあたり、恋愛禁止の指令に関してPさんはどこか私に申し訳なさそうにしているふしがありました。私の学校の友達に私が良く男の子たちに告白されていると聞かされたからのようです。

確かに私も1人の女ですから、色恋に興味がないわけではありません。でも、それは決して学校の男の子に向けて持つものではありません。

茄子「もう、Pさん違いますよ!私はPさんを温泉旅行に誘おうと思ったんです!」

意を決してさっき言おうと思ったことを言います。
普通に会話している中で言うのはちょっと気恥ずかしいところがありますが、Pさんが暴走してしまう以上、そんな感情は排除されてしまいます。ロマンチックとかムードとか、そういうのとは本当に無縁でした。

幸運には自身がある私ですが、どうにもPさんにはそれが発動しないみたいです。
運良く私の気持ちに気づいてくれればいいのになぁと思ったりしますが、この2年間でそれは無理なんでしょうねと諦観の念ができつつありました。

P「え?俺を?」

茄子に言われたことに俺はハッと意識をこちらに呼びもどす。
あぁ、何だ良かった。どうやら茄子に彼氏ができたわけではないようだ。
うん、そうだよな。茄子はそんな破廉恥な子じゃないしな。

P「分かったよ茄子。どっかで日程を調整して一緒に行こうか」

俺がそういうと茄子はパァっと顔に花を咲かせる。温泉にいけることが嬉しいのだろうと思う。確かにあの温泉地は露天風呂から見える景色がとてもきれいだった。なんか今から俺も楽しみになってきた。

P「うんうん。確かに俺と行くならプロデューサーという肩書があるからスキャンダルになる心配も薄いしな。やっぱり茄子は頭良いなぁ」

茄子「ふふふ♪はぁ、本当にどうすればいいんでしょうか……」

P「ん?何か言ったか茄子?」

茄子「いいえ、なんにも!」

俺は茄子との旅行に備え、どこの日程が開いているか調整し始める。
うん。近いうちに取れそうだ。楽しみだなぁ温泉。

~~~

迎えた温泉旅行当日。
私とプロデューサーさんは件の温泉地にやってきていました。
幸運にも変なパパラッチに捕まることもなく、私たちはその温泉街を楽しんで行きました。
本当にこういうところでは幸運が働くんですけどね。

茄子「色々な露店があるんですねぇ」

P「だなぁ。前来た時も多い多いと思ってたけど」

茄子「そういえばPさんは前回誰とここに来たんですか?」

P「修学旅行だよ。まだ中学生の頃だったなぁ」

茄子「中学生のPさん……」

ふと頭に中学生のPさんを思い浮かべてみます。今のPさんをそのまま小さくしたらどうなるのかな?と考えて、すぐに結論に至りました。

茄子「Pさんって、昔誰かに鈍感!って怒られたことってありませんでした?」

P「おぉ!?良く分かったな茄子。なんかクラスの女子たちに言われたよ。なんだったんだろうなあれ。というかそれにしても良く分かったな茄子」

茄子「ふふ、女の勘です♪」

昔から変わっていないんですねPさん。
惚れた弱みもありますが、Pさんは本当に素敵な人です。上京して右も左もわからない私をアイドルに勧誘してきたときは、何だろうこの人と思いましたが、次第にこの人に会えたことが私にとって一番の幸運なのだと思いました。
きっと私に会う前にこの人に惚れた人はいるのでしょう。
そしてこの人の鈍感さに泣かされてきたのだろうなと思います。
私は、そうはなりたくないな、とふと思いました。

~~~

P「お、ここだな。お~、でかい旅館だな」

ついた旅館のロビーで荷物を下ろします。
流石のPさんでも私と同じ部屋にするようなことはせず、別々の部屋での宿泊の予定でしたが、何やらPさんがフロントの人と話しているのが目に着きました。

茄子「何かあったんですか?」

P「あー、すまん茄子。どうやらあちらさんの手違いで部屋が一つしか開いていないらしいんだ。どうするか。俺だけどっか別の旅館探しに行こうかな」

私はその時、珍しく幸運の神さまが力を貸してくれたのだと思いました。Pさんに対しては全く発動しなかった幸運。それが最高の場面でやってきてくれました。

茄子「私はPさんと同じ部屋でもいいですよ?」

P「そうか?ならそうするか」

茄子「へ?」

P「あー、じゃあ部屋一つでいいですわ。その代わりちょっとサービスしてくださいね」

「かしこまりました。本当に申し訳ありません」

あまりにも軽い返事に間抜けな声が漏れました。
私にとっては一世一代の大きな決断だったのに、Pさんはすんなり受け入れてしまいました。
もしかして、私は女として認識されてないんじゃないか、と、この時初めて不安が脳裏をよぎりました。

部屋に入ってもその不安がぬぐわれることはありませんでした。
でもどうにか顔には出さずにいます。

P「部屋に露天風呂ついてるなんてすごいなぁ。茄子~先に入るか?」

茄子「いえ、私はもう少しくつろいでから入るので、Pさんお先にどうぞ♪」

P「お、そうか?じゃあお先にいただくな~」

先にお風呂に入ったPさんを見て私は大きく呼吸を吸います。
こうなったからには最終手段です。かなり恥ずかしいですけど、神さまがくれたチャンスをみすみす逃すわけにはいかないと思いました。
もし見逃してしまったら、私は一生後悔すると思ったからです。

脱衣所で衣服を全て脱ぎ、バスタオルで身体を隠します。ドクンドクンと心臓がうるさく内側から私を叩いてきます。
自分に言い聞かせます。鈍感なプロデューサーを振り向かせるにはこれしかない。そしてそのチャンスは今日しかないのだと。

ガララと、露天風呂と言う名の戦場へ、足を踏み入れます。

茄子「失礼しますねPさん♪」

P「え!?か、茄子!??」

流石にPさんも慌てふためいてました。

P「す、すぐ上がるわ」

茄子「待ってください!」

すぐに逃げようとするPさんを呼びとめます。

茄子「少し、お話しませんか?」

~~~

今、俺は何故か茄子と同じ温泉につかっていた。
旅館に来てから何やら様子がおかしかったが、まさかこんなことになるなんて思いもよらなかった。
正直部屋が同じになる辺りで俺自身、かなり混乱していたが、そんな状態の俺でも茄子のおかしさはすぐに分かった。

そして俺のどうでもいい直感が言っている。これから茄子にされる話は多分とても大切な話なのだと。嫌がおうにもその内容が予想できてしまう。

俺は、耐えれるのだろうか。



茄子「Pさんは、私のことをどう思っているんですか?」

オブラートに包まず、私は一気に直球を投げつけます。
きっとPさんは下手な変化球を投げるとのらりくらりと交わしてしまうでしょう。だからもう直球勝負で挑むことを決めていました。

P「どうって。大切なアイドルだよ」

茄子「そういう意味じゃないって、わかりますよね?」

P「茄子、そういう話は」

茄子「不安なんです」

P「茄子……?」

私はポツポツと心境を吐露していきます。

茄子「Pさん、私たちが初めて会った時のこと憶えてますよね?」

P「……ああ」

茄子「私が珍しく運悪く財布を落とした時に、Pさんが拾ってくださった。まだ上京してきたばかりの頃だったので、失くしたらそれこそ大変なことでした。でも、Pさんに拾えて貰えて、本当に幸運でした」

P「茄子は本当に運が良いからな」

茄子「そしてあの後、いきなりアイドルやらないかなんて誘われましたよね。最初こそびっくりしちゃいましたけど、今思えばそれも運命だったのかなって思います」

運命。自分の口から出すなんて珍しい言葉だなと思いました。どこか急いでる感じがして、私は一呼吸入れます。

茄子「Pさん。私はPさんに出会えて本当に嬉しかったです。私を見つけてくれて、導いてくれて、そんなPさんのことが本当に大好きです」

P「……」

茄子「細かいところに気が効く癖に、大事なところで鈍感なところも全部好きです。もちろんアイドルとして駄目だってこともわかっています。でも本当に不安なんです。今日だって一緒の部屋になった時、Pさんはさも平然としてました。もしかして私は女として見られてないんじゃないかって思いました。だから、だから……」

心の内を吐き出していくうちに、私はようやく分かりました。
どうしてPさんにだけ、幸運が働かなかったのか。
それは、きっと神さまが自分の力で進めと言っているのだと感じました。運に頼るなって。運だけの女になるなって。
今回は何もできない弱い私を見かねた神さまが、少し後押ししてくれたんだと思いました。

だから全部出し切った時、私はどこかすっきりした気持ちになりました。
あとは、Pさんからの返答を待つだけでした。

~~~

P「俺も、1つ話をしていいか?」

茄子の想いを聞いて、俺も覚悟を固める。
分かっていた。こうなった時点で分かっていた。茄子の想いはわかっていた。
気づいたのはついさっきだった。
茄子の想いを聞くにだいぶ前からそういう想いを寄せてくれていたらしいが、ここまで気づかないあたり俺は本当に鈍感なんだろう。
ただ、女の子にこんなことさせて、俺は本当に駄目な奴だと思う。だから、そのために、俺の想いも全部吐き出そうと思う。

P「俺はさ、好きな人がいるんだ」

茄子の身体がビクンと跳ねる。
俺は構わず続ける。

P「その子は何時もニコニコしていて、周りのみんなを明るくして、たくさんの幸運を振りまいてくれる。俺はその子のことが本当に好きで、どうしようもなく愛おしいと思っている。でもさ、ずっといるうちに思ったんだよ。その子は俺なんかがひとり占めしちゃいけないって。その子は世界中のみんなを笑顔にできる力がある。だからその子は、絶対に俺なんかが手に入れちゃいけないんだって思ってるんだ」

ここまで言うと茄子の目から何かがこぼれ落ちていくのが見えた。それが汗か涙かなんて、考えるまでもなかった。

P「その子のことは本当に魅力的だと思ってる。現に、今こうしている間も精一杯我慢してるし、一緒の部屋になったときも内心大慌てだった。だからその子を女の子って見ていないなんて絶対にあり得ない」

暫くの沈黙の後、茄子がつぶやく。

茄子「良かった……、本当に嬉しいです……」

安堵の声を漏らす茄子に、さらに申し訳なさが募る。俺はいったいこれまでこの子をどれだけ傷つけてきていたのだろうか。
そしてそんな茄子をみて、幸運の女神などともてはやされている茄子とは違う、普通の女の子としての茄子を初めて見た気がした。

~~~

Pさんの言葉を聞いて、私は自然と涙が出てくるのを止めることはできませんでした。
期待していなかったわけじゃありませんでした。でも、今までのPさんを見ていて、両想いだったなんて本当に信じられませんでした。

茄子「ふふ♪」

そう思うと途端に嬉しくなって、私はギュッとPさんの腕に抱きつきました。うわっと驚くPさんの反応が楽しくて、もっと密着していきました。

P「ちょっ、茄子、当たってる!」

茄子「当ててるんです♪」

暫くPさんと密着していると、ボソっとPさんが言いました。

P「あー、でもな茄子。その、この旅行が終わって事務所に戻ればいつも通りのアイドルとプロデューサーだ。それは、わかるよな?」

Pさんの言いたいことは分かりました。アイドルとして活躍する私。そんな私に彼氏がいたとなると、世間が大慌てになります。
だから、Pさんと表だって交際をすることは絶対に叶いません。
でも、それなら。

茄子「でも、戻ってからってことは今日だけは恋人でいられるんですよね?」

そうだ。Pさんは旅行が終わって事務所に戻ればって言いました。だから今日だけは、恋人でいられるはずです。

P「ま、まぁ。そうだな」

照れくさそうに言うPさんがとても可愛く見えて、私は何故か無性に嬉しくなりました。

茄子「もう一度言いますねPさん。私Pさんのこと大好きです♪Pさんは私のことどう思ってますか?」
P「俺も茄子のことが大好きだよ」
茄子「ふふ♪はい♪」

そして次第にPさんとの距離が近づいていき、私たちの影が1つに重なりました。


数年後
長年のアイドル活動に終止符を打った私は、今もPさんの隣にいます。
後悔がないわけではありませんでした。アイドル活動はとても楽しいものでしたから。
でもそれ以上にPさんの隣にいられることが私にとっての一番の幸せで、きっとこれからも変わらないのだと思いました。

おーわり!!

あー疲れました!!


昨日の内に終わらせたかったのに、気がついたら日を跨いでしまいました。

明日早いのに哀しみ背負ってます。


流石にネタ切れしたからそろそろ連夜の投稿はなくなると思います。
茄子さんだけじゃなくて、他のアイドルを絡めて動かせる能力が欲しい。
自分のキャパでは限界近い。


因みに影が1つに重なったあとまぁ初夜みたいなシーンも入れようかなと思ったんだけど、多分ここにいる奴らは紳士だから妄想で補ってくれると思ってる。

ではまたみんな。どこかで会いましょう。

コメントくれた方々ありがとうございました!

最期に隠していたことを1つ。

実は俺、鷹富士茄子Pなんだ……

HTML化以来出しました。

イチャラブとかかける人本当に尊敬する

どっかシリアス混ぜた方が個人的には書きやすい

もうちょっと実力磨いて出直して来ます

ではまたノシ

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