美希「ハニーが極限状況で誰の名前を呼ぶか検証するの」(129)

全員「!!??」

突然の襲撃で右脳を損傷したので代行をお願いしたい

真「極限って……例えば?」

春香「崖から落ちそうとか?」

千早「火事で逃げられなかったり」

雪歩「埋まったり……?」

貴音「お腹いっぱいになってしまったり」

あずさ「道に迷ってしまったり」

律子「借金で首が回らなくなったり」

亜美「いっぱいありすぎてわかんないよ→」

響「ていうか、普通に生活してたらそんな状況にならないでしょ」

真美「甘いよ、ひびきん!」

やよい「どうするの~?」

伊織「まさか……」

春香「なってもらいましょう、そんな状況に!」

亜美「でもどーやって?」

真美「事務所に火を点けるとか?」

小鳥「だめに決まってます」

千早「じゃあビルの屋上から突き飛ばしてみるのはどうかしら」

美希「極限どころか名前も呼ばずに死んじゃうの」

雪歩「私が落とし穴を掘るのでそこに埋まってもらいます?」

春香「そこで手をうとうか」

響「ほ、本気か?」

真「まぁ、死ななければ大丈夫だよ」

響「そうかなあ」

律子「カメラとマイクおっけーよ」

亜美「なんかドキドキするね!」

真美「しーっ」

亜美「ここで喋ってもどうせ聞こえないっしょ」

春香「あっ、来たよ!」

美希「わくわくなの」

P(はー……すっかり寒くなってきたなぁ)

P(こんな日は雪歩の淹れてくれるお茶がほしいが)

P(確か今日は雪歩は仕事だ……残念)

P(まぁ、ぶつくさ)ズボッ

P「っ!? うわっ」

―――――――――

千早「ぶふー」

亜美「ナイス落ち方だったね→」

やよい「でも誰かの名前を呼ぶ暇もなかったよ~?」

春香「……」

美希「……」

極限P「どうして…我は、何が・・・どこから間違っていたのだ!」

伊織「こんなこったろうと思ったわ」

真美「ま、兄ちゃんの芸人みたいな落ち芸が見れたし」

千早「確かに見事だったわ」

真「ところで、プロデューサーを引き上げるのってどうするの?」

春香「えっ?」

律子「そりゃあ手とかロープとか……」

貴音「しかし律子嬢、問題が」

律子「?」

貴音「穴が深すぎてプロデューサーの姿を確認できません」

律子「!?」

真「あ、雪歩から返信きました」

あずさ「雪歩ちゃんはなんて?」

雪歩『地盤が緩かったからついついたくさん掘っちゃったんですぅ(>_<)200mは固いかも(緩いのに固いって変だけど)』

律子「200!?」

響「……そんな長いロープなんてあるの?」

亜美「……」

やよい「……」

春香「……」

美希「……」スヤスヤ

伊織「どーすんのよ、これ」

極限P「今の私に残った物は、絶望と言う名の孤独…」

P(うーん。受け身を取ったから無傷で済んだけど)

P(なんかちょっと見えるあの光……もしかしてあそこから落ちたのか?)

P(……携帯は圏外、か。無理もないな)

P(ちょっと登れないかな)グッ

P(おっと)ズルッ

P(地盤が緩いのか?柔らかすぎて足がかけられない)

P(……これは下手に動いて体力を消耗しない方が良いな)

P(座って策を練ろう)

時のオカリナ思い出した

春香「どどどどーしよう!?」

千早「ははは春香おおお落ち着いて」

やよい「千早さんこそ落ち着いてくださいぃ~」

真「だから止めようって言ったのに」

美希「今更そういうこと言うの?」

律子「あーもうこんな時に喧嘩しないの」

あずさ「どうしましょう」

伊織「まずアイツの安否を確認しなきゃでしょ」

亜美「携帯繋がらないよ~」

真美「どうしよう……」

小鳥「みんな落ち着いて!まずは現状を整理するわよ!」

春香「小鳥さん」

小鳥「まず、雪歩ちゃんが掘った穴の深さは推定200m」キュキュッ

小鳥「実際に測った訳じゃないみたいだけど、相当深い事は間違いないわね」

真「うん。姿は見えないし、呼んでも声返事がありませんでした」

律子「土は音を吸収するからね」

小鳥「次に穴の広さ。開口部とほぼ同じと考えて人一人が座れるけど横になれない程度」

響(雪歩はどうやって土を地上まで運んだんだ……謎過ぎるぞ)

小鳥「そしてプロデューサーさんが穴に落ちて既に1時間が経過、と」

小鳥「プロデューサーさん救出計画を立案できる人!」

真美「ロープを垂らすのは?」

伊織「厳しいわね、200mのロープは調達できなくもないけど、引っ張りあげられないわ」

真美「むむむ」

あずさ「ではせめて水や食料を下に送るのは?」

小鳥「それも手段のひとつですが、やはりプロデューサーさんの安否を確認したいですね」

伊織「飲み食いしなくてもすぐに死んだりはしないわよ」

亜美「死ん……」

伊織「あ、ごめ……」

千早「……」

貴音「……」

律子「さて、意気消沈してるところ悪いけど、竜宮小町は仕事よ」

真美「え、い、行くの?兄ちゃんまだ……」

律子「……仕事に穴は空けられないわ。亜美、伊織、あずささん!」

あずさ「は、はいっ」

やよい「行っちゃいましたぁ」

貴音「小鳥嬢、ここは多少無理をしてでも誰か1人、下に送るべきでは」

小鳥「……それはあたしも考えました……一番軽い子を1人、誰かって」

貴音「……ただ……」

小鳥「ええ、ただ、なんですよ」

真「どういうことですか?」

貴音「こういう事です、真。穴の底に降りて、いつ戻れるか分からないということ」

真「あ……」

貴音「そしてもう1つ」

響「……ね」

貴音「既にプロデューサーが逝去されていた場合、その者は1人で」

響「貴音!」

貴音「……言葉が過ぎたようです」

春香「……」

千早「……」

美希「……」

真美「……」

貴音「……」

やよい「……」

真「……」

響「……」

小鳥「……」


その頃

カメラマン「良いわよ、その表情!」カシャカシャ」

雪歩「えへへっですぅ」キラキラ

社長「うむうむ、輝いとるな!」

春香「……私が降ります!」

千早「春香……」

春香「私が降りて、プロデューサーさんの無事を確認します!」

美希「それならミキが行くの」

真「美希!起きてたの!?」

美希「元はと言えば、ミキがこんなバカな事を言い出したの!だから責任とるの」

やよい「そ、それなら私が行きます!私、一番ちっちゃいから……だから……」

真美「それなら真美だって」

小鳥「……みんな、行っちゃダメよ」

響「!?」

貴音「小鳥嬢……」

小鳥「社長もプロデューサーさんも律子さんもいない今、あたしが責任者です」

小鳥「責任者として、みすみす二次被害者を出すような真似はさせられません」

春香「でも、でも!もしプロデューサーさんが怪我してて、でもすぐ手当てできたら助かるかもしれないんですよ!」

小鳥「そうかもしれないけど、そうじゃないかもしれないでしょ」

小鳥「もしかしたら意外と無傷で昼寝してるかもしれないし」

真「それはないと思いますけど……」

小鳥「とにかく、ただ人を降ろすってのは認められません!」

伊織「ただいまっ!」バタン

やよい「! 伊織ちゃん……」

伊織「アイツは?どうなったの?」

真「……まだ……」

伊織「まだって何よ!まだって!あれからもう10時間以上経過してんのよ!」

真「痛っ……」

亜美「いおりんはやい~って……ちょ!」

貴音「落ち着きなさい、水瀬伊織」グイッ

伊織「~~!」

やよい「ごめんね、伊織ちゃ……ごめ……」

伊織「や、やよい……」

やよい「うっ……うぅ……」ポロッ

伊織「!」

やよい「わた、わたしたちがぁ、だめだから……ぷ、ぷろりゅーさーが……うぅぅ!」ポロポロ

雪歩「男殺したったwwwwww」

真「やよい……」ジワッ

響「やよいぃ~~」ポロッ

千早「……くっ」

春香「うぅ」

美希「~~」

真美「ひぐっ」

貴音「……」ツー

小鳥「あ、あたしだってぇ……」ブワッ

何故、警察とか消防庁でも…電話しない?

春香「プロデューサーさぁぁぁぁん!」

千早「……プロデューサー……プロデューサー……」

美希「はにぃぃぃぃ!いやなの~~うぅぅ」

真「ぷろでゅーさぁぁぁ」

真美「兄ぢゃぁぁぁん、死んじゃやだぁぁぁぁ」

やよい「うぇぇぇん」

響「……プロデューサー……」

小鳥「プロデューサーさん……良い人だったのに……」

伊織「何よ……アンタたち……アタシだって……うっ、プロデューサー……」

あずさ「プロデューサーさん……」

亜美「兄ちゃん……兄ちゃぁぁぁぁん」

律子「プロデューサー殿……うっ……」

P「ん?」

一同「!?」

雪歩「チッ…」

真「ぷ、ぷろりゅーさー?」

P「どうした真、せっかくの可愛い顔が台無しだぞ」

響「ひぐ、ぷろ、ぷろりゅーさー?」

P「なんだ響?ひどい顔してるじゃないか、ほらティッシュ」

やよい「ゆ、夢じゃ……」

P「はい、たっち。夢じゃないだろ?」

美希「はにー……」

P「ったく、プロデューサーだろ?」ナデナデ

小鳥「ぷ、プロデューサーさん、なんで、なんでここにいるんですか?」

P「音無さんまで……鼻水出てますよほら」

小鳥「もうっ、質問に答えてください!」

P「いやあ、斜め上に向かって土を掘ったら地上に出れました」

貴音「なんと」

律子「……呆れて言葉もありません」

P「そうは言うけど結構大変だったんだぞ?結局こんな時間かかっちゃったし」

律子「時間の問題じゃありませんよ……」

伊織「ちょっとアンタ!心配かけさせるんじゃないわよ!」

P「はは、悪い悪い」クシャッ

亜美「兄ちゃぁぁぁぁぁん」

真美「良かったよぉぉぉぅ」

P「うわっ、こら、汚いからくっつくなって」

千早「プロデューサーさん、ご無事で何よりです」

P「ああ、千早にも心配かけたか?」

千早「信じてましたから」

春香「うう、プロデューサーさん」

P「春香、お前には笑顔の方が似合うよ」

春香「……! はいっ」

検証内容:765プロのアイドルは極限状態で誰の名前を呼ぶか
実験結果:プロデューサー

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