向日葵「2人きりのときは『綾ちゃん』と呼ばせていただいていますわ」

櫻子「」

向日葵「これ、私の待ち受け画面ですわ。綾ち…杉浦先輩とのツーショットキスプリ」

櫻子「」

向日葵「嗚呼、愛しの杉浦先輩…///」

櫻子「」

向日葵「あ……杉浦先輩から電話ですわ。もしもし、綾ちゃん？」

綾乃『ごめんね向日葵さん、突然電話なんかして』

向日葵「いえいえ、お気になさらず。綾ちゃんからお電話いただけて嬉しくて胸が張り裂けそうですわ♪」

綾乃「は、張り裂けちゃったら困るわ…」

向日葵「電話越しとはいえこうして綾ちゃんの声を聞ける幸せ、私は鼓膜をフル稼働させて堪能していますわ」

綾乃「う、うん、そう……」

櫻子「」

綾乃「で、要件なんだけれど。来週のデートなんだけれど、日にちをずらせないかしら？その日、親戚が家に来ることになっちゃって…」

向日葵「お安い御用ですわ。綾ちゃんとデートができるというだけで私は幸せですもの」

綾乃「ごめんなさいね、迷惑かけちゃって」

向日葵「いえいえ、お気になさらずに。それではいつにずらします？」

櫻子「」

櫻子「…………帰る」

櫻子「…………ただいま」

花子「おかえりだし。……？どうしたし櫻子？」

櫻子「なんでもない」

花子「いつものうざったいくらいの元気はどうしたし？……大丈夫？」

櫻子「大丈夫。眠い。寝る。心配してくれてありがとう」ｽﾀｽﾀｽﾀ

花子「し！？」

花子「『心配してくれてありがとう』って、何か悪いものでも食ったし！？」

花子「……ってわけで、櫻子が変なんだし」

撫子「私もさっき見たけど、死んだ魚みたいな目をしていた」

花子「まあ、いつもうるさい櫻子が静かでちょうどいいくらいだし」

撫子「心配、なんだね」

花子「……うん」

撫子「部屋に閉じこもって出てこないし、ひとまず今はそっとしておこうか。夕飯食べないようだったら、そのときはまた声かけに行こう」

花子「……うん」

櫻子「ひっく、グスン。向日葵のバカ。アホ。おっぱい」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

櫻子「あんなおっぱいのこともう知らない。バカ、死んじゃえ、ヒック、ヒック」

撫子「櫻子、何してるの」

櫻子「姉ちゃん！？勝手に部屋入ってくんな！」

撫子「櫻子それ、缶ビール？冷蔵庫から勝手に取ったな……このバカ」

櫻子「うるさいうるさい！ほっといてよ！」

撫子「……はあ。ほっとけるわけないでしょこのバカ。何があった？話してみな」

撫子「……なるほどね。ひま子が学校の先輩と付き合い始めて、それで」

櫻子「ふん！別に、向日葵のことなんて最初からどうでもいいけどね！最初から大っ嫌いだし」

撫子「嘘。好きなんだよ、あんたはひま子のこと」

櫻子「好きじゃないもん！」

撫子「じゃあどうしてこんなに荒れてるの？酷い泣きっ面して、やけ酒なんか飲んで」

櫻子「それは……」

撫子「大切な人への想いが、行き場をなくして暴れてるんだ。まずはそれを……認めな」

櫻子「う…………うわあああああああん！」ﾌﾞﾜｯ

撫子「……櫻子」ｷﾞｭｯ

十分後

撫子「……泣き止んだ？」

櫻子「……うん」

撫子「そう」

櫻子「……あー、すっきりした。あはは、どうしよう、これ。お酒飲んだなんてバレたらお母さんとお父さんに叱られちゃう」

撫子「……」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

櫻子「え？」

撫子「私も飲んだ。これで同罪」

櫻子「……何それ。あははっ」ｸｽｯ

撫子「ふふっ」ｸｽｯ

翌朝

櫻子「……ねえちゃあん……むにゃむにゃ」

撫子「ん…………朝、か…………ッ！？」ｶﾞﾊﾞｯ

撫子「……待て待て、これは夢だ。これは夢だ」

櫻子「ん……ねえちゃん、そこ、らめぇ……」

撫子「櫻子と私がお互い裸で一緒のベッドに寝ているなんてありえない」

花子「昨日は撫子お姉ちゃんが『私に任せて』って言ってたけど、大丈夫かな？撫子お姉ちゃん、櫻子、もう朝遅いから早く起きるし」ｶﾞﾗｯ

撫子「！？」

花子「…………」

撫子「ま、待って！これはちがっ」

花子「…………バカ」ﾊﾞﾀﾝ

撫子「あっ……」

撫子「……待て、落ち着こう。落ち着こう落ち着こう落ち着こう。ああ、そういえば昨日はあいつと電話できなかったな。ていうかケータイ見てなかった。怒ってないかな、あはは」ﾊﾟｶｯ

『着信185件』

撫子「」

～♪

撫子「……電話きた。も、もしもし？」

彼女『全　部　知　っ　て　る　よ』

撫子「！？」

彼女『今まで黙っててごめんね。撫子のケータイ、盗聴機を仕込んでいるんだ』

撫子「え、ちょ、知ってるって、な、何をををををを……」

彼女『録音を聞いたのが少し遅かったせいで、間に合わなかったよ。私が録音を再生した頃には……もう撫子の体は櫻子ちゃんにけがされていた』

撫子「な、ちょ、え、あの、これは、その……」

彼女『電話じゃあれだから、会って話をしよう』

撫子「……はい」

彼女『学校、早く来てね』ﾋﾟｯ

撫子「……どうしてこうなった」

櫻子「ん……姉ちゃん、おはよう」

撫子「！？」

櫻子「昨日は、その……ありがと///」

撫子「」

櫻子「姉ちゃんが私の服を脱がせ始めたときはびっくりしたけど、でも、『愛してる』って言ってくれて嬉しかった。だから、その……姉ちゃんがまた『したい』んなら、させてあげても……いいよ///」

撫子「」

櫻子「その代わり、姉ちゃんは……私のこと、捨てないでね」

撫子「」

櫻子「……大好きだよ、撫子姉ちゃん」ｷﾞｭｯ

撫子「」

撫子「」

撫子「」

撫子(これは夢だ。夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ……)ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

撫子「でも……」

櫻子「～♪」ｷﾞｭｰｯ

撫子(そんなに悪い夢じゃ、ないのかも///……って、やっぱりマズい。非常にマズい。実の妹とこんな関係になるなんて！)