勇者「俺宿屋になるわ」(144)
勇者「戦士も魔法使いも死んじまったしなぁ・・・」
僧侶「・・・すみません、私の力不足で・・・」
勇者「いや、無茶して魔界の方に進みすぎた俺が悪いんだ」
勇者「それじゃ、達者で暮らせよ」
僧侶「・・・はい、またいつか」
勇者「つってもなぁ」
勇者「あいつと違って俺の方は顔も知れ渡ってるし、どこかの街で暮らすのは無理だよな・・・」
勇者「行く宛もねえし、とりあえず街道を進んできたが」
勇者「この先は確か小さな町が一個あるだけだったよな」
勇者「西に広がる深い森を抜けたら魔界、と」
勇者「いっそ単身魔界に潜ったほうが面白いんじゃないかこれ」
勇者「いやさすがにないか・・・今日は町で宿でもとって、明日またどうするか考えよう」
勇者「・・・ん?看板?」
勇者「倒れてキノコ生えてるけど看板だよな」
勇者「どれどれ・・町まで後どれくらいで・・・・・この先・・・km、右折・・・・」
勇者「掠れて読みづらいけど、右折?森に?」
勇者「ここから魔界まで森を横断すると近いですよってか?・・・あ」
勇者「石畳」
勇者「・・・森の中に、人為的に作られた道がある」
勇者「看板がある」
勇者「なるほどな、この先には過去に集落か何かがあったと。この深い森の中に、魔界に面した森の中に」
勇者「行くか」
勇者「暗すぎこわい」
勇者「苔と雑草に埋もれてるけど、やっぱりこれ作られた道だよな・・・」
勇者「高知能の魔物が作ったー・・・にしたら人間側と道が繋がってるのが訳わからんし」
勇者「やっぱり人が住んでる、いや当分人の往来が無さそうな道だし過去形だろうな」
勇者「食料は多そうだし、水さえ確保できれば外交が全く無くても森の中で生きていけるか?」
勇者「それにしても魔界に近いからいざ魔物が出ないとも限らんわけだし、わざわざ好き好んで住む理由は・・・」
勇者「あ、ついたっぽい」
勇者「どうみても廃村です本当にありがとうございました」
勇者「茅葺きの屋根、家の跡地、あの大きい家は村長の家か何かだろう」
勇者「もっと勉強しとけばいつ頃打ち捨てられたとか、どんな文化があったとか分かったんだろうが」
勇者「どれどれ・・状態が一番マシな家にお邪魔しまーす」
勇者「虫多すぎわろりん」
勇者「以外と中は腐ってないのな」
勇者「・・・そういえば俺、街に帰れなかったな」
勇者「動物はどうだろ、弓さえ作れりゃ狩れるか」
勇者「水はさっき音がしたから、小川か水源が近いはず」
勇者「道中でも見かけたけど薬草はある、なんなら魔法もあるから病気も怪我も大丈夫だ」
勇者「火も大丈夫だろ、魔法あるし」
勇者「あとはそうだな・・・俺が孤独に耐えれるかどうか」
勇者「ま、どっちにしろ街に帰っても孤独だしな、仲間を見捨てた勇者ってレッテルで。悪けりゃ牢獄もありえるし」
勇者「よし俺住むわ」
勇者「日くれてきたし・・・今日は何か作業もできそうにねえな」
勇者「飯くらいは何とかしたいもんだが、他の家もちょっと見て回って食料でも探すか」
勇者「ん、これ畑じゃね」
勇者「伸びすぎて分からんかったけどこれ芋かなんかの葉っぱだろ」
勇者「これはきた」
勇者「勇者はじゃがいもを手に入れた」
勇者「食べれるのかしらんけど、食べなきゃ死ぬし」
勇者「お?あっちの方は瓜っぽいのが生えてるな」
勇者「近所を回って塩を入手」
勇者「今日はもう暗いし晩飯は抜いて明日頑張ることにする」
勇者「いい朝だ」
勇者「とりあえずカボチャとジャガイモを食べたいと思う」
勇者「・・・茹でて塩のみ?」
勇者「贅沢言えねえか」
勇者「・・・固い・・・・・・・」モソモソ
勇者「くそ、ソースとは言わんが砂糖くらいはあっても良いと思ったんだがな」
勇者「というかこの塩もいずれ足りなくなるわけで」
勇者「まあ、そん時はそん時で今日も食料の確保だな、肉は食べたい」
勇者「弓作ったけど飛ばねえ」
勇者「ちくしょう、好戦的な動物なら斬り伏せてやるまでなんだが」
勇者「好戦的・・・・・・そうだ、畑があるなら猪が荒らしに来ていいはずなんだ・・・」
勇者「・・・そういえばやけに固い芋ばかりだと思ったが、柔らかいのは食い荒らされたのか?」
勇者「互換を研ぎ澄ませ俺、近くに居てもおかしくないはずだ」
勇者「しかし何も起こらなかった」
勇者「荒らされたとしても昨日今日の話なわけ無いか」
勇者「しかし鳥を剣で叩き落すのは不可能に近い事実」
勇者「・・・そうだ、足跡だ、足跡を探せばまだワンチャンあるぞ」
勇者「わかんねえ」
勇者「というか落ち葉と草と枝しかねえのに足跡とか馬鹿じゃねえの」
勇者「あー動物の臭いでも嗅ぎ分けれたらなー」
勇者「・・・ん?」
勇者「臭い・・・・・・そうか、糞が見つかればいい!」
勇者「それだけじゃない、マーキングでもいい、クマが樹木に付けた爪跡とかあるじゃないか」
勇者「よし、そうと決まればもう少し遠くを探して動物を・・・」
勇者「見つからないまま日が暮れてきた件」
勇者「現実はそう上手く行かない、自然界は人に厳しい」
勇者「そして今日も水を汲み芋とカボチャを茹で、塩で食べる」
勇者「はー、塩とかどうしようもない物は兎も角、肉くらいは自給自足してえなぁ」ゴロン
勇者「寝っ転がる床も改善してえなぁ、固いと寝返りが辛いぜ」
勇者「はー・・・・・・」
ガサガサ
勇者「・・・・!」
勇者(物音・・・そういや動物って結構夜行性だったな・・・)
勇者(・・・小枝がが折れる音、枯れ草と擦れる音)
勇者(これが大人しい動物なら出てった瞬間逃げられる、というか剣じゃ仕留めれないが)
勇者(猪や熊ならあるいは・・・)
勇者(よし、行くぞ・・・)
勇者(猪なら万々歳、鹿なら残念、さーて・・・・)
勇者「・・・・えっ」
ラミア「へ?」
勇者「爬虫類という選択肢は無かった」
勇者「いや待てよ、コイツはどう見ても魔物だろ?」
勇者「・・・・・」
勇者「斬るっ!」チャキッ
ラミア「えっ」
ラミア「ちょっちょっとストーップ!なんでそんなに殺気に溢れているの!?」
勇者「あ?魔物のくせに人語を喋りやがって、斬り辛いぜ」
ラミア「待ってやめて!私に敵意は無いわ!」
勇者「すまんが食料不足でな、上半身の人肉は道徳的に辛いが、下半身の蛇肉なら問題無い」
ラミア「食料・・・?あなたちょっとおかしな人?」
ラミア「そんなお腹減ってるなら、この先を抜ければ街はあるけど・・・」
勇者「うるせーな、俺は街には戻れないんだよ。つーかそっちは魔界・・・・」
勇者「魔界?」
ラミア「そうよ、あなたがこの森に迷い込んでしまっただけなら、出口はあっちよ」
勇者「ちげーよ、俺は昨日からこの村に住むことにしたんだよ・・・あれ」
勇者(そうか、魔物だから勇者の顔知らないのか)
ラミア「この村に住む・・・ってここ、何年も前に向こうの人間に捨てられた村よ?」
勇者(向こうの人間、ね。さしずめ魔界に帰化した奴らをコッチの人間とでも言うんだろうな)
勇者「俺さ、人間界での暮らしが息苦しくて1人ヒッソリ魔界に近い、誰も来ないところで暮らそうと思っただけなんだ」
勇者「それで調べたら廃村があるってんで、そこなら家とか残ってるだろうと思ってきたんだが・・・」
ラミア「ああ、あなた向こうの人間だったのね、でもここ、すぐそこに街道があって皆がたくさん来るからヒッソリとは行かないと思うわよ」
勇者「街道・・・?みんな・・・?」
ラミア「ほら、あそこよ下の方」
勇者(その後ラミア聞いた話をまとめると、ここは森の中でも少し高く、山になっているらしい)
勇者(そしてここより更に魔界側にし少し進むと高い山脈が連なっており、その山脈とこの山との間に魔物用の街道が通っているとか)
ラミア「で、その街と街との間が遠くてとても一晩で抜けられないのよね」
ラミア「だから街道を渡る人は、この村の跡地を宿場町代わりに使ってるんだけど・・・」
勇者「時間経ってそうな割に内装が綺麗なのはそれか」
ラミア「そうなのよね、それで私もそのつもりなんだけど、お邪魔になるのかしら?」
勇者「ん?いや、俺の方こそ勝手に占拠してすまんな」
勇者「ああ、一番綺麗な家がスウィートなのか?なら使ってくれ、俺は他の家にでも行くよ」
ラミア「あら、どうせ広いんだし気にしなくてもいいわよ。それよりお腹が減っているなら、多少は食べ物も分けてあげるわ」
勇者「・・・肉ある?」
ラミア「干し肉で良ければ」
勇者「先程は、剣を向けてすんませんっした!」
こんな感じでこれから段々発展していくみたいなので
ラミアに穴はないんだよな・・・ゴキュ・・・シクシク
>>38
あるよ
ラミアは尻尾でだいしゅきホールドしてくれるし、何ならこっちの後ろの穴をほじくってもらってもいいよ
勇者「やばい、干し肉ですら美味い」
ラミア「よっぽど食べてなかったのね・・・ところで」
ラミア「食料分けてもらったんだし、当然お礼はあるべきよね?」
勇者「お、俺を食べようってんじゃないだろうな爬虫類め、仮にもこっちは」
ラミア「そんな乱暴な意味での食べるじゃないわよ?」
勇者「へ?」
ラミア「私達は食べ物とは別に、人間の精液も必要なの」
スキップ可ですかねえ?
そう言うと、彼女はチロリと舌なめずりをしてにじり寄ってきた
瞳に獰猛な野生を垣間見てしまい、つい尻餅をついてしまった
立ち上がるにも力が入らない、蛇に睨まれた蛙ならぬラミアに睨まれた勇者
腰が抜けたまませめてもの抵抗に後ずさるが、彼女は俺の手首を掴み、そのままゆらりと全身で巻き付いてきた
人の姿をした上半身ですら蛇のように動いて見えるのは錯覚なのだろうか
鱗が肌に触れる、それは油で濡れているかのようになめらかな紛れも無い爬虫類のもので、少し嫌悪感が内心に渦巻いた
ちろり、首筋を舐められる。不本意ながら股間がぴくりと反応してしまった
獰猛な彼女は彼女はそれを見逃しはせず肌着越しに撫でられた時点で俺は抵抗を諦め、容赦なく海綿体に血流しはじめた
もうだめぽ
ラミア「ふふ、人間はみんな、最初は嫌そうな顔をするものよ」
勇者「・・・だろうな、だがこの爬虫類の肌には慣れそうにない」
ラミア「あら、それが良いって言う人もいるくらいなんだけど、それよりお口を開けて?」
勇者「あ?・・んんむ・・・・・」
ラミア「はむっ・・・ぷはぁ・・・・さーてそろそろ、頂いちゃおうかなぁ」クチュリ
勇者「は、初めてだから、やさしくしてね?」
ラミア「え、うん」ズプ
勇者「一回言ってみたかったん・・・うおお・・・・なんだこれええええ」
ラミア「人間とは比べ物にならないでしょ?・・・って初めてなんだっけ」
勇者「ああぁ・・・・」
ラミア「それじゃ、動くわよ・・・私はあんまり楽しませるのは上手じゃないから、ごめんね」
勇者「いっ・・・あぁ、ちょ、とまっ」
ラミア「耳もいただきまぁす」はむっ
勇者「・・・ぅ」ビクン
ラミア「あー耳も性感帯なタイプかな?それより、段々大きくなってきたけど、そろそろ出ちゃう?」
勇者「ご、ごめっ・・ひあっ・・・で、出るっ」
ラミア「じゃ、最後に強めに」キュッ
勇者「うああぁ・・・・・」ドピュッ・・・ビクンビクン
ラミア「んっ・・・ああ、なかなか上質かも・・・?」
よく考えたらもんむすの主人公ってあひあひ言ってばっかりで一人称僕なのばっかりだったからこういう奴すごい違和感
勇者「背景、天国の親父へ」
勇者「俺は昨夜大人になりました」
ラミア「・・・zzz」スヤスヤ
勇者「あ、朝っすよラミアさん」ユサユサ
勇者(やべえちょっと肩触るのにも意識しちゃうんだけど)
ラミア「ん・・・・そう・・・・・・・もうちょっと寝かせて・・・・」
ラミア「朝!?」
勇者「そうですが」
ラミア「しまった・・・勇者君より先に起きて朝立ち奇襲の予定が・・・」
勇者「・・・・・・いやマジ疲れてるんで朝一はちょっと」
ラミア「ところで何で敬語なの?」
勇者「え?・・・いや・・・・・・・何でだろ」
ラミア「まさか、昨日ので上下関係意識しちゃった?」
勇者「はっ・・・いやまさかそんなわけねーだろ!」
ラミア「ふふふ、私はそれでも構わないけれど」
勇者「うわーこれは自己嫌悪」
勇者(というか多分どっぷりハマりかけてるんだがこれ)
ラミア「それじゃ、私はもう向かわなきゃ」
勇者「ああ、旅の途中だっけ」
ラミア「旅ってほどでもないけどね、隣町へのお使いみたいなものよ」
ラミア「それよりさ、ここってそれなりに人が通るから」
ラミア「その時に備えてさ、家とか修理しといてくれると・・・よくここ使う身としては嬉しいかな、なんて」
勇者「言われなくてもそのつもりだが、なんたって住むんだからな」
ラミア「足りない食料とか、生活必需品もそういう人達から分けてもらえばいいよ、また美味しい思い出来るかもしれないしね?」
勇者「・・・・!」
ラミア「期待しちゃう?」
勇者「ばっかそんなんじゃねーしちげーし」
ラミア「あ、そうそう」
ラミア「帰りもまた寄るから、その時はよろしくね?」
勇者「そう言ってアイツは俺の心に複雑な期待を残して去っていった」
勇者「宿場町代わりねえ、集落って呼べるかギリギリのレベルのここが」
勇者「自家生産が絶対不可能で、尚且つ無ければ生きていけないものである塩」
勇者「それをこの環境下で手に入れるにはどうしたらいいか、ここは宿場町だ、ならば旅人から手に入れればいい」
勇者「旅人から塩を出させるには対価が必要であって・・・」
勇者「対価・・・ねえ」にへら
勇者「まあ、宿場として成立させる。つまり飯と寝床を用意する。そして塩、あわよくばそれ以上の食料を手に入れる」
勇者「本日勇者やめます、肩書き捨てます」
勇者「俺宿屋になるわ」
勇者「まずは一番マシな家の改修に取り掛かる」
勇者「この家は割とマシなので屋根に登っても大丈夫だと思われ」ズボッ
勇者「穴が開いた件」
勇者「先の屋根はとりあえず崩れた家の木材等でいい加減に補修」
勇者「雨漏りを来にして屋根の様子を見に行ったが、雨が漏れてるなら中が腐ってるはずである」
勇者「そのことに気がついたのは屋根に上るのが怖い自分への言い訳を模索しはじめてからというのは何とも皮肉な話だが」
勇者「大きな家の倉庫から竹箒を収穫したので、まずは塵と埃だらけの室内の掃除でもしようと思う」
勇者「ふいー、これで寝そべっても汚れはしない程度にはなったろ・・・・」
勇者「つーか昨日までよくこの環境下で平気だったな俺」
勇者「そういえば街道からここへ来るのって斜面を直に登ってくるんだっけか、大した高さじゃないけど」
勇者「・・・・・・階段、やりますか」
勇者「同倉庫からスコップを入手、これと廃屋の木材や、そこらの石で階段を作ることにする」
勇者「一段って確か20センチとかだろ、人間感覚で」
勇者「30段くらいか・・・作る必要あんのかな・・・」
勇者「いやそうだ、まずはここに宿がありますよって言う看板としてでも必要だ」
勇者「階段が完成した暁には最下段にこの上宿屋有とでも看板を立ててやろう」
勇者「3段で飽きた」
勇者「煉瓦でもあればな・・・・・・木造だらけのこの村には設備も材料もねえか」
勇者「雨、降りそうだな」
勇者「降るまではがんばろう」
勇者「案外雨漏りしないもんだな、俺の補修完璧」
ガラガラッ
勇者「うおっ」
旅人「むっ」
勇者「い、いらっしゃいませ?」
旅人「先客であったか、失礼いたすがこの雨で苦難しておる、同室よろしいか」
勇者「どうぞ」
旅人「かたじけない、よければ雨が止むまで何か話でも?」
勇者「あー・・・じゃあ俺から、俺この前からここに住んでるんすよ」
旅人「えっ」
勇者「かくかくしかじか」
旅人「そうであったか、では名実ともにここは勇者殿の家であるというわけだな、すまない」
勇者「いやいや、俺も先人の家を乗っ取っているだけだし」
旅人「ところで、下の方に階段が作られていたが、あれは勇者殿が?」
勇者「俺、ここで宿屋開こうと思って」
旅人「ほう」
勇者「それでまずは入り口でも・・・ってところで雨振ってきちゃって」
旅人「そうであったか、ならば拙者も何か手伝おう。何、宿屋なのだろう?泊まるなら代金を払うまでだ」
勇者「・・・おお」キラキラ
勇者(この人は所謂コッチ側の人間らしい、二世だとか)
勇者(女一人で全国各地を回っているというのだから、魔界は思っていたより治安が良いらしい)
旅人「雨、止みそうにないでござるな」
勇者「まあ、なんなら一晩泊まっていってくれれば、床は固いけど」
旅人「ならばお言葉に甘えて、少し眠らせていただこう」
勇者「・・・・・・俺は紳士なので華奢な体の女性が寝ていようと手は出さない」
勇者「気がついたら朝だった」
勇者「何も起きていないのは相手が人間だからだろう。これが魔物ならただでは済んでいまい」
勇者「いや俺的にはただで済まなくても結構なのだけど」
カコンカコン
勇者「あーこれは確実に何かしらの作業をしている音」
旅人「おお、お早いでござるな、勇者殿」
勇者「階段が完成しているー」
旅人「昨日話したが、拙者の村は林業と建築が盛んであっての」
旅人「小さい頃から培ってきた大工仕事で路銀を稼いできたのでござるよ」
勇者「マジかよ・・・路銀とか払えねえぞ・・・・」
旅人「いいんでござるよ、勇者殿の境遇に、少し絆されただけでじゃ」
勇者「?」
旅人「それより、他の家で一番丈夫そうな所を直さぬか?宿場というのに雨が通らない家屋は一つだけというのは心許ない」
勇者「お、おう!それじゃあコッチの家がたしか柱が全部垂直で強そうだったはず!」
勇者「そんなこんなで第二の家を改修することに。二階建ての少し大きめの家」
勇者「廃屋の木材をかき集め、近くの木を伐採して木材を切り出し」
勇者「二階の腐ったフローリングを張り替え、やはり茅葺きの屋根の穴を塞ぎ」
勇者「屋根が崩れ登ってた旅人さんが俺の上に落ちてきたりはせず」
勇者「塵と埃を掃除し、落ちてたボロ布をで窓を拭き」
勇者「そんな感じで真剣に掃除をしていたら、すっかり日が暮れていた」
勇者「旅人さんは今日も泊まってくの?」
旅人「そうでござるな、流石に日が暮れてから歩くのは無用心じゃ」
勇者「俺としては歓迎だけど、旅人さんの予定とかはどうなのさ」
旅人「拙者はアテも無くふらふらしているだけなのじゃ、いつまで居ても構わんのでござるよ」
勇者「村民・・・いや従業員?一人確保?」
旅人「はは、しかし食料の問題は解決しなければ、完全に輸入に頼るわけにもいかんのじゃろう?」
勇者「それなんだ、固い芋と味のしないカボチャも、栽培しなきゃ底を尽きるし・・・しても冬は限界がある」
旅人「ふむ・・・手伝おうにも、狩りは専門外じゃ」
旅人「何か穀物の栽培跡は無いので御座るか?」
勇者「穀物?」
旅人「この屋根はイネ科の原材料であろう?それをこれだけ大量となれば、どこか近くにそれだけ生産出来る場所が・・・」
勇者「そうか!雨はそれなりに降って水源もあり、やや寒いけど充分な平均気温!C3植物が育てられる!」
勇者「斜面に小さいながらも田園があって、稲作が行われていてもおかしくない!」
勇者「ありがとう!早速明日田んぼがが無いか探してみるよ!」
旅人「役に立てたようで何よりじゃ」
ちょっとマジ設定とか誤字とか口調とか見なおしてある程度書き溜めて土日に立てなおしちゃいけませんかね
寝落ちするまで書いて、スレもし残ってれば起きて用事終わったらすぐ書く
残ってなかったら土曜日夜10時くらい、無ければ日曜明け方から午前中に掛けて
それでも無ければそのうちSS速報に湧く
勇者「こうして翌朝水汲みついでに散策して田んぼを探すのであった」
勇者「旅人さんは相変わらず早寝早起きで、昨日の第二の家がまだ完成してないとかで弄ってた」
勇者「職人魂というやつなのだろうか、ありがたいけど」
勇者「田んぼか・・・よく考えたら文化が東方的なだけで、森の自体はシュヴァルツヴァルトもいいとこだからな・・・・・」
勇者「あるならムギとか・・・最悪無ければゼロから田起こしもしなきゃいけねーのかな、どうやるんだろ」
ガサガサ
勇者「!?」
鹿「・・・・・・」
勇者「うお、驚かせやがって・・・・・ん?」
勇者「食料なのでは?」
勇者「・・・」キラリ
鹿「・・・・・・」ジロリ
勇者「あん、こいつ逃げねーな、なんだ?」
勇者「魔物の類かもしれねーが・・・人語を喋らないなら容赦なく食えるぜ!」
鹿「・・・・」ザッザッ
勇者「ちょ、待てよ」ガサガサ
勇者「あれ、ちょっと木の影に隠れただけかと思ったら、もう居やしねえ」
勇者「なんだよマジで魔物かぁ?知恵があって戦いに来る奴は怖いんだよな」
勇者「あーマジで無い、そんな農耕跡地無い」
勇者「しっかしなぁ、わざわざ何の理由もなしに深い森の奥にに住みやしないんだよ、人は」
勇者「ましてやある程度の集団で、短期間であれど此処に住むに至ったわけで」
勇者「つまりは住める環境であったか、外部から補助を受けてまで人が住む価値があったか」
勇者「前者ならここ以外に住める環境がなかった必要がある」
勇者「もっと森の浅い所に作れば、人間界側の街道からここまで長い長い道を整備する必要も無かったわけだし」
勇者「そう、道がある、歩きやすい石畳の平な道がある。何のために?でこぼこした道は車輪が引っかかるから」
勇者「ああ、なるほど見えてきたよ、この村は大昔、何か重要なものを抱えてて、用が済んだか何かで打ち捨てられた、と」
勇者「ただいま」
旅人「お帰りでござる勇者殿、収穫は?」
勇者「無いよ、無いけどあった」
旅人「哲学的でござるな」
勇者「あんまり詳しく話して無かったけどさ、人間界の街道がこの森の外側にあって、そこからから分かれ道がこの村に続いてるんだよね」
勇者「もう殆ど草木に埋もれて見えないけど、俺はたまたま見つけてここに来たわけで」
勇者「で、道が妙に整備さてれるんだよ、ちゃんと石が敷いてあってさ、おかしいよね、道の先にこんな小さな村しか無いのに」
勇者「その村に住んでる少人数のために綺麗な道を作る価値があったってことなんだよ、馬車とか通りやすい道をさ」
旅人「ふむ・・・つまり食料は殆ど外部任せで、わざわざここまで来させる価値がここにあったと?」
勇者「そういうことなんだけど・・・何にも見つからないんだよなぁ」
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