向日葵「最近、櫻子の雰囲気が怖い…」 (39)

向日葵「いったいどうしたらいいのかしら………」ウルウル




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ちなつ「そういえばさ、櫻子ちゃんって背が伸びてから別人みたいになったよね」


あかり「うん、髪も伸ばして大人っぽくなったと思う」


ちなつ「背が高いとスタイルもよく見えるし憧れるなぁ…」


ちなつ「(結衣先輩のタイプはどうなんだろうな…)」


あかり「でも…あかりは最近少し心配かな」


ちなつ「何が?」


あかり「うん…向日葵ちゃんのことなんだけど…」

櫻子「あっ、あかりちゃんにちなつちゃん、こんなところで何してるの?」スラーーッ



あかり「櫻子ちゃん、あかりは今ちなつちゃんとお喋りしてたところだよぉ」


櫻子「ちなつちゃん、なに話してたの?」


あかり「(うぅ…目線を上にしないと櫻子ちゃんの顔を見て話せないよぉ)」


ちなつ「ええ、とくに大したことじゃ…」


ちなつ「(なんか見下ろされてる感が半端ない…仕方ないことなんだけど)」


櫻子「えへー、そうなんだ」

あかり「櫻子ちゃんって今身長どれくらい?」


櫻子「ええと170センチくらい…?あっ、それでさ今、向日葵探してるんだけど見なかった?」


ちなつ「向日葵ちゃんならさっき一人で生徒玄関を出るところを見たよ」


櫻子「そうなんだ…最近一緒に帰ろうとしても向日葵ってばすぐ先に帰っちゃうんだよね」


ちなつ「そ、そうなの?」


櫻子「うん…なんか私から避けてるようだし」

櫻子「今日なんてせっかく生徒会の仕事も休みだったのにさ」


ちなつ「そういえば最近、向日葵ちゃんの様子もちょっとおかしい気がする…」


あかり「あかりが向日葵ちゃんに話聞いておいてあげるよ」


櫻子「えっ本当?あかりちゃん助かる!」


あかり「最近ね…」


あかり「前に比べて櫻子ちゃんと向日葵ちゃんが一緒に居ることが少ないなぁって思って」


あかり「あかり少し心配だったんだぁ…」

櫻子「向日葵はどうして私の…」




京子「あかりー、ちなつちゃーん、部室行こうぜー」


櫻子「あっ、歳納先輩!」


あかり「あっ京子ちゃん」


ちなつ「結衣先輩~♥」


京子「おお、さくっちゃん、相変わらずでっかいなぁ!」


結衣「他の物の言いようがあるだろ。まあ私も大室さんにはいつの間にか身長越されちゃったしな」


櫻子「船見先輩に言われるとなんだか照れますって」テヘ


結衣「大室さんはいつ頃から身長伸びたんだっけ?」


櫻子「はい…中1の冬くらいから突然身長が伸びはじめて、」


櫻子「四月に測った時にはすでに170センチもありました。たぶんもう数センチ伸びたと思います」


結衣「原因は分かる?」


櫻子「それが自分でもなんで急に伸びたのか分からないんですよ」

京子「ううぅ、スタイルも良くて羨ましい。私にも身長分けてくれ」スリスリ


結衣「おいコラ、大室さんに何してる」


櫻子「チビって馬鹿にされることも、子どもっぽいって言われることもなくなったし…
良かったんですけどね…」







~次の日~

~休み時間~


向日葵「」ゴソゴソ


櫻子「なぁ向日葵、なんで昨日誘おうと思ったのに先帰っちゃうんだよ…」

向日葵「…」ビクッ


向日葵「あ…えっ…えっと急に用事ができまして…」


櫻子「そうなの?なんか最近いつもそうじゃん」


向日葵「そ、そうですかしら…わ、悪かったですわ…」モジモジ


櫻子「」ドタンッ


向日葵「ひゃっ」


櫻子「いい加減にしろよ…最近明らかに私のこと避けてるよな?」


向日葵「さっ、避けてなんていないですわ…」


櫻子「避けてるように見えるから言ってんだろ!」

向日葵「ご、ごめんなさいっ…」

スタスタスタ



櫻子「あっ、待てよ向日葵」


櫻子「…」


櫻子「(いったい私にどうしろって言うんだよ…)」

~放課後~


~生徒会室~


綾乃「あら…そうなの」


向日葵「すみませんが、今日は生徒会のほうを休ませていただきます…」


綾乃「分かったわ…」


向日葵「(さすがに今日櫻子と顔を合わせるのは気まずいですわ…)」し





~帰り道~

あかり「あっ、向日葵ちゃん今日は生徒会のお仕事ないの?」


向日葵「えぇ、事情があって休みましたわ。赤座さんはごらく部の活動は?」


あかり「今日は向日葵ちゃんに大事な話があって休んできたの!」


向日葵「え…?」

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あかり「櫻子ちゃんは向日葵ちゃんが最近避けてるみたいだって、少し悲しそうだったよ」


向日葵「えぇ、私もできれば櫻子と今までどおり仲良くしたいですわ…」




向日葵「でも…もう櫻子は私の中の櫻子ではないような気がして…」



あかり「そうかなぁ…」


あかり「あかりは、櫻子ちゃんは櫻子ちゃんだと思うよ」


向日葵「そうなのですけど…」

あかり「もしかして何かあったの?」


向日葵「たぶんあの日の出来事がきっかけで…」



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~3か月前~



~向日葵宅~


櫻子「もうだる~い、勉強飽きたぁ、おやつおやつぅ~」


向日葵「櫻子あんた図体ばかりデカくなって、内面はまだまだ子どもじゃないの」


櫻子「な、なんだよ、私の身長が伸びたことがそんなに気に入らないのかよ」


向日葵「そうですわ、私が付いてないと宿題も出来ないお子様ですのに」


櫻子「そっか、向日葵自分が身長丸っきり伸びないからって嫉妬してるんだぁ」


向日葵「櫻子みたいに図体だけデカくなっても何も役に立たないですわ」

 
櫻子「チッ、身長のことばっかり言うのいい加減にしろよ。頭きた」バサッ


向日葵「昔から威勢だけはいいですわね」


櫻子「短足おっぱい魔人のくせに!」


向日葵「なな、なんですって!」


向日葵「櫻子いい加減にしないと容赦しませんわよ」


櫻子「ははっ、今の私に喧嘩を挑んで勝てるかな」グイッ


向日葵「ぃっ…あなたよくもね……ぅぅっ」グイッ


櫻子「できるもんなら私の手ほどいてみろよ」


向日葵「(な、なんなのこの力…ビクともしない……)」グイッ


向日葵「(痛い…っ…痛いっ…)」グイッ


向日葵「(ここで負けを認めてたまるものですか…)」


向日葵「(でもやっぱり痛い…我慢できない…ぅうっ)」




向日葵「さ…櫻子、い、痛い…ですわ…」ウルウル


櫻子「あっ、ご…ごめん」


櫻子「そこまで力入れたつもりじゃ…」


向日葵「ヒック ヒック…」ポロポロ



櫻子「(やばい、どうしよ…泣かせちゃった…)」

ガチャッ


楓「あれ…お、お姉ちゃんどうしたの?」


櫻子「…」


楓「なんで泣いてるの?」


櫻子「ちょっと喧嘩しちゃってさ…」


楓「そ、そんなぁ…、お姉ちゃんたち喧嘩しちゃだめだよぉ」ポロポロ



櫻子「ごめん、向日葵悪かった…」ペコッ


向日葵「グス…グス」

楓「お姉ちゃんも、櫻子姉ちゃん謝ってるから仲直りしよ?」



向日葵「ぐすん…」


向日葵「えぇ、私も悪かったですわ。櫻子が傷つくようなこと言ってごめんなさい…」


櫻子「もしかして腕の痛みまだ残ってる…?ごめん…」


向日葵「いえ、大丈夫ですわ」



楓「これで仲直りだね?楓よかったぁ」

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あかり「そうだったんだ…」



向日葵「櫻子に腕を掴まれた時が、人生で一番怖い体験だったかもしれませんわ…」


向日葵「同時にあの日以来、櫻子の存在が遠く感じてしまって…」


向日葵「あの喧嘩のことを何度も思い返してみましたけど、もちろん櫻子だけを責めるつもりはなくて」


向日葵「むしろ私のほうが櫻子に対して傷付くような事を言ってしまったことを後悔してますわ…」



あかり「でもその後仲直りはしたんじゃ…」


向日葵「私と櫻子にとってはいつもの下らない喧嘩の一つに過ぎませんでしたわ」


向日葵「でも、それはもう変わってしまったの…」



あかり「(二人で言い合ってる見慣れた光景を見なくなっちゃったのも、そういうことだったんだ…)」



向日葵「現時点での私と櫻子の体力の差は歴然ですし…」


向日葵「あの時はまだ良かったものの、もし本気の喧嘩なんてしたら、私自身の身が…」





あかり「だからって…」


向日葵「えっ…」


あかり「だからって…それだと向日葵ちゃんも櫻子ちゃんもずっと辛い思いをしちゃうよ」

向日葵「私だって、今まで通り櫻子に近づこうと努力はしましたわ…」


向日葵「けど、どうしてもあの時の恐怖がよみがえってしまって」






あかり「櫻子ちゃんは、今すごく寂しそうだよ…」



向日葵「そ…それはないと思いますわ。背が高いことで、周りの子からはモテハヤされるようになったと思いますし…」


あかり「でも櫻子ちゃんはいつも向日葵ちゃんのほうを見つめてるよ…」


向日葵「そんなこと…」


あかり「向日葵ちゃんも櫻子ちゃんのほうを見つめてる」


あかり「だけど…お互いの目線が合いそうになると、二人とも察して目を逸らしちゃってる」


向日葵「っ……」

あかり「明日、櫻子ちゃんに謝りに行こうよ」


向日葵「で、でも…」


あかり「あかりも応援するから大丈夫だよ。それに…」


あかり「櫻子ちゃんは向日葵ちゃんを傷つけちゃったこと昨日まで後悔していたみたいだから…」




向日葵「えぇ、私も心に決めましたわ…」





~次の日~


~放課後~

向日葵「上手く話せるか、ドキドキしますわ…」


あかり「向日葵ちゃんファイト。あっ、櫻子ちゃん来たみたい…」


あかり「あかりは少し離れたところで待ってるよ…」






向日葵「こ、こうやってお互い顔を合わせるのは…なんだか久し振りですわね…」


櫻子「そ、それは向日葵が最近私から逃げてるから…じゃんかよ…」


向日葵「あっ……えっと、その、私……」


櫻子「もし言いたいことあるんだったら、正直に言ってほしい…どんなことでも受け止めるつもりだから」


向日葵「…」


向日葵「…」ワナワナ

向日葵「櫻子が……櫻子のことが………どうしても怖くて仕方がありませんの…」


櫻子「…」


向日葵「ごめんなさい…」


向日葵「こんなこと言うべきじゃ…」


櫻子「いいよ。もっと向日葵の気持ちを聞かせて…」


櫻子「今日は最後まで面と向かって話そうよ」

向日葵「…」


櫻子「どうしたんだよ…」


向日葵「…」ワナワナ



向日葵「何もかもが急に変わってしまった櫻子を、私は受け入れてあげられなかった………」


向日葵「今だって櫻子が他の子と話しているのを見ると、胸が苦しくなりますのに…」ウルウル



櫻子「向日葵…」ポー


櫻子「私だって、本当は向日葵のこと…」



向日葵「櫻子のことは嫌いじゃないですわ…」


向日葵「それだけは信じて…」ワナワナ

向日葵「(小さい時から一緒にいて)」



向日葵「(今更、櫻子のことが怖くて怯えてしまうなんて)」



向日葵「(どうかしてますわよね…)」



向日葵「(自分でも呆れますわ…)」





向日葵「(辛い…辛いですわ…もう元の関係には戻ることができないかもしれないなんて…)」





櫻子「…」


櫻子「向日葵!」ガシッ




向日葵「えっ…えっ…ひゃあっ、櫻子?」

櫻子「私の目だけを見て!」





向日葵「…エッ」


櫻子「じっと…見て…」



向日葵「…ウン」

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走馬灯のように
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…………今モチの話してない!………………
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記憶が駆け抜けていき、
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…………向日葵が生徒会に入るって言ったから…………
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私の悩みの種が徐々に薄れていくのを感じた
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………………大きくなったらひまちゃんを守ってあげるんだぁー……………
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向日葵「(そうでしたわ…)」



向日葵「(心も体も大きくなっていった櫻子に対して…)」



向日葵「(くだらない喧嘩でじゃれ合っていたあの頃のように、)」



向日葵「(お互い気軽に接することができなくなってしまって…)」



向日葵「(知らず知らずのうちに『怖い』って思ってしまったのですわ…)」


櫻子「今の私はこんなに変わっちゃったけどさ、」


櫻子「私の気持ちは今も昔もずっと変わらないよ」


櫻子「ずっと!」


櫻子「信じて…向日葵」





向日葵「櫻子…」



向日葵「ちょっとだけ…いいかしら」カシッ



櫻子「お、おい大丈夫か?向日葵目が虚ろになって…」


櫻子「えっ…///」グイッ





「んっ」




向日葵「こ、これしか思いつかなかったのですわ///」カァ


櫻子「私にも…同じことさせて///」


向日葵「えぇ…櫻子///」











あかり「あかりはもう帰ろうかな…」



あかり「でもよかった」ホッ









※エピローグ※


向日葵「私の腕をへし折りに掛かってきなさいよ」


櫻子「まったく…向日葵はまだ懲りてないのかって」グイ


向日葵「」サッ グイッ


櫻子「」ウウッ


向日葵「」ヒョイッ バシッ


向日葵「一本ですわ」


櫻子「はぁ、な、なんだよ今のは」イテテ

向日葵「護身術を磨いたのですわ、櫻子はいくら身長が高くなっても隙だらけだと気付きましたわ」


櫻子「己~、次こそ私が一発かましてやる!」


向日葵「どうぞ、かかって来なさい」


櫻子「体格的には私が有利なのだよ、こうやって上から押さえつけさえすれば…」


櫻子「っ…うぅ、このぉ」


向日葵「」エイヤッ


櫻子「」フワッ


ドゴッ

向日葵「どうです?さすがに参ったのですね」



櫻子「参ったどころか…い…息が…」クルシイ


向日葵「なっ、なんですって!?」ゾワッ



楓「お姉ちゃんの部屋からさっきすごい音がしたけど、何かあったの…?」ンン


向日葵「え…えぇ」アセ


楓「あっなんだか櫻子姉ちゃんが死にそうになってるよ…自分で転んだのかな?」


向日葵「た、たぶんそうですわ…」




櫻子「ちげーよ!」





おわり

みんなありがとうm(__)m

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