サイタマ「は? 海賊狩り? 世界政府の依頼で?」 ジェノス「はい」 (113)

――海軍本部

ブランニュー「ヒーロー協会とは! 世界最大規模の賞金稼ぎによる組織です!」

ブランニュー「世界一の大富豪であり悪ブラックドラム王国の国王でもあるワポル氏が2年前に設立」

ブランニュー「『ヒーロー』を名乗る賞金稼ぎを数多く抱えるこの組織は、当初はワポル財閥による支援で組織を維持していましたが」

ブランニュー「現在では既に構成員が稼いだ懸賞金と、寄付によって独自に採算がとれる組織にまで成長しています」

ブランニュー「協会に属するヒーロー達は、S級、A級、B級、C級に別れており、それぞれランク付けがなされていますが、特筆すべきはS級のメンバーです」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1388157220

ブランニュー「17位〝ぷりぷりプリズナー〟! 海兵に対する痴漢の罪でインペルダウンに収監中です」

ブランニュー「16位〝鬼サイボーグ〟ジェノス! 強力なサイボーグです」

ブランニュー「15位〝金属バット〟! 金属のバット一本で多くの海賊を葬ってきました」

ブランニュー「14位〝タンクトップマスター〟! 協会に入る以前から賞金稼ぎの組織〝タンクトッパーズ〟の頭として名をはせています」

ブランニュー「13位〝閃光の〟フラッシュ! その高速の動きは〝剃〟すらも上回ると伝え聞きます」

ブランニュー「12位〝番犬マン〟! 幻獣種『イヌイヌの実 モデル〝アヌビス〟』を食べた世界最強のイヌイヌの能力者!!」

ブランニュー「11位〝超合金〟クロビカリ!! 常に全身に強力な武装色を纏い続け、筋力のみで言えば協会最強とも噂される!」

ブランニュー「10位〝豚神〟!! 未だ謎多きヒーローですが、多くの海賊を食い殺した実績を持ち、死体確認担当の役人に嫌がられています」

ブランニュー「9位〝駆動騎士〟!! こちらも未だ謎多きヒーローですが、サイボーグではないかと推察されます」

ブランニュー「8位〝ゾンビマン〟不死身と言われ、どんなダメージを受けても回復する! 何の悪魔の実の能力者かは不明です」

ブランニュー「7位〝キング〟!! その強さは四皇に匹敵し、純粋な戦闘力だけならばヒーロー協会最強の人物です!」

ブランニュー「また、僅か3歳の時に海賊王とも渡り合ったという武勇伝を筆頭に、〝千両道化〟に勝る数々の華々しい経歴を持つ、まさに伝説を生きる男!!」

ブランニュー「6位〝メタルナイト〟ボフォイ!! かつてはベガパンクと並び政府に貢献した天才科学者でしたが、今は袂を別ち野に下っています」

ブランニュー「5位〝童帝〟!! 10歳でありながら天才的な頭脳を持ち、かつてはボフォイの助手として政府に勤めていましたが、同じく今は在野の賞金稼ぎに身を落としました」

ブランニュー「4位〝アトミック侍〟!! 世界政府非加盟国〝ワノ国〟の出身ですが、〝鷹の目〟と同じ師に師事し、修行したと言われています」

ブランニュー「3位〝シルバーファング〟バング!! 流水岩砕拳の達人で、その老年ながらその強さはキング、そして次に挙げるタツマキに次ぐとの話です」

ブランニュー「2位〝戦慄の〟タツマキ!! 超能力者であり、武装色を纏ったサイコキネシスはロギアをも捻り潰す脅威の女!!」

ブランニュー「そして、S級1位〝ブラスト〟……なのですが、彼については素性が伏せられており、ヒーロー協会にもほとんど関与しない為、サイファーポールの調査でも未だ実体は不明です」

ブランニュー「17位〝ぷりぷりプリズナー〟! 海兵に対する痴漢の罪でインペルダウンに収監中です」

ブランニュー「16位〝鬼サイボーグ〟ジェノス! 強力なサイボーグです」

ブランニュー「15位〝金属バット〟! 金属のバット一本で多くの海賊を葬ってきました」

ブランニュー「14位〝タンクトップマスター〟! 協会に入る以前から賞金稼ぎの組織〝タンクトッパーズ〟の頭として名をはせています」

ブランニュー「13位〝閃光の〟フラッシュ! その高速の動きは〝剃〟すらも上回ると伝え聞きます」

ブランニュー「12位〝番犬マン〟! 幻獣種『イヌイヌの実 モデル〝アヌビス〟』を食べた世界最強のイヌイヌの能力者!!」

ブランニュー「11位〝超合金〟クロビカリ!! 常に全身に強力な武装色を纏い続け、筋力のみで言えば協会最強とも噂される!」

ブランニュー「10位〝豚神〟!! 未だ謎多きヒーローですが、多くの海賊を食い殺した実績を持ち、死体確認担当の役人に嫌がられています」

ブランニュー「9位〝駆動騎士〟!! こちらも未だ謎多きヒーローですが、サイボーグではないかと推察されます」

ブランニュー「8位〝ゾンビマン〟不死身と言われ、どんなダメージを受けても回復する! 何の悪魔の実の能力者かは不明です」

ブランニュー「7位〝キング〟!! その強さは四皇に匹敵し、純粋な戦闘力だけならばヒーロー協会最強の人物です!」

ブランニュー「また、僅か3歳の時に海賊王とも渡り合ったという武勇伝を筆頭に、〝千両道化〟に勝る数々の華々しい経歴を持つ、まさに伝説を生きる男!!」

ブランニュー「6位〝メタルナイト〟ボフォイ!! かつてはベガパンクと並び政府に貢献した天才科学者でしたが、今は袂を別ち野に下っています」

ブランニュー「5位〝童帝〟!! 10歳でありながら天才的な頭脳を持ち、かつてはボフォイの助手として政府に勤めていましたが、同じく今は在野の賞金稼ぎに身を落としました」

ブランニュー「4位〝アトミック侍〟!! 世界政府非加盟国〝ワノ国〟の出身ですが、〝鷹の目〟と同じ師に師事し、修行したと言われています」

ブランニュー「3位〝シルバーファング〟バング!! 流水岩砕拳の達人で、その老年ながらその強さはキング、そして次に挙げるタツマキに次ぐとの話です」

ブランニュー「2位〝戦慄の〟タツマキ!! 超能力者であり、武装色を纏ったサイコキネシスはロギアをも捻り潰す脅威の女!!」

ブランニュー「そして、S級1位〝ブラスト〟……なのですが、彼については素性が伏せられており、ヒーロー協会にもほとんど関与しない為、サイファーポールの調査でも未だ実体は不明です」

ブランニュー「以上! いずれもひけをとらない強者達! 大半が七武海クラスかそれ以上の戦闘力を持っていると思われます」

ドーベルマン「……そんな連中がなぜ海軍ではなく民間の組織などに」

ブランニュー「一つには自由度の違いかと。ヒーロー協会の拘束は緩く、特にS級ヒーロー達は基本的にめいめい勝手に活動しています」

ブランニュー「組織による拘束を嫌う猛者達にとっては居心地の良い組織なのでしょう」

オニグモ「嘆かわしいな……規律あってこその正義だというに」

ブランニュー「所詮は正義を気取る賞金稼ぎの集団です。が、その戦力や規模は到底無視できるものではなくなっています」

ブランニュー「しかし、ワポル氏は多額の天上金を献上することで天竜人と強いコネクションを持ち」

ブランニュー「また、氏にしか供給できないワポメタルを海軍の新兵器に導入しているため、政府もおいそれとヒーロー協会に手は出せません」

ブランニュー「とはいえ、ヒーロー達の協調性の無さを考慮すると、組織だって何か企てることは困難でしょうし、また現在の海軍の状況を考えれば彼らが海賊を狩ってくれるのはそう悪い話ではありません」

ブランニュー「現在我々が注視すべきはむしろ海賊の方でしょう。黒ひげは着々と縄張りを広げており、他の四皇との小競り合いが絶えません」

ブランニュー「カイドウも軍備増強に邁進しているという情報もあり、大将が2人欠けた我々海軍にとっては、この新世界の不安定化にどう対応するかこそが最優先課題であると言えます」

ブランニュー「それに関連して、最近の黒ひげ海賊団加入者についてですが……」

――――――
――――
――

――海軍第357支部管轄地域 海岸

海賊「おら、これが今月の分だ。収めてくれ」

ネズミ「チチチチチ……君は実に世渡りが上手いな」

海賊「へっへっへ。俺がこの辺の島民共から金を搾り取り、アンタがそれを隠蔽する」

ネズミ「チチチチ、今後ともよろしく頼むよ。お互い儲けようじゃないか」

ネズミ(アーロンの件に対処できなかったとしてこんな東の海の果てに左遷されてしまったが……)

ネズミ(アーロンの奴と共犯関係にあったことは運良くバレずに済んだ。なァに場所が変わろうとも儲ける方法はいくらでもある)

ネズミ(このまま存分にたんまり蓄えて、いずれは本部の佐官にまで登り詰めてやる……チチチチチ)

ザバァァァッ

ネズミ「ん?」

バチャバチャッ

「ほお、ここが地上というものか。存外住みやすそうだな」

海賊「な、なんだコイツはァ?」

ネズミ「魚人……?」

海人族「グハハハハハ! 聞くがよい人間共よ! 我々は深海魚人族!! 略して海人族だ!!」

海人族「この地上は深海王様が支配することとなった! 大人しく我々にこの地を明け渡すのだ!!」

ネズミ「……何を言っとるんだこの魚人は」

海賊「魚人族か。初めてみるが思った以上に気持ち悪い外見だな。何個目玉あんだよ」

海人族「あァ……? 何だ人間。我々海人族に逆らおうというのか?」

海賊「ふん。魚類が生意気を……この俺様を誰だか分かって物を言っているのか?」

レフト「俺様は懸賞金300万ベリー! 〝左利きの〟レフト様だ!!」

レフト「分かったらさっさとここからああぎゃあああああああ」グシャアッ

海人族「……下等生物が」

ネズミ「ひ、ひいいいいいいいいい!!」

ネズミ「や、やめろ! そ、そうだ! 私はあのアーロンとも知り合いなのだぞ!」

ネズミ「わ、私に指一本でも触れればアーロンが黙って……」

海人族「アーロン? 誰それ」

グシャッ

――新世界 海軍本部

サカズキ「……あァ? 東の海で魚人が暴れちょるじゃとォ?」

ブランニュー「はっ! 既にいくつもの支部・加盟国が被害にあっているとのことです!!」

サカズキ「……こっちはいま黒ひげやカイドウへの警戒で人手が足らんちゅうに。面倒じゃのォ」

ブランニュー「実は、問題がございまして……」

サカズキ「問題?」

ブランニュー「世界貴族ジャルマック聖が現在ゴア王国を訪問中で……このままですとジャルマック聖の身にも危険が……」

サカズキ「……ますます面倒な。大将がボルサリーノしかおらん今、天竜人に万が一のことでもあればそれこそ最悪じゃのォ」

サカズキ「やむを得ん。中将を行かせる」

ブランニュー「中将を!? しかし、今はどこも人手が足らず……」

サカズキ「天竜人が怪我でもして大将を派遣せざるを得なくなるよりはマシじゃろうがァ。何とかして捻出する」

――東の海
――第77支部 管轄地

プリンプリン「グッハァ!」ズサーッ

海兵「ぷ、プリンプリン准将ー!?」

プリンプリン「う、うぐう」

海人族「ふん、人間とは雑魚ばかりだな」

海人族「この調子なら地上制圧もそう遠くあるまい……くたばれ、愚かな人間よ!」グアッ

プリンプリン「!!」

深海王「ふう、食事をしていたら少し部下と離れてしまったわね」

深海王「まあ、部下がみーんな片付けてくれるから私は働かなくても良いんだけれど」

深海王「さぁて、この町ももう制圧できてるかしら……?」



ドンッ!!

海人族達「」



深海王「な、なによこれ……部下たちが、全滅してる!?」

海人族「……し、深海王、様」

グシャッ

海人族「ぐぴっ」ベチャッ

深海王「!!」

「よォ、お前がこいつらの親玉か?」

深海王「……なに、お前は?」

メイナード「俺は海軍本部中将、〝追撃の〟メイナード」ドンッ

プリンプリン「お、おお! メイナード中将!」

海兵「め、メイナード中将!? 最近中将に昇進したというあの!?」

プリンプリン「そ、そうだ……二つ名の通り向かってくる敵に対してはそうでもない」

プリンプリン「が、撤退する敵を追撃することにかけては無類の強さを誇る!!」

プリンプリン「あの〝白猟の〟スモーカー中将とも並び称される新進気鋭の若手中将だ!!」

海兵「うおお! そんな中将が来てくれたのか!! これでもう安心ですね!!」

深海王「……海軍中将だか何だか知らないけど、よくも私の可愛い部下たちを殺してくれたわね」

メイナード「あァ、つーことはやっぱりお前がこの雑魚共の親玉ってわけか」

深海王「雑魚?」ピクッ

メイナード「悪いが俺は相手が弱ければ弱いほど実力を発揮できるんでね」

メイナード「雑魚だからこそ手加減はできねェぞ」ドンッ





メイナード「」

深海王「効いたわ、少しね」ドンッ!!

プリンプリン「あ、あわわ」

――聖地マリージョア
――五老星執務室

1老「メイナードがやられたか……」

2老「下位とはいえ中将を倒す程の強さとはな」

3老「魚人族ということでリュウグウ王国のネプチューン王に確認をとったところ、どうやら魚人島が確認していない種類の魚人族らしい」

3老「ネプチューン王が『魚から聞いた噂』での情報では、東の海の深海にリュウグウ王国とは別に魚人族が住まう島があるらしい」

3老「当然、リュウグウ王国とは交流は無かった為、王国も存在を信じてはいなかったそうだが……どうやら下手人の正体はその東の海深海の魚人族のようだな」

3老「厄介なのは報告を聞いたジャルマック聖が大将黄猿の出動を求め、それが叶わぬと知るやヒーロー協会なぞに救援要請をしたことだ」

4老「何たること……世界政府の面目は丸潰れではないか」

5老「だがそう悪いことでもあるまい。実際海軍は現在東の海どころの騒ぎではないのだ」

1老「たしかに。ヒーロー協会の戦力を利用してやると考えることも出来る」

2老「ヒーロー協会としてもこちらに恩を売っておきたいだろうし、政府との繋がりは奴らにとっての命綱でもある」

2老「政府が依頼したとは漏らしはすまい」

3老「代わりに名誉をくれてやる、か……なるほどな」

4老「となれば、正式に我らから協会へ伝達すべきだろう。圧力を加えつつな」

――ヒーロー協会

偉い人1「政府から正式に東の海で暴れている魚人への対処の要請があった」

偉い人1「これはチャンスだ! ワポル氏の尽力で我らは天竜人の支持を取り付け、ある程度の活動の自由を得ている」

偉い人1「しかし、政府や海軍は未だに我らヒーロー協会のことを快く思ってはいない」

偉い人1「そしてまた、ヒーローの中には、叩けば埃が出る問題児が少なからずいるのも事実」

偉い人1「この件で政府に貸しを作ることで、協会存続の担保となるだろう」

偉い人2「問題は誰を向かわせるか、だが……」

偉い人3「海軍中将がやられたという話だ。となれば、S級を行かせるべきですな」

偉い人4「まず、ブラストとメタルナイトはいつも通り連絡がつかない。キングも珍しく未だ連絡に応じていない」

偉い人4「タツマキ、シルバーファング、アトミック侍、駆動騎士、閃光のフラッシュは新世界にいる」

偉い人4「童帝は塾、ゾンビマンは別件の調査、豚神はワポル氏との定例会食」

偉い人4「クロビカリはランニング、金属バットは妹さんのお誕生日会、タンクトップマスターは飲み会とかで、各々すぐに東の海に駆けつけられる場所にいない」

偉い人5「番犬マンは出身国周辺から動かないしな……ぷりぷりプリズナーはどうなんだ?」

偉い人4「レベル5からの脱獄を試みてマゼラン副署長に半殺しにされ、今はレベル6に収監中だそうだ」

偉い人2「となると必然的にジェノス君に頼むことになるな」

偉い人1「好都合なことに彼は東の海ローグタウンに観光に行っているという。この件はジェノス君に一任しよう」

偉い人1「なに、S級ヒーローならば魚人など造作もあるまい」

――東の海
――ローグタウン

サイタマ「はー、ここがローグタウンか……特に何てことないな」

キング「早くホテルに帰ってゲームしようぜ、サイタマ氏。いつまでも処刑台なんて眺めたくねぇよ」

キング「というか、そもそも何でこんなところに旅行しようと思ったの?」

サイタマ「いや、なんかジェノスが『海賊王が生まれ、そして死んだ場所に行けば何か得るものがあるかもしれません』とか言って無理矢理連れてこられたんだよ」

キング「そんなふわっとした目的の旅行だったんだ」

サイタマ「まー旅行なんてそんなもんじゃね?」

サイタマ「……つーかジェノス遅ぇな。いつまで電話してんだ」

ジェノス「遅くなりました、先生」

キング「俺は?」

サイタマ「お、戻ったか。誰からの電伝虫だったんだ?」

ジェノス「ヒーロー協会からです」

サイタマ「ヒーロー協会?」

ジェノス「どうやらゴア王国近郊に魚人の海賊団が出現したらしく、それの退治を頼まれました」

ジェノス「申し訳ありませんが、俺はそいつらを倒しにいかなければなりません」

サイタマ「ふーん、協会がS級のお前に直接ってことはよっぽどの敵なんだな」

ジェノス「東の海にいるS級ヒーローが俺だけのようで」

キング「あれ? 俺は? いや別に良いんだけど」

サイタマ「そういや、お前もS級じゃん。何で連絡ないんだ?」

キング「そうだ、この間サイタマ氏がふざけて俺の電伝虫を野性に返しちゃったからじゃんか」

サイタマ「……あ、あれか。え、まだ新しいの買ってなかったのか?」

キング「……滅多にかかってこないし」

サイタマ「…………ああー」

ジェノス「そんなことよりも、魚人海賊団の動きが気になります」

ジェノス「すみませんが、観光はお2人で楽しんでください」

サイタマ「待てよ。俺達もいくぜ」

キング「え?」

ジェノス「良いのですか? 先生」

サイタマ「協会がS級に出動要請するほど強いってんなら俺も行った方が良いだろう」

サイタマ「それに、観光にも飽きてたしな」

今日はここまでで。多分明日の夕方くらいにまた来ると思います

今更だけどワンパンマンの時系列っつーか出来事の順序をかなり変えてます
あと、この間載ったヤンジャンの読み切りを読んで入ったにわかなんでミスがあるかも

ジェノス「では、先生。申し訳ありませんが俺は先に行きます」

ジェノス「万が一の時の為に持ってきていた、このクセーノ博士最新作1人用ジェットダイヤル船で」

サイタマ「ああ、俺達はこの(キングが買った)小舟で行くから」

キング「マジかよ、おい……まあサイタマ氏が一緒なら海獣に襲われても安心だけど」

――ゴア王国
――シェルター平民用エリア

平民1「……一体これからどうなるんだ」

平民2「な、なに。このシェルターが破られることなんてないって」

平民3「……貴族用エリアや中央エリアはそうだろうが、ここはそんなに安心できるような場所じゃないだろ」

平民1「ともかく、ヒーローの到着を待つしかないか……」

平民3「ヒーローって言ってもな……『平和の海』である東の海にはC級までしかヒーローはいないだろ」

平民3「海軍中将がやられたなんて噂も聞いたぞ……ヒーローが来たところでどれだけ役に立つか……」

――シェルター 中央エリア

ジャルマック聖「本当にこのシェルターは安心なのだろうな?」

ゴア王国国王「は、ご安心くださいジャルマック聖。このシェルターは3重構造になっておりまして」

国王「最も外側の空間は平民用エリア、中間の空間は貴族用エリア」

国王「そして今、ジャルマック聖がおわしますこの空間はシェルター中心の中央エリアでございます」

国王「しかも、平民用エリアと貴族用エリアの間の壁の厚さは外殻の壁の2倍」

国王「貴族用エリアとここ中央エリアの間の壁の厚さはさらにその2倍となっております!」

国王「さらに、万が一外殻が破られた場合でも、平民達が肉の壁として機能する為、単純な壁の厚み以上の強固さを誇るのです」

国王「中央エリアのジャルマック聖にまで危害が及ぶことは絶対にありえませんのでどうぞごゆるりと救援をお待ち下さい」

ジャルマック「うむ、それを聞いて安心したえ」

ジャルマック「後は役立たずの海軍の代わりにヒーローが駆けつけるのを……ん?」

パラパラパラッ

国王「……? 天井から、埃が……」



ドガンッ

国王「げぴゅっ」グチャッ




深海王「あらぁ、人間の気配がすると思ってきてみれば……大勢いるのはもう少し外側だったみたいね」

ジャルマック「あ……あががが……」バタッ

衛兵「じゃ、ジャルマック聖いいいい!! ジャルマック聖が気絶なされたああああ!!」

衛兵「おのれ魚類めが!! ジャルマック聖を驚かせるなど何たる不届きな!」

深海王「うるさい人間ねえ……そうだ、お前を殺すついでに一端外に出ましょうか」ググッ

衛兵「……!? なんだその体勢は! タックルでもするというのか!? 舐めるプギョッ」ドゴッ!

バッゴーンッ

貴族「うわあああああ!!」

平民「な、なんだ!? 中央から何か飛んできた!?」

平民2「か、壁に、穴が……」


衛兵「」



深海王「ふー、これでここにいる全ての人間が見渡せるわね」

深海王「さて……皆殺しに移りましょうか」ドンッ!!

衛兵2「じゃ、ジャルマック聖を守れー!!」

衛兵達「うおおおおおおお!!」ドドドドドッ

深海王「ジャマ」ベシッ

衛兵達「ぎゃあああああああ」ドサドサドサッ



貴族「……て、天竜人の衛兵が」

平民「全滅した……ああ、もうダメだ……」



深海王「なあに? 覚悟は出来たわけ?」

深海王「出来るだけ大きな断末魔をあげて、私を楽しませる覚悟が」



深海王「!?」ゴッ

ドサーッ

貴族「え!?」

平民「あ……ぎょ、魚人が吹っ飛ばされた!? 一体、なにが……」

ジェノス「敵は、今ので最後なのか?」ドンッ

貴族「……〝鬼サイボーグ〟ジェノス!!?」

平民「な、なんでS級ヒーローがここへ!?」

平民2「そ、そんなことはどうでも良い……助かったんだ!!」

ウオオオオオオオッ
ジェノスウウウウウッ!!
ワアアアアアアアアッ

ジェノス(……余程の危機だったようだな)

ゴキャッ

ジェノス「!?」ドゴッ

深海王「キレたわ。グチャグチャにしてあげる」ドンッ

ジェノス「また油断……俺も学習が下手だな」

ジャルマック「……ん、んん?」

ジャルマック「私は一体……なぜこんなところで寝ているんだえ」

アッホ・デスネン9世「あ! お、お気づきになられましたかジャルマック聖!!」

ジャルマック「……んん? そうか、私は気絶して……わ、私の衛兵はどこだえ!!」

アッホ・ズラコ「え、衛兵の方々は……魚人に立ち向かって、その……全滅しました」

ジャルマック「全滅ゥッ!?」

ズラコの赤ん坊「……ギャアアアアア!!」

ジャルマック「……ぬうううう!? うるさいえ!! とっととその赤ん坊を黙らせるえ!!」

ズラコ「ひっ! す、すぐに!!」

ズラコ「……おーよしよし……良い子だから、泣かないで……」

赤ん坊「……グスッ……グスッ」

アウトルック3世「し、しかし現在あのS級ヒーロージェノスが駆けつけて戦ってくれ……」

ジャルマック「おのれ魚類ィ!! よくも私の衛兵をおおお!!」

ジャルマック「衛兵がいなくなったら誰が私を守るんだえ!!」ガシッ

ズラコ「え!?」

赤ん坊「オギャアアア!! オギャアアア!!」

デスネン「な!? じゃ、ジャルマック聖!! 赤子になにを!!」

ジャルマック「このうるさいガキでも……食らえ!!」ブンッ

ズラコ「……い、いやああああああ!!」

デスネン「うわあああああああ!!」

ジェノス「!?」

深海王「んん? 何か飛んできたわね」

深海王「溶けてなさい」ブピュゥ

ジェノス「な!?」ダッ

ガバッ

ジュゥゥゥゥッ

ジェノス「……ッ」ジュゥゥゥッ

赤ん坊「オギャアアアア!! オギャアアアア!!」

ジェノス「……この子を頼む」スッ

平民「え!? は、はい!」ダッ

ジェノス「……」ガシャンッ



バグオッ!!

ジェノス「……ッ」

深海王「あなた1人ならあんな溶解液をかわすくらい簡単だったでしょうね」

深海王「まさかガキをかばって自滅するなんて私も考えつかなかったわ」

深海王「あなたバカだけど私に軽傷を負わせたことは高く評価するわ。もう治ったけどね」

深海王「……死ね」



「ジャスティスクラッシュ!!」バッ

ガシャンッ

無免ライダー「正義の自転車乗り! 無免ライダー参上!!!」

風呂入ってきます
何とか今日中に終わらせられそうだ

サイタマ「お、そろそろゴア王国につきそうだな」

サイタマ「いくらエターナルポースを買ったっつっても俺たちだけで行けるか不安だったんだが、やれば出来るもんだ」

キング「いや、確かにドーン島は見えてきたけど、まだまだ遠いでしょ、サイタマ氏。到着まで結構かかるよ」

サイタマ「じゃ、俺ちょっと先に行くからあと頼むわ」スッ

サイタマ「ジェノスがいれば大丈夫だとは思うけど」ググッ

キング「は?」

サイタマ「ほいっと」ダンッ

ヒューーーーーーーーーーーーーーーッン!!

スタッ

サイタマ「よし、ゴア王国到着」



キング「……ええー」

――ドーン島近海
――オニグモ艦、ドーベルマン艦の艦上

オニグモ「よし、そろそろドーン島へ砲撃が可能なところまで近づいたな」

ドーベルマン(電伝虫)『ああ、では手筈を確認しておこう』

ドーベルマン『まず、そちらに積んである〝H2Sガス〟を搭載した砲弾を、現在敵がいると確認されたシェルターに向かって撃つ』

オニグモ「現地の海兵が確認したところでは、外殻は破れているようだが、あの国のシェルターならば中央にいる天竜人にまでガスが及ぶことは無い」

ドーベルマン『敵がガスによって衰弱したところを我々が叩く。避難民に被害は出るだろうがこれ以上海兵に犠牲を出すわけにはいかんからな』

オニグモ「あとはガスが消えたところで天竜人らをシェルターから救出すれば良い」

オニグモ「窓もない密閉空間にいるのだ、何が起こったかも分かるまい」

ドーベルマン『では、H2Sガス砲弾を撃て。我々が現場に着く頃には敵は弱りきっているだろう』

オニグモ「了解した。砲撃用意!」

「砲撃用意!」

オニグモ「撃て!!」

ドンッ!!



ヒュルルルルルルルルッ



サイタマ「……あ? なんか飛んできてねーか?」

サイタマ「おいおい、砲弾じゃねえか。何でシェルターに……危ねえな」タンッ

サイタマ「返すぞ」ガンッ



ヒュルルルルッ



オニグモ「ん?」


ドガーンッ


オニグモ「ぬおおおおおおお!?」

キング「……!? 何の音だ!?」

キング「あ、あれは!! 海軍の軍艦じゃねえか!!」

キング「……なんか一隻沈みかけてるけど」

キング「ま、まあいい! 何にしろ助かった……こんな小舟に1人残されてすげえ怖かったよお」

キング「おーい!! おーい!! 助けてくれー!!」

オニグモ(……なんだ!? なにが起こった!?)

オニグモ(こちらが撃った弾が跳ね返って……!? 一体どうして……)

オニグモ(い、いや! それよりも、マズイぞ!! まずは向こうの艦へ移動せねば!!)バッ

オニグモ「スパイダーネット!!」バッ

海兵達「うわああああ!?」グイッ

オニグモ「ふんっ」ダンッ


ドゴーンッ



オニグモ「……」スタッ

ドーベルマン「オニグモ! 一体どうなっている!? なぜガスが貴様の艦で爆発を!?」

オニグモ「分からん……砲弾が弾き返されたようだが……」

オニグモ「ともかく私の糸で周囲の部下達だけは拾ってこちらへ逃れられたが、残りは……」



――オニグモ艦上

ギャアアアアア

ガ、ガスガアアアア

タ、タスケテ・・・オニグモチュウジョオオオオ

ドーベルマン「……何と言うことだ……戦艦まで失ってしまうとは」

オニグモ「ともかくなぜ砲撃が弾き返されたのかを調べねば」

ドーベルマン「そうだな……おい、何か見えないのか!!」

見張り「はっ!! 少し離れた場所に小舟は見えますが、あれが原因とはとても…………」



見張り「……あ、あああああああ!!」

ドーベルマン「どうした!!」



見張り「き、キングです……あのS級ヒーローキングが乗っています!!」



オニグモ「なにィ!?」

ドーベルマン「……よ、四皇に匹敵する強さを持つというあのキングだと!? なぜここにいるのだ!!」

オニグモ「ま、まさか……我々の作戦を予測してあらかじめここで待ち伏せていたとでもいうのか!?」

ドーベルマン「なんだと!? つまり、H2Sガス弾を跳ね返したのもキングの仕業か!?」

見張り「……き、キングが、腕に左右に大きく振っている……」

見張り「はぁっ!? ま、まさかあれが……!!」

ドーベルマン「何か知っているのか!?」

見張り「聞いたことがあります……」

見張り「キングにはあらゆる攻撃を『防ぐのではなく』、そのままの威力で相手に跳ね返す最強の盾……〝キング・リフレクト〟という技があると!!」

オニグモ「き、キング・リフレクトだとおおおお!?」

見張り「あの左右に腕を大きく振る構え……間違いありません、あれこそがキング・リフレクトの構えです!!」

見張り「その技を使ってキングは先の砲弾をオニグモ中将の戦艦へと弾き返したものと考えられます!!」

オニグモ「……な、なんたることだ」

見張り「し、しかも、それだけではありません……」

ドーベルマン「まだ何かあるのか!?」

見張り「御二方は、プロデンス国王エリザベローⅡ世が持つ〝キング・パンチ〟という技をご存知ですか?」

ドーベルマン「噂くらいは耳にしたことがある」

オニグモ「当てれば四皇すら沈める強力なパンチだとか……」

オニグモ「……ハッ!? ま、まさか!?」

見張り「そう!! そのキング・パンチはあのキングがエリザベローへ伝授したという噂なのです!!」

ドーベルマン「ば、馬鹿な……いや、しかし、確かキング・パンチは一発撃てば一時間の休息が必要だという話だ!」

オニグモ「そうだ! そんなに燃費の悪い力ならばそれほどの脅威とは……」

見張り「甘い!!」

『!?』

見張り「違うのです……エリザベローとキングとでは……」

見張り「キングは、その四皇ですら一撃で沈めるキング・パンチを……」

見張り「何発でも撃つことが出来るという噂なのです!!」

ドーベルマン「……そ、そんな」

オニグモ「あらゆる攻撃を跳ね返すキング・リフレクトに加え……四皇すら一撃で沈めるキング・パンチを無限に……」

オニグモ「もはや、無敵ではないか……」

見張り「はっ! ちょ、ちょっと待ってください!」

見張り「キングが……キングが何か喋っている!!」

ドーベルマン「なに!?」

見張り「私の読唇術で何を言っているのか通訳します!!」

オニグモ「うむ、頼む」


キング「おーい! たーすーけーてー!!」

見張り「……『た ち さ れ』」

見張り「キングは……ここから立ち去れと言っています」

見張り「つまり、キングとしても海軍本部と対立する気はないのでしょう」

見張り「しかし、こちらにはいつでも戦艦など沈められるキングパンチがあり、しかもあらゆる攻撃を弾き返す……」

見張り「ここはお前達を見逃してやるのだ、と、キングは言っているのだと考えられます」

見張り「そのうえで、この件を持って海軍がヒーロー協会を追求することは自由だが、しかしこちらはお前達が天竜人を危険にさらしたことを知っている」

ドーベルマン「ぐうっ!?」

見張り「事を荒立てて大火傷を負うのはどちらかよく考えることだな……」

見張り「分かったならば、今すぐここから立ち去り、今日のことは無かったことにするが良い」

見張り「それが両者にとって最も賢い選択だ」

見張り「そう、キングは言っているのだと解釈できるでしょう!!」

オニグモ「……お、おのれ」

オニグモ「キング……ただ強いというだけではない……我々の動きを予測し、しかも的確な脅迫まで……何たる何たる策士だ!!」

ドーベルマン「……し、仕方あるまい。ここは退くぞ!! 撤退だ!!」

海兵「はっ!!」

戦艦「」スイーッ



キング「……あれ? え? 見えてなかった?」

夕飯食べてきます

――ゴア王国
――シェルター前

ズラコ「はぁっ……はぁっ……」ダダダッ

平民「あ……ズラコ様……お子様はご無事です」スッ

ズラコ「あ、あああ……ううう」ダキッ

ズラコ「うぅぅ……ありがとう……ありがとう」

デスネン「本当にありがとう……私の孫を……」

平民「い、いえ、私は何も……助けてくれたのは、ジェノスです……」

デスネン「そ、そうだ、彼は!」


ジェノス(彼は、C級ランキングトップの……!)

ジェノス「……よ、よせ」ググッ

アウトルック「む、無免ライダーが来てくれた……C級1位の……」

平民2「で、でも……」

ズラコ「……頑張れ!! 無免ライダー!!」

平民「!!」

デスネン「お願いだそいつをやっつけてくれー!!」

平民「……負けるな無免ライダー!!」

アウトルック「あんただけが頼りなんだー!!」

平民2「勝ってくれー!!」


ワーワーッ


深海王「……うるさい人間共ねえ」

ジャルマック「……ん?」

ジャルマック「……あれ?」

ジャルマック「ま、まさか……あそこに倒れているのは……」

ジャルマック「S級ヒーロージェノスうううう!?」

ジャルマック(ば、馬鹿な……S級ヒーロー、つまりヒーロー協会から救援に寄越されたということだが)

ジャルマック(私がちょっと寝ている間にもうやられてしまったのかえー!?)

ジャルマック「ま、マズイえ……まだヒーロー立ちはだかっているが、明らかにジェノスよりも弱そうだえ」

ジャルマック「こ、このままではあの気味悪い魚類が私の近くまで来てしまうえ」

ジャルマック「こうなったら……」

ジャルマック「おい!! そこのヒーロー!!」

無免ライダー「!」

アウトルック「じゃ、ジャルマック聖……? そうか、ジャルマック聖も応援を……」

ジャルマック「もう、そこの魚類は放っておいていいえ! さっさと私だけここから逃がせ!!」

平民「な!?」

アウトルック「ジャルマック聖!? い、一体なにを!?」

無免ライダー「……」

ジャルマック「こいつらを全員エサにすれば、その間に私一人逃がすくらいお前でも出来るえ!!」

ジャルマック「さあ、そこから離れて今すぐ私の為に道を造るえ!!」



無免ライダー「黙れ!!」



ジャルマック「!!?」

ジャルマック「……は?」

ジャルマック「……え?」

ジャルマック「……い、いま、『黙れ』、と……?」

ジャルマック「下々民が……私、に……?」

無免ライダー「……俺はヒーローだ」

無免ライダー「みんなを守るヒーロー〝無免ライダーだ〟!!」

無免ライダー「お前一人の為にみんなを見殺しにすることなんて出来るわけがない!!」


ジャルマック「」ポカーン


無免ライダー「そこで大人しく待ってろ……みんなは、俺が守る!!」

無免ライダー「うおおおおおっ!!」ズタタッ

深海王「もう飽きたのよ」

ブンッ

無免ライダー「ぐふぅっ」ガンッ

ブンッ

無免ライダー「がはっ」ドガッ

ブゥンッ

ドゴォッ

深海王「……」スタスタスタ

ジェノス「……」

深海王「あー、ごめんね」

深海王「とどめ刺すの遅れちゃって」


ガシッ


無免ライダー「じゃ……ジャスティス……タックル……ッ」ググッ

深海王「……ハァ?」バキッ

無免ライダー「がぁっハ……」ドサァッ

無免ライダー「……ぐ」ググッ

無免ライダー「……ま、まだ、だ」ググッ

深海王「……」ビキキッ



アウトルック「む、無免ライダー……」

アウトルック「がんばれー!! 無免ライダー!!」

平民「勝ってくれー!!」

デスネン「お願いだ!! 無免ライダー!!」



無免ライダー「……ああああああっ!!」ダッ

深海王「お前ね、しつこい」グアッ


パーンッ!

無免ライダー「」ドサッ



深海王「ん?」

ジェノス「!?」

アウトルック「え……?」

平民「な……、無免、ライダーが……撃たれ、た……?」



ジャルマック「……よくも」ワナワナワナ


ジャルマック「よくもこの私に黙れなどと言ったな!?」

ジャルマック「銃殺だ!! 銃殺刑だえ!!」

ジャルマック「この私に無礼を働く下々民は、全員銃殺刑にしてやるえ!!」

ジャルマック「どうだ、思い知ったか!? はーはっはっはっは!!」

アウトルック「……な、なんてことを」

アウトルック「ジャルマック聖!! あなたは何ということを!! 彼は、我々の為に戦って……」

ジャルマック「うるさいえー!!」パンッ

アウトルック「がぁっ……!?」ドサッ

ステリー「ち、義父上―!!」バッ


ジャルマック「どいつもこいつも私に逆らいおって……」

ジャルマック「不愉快だえ! 私に逆らう奴は皆殺しにしてやるえー!!」


深海王「うふ、うふふ。うっふっふっふっふ」

深海王「この期に及んで味方殺し? 本当に醜い生き物ねえ、人間って」


ステリー「義父上……!」

アウトルック「ぐ……大丈夫だ、ステリー……」

ステリー「……ジャルマック聖!!」

ジャルマック「あァ!?」

ステリー「……あ、あなたがいま撃ったのは、私たちに残された最後の希望……ヒーローです」

ステリー「もう、私たち……あなたを守ってくれる者はいません……どうなさるおつもりですか!?」


ジャルマック「……」

ジャルマック「…………」

ジャルマック(……ヤバイえ!!)

ジャルマック(い、怒りにまかせて思わず撃ってしまったが、確かにあいつが死ねばもう私を守る者がいなくなってしまうえ!!)

ジャルマック「や、やばい……やばいえやばいえやばいえ!!」

ジャルマック「ど、どうする……どうすれば良いえ……」


ジャルマック「……そうだ、お前行け」

ステリー「!?」

アウトルック「な!?」

ジャルマック「仕方がないから今から私は自分の足で逃げるえ!! その間お前があいつと戦うえ!!」


深海王「ふふ、うっふっふっふふ」ニヤニヤ


アウトルック「じゃ、ジャルマック聖!! 何を……!!」

ジャルマック「やらなければ、こいつを殺す!」チャキッ

ステリー「!!」

アウトルック「ステリー!! 聞くんじゃない!! に、逃げるんだ……!!」

ジャルマック「黙るえ!! さあ、行け!! 殺すぞ!!」


ステリー「……行きます、義父上」

アウトルック「ステリー!!」

ステリー「……サボ義兄さんがいなくなって」

アウトルック「……!!」

ステリー「義父上と、義母上が、すごく後悔していたことを知っています」

ステリー「2人は、サボ義兄さんのことをずっと思われて……それでも、僕に優しく接してくれた」

ステリー「僕は、サボ義兄さんの代わりになれなかったから……せめてもの恩返しを最期にしたいんです」

アウトルック「ステリー!! 私たちは、そんな……!!」

ステリー「皆の者!!」

平民「……! アウトルック家の、ステリー坊ちゃん……」

ステリー「僕がそいつと戦う!! その間にみんな一斉に逃げるんだ!!」


深海王「本当に、バカねえ」ニヤニヤ


ステリー「……正直、僕なんてすぐやられてしまうだろう、何人逃げ切れるか分からない」

ステリー「それでも……少しでも生き延びる道を探したい!!」

ステリー「僕はゴア王国の……貴族だから!!」ダッ

ステリー「うあああああああ!!」ダダダダッ


深海王「一匹もおおおおおおお逃がさなああああああい」

アウトルック「ステリイィィィィ!!」

ジャルマック「そうだえ!! 私を守るえ!! あははははっあはっあはは!!」


アウトルック(サボ……私も、こうだったのだろうな……)

アウトルック(目下の者をゴミのように扱い……自分達のことしか考えない……)

アウトルック(私も、お前の目には、こんな風に醜く映っていたことだろう……)

アウトルック(だが、もう、それをお前に聞くことは出来ない)

アウトルック(そして、また……また、私は……息子を失おうとしている……)

アウトルック「誰か……誰か……助けてくれ……私の、息子をッ」


ステリー「ああああああああっ!!」

深海王「一瞬で殺してあげる」スウッ


バッ


ステリー「!?」

深海王「!?」




無免ライダー「…………敵に、立ち向かうのは……」

無免ライダー「ヒーローの、役目だろ……?」ググッ

ステリー「無免、ライダー……」

無免ライダー「に、逃げる、んだ……ここは、俺が……戦う」グググッ


深海王「……まぁた、お前」ピキピキピキッ

深海王「本っ当にしつこいわねえ……もう、良いわ」

深海王「今度こそとどめを刺してあげる!!」バッ


パシッ


深海王「……!?」ググッ



サイタマ「よくやった。ナイスファイトだ、おまえら」グググッ

ステリー「……!?」

無免ライダー「……き、君、は?」ガクンッ


深海王「……へえ」バッ

深海王「私の一撃を受け止めるなんて、雑魚のくせにやるじゃない」


サイタマ「お、おいジェノス! おま……生きてんのかそれ!?」

ジェノス「先……生……」

サイタマ「まぁちょっと待ってろ」

サイタマ「今からあいつぶっ飛ばすからな」ドンッ

深海王「誰をぶっ飛ばすですってええええ!?」ボッ

サイタマ「……」ドンッ!!

深海王「はっ」ブシュッ

深海王「……え?」ガクッ

深海王「」ドサッ


ステリー「……え?」

平民「……?」

アウトルック「……た、倒し、た……?」

サイタマ「よし、ジェノス。いま手当すっから……って、どうやれば良いかわかんねえけど」

ジェノス「お、俺は、大丈夫、です……それよりも、怪我人達を……」


ステリー「義父上!!」ダッ

アウトルック「……ステリー」

ステリー「義父上……っ」ギュゥッ

アウトルック「……ありがとう、ステリー……息子よ」


ジャルマック聖「」ポッカーン


ズラコ「ジェノスさん!!」タッ

ジェノス「!」

ズラコ「ああ、ジェノスさん……私の赤ちゃんの為に……このような姿に……」

ズラコ「ありがとうございます……ありがとう……」グスッ

ジェノス「……い、や……当然のことをしただけだ……赤ん坊が、無事で良かった……」

デスネン「ありがとう、本当に……貴方も、あの怪物を倒してくれるとは……何と御礼を申して良いか」

サイタマ「……あー。いや、良いよ。礼なんて。趣味でやってるだけだし」

ジャルマック「でかしたえー!!」

サイタマ「……?」

ジャルマック「よくやった!! この私をあの魚類から守るとは! 褒めてつかわすえ!!」

サイタマ「……ああ、えーと。ありがとうございます?」

ジャルマック「よし、魚類は死んだから次は……」チャキッ

無免ライダー「」

サイタマ「え!? ちょ、な、何やってんだ!? 何で銃なんて向けてんの!?」

ジャルマック「こいつはこの私に生意気なことを言いやがったえ!!」

ジャルマック「しかも、敵も倒せん役立たずのクズだえ!!」

サイタマ「……」

ジャルマック「あの時撃ち殺したと思ったが生きているとはな……今度こそ銃殺してやるえ!」

サイタマ「おい」

ジャルマック「あァ!?」

サイタマ「やめろ」

ジャルマック「……お、お前……お前まで、この私に命令をおおおお!!」チャキッ

サイタマ「……」グッ

ジャルマック「何だえ!? その構えは!? この私を殴るとでも言うのかえ!! あァ!?」

ジャルマック「殴れるものなら殴ってみるがいいえ! 貴様、この私を誰だと思っている!?」


サイタマ「あ? 怪人だろ?」バキッ

ジャルマック「うヴォげエェェェ!!」ドゴォッ

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・

キランッ


ジェノス「」

貴族「」

平民「」

サイタマ「おー、あれは月くらいまで吹っ飛んだんじゃねえか?」

ジェノス「……な、なんてことを、先生」

ジェノス「て、天竜人を殴るなんて……」

サイタマ「テンリュウビト? 何だそれ?」

ジェノス「知らないんですか!?」

サイタマ「あの怪人の名前か?」


アウトルック「…………」

アウトルック「ステリー、手を貸してくれ」ググッ

ステリー「は、はい!」

アウトルック「……そこの、ヒーローの方」ヨロッ

サイタマ「え?」

アウトルック「お名前を伺っても、よろしいか?」

サイタマ「あー。サイタマ。まだC級だけどヒーローやってる」

アウトルック「C級……貴方ほどの人が」

アウトルック「……サイタマさん、この度は本当にありがとうございました」

サイタマ「いや、だからいいって」

アウトルック「貴方のお陰で、我々も助かり、そして無事、ジャルマック聖も逃げられたことでしょう」

ジェノス「……!!」

アウトルック「ジャルマック聖は衛兵が倒された後にお一人でお逃げになられたので、まだ行方は分かりませんが」

アウトルック「海軍がすぐにでも見つけ出すはずです」

サイタマ「じゃる……? うん、誰だかちょっと分かんないけど、多分逃げ切れたんじゃねえの」

アウトルック「ええ、きっと逃げ切れたはずです」

アウトルック「なあ、みんな」

デスネン「……ああ、そうとも。ジャルマック聖はきっとご無事だ」

平民「そうですね! 隙を突いてお一人で逃げられたので確認できませんが、きっとご無事でしょう!!」


アウトルック「……と、いうわけです」

サイタマ「う、うん。いや、マジで誰の話してんのか分かんねえんだけど」


ジェノス「……感謝する」

アウトルック「感謝すべきは、こちらの方ですよ」




サイタマ「とりあえずさ、ジェノスや怪我人を運びたいんだけど、何か良い場所とかないか?」

アウトルック「それならば、我々の屋敷を開放しましょう……家が壊された人もいるでしょうし」

サイタマ「おー、頼むわ。あんた良い奴だな」

アウトルック「……そう、ありたいと、思えるようになったんです。これからは……」

ステリー「……無免ライダーさん、屋敷までおぶります。少し、揺れますよ」グイッ

無免ライダー「う……あ、ああ」

ステリー「ありがとうございました……」

ステリー「あなたこそ……僕のヒーローです」ギュウッ

無免ライダー「……」ニコッ


この度の海賊討伐の功績として、〝鬼サイボーグ〟ジェノスはS級7位に昇格。
無免ライダーにもA級昇格の勧めがあったが、彼はそれを断り、C級首位でいることを選んだ。

そして、サイタマはゴア王国の貴族達の強い支持の声で一時はS級昇格の話が出たが
天竜人を守りきれなかったことが協会から問題視され、結局B級昇格止まりとなった。

避難民が必死に逃がした世界貴族ジャルマック聖は、現在サイファーポールと海軍が全力で捜索しているものの
未だにその消息は掴めていない。

おわり

おまけ


ジャルマック「……う」

ジャルマック「こ、ここは……どこだ?」

??「気がついたか?」

ジャルマック「お、お前、は……?」

??「私か? そうだな……」




エネル「ヤハハハハハ! 我は神なり!!」

ジャルマック「え?」


次回から扉絵連載『ジャルマック聖とエネルのスペース大作戦』が始まらないよ!

長い間読んでくださってありがとうございました
今のところこれ以外ネタが全然浮かんでないので、とりあえずHTML化依頼だしてきます

浮かんだらまた立てますので、その時はまた読んで下さると嬉しいです

まだほぼ投下してないけど一応続きです

サイタマ「空島ってホントにあったのかよ」 ベラミー「何だこいつは……」
サイタマ「空島ってホントにあったのかよ」 ベラミー「何だこいつは……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388414367/)

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom