和「……」

唯「～♪～♪」

和「……」

和（どうしよう…なに話せばいいんだろう）

唯「は～」

唯「ここをこうして歩くのも、もう最後なんだねぇ～…」

和「……」

和「いつでも来れるじゃない」

唯「それはそうだけどー…、って全然ちがうことだしっ」

唯「あっそうだ」

唯「ねね、こっちいこー」

和「？」

唯「うわぁ……なんか周りがみんなちぢんじゃったみたい」

和「？　どういうこと？」

唯「あ、ほら、見えてきたっ」

幼稚園の前に来る唯と和

唯「まだ遊んでる子が多いね～」

唯「みんなちっちゃくてかわいい…っ」

和「私たちもあんなふうだったのかな」

唯「そうだよ！　…たぶん」

和「たぶん」ｸｽｯ

唯「なんで笑うかな～」

和「だって、唯は確実にそうだったじゃない」

和「あそこでぼ～っとしてる子とか」

唯「え～？」

唯「…自分じゃわかんないや」

和「…そうね」

和「…私は、どうだったのかな」

唯「和ちゃんは…ずぅ～っと和ちゃんだったよ」

唯「私のそばにいてくれる…」

和「……」

和「…そうね」

唯「ぁ、」

唯「あ…、ほら、今度はこっち！」ｸﾞｲｸﾞｲ

和「ちょ、ちょっと…」






和「……」

和（唯と手つないで歩いたの、いつ以来だろう）

公園

唯「あれ～、ブランコが無くなってる～…」

唯「小学生のころはあったんだけどなぁ～」

和「撤去されちゃったんじゃない？」

唯「えぇっ？　そんなご無体な…！」

和「まぁ、結構重い素材で出来てたし、事故とかあったんじゃないかしら」

和「ほら、唯だってたしか、居眠りしながら漕いでたことがあって…」

和「落ちて怪我したことがあったじゃない」

和「……」

唯「……」

和＆唯『まさか、ね』

公園のベンチ

唯「えへへ～、相合いベンチ」

和「なに言ってるの」

唯「今日は～…塗り立てじゃない！」

和「ちゃんと確認するのね…」

和（…座ってから）

唯「えぇひどい！　和ちゃんが『これからはちゃんと確かめなきゃ』ってゆーから…！」

和「そんな本気にしなくても」

唯「す、するよっ」

唯「…～っ」

和「……」

唯「…ぁ、ぁのね、…ぇっと…」

和「……」

和（唯がものすごく気まずそうにしてる）

和（……）

和（…気まずい）

唯「えっと…こ、これから、私たち二人はちがう道を歩むことになりまして…っ」

和「唯、落ち着いて」

唯「あ、う、う、うんっ」

唯「ほんとはね……ほんとは、」

唯「和ちゃんが、ずっとそばにいてくれると思ってたんだ…」

唯「ずっと、これからも、」

唯「みんなと…」

和「……」

和「……」

和「唯」

唯「は、はぃっ」

和「私ね、じつは」

和「ロンドン行ってみたかったの」

唯「え」

唯「えっ？」

和「このあいだはもう一度京都に行ったけど、やっぱり海外旅行ってしてみたかったし」

唯「ええぇぇぇ！！」

唯「い、言ってくれれば…！」

和「うん…」

和「でもね、私が着いていっても、ただ観光するだけになっちゃうし」

和「やっぱり、唯たち、向こうでも演奏してきたんでしょう？」

唯「う、うん…っ」

和「それはすごく見たかったなぁ、って」

和「でも」






和「やっぱり『見たかったなぁ』、になっちゃうんだよね、私」

和「私も、ほんとはね、」

和「唯のいるところにいたかったの」

唯「…っ」

和「唯は、いつの間にかやってきて、そうすると周りが明るくなって」

和「その明るさに、見合うものを私は持ってなかったから」

唯「……」

唯「そんなこと…」

唯「そんなことないよっ……だって」

和「……」

唯「だって……私も、やっと見つけたんだもんっ」

和「…？」

唯「和ちゃん…！」

和「な、なに…？」






唯「これから私が楽器のレッスンをしてあげますっ」ﾌﾝｽ

和「」

和「え？」

和（ど、どうしてそうなるのかしら…）

唯「わ、私もさ、誰かに頼られるってしてみたかったし…！」

和「梓ちゃんに頼られてn…」

和（…なさそうね）

唯「あ、あずにゃんはもももはや私が教えることはないけど…っ」

唯「和ちゃんは……」ﾆﾔﾆﾔ

和「いやな笑みね」

唯「それにさ、やっぱり一緒に出来たら楽しいしっ」

和「一緒に、出来たら…」

唯「そうだよ！　あぁ～もっと早く教えてあげてたらよかったよ～」

和「自信満々ね」

唯「えっへん！」

和「でも、面白そうね…」

唯「でしょでしょ、やろ～よ～！」

和「そうね」






和「…考えとく」

唯「えええぇぇぇ～～ぃ！？」



おしまい

お疲れ様でした。

乙
和ちゃんの楽器ってなんだろね
ていうか唯は教えられないだろ