俺「俺が行こう…」野次馬「何!?」 (11)
<キャー!火事ヨー!!
俺「騒がしいと思ったら火事か…」
野次馬「おい!!中に子どもが取り残されてるぞ!?」ザワザワ
野次馬「どうする!?消防車が来るまでまだ時間が…」ザワ…ザワ…
俺「俺が行こう…」野次馬「何!?」ザワ!?
俺「見たところ俺が一番若いし力もあるだろう」
野次馬「でも危険だぞ!!」ソウダーアブナイー
俺「ふっ…どうせこの先、生きてたって何もいいことなんてない…」
俺「だったらここで人のために命を使ってみるのも悪くな」マテッ!
おじさん「待て、私が行こう…」 野次馬「何!?」ザワッ!!??
おじさん「君はまだ若い、これから先いくらだって希望はある」
おじさん「そんな若者に無茶なんてさせられん」
俺「でも…」
おじさん「もう息子も来年から社会人一人でやって行けるさ…」
おじさん「ふっ…最後に親父のかっこいい姿を見せるのも悪くな」マテッ!
浮浪者「待て、私が行こう…」野次馬「何!?」ザワッザワッ!?
浮浪者「あなたには家族がいる、俺が手に入れることが出来なかった家族が…」
浮浪者「そんなあなたに無茶はさせられない…」
おじさん「でも…」
浮浪者「今まで惨めに生きてきた、そんな人生にピリオドを打ちたくてな」
浮浪者「ふっ…最後に親にかっこいい姿見せるのも悪くな」マテッ!
孤独な者「待て、俺が行こう…」野次馬「何!?」ザワー
孤独な者「あんたには親がいるだろう、俺が願っても得ることが出来なかった親ってやつが…」
孤独な者「悲しむ人がいる奴に無茶はさせられない…」
浮浪者「でも…」
孤独な者「なぁーに、俺には死んだって悲しむものなんていない」
孤独な者「今まで一人誰にも見向きもされなかった俺だが…」
孤独な者「ふっ…最後に誰かの記憶に残っておくのも悪くな」マテッ!
犯罪者「待て、俺が行こう…」野次馬「何!?」ザワザワ~
犯罪者「俺にはもう両親も良心もねぇ…この世からいなくなって当然の存在」
犯罪者「てめぇはまだこの世に生きていい存在、そんな奴に無茶はさせられねぇ」
孤独な者「しかし…」
犯罪者「なぁーに、俺が死んだら喜ぶ人間がいるくらいだぜ?」
犯罪者「下着泥で捕まっちまうクソ野郎な俺だが、ふっ…最後に罪滅ぼしってのも悪くな」マテッ!
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