真「萩原雪歩に復讐する」 (74)

春香「え? じょ、冗談だよね?」

真「いや、ボクはやるよ。そうでもしないと気が済まない」

春香「き、急にどうしちゃったの? 雪歩と喧嘩でもしたの?」

真「そんなのじゃないよ、前から思ってたんだ。いつか復讐してやるって。昨日、ようやく用意出来たよ」スッ


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春香「そ、それは!?」

真「見ての通り黒いワンピースだよ。雪歩は白ばかり着こなすから、明日の撮影の衣装をこれとすり替えるんだ」

春香「そ、そんな! ダメだよ!!」ガタッ

真「いーや! ボクはやってやる! いつも黒ばかり着せられるボクの気持ちをわかってもらうんだ!」

 わいのわいの


千早「朝から何の騒ぎ?」

春香「ち、千早ちゃん! 助けてー!」

真「春香! 離せってば!」バタバタ

千早「…わかるように言ってもらえないかしら」


春香「真が突然雪歩に復讐するって言いだして、それを持ってきたの!」

真「雪歩は白が似合うから、黒ばかり着せられる僕の苦しみを味わえばいいんだよ!」

千早「そう… で、それは?」

真「家で作ってきたワンピースだよ。明日の撮影の時に雪歩の白いワンピースとすり替えようと思ってるんだ」

春香「な、なんてひどいことを!」


千早「そう。じゃあ私が萩原さんに渡してこようかしら」

真「え? いいの?」

春香「ち、千早ちゃん! ダメだよ!」

千早「ええ、萩原さんのところへ持っていけばいいんでしょ?」

真「ありがとう! へへっ、予想外の場所から協力者がきてくれた」

春香「千早ちゃんーー」シクシク


千早「……」テクテク

千早「……」テクテク

千早「あ、萩原さん」

雪歩「千早ちゃん、何かあったの?」


千早「真が、萩原さんに似合いそうだから、明日の撮影これでどう?って」

雪歩「わぁ、いいかも! ありがとうね、千早ちゃん」

千早「お礼なら真に言うべきよ。真の手作りらしいから」

雪歩「そうなんだ。真ちゃんわざわざ作ってくれたんだ。…えへへ」ギュ


 翌日

雪歩「おはようございます」

小鳥「おはよう、雪歩ちゃん。あら?」

雪歩「えへへ、今日はこれで撮影に行ってみようかなって思いますぅ」

小鳥「ふふ、黒でちょっと大人っぽく見えるわね」

雪歩「えへへ、本当はいつもの白いワンピースがいいと思ったんですけど、せっかく真ちゃんが作ってくれたので…」

小鳥「そう、真ちゃん優しいわね」

雪歩「はい、じゃあ行ってきます!」ガチャ


 夜・事務所

雪歩「…ただいま戻りました」ガチャ

小鳥「お疲れさま。ずいぶん遅かったわね」

雪歩「はい、これで行ったら撮影の人に『超バーストだ!』って言われて、何だかすごく撮影が長くなっちゃって…」

小鳥「ふふ、評判良かったのね」

雪歩「はい、疲れましたー」グッタリ


真「……」チラッ

真(雪歩がすごく落ち込んでる。効果あったな。へへっ)

真(じゃあ次の復讐を考えよう…)テクテク


 菊地家

真「次はどうしようかな…」

真「靴を隠すんじゃただのイジメだしな…。目的は雪歩に男扱いされる苦しみを味わってもらうんだから」

真「今回が黒のワンピースだったから…」


真「…!そうだ、この前スタジオで…」


 真「すみません、ボクの衣装はどれですか?」

 スタッフA「えっと、これね。はい」

 真「ありがとうございます」

 スタッフB「ちょっとちょっと!」

 真「な、何ですか?」

 スタッフB「真ちゃんはこれ! これを着て!」

 真「え?、こっちのスカートじゃないんですか?」

 スタッフB「ダメ! 真ちゃんはスカートよりズボンのほうが絶対似合うんだから!」


真「これだ!」

真「雪歩って私服も衣装も女の子らしくスカートばかりだから、僕みたいにズボンはいてもらえばいいんだ!」

真「そうと決まったら早速製作開始だ!」ダッ

真「……」

真「…うーん、難しいな。でもボクは諦めないぞ!」



 数日後

真「…出来た! へへっ、ボクって女子力高いかも」

真「これで明日は… 今から楽しみだ!」


 翌日

春香「あ、真! 今日も何か企んでない!?」

真「う、春香…」ギクッ

春香「その顔はまた何かやろうとしてる! ダメだよ!?」


真「…やってやる、ボクはやってやる!」

春香「真、お願い! こんなこと誰も望んでないはずだよ!?」ガシッ

真「ボクはやるんだ! ここまできて引けるもんか!」バタバタ

わいのわいの


あずさ「あらあら、二人ともどうしたの?」

春香「あずささん! 助けてください!」

真「春香、離せってば!」バタバタ

あずさ「えーっと… 何があったかわからないけど、喧嘩は良くないわ」


春香「真が雪歩に復讐するって言って、それで…」

真「いつもズボンばかり渡される自分の気持ちをわからせてやるんです!」

あずさ「そうなの… ところでそれは?」

真「明日の雑誌撮影の衣装、これにすり替えようと思ったんです」

あずさ「そう、それは買ってきたの?」

真「数日かけて家で作ってきました」


あずさ「…私が雪歩ちゃんのところに持っていこうかしら?」

真「いいんですか!?」

春香「あずささん!?」

あずさ「ふふ、これを見た時の雪歩ちゃんの反応が見てみたいの」

真「お願いします!」

春香「あずささんーー」シクシク


あずさ「……」テクテク

あずさ「……」テクテク

あずさ「あ、雪歩ちゃん」

雪歩「はい、どうかしましたか?」


あずさ「真ちゃんが今度の雑誌撮影、これでどうって」スッ

雪歩「ズボン …ですか」

あずさ「大丈夫。雪歩ちゃんなら似合うわよ」ポンポン

雪歩「はい、ありがとうございます!」

あずさ「お礼なら真ちゃんに、ね?」

雪歩「はい! えへへ」ギュ


 当日 

雪歩「おはようございます」ガチャ

真美「あ! ゆきぴょんがズボンだ!」

雪歩「う、うん…」

真美「ほうほう、普段は表にならないこのヒップラインがたまりませんな。ぐへへ」

雪歩「ま、真美ちゃん!?」


P「おい、何やってるんだよ」

真美「だってー、兄ちゃんも気になるっしょ? ゆきぴょんがズボンなんだよ?」

P「そんなことは気にしねえよ。ただ、雪歩はズボンでもかわいいってことはわかったがな」

雪歩「は、恥ずかしいですぅ…」

P「いいじゃないか。さ、雑誌撮影行くぞ」


 夜・事務所

雪歩「ただいま戻りましたー…」ガチャ

P「いやー参ったな。まさかあそこまで盛り上がるとはな」

雪歩「しかも急きょ表紙にするだなんて… 恥ずかしいですぅ」

P「いいじゃないか。そのズボンのおかげかもな」

雪歩「…えへへ」


P「ところで、そのズボンどうしたんだ?」

雪歩「えっと、真ちゃんが似合うんじゃないかって作ってくれて…」

P「お前らその内結婚するんじゃねえの?」

雪歩「え!? け、結婚だなんて…」

P「ははは、冗談だよ。雪歩の誕生日が近いから、そのプレゼントのつもりなのかもな」

雪歩「そっか。そうですね…」


P「まあせっかくもらったものなんだ、大切にしろよ」

雪歩「はい。 えへへ」

P「今日は疲れただろ。もう帰っていいぞ」

雪歩「疲れたのでちょっと休憩して帰りますぅ…」グッタリ


真「……」チラッ

真(今回も上手くいってるな)

真(……)

真(…帰ろ)テクテク


真「なんか雪歩の落ち込んだ表情を見ると、どこからか罪悪感が…」テクテク

真「…いや、ここまで来たんだ。どの道後戻りはできないさ」テクテク

真「……」テクテク

真「…次で最後にしよう」


 菊地家

真「最後にやる復讐はどうしようか…?」

真「男扱いされる苦しみ…」

真「最近男扱いされたこと、うーん…」


真「! あれだ! この前貴音とテレビ局の食堂に行った時…」


  貴音「ご飯をお願いします」

  食堂のおばちゃんA「はいよ」

  貴音「ありがとうございます」

  真「ご飯お願いします!」

  食堂のおばちゃんA「はいよ」

  真「ありがとうございます!」

  食堂のおばちゃんB「ちょっとちょっと」

  真「はい?」

  食堂のおばちゃんB「あんたそれじゃ足りないだろ? ほら、もっとお食べ」ドッサリ

  真「え? あ、あの…」

  食堂のおばちゃんB「足りなかったらまたおいで、ごはんの大盛りはサービスだよ」ニコッ

  真「あ、ありがとうございます。ははっ」


真「これだ…」

真「明日、事務所でごはん作ってみよう」

 翌日

真「おはようございます!」ガチャ

小鳥「おはよう、真ちゃん。それどうしたの?」

真「へっへーん! 今日はボクが事務所のみんなに夕飯を御馳走しようかなって」

小鳥「本当!? 私もいいのかしら?」

真「もちろんです! 頑張って作りますよ!」

小鳥「ふふ、楽しみだわ」

真「へへっ、冷蔵庫借りますね。じゃあレッスン行ってきます!」ガチャ



雪歩「あ、真ちゃん」

真「雪歩、おはよう! 今日事務所で僕夕飯作るんだけど、夜大丈夫なら食べていってよ」

雪歩「う、うん。大丈夫だよ」

真「良かった! じゃあよろしくね!」ダッ

雪歩「あ、あの…」

雪歩「…お礼言えなかった」


 夜

真「出来た! 我ながらすごい量だな…」

小鳥「真ちゃん、出来たの?」

真「はい、ちょっと多くなっちゃいましたけど」

小鳥「あら、すごいわね。みんなでも食べきれないかも…」

真「ちょっとはりきりすぎちゃいましたね…」



あずさ「あら、すごく量が多いわね」

真「すみません。何人集まれるのかわからなくて作りすぎました… 4人でこれは多いですよね」

あずさ「そうね。それに…」

真「?」

あずさ「あんまり食べると、ちょっとお腹が…」

真「そっか、それは考えてなかったな…」


雪歩「私は全部食べるよ?」

真「雪歩?」

雪歩「ちょっと量が多いけど、せっかく真ちゃんが作ってくれたんだもん」ニコッ

真「……」チクチク

小鳥「私もなるべく食べるわ。じゃ、食べましょうか」

一同「いただきます!」



あずさ「ごちそうさま。おいしかったわ」

小鳥「私もお腹いっぱい。ごちそうさま」

雪歩「あむ…」

真「……」


雪歩「あむ…」

真「雪歩、お腹いっぱいならもういいよ?」

雪歩「ううん、だ、大丈夫」

雪歩「せっかく真ちゃんが作ってくれたんだから、残さずに食べるよ」

真「雪歩…」


雪歩「あむ…」

真「雪歩、もういいよ。これは捨て…」スッ

美希「ただいまなのー!」ガチャ

P「戻りましたー、腹減ったー!」

真「!?」 

申し訳ありませんが、時間の都合上ここで一度切ります。
続きは明日の朝以降タイミングが合う時に載せます。

ところで名前は反映されてるのでしょうか…。

貴音「なんだか呼ばれている気がします」

お待たせしております。準備が出来次第再開します。
当初の予定より内容を一部変更してるので、少々お待ちください。


美希「ハニーのせいでお昼食べられなかったの!」

P「申し訳ない… ん?何だか美味そうな匂いがするな」

美希「くんくん…、何だろう?」

小鳥「美希ちゃん、プロデューサーさん、おかえりなさい」

P「ただいま戻りました。ところで何か飯でもあるんですか?」

小鳥「ええ、真ちゃんが夕飯を作ってくれて…」

美希「真くんが!? 食べたいの!」


真「あ、美希。お疲れさま」

美希「真くん!それ食べていい?」

真「あ、うん。良かったら」

美希「やったー! 真くんの手料理なのー!」

P「腹減ったー! 俺も食う!」

美希「いただきますなの!」
P「いただきまーす!」


貴音「何やら良い香りがします」ガチャ

小鳥「貴音ちゃん、お疲れさま」

P「お、貴音も食べるか? 真の手料理だぞ」

貴音「なんと、それは是非とも頂きます」

美希「すっごくおいしいの!」

貴音「ふふ、楽しみですね。では、私もいただきます」


真「全部食べちゃった…」

美希「ごちそうさまなの!真くんの手料理おいしかったの」

P「ごちそうさま。真料理上手いんだな」

貴音「ごちそうさまでした。真、美味でした」


真「ありがとうございます。三人ともすごい食べっぷりでしたね」

美希「ハニーのせいでお昼ごはんがなかったの」

P「いや本当に申し訳ない。思ったより営業に時間かかってな…」

美希「でも真くんの手料理がいっぱい食べられたから許すの!」

P「ありがとうな」ナデナデ

美希「えへへ」

貴音「残してしまうのは勿体ない。そう思い、気づいたら最後まで食べていました。ふふ」


美希「じゃあ明日も営業だからミキは帰るね」

P「ああ、明日もよろしくな」

あずさ「美希ちゃん、途中まで一緒に帰りましょ?」

美希「うん! 道に迷っちゃうからミキから離れちゃダメなの」

貴音「私も御一緒いたします」



P「じゃあ俺は今日と明日の書類でも作りますか」

小鳥「ふふ、手伝いますよ」

P「すみません。お願いします」

小鳥「こう見えても765プロの事務員ですから。…なんて、役に立ってませんけどね」

P「そんなことないですってば」



真「……」

雪歩「うー…」グッタリ

真「雪歩、立てる?」

雪歩「今はちょっと無理かも…」


真「…よいしょ」

雪歩「ま、真ちゃん!?」

真「遅くなっちゃうから、僕らも帰ろう?」

雪歩「で、でもこれ、おんぶ…」


真「じゃあ僕らも帰ります。お疲れさまでした」

P「おう、今日はごちそうさん」

小鳥「お疲れさま、また作ってね」



真「……」テクテク

雪歩「……」

真「……」テクテク

雪歩「あ、あの…」

真「ん?」


雪歩「も、もう大丈夫だから。それに、そろそろ人目が…」

真「あ、うん。よいしょ」

雪歩「ありがとうね、真ちゃん」

真「…雪歩、ごめんね」


雪歩「? なんで真ちゃんが謝るの?」

真「衣装すり替えたの全部ボクなんだ」

雪歩「? うん、知ってるよ」

真「え?」

雪歩「真ちゃんが作ってくれたって聞いたから、せっかく作ってくれたならこれ着ていこうって思ったの」

真「そんな…」


雪歩「えへへ、せっかく真ちゃんが私の誕生日プレゼント代わりに作ってくれたんだから、着てみたいって思ったの」

真「…え?」

真(あ、雪歩の誕生日を忘れてた…)

雪歩「ありがとう、真ちゃん」


真「で、でもそれで不評だったんじゃ…」

雪歩「すごく好評だったよ?それでこの前も撮影がすごく長くなっちゃって、事務所に帰るのが遅くなっちゃったんだけど…」

真「も、もしかしてあれは落ち込んでたんじゃなくて、疲れてた?」

雪歩「うん。私あんなに長い写真撮影ってあまりやったことないから…」

真「そ、そっか…」


真「雪歩、ごめん! あの服はそんなつもりじゃなかったんだ」

雪歩「?」

真「…雪歩に、復讐するつもりだったんだ」

雪歩「え? ええ!?」


真「ボクは衣装がいつも黒い服やズボンばかりだから、いつも女の子らしい服ばかりの雪歩にそれをわかってもらおうと思ったんだ」

雪歩「……」

真「だから…」

雪歩「ねえ、真ちゃん」

真「?」


雪歩「……」ギュ

真「!? ゆ、雪歩!?」

雪歩「…これが、今回のことに対する私なりの真ちゃんへの復讐。えへへ」

真「……」

雪歩「ごめんね、そろそろ帰ろう?」

真「う、うん」


 本編終わり


 おまけ・後日

真「雪歩! 改めて誕生日おめでとう!」

雪歩「わあ、ありがとう真ちゃん」

真「クリスマス用のケーキで申し訳ないんだけどさ…」

雪歩「ううん! 私嬉しいよ」

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4763116.jpg


雪歩「そうだ! 真ちゃんも一緒に食べよ?」

真「え? ボ、ボクはいいよ。雪歩の誕生日なんだし」

雪歩「いいの。一人で食べるのはちょっと多いし」

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雪歩「はい、フォーク」

真「あ、ありがとう」

雪歩「じゃあ…」

雪歩「いただきます」
 真「いただきます」

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 おわり

何故後ろに時刻表置いたし

そんな悪役になりきれない真と、天使な雪歩の話でした。
この話は暗い話を書きたいという心と、暗い話は彼女達がかわいそうだという心の葛藤で生まれました。
また、当初は雪歩誕ではなかったのですが、ちょうど時期が近いので途中からその方向へと進めました。

その他の裏話として、本来は夕食のシーンで貴音は出ない予定でした。
だったのですが、今朝 >>43 のレスを見て「ああ、貴音さん呼ばれたのか」と急遽出演してもらいました。
確かに食事のことなら不意に現れそうですよね。

最後の写真の背景は完全にミスです。
数日前に別のSS用にラバーストラップを撮った時からそのままです。
何故か撮ってる最中は二人が自立していることを忘れて、ラバーストラップ用の立てかけ台をそのままにしていました。
お見苦しい背景で本当に申し訳ありません。

長ったらしいあとがき、またこの作品にお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。
最後に一つ、ゆきまこおいしいです。

>>66 申し訳ありません。撤去忘れてました。

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