ジョルノ「杜王町に到着して数分経ちました」 (221)
【1】
[某日/パッショーネ執務室前廊下]
ミスタ「……あ?フーゴじゃねえか。そんなとこで突っ立って何やってんだよ、入らないのか?」
フーゴ「ミスタ……。いえ、入りたいのは山々なんですが……。なんと言うかその、ジョジョの様子がヘンなので、入るに入れないというか……」
ミスタ「ジョルノの野郎が?大丈夫だろ。確かにアイツの行動は突拍子の無いように見えるけどよ。
その実、俺らじゃ及びもつかないくらい深く物事を考えてやがるんだ。お前も一年前のあの一週間の中で嫌ってほど見てきたろ?」
フーゴ「そうでしょうか……」
ミスタ「そうそう。おいジョルノ!入るぜ!!」
ガチャリ
ジョルノ「フハハックックックッヒヒヒヒヒケケケケケwwwwwwwwwwwノォホホノォホwwwwwwwwwwww
ヘラヘラヘラヘラwwwwwwwwwwwwアヘアヘアヘwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
バタム
ミスタ「…………ヘンだな」
フーゴ「だから言ったじゃないですか」
ポルナレフ『ま、待て二人とも!逃げないでくれ!ジョルノを止めてくれェエエエッ!!』
ミスタ「おお、中からポルナレフさんの悲痛な叫びが聞こえる」
フーゴ「……しょうがない。入りましょう」
ガチャリ
ミスタ「おいコラジョルノ!しっかりしろォッ!!」ガクガクガクガク
ジョルノ「ノォホホノォホ…………、……ハッ!!ぼ、僕は一体今まで何を……」
フーゴ「お、正気に戻った」
ポルナレフ「た、助かった……。この惨劇、私だけではどうにもならなくてな。ありがとう、ミスタ」
ミスタ「礼には及ばねーよ。……しっかしジョルノ。ひでークマだな。……怒らねえから正直に言ってみろ。今何徹目だお前」
ジョルノ「5,6徹くらいですかね……」
ミスタ「うっわ。そりゃあ、ああもなるわ。……しかもお前、ロクに物も食ってねーだろ。ゴミ箱ウィダーのカラばっかじゃねえか」
ジョルノ「……ギャング・スターも楽じゃあないんですよ……」
ミスタ「いいからもう休めお前。このままじゃマジでぶっ倒れんぞ」
ジョルノ「ええ、今の仕事がひと段落したら休憩します……」
フーゴ「今の仕事が……って、この書類の山ですか!?こんなの一日かけたって終わりませんよ!」
ジョルノ「しかし、ポルナレフさんも休まずに手伝ってくれているのに、僕だけが休むわけには……」
ポルナレフ「……休憩も睡眠もいらない幽霊の私と違って、お前は生身の人間だろう。と、何度も言っているんだがな……」
ミスタ「……あ。それなら俺、今良い事思いついたぜ、ジョルノ!お前ちょっと今から海外旅行に行ってこいよ!」
ジョルノ「……はい?急に何を言い出すんですか、ミスタ。何で旅行、しかも海外に……」
ミスタ「まぁ聞けよ。お前、この間俺に『日本の杜王町に住んでいるイタリア人のスタンド使いを調査しろ』っつー任務出してきただろ?
聞くところによると、その『イタリア人』、料理を使って体の不調を治すスタンド使いらしいぜ」
ジョルノ「……ああ、その報告は僕も聞いています」
ミスタ「で、だ。実は俺まだ実地調査には行ってねえんだが、お前が代わりに行って来いよ。その間お前の仕事は俺らがやっとくからよー」
フーゴ「成程、仕事の交換ですか。確かに、それなら支障はありませんね。ミスタにしては冴えてるじゃあないですか」
ミスタ「ケンカ売ってんのか?」
ジョルノ「……しかし、いくらなんでも、この量の仕事をほっぽって行く訳には……」
ミスタ「大丈夫だって!書類仕事なら任せろよ!!フーゴに!!」
フーゴ「他力本願じゃねーかこのド低能がッ!!……けれど、ミスタの言う通りですよ、我らがジョジョ。
貴方がいない間のパッショーネは、僕らに任せて下さい」
ポルナレフ「……どっちみち、今のお前のコンディションではまともに仕事もこなせまい。行ってくるといい、ジョルノ」
ジョルノ「……それもそうですね。分かりました。それでは、お言葉に甘えさせていただきます」
ミスタ「おう行け行け。……あ、そうだ。折角だからポルナレフさんも行ってこいよ」
ポルナレフ「!?」
ポルナレフ「……いや、遠慮する。形式上のとはいえ、トップに次ぎ組織のNo.2までいなくなるのは流石にまずいだろう。
それに、さっきも言ったろう?幽霊の私に休憩は必要ないと」
ミスタ「けどよーポルナレフさん。アンタ幽霊だからってずっと休暇も無しに毎日タダ働きじゃねーか。ここらで休憩したってバチはあたらねーと思うぜ」
ポルナレフ「む……、し、しかし」
ミスタ「それに、忘れた訳じゃねーんだろ?『杜王町』には、かつてのアンタの仲間『ジョセフ・ジョースター』の息子が住んでいる、ってよ。
『会ってみたい』って言ってたのはポルナレフさん。他ならないアンタだぜ」
ポルナレフ「……!!」
フーゴ「……ポルナレフさん。仕事の事なら、どうかお気になさらないで、僕らに任せて下さい。
……その代わり、ジョジョをよろしくお願いしますね」
ポルナレフ「……すまない、お前たち。恩にきる……」
ミスタ「良いってことよ。……じゃ、お土産頼んだぜ。お前ら」
フーゴ「道中お気をつけて行ってらっしゃい。もし何かあったら、すぐに連絡下さいね」
ジョルノ「……ありがとう、二人とも。それじゃあ、行ってきます――――」
【2】
[十二時間後/杜王町]
ジョルノ「……無事に着きましたね。ポルナレフさん」
ポルナレフ「ああ、何事もなくて良かった。しかし、まさかカメの密輸で日本に来る事になろうとは……」
ジョルノ「先ほど得たノウハウを生かして、我がパッショーネも密輸デビューしましょうか」
ポルナレフ「やめなさい」
ジョルノ「……それにしても。ここが杜王町ですか。空気のきれいな、良い所ですね」
ポルナレフ「ああ、そうだな。……地図によると、例のスタンド使いの店はここからそう遠くないようだ」
ジョルノ「そうですか。それじゃあ早速行きましょう。『実地調査』に、ね」
[数十分後/トラットリア トラサルディー]
チャリーン
トニオ「いらっしゃいマセ。お一人様ですカ?」
ジョルノ「いえ、二人……。あ、そうか。すいません、一人です」
トニオ「それでは、空いているお席にドーゾ。すぐに伺いますネ」
ジョルノ(……ひとまずは様子見だな。……店内の装いに変わった所はない)
ジョルノ(他の客は学生が二人、か……。どうやら本当に普通の飲食店のようだ)
億康「オイ見ろよ仗助、何かスゲー奴が入店してきたぜー」ヒソヒソ
仗助「うおおマジだ。グレートな頭してやがるぜー」ヒソヒソ
仗助(しかしコイツ、この辺じゃ見かけねー顔だな。観光客か?……いや、それにしちゃあ不自然だ。何かカメ連れてっし……。って)
仗助「う、うおおおッ!か、カメェエッ!?」
億康「おおッ!?な、何だよ急に!カメがどうかしたのかよ?」
仗助「い、いや悪ぃ、そこにカメがいたもんでよォー」
億康「お?……おお、本当だ。ありゃマジもんのカメだぜー」
ジョルノ「……あの。失礼ですが、カメが何か?」
仗助「……あ。スンマセン、騒がしくして。爬虫類苦手なんで、そこのカメに驚いちまった、ってだけッス」
ジョルノ「ああ、成程。それは、こちらこそすみませんでした。ですが、噛んだりはしないので安心して下さい」
仗助「そういう問題でもないんスよー。何つーかこう、『ヘビvsカエルのカエルサイド』的な恐怖というか……」
億康「俺ァ何でこれをそこまで怖がるのかよく分からねーけどよォー。カワイイじゃねーか。うりうり」ツンツン
億康「……ん?このカメ、何か付いてんぞ。なんだこりゃ、鍵?」
ジョルノ「!! その鍵に、触ってはいけない!!」
億康「え、悪ぃ。もう触った、って な、何だ!?吸い込まれッ、う、うぉおおおおおおッ!?」
ガボオォッ!
仗助「お、億康ぅうううううううッ!!」
ジョルノ(まずい、一般人を巻き込んでしまった……ッ!!)
仗助「……テメー、スタンド使いか!!とっとと億康を返しやがれ!ボゲェッ!!」
ジョルノ「!! ……何だ、貴方もスタンド使いですか。それなら話が早…」
仗助「やかましいッ!!いいから億康を返せっつってんだ!!」
イラッ
ジョルノ「……そもそも、カメに勝手に触ったのはそちらでしょう。
ただでさえ徹夜明けで気分が良くないんです。あまり大声で騒がないでもらえますか?」
仗助「んだとォ?コロネ頭が粋がってんじゃねーぞ!」
ジョルノ「ハンバーグに言われたくは無いですね」
仗助「今俺のこの頭の事何っつった!!」
ジョルノ「おや、ハンバーグじゃお気に召しませんでしたか。セニョール軍艦巻き」
仗助「野郎、好き放題言ってくれるじゃあねーか……!!」
仗助「まさかテメー、この仗助さんを怒らせてタダで済むと思ってんじゃねーだろーなァッ!!『クレイジー・ダイヤモンド』ッ!!」
ジョルノ「……ゴールド・エクスペリエン」
\ギャッハッハッハッハッハッハ!! ヒー /
ジョルノ「……何だ、今のは」
仗助「こ、このマヌケなダミ声……、間違いねえ、億康のヤツだ!おい億康!何処居やがるテメー!!」
ズガボォッ!
億康「んだよ仗助、今良いとこだったのによー。……で、何か用か?」
仗助「うおっ。ど、どっから出てきたよお前。さっきカメの中に吸い込まれたんじゃねーのかよ」
億康「おう。だからそのカメの中から出てきたんだぜー」
仗助「……は?どうなってんだ?」
ズガボォッ!
ポルナレフ「ジョルノ、どうやら彼らもスタンド使いらしいが……。ん?外で何かあったのか?」
仗助「う、うおおおおおおッ!?か、カメから小人がッ!?」
ジョルノ「…………やれやれ」
[数分後]
ジョルノ(説教済み)「……本当に、すみませんでした。徹夜明けで、つい感情的に……」
ポルナレフ「……この通りだ。この子も反省している……。どうか許してやってくれ」
仗助「い、いや。そもそも、こっちが勝手にカメに触って、しかも勝手にキレてたんスから。むしろ謝るのはこっちっスよ」
億康「サーセン」
ジョルノ「ですが、驚きましたよ、オクヤス。まさか、ものの数十秒でポルナレフさんと意気投合していたとは……」
億康「いやー、何か馬が合ったっつーか、波長が合ったっつーかよォー。なぁポルナレフさん、後でまたさっきの話の続き聞かせてくれよなー」
ポルナレフ「勿論だ。……お前を見ていると、何故だか若い頃の自分を思い出すよ」
ジョルノ「ああ、例の便器ナレ」
ポルナレフ「おいやめろ」
トニオ「……お話は終わりましたカ?皆サン」
仗助「あ、トニオさん。騒いでスンマセンっした!」
ジョルノ「僕からもお詫びさせて下さい。申し訳ありませんでした」
トニオ「全くデスよもう。次騒いだら包丁投げますからネ!」
ポルナレフ(物騒だな)
トニオ「モノを食べるときはネ、誰にも邪魔されズ、自由デ……。何というカ、救われテなきゃあダメなんデス」
仗助「トニオさん、それ確か食べる側の台詞っス」
トニオ「オー!失礼しましタ。言ってるヒマあったら料理お出ししなくちゃデスネ。お待たせしましタ、仗助サン。
『モッツァレッラチーズとトマトのサラダ』デス」
仗助「おっ、待ってましたッ!昨日徹夜でゲームしてたから、もう肩が凝りまくっててよー」
億康「あ、オイ仗助。それ食うなら上着脱いどけよ。服が垢まみれになっちまうぜー」
仗助「わーってるよ。よっ……と」ヌギッ
ジョルノ(……!!あれは、僕と同じ……!)
ポルナレフ「そ、その肩口にある星形のアザ……、まさか君は、ジョースターの血統ッ!?」
仗助「……へ?何でジジイの名前知ってんスか?」
[数分後]
ポルナレフ「カクカークシカジカ」
仗助「へェー、びっくりした。承太郎さん達のお知り合いだったんスか。奇遇っスねー」
ポルナレフ「しかし、私もびっくりしたぞ、仗助。承太郎の言っていた『爬虫類が苦手な叔父』というのはお前の事だったのか」
仗助「あの承太郎さんが俺の『甥』ってのも、ヘンな感じッスけどね」
ポルナレフ「……スタンドは遺伝しているだろうから、スタンド使いを調査していけばその内会えるだろうとは思っていたが……。
まさか、こんなに早くジョースターさんの息子に会えるとはな」
億康「『スタンド使い』は『スタンド使い』とひかれ合うー、ってか。
気をつけろよ、ポルナレフさん達。この町、一人スタンド使い見かけたらその辺に十人はいるからよォー」
仗助「人をゴキブリみてーに言うのやめろ」
トニオ「……さ、皆サンの話が一段落した所デ、そろそろそちらのお客サマの注文取らないとデスネ。ちょっと手のひら拝見シマ……、ス、……!!」
仗助「おお、鬼の形相」
トニオ「な……ッ、何ですカこれハッ!?信じられナイ!!睡眠不足に栄養不足、肩コリ、過労、頭痛腹痛、エトセトラ、エトセトラ……、
こんなに不健康なヒト、今まで見た事アリマセンッ!!」
ジョルノ「……まぁ、近頃忙しかったので……」
トニオ「……ゆ、許せナイッ!……こうなったら、覚悟して下サイ。ワタシのフルコースで、何が何でも健康になって帰っテもらいますからネッ!!」
億康「おお。ここまで燃えてるトニオさん、初めて見るぜー」
ポルナレフ「……よく今まで倒れなかったな、ジョルノ」
ジョルノ「凄みで何とかなりました」
ポルナレフ「凄みならしょうがないな……」
[数十分後]
ポルナレフ「――そこで私はこう言ってやったのさ。『おれはてめーの○○○○以外を切り刻む!』、とな!」
億康「だ~っはっはっはっは!マジかよ!あんたサイコーだぜポルナレフさん!!」
ギャイギャイ
仗助「……スゲーな億康の奴、マジでギャング組織のNo.2と意気投合してやがる……」
ジョルノ「ギャング組織のNo.1の血縁である貴方も、中々珍しい存在だと思いますよ」
仗助「それもそっスね。……ん?それじゃあ、俺はジョルノの何に当たるんスかね。従兄弟?」
ジョルノ「……僕の父が、貴方の父親の祖父に当たるわけですから、僕にとって仗助は……」
ジョルノ「…………………………………」
仗助「…………………………………」
ジョルノ「……遠い親戚に当たりますね」
仗助「考えるのを止めてんじゃねーっスよ」
億康「……お、トニオさん出てきた。おいジョルノ、どうやら準備が出来たみてーだぜー」
ジョルノ「……!ついに来ましたか」
トニオ「お待たせしマシタ、ジョルノサン。……我が『イタリア料理店トラサルディー』のフルコース、とくと堪能していって下さいネ」
ジョルノ「……言っておきますが、トニオさん。幾千もの会合で、ありとあらゆる一流の料理を食べ尽くした僕の舌は、人よりずっと肥えていますよ」
トニオ「フフフ。それは、喜ばせ甲斐があるというものデス」
ポルナレフ「……ジョルノの言っている事は誇張でも何でもない。かつて、コンビニ弁当のような気軽さで、
世界最高峰のシェフの料理を食べていたジョルノの舌を喜ばせるのは、容易な事じゃあないぞ」
億康「だーいじょうぶだって。その内嫌でも分かるぜ。あの人の料理がどんなにスゴイかって事がよォ~」
ジョルノ「……それでは、いただきます―――」
[数十分後]
トニオ「……さて、お味はどうでしたカ?ジョルノサン」
ジョルノ「ディモールト……、ディモールト・ベネッ!!素晴らしい!こんな味がこの世にあっただなんてッ……!!
トニオさんッ!この味覚の芸術の数々ッ!僕は敬意を表するッ!!」
トニオ「グラッツェ~。そんなに喜んでいただけるナンテ、料理人としてコレ以上の幸せはありまセン!」
仗助「店内は割とスプラッタだけどな」
億康「おう、もう面白いくらいポンポン飛んでってたもんな。腕やらモツやら」
ジョルノ(……しかし、味もさることながら、あんなに悪かった体調がすっかり良くなった……。……これがスタンド『パール・ジャム』の効力、か)
ジョルノ「……どうでしょう、トニオさん。貴方、我がパッショーネでその腕を振るう気はありませんか?」
トニオ「……!!」
トニオ「……今、パッショーネと仰いマシタ?もしかしテ、あのギャング組織ノ……?」
ジョルノ「ああ、誤解しないで下さい。確かにギャング組織ではありますが、週休二日、福利厚生もしっかりしていて残業代は十五分毎に出ます」
仗助「めちゃくちゃホワイトじゃねーっスか」
トニオ「……そう言えば、噂で聞きマシタ。『パッショーネのボスの正体は、年若い少年だった』、ト。……ジョルノサン、アナタの事だったんデスネ」
ジョルノ「……ええ。その通りです」
トニオ「何せ、ワタシの祖国の事ですカラ。パッショーネの事は噂で知っていますヨ。……この間、『組織の麻薬チームを壊滅させた』という事も、ネ」
ジョルノ「……責めますか?僕らの事を」
トニオ「……まさカ。ワタシは、皆サンに健康になってもらう為二料理を作りますガ、麻薬は人々の健康を害シ、時にはその命さえ奪いマス。
そんなモノがワタシの故郷で出回っていた、というのはとても悲しい事でしたカラ。責めるなんてとんでもナイ、……むしろ、感謝していますヨ」
トニオ「……その様子だト、ワタシの本名の事。ご存じなんでショウ?」
ジョルノ「!」
トニオ「御心配は無用ですヨ。……ワタシの願いは皆サマに美味しい料理を食べてもらうコト。本当に、ただそれだけなんデス」
ジョルノ「……貴方は、本当に素晴らしい料理人だ」
トニオ「勿体無いお言葉デス。……それト。さっきのお話、すみませんがお断りしますネ。ワタシは、この杜王町が大好きですカラ」
ジョルノ「……そうですか。それは残念です」
仗助(ホッ)
億康(ホッ)
ポルナレフ(心底嬉しそうだ……)
トニオ「……ジョルノサン。また、いつでもいらして下サイ。とっておきのフルコースの用意をして、お待ちしていマスヨ」
ジョルノ「ええ。必ず、またいつか食べにきます」
ポルナレフ(……だが、良かった。体調も含め、すっかり元気になったようだ)
ジョルノ「……ああ、そうだ。トニオさん。この店、テイクアウトは出来ますか?」
トニオ「エエ、承っていますヨ」
ジョルノ「…………ワキガに効く料理って作れますかね?」
トニオ「……!?」
[その頃のパッショーネ]
ミスタ「へ、へッークション!……チクショー、誰か俺の噂でもしてんのか?」
フーゴ「言ってる暇があったら手ェ動かせこのクサレ脳ミソがッ!!」
←TO BE CONTINUED...
[おまけ]
トニオ「これはワタシの、ほんノ感謝の気持ちなのですガ……。おまけのデザート、プリンでス。どうぞ、ジョルノサン」
ジョルノ「…………!!!」
ジョルノ「……ポルナレフさん。このプリン、食べると無くなってしまいますよね?」
ポルナレフ「まぁ、当然だな」
ジョルノ「……そこで、僕は考えたのですが、
自分にGER発動する
↓
永遠に『食べ終わった』という結論に辿り着かない
↓
ずっと食べていられ」
ポルナレフ「やめなさい」
ジョルノ「良い作戦だと思ったんですが……」
【3】
ジョルノ「……さて。これで、僕達がここで為さねばならない仕事は終わった訳ですが……」
億康「えー、まさかもうイタリアに帰んのかよォー。折角だから観光でもして行けよー、良い所だぜ~杜王町」
仗助「そうそう。来たばっかなのに勿体ないぜー。何だったら俺らが案内するからよォ」
ポルナレフ「……私も彼らと同意見だ、ジョルノ。皆が作ってくれた折角の休み、もう少し満喫してもいいんじゃあないか?」
ジョルノ「……そうですね。それじゃあ、お言葉に甘えさせていただきます」
億康「そうこなくっちゃあな!やっぱり人間、息抜きが大事だぜ―」
仗助「……ところで、お二人。承太郎さんにはまだ会ってないんスか?」
ポルナレフ「……?まるで、この町に承太郎がいるみたいな言い方だな。奴は今、SPW財団関係で世界中を飛び回っていると聞いたが……」
仗助「それが、昨日からこの杜王町に来てるんスよ。…………何と、娘さんを連れて」
ポルナレフ「な、何だってッ!?」
仗助「何でも、戦友の実家の墓がS市内にあるから、参りに来たついでにこっちに寄ったんだとか。ほら、今はお盆っスから」
億康「何だったっけな名前。確か地名にもなってたような気がするんだがよォ……」
ポルナレフ「…………成程」
ジョルノ「……しかし、娘さんを連れて墓参り?変わっていますね」
仗助「……言われてみりゃあそうだな。何か事情でもあるんスかね……?」
―――――
――――――――
――――――――――――
[数日前/承太郎宅]
承太郎「……それじゃあ、行ってくる」
承太郎妻「……ねえ、あなた。一つ、お願いがあるの」
承太郎「…………?」
承太郎妻「……あの子も、徐倫も連れて行ってあげて」
承太郎「…………!?」
承太郎「し、しかし……」
承太郎妻「……今から行く所は、そんなに危険な場所?」
承太郎「……そういう訳ではないが……」
承太郎妻「それなら、お願いよ。……あなたはその用事が終わったら、またしばらくは帰って来ないのでしょう?」
承太郎「……ああ」
承太郎妻「……私は、あなたを信じているわ。ちっとも家に帰ってこないのも、何か事情があるのだと、ね」
承太郎妻「けれど、あの子はまだ7歳……。信じろと言う方が酷ってものよ」
承太郎「……………………」
承太郎妻「このままじゃあ、あなたに抱いた不信感は揺るぎのないものになってしまうわ……。
だから、お願い。徐倫があなたの愛情を疑ってしまわない内に、あの子に示してあげて……」
承太郎「…………」
承太郎妻「…………あら、ジョジョ。そんな所にいたの?……ちょっと、こっちにいらっしゃい」
徐倫「……なぁに?ママ」
承太郎(……、愛情、か……)
承太郎「……徐倫」
徐倫「! そのにもつ……。……そう、もうしゅっぱつするのね」
承太郎「……それなんだが。……いまから、父さんと一緒にお出かけするか?」
徐倫「!! ほんと?徐倫も、日本につれていってくれるの?」
承太郎「あ、ああ。お前さえ良ければなんだが……」
徐倫「わあ、すごい!どういうかぜのふきまわし?」
承太郎「グッ!……む、難しい言葉を知っているな」
承太郎妻(……ふふ、よかった。徐倫ったら、あんなに嬉しそう……)
――――――――――――
――――――――
―――――
[杜王町/海岸]
承太郎「これが、日本の海だ。……気に入ったか?徐倫」
徐倫「ええ。しずかで、ひろくて、とってもきれい……」
承太郎「……そうか、それはよかった。……しかし、日差しが強いな。しっかりと帽子を被っているんだぞ」
徐倫「わかってるわ。パp……、父さん」
承太郎(……おしい)
徐倫「……あ。見て、父さん。ヒトデがいるわ。かわいいわね」
承太郎「ああ、そうだ、な……、……ッ!? ……こ、これはッ!!」
徐倫「どうしたの?父さん」
承太郎「……これは、標本も世界に数個しかないと言われる希少種のヒトデ、リュウグウサクラヒトデではないかッ!!」
徐倫「りゅうぐ……?え?」
承太郎「何故こんな所に、こんなヒトデが……!!……すまない徐倫、少し時間をくれ。この事を事細かに調査しなくては……!!」
徐倫「……かまわないわ」
承太郎「ありがとう。……さて、まずは写真だな。……いや、その前に現在の時刻を――」
徐倫(……もう自分の世界に入っちゃった)
徐倫(……それにしても。ヒトデの何が、あの父さんをあそこまで燃え上がらせるのかしら……)
ゴォオッ!!
徐倫(!! しまったッ! 突風で、帽子がッ!!)
徐倫(いけない!見失う前に、追いかけなきゃッ!!)
ダダダッ
承太郎「……深海性のヒトデが浜に打ち上げられているのに、損傷が少ない……?まさか新種と言う可能性も……、ブツブツ」
[数分後]
徐倫(お、追いついた……!…………けれど)
徐倫(何て高い木……。……ダメね。揺すっても落ちてこないわ……)
徐倫(……気は進まないけれど、一度戻って父さんに取ってもらおう……)
徐倫(……………………)
徐倫(……………………)
徐倫(…………そう言えば、ここは何処……?)
徐倫(……ど、どうしよう……。携帯なんて持っていないし、そもそも父さんの携帯番号なんて覚えていないわ……!)
徐倫(交番も近くに見あたらないし……、それに、この帽子……。父さんが買ってくれた帽子を、置いては行けない……)
徐倫(……父さんに何も言わずに走ってきちゃったから、今頃心配しているかしら。……もしかして、怒っているかも)
徐倫(……それとも、気にしてすらいなかったりして…………)
徐倫(……………………)
由花子「……あら、あの女の子。あんな所で一人で泣いているわ……」
康一「ひょっとすると、何か困っているのかもしれないよ。行ってみよう」
康一「……ねえ、そこのお嬢ちゃん。どうかしたの?」
徐倫「……! …………おしえないわ。『知らない人と話してはいけない』って、とうさんがいっていたもの」
康一「……そっか。えーっと、それじゃあ……、ぼくは広瀬康一。こっちは僕の恋人の由花子さんだよ。君の名前は?」
徐倫「……? ……徐倫」
康一「よろしくね、徐倫ちゃん。……これで僕達、知り合いになれたね。それで、良ければ何があったか、僕らに教えてくれないかい?」
徐倫「……!」
徐倫「……じつは、そこの木のうえに、だいじなぼうしがひっかかってしまったの……」
康一「……あ、ホントだ。確かにあの高さじゃあ、木に登る事も出来ないね……。
……よし、徐倫ちゃん。少しの間だけ、目を瞑っていてくれるかな」
徐倫「……?ええ、わかったわ」
康一「……エコーズAct1」ボソッ
エコーズ「ギャアース!」
ポスッ
康一「……もう良いよ、徐倫ちゃん。はい、どうぞ」
徐倫「……!!ぼうしが……!ありがとう、コーイチ!」
徐倫「……でも、どうして?かぜもふいていなかったのに」
康一「え、えーっと……。……あ、そうだ。実はぼく、魔法が使えるんだ!」
徐倫「……………………」
康一(あ……、あの徐倫ちゃんの目……、まるで『お父サンタ』でもみるかのように冷たい目だ……。残酷な目だ……!
『悪いけど私、そこまで子どもじゃないの』って感じの!)
康一(……でもまぁ。よく考えると、強ち嘘ついてる訳でもないんだよな)
徐倫「……ねえ、ふたりとも。もうひとつだけ、たのまれてくれる?わたしに、かいがんまでのみちをおしえてほしいの」
康一「勿論。……けど、あそこまでは人通りが少なくて、一人じゃあ危ないよ。良かったら、そこまで僕たちが案内しようか?」
徐倫「ほんとう?それじゃあ、おねがいするわ」
由花子(……それにしても、こんな小さい子を放っておくだなんて。親は一体何をしているのかしら?)
[その頃の親]
承太郎(間違い無い…………、これは……!!)
承太郎(プラスチック製のおもちゃだ…………!!)
承太郎(海洋学者の名折れだな。こんなものをリュウグウサクラヒトデと見間違えるとは……)
承太郎(……しかし精巧に出来ているな、コレ。持って帰って土産にするか)
承太郎「……すまない、徐倫。待たせたな」
シーン
承太郎「……徐倫?」クルッ
シーン
承太郎「…………!!?」
承太郎「ま、まさか……!!」
――[イメージ図]――――――――――
露伴『やあ、そこの可愛いお嬢ちゃん。アメあげるから僕の家に来ないかい?』
徐倫『わーい!いくいく!』
露伴『フハハハハハハハハァーッ!!かかったなッ!!骨の髄までマンガのネタにしてやるぞーッ!』
――――――――――――――――――
承太郎(……なんてことに……!!)
承太郎「こうしてはいられん!!」ダダダッ
[路上]
露伴「……おや、反対方向から承太郎さんが猛烈な勢いで走ってきている。
……まぁ、挨拶くらいはしておくか。こんにち」
承太郎「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」
露伴「ヤッダーバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
ドグシャアッ!
承太郎(無事でいてくれ、徐倫……!!)ダダダダッ
露伴「ぼ、ぼくが……、何を、したって……、言うん……だ…………、ガハッ」
[岸辺露伴 再起不能]
【4】
[海岸/徐倫side]
由花子「……誰もいないわね」
康一「……もしかすると、徐倫ちゃんがいないことに気がついて、探しに行ってしまったのかも……、……徐倫ちゃん?」
徐倫「……きっと、とうさんはあたしのことなんて、がんちゅうにないんだわ。あのおとこのせかいは、ヒトデをちゅうしんにまわっているんだもの」
康一「ひ、ヒトデ……。……い、いや、そんなことあるもんか!我が子よりもヒトデを可愛がる親なんているはずがないよ!」
徐倫「…………ふふ。ありがと、コーイチ」
康一「…………、徐倫ちゃん……」
徐倫「…………ここまでつれてきてくれて、ありがとう。コーイチ、ユカコ。あとは、じぶんでさがすわ」
康一「自分でって……、この町内を!?む、無茶だよ!」
徐倫「……けれど、もともとまいごになったのは、あたしのじごうじとくだもの。これいじょう、あなたたちにめいわくはかけられないわ」
康一「迷惑だなんて、そんな……!」
康一(……こんなに幼いのに、なんて達観した女の子なんだろう……。……きっと今まで、ずっと寂しい思いをしてきたからなんだろうな)
康一「……徐倫ちゃん。僕らも、君のお父さんを探すの手伝うよ。……いいよね?由花子さん」
由花子「ええ、勿論よ。康一君」
徐倫「…………!!」
徐倫「……でも、ふたりは『でえと』をしてたんでしょう?じゃましちゃ、わるいわ」
由花子「そんな事気にしなくていいのよ。むしろ、今ここでアナタを放ってデートを続ける方が気分が悪いわ」
康一「そう言う事。だから、君は何も心配する事はないんだよ」
徐倫「…………ほんとうにありがとう、ふたりとも。……それしか、いうことばがみつからないわ」
康一「どういたしまして。……さて、徐倫ちゃん。良かったら、君のお父さんの特徴を教えてくれるかな?」
徐倫「わかったわ。えっと、父さんは『後頭部の毛と一体化している帽子を常時着用していて裾の長いコートみたいな服を着ている2m近い海洋学者』よ」
康一「わーどうしよう。すっごく心当たりがあるよ」
康一「ヒトデの地点でうっすら疑ってはいたけど……、ひょっとして、承太郎さんの娘さん!?」
徐倫「!! ……父さんをしっているの!?」
康一「うん、お世話になったというか、命の恩人というか……」
徐倫「……せけんって、ほんとうにせまいのね」
康一「……でも、これで一件落着だね。ぼく、承太郎さんの携帯番号登録しているから、電話かけてみるよ」
トゥルルルルルルルル トゥルルルルルルルル…
康一「……出ないな。電源切ってるのかな?」
[一方その頃]
承太郎「徐倫!何処に居るんだ、徐倫!!」
承太郎(……このまま一人で捜すのは効率が悪すぎるな……)
承太郎(……仗助や億康にも捜すのを手伝ってもらうか)
承太郎(携帯は……、……ああ、あった……)
承太郎(…………!!)
承太郎(充電が切れている……、だと……)
[徐倫side]
由花子「……けれど、『空条承太郎の娘』って分かってるなら話は早いわ。遠方から来ているなら、滞在しているホテルがあるはずだもの」
康一「……そうか。もし承太郎さんが見つからなくても、そのホテルまで送り届けてあげれば良いんだね。
……徐倫ちゃん、何て名前のホテルか覚えてる?」
徐倫「『杜王グランドホテル』よ。そこの『3245号室』に、とまっているの」
康一「よかった。そこなら、この海からそう遠くはないよ!」
徐倫「……けれど、あたしはへやのカギをもっていないの。だいじょうぶかしら?」
康一「多分、鍵はフロントで預かってもらっているんだと思うよ。何か身分を証明することの出来るものは持ってる?」
徐倫「ほ、ほしがたのアザなら……」
康一「フロントに理解されるかどうかは微妙なところだね……」
由花子「……とにかく、行きましょうか。……徐倫ちゃん。はぐれない様に、手を繋ぎましょう」
徐倫「ほんと?じゃあ、ユカコはみぎで、ひだりはコーイチね!」
由花子(!! ……この状況、まるで仲の良い親子みたいじゃない……! ……私も、いつかは康一君とこんな風に……)
康一「ふふ。こうして三人、並んで手を繋いでいると、まるで……」
由花子(…………!!)
康一「宇宙人が捕まったみたいだね!! …………あれ、どうしたの?由花子さん」
由花子「……な、何でもないわ……」
徐倫(……やれやれだわ、コーイチ……)
[一方その頃/ジョルノside]
ジョルノ「……しかし。面白い名所がたくさんありますね、この杜王町には」
億康「だろォ? まぁ、ぶっちゃけ名所の八割方はスタンド絡みなんだけどよ」
ポルナレフ「さっきの『ボヨヨン岬』……、だったか。急に億康が崖から飛び降りた時は本気で驚いたが……、アレもスタンド能力か?」
仗助「そうそう。康一の……。……あ、康一ってのは俺らのダチなんスけど。とにかく、そいつのスタンド能力なんスよ」
ジョルノ(…………康一? ……まさかな)
仗助「……しっかし。繋がらないっスねえ、承太郎さんの携帯。電源切ってんのかな」
億康「ま、連絡を待ちがてら、観光案内していくぜー」
ジョルノ「ありがとうございます。……おや」
露伴「」
ジョルノ「……仗助。あそこに誰か倒れているみたいですが」
仗助「え!?ほ、本当だ!人が……って、うっわ露伴だ。……えーっと、アレは杜王町名物『妖怪キシベロハン』っス。
目を合わせると本にされるから、無視して通り過ぎるのが正解……」
露伴「待たんかこのクソッタレがッ!!」
仗助「うおお起きてた!!……何スかもー。こちとら酔っ払いの相手してる暇は無いんスよー」
露伴「この僕が酔っぱらって路上で爆睡するような人間に見えるとでも言うのかッ!!
……ったく。いいからとっととお前の『クレイジー・ダイヤモンド』でこの傷を治せ」
仗助「うーわ腹立つ……。まぁ、このまま路上に居られんのも通行人の迷惑か……。気は乗らねーけど『クレイジー・ダイヤモンド』!!」
[数分後]
仗助「ホレ、もう治ったっスよ。これで貸し一つっスからね」
露伴「分かったよ……。全く、どうしてこう『ジョースターの血族』ってやつは、僕の神経に障ることばかりを……」
仗助「……ん?もしかして、承太郎さんに会ったんスか?」
露伴「あったも何も、その承太郎さんにすれ違い様ボコボコにされてここでのびていたんだッ!!」
仗助「へぇ。今度は何したんスか?」
露伴「誓って言うが、何もしていないッ!僕はただ道を歩いていただけだッ!!」
仗助「それなのに殴られただって?説得力ねーなぁ。どうせ『娘さんを見る目つきがいやらしかった』とか、そんなんじゃないんスか?」
露伴「……娘?何を言っているんだ?お前は。……承太郎さんは、確かに『一人』だったぞ」
仗助「……え?」
仗助「……変っスねぇ。今日は一日、一緒に過ごす予定だって聞いてたんスけど」
ジョルノ「もしかすると、彼らに何か予想外の事が起こったのかもしれませんよ。仗助」
露伴「……む?そっちの奴は初めて見る顔だな」
ジョルノ「……初めまして。仗助の遠い親戚、ジョルノ・ジョバァーナと申します。
貴方、『ピンクダークの少年』の作者、『岸辺露伴』先生ですよね?お会いできて光栄です」
露伴「……!!『ジョースターの血族』の割には、見る目があるじゃあないか。どうだい。何なら今ここでサインを書いてやってもいいが……」
ジョルノ「いえ、かさばるからいいです」
露伴「…………そうか」
仗助「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
億康「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
[数分後]
露伴「……フン、まぁいい。承太郎さんを探しているんだろ?彼なら、この道をまっすぐ走って行ったぞ」
仗助「あざーっス……。……クソ、痛ってぇ……、ちょっと指さして笑ったくらいで、なにも拳骨するこたあねーじゃねっスか……」
億康「大人げないぜー先生よォー……。いてて」
露伴「馬鹿め、大人をコケにするからこうなるんだ。よく覚えておけ」
ジョルノ「こんな大人にはなりたくないですね、ポルナレフさん」ヒソヒソ
ポルナレフ「言ってやるな、ジョルノ。世の中には色々な人がいるものだ」ヒソヒソ
露伴「そこのお前。その独り言、バッチリ聞こえているからな……」
[数分後]
仗助「……いやー。それにしても、とんだ災難だったっスね」
億康「全くだぜ」
ジョルノ「半分は貴方たちの自業自得だと思いますが……」
ポルナレフ「……しかし、妙だな。あの承太郎が敵意の無い人間に暴力を振るうなど…………」
ポルナレフ「…………………………」
ポルナレフ(そう言えば無くもなかった)※運命の車輪戦
仗助「……それに、承太郎さんが『一人』だった、ってのも気になるところっスね……」
億康「とにかく、承太郎さんはこの先にいるんだろ?早い所見つけちまおうぜ」
仗助「……おう、そうだな――――」
【5】
[杜王グランドホテル前/徐倫side]
由花子「……ホテルには着いたけれど。『身分が証明できないなら、部屋には入れません』だなんて……。締め付けてやろうかしら、あのボーイ」
康一「し、しょうがないよ。ほら、最近物騒だし……。……大人しく承太郎さんが来るまで待つしかないね」
由花子「……それにしても、暑いわね。……こうも暑いと、化粧が崩れてしまうわ」
康一「由花子さんは化粧をしなくても綺麗だから、別に良いんじゃあないかなぁ。……あ、アイスが売っているよ、徐倫ちゃん。食べる?」
徐倫「……ありがとう。でも、こんなにしんせつにしてもらっているんだもの。これいじょうはうけとれないから、きもちだけもらっておくわ」
康一「君、本当に7歳……?」
由花子「……ねえ、徐倫ちゃん。……アナタ、『強い女』なのね」
徐倫「……?」
由花子「何かを我慢出来るっていうのは、強い女の証拠よ。……だけどね。強いだけじゃあ、『いい女』にはなれないわ」
徐倫「『いいオンナ』……?」
由花子「そう。理想への道は、自らの手で切り開くものなの。伝えたい事があるのなら、遠慮なんてしちゃあダメ。
……徐倫ちゃん。これは、アイスの事だけを言っているんじゃあないのよ」
徐倫「……!」
由花子「いい?もう一度、分かりやすく言うわよ。『女たるもの遠慮は無用』。ついでに言うと手段も選ぶ必要はないわ。
現に私は、これで康一君という名の幸せを勝ち取ったもの」
康一(由花子さんが言うと説得力あるなぁ……)
徐倫「……ありがと、ユカコ。あなた、とっても『いいオンナ』ね」
由花子「ふふ、ありがとう。きっとアナタもすぐになれるわ。ステキな人が見つかれば、ね」
康一(……これが女同士の友情ってやつか。……願わくば将来、徐倫ちゃんが好きな人を拉致監禁したりしませんように……)
徐倫「……ねえ、コーイチ。アイスって、チョコチップがはいったやつでもいいのかしら?」
康一「……! もちろんだよ。……あ、すいません、チョコチップ三つ下さい――」
[数十分後]
康一「……それにしても。来ないなあ、承太郎さん。携帯も相変わらず繋がらないし……」
由花子「…………ねえ、康一君。もしかすると、もう承太郎さんの連絡を待つ必要はないかもしれないわよ」
康一「……?どういう事?由花子さん」
由花子「ほら、あそこを見て頂戴」
康一「……!!あ、あれは……、あの人はッ!」
徐倫「ひ、ひいひいおじいちゃん!?」
ジョセフ「……! 徐倫!それに、康一君と由花子さん?……承太郎はどうしたんじゃ?」
[数分後]
康一「カクカクシカジカ」
ジョセフ「なるほどの……。大変じゃったのう、徐倫」
徐倫「ううん、ヘーキよ。だって、コーイチとユカコがたすけてくれたもの」
ジョセフ「……ありがとうの、二人とも。……さて、若いものには負けておられん。ジジイも本領発揮するかのう。『ハーミット・パープル』!」バシャコ
康一「……どうでしたか?ジョースターさん」
ジョセフ「…………ひたすら水平線に向かって叫んでおる孫が撮れたわい」
康一「……、えーっと……」
由花子「……必死さだけはありありと伝わってくるわね」
康一「……どうする?僕らも海まで行くべきかな?」
由花子「……いえ。この写真だけじゃあ、詳しい場所までは分からないわ。入れ違いになるのを防ぐためにも、ここにいる方が無難じゃあないかしら」
ジョセフ「ジジイ役立たずですまんのう」
徐倫「でも、びっくりしたわ、おじいちゃん。こっちにくるって、きいていなかったもの」
ジョセフ「いや何、たまたまこの町を念写していたら、懐かしい顔が見えたものでの……。大慌てで一番速い船に乗って、ここまで来たんじゃよ」
徐倫「……おじいちゃん。ねんしゃってなぁに?」
ジョセフ「……て、手品の一種じゃ。手品」
徐倫「ふぅん。……ところで、なつかしいかおって、だれのこと?」
ジョセフ「……わしらの古い友人じゃよ。もう随分と長い事会っていない、の……」
[一方その頃/仗助side]
ポルナレフ「は、ハーックション!……誰かが私の噂でもしているのか?」
仗助「……幽霊でもくしゃみって出るんスね~。 ところで、ポルナレフさん。承太郎さんって昔っから、ああもヒトデマニアだったんスか?」
ポルナレフ「ひ、ヒトデマニア……?……いや、知らないな。少なくとも、旅の道中はそんな素振り見せていなかったが……。
そんなにヒトデが好きなように見えるのか?」
仗助「いや、もうマジですごいっスよ。こないだ承太郎さんに『伝説のスタフィー』貸したら、三日でやりこみ要素コンプして返してきたっスもん」
億康「あー。そういや、こないだ康一が『承太郎さんがDS片手に男泣きしてたから何事かと思った』って言ってたが、
成程、スタフィーしてたのか。そりゃあ泣くよなァ」
ポルナレフ(丸くなったな、承太郎…………)
仗助「……ん?噂をすりゃあ……。オイ億康。あそこにいるの、承太郎さんじゃね?」
億康「お?……おお、ホントだ。おーい承太郎さ――――――――ん!!」
承太郎「!! お前たち。……ちょうど良かった」
[数分後]
承太郎「カクカクシカジカ」
億康「なるほど。要するに『実の娘そっちのけでおもちゃのヒトデに夢中になっていたら、娘を見失った』って事だな!」
承太郎「違っ、……わ、ない……」
仗助(容赦ねえ……)
仗助「しっかしまぁ……。そんなんじゃあ、娘さんに嫌われたって文句は言えないっスよ……」
承太郎「……返す言葉も無い」
承太郎「……仗助、億康。……すまん、捜すのを手伝ってくれ……」
仗助「も、勿論っスよ!なあ億康!」
億康「おう!……てな訳で、わりぃな二人とも。また今度町案内するからよー!」
ジョルノ「……迷子を捜すのなら、人手が多い方が良いでしょう?良ければ、僕たちも手伝いますよ」
ポルナレフ「……海洋学者としてはどうか知らんが、人の親としては成長していないようだな、承太郎」
承太郎「……!お前は、ジョルノ・ジョバァーナ……!?それにその声、まさかポルナレフかッ!!」
ポルナレフ「全く……。久々の対面が、まさかこんな形になろうとは……」
仗助「……ほら、こんだけスタンド使いがいりゃあ、すぐに見つかりますって!早く捜しに行くっスよ!!」
承太郎「……すまない。感謝の言葉もない……」
ジョルノ「……承太郎さん。貴方は今、ホテルに滞在しているんですよね?先に部屋へ戻っているという可能性は……?」
承太郎「……俺もそれを考えはしたが、恐らく徐倫は海岸からホテルまでの道のりを知らないはずだ。
ここへ来るのは初めてだし、あの近辺には地図も無かったからな……」
仗助「……それで、ずっと海岸沿いを捜してたんスね」
ポルナレフ「……しかし。そこまで海岸沿いを捜して見つからないのなら……。何らかの方法で、もう既に戻っているのかもしれんぞ。
一度ホテルを捜してみてはどうだ?」
承太郎「……そうだな。それじゃあ、そこはお前らに任せてもいいか?……俺は、もう少しこの近辺を捜そうと思う。
……『もし、溺れでもしていたら』と思うと、な……」
ポルナレフ「承太郎……」
仗助「……一刻も早く見つけてあげなきゃなァ、こりゃあ……!」
【6】
[杜王グランドホテル前]
由花子「……あら。見て、康一君。見覚えのあるリーゼント頭がこっちに向かってきているわ」
康一「あ、本当だ。何だか見慣れない頭も混じっているみたいだけど……」
仗助「おー、康一!由花子!ちょっと手伝ってくれ……、って、うおおおおこんなアッサリと!?み、見っけたっスよ、徐倫ちゃん!!」
徐倫「……?アナタ、だあれ?」
仗助「あ。えっと、初めまして。俺は君の大叔父にあたる、東方仗助っス」
徐倫「『大叔父』……? ……ああ、なるほど…………」
ジョセフ(玄孫の視線が痛い)
[数分後]
康一「カクカクシカジカ」
仗助「……成程、康一たちがホテルまで連れてってたのか……。いやホント無事でよかった。早い所承太郎さんに知らせなきゃあな……。
今、俺の携帯、承太郎さんに貸してるから、代わりに掛けてくれねーか?康一」
康一「うん、分かった。……でも、良かったね、徐倫ちゃん。もう大丈夫だよ。……どうかしたの?徐倫ちゃん」
徐倫「……ねえ、ジョースケ。とうさん、おこってた?」
仗助「そんな事無いっスよ!むしろ怒られるべきは承太郎さんっつーか、ヒトデのおもちゃっつーか……」
徐倫「……おもちゃ?」
仗助「あっ、やべ口が滑った。いや実はカクカクシカジカ……。……と、とにかく!怒ってなんかなかったっスよ、承太郎さん。
むしろ、死ぬほど徐倫ちゃんの事心配してたんスから」
徐倫「……そう」
仗助「あ。ジョルノ、ポルナレフさん。紹介するぜ、こいつが、俺らのダチの康一……」
ジョルノ「……やあ。一年振りだね、コーイチ君。」
康一「お、お前はジョルノッ!?どうしてここに……!?」
仗助「……何だ?お前ら、知り合いだったのかよ。……って、うおお!何でジジイがここに!?いつの間にこっち来てたのかよッ!?」
ジョセフ「……久しぶりじゃのう、かわいい我が息子よ。……そして、誇り高き我が友よ」
ポルナレフ「…………!!ジョースターさん……」
ジョセフ「ほっほ。死してなお、そのマヌケ面は変わっておらんようじゃの。ポルナレフ」
ポルナレフ「……フッ、相変わらず、口の減らないじいさんだ」
仗助(……おお。何か、雰囲気違うなジジイ)
ジョセフ「こいつの事は前に話さなかったかのう?仗助。ほれ、十三年前の旅の同行者のフランス人…………」
仗助「……ああ!あの人か。ったく。そりゃあ気付かないはずだぜ。ジジイ、俺に名前間違えて教えてんじゃねーかよォー」
ジョセフ「はて、そうじゃったか?」
億康「まぁ、しょうがないだろー。何せジョースターさん、『レッド・ホット・チリ・ペッパー』を
『ポッポ・ポッポ・ハトポッポー』って聞き違えるレベルでお年を召してるんだからよー」
ポルナレフ「はは、さしものジョースターさんも、寄る年波には勝てなかったか」
仗助「いやー、でもまぁ、変な名前とは思ってたんスよね、便器ナレフって」
ポルナレフ「ジョースターさぁあああああああああああんッ!!」
よければ君の作品を教えてもらえないかな
ポルナレフ「いつまでそのネタ引っ張んだ!いい加減忘れてくれよッ!!」
ジョセフ「何を言っておるんじゃ、ポルナレフ。お前が、オホン!オホ、オホン!ベンキを舐めた事など、このわしが覚えておるわけないじゃろう」
ポルナレフ「寸分違わず覚えてんじゃねえか畜生ォッ!!」
仗助(……おお、こんな楽しそうなジジイ初めて見た)
ポルナレフ「というかアンタこそ、旅の道中『愛するのは妻一人だけ』だの何だの散々言っておきながら、随分立派な息子さんがいるじゃあないか?」
ジョセフ「そ、それはその。アレじゃ。若気の至りというか……」
仗助「当時63歳児が何ほざいてんスか」
ジョセフ「息子が手厳しい……」
ポルナレフ「自業自得って言葉知ってっか」
ジョセフ「全く……。幽霊となっても騒々しい男じゃな、お前は。安心したわい」
ポルナレフ「そっちこそ、長生きしてるようで安心したぜ。しみったれたじいさんよ」
ジョセフ「当たり前じゃ。『世界が一巡するまで』生きるのが、目下の目標じゃからのう」
ポルナレフ「……出来そうなのが逆に怖いな」
ポルナレフ「……しかし、遅いな。あんたのケチくさい孫は」
ジョセフ「こっちには向かって来ておるようじゃがの。念写せずとも、ジョースターの気配が猛烈な勢いで近づいてくるのが分かるわい」
ポルナレフ「……あんた含め、承太郎、仗助、ジョルノ、そして徐倫……。『ジョースターの血族』勢ぞろいだな」
ジョセフ「こうしてみると、皆、美形揃いじゃのう。……若い頃のわしにそっくりじゃ」
ポルナレフ「何を張り合ってんだ、アンタは……」
[数分後]
仗助「……あ、徐倫ちゃん!ほらほら、承太郎さん来たっスよ!」
康一「……ああ、さっきから地響きがすると思ったら、承太郎さんの足音か……。うわっ見たこともない位全力で走ってる。行ってあげなよ、徐倫ちゃん」
徐倫「……ええ、そうね……」
由花子「……あ。ちょっと待って、徐倫ちゃん」
徐倫「?」
由花子「……さっきアイス屋さんの前で言ったこと、忘れちゃあ駄目よ」コソッ
徐倫「!」
徐倫「……ユカコ。あなた、もしかして、このしゅんかんのために、ああいってくれたの?」
由花子「……どうかしらね。……さあ、行ってあげなさい。お父さんのところに」
徐倫「……ありがとう、いってくる!」ダダッ!
億康「なぁオイ。オメー、さっき徐倫ちゃんに何て言ったんだ?」
由花子「内緒よ」
康一「わあ、脇目も振らず駆けていってる。きっと、よっぽど心細かったんだね……」
承太郎「徐倫……!!」
徐倫「……かってによそにいってしまって、ごめんなさい……。……でも」
徐倫「オラァッ!!!」ドゴォッ!
康一「い、意外!それはスネっ!」
仗助「じょ、承太郎さぁああああああああんッ!!」
億康「……なぁ。マジでさっき徐倫ちゃんに何て言ったんだよ」
由花子「…………内緒よ」
仗助「だ、ダメっスよ徐倫ちゃん!そこ弁慶も泣いちゃうんスから!!ああホラ承太郎さん、痛みに耐えかねて膝ついちゃったじゃないっスかー!」
徐倫「しらないわ、あんなヒトデマン。いいとしして、おもちゃのヒトデにうつつをぬかしていただなんて。シツボーしたわ……」
仗助(口を滑らせるべきじゃあなかった)
仗助「……でも、徐倫ちゃん。承太郎さんが、心の底から徐倫ちゃんを心配してたってのも本当っスよ」
徐倫「……ほんとうに?」
仗助「本当っスよー。仗助さん嘘つかないっス」
徐倫「……そう。あたし、てっきりヒトデほどにも、とうさんにおもわれていないとおもっていたわ」
仗助「こ、こんな小さな子に何ちゅう不安を抱かせてるんスか、承太郎さん……」
仗助「……確かに、分かりにくいかもしんないっスけど……。……承太郎さんは、マジに徐倫ちゃんの事を愛してるっスよ」
徐倫「……そうかしら。あたしがこうねつで、くるしんでいるときも……。あのおとこは、そばにいてくれなかったわ」
仗助「それは多分、徐倫ちゃんを危険な事に巻き込まない為にしょうがなく、っス。本心では、ずっと娘と一緒に居たいと思ってるはずっスよ」
徐倫「……じつのむすめそっちのけで、おもちゃのヒトデにむちゅうになるようなおとこなのに?」
仗助「……グッ! そ、それは……、その……」
仗助(……承太郎さん、あんたの娘の傷は深いっスよ…………)
[一方その頃]
ポルナレフ「全く……。二人きりの時に、娘から目をはなす奴があるか!」
ジョセフ「わしの曾孫を迷子にさせおって。このスカタンが」
承太郎「……返す言葉も無い」
由花子「……承太郎さん。今、お時間いいかしら?……少し、伝えたい事があるの」
承太郎「……君は、山岸由花子か。……何だ?」
由花子「……『もっと、徐倫ちゃんの傍にいてあげて』。……ただのそれだけよ」
承太郎「……………………」
承太郎「……それは、出来ない。『一緒にいる』という事はイコール、『彼女を危険に晒す』という事だからな……」
由花子「……………………」
承太郎「あの子は、まだ小さいんだ。もし、今『ジョースターの宿命』に巻き込まれたら……。……最早、逃れる術はないだろう」
由花子「……あら、『逃れる』?……面白い事を言うのね」
承太郎「……?」
由花子「あの子は、運命に立ち向かって、そして打ち勝つ強さを持っている……。一緒に居て、そう感じたわ。
……父親の貴方が、それを信じてあげなくて、一体誰が信じるというのかしら?」
承太郎「……それでも、危険に巻き込みたくないというのは、私の我侭なのだろうか……」
由花子「…………ごめんなさい、承太郎さん。私、貴方を勘違いしていたみたい。……とっても良いお父さんなのね、アナタ。
……いつか徐倫ちゃんが、それに気付いてくれるといいのだけれど……」
承太郎「…………気付いてくれなくたって、構わない。無事でいてくれるのなら、それで…………」
.
.
.
[それから、月日は経って]
[十二年後/州立グリーンドルフィン・ストリート刑務所 厳正懲罰隔離房]
FF「――――おかしい……。あんたの負傷……、応急処置はしたのに……。その右腕に。
……でも、なんか文字みたいに見えない?この傷……」
徐倫「待って! これは治さなくていい……。別に傷でもなんでもないわ…」
徐倫(……あたしの父さんは……、あたしが生まれる前から色んなものを守ってきた……。
あたしのそばにいなかったのも……、今ここで起こっているみたいな事に、)
徐倫(ママや……、あたしを巻き込まないためだった…………)
徐倫(『通じた』のよ……。今……、父さんを理解できたと体で感じる……)
徐倫(……あの時は、『父さんをかばう為に、仗助や由花子が嘘をついていた』とばかり思っていたけど……)
徐倫(……気付くの、十二年越しになっちゃったわね。……ごめんなさい、父さん)
徐倫(…………早く、残りのDISCを手に入れなくちゃ。……言いたい事が、たくさんあるんだもの――――)
―――――――――
仗助「……徐倫ちゃん。もし、何か言いにくい事があるなら、俺が承太郎さんに伝えといてあげるっスよ?」
徐倫「……ううん。いいの、ジョースケ。いつか、あなたたちのいうことが、ほんとうだっておもえるときがきたら……。
そのときは、じぶんでいうわ。……なんねんごになるかは、わからないけど」
仗助「そっスか。……ちなみに、何て言うつもりだったんスか?この仗助さんにだけこっそり教えてほしいっスよ」
徐倫「…………ぜったいに、とうさんにはいわない?」
仗助「言わない言わない」
徐倫「…………ゴニョゴニョ」
仗助「! ……そいつぁグレートっスね。承太郎さん、多分泣いて喜ぶっスよ」
徐倫「……じぶんでいっておいてなんだけど、たぶん、あたしがいきてるうちに、このセリフをつかうことはないようなきがするわ……」
仗助「……その時は、生まれ変わってから言ってあげれば良いんスよ。一巡後でも、何巡後でも」
徐倫「……うまれかわって、かぁ……。……ふふ。それじゃあきっと、それはさいこうにしあわせなみらいね――」
[一方その頃]
ジョルノ「…………ポルナレフさん、ちょっと確認したい事があるんですが」
ポルナレフ「どうした?ジョルノ」
ジョルノ「スレタイ、僕ですよね」
ポルナレフ「そうだな」
ジョルノ「後半、僕空気でしたよね」
ポルナレフ「……そうだな」
ジョルノ「…………『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』」
ポルナレフ「止めなさい」
完
おつ
墓参りなしか…
以上です。>>160さんのレス見て、墓参り書いときゃ良かったと後悔しました。
支援、乙してくださった皆様、本当にありがとうございました。
ちょっと墓参りを書かなかった事を本格的に後悔しだしたので、書こうと思います。
ながらなので変な所が出ると思いますが、ご容赦ください
[おまけ 墓参りに行こう!]
露伴「……ったく。何なんだ、今日という日は……。承太郎さんにはボコられ、仗助のクソッタレとその親戚にはコケにされ……」
露伴「クソッ、僕はただ、盆の墓参りに来ただけだってのに……・」
[杉本家之墓]
露伴「……・この忙しい時期に、暇を縫って来てやったんだ。感謝しろよ」
露伴「……生前の好物なんて覚えていないから、今回もポッキーだ。……その内溶けるだろうが、まぁ許せ」
露伴「……それじゃあ、な……」
鈴美「わぁ!このポッキーくれるの?ありがとう、露伴ちゃん!」
露伴「……ッ!!?」
露伴「なっ……!!ど、どうして……!?」
鈴美「あら、『盆くらいは帰ってこい』って言ってくれたの、露伴ちゃんじゃない」
露伴「……! ……聞こえていたのか」
鈴美「当り前じゃない。……毎月、お墓参りに来てくれて、ありがとうね。露伴ちゃん」
露伴「……フン。一応お前は、僕の命の恩人に当たるんだ。これくらいは当然だろう」
鈴美「もう、素直じゃないんだから……・」
鈴美「それにしても、流石お盆ね。さっきから、色んな幽霊がこの上を飛んでいくわ。
さっきも、『変な髪型の男の人たちと、お利口そうなワンちゃん』が飛んで行っていたわ」
露伴「ヘンな髪型?そりゃあいいや。ひょっとして、仗助のやつがくたばりでもしたのか?」
鈴美「もう!またそういう事言って……・。頭に関しては、露伴ちゃんも人の事言えないじゃない」
鈴美「けれど、本当に変わった髪型だったわ。一体、誰に会いに行くのかしら……?」
露伴「……さあな。それより、折角こっちに来たんだ。僕の愚痴にでも付き合っていけよ」
鈴美「……ふふ、本当に変わらないんだから、露伴ちゃんは……」
[一方その頃]
康一「あ、徐倫ちゃん!ダメじゃないか、ここから離れちゃあ!また迷子になっちゃうよ!」
徐倫「……ごめんなさい、コーイチ。ついつい、はなしこんでしまっていたの」
康一「……話しこんでいた?確か、ここへは初めて来たって……」
由花子「……あら、徐倫ちゃん。その手に持っているものは何?」
徐倫「そこで話していた人たちに貰ったの」
康一「え!?ま、まさか、危ないものじゃあないよねッ!?」
由花子「……?『チェリーの缶詰に、コーヒー味のチューイングガムに、ふ菓子』?」
康一「見た感じ、封は開いていないみたいだけど……。流石に、見知らぬ人から貰ったものは危ないんじゃあ……」
徐倫「……きっと、だいじょうぶよ。とってもやさしそうで、つよそうなひとたちだったわ。……それに」
徐倫「まず、ひとくちめに父さんにたべさせて、あんぜんをかくにんしてからたべるわ」
康一「し、強かだ……」
徐倫「……あのひとたち、『お父さんと一緒に食べるんだよ』っていってた。きっと、とうさんのともだちね」
康一「そっか。それじゃあ、一緒にここで待つように言ってみたらどうかな?どうせ、その内承太郎さん来るんだし」
徐倫「あたしも、そういおうとおもったんだけど、めをはなしたしゅんかん、みんなどこかへいっちゃったの」
康一「……そっか。残念だね。……ぼくも見てみたかったな。承太郎さんの友達……」
[一方その頃]
ポルナレフ「……迷子を捜すといっても、私はただ、カメと一緒に運ばれるだけ……」
ポルナレフ「……妙に疎外感だ。…………ん?そこに、誰かいるの、か……」
ポルナレフ「!!!お、お前たちはッ……!!!」
「――……・、――――……・」
ポルナレフ「……ああ、そうだな。そっちも元気そうで何よりだ」
「――……・?、――、――――……・!」
ポルナレフ「はは、そういうな。これでも中々楽しくやっているよ」
「――……・?、――――……・!! …………」
ポルナレフ「自分でも、そう思うよ。……ま、いつまでも若くはいられない、という事だな……」
「――……・、――――……・。…………」
ポルナレフ「……ああ。私がお前たちのところに行くのは、もう少し経ってから―――もう少し、あの子達の成長を見守ってから―――だな」
「―――――……・……、――――……・…………」
ポルナレフ「……ありがとう、大丈夫だ。……お前たちから受け取ったものは、ちゃんと、次なる世代に繋げたよ」
「――――――――!!!」
ポルナレフ「はは、じゃれるなじゃれるな」
ポルナレフ「……ん?……何だ、もう行くのか。……分かってる、ちゃんと伝えておくよ」
ポルナレフ「それじゃあな、……イギー、……アヴドゥル、……花京院」
ジョルノ「……おや、ポルナレフさん。もしかして、どなたかと電話していたんですか?」
ポルナレフ「……まぁ、似たようなものだ。少し、懐かしい友と、な……」
ジョルノ「そうでしたか。…………ポルナレフさん?」
ジョルノ「どうして、泣いているんですか?」
ポルナレフ「!! ………、………。……何でもないさ。何でも、な……」
[数時間後]
徐倫「……そういえば、とうさん。……とうさんのおともだちから、こんなものをもらったの」
承太郎「……友達?どんな奴だ?」
徐倫「えーっと、『ヘンな髪型の男』と、『ヘンな髪型の男』と、『お利口そうな犬』だったわ」
承太郎(………………)
承太郎「少し、それを見せてくれ。……何だ、これは。『チェリーの缶詰に、コーヒー味の……』」
承太郎「!!!!」
承太郎「……、そうか、成程な…………。……これをくれた奴は、何か言っていたか?」
徐倫「……えっと、たしか、『一緒に帰れなくてすまない、承太郎』って、みんないっていたわ。…………父さん?」
承太郎「………………そう、か…………」
徐倫「……とうさん?……どうしたの?とうさん、おなかいたいの?」
承太郎「……何でも、ない。何でも……………・」
―――――――――――――――――――――――――――――
――ここは、ふしぎな町、杜王町。
宇宙人がいたり、生きた本があるような、ふしぎな町なんですから、
この町では、幽霊くらい、きっと『何でもない』ことなんでしょう。
完
こんどこそ以上です。
こんな遅くまで付き合って下さり、本当にありがとうございました。
>>124
以前は
ポルナレフ「カメの中に住み着いて数日経った‥」
http://blog.livedoor.jp/jyojyo_soku/archives/34501007.html#more
仗助「承太郎さんと相席になって数分経ったっス」
http://jojokimyo2ch.blog.fc2.com/blog-entry-1843.html
を書きました。よろしければ是非
このSSまとめへのコメント
墓参りのところで号泣しそうになった。
本当いいssだなぁ.... グレートっすよこいつはぁ