タマ「僕と契約して魔法少女になってよ!」ワカメ「うん!」 (26)

タマ「契約は成立だ。キミの祈りはエントロピーを凌駕した」

タマ「さぁ解き放ってごらん。その新しい力を」

ワカメ「YATTAAAAAAAAA!!」ピカーン



マスオ「えぇー!? ワカメちゃんは魔法少女になっちゃったのかい!?」

サザエ「あら、ワカメもついに契約したのね」

フネ「タマも身内が契約するものだから張り切っちゃって」ウフフフ

カツオ「ワカメずるーい!! 僕も女の子だったら契約してたのにさー」

タラオ「これでまた新しい楽しみが増えたでーす」

波平「ワカメ……契約したからにはわかっておろうな」



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ワカメ「うん。覚悟はできてるよ、お父さん」

波平「一度、魔法少女になったらもう後戻りはできん」

波平「たった一つの希望で全てを捨てる覚悟があるというなら、もうワシから言うことは何もあるまい」

ワカメ「ありがとう。あたし魔法少女としてこの街を守るよ」

波平「その活きや宜しい。ただし8時までには家に帰ってくるんだぞ」

ワカメ「はーい! じゃあ魔女退治いってきまーす」ガラッ

タマ「ニャー」タッ

マスオ「ほ、本当によかったんですか!? お父さん」

波平「構わん。可愛い子には旅をさせんとな」

サザエ「マスオさんは心配症ねぇ。私だって昔はピチピチの魔法少女だったんだから」ウフ

フネ「でも、あの頃は些細なことで魔女化しかけて色々と大変だったんだから」

波平「左様」

サザエ「そうね……。あの時はみんなに迷惑をかけたわ」

サザエ「母さんがグリーフシード獲ってきてくれなかったら今頃私はこの世にはいなかったわ」

フネ「気に病むことはありませんよ。私だってその昔は魔法少女だったんですもの」フフフ

波平「左様。当時、結界に迷い込んでくれたワシを救ってくれたのが母さんだったからな」

波平「母さんとの出会いはそこから始まった」

フネ「今となっては古臭い思い出ねぇ」

フネ「ところでインキュベーターは今どうしているのかねぇ」

サザエ「そうそう! それは気になるわねぇ」

フネ「この年になってみるともう一度会ってみたいものだねぇ」

サザエ「憎たらしさ相変わらずだろうけど」

フネ「ええ、それこど真実を聞かされた時は驚いたねぇ」

サザエ「でも、一定の年齢を超えれば解約できるっていうものだからよかったものの」

サザエ「そうでなければ自棄になっていたに違いないわ」

フネ「それでも20代後半までバリバリ現役だったけれど」

サザエ「母さんは本当すごいわー。あたしなんか直ぐに解約しちゃったもの」

波平「左様」

マスオ「ところでお父さん! いきなり魔女退治なんて許してよかったんですか!?」

マスオ「せめて使い魔あたりからコツコツと始めた方が……」

波平「心配はいらん。なんせワカメはあの母さんの娘だからな」

フネ「あらあら」ウフフ

カツオ「くぅー、僕に力があればワカメを手取り足取り教えてやれたのに……」

タラオ「ワカメおねぇーちゃんは豆腐メンタルですから、どうせ直ぐに頭からパックンチョされる運命ですよ」

~魔女結界~


ゲルトルート「ウネウネ」

ワカメ「これが魔女……」

タマ「心配はいらないよ。キミのその母親譲りのシャモジがあればお茶の子さいさいだよ」

ワカメ「そ、そうかなぁ……」

アンソニー「「「「ワー」」」」ドドドドドド

タマ「気をつけて! くるよ!」

ワカメ「よぉーし! ワカメイッキマース!!」タッ

初陣とは思えない程にワカメは華麗な身のこなしで使い魔を一掃していく。
四方八方から迫り来る使い魔をしゃもじ一つで引き起こす衝撃波で吹き飛ばす。

ゲルトルート「…」ドドド

寄りかかる魔女に対してワカメはしゃもじで一刀両断する。

ゲルトルート「」シュウウウウ

タマ「これは驚いた……呆気なさすぎる! あの魔女が……呪いを生み出す根源が! まるで赤子をあしらうかのような様だ!」

タマ「ワカメ……キミはもしかして途轍も無い魔法少女になるんじゃないのかな」

ワカメ「もぅー、褒めても嬉しくないんだから~!」テレ

ワカメ「ってもう8時過ぎてるし~!! お父さんに怒られちゃうよ!!」タッ

~磯野家~


波平「BACK COME ON!!!!」ドンッ!!

波平「さっそく門限を破る奴がおるか!!!!」

ワカメ「うわああああああああああんごめんなさぁあああいいいいいい」

波平「それに魔女退治にも時間をかけすぎだ!!!」

波平「母さんやサザエは初陣でもソロで0分針だというのに……!!」

波平「お前ときたら……50分もかかっているじゃないか!!」

マスオ「お、お父さん! ワカメちゃんにはちょっとハードルが高すぎたんですって……」

サザエ「そうよ、それにワカメはまだ小学生なんだから……」

波平「やかましい! 磯野家に弱卒はいらん!!」

波平「ワカメ……ワシはどうやらお前を過大評価していたようだ」

波平「そんな出来の悪い娘に育てた覚えはないぞ!!!」ドンッ!!

ワカメ「びええええええええええええええええええええん」

カツオ「父さん! あまりワカメを責めないでやってくれよ!」

波平「カツオは黙ってなさい。とにかくワカメ……」

波平「お前は物置で反省してなさい」

波平「その程度の実力でこの街を守ろうなんぞ片腹痛いわ」

波平「次、門限を破ったら……ワシはお前を見捨てる」ガラッ

そう言い残せば、殺伐とした静寂な雰囲気が漂うお茶の間から去る波平。

波平「……」

フネ「お父さん……いくらなんでも言い過ぎじゃありませんか?」

波平「これもワカメのためだ……」

波平「小学生だからといって甘んじるわけにはいかんのだ」

波平「幼いからこそ一層厳しい目で見なければ……」

フネ「……」

ワカメ「ぐす……ひぐっ……うぅ……」

タラオ「でぇーす……」

サザエ「ワカメ……お父さんもああ言ってるけれど、それほどあなたを愛している証拠なの」

サザエ「だから気を落とさないで」

ワカメ「でも……次、門限を破ったら捨てるって……」

サザエ「大丈夫よワカメ。今度からはあたしが付き添うから……」

ワカメ「お、お姉ちゃんが……!?」

マスオ「でもサザエ! キミはずっと前に魔法少女をやめたんじゃあ……」

サザエ「一緒に戦うんじゃなくて応援するだけよ。いまさらあたしが戦えるわけないじゃない」

サザエ「でも一人よりも二人。とにかくワカメ……自分に自信を持ちなさい」

ワカメ「お姉ちゃん……!」

カツオ「僕達も応援してるよ。ワカメはきっと強い魔法少女になる」

カツオ「兄である僕がいうだから間違いないさ!」

サザエ「あらあら、いっちょ前によく言うわね」クスクス

マスオ「ワカメちゃん! 困ったときはいつでも僕達を頼っていいんだよ」

タラオ「せいぜい早死しないように気をつけるでーす」

タマ「ニャー」

ワカメ「みんな……ありがとう」



サザエ「じゃあ……物置に布団敷いといたから今日はもう寝なさい」

ワカメ「うん、そうするね」

翌日

~繁華街~


ノリスケ「あぁ……なんでいつも僕はこんな端役に回されるんだろぅ……」

ノリスケ「どうせなら……こう! 主役に成り上がってさ! あのハゲ共を扱き使ってやりたいね」

ノリスケ「ああ……でも無理だろうなぁ……じゃあ死ぬか。こんな世界で生きていても辛いだけなんやし……」



ワカメ「あれは……ノリスケおじさん!」

タマ「どうやら魔女の口づけの影響を受けているようだね。早くしないと取り返しのつかないことになるよ」

ワカメ「でもソウルジェムが全然反応しないんだけど……」

サザエ「こういうときはノリスケさんを尾行するのよ。そうすれば魔女の居場所に近づくことができるかもだわ」

数十分後


~廃墟屋上~


花沢「ぐふふ……死にたがりのみなさん……ようこそおいでらっしゃいました」

ノリスケ達「「「YAHOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!」」」ワーワー

花沢「では、さっそく今生におさらばしてみなさんと共に新世界へと旅立ちましょうね……」ユラユラ



ワカメ「ああっ! 花沢さんまで!」

サザエ「あら、いけないわ! 一刻を争うわ、ワカメ変身なさい!!」

ワカメ「はーい」ピカーン

説明しよう。ワカメの魔法少女姿は海藻をモチーフとした衣装となっている。
ワカメで象られた短めのスカート、そして上半身はワカメで象られたビキニ。
全体的に露出が多めの衣装となっているが問題はない。

ワカメ「変身したけどどうすればいいの?」

サザエ「全員気絶させておきなさい」

ワカメ「はーい」シュバ

ユラユラと屋上の端へと足を進める人々の前に立ちはだかるワカメ。

花沢「邪魔しないで! これは神聖な儀式なの!!!」クワッ

先陣を切ってワカメへと大口を開き襲いかかる花沢。

ワカメ「花沢さん……ごめん」スパーン

花沢「あがっ……あががががががが」

口蓋から真っ二つにされる花沢。
そして続けて周りにいる一人一人の延髄に向けてシャモジを打ち気絶させていく。

ノリスケ達「「「「」」」」バタバタバタバタリ

サザエ「あ! あそこよワカメ! あそこに魔女の結界ができているわ」

ワカメ「本当だ! じゃあ急いで討伐してくるね!」

サザエ「あたし達も行くわよ!!」タッ

タマ「ニャー」タッ

~魔女結界~


エリー「……」

ワカメ「今度こそ……お父さんに認めてもらう!」

使い魔「「「……」」」ビヨーン

サザエ「キャー」

ワカメ「お姉ちゃん! 身体が引っ張られて伸ばされてるよ!!」

サザエ「いいのよ! 私のことは構わず早く魔女を倒しなさい!!」グニョーン

ワカメ「お姉ちゃん……」

ワカメ「……」キッ

エリー「……」ビクッ

ワカメ「もぅ、許さないんだから!」シャモジ

ワカメ「お姉ちゃんを平べったく伸ばした罪きっちりと払ってもらうわ!」

エリー「アワワワワワ」

数十分後


エリ「」シュウウウ

ワカメ「はぁ……はぁ……」

ワカメ「倒せたけど……門限大丈夫かなぁ……」

タマ「19時55分だ。急がないとお父さんの雷がくるよ!」

ワカメ「ひぇえええええええ!! 急がなきゃ!!」タッ

サザエ「人前に出るなら変身解除を忘れずにね!」

~磯野家~


ワカメ「……」

波平「……」

ワカメ「……」

波平「……」

ワカメ「……」

波平「……」

ワカメ「……お、お父さん?」

波平「……まぁ、よかろう」

波平「確かにお前は門限を18秒オーバーで破った」

波平「だがお前は多くの人々を救った」

波平「追い詰められようがその正義の心を忘れておらんことがよくわかった」

波平「それに免じて、今回は許してやろう」

ワカメ「お父さん……!」

サザエ「よかったじゃない! ワカメ」

カツオ「本当だよ! あの頑固なお父さんを認めさせるなんて」

波平「左様」

マスオ「いやぁ、これで一安心ですね!」

フネ「でもこれで甘えてはいけませんよ、ワカメ」

フネ「その正義の志を胸に日頃の鍛錬を怠らないようになさい」

フネ「せめてシャモジをハルバードに変えれるぐらいにはなってもらわんとねぇ」

サザエ「母さんは凄いものねぇ。当時はこの街を襲ったあのワルプルギスの夜をたった一人で撃退したくらいですもん」

フネ「もう昔の話よ」ウフフフ

ワカメ「あのワルプルギスの夜を……!!」

ワカメ「あたし決めた! お母さんのような強い魔法少女になってワルプルギスの夜を倒してみせる!」

サザエ「あらあら!」

フネ「それは大きな目標ねぇ」

波平「まるで若がりし頃の母さんを見ているようだ」

カツオ「こりゃあ兄としても鼻が高いよ」

タラヲ「……」

マスオ「でもワルプルギスの夜って母さんが撃退したんじゃあ……」

波平「左様」

波平「あくまで撃退。恐らく奴は今でも何処かで暴れまわっていることだろう」

波平「母さんや、アレを持ってきなさい」

フネ「はい」スゥ

フネが持ってきたもの――それは掛け軸。

フネ「これが当時の私が記述したワルプルギスの夜に関する資料」

フネ「これには確かワルプルギスの夜の出現予測地を示していたはず……」

フネ「今の時期を考えてみれば恐らく次に現れるのは――」

フネ「グンマー県見滝原市ね」

ワカメ「見滝原……?」

フネ「ワカメ……もし本当にワルプルギスの夜に挑むというのであれば見滝原へ行きなさい」

マスオ「えぇー!? まさかワカメちゃん一人で旅をさせるんですか!?」

サザエ「そんなわけないじゃない」

波平「左様」

波平「ワカメ、お前にその覚悟があるというのなら磯野家総力を上げて見滝原へ進出しよう」

ワカメ「で、でも……そうしたらこの街は一体だれが守るの!?」

タラオ「大丈夫でーす。ワカメお姉ちゃんがいない間はリカちゃんがこの街を守ってくれるですよ」

サザエ「それなら助かるわ!! じゃあ早速身支度を整えましょう!」

マスオ「で、でも会社はどうすんだい!!?」

波平「心配はいらん。有給を取る」

カツオ「じ、じゃあ学校はどうするのさ!?」

波平「休みなさい」

フネ「じゃあ……近所の方々にもご一報を入れないとねぇ」

波平「さぁ皆、明日此処を離れる」

波平「家族一丸となってワカメを立派な魔法少女に育て上げるぞ!」

一家「「「YEAHHHHHHHHHHHHHHHH」」」







魔法少女ワカメ☆マギカ 完


さぁーて! 来週のワカマギは!

ワカメです。晴れて魔法少女なった私ですが、これからは家族とみんなのために
戦っていきたいと思いますのでどうぞ宜しくお願いします!

さて次回は
「ワカメ、見滝原へ立つ」「アナゴ、会社の中であったような」「ワカメ、宿敵現る」の三本です。

来週もまた見てくださいね! じゃんけん……ポン! ウフフフフフフ……。

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