響「なんか最近めっちゃしんどい……」(216)
「はいカット! オッケーでーす!」
「お疲れ様でしたー!」
響「ふぅ……」
オカマD「お疲れ様、響ちゃん。今日もとっても良かったわよ」
響「あ、はい。どうもありがとうございます!」
オカマD「フフッ。また来週もよろしく頼むわね」
響「はい! 頑張ります! それじゃあ今日はこのへんで失礼します!」
オカマD「はいお疲れ様。気をつけて帰るのよ」
響「はーい!」
~帰り道~
響「……はあ……」
響「……ん? メール? 真からか……」
ピッ
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響、もう収録終わった?
もし時間あるようなら、晩ゴハン一緒に食べない?
-------------------------------------------
響「…………」
ポパピプペ
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うん、いま終わったとこだよ☆
一緒に食べよー!!
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ピッ
響「………はあ」
真「でさ~、律子ったら……」
響「あはは! そんなことがあったんだ~」
真「ホント、参っちゃうよね~って、あ、もうこんな時間だ。そろそろ帰ろっか」
響「ん、そだね」
真「じゃーね、響、また明日!」
響「うん! またね、真! ばいばーい!」
響「…………」
響(……なんか、最近しんどいな……)
響(仕事は順調にこなしてるし、事務所の皆とも楽しくやってる……)
響(プロデューサーとも、何の問題も無く上手くやれてるし……)
響(学校の友達も、自分がアイドルとしての仕事が増えて忙しくなっても、今までと同じように仲良くしてくれてる)
響(そして家に帰れば、かけがえのない家族達が自分を待ってる……)
響(何もかも満たされているはず……なのに)
響(……なんか、めっちゃしんどい……)
響「……って! 何考えてるんだ自分! 家族達が家で自分の帰りを待ってるのに、こんな暗いこと考えてちゃだめさー!」
響「うんうん! いつも元気で前向きなのが自分の良いところなんだから、もっとポジティブにいかなきゃ!」
響「な~やんでもし~かたな~い♪ そんなときもあるさ明日は違うさ♪」
響「オー…………」
響「…………はぁ」
~響宅~
響「あ、もう家か……」
響「…………」
響「……いかんいかん! しっかりしろ自分!」
響「いつもみたいに元気に、明るく……!」
ガチャッ
響「はいさーい! 皆元気にしてたかー!?」
バウッバウッ ニャンニャン ブヒブヒ
響「わっ。こら、お前達っ。そんな一気に来られたら自分もみくちゃになっちゃうぞー!」
響「ははは……」
響(そうさ……。こんなに満たされている生活なのに、しんどいはずなんてあるわけない……)
響「皆、すぐにごはんの用意するから待っててね!」
響(……うんうん。これでいい。これでいいんさ……)
スタッフ「お疲れ様でーす!」
響「お疲れ様でしたー!」
響(やっと終わった……早く帰ろう)
響(昨日は無理やり自分を元気づけたりしたけど……)
響(やっぱりしんどい……)
プルルルルルル
響「? 電話……春香?」
ピッ
響「もしもし」
春香『あ、響ちゃん? 今時間大丈夫?』
響「うん、大丈夫さー」
春香『あのね、今から事務所でクレープパーティーやるんだけど、よかったら響ちゃんも来ない?』
響「……え?」
春香『私、久々に今日の午後スケジュール空いてて、誰か来てるかなーって思って事務所に行ったら、同じように千早ちゃんと雪歩も来ててね』
響「…………」
春香『それで、なんか、突発的にやろう! ってことになって。それでスケジュール表見たら、響ちゃんも、今日のお仕事そろそろ終わるころだなーって思って』
響「…………」
春香『……って、イキナリ過ぎだよね……ごめん。響ちゃん、直帰する予定だったかもだし……』
響「………い」
春香『えっ?』
響「行くさー! もちろん!」
春香『えっ、本当!?』
響「そんな楽しそうなの、行かないわけないでしょー! それに自分、どのみち事務所寄るつもりだったし!」
春香『そうなんだー! よかった、じゃあ待ってるね!』
響「うん、すぐに行くねー! じゃあまた後で!」
春香『うん、待ってるね!』
ピッ
響「…………はぁ」
~765プロ事務所~
響「はいさーい!」
春香「あっ! 響ちゃん!」
千早「こんにちは、我那覇さん」
雪歩「ごめんなさい響ちゃん。もう先に始めちゃってますぅ~」
響「くんくん。うわー、すごく良い匂いしてるぞ! 自分も早く食べたいなあ!」
春香「ははっ。響ちゃんたら、そんなに慌てなくても、い~っぱい、作ってあるから!」
千早「ふふっ。我那覇さんはいつも元気いっぱいね」
響「えー? そうかあー? 別に普通だぞ?」
雪歩「はい、響ちゃん。春香ちゃん特製のゴーヤクレープドラゴンフルーツ添え」
響「うぇっ……。さ、流石の自分もそれはどうかと思うぞ……」
春香「まーまー、食べてみてよ! 絶対美味しいから!」
響「えー? もお、しょうがないなあ……はむっ。……って、美味い!」
春香「えへへ、でしょー?」
響「このクリームは……シークアーサー味じゃないか! これがゴーヤの苦みと上手く調和してる!」
春香「へっへ~何気に自信作だったんだ♪」
千早「流石ね、春香」
雪歩「春香ちゃんすごいですぅ~。私ももっと頑張らなきゃ!」
響「うんうん、美味しい美味しい!」
春香「は~楽しかった!」
千早「良い息抜きになったわね」
雪歩「うんうん、またやりたいね!」
響「あはは、そうだなー」
春香「あ、じゃあさじゃあさ、明日日曜だし、今度は全員に声掛けてやってみない?」
響「…………えっ」
春香「今度は……そう、たこ焼きパーティー! とか!」
千早「あら、いいんじゃない? 私も、明日はオフだし」
雪歩「うんうん! やろうやろう! 私は一件だけ撮影あるけど、夕方くらいからなら大丈夫!」
春香「よーし、じゃあやっちゃおっか! 響ちゃんも大丈夫だよね?」
響「…………えっ……」
春香「? 響ちゃん?」
千早「我那覇さん?」
響「あ……あー、ごめん! 自分明日、ちょっと用事があって……」
春香「えー、そうなのー?」
響「う、うん。ごめんね」
千早「まあ、それなら仕方ないわね……」
雪歩「残念ですぅ……」
響「あはは……ご、ごめんね!」
春香「そっかー……それって、一日中ダメな感じ?」
響「え、あ、ああ……うん。ごめんね……」
春香「……ううん! それなら仕方ないよ! そもそも急な話だったし!」
千早「……確かに、春香の提案はいつも急だものね」
春香「ち、千早ちゃん!?」
雪歩「確かに、今日も急でしたぁ」
春香「ゆ、雪歩まで……ひどいよ皆」
千早「ふふっ」
雪歩「くすくす」
響「……あはは! でも、それが春香の良いところさー!」
春香「……ううっ、そう言ってくれるのは響ちゃんだけだよ~」
響「あはははは」
春香「じゃあね、皆!」
千早「ええ、さようなら」
雪歩「バイバイ」
響「ばいばーい! 皆、明日は楽しんでねー!」
春香「響ちゃんも、もし来れそうだったら来てねー!」
響「……ああ、もちろんさー!」
響「…………はあ」
響「…………」
響「……自分……」
響「…………」
響「…………」
響「……いや、もう考えるな」
響「……帰ろう、早く……」
パパーッ
響「? クラクション?」
オカマD「やっほー」
響「……ディレクターさん……?」
オカマD「どうしたの? 浮かない顔しちゃって」
響「うぇっ? そ、そんなことないです……よ」
オカマD「うーそ」
響「うっ……」
オカマD「分かるわよ、長いこと一緒に仕事してるんだから」
響「…………」
オカマD「……話くらいなら、聞くけど?」
響「…………」
~ラーメン屋~
オカマD「ま、アイドルが居酒屋ってのはまずいでしょうし、ここで我慢してちょうだい」
響「いえ、そんな、全然……」
オカマD「……で? 何があったの? 仕事上の悩み?」
響「…………」フルフル
オカマD「まあ、そりゃそうか。まったくもって順風満帆そのものだものね」
響「…………」
オカマD「じゃあ、友達とケンカでもした?」
響「…………」フルフル
オカマD「うーん。じゃあ、恋の悩み! とか?」
響「…………」フルフル
オカマD「……ふむ」
響「…………」
響「何も……何も、ないんです」
オカマD「何も……ない?」
響「悩みなんて、何も……」
オカマD「…………」
響「……仕事は特に問題なくこなせてるし、事務所の皆とも上手くやれてる。学校でも特に何の問題もなく楽しく過ごせてる……」
オカマD「…………」
響「そして家に帰れば、かけがえの無い家族達が自分を待ってる……」
オカマD「…………」
響「全てにおいて満たされてる……何の不満も無い毎日……のはず、なのに」
オカマD「…………」
響「……なのに、すごくしんどくて……」
オカマD「…………」
響「……今日も、事務所の皆でクレープパーティーやって、楽しいはずなのに……全然、楽しめなくて」
オカマD「…………」
響「途中から、早く終わらないかなって、そればっか考えてて……時計の方ばっか見てて」
オカマD「…………」
響「……でもそれを皆には気付かれたくなくて、だから必死で楽しんでるフリして」
オカマD「…………」
響「終わった後、明日も、たこ焼きパーティーやろうって話になったんだけど……自分、なんかもう、ホントしんどくて……」
オカマD「…………」
響「……ウソ、ついちゃった」
オカマD「…………」
響「明日は一日、何の予定もないのに……『用事があるから行けない』って……」
オカマD「…………」
響「……最低……ですよね。せっかく、皆で一緒にやろうって話になったのに……」
オカマD「…………」
響「……ごめんなさい」
オカマD「……なんで、謝るの?」
響「いや、なんか……」
オカマD「……なんか?」
響「……多分、こんな自分の姿知ったら、ディレクターさんも、がっかりするんじゃないかなって……」
オカマD「…………」
響「だから……」
オカマD「……響ちゃん」
響「……はい」
オカマD「……それで、分かったの?」
響「……え?」
オカマD「……自分が、そこまで、しんどさを感じている理由は」
響「…………」フルフル
オカマD「…………」
響「……わかんない……わかんないんです」
オカマD「……そう」
響「おかしいですよね……。こんなに満たされているはずなのに、幸せなはずなのに……」
オカマD「…………」
響「皆の事、大好きなのに……なのに、今はもう、何もかもが面倒くさくて……うっとうしいとさえ、感じていて」
オカマD「…………」
響「ごめんなさい。……やっぱり自分、最て――」
オカマD「響ちゃん」
響「?」
オカマD「……その先は言っちゃダメ」
響「……えっ」
オカマD「……いい? 響ちゃん」
響「…………」
オカマD「あなたは、おかしくなんてないわ」
響「……えっ」
オカマD「……何か悩みがあるわけでもない。仕事も人間関係も、全て上手くいっている」
響「…………」
オカマD「……でも、何故か無性にしんどい。めんどくさい。かったるい。けだるい。もう何もかもがどうでもいい」
響「…………」
オカマD「……そんなことは、よくあることなのよ」
響「よく、ある……?」
オカマD「……そう。何故なら……」
響「…………」
オカマD「……それが、人間っていう生き物だからよ」
響「…………」
オカマD「……人間っていうのは、常にロジックだけでできてるわけじゃない」
響「…………」
オカマD「……かといって、その全てを感情だけで説明できるわけでもない」
響「…………」
オカマD「理屈でも感情でもなく、ただ一つの事実として……そういう風になってしまうことは、実は誰にでもあることなのよ」
響「……誰にでも……?」
オカマD「そう。誰にでも。……もちろん、私にだってね」
響「……ディレクターさんにも……?」
オカマD「ええ。だから響ちゃん。あなたは全然おかしくなんてないの」
響「…………」
オカマD「疲れてもいい、しんどくなってもいい。もう何もかもどうでもよくなったっていいの」
響「…………」
オカマD「……ただ、それでも決して忘れてはいけないのは……」
響「…………」
オカマD「……そういう風になっている自分を受け入れること。そして……そんな自分を、決して嫌いにならないこと」
響「…………」
オカマD「……響ちゃん。もしかしなくてもあなた、最近の自分のこと……ちょっと嫌いになりかけてたんじゃない?」
響「! ……はい……」
オカマD「…………」
響「……皆の事、すっごくすっごく、大好きなはずなのに……なのに、それをうっとおしいとか、めんどくさいとか……そんな風に感じる自分は、なんて嫌なやつなんだって……思ってました」
オカマD「……フフッ。やっぱりね」
響「…………」
オカマD「でもね。それだけはやっちゃダメなの」
響「…………」
オカマD「……他の誰を疎んでもいい。めんどくさがってもいいから……自分の事だけは、絶対に嫌いになっちゃダメ」
響「……ディレクターさん……」
オカマD「……明日、何の予定も無いって言ってたわよね?」
響「……え?」
オカマD「……ちょっと、良い提案があるんだけど?」
響「……?」
~翌日~
バウバウッ ニャンニャン ブヒヒヒ
オカマD「……よし。これで皆乗ったわね」
響「……ごめんなさい。せっかくのお休みの日に……」
オカマD「いいのいいの! この子たちなら番組で毎週一緒なんだし、一日預かるくらい、なんくるないさー! よ」
響「……ははっ」
オカマD「…………」
響「…………」
オカマD「……じゃ、今日一日、携帯の電源は切っておくのよ。夜になったら、またこの子たちを届けに来るから」
響「……はい」
オカマD「……それじゃあ、ゆっくりね」
響「……はい。ありがとうございます」
オカマD「もう、そんな畏まらなくてもいいのに。それじゃあね」
ブロロロロ……
響「…………」
響「……家、入ろう
ガチャッ バタン
響「…………」
シーン
響「……静かだな」
ボフッ
響「……自分のベッド、一人だとこんなに広く感じるのか……」
響「……あ、携帯の電源切っとくんだった」
ピッ
響「…………ふぅ」
ゴロリ
響「……なんか、部屋、広いな……」
響「……一人って、こんな感じなんだ……」
響(……そういえば、自分の周りには、いつも誰かがいた)
響(朝はいぬ美達に起こされ、ごはんを作って、家族皆で一緒に食べて)
響(学校に行ったら、クラスの皆でワイワイ楽しくやって、馬鹿話とかして)
響(放課後になったら、事務所に行って……)
響(最近はなかなか皆忙しくて、全員集合とはいかないけど)
響(それでも、来ているメンバーだけでもお喋りしたり、おやつ食べたり)
響(もちろんレッスンもちゃんと皆でやって……)
響(そして家に帰れば、また家族達のご飯を作って、一緒に食べて……)
響(……そんな毎日が、当たり前だった)
響(……忙しいけど充実してて、毎日がキラキラしてて)
響(……でも、いつからか)
響(……そんな毎日に、しんどさを感じるようになっていた)
響(……そして、今も)
響(自分以外誰もいない、完全に自分一人のこの状況を……)
響(心地良い、って感じてる)
響(事務所の皆も、学校の友達も、家族達も……)
響(皆、皆、大好きなのに……)
響(なのに、そんな皆がいない今の状態を……)
響(誰にも干渉されない、自分しかいないこの空間を……)
響(『楽だ』って……そう感じてる)
響(……できることなら、この時間が永遠に続けばいいのに、って――……)
響「……ははっ」
響「何考えてんだ……自分」
響「皆がいない方が楽だとか……こんな時間がずっと続けばいいとか」
響「そんなこと普通に考えちゃうなんて……」
響「……やっぱり。自分は、最て……」
――そういう風になっている自分を受け入れること。そして……そんな自分を、決して嫌いにならないこと。
響「…………!」
響「ああ……そうか」
響「こんな自分も……“自分”なんだ」
響「……皆と一緒にいる自分。楽しく笑っている自分。キラキラ輝いている自分」
響「……そんな自分も“自分”だけど……」
響「……皆と一緒にいることに、疲れた自分。皆と何かをやることに、しんどさを感じる自分。たこ焼きパーティーに誘われて……面倒くさいと感じる自分」
響「そして……そういう、自分を取り巻く全ての事から解放されて、完全に一人になって……そのことに、心地良さを感じている自分」
響「……そんな自分も……“自分”なんだ」
響「……色んな“自分”がいて、それではじめて……自分なんだ」
響「……ふふっ」
響「なんかしらないけど……ちょっとだけ、気分が楽になったぞ」
響「…………」
響「……ふわぁ」
響「……なんか、気が抜けたら、眠くなってきちゃった」
響「……いいや、このまま寝ちゃお……」
響「どうせ、今日は休みだし……」
響「……ふふっ。なんか……いい夢見れそうな気がするぞ」
響「むにゃ……皆、今日はたこ焼きパーティーかぁ……たのしそう、だ、な……」
響「……ぉが?」
響「んー……」
響「……今、何じ……げっ! もうこんな時間!?」
響「むぅ……こんなに昼寝したのいつぶりかな……くぁ……」
ぐ~きゅるる……
響「むぅ……なんかお腹もすいてきたぞ……」
響「あ、そういえば今日って……」
響「…………」
響「ディレクターさんには、切っとけって言われたけど……」
響「…………」
響「……いや、いいや。入れちゃえ。えいっ」
ピッ
響「……………」
ピロリロリン♪
響「あ、メール来てる……春香から?」
-------------------------------------------
From:天海春香
To:我那覇響
やっほー☆
響ちゃん、元気してる??
えっと……無理なの承知で聞くんだけど、今日のたこ焼きパーティー、もしもしもしもし、ほんのちょっとだけでも時間があったら……やっぱり来てくれないカナァ…なんて(^^;
いや、もちろん、用事があって難しいようなら全然良いんだけどね!?
でもでもやっぱり、響ちゃんがいないと寂しいし……。
それに皆も、響ちゃんに、すっごくすっごく会いたがってるし……。
……なーんて! えへへ、ちょっとワガママ言っちゃいました!><
(忙しいようなら無視してくれて、全然オッケーだからね!☆ミ)
-------------------------------------------
響「…………」
ポパピプペ
響「………あ、春香? うん、自分、響。メール見たよ、どうもありがとう」
響「うん。そうそう、それで、今からでもいいなら……って、ちょ、声大きいぞ! 春香! びっくりしたじゃないか」
響「うん……うん……えっ! 全員? すごいなー! うん……うん! わかった! 自分もすぐに行くさー!」
響「うん……うん……。え? 良いこと? はは、別に何もないさー」
響「うん、じゃあすぐ行くね! うん、猛ダッシュで!」
響「はいはーい。じゃあ、また後でね」
ピッ
響「…………ふふっ」
響「……あーあ、せっかく一人の時間を作ってもらったのになー」
響「……なーんてね。ふふっ」
響「あ、そうだ……もう一人、電話しないと」
ポパピプペ
響「……あ、ディレクターさん? 響です」
響「え? 電源? ああ、はい……入れちゃいました」
響「……え? そうするだろうって思ってた? よ、読まれてたのか……」
響「はい、それで、はい……また、連絡するから、それまで皆を……」
響「はい……はい。本当に、どうもありがとうございました!」
響「それじゃあ、また連絡します!」
ピッ
響「……ふふっ」
響(……色々考えて、わかったことが二つある)
響(まず一つ目は……自分の中には、色んな“自分”がいるってこと)
響(そして、二つ目は……)
響(どんな“自分”にも……共通していることがある、ってこと)
響(それは――……)
響「……やっぱり自分、皆の事が大好きだ!」
春香「ふえ?」
千早「我那覇……さん?」
雪歩「いきなり叫んで……どうしたの?」
響「え、あ、いや……な、なんでもないさー。あは、あははは…」
響(お、思わず声に出ちゃったぞ……)
春香「ふふっ。変な響ちゃん」
響「へ、変とか言わないでよ……」
春香「まあ、でもあえて返事をするならば」
響「?」
春香「私達も響ちゃんの事、大好きだよ?」
響「!? んっがっくっく……」
美希「わあ! 響がたこ焼きを喉に詰まらせたの!」
春香「あああ! ごめんね響ちゃん! まさかそんなにびっくりするとは……」
響「び、びっくりするに決まってるじゃないか……急に何言い出すんだ、春香は……」
春香「あはは、ごめんごめん。でも……本当の事だから」
響「なっ……」
春香「……ね?」
響「~~ッ!」
響(……あと、追加で)
響(もう一つだけ……わかったことがあった)
響(それは……)
美希「あは。響の顔がたこ焼きのタコみたいに真っ赤になったの」
亜美「おほ→、これはなかなか見ものですなあ」
真美「やれやれ、ひびきんはウブだねぇ」
響「う、うるさいぞ! 美希! 亜美! 真美!」
春香「はいはい、響ちゃん。照れない照れない」
響「は、春香も! あ、頭をなでるなっ!」
春香「よしよし」
響「も、もぉーっ……」
千早「ほら春香。我那覇さんをあんまりいじめちゃダメよ」
春香「いじめてないよぅ。愛情表現だよぅ。ね? 響ちゃん?」
響「うぅ……なんか、バカにされてるような気がするぞ……」
雪歩「はーい。響ちゃん専用のゴーヤ入りたこ焼き焼けたよー」
やよい「うっうー! とっても美味しそうですー! あ、でも、響さん専用なのかー……」
響「そ、そんなことないぞ! やよい! やよいもいっぱい食べたらいいさー!」
やよい「本当ですかー!? うっうー! 嬉しいですー!」
美希「響は何故かやよいに対しては妙にお姉さんスキルを発揮するの」
亜美「唯一身長で勝ってる相手だからじゃない→?」
真美「あ、なるほど→」
響「う、うるさいぞ! 身長は関係ないだろー!?」
春香「はいはい響ちゃん、泣かないの。よしよし」
響「な、泣いてないし! ……って、だから春香は頭をなでるな! もぉー!」
春香「ふふっ。はいはい」
響「うぅー……もぉ……ぐすっ」
響(……それは……やっぱり、皆と一緒にいるのが一番楽しい、ってこと)
了
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