穂乃果「1!>>2!>>3!みんなで>>9人!μ's!」 (109)

さるこわい

‐夜、穂乃果の家‐

テレビ「…!?あ、あれは…」

テレビ「ウィーンウィーンウィーン…目標確認、システム、戦闘モード移行します。」

テレビ「な、なんなのよこいつ!ええい!相手は人間じゃない!この真希ちゃんがぶったたいてやるんだから!」

テレビ「当たれ当たれええっ!!ダダダダダダダァン」




雪穂「……」バリッバリッ

穂乃果「……」コソコソ

雪穂「…何してるの?お姉ちゃん」

穂乃果「うっ!…あはは」

雪穂「もう夜の10時回ってるよ…明日早いのだから早く準備して寝たら?」

穂乃果「もうっ!中学生じゃないのだからこの時間に寝るのは早いよ!」

雪穂「高校生がこの時間に家を出るのは遅いと思うけど」

穂乃果「うっ…反論できない」

雪穂「……」バリッ

穂乃果「…ねぇ~雪穂?」

雪穂「嫌」

穂乃果「私何も言ってないよ!?」

雪穂「このまま見逃してって言うのでしょ?嫌だよ私がお母さんに怒られるもん」

穂乃果「そこをなんとか!今度何でも買ってあげるから!」

雪穂「何でもって、お姉ちゃんのお小遣いなんてたかがしれてるじゃん」

穂乃果「そ、そこは常識の範囲内で…」

雪穂「……」

穂乃果「お願い!今日しかないの!穂乃果にとって今日は一番大切な日になるの!」

穂乃果「だから…雪穂には協力してほしいな」

雪穂「……」

雪穂「…ボタン」

穂乃果「へっ?」

雪穂「お姉ちゃんのボタンが欲しい」

穂乃果「私の?」

雪穂「どうせ誰にもあげる人いないんでしょ?」

穂乃果「むっ。そうだけど…」

雪穂「……」

穂乃果「…うん、いいよ」

雪穂「ほんと?」

穂乃果「うん、雪穂は大切な妹だから。私のボタン…あげるね」

雪穂「…妹」

穂乃果「雪穂?」

雪穂「何でもない」

穂乃果「…?」

雪穂「…ほら、さっさと行ったら?遅くなりすぎたらごまかしきれないよ」

穂乃果「あっうん…ごめんね雪穂」

雪穂「私明日練習あるから、早めに寝るよ」

雪穂「はい、家の鍵」チャリン

穂乃果「ありがとう!…じゃあ、行ってくるね」

雪穂「いってらっしゃーい」



ガチャ…パタンッ




雪穂「…ま、これからっしょ」

ほのママ「雪穂、お姉ちゃん知らない?早くお風呂に入って欲しいのだけど…」

雪穂「お姉ちゃんなら無人島で謎の生物と戦ってる最中だよ」

ほのママ「なにそれこわい」

‐ことりの家‐


テレビ「奥さん…白い無精卵と黄色い受精卵、味がいいのはどっち…?」

テレビ「む、無精卵…」

テレビ「そっちじゃない!…こっちの、命を宿した受精卵…だろ?」

テレビ「駄目…私は…あっちの安いほうじゃないと…家計が…」

テレビ「正直になりな…熱くなりたいだろ?…奥さん」




理事長「……」

ことり「……」ソロソロ

理事長「…あら?野外外出を許した覚えはないけど…?」

ことり「ぴぃっ!」

理事長「…こんな遅くに何してるの?コートなんて着ちゃって」

ことり「え、えっと…さむいから…温かくしようかなぁって…えへへ」

理事長「……」

ことり「お、お母さん…」

理事長「…貴女は、まだ音乃木坂の生徒よ」

理事長「何かあったら、それは私の責任になる…それは分かる?」

ことり「う、うん…」

ことり「でも、お母さん!今日は…今夜だけは許して欲しいの!」

ことり「今日が終わったら…穂乃果ちゃん達と…しばらく会えない…」

理事長「……」

ことり「だから!今日しかないの!このまま今日が過ぎたら…もう…思い出、作れない…」

ことり「だからお母さん!今日だけは…見逃して…おねがい…」

理事長「……」

ことり「……」ウルウル

理事長「…ふぅ、困った子ね」

ことり「お母さん…」

理事長「…お母さんは今、録画してた昼ドラマを見てるの」

ことり「!」

理事長「それだけよ…」

ことり「…お母さん」ウルウル

理事長「今日は冷え込むから、しっかりと温かくしなさい」

ことり「うん…お母さん、ありがとう…!」

理事長「お礼を言われる覚えはないわよ…遅くなるとお母さん気づいちゃうかも」

ことり「うんっ!なるべく早く帰ってくる!」タッタッタ


ガチャ…バタンッ





理事長「……」ピッピッ

理事長「お疲れ様です、ごめんなさいこんな夜遅くに…はい、ちょっと学校の様子を見て欲しいのですが…」

‐夜、音乃木坂校門前‐


穂乃果「…二人共遅いなぁ」

ことり「穂乃果ちゃーん!」タッタッタ

穂乃果「ことりちゃん!」

ことり「ごめーん!ちょっと時間取っちゃって…」ハァハァ

穂乃果「ううん!全然いいよ!まだ時間はあるから…」

ことり「そっか…海未ちゃんは?」

穂乃果「あっ…まだだね」

ことり「そっか…」

穂乃果「穂乃果と違って海未ちゃん、家が厳しいから…来れるかなぁ」

ことり「うん…心配だね」

穂乃果「ダメだったら、やっぱり明日の朝早くにして…」



「朝早くだと穂乃果が遅れてしまいそうなので止めておきましょう」




ことり「海未ちゃん!」

海未「お待たせしました…少々手こずってしまいましたが、なんとか来ることが出来ました」

穂乃果「よかった…これで三人揃ったね!」

ことり「うん!でも・・・」

海未「問題は屋上に行くことなのですが・・・穂乃果、何か案でもあるのですか?」

ことり「学校の扉は、全部セキュリティがかかってるから、開けたら警報が鳴っちゃうし…」

穂乃果「ふっふっふ…じゃーん!」チャリン

海未「そ、それは…!」

穂乃果「うん!避難用の階段の鍵!雪穂たちが朝練をする為に学校から許可を取って家に持って帰ってきてるのです!」

ことり「そっか…避難用の扉なら南京錠だけだから」

海未「警報の心配はない…ですね」

穂乃果「そういう事!早速行こう!海未ちゃん!ことりちゃん!」








海未「…変わりませんね」

ことり「えっ?」

海未「いつも何かをする時は、穂乃果が先陣を切って何でもやっていました」

海未「最初っから、最後まで…穂乃果は穂乃果でしたね」

ことり「…うん、そうだね」

海未「…行きましょう。穂乃果が待ってます」

-屋上-


穂乃果「うわぁ~…ここに来るの久しぶりだねぇ」

ことり「ほんとだねぇ…受験勉強ばっかりだったから、すごく懐かしい気分」

海未「そうですね…」






穂乃果「…ここで、いろんな事したよね」

穂乃果「練習したり、話し込んだり…ライブしたり」

ことり「…うん」

海未「懐かしいですね…昨日の出来事のように、鮮明に覚えています。」

穂乃果「…うん、穂乃果もだよ」

ことり「…ねぇ、あっちに座ろう」

穂乃果「えっ?どこ?」

ことり「ほらっ…あそこ」

海未「えっ…あぁ、あそこですか」

穂乃果「いいね!穂乃果も一回あの上に登ってみたかったんだ!」

海未「気をつけてくださいよ…はしゃぎすぎると落っこちてしまいますから」

穂乃果「分かってるって!」






穂乃果「よいしょっと…」

穂乃果「うわぁ…屋上の屋上って気分だね!」

ことり「うん…景色が新鮮だね」

海未「でも…柵がないのはちょっと…怖いです」

穂乃果「あっ、じゃあこうしようよ!」

ギュッ



ことり「あっ…」

海未「穂乃果…」

穂乃果「こうやって、三人で手を繋いでると怖くないし」

穂乃果「…とても温かい」

ことり「…うん。私も」

海未「私もです…」

穂乃果「えへへ…じゃあ始めよっか」

ことり「……」

海未「……」

穂乃果「……」スゥッ

穂乃果「明日、穂乃果たちは卒業します」

穂乃果「みんな、それぞれの進路に進んでいき、私たちはバラバラになってしまいました」

穂乃果「でも、今日という日が三人の絆を永遠に続くということをここに証明します」

ことり「…証明します」

海未「証明します」

穂乃果「…私達の未来を祝って!」





「乾杯!」

穂乃果「…これでいいのかな?」

海未「はい…希に教わった通りです」

ことり「……」

穂乃果「…ふふっ、じゃあ、堅苦しいのはこれでおしまい!」

穂乃果「ここからは女三人で秘密のトークだよ!」

ことり「…うんっ!」

海未「ふふっ…」

穂乃果「じゃあ色々出しちゃおうよ!」

ことり「じゃあまずはことりからだねっ」ゴソゴソ

ことり「はいっ!まずはシート!地べたは寒いから、一緒に毛布も持ってきたよ!」

穂乃果「おぉ!さすがことりちゃん!」

ことり「あとは…紅茶のはいった魔法瓶に…マカロンの詰め合わせ!」

穂乃果「うんうん!ことりちゃんと言ったらやっぱりマカロンだよねっ!」

ことり「えへへっ」

海未「私は…夜の外出は何かと危険なので、懐中電灯とラジオ…そして簡易救護キットを」

穂乃果「海未ちゃん、避難訓練じゃないのだから…」クスクス

海未「お、おかしいですか?」

ことり「ううん、海未ちゃんらしいよ」クスクス

海未「も、もうっ!おかしいならおかしいと言ってください!恥ずかしいじゃないですか!」

穂乃果「ううん!とっても海未ちゃんらしいよ」

海未「穂乃果!」

穂乃果「きゃ~」

ことり「クスクス」

穂乃果「あっ!穂乃果も色々持ってきたんだよ!」ゴソゴソ

穂乃果「はいっ!」

海未「…これは」

穂乃果「枕!眠くなったら何時でも寝てるようにと思って!」

ことり「ほ、穂乃果ちゃん…ここで寝たら風邪引いちゃうと思うよ…?」

穂乃果「えっと、そうならないように三人で固まって寝ようかと…」

海未「…穂乃果、貴女私とことりに挟まれて温かく寝るつもりだったのでは?」

穂乃果「ええっ!?何で分かったの!?」

海未「それくらい分かります。…もう何年の付き合いですか」

穂乃果「えっと…結構」

海未「はい、結構な年ですね」

穂乃果「あはは…」

穂乃果「あっ!でもでもまだ持ってきてるものがあるよ!携帯の充電器とか…」

ことり「コンセントないよ…?」

穂乃果「…あ」

海未「穂乃果…」ハァ

ことり「クスクス…でも穂乃果ちゃんらしいね」

穂乃果「…でも、まだあるよ。穂乃果の持ってきたもの」

穂乃果「はいっ」

海未「…これは」

ことり「あっ…」








穂乃果「…うん、アルバムと、ビデオカメラ」

穂乃果「学校のじゃなくて…私達の、μ'sの思い出」

海未「……」

ことり「…これ、いつの時から入ってるのかな?」

穂乃果「…私達の、三人でスクールアイドルを立ち上げた、あの日からだよ」

海未「…私達の、高校生活そのものですね」

穂乃果「うん。いい思い出話になるって思ったから」

ことり「…うん、そうだね」

海未「……」

穂乃果「こっちのビデオカメラは、希ちゃんから預かったものだよ」

穂乃果「これは明日…真姫ちゃん達に渡そうって思ってる」

海未「…次の世代に受け継がれる。ということですね」

穂乃果「うん、そういうこと」

ことり「…じゃあ、見てみようよ」

海未「そうですね…穂乃果、お願いします」

穂乃果「うん」ペラッ







…そこには、色々な私達が写っていた。
μ'sの初めてのライブ、かよちゃん達が入ってからの練習風景、9人揃った時の記念撮影。PV撮影の時の旅行写真。
…そして、絵里ちゃん達の卒業式の写真まであった。


ビデオカメラには、μ'sの自己紹介ビデオ、みんなで行った合宿の時の遊んでる姿、私とことりちゃんでひと波乱起きた後のライブ映像…


どれも、どれもが全部、私達の旅行記…思い出だった。

ことり「……」

海未「…懐かしいですね。この頃は、何もかもが新鮮な出来事ばかりでした」

穂乃果「うん…練習して、みんなで遊んで、ライブで歌って、踊って…」

穂乃果「毎日がずっと楽しくて、最高だった。」

海未「……」

穂乃果「…でも、絵里ちゃん達が卒業してからかな。変わっちゃったのは」

ことり「あれから6人でμ'sを続けようとしたけど…ランキング、全然上がらなかったね」

海未「…はい、結局ラブライブに出場できたのは、9人でいる時だけでした」

穂乃果「…希ちゃんの言うとおり。私たちは9人でひとつだったんだよ」

穂乃果「誰かが欠けたら、それはもうμ'sじゃない」

ことり「…うん、そうだね」

海未「……」

穂乃果「…そして、ついにその日がやって来た」

海未「μ'sの解散…ですね」

ことり「…ことり、あの時のみんなの顔、まだ忘れられない」

ことり「皆が皆、ここで泣いて、励まして…最後は笑ってさようならって」

穂乃果「…うん。そして次の日から、穂乃果たちは受験勉強を始めた…そうだよね」

海未「大変でしたね…穂乃果を何回シャーペンで刺したか分かりません」

穂乃果「あっ!そうだよまだ頭のてっぺんに跡残ってるんだからね!?お嫁に行けなくなったらどうしてくれるの!?」

海未「その時は穂乃果がハゲになった時でしょうね」クスクス

穂乃果「さいてー!ここにさいてーな人がいます!!」

海未「でも、そのおかげで何とか志望校に合格することができましたよね?誰と誰のおかげですか?」

穂乃果「…はい。海未ちゃんとことりちゃんのおかげです」

ことり「うふふっ…」クスクス

穂乃果「…でも、それから真姫ちゃん達に会う事はすっごく減ったね」

ことり「うん…クリスマスパーティの時と、お正月の時だけだったかな?」

海未「そうですね…卒業組も入れて9人で集まったのは、その二つだけだったと思います」

穂乃果「…あれから真姫ちゃん達は、どうしてたのだっけ?」

ことり「かよちゃんは…凛ちゃんと一緒に陸上部に入って、そこでマネージャーをしてるよ」

海未「真姫は…家を継ぐ為に、勉強の毎日ですかね…」

穂乃果「あっ、真姫ちゃんなら時々ピアノ室で弾き歌いしてるの見たよ」

ことり「ほんと?」

穂乃果「うん…穂乃果も時々一緒に歌ったりしたよ」

海未「教えてくれれば、私達も行きましたのに…」

穂乃果「ごめんね、真姫ちゃんが絶対誰にも言わないでって言うから…」

ことり「そっか、真姫ちゃんだもんね」

ちょっと休憩

穂乃果「…でも、真姫ちゃんと一緒に歌ってて思ったの」

穂乃果「穂乃果も、真姫ちゃんも…みんなみんな、μ'sが大好きだったんだって」

穂乃果「解散しても、ここの中でずっと、私達のステージは続いてる」

穂乃果「みんな、一緒何だって…ちょっと安心した」

海未「…当たり前です。そうでなければ、あの涙は嘘だということになります」

海未「私達の輝ける場所…それがここであり、μ'sなのですから」

ことり「…うん。ことりも同じ気持ち」

穂乃果「……」

海未「……」

ことり「……」

穂乃果「oh、ラーブピース…やさーしー…かぜーにーなれこーころー」~♪

穂乃果「……」



ことり「…そうさ元気を、あーげたーい。がーんばーるかーら~」


海未「…もう、つらくーても、なかーなーいでー、ひーとりぼっちは~」



「卒業しよう、Love&Peace~」






ことり「…ヒック…グスッ…」

穂乃果「ことりちゃん?」

ことり「やだよぉ…卒業したくないよぉ…」ポロポロ

ことり「穂乃果ちゃんと海未ちゃんと…みんなと一緒に居たいよぉ…」

海未「…ことり」

ことり「海未ちゃんと…穂乃果ちゃんは…会おうと思ったら、何時でも、会えるけど…」

ことり「ことりは、無理…すぐに、会えない…」

ことり「嫌だ…離れたくない…一人になりたくない…」ポロポロ





穂乃果「…ことりちゃん」

ことり「ほのかちゃあん…」グスッ

穂乃果「…海外受験、合格おめでとう」

穂乃果「これからは…自分の学びたいこと、一杯勉強できるね」

ことり「でも…でもっ…」ポロポロ

穂乃果「…大丈夫だよっ…会いたくなったら…何時でも会えるよっ…」

穂乃果「さっき誓ったじゃんっ…三人、ずっと…一緒だって」ポロポロ

ことり「うんっ…でもっ…寂しいっ…寂しいのっ…」ポロポロ

海未「…人は、いつか必ずバラバラになってしまいます」

海未「でも、今まで過ごしてきた思い出や…絆、これはなくなりません」

海未「私達は、そうやって、成長していくのですよ…ことり」

ことり「海未ちゃん…海未ちゃぁん…」ポロポロ

海未「…もうっ!いい加減泣き止んでくださいよっ」

海未「そんなに泣いていたらっ…私だってっ…我慢してるのにっ…」ポロポロ

穂乃果「海未ちゃん…ことりちゃん…!」

海未「ほ、穂乃果っ…」ポロポロ

ことり「穂乃果ちゃんっ…」

…あれから、どのくらい泣いたかな?
三人共、互いにごめんねごめんねって、謝ってばっかりで、もう何がなんだかわからないくらい泣いてた気がする。


でも、気が付いたらみんな寄り添って、何も喋らないまま、ずっと時間が過ぎるのを待ってた。
手を握って、肩を合わせて、身を寄せ合って暖をとってた。


…このまま、時間が止まればいいのに。
そんな事を、私はずっと考えてました。










穂乃果「…今、何時かな?」

海未「…恐らく、早朝の5時くらいだと思います」

ことり「えへへ…ことり、お母さんに怒られちゃうな」

海未「私もです…弁解の余地もないでしょうね」

穂乃果「…でも、来て後悔した?」

ことり「…ううん、全然」

海未「右に同じ…です」

穂乃果「…穂乃果も、だよ」









朝日が昇る。

それはこの時間が無限ではないことを私達に教えてくれた。

今日は、私達が高校生である最後の日。





…卒業式が、やってきた。

・・・・・・・・・・・・・・・


穂乃果「行ってきます!」

ほのママ「あっ!穂乃果!」

穂乃果「なに?早くしないとみんなと写真撮る時間無くなっちゃう!」

ほのママ「ちょっとまって…ほらっ」ピラッ

穂乃果「…何これ?」

ほのママ「雪穂が、穂乃果に渡しといてって…」

穂乃果「えっ…あっ!」

ほのママ「…あの子の晴れ姿、観れるの最後かもしれないでしょ?」

ほのママ「せっかく穂乃果に憧れて音乃木坂に入ったのだから…ちゃんと見てあげなさい」

穂乃果「うんっ!もちろんっ!」

穂乃果「じゃあ、行ってきます!」

-卒業式-


「続きまして、生徒代表…」



穂乃果「……」




…何度も見てきた光景。
講堂、ステージ、学校旗、先生達。
いくつものものが、私達の旅立ちを見届けてくれている気がした。


この講堂で、すべてが始まり、全てが終わる。
そんな一つの時間に、私は運命のようなものを感じた。


ありがとう。私達の最初の舞台になってくれて。
ありがとう。私達を支えてくれて。


私達の夢を叶えてくれて…ありがとう。

-卒業式後-


花陽「穂乃果ちゃん…ことりちゃん…海未ちゃん…卒業おめ…おめでどうっ…」グシュ

ことり「かよちゃんそんなに泣かないでよ~」ナデナデ

花陽「だっで…もうびゅーずが…わだじだぢだげになっぢゃうから…私…わたしっ…!」グシュグシュ

凛「もーうっ!みんながいなくなってもμ'sはちゃんと凛達の中にいるって言ったじゃん!」

花陽「りんぢゃぁぁんっ!」

海未「やれやれ…これではもう少しかかりますね」





真姫「…卒業、おめでとう」

穂乃果「うんっ…ありがとう」

真姫「……」

穂乃果「…?どうしたの?」

真姫「…私、こういう時って何言えばいいのか分からないから」

真姫「何かいい事言おうとか思ったけど…何も思いつかなかったわ、ごめん…」

穂乃果「…ううん、言葉なんていらないよ」

穂乃果「真姫ちゃんとは、いっぱい歌で語り合ったから」

真姫「…そうね」

穂乃果「これからも、勉強やピアノ頑張ってね!応援してるよ!」

真姫「穂乃果こそ、大学サボりすぎて退学とかやめてよね」

穂乃果「えー?穂乃果そんなにだらしなく見えるかなぁ?」

真姫「普段の行いが悪いからよ」

穂乃果「ひどいなぁ…クスッ」





「おーい!来てあげたわよー!」




穂乃果「…!この声」

にこ「にっこにっこにー☆みんなのアイドルや」

凛「まだその寒いのやってたの?」

にこ「寒いって何よ寒いって!これにこのチャームポイントの一つなんだから!」

絵里「ごめんなさい…講義の時間が延長しちゃって遅れちゃったわ」

希「でも、まだみんながここにいるって事は、ライブは始まってないゆーことやんな」

穂乃果「…うん、もう少しで始まるのかな」

絵里「良かった…亜里沙の晴れ舞台、一度でいいから見てみたかったの」

希「でもすごいね。μ'sが解散した後にまさか新しくスクールアイドルを立ち上げた子がいるだなんて」

にこ「そう言えば、誰が発案者なの?穂乃果の妹?」

穂乃果「ううん、雪穂でも亜里沙ちゃんんでもない、…全く別の子だよ」

絵里「そっか…亜里沙達にも、穂乃果みたいな子がいたのね」

穂乃果「それは喜んでいいのかな?」

絵里「えぇ、勿論よ」

穂乃果「そっか、わーい!」

にこ「単純ねぇ…」

ことり「あっ!にこちゃんだ!」

花陽「絵里ちゃん!希ちゃんも…!」

絵里「久しぶりね。どう?ちゃんとやってる?」

真姫「言われなくても、みんな普通よ」

絵里「そう、それは良かったわ」

希「改めて、三人共卒業おめでとう。これからみんなえりちの仲間やね」

穂乃果「そっか…希ちゃんは神主さんの見習いで、にこちゃんは」

にこ「アイドルプロダクションに所属しています」ドヤッ

凛「聞いたこともないところだったけどねぇ~」

にこ「きっ!!」

凛「ふしゃー!!」

絵里「ほらほら、威嚇しないの」

にこ「…あれ?そう言えば海未は?」

穂乃果「あっ、海未ちゃんならさっきここに…ってあれ?」

海未「……」

にこ「うーみっ!」ギュ

海未「ひゃあ!に、にこ…」

にこ「なーにこんなところで隠れてるのよ?何?今更恥ずかしいの?」

海未「そ、そういうわけではありません!私はただ…」

にこ「はいはい、詳しい話はこっちでしましょう」

にこ「穂乃果、ちょっと海未借りてくわよ~」

穂乃果「えっ?あっ、うん…」

花陽「二人共、何かあるのかな…?」

真姫「さぁ?」

穂乃果「……」

にこ「…よし、ここならいいわね」

海未「いたた…ちょっとにこ!そんなに引きずらないでください!」

にこ「……」

海未「もう…」




にこ「…海未、この前の話、考えてくれた?」

海未「……」

にこ「そろそろ答え出してくれないと、にこも頼みづらいのだけど」

海未「…私は」









海未「…やっぱり無理です。私にアイドルなんて…」

にこ「……」

にこ「どうして?」

海未「にこも知っているでしょう…私が舞台に立てたのは、スクールアイドルとして…穂乃果たちがいたからです」

海未「それを今度は一人で…しかも、本物のアイドルになるなんて…私には荷が重すぎます」

にこ「…それは、自分に自信が持てないって事?」

海未「それもあります…しかし、そうじゃないのです」

海未「にこに勧められ、様々なオーディションのビデオを見てみました」

海未「…そこには、私には到底出来ないダンスや歌が流れていて…はっきり言って敵う相手ではないです」

海未「もうすぐ二十歳を超えようとしてるのに…今更アイドルの道には進もうとは思えません」

海未「だから…」

にこ「自分には実力がないから、自信を持つことができないって言うのね」

海未「…はい」

にこ「……」

にこ「…そっか、なら仕方ないわね」

海未「すみません…せっかく誘ってくれていたのに」

にこ「いいのよ。にこも昔の仲間がいればやる気につながるかなーってな感じでしか思ってなかったし」

海未「……」

にこ「…ただ、ひとつだけ言っておくわね」





にこ「海未、あんた自分を過小評価しすぎ」

にこ「にこがあんたに声をかけたのは、それだけ実力があるからって事なの」

にこ「自分から進んで努力をする人間…芸能界ではそういう人間こそが最後にはトップになるって話を聞いたわ」

にこ「それにあんたは別にその他の子に負けてない。ダンスも歌も」

にこ「にこは出来ると思う…海未が、トップを狙うこと」

海未「…ありがとうございます。現役アイドルのにこからそんな事を言ってくれるなんて」

にこ「……」

海未「…でも、私には」

にこ「わかってる…やりたいことがあるのでしょ?」

海未「…はい、すみません」

にこ「いいのよ、こっちも迫って悪かったわね」

にこ「…弓道。頑張ってね」

海未「あ…にこっ!」










海未「えっと…出演でも、テレビでも、何か決まった時は連絡ください!」

海未「私…絶対に見に行きますから!」

にこ「…絶対よ?やくそくだからねっ」ニコッ

穂乃果「…そろそろ、かな?」

にこ「ごめーん!話長くなっちゃってー!」

ことり「そろそろ始まっちゃうよー!」

海未「すみません…もう大丈夫です」

絵里「じゃあ、行きましょうか」

凛「凛達以外のスクールアイドルかぁ~」

花陽「楽しみだねっ…」

真姫「歌が下手くそだったら、文句言ってやるんだから」

希「あれ?もしかして真姫ちゃん、新しいスクールアイドルの方にも歌詞を書いてあげてたの?」

真姫「うっ…そうよ。リーダーの子に、どうしてもって言われて…」

にこ「聞けば聞くほど穂乃果っぽいわね、その子」

海未「ふふっ…そうですね」

『まもなく、開演致します。ご来場の方は…』




希「あ、始まるみたいよ」

凛「行こう!凛丁度いい席知ってるんだ!かよちん早くっ!」

花陽「わわっ!凛ちゃん引っ張らないで!」

ことり「雪穂ちゃん、どんな格好して踊るのかなぁ…楽しみだなぁ」

にこ「少しでもぎこちない動きしてたらにこがその場で指導してあげようかしら?」

海未「やめてください。迷惑ですよ」

絵里「さっ、おしゃべりもそこまでにして、講堂に行きましょう」



「おーっ!」

穂乃果「…あっ」

穂乃果「…桜」



穂乃果ちゃーん!早くー!



穂乃果「今行くよー!」





…これで、私たちの物語は終わりです。
これから何が待ってるのか全然分からないけど…それでも、私達は進んでいきます。

それは、他の誰の為でもない…私達、一人一人の人生の為に。
未来を、自分達で作っていくために…




穂乃果「…さぁ、次のステージに、レッツゴー!」



~おわり~


にこいじめられてたか?

穂乃果「終わった!やっと終わったよ!もう朝だよ!」

穂乃果「絵里ちゃん達が卒業していく話はあったけど、穂乃果たちが卒業する話はこれが初めてじゃないかな?上手く書けなくてごめんなさい!」

穂乃果「今回はこれでおしまい!みんな長い事ありがとう!スレ落としちゃってごめんね!」

穂乃果「次こそ本当にSS速報でやろうと思ってます!良かったら見に来てね!」

穂乃果「じゃあね!ばいばい!」

>>101
凛ちゃんに色々毒吐かれてたからそれでどうか…

穂乃果「何でもありだよ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387658219/)

もちろんだぜ
よかったら遊びに来てくだしあ
一日一個のペースで書いていきますん

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年10月19日 (日) 20:59:40   ID: BtVH_vWt

ラブピすげぇ

2 :  SS好きの774さん   2015年07月01日 (水) 04:45:52   ID: gfnuehpB

.......ふん。まあまあの出来ね

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